2010年01月27日

長野県日本アルプス

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取材キャラバンの旅、きのうは長野県でした。
朝、ホテルで起きたらびっくり。
すごい寒いんですね。
白々とした山々の様子を見ているとさもありなんなのですが、
アルプスの山々に囲まれて、山からの吹き下ろしの風の冷たいこと。
北海道では札幌はそんなに風が強い町ではないので
こういう種類の寒さという、ちょっと異次元な感じがいたしました。
伝導的な寒さについては感覚が問題はないのですが、
伝導温度的には北海道よりも遙かに「温暖」なのだけれど、
それに冷たい風が吹きすさぶ厳しさということでしょうか。
風が吹き付ける場面では、絶対にダウンコートが必要だけれど、
じゃぁ、日が差してきたらどうかというと、そこそこ暖かい。
だから、逆に言えば、隙間風の寒さは防ぐようにできていない住宅では
体感温度はもっともっと厳しいものになる。
これはなかなか難しいタイプの寒さだなぁと実感できますね。
ホテルには大きな浴槽のお風呂がありましたが、
早朝に入ってみると、なんと昨晩入った方が扇風機を付けっぱなしにしてあった。
たぶん、その前の晩には風が収まっていたのでしょうね。
なので、風呂上がり、暑くて扇風機を回したままだった。
ところが、朝になると風も出てきて隙間風も、内側の暖房をすればするほど
激しく中に入ってくる。
そういう状態のところで裸にならなければならない(笑)。
まぁ、扇風機は消しましたが、薄ら寒さは否めない。
窓面からは容赦なく冷輻射が下りてきていて
浴槽の水温もこころもち熱を奪われている感じで
なかなか温もりぬくい。
ある種、気合いを入れて体を洗っておりました。
取材先では、建て替える前の住宅のことを聞いていましたが、
こどもたちは家の中ではじっと暖房機にかじりついて離れないのだとか(笑)。
気合いを入れて動かなければならないっていうのは、
やらなければならないことの多い大人は仕方なく動くけれど、
まぁ、なかなか、動き出さないものでしょうね。
北海道ではもうすでに相当以前に脱した寒さの状態の中に
多くのみなさんが置かれているのが実態なのだと思いました。
いや、寒かったです・・・(笑)。

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2010年01月25日

屏風

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つかの間、札幌にいられたのですが、
本日早朝から名古屋に向かいます。
そのまま、本州中部地域から関東、東北というかたちで行脚します。
結局その用意と、講演で2日間費やされました。

で、なぜか、本日のお題は屏風です。
まぁ、なんの脈絡もありません(笑)。
でも、なぜか屏風というものに惹かれる部分があります。
とはいっても自分で所有したいというものではありません。
わたしの一番好きな絵画は、俵屋宗達の「風神雷神」なのですが、
これは金地に描かれた屏風絵なんですね。
屏風という家具装置は、古く新羅から日本に7世紀渡来されたとあります。
ですから日本のオリジナルではないのですが、
その後時代が下がって、明の時代の日中交易では
必ず3幅の屏風が日本側から送られる慣例だったということ。
受容して変容させ、オリジナリティを加えていくという
まことに日本的なプロセスを経てきている文化なのですね。
で、写真は江戸期の北海道松前藩城下町の再現旅籠のなかにあった屏風。
庶民的なこういう風景装置として、根付いている文化なのです。
いまでもホテルなどでの記者会見などでは
おめでたい席には金屏風が欠かせない背景装置。

西洋では絵画は、キャンバスに描かれるのが一般的。
あちらの建築は石造りが多いので、その壁に絵画を貼るには
油絵のような芸術展着形式がふさわしかったのでしょうが、
こちら日本では、着脱式の壁面そのまま、家具一体型展着方式の芸術になった。
このあたり、日本の住宅様式と大きく関係しているのかも知れないと想像します。
なぜ、東アジア世界でも中国では発展せず、日本で発展したのか、
どうも建築のスタイルの違いが大きいのかなぁと。
それは、中国でも石造りが住宅の基本で、木造が主流というのは
日本に特徴的なことが考えられるのです。
で、木造では構造が線的であって、必ずしも閉鎖的な壁面が必要ではなかった。
障子や襖といった建具で部屋間を仕切分けるのが一般的で、
場合によっては建具を全部取っ払って
大変開放的な空間を作っていた。
そんな民族性のなかで、屏風という簡易的な壁面に絵画が展着された
というのは、そんな背景が大きかったのでしょうね。

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2009年12月28日

アジアの古民具

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アジア諸国の古い家具って
独特の風合いがあって、人気が高まっているようですね。
経済力に違いがあるからか、
こうした国々のものは、日本円で考えたら格安なのも大きいポイント。
なんですが、より大きくは
最近のユーザー嗜好の中に、古いものの持つ癒しの力への傾向が見られます。
古民家への憧れというような部分から出てきたものでしょうか。
先日、日本の高度成長期ハウスメーカーシステムという流れを
唱導してきたような方とお話しする機会がありましたが、
戦後の高度成長期には、伝統的な住宅への価値観について
こういう嗜好とは、かなり違った価値観で来ていたのだなと感じさせられる部分がありました。
それは、日本人は真っ新な新築住宅というと、
白木の清々しい空間をイメージしていて、
たとえば無節の白木を尊ぶ、という意見がありました。
他人の手垢が付いていない、ということを喜ぶということですね。
まぁ、確かにそういうものがメインの流れであったとは言えると思います。
それが高度成長の中で、
無節の白木というものの希少価値が高まって高騰し、
それを表面に薄くスライスして合板とするものまで出現していた。

こういった考え方とは、この写真のような嗜好は
まったく対極的だと思います。
むしろ、新築なのにいきなり古く懐かしく感じる。
そういうことに価値観を感じるような動きが大きくなってきている。
一方で、相変わらず白っぽい空間も支持されてはいる。
まぁ、コストパフォーマンスからなのか、
「すっきりしたモダンデザイン」というような意味合いなのか。
ただし、こういう白っぽい空間嗜好も、高度成長期の
「白木の空間」というものとは違って、
むしろ、プラスチックに慣れ親しんだ世代の空間感覚に近いものとも思える。

まぁ、手垢というか、生活の痕跡そのものというような
こういう古民具に惹かれる流れというのは
かなりわかりやすい嗜好性として、定着してきている気がしますね。


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2009年12月16日

集村の祠〜ほこら

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先日取材した会津若松市郊外の集村の中の家。
周辺の中でも立派な家で、棟の上には棟飾りも付けられていました。
関東での取材でも、集村のなかの家を取材しましたが、
こういった街区というのは、なかなか面白そうです。
集村では、自給自足的な集団的な生活の工夫が随所に観られます。
集村というのは、農家が一定の広がりの農地を集団的に管理して
生活ゾーンとしては、家を街的に集約して暮らしているスタイル。
まぁ、小さな街が形成されているもの。
たぶん、集団的にその周辺の農地を開拓していった
開拓農民のライフスタイルを表現したものなのだろうと思います。

ここでは、この集落の最有力者の家とおぼしくお宅に
集落の中の宗教施設、祠が祀られていました。
聞いてみたら、周辺の神社の「頓宮」のようで、
お祭りの時に御輿が、ここで休息するための場所と思われます。
手前側には屋根も掛けられた空間になっていて
ちょうど御神輿が収められるほどのスペースは確保されています。
街区として、実にさまざまな装置も公共的に作られています。
水道が、豊富な猪苗代湖からの農業水路から導かれてもいました。
埼玉県での取材では、集団で使用する井戸水の共同使用料が
いまでも継続しているという様子も聞きました。
水田という集約的労働を必要とする農業形態が
このような共同体を生んで、いわば共助的な装置の数々を残してきているのでしょう。
日本的な「公共性」というものが見えてくるような気がいたします。

さて、きのうはススキノに出没しておりました。
忘年会シーズンと言うことですが、
まぁ、そこそこの人出と言うところでしょうか。
でも1時前くらいに帰ってきましたが、
タクシーはすぐに捕まる状態で、やはり不況の影響なのでしょうね。
ある旅館では、おじさんたちの会社忘年会は少なくなってきて
逆に女性の会合が増えてきていて、
それに便乗するような男性客も増えているという状況とか。
出口の見えない経済状況の中、
世相も大きく移ってきていますね。

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2009年12月13日

シンプルな環境共生住宅見学

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きのうは「北のくらしデザインセンター」の
本年最後のイベント、バス見学会を開催。
やはり年末と言うことで、集客はキャンセルなどもあっていま一歩というところでしたが、
4件の住宅見学など、楽しく行うことができました。
写真は、小室雅伸さん設計の「柏丘コート」。
敷地は傾斜地で、裏には山が迫ってきている立地。
その土地の地中に、半分は埋め込まれるようにしてこの家は建っています。
地熱の利用というのはいろいろなスタイルが考えられますが、
土というのは、パッシブ環境性ということを考えたら
一番可能性の高い普遍的な環境です。
夏は涼しく、冬は暖かいという条件は、竪穴住居以来、
人類普遍の「快適環境」の原点なのかも知れないですね。
半分を地中に入れ込んで地熱を利用するのですが、
その接する部分は、蓄熱性の高いコンクリートを採用。
外断熱で内部発生させる熱を無駄なく蓄熱していきます。
こうした大きな熱容量駆体のうえに
外張り断熱の木造が乗せられ、いわゆる眺望など暮らしの
快適性を享受する部分を構成しています。
また、大きなベランダが特徴的ですが、
コンクリート建築の弱点である熱橋対策がしっかり施されています。
ドイツ製のコンクリート外断熱が使用されているもの。
空間構成は、おおらかに間取りが大きな空間でシンプルに構成。
究極的な「シンプルライフ」ということが実感できる建物。
来週には、本格的にオープンハウスも計画されているということなので、
詳しくは、北海道建築工房HPをごらんください。

さて、ようやくきょうは、久しぶりの休日であります。
先週は土日出張開始でしたし、その前週は道東出張から風邪を引いて帰ってきて
うんうんと唸っていた週末。ということなので、3週間ぶりの休日。
まだまだ、いろいろな懸案事項が山積していて
年末に向けて多忙状態が続きますが、
少しは息抜きして、英気を養いたいと思います。

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2009年12月11日

暮らしの旋律

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きのうは、早朝に山形市内中心部のホテルを出発。
前日に秋田までの路を往復多数の経験者にアドバイスいただき、
もっとも直線距離の短い、新庄〜湯沢経由ルート、
おもに国道13号線を北上するルートを選んでいきました。
それでも一般道経由で200km以上の道のりなので
7時前にはスタートした次第です。
初めは山形蔵王インターから、東根までの「東北中央道」を走りました。
この路は、将来的には、湯沢〜横手道路とつながっていく高速ですが、
まだ途中100km区間の工事が進んでいない。
っていう認識でおりましたが、
走ってみると、断続的に試験的に供用されている。
ほぼ半分くらいは、そういう高速道を走ることができました。
そういうことなので、3時間ちょっと程度で到着できました。

写真は、到着後取材に向かった住宅。
秋田県でイチ押しのビルダー・五蔵舎さんの建てた家。
外張り断熱工法での住宅性能面もしっかりしていますが、
なんといっても、注文住宅づくりのキーポイントといえる
「家の雰囲気作り」への感性力が際だっている。
こういった雰囲気作りの点では、ちょっと他と比べようがない水準。
まぁ、角館の住宅群を持っている秋田県の家づくりの
特徴や、地域らしい雰囲気というものをもっとも良く体現している。
やはり、「秋田らしい」という言葉に一番、似合っている存在。
家づくりといっても、箱としての住宅だけではなく、
エントランスや、庭の造作まで含めて、提案力を持っています。
家のエントランス部分を撮影した写真ですが、
建物本体の下屋の長い庇が生み出す陰影感をポイントに、
そこまでの床には大谷石の敷石をしつらえています。
まだ、竣工後半年ほどですが、
すでに一部には苔もむしていて、独特の雰囲気が生まれています。
建て主さんの選んだ大きな壷が来訪者を迎えている。
質朴で、おおらかな壷の風合いが、家の雰囲気を良く表現している。
こういった雰囲気作り、言ってみれば「暮らしの旋律」って、
ただ単に生きていく、ということ以上に、
「こうして暮らしていく」という生き方の味わいの部分。
家づくりで味わえる、もっとも楽しく夢の広がる部分だと思うのです。
地域に、そういった感性力を持ったビルダーがいる地域は
すばらしいと思います。

さて本日は長い出張も終わり。
ようやく札幌に帰還できます。
ひと安心できるところですが、まだまだ、年の瀬に向かって多忙は続きそうです。

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2009年12月10日

水上の涼亭

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きのうは山形市内で講演会をいたしました。
そのあと、2次会3次会とお酒が入りまして、
先ほどまで気絶しておりました(笑)。
で、本日は秋田に移動して、一軒取材があり、その後
ふたたび秋田市内で講演というスケジュール。
なかなかにハードスケジュールですが、
もう少しで出張日程も終わりますので、あとひとがんばりであります。

写真は、東京の清澄庭園の茶亭であります。
この庭園は、わたしの探訪テーマになって来つつある(笑)、
大名庭園のひとつであります。
まぁ、用途が用途ですから無理もないのですが、
まことに「夏を旨」とした家づくりであります。
水上にいるかのように、束基礎を水中に建て、そこに土台の横架材を張り渡し、
柱だけの華奢な建物を起ち上げています。
そういう用途なので、できるだけ壁を作らず眺望優先というか、
全面を開口部としています。
屋根だけは架けられている、まさに屋根だけの建築。

こういう考え方で基本的には「夏を旨」とした建築はできている。
蒸暑の夏が長い期間続くことに対応した建築ですね。
で、一般的な住宅でも、こういった考え方で建てているケースも多い。
眺望優先というと、とにかく大きな窓を開けることが求められている。
それは当然なのだけれど、
涼を求めると言うことでは、どうも少し違うような気もします。
一般住宅では、壁も重要な要素であり、
新鮮空気を外部から導入するには、窓の大きさは
返って小さい方がいい、という場合もある。
換気経路の明確化、というようなことなのですが、
大きすぎる開口部は、かえって不快な装置にもなりやすい。
現代ビルディングで、ガラスの開口部、というか、
ガラスの壁面で、日射取得が大きすぎて、常にカーテンなどで日射遮蔽している
というケースはたいへん多い。
開口部が大きすぎるというのは、やはり工夫が足りないのではないかと思わざるを得ない。

ガラスの建築、というのが20世紀から21世紀の建築を
代表するようなものになるのでしょうが、
もうすこし、壁の意味合いが重視されるべきなのではないかと
いつも考え込んでいる次第です。
さて、これから早朝から秋田に向けて出発です。
安全運転で頑張りたいと思います。

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2009年12月09日

東京都心の水上生活?

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さて、あちこち出没していますが、
東京にも行っておりました。
写真は先日来、気になっていた江戸情緒を残す地域の景観のひとつ。
江戸は江東区深川付近から、永代通りを永代橋方面への道すがら、
途中に、隅田川からの運河水路があります。
名前を確認すると、「大島川西支川」というのだそうです。
隅田川から、大横川という運河が導かれており、
これは、さらにそれから枝分かれしているものだそうですが、
立地的には隅田川からもすぐ近くにあって、
利便性では相当にいい立地と見受けました。
あ、立地的な判断基準は、水運関連事業者としてという意味合いですね。
江戸という街、というか、近世までの大都会は必ず水運の便というものが
まず経済発展の第1義的なポイント。
秀吉が武蔵の国の海浜地帯であった江戸の立地に着目して
家康に対して、関東経営の中心地に推奨したのは、
まさに経済の天才、秀吉ならではの慧眼だったのでしょう。
簡単な土木工事で、縦横に運河水路を開くことが容易で
物流の基本であった水運が発展可能であると見えたのでしょう。
その基本が隅田川であり、
童謡にも謳われるような、活発な水運産業の活況を生み出した。
で、この大島川西支川では、そうした産業従事者が
ひとつの集落を形成していたようなのですね。
たぶん、戦前くらいまでは、ほとんど船の上で暮らすのが基本の
「水上生活者」だったのではないかと推測できます。
それがすこしづつ、陸の家の部分が増えていった。
でも、それは最低限の生活装置であり、
水上と陸上の両生的な生き方だったに違いないと思います。
現在残っているのは、300m弱ほどの水路左右に張り付くような住宅群。
ちょうど、トラックを駐車させるように船を係留させて
そのごく近くに住宅が密集的に配置されています。
密集ぶりはかなりで、京都の町家並みの間隔のなさであります。
きっと現在では「既存不適格建築」ばかりであり、
建て替えるに際しては、新築はできないので、
増改築に次ぐ増改築だったに違いありません。
しかし、今日になってみれば、まさにこうした暮らしと生き様が一体となった
人間痕跡とでも言えるような住居は貴重な存在だと思います。
現代の住宅は、近世までの経済と一体となった住居から、
そういう生活感痕跡を消したような、つるっとした住宅になっている。
まぁ、多くの人間が「会社人間」になって、
背広とネクタイで「出勤する」生活になってしまえば、
「どこに、どう住む」という部分は弱まってこざるを得ない。
以前は、やむにやまれず、そこに張り付いての生活だったものが、
どこに住んでも別にいい、労働の場所までの時間的距離さえ受け入れ可能ならば、
っていうように、土地と生活が切り離されてきたのが現代社会だったのですね。
逆に、この写真のような生活ぶりから、
現代住居の異常さの方に思いが至ってしまうのは、おかしいでしょうか?

ちょっと気になって、ファインダーにいろいろ、
見えやすい生活ぶりを収めてみたくなってしまった次第です。

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2009年12月07日

会津・地域共同水路

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今回の出張もあちこちと移動いたします。
きのうは仙台を早くに出て会津へ。
天気予報では午後からは雪がぱらつくという予想。
もう12月でもあり、会津は予断を許さない地域。
ということで、クルマも冬用タイヤに履き替えているクルマを使用。
日曜日ということもあって、高速は1000円ですが、
どうも仙台の高速では路線が違うと別カウントされる地域があるのですね。
なので、仙台東から乗って会津若松で下りたら
料金は1600円という表示になっていました。
う〜む、どうもわかりにくいじゃないか。

取材は古くからの農家集住地域、「集村」といわれる地域のなか。
田園風景の中に、林で囲まれた集落が展開しています。
そのなかの一軒が取材先住宅なのですが、
その道路側前面には、ごらんのような共同水路が流れています。
これは猪苗代湖から流れている水路と言うことで
農業用水として開発されたものを
このように引き込むことで生活用水としても利用してきたというものです。
見てみると、大変清冽な清水であり、
この地域の暮らしは、この水路が支えてきたであろうことは明白。
この建物に対しては北側に面しているので、
まだ竣工後1年ちょっとですが、コンクリートで固めた縁側的土面には
もうすでに苔がいい色合いを出していました。
冬期には積雪をこの水路に流して融雪もするということ。
また、建て主さんによると、この水路で野菜を洗ったりすることも多く、
そういう生活上のコミュニティの中心的な装置としても機能してきた。
この再生型の工事になった住宅では
こういう点を踏まえて、この水路に対しての仕掛けを考えていました。
これまで、建物の反対側の、南側で田畑に向かう側を入り口にしていたのですが、
今回工事では、あえて北側のこちら側に広い土間を内外に備えた
屋根付きの空間を配置しています。
いわゆる一般的な玄関ではなく、土間を境界とする空間配置を試みているのですね。
袖壁や屋根の張り出しが、あいまいな中間領域も形成しているので
この共同水路を中心とする地域への開放性と、
個的なプライバシー空間との間の距離感が建築的に仕掛けられていました。
こうなると、そこから先は住む人の、
いわば暮らしデザイン力のようなものがデフォルメされると思います。
若い設計者の意欲を感じた取材でした。

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2009年12月06日

仙台傾斜地の家

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ことしはどちらかというと
住宅の業界構造的な仕組みについての
計画を中心に取り組んできたような気がします。
とくに「北海道R住宅」は、国の「先導的モデル事業」に採用されたことで、
一般のみなさんに知れ渡ることができ、
業界構造に一石を投じる、というような動きが現実に回り始めた年でした。
だんだん、この仕事を通して行うことの領域が変化してきた気がします。
それは、わたしのほうが歳を取ってきたと言うことでもあるでしょうし、
また、住宅業界としても革新の動きを求めてきている、
というようなことも表している気がします。

そんななかですが、
きのうから仙台に移動しまして、打合せ三昧でありました。
その間を縫って、案内をいただいていた住宅見学会の訪問。
仙台の既存住宅街というのは、どうも自由度の少ない敷地が多く、
また、自然環境との調和というような設計が難しい地域性。
そんななかで「山神の住宅」という、そそるようなタイトルの住宅であります。
で、写真がその外観なんですが、
相当古い時代からこの土地の尊崇を集めていたアカマツの御神木が
群れをなして小高い丘の上に立ち並んでいる敷地。
将来的には計画道路も予定されている土地、ということ。
こういう土地に魅力を感じるような方であれば、
設計者は、相当に力が入って計画したと思われました。
まぁ、なんといっても山の傾斜を理活用しながら、
その条件との折り合いを付けながら空間を配置していかなければならない。
施主さんから要望された用途的な条件を持たし、
その上で、ここに暮らす積極的意味を発見していかなければならない。
そのほか、都市計画上からの制約条件もあって、
計画道路がかかっている場合、構造もRCはダメで、木造が要請されるのだそうです。
たぶん、こういう条件がいろいろに厳しければ厳しいほど、
設計プランとしては、未知との遭遇が続き、
驚くほどオリジナリティのある建築空間が生まれてくるものでしょうね。
ある程度、敷地から生み出されてくる部分、というものがある。
そういう発見の過程と、それとの対話の中で独自の工夫の空間性が
現実に立ち上がっていくことが、施主さんにとっても楽しい時間だったでしょうね。

既存の歴史時間を感じさせるようなアカマツは
室内のメインステージから眺望され、
そういう土地との対話が、ここに暮らす方によって始められるのだな、
という明快なプランニングになっていました。
12月6日本日までオープンハウスをやっているそうです。
設計者は都市建築設計集団/UAPP 手島浩之さん。
http://www.uapp.jp に説明が詳しく載っています。

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2009年11月15日

初冬のサーフィン

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今週は建築家住宅のイベントで
きのうもマッチングに努めておりました。
まぁ、なかなか休みは取れませんが、
この景気動向の中では、頑張らねばならない、っていうところ。

なんですが、先日の日立の取材では、近隣でこんな光景が(笑)。
わたしは別にサーフィンとはなんのご縁もありません。
例の酒井法子さんの事件で夫がプロサーファーと
言い続けているのを聞いて、はじめてそういう存在があることを知った次第。
で、気をつけて聞いてみると、結構身の回りで愛好者が多い。
知っているだけで2人、このスポーツ(?)の愛好者がいるんです。
東北の八戸のさらに北側の海岸線にいいスポットがあるのか、
もうすぐ50に手の届くような方がやっている。
いかにも格好良くて、ただただ唖然として聞いているのですが、
ずいぶん多くの愛好者がいるのですね。
で、これは年中、波が良ければ、どこでもやりたいもののようで、
11月のこの時期にも、日立の海でちょっとした大会が開かれていたようなのです。
泳ぎの怪しいわたしなぞ、こんなことをやったら、一発で
土左衛門(古い)っていうところですね(笑)。
でも、若かったら、やってみたいと思わせる魅力はあるようです。
聞いてみると、ボードに横たわって波のところまで漕いでたどりつくのも
体力が結構いるのだそうです。
まぁ、温暖っていうことなのでしょうね。

太平洋側の気候の地域って、やはり、太陽光日射の恵みが大変大きい。
冬場の晴天率の高さは、ちょっと信じられない水準だと思います。
こういうのを活かせば、無暖房で省エネな暮らし方というのは、
断熱さえきちんとやれば、相当のレベルで達成できる。
きのうも関東で建築実績のある建築家と話しましたが、
本当に日本の省エネを考えるのなら、
関東地域でこそ、断熱を強化していけばいい。
なんといっても人口集積が大きいのだから、
この地域がこのテーマに絞って政策的に取り組んでいけば
省CO2の課題や、国際公約もぐっと近づくのではないでしょうか。
実現性の疑わしい方法論に目を向けさせるよりは、
いまある既存技術の中で、それを大きく普及させ、
実効性ある基軸的な解決策を最優先させるのが、あるべき姿なのではと思います。


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2009年10月31日

本日から関東住宅取材

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さて、本日から関東での本格的な住宅取材であります。
全国発売の雑誌も手がけているので、何軒かは
取材しているのですが、今回はまとまった取材日程。
北海道と東北の取材が多いので、
関東のような人口密集地帯では経験値が少ないので、
最初は全部自分で、大体の土地勘も含めて体験したいと考えた次第。
東京では学生時代から就職しての数年間と住んでいた経験もあるのですが、
住宅取材のように、あちこちと住宅地域を歩く、という経験はない。
どうなるかなぁと。やや不安な面もあるのですが、
そういう取材者の体験すべてが、誌面に反映するもの。
予断を持たず、首都圏地域・関東の生活というものの現状の姿を
感受しながら、ルポルタージュ体験をしていきたいと考えています。

きのうは、札幌から移動して、
どうせ、きょうカメラマンと落ち合って移動しはじめるので、
都内のホテルでいいだろうと思いまして、
先日と同じホテルに宿泊して、周辺にあって気になった
「小石川後楽園」にぎりぎり時間が間に合って、滑り込んで見てみました。
4時過ぎに入ったのですが、そこに仕事の要件の電話も入ったので、
まぁ、ほとんど時間のない中での駆け足であります。
臨池式庭園で、基本的な構成は会津の大名庭園と似たような感じであります。
ただし、茶邸は池に面してはいない、というのが違うかなぁというところ。
歩いてみると、これは一種の音楽鑑賞に似たような世界だと感じました。
実際にも、水の音とか、動物たちの音とかも聞こえてきそうだし、
次々とシーンが移ろいゆく様は、
たいへん音楽的な体験をさせてくれるものなのだと思いました。
池の周囲を回遊させる順路構成になっていますが
転々と、深山幽谷であったり、
一転して天地水明であったり、という場面がほんの数歩の歩みで
場面転換していく世界。

で、どうしても建物があると、
ついそこに足が向いてしまう習性(笑)。
茶屋的な建物がありまして、名前は「丸八屋」というのだそうです。
「酒亭」という用途向きが案内書きに書いてありました。
茅葺き屋根の角度と、構造の間のプロポーションが
たっぷりの軒の出で、なかなか格好いい。
壁は窓枠のまわりが漆喰とおぼしき白壁で、
ガラスのない時代ながら、格子の木組みで外界の風景を室内に取り入れている。
軒の出が深いのは、その用途でできるだけ風雨の影響を和らげる仕掛けなのでしょう。
壁はツートンになっていて、その下側は木組みのように見えていました。
出入り口の足下には、竹の格子組が敷き込まれていて、
土や泥を落とす玄関マットがわりの装置なのだと思われます。
丸八、っていう、布団屋さんのようなネーミングは
「腹八分目」というような意味合いだそうで、
「昼の酒は九分、夜の酒は八分にしておきなさい」という意味合いだそうです。
って、昼間も酒を飲んでいたと言うことなのでしょうか(笑)。
昔のひと、というか、この庭園の主たちの放恣な暮らしぶりが
はかなくも浮かび上がってくるようなネーミングだと思わされます。

不思議空間、「大名庭園」探求でありますが、
さてさて、なんのためにこんなものを全国で作り続けたモノか、
いよいよ、ワケがわからなくなりますね。
端的に言って「搾取の象徴」という言葉しか浮かんできません。
どうなんでしょうか?


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2009年10月27日

女性建築家イベント〜MaMCaNフェスタから

7844.jpg

女性建築家って、
住宅を依頼する側からすると、頼みやすい存在でしょうか。
まぁ、わたしは男性なので、よくわからない部分がありますが、
同性の奥さんたちにとっては、
女性ならではの気付きポイントがあって、
たぶん、いろいろと相談しやすい部分があるのではと思います。
日曜のイベントの写真なのですが、
短い時間ながら、お話しはどれも楽しく大変参考になるものでした。
以前も、わたしどもの会社2階のイベント会場で行いましたが、
そのときは、集まったみなさんも女性が多く、
途中からは、ワイワイがやがやと、ほとんど井戸端会議状態に突入して、
「そうよね〜」
「やっぱ、ですよね〜」
みたいな、歓声に近い盛り上がりぶりで、ちょっと太刀打ちできませんでした(笑)。
つくづく女性の感受性の細やかさに感心いたしました。

で、ある女性建築家の住宅で、
大変興味深い事例がありました。
還暦手前くらいのご夫婦の建て替えの住まいなんですが、
間取り的には平屋で、しかも、平面計画では
夫婦それぞれ別々の寝室になっていて、それが左右に一番遠く離されているのです。
夫婦別寝室プラン、というのが流行なんですね。
面積利用で考えれば、寝室は1室の方が合理的ではありますが、
そういう風には考えないのですね。
そういう、「ぜひ夫婦寝室を別々にしたい」
っていうような奥さんの希望を話し合い、相談するのに、
女性建築家って、やっぱり凄く頼りになるだろうと思いました。
たぶん、施主さんの希望は明確だったと思いますが、
男性建築家であれば、そこまでストレートに話せるものかどうか、
いかにも札幌の女性たちの感覚は直接的だと思いました。
暮らし方を明確に表現するって、
やっぱり、なかなか思い切りもいる作業だと思います。
女性らしさ、って案外こういう部分に、
女性としての生き方への最大の共感者という意味合いが強いのではないか、
そんな思いがしてきますね。

追記
きのうは大変多くのみなさんがこのブログ、見ていただけました。
ちょっと、びっくりしています。
とくにyahooでは、ちょっと気がついたらアクセスが
なんと、1300近い。タイトルの「出前イベント」が人目を惹いたのかなぁ(笑)。
これからもよろしくお願いします。


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2009年10月13日

住宅業界の状況

7826.jpg


北海道では、朝晩の冷え込みがどんどん厳しくなってきています。
わが家でも、床暖房の灯油ボイラーを点検したところ、
「リセット」ランプが点滅する。
で、リセットボタンを押すのだけれど、その後、運転休止してしまう。
だいたいこういう冬準備は、休日にすることになっている。
で、こういう不具合が出ると、メーカーのメンテナンスに連絡を取りたくなるけれど
休日なので、留守番電話で「お掛け直しください」という無情のアナウンス。
まぁ、しょがない、週明けだ、という次第であります。
わが家は床面積が広いので、やはり燃費がかかる。
ことしは、さらに工夫をして燃費を下げたいと考えているのです。

写真は、先日の美幌行きのときに通った石北峠。
クルマのタイヤは、事前にスタッドレスにしてあったのですが、
それにしてもさすがに雪が積もっているとは思いませんでした。
台風の時には、道東地域の峠という峠、みんな積雪したそうで、
まぁ、たぶん、すぐに消えてしまっているだろうと思っていたのですが、
その後の低気圧がかなりの勢力で、
ごらんのような峠道になっておりました。
一足飛びには行かないのですが、
これから寒さが段々優勢になっていく季節の到来ですね。
仕事はそれにつれて、年末年始に向かって忙しくなっていきそう。
ことしはとくに、北海道内の新築住宅棟数が2万戸台にとどまりそう、
っていうような予測が出てくるほどの状況。
マンションなどの需要が落ち込む中で、
戸建て住宅もずっと2割3割減状況が続き、
さらに「長期優良住宅」認定作業の遅れで、比較的元気なビルダーも
そういう外的要因から、棟数を減少させています。
「長期優良住宅」不況、っていうような声も出てくる始末。
景気対策としての側面もあって、ことしの2次補正予算で決定した事業ですが、
「耐震等級2」という制度的な縛りが、申請作業のベタ遅れを招き、
結局は、ほぼすべての住宅で構造計算書が必要になり、
そういうコスト上昇圧力もあって、どうにも「景気刺激」という側面は
むしろ反対の、景気減速要因になりつつあります。
補助金による政策って、どうにも書類の山を作るばかりで、
実態的な仕事には繋がらないのではないかという声が大きくなっています。
「長期優良住宅」の100万円コースは
全国の中小工務店に向けての需要促進策だったのですが、
5000戸の目標に対して、締め切り間近のいまになっても1000戸前後という状況。
硬直化した行政運営手法が、経済実態を把握していない。
全体として、官庁組織が機能不全を起こしているのではないかと思われます。
以前の建築確認厳格化による建築不況と同じ轍を
ここまで踏むものか、と暗澹たる思いがします。
まぁ、そうはいっても前に向かっていくしか方法はありませんね。


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2009年10月06日

古民家の建具再利用

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きのうに引き続いて、札幌市西区での武部建設さん
「北海道R住宅」リフォームの家です。
いろいろなテーマに取り組んでいる住宅ですので面白い。
で、本日触れるのは、古民家の建具であります。
古民家、わたしは好きなんですが、
北海道では、都市部などではあまり残されてはいない。
札幌の中心部にある、都市型の古民家というのは
下見板張りの、商家や一般住宅が多く、
多くが大変寒い家なので、その土地の不動産価値の方にだけ利用価値があって
簡単に建て替えられていくケースが多い。
また、都市型住宅といっても多くが建売的に販売されたものが多いので
使用されている材料なども、そうは立派ではない。
勢い、あまり愛着の対象になってはいませんね。
そういう意味で、まともに古民家として「解体・移築」とかされるものが少ない。
やはり北海道でも、地方の農家住宅などが古民家の範疇になってくる。
そういう住宅では、構造材などが、その家の出身地方の建て方で使われていて、
開拓当時はふんだんにあったであろう、ナラやセンといった立派な素材が使われていて
まことにみごとなものなんですね。
それに加えて、建物の利用に欠かせない建具の類も、
新建材の工場出荷品のない時代ですので、
丹念に職人仕事で作られた建具が残されている。
ところが、建物が解体されると、そういった建具は同時にスクラップされて
ミンチ解体されてきたのがこれまで一般的だったのです。

武部建設さんは、そういった現状に一石を投じて
北海道で古民家再生を仕掛けてきています。
そういう活動の結果、多くの古民家解体情報が寄せられ、
貴重な材料をきれいに解体して、自社の土場に集積させています。
こういった古い建具類も同様で、多くの見学者が訪れます。
この家でも、施主さんが見学に来られて感激して、
こういう建具を使いたい、と強く希望されたそうです。
やはり手作り品の持つやわらかい印象は独特の空気感を持っています。
リフォームして、壁は真新しくなっても、
こういう建具が納まると、雰囲気を決定するパワーがある。
商店建築系の設計事務所などは大のお得意さんで、
いつも倉庫で物色していくのだそうです。
いまや、こういう職人仕事は希少品。
一方で、このようなルートを開拓してきているビルダーさんもいるので、
ユーザーには、いろいろな選択肢が広がっているなぁと感じる次第です。


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2009年09月28日

首都圏の都市計画デザイン

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2日間にわたった関東地域の取材を終えて
きのうはようやく体を休めることに専念いたしました。
計算すると、3日間の総移動距離は2300kmほどになります。
こういうのはやはり移動距離の長さに疲れは比例する。
とくに移動の多くはクルマだったので、
自分の運転でなくても、やはり疲れるものですね。
とくに関東地区での自動車運転は、注意が倍加する感じなので
疲れも蓄積するものでしょうね。
ということですが、今週も木曜日以降、3日間の出張予定。
体調を管理して、頑張らねばというところです。

当たり前のようなことですが、
関東地区で取材すると、涼房ということが大きなテーマとして
浮かび上がってきます。
その涼房についても、建物単独だけではなく、
いわば伝統的な地域の工夫、街並み形成上の知恵というような部分も目に付きます。
戦後以降の、いわば無計画な街区形成、
都市周辺農家の土地切り売りに準拠しただけの「街割り」という現代の状況では
こういった「知恵」の痕跡を認めることはできない。
まぁ、社会的に見ればある意味では無理はないのだけれど、
それにしても、地域の行政単位の無策ぶりは際だっていると感じます。
国の側では、農村人口を長期的に都市勤労者として
移住政策を長期的に展開してきていた。
そのために、住宅建築の主体を非安定的な「地域工務店」から
工業化住宅、を標榜する大手ハウスメーカーの成長にゆだねた部分がある。
そうであるのに、肝心の街区形成、住宅地の街割り計画では
ほぼまったく無計画に進展してきたのが実態。
たとえば、京都などの美しい街割りは、独特の町家建築を生み出すまでの
「住宅文化」の熟成をもたらしたけれど、
そういった歴史にまったく学ぶことなく、戦後社会は、
ただひたすら、日本の住宅文化を破綻させてきたのではないかと思います。
京都の都市デザイン、地域計画は、その時代の都市計画家が考えたのに相違ない。
通りと私的空間のバランスは合理的で、美しい。
それに対して、皇居周辺を除いた首都圏地域の都市計画の破綻ぶりはすごい。
遙かに後年、わたしたちの現在形成されている街区を
研究する人たちにとって、これはなんであるのか、
戦前までの日本の都市計画と、戦後の日本の都市計画の間に
巨大な隔絶を感じるに違いないだろうと思います。

たまたま、わたしがアメリカの都市計画家たちが作成したと思われる
札幌の街に住み、育ってきた経験があるから、
余計にそう感じるのかも知れませんが、
なんとも、すさまじい状況だと思わざるを得ませんね。
こういうなかで、個別の住宅計画を進めなければならないのは、苦しい。
そんな印象に強く包まれています。
<写真は、涼房デザインが良かった埼玉のおそば屋さん>

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2009年09月26日

埼玉の住宅取材

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きのうは埼玉県所沢市での住宅取材でした。
写真は、取材住宅現地まで案内先導していただいたアーキファームさんのクルマ。
設計事務所は新座市にあり、そこから現地までは20kmほどということでしたが、
この地域は、東京都との境界地域で、
低層住宅地は、区画整理・道路計画ともまったく破綻した地域。
ほんの小さな面積地域で市が境を接しており、
ほとんど住宅地で連続している。
案内していただいたわけですが、部外者にはメリーゴーラウンドのような
経路としか見えません。
地元の人なので、渋滞を避けるために大きな幹線道路を避けているのでしょうが、
その分、実態に近い交通の状況がわかります。
道路は、本当に「けものみち」といったほうが正確。
ところどころ畑地が耕作もされて残っているのですが、
そのとなりには狭小敷地で3階建てのような低層住宅地が展開しています。
所有権だけは個人の持ち物ではあるけれど、
乱雑な建てられ方を見ていると、これでは私権への歯止めが必要ではないかと
思われてならない。
あと、数十年経過して、
後世の子どもたちが、このような私権の結果の住宅を
維持し続けたいと考えるかはきわめて疑問。
なにより街区としての調和であるとか、熟成感が育つような街並みではない。
これならば、集合住宅としての戦前までの「町家」に戻して
街区整理をもう一度やり直した方が、後世の子孫たちのためになるのではないかと。

そもそも、このように美しくない街区形成を
ほぼ放置し続けてきた自由主義というのは、日本民族の発展という視点から見たときに
一体何なのか、と絶句せざるを得ませんね。
私権として、30坪なり40坪なりの私有空間を作るのであれば、
やはりマンションのみにすべきで、
このように乱開発されて、それぞれに土地所有権が存在するという状況は
土地利用の整理整頓にとって、まさに牙を剥いてくる恐ろしい状況。
まぁ、誰がやってもこういう状況になれば、もう為す術はないか。
物流や、経済活動のネットワークとしての道路整備も未来の準備が進みにくい。
都市居住というのは、どういう方向になっていくものか、
大いに考えさせられる取材活動でした。


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2009年09月25日

地域景観の再生

7809.jpg


さてきのうは、常陸太田市での取材。
なんでも水戸黄門さんの墓所に向かう旧街道付近の
農村の景観が残っている集落の一角。

っていうことだったのですが、
飛行機のチケットが前日は取れなかったので、強行軍になりました。
朝、札幌を6時ころに出て新千歳空港から8時にフライト。
悩んだ末に、仙台への往復便にしておりました。
取材なので、クルマがいるのと、ふだんは東北各地に取材が多いので
カメラマンは郡山周辺からの合流になるので、
羽田に行くよりも、やはり仙台の方が利便がある。
なんですが、東北道〜磐越道〜常磐道と、高速の乗り継ぎで、
途中、郡山の隣の磐梯熱海インターでカメラマンと合流。
そこから常陸南太田インターまで行って、あとは10kmほどの一般道。
走行距離は360kmほどだったはずですが、
なんと言っても、連休明けということで諸事連絡電話がたくさん。
鳴り続けていたので、やむなく運転中にケータイしてしまったら、
やっぱりこういうことは神様がしっかり見ている。
電話を取ったとたんに覆面パトカーさんにご用。
急ぐ旅ながら、30分ほどは余計な時間もかかってしまいました。
っていうか、その後は連絡にパーキングでちょこちょこ停車して
電話連絡をしていたので、時間がかかった次第。
で、カメラマンさんと合流後は、運転をお願いして
電話対応用件を片付けながら、現地到着ということでした。
なんとも久しぶり、たぶん、10年ぶりのような交通違反。
いやぁ、反省しなければなりません。
急ぐほど、余裕を持った行程を考えなければならない、
とはわかっているのですが、シルバーウィークでありますね(泣)。

っていうような珍事が入ったのですが、
住宅取材の方は、まことに興味深い内容で、
たいへん楽しく、今後の編集構成にさまざまな示唆を得られた住宅でした。
内容は今後の誌面(Replan関東版〜年末発行予定)でお見せしたいのですが、
まさに地域生活文化の持っている意味を現代が活かせるのかどうか、
わたしたちのサスティナビリティが問われるようなものだったと思います。
この家は、新住協メンバーが取り組んだ事例ですが、
温暖地方の地域住文化の再生、再発見に
断熱気密技術が、その基本要素として、
いわばベースとして活かされていく大きな可能性を与えてくれていると思います。
今週末、土日(26、27日)には現場見学会も予定されています。
ぜひ関東北東部のみなさんは、見られたらいいと思います。
一般のみなさんは言うに及ばず、
建築関係のみなさんこそ、しっかり見ていただきたいと思います。
まぁ、設計の豊田さんにとっては忙しさが倍増するので困るでしょうが(笑)。
連絡先は、0246-43-4432豊田設計か、
0294-72-2038施工の秋山建設さんまで。

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2009年09月13日

企業再生〜2

7778.jpg

きのうの続きです。
写真は再稼働を開始したラインの様子。

大阪が基盤の会社、創建さんという会社は、
「外断熱」(正しくは外張り)がウリで
本州地域で戸建て住宅を年間500〜600棟程度販売しているそうです。
木の城というイメージ通り、ふんだんに地元産材を構造として使い、
断熱手法としては外側断熱を採用するのは、
確かに、相性がいいかも知れない取り合わせ。
北海道の標準的な高断熱手法には背を向けてきたのが
かつての「たいせつ」さんであり、
その意味では、デザイン云々よりもそういう断熱手法の変更の方が、
大きい部分になるかも知れないと考えます。

セレモニーでは、
かつて訪問したという北海道知事さんから
「斬新なデザインに変更してください」と言われたことを
新しいデザインパネルを寄贈して、お返ししておりました(笑)。
高橋知事さん、本音で言ってしまったのかどうか、
あんまりストレートな意見の見えにくい知事さんにしては、似合わない発言があったと
変に感心させられた次第(笑)。
いろいろな意見はあると思いますが、
あのスタイルで、しかし19000棟もの実績が上がっていたのですから、
簡単に、そう決めつけられないのではないかとも思います。
デザインだけ、中身の作り方と関係なく変更することが
それほどいいことか、どうか、
好みの問題は別にして、やや疑問とも思っています。
ユーザーは案外、総体としてのイメージで企業姿勢をとらえるものであり、
単純に外観デザインを、その中身と切り離して考えるのは、
企業イメージを希薄化させることになるのではないかと
ちょっと、疑問を感じた次第です。
まぁ、そうはいってもこれまでのデザインからチェンジしたいというのは
ごく自然な方向ではあると思います。

いずれにせよ、そうことは簡単にはいかないだろうと思います。
新築マーケットも「回復」というような状況になるかどうか、
むしろ現状程度で固定化して、
まったく別のマーケットに住宅建築自体が向かうような予感もあります。
一方で、地域の願いというのも痛いほどに感じることができました。

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2009年09月12日

企業再生〜1

7774.jpg

なぜかこういうのにめったに呼ばれることはないのですが、
きのうは、北海道地元の大手住宅企業だった、
「木の城たいせつ」の破綻から、その企業再生をめざす、
「きのしろ」「たいせつ」両社の再稼働式典に呼ばれて行って参りました。

「木の城たいせつ」は、北海道の住宅の歴史の中で、
きわめて大きな存在であったことは事実だろうと思います。
残された住宅の数でも、なんと19000棟に上るという。
いわゆる「無落雪屋根」の登場時期に「耐雪〜たいせつ〜ハウス」という
企業名そのものがキャッチフレーズであるというわかりやすさで
北海道の住宅と雪の問題に明確な解決法をアピールしていった存在です。
まぁ、無落雪屋根のひとつの工法、M形屋根について「特許」云々ということもありました。
その後、M形屋根から、フラットルーフに無落雪屋根の主流は移っていくわけですが
それでも、大きな足跡であったことは間違いがないと思います。
このふたつの違いは屋根に乗せた雪を
建物内部に「樋」を設けて水にして落とすというM形に対して、
小屋裏の断熱を強化して、屋根の上に雪を載せたままにするフラットルーフ
というような違いなわけです。
M形が屋根面からの熱漏れを半ば前提にした工法であるのに対して
フラットルーフの方が、合理的な解決法であるとは言えるでしょう。

しかし、こういう提案が敷地サイズを大きく取らねばならなかった北海道の住宅から
都市圏の狭小敷地利用を可能にしたという意味では、
経済的な側面で、大きなメリットがあったと考えられるでしょう。
いろいろに論議はあったとしても、なにより、
19000棟の建築実績を残したという意味では
多くの北海道民に支持されたことは間違いがない。
もうひとつ、この企業が大きなインパクトを持っていたのは、
北海道の木を大量に原木から仕入れて、
乾燥工程から、集成技術まで行う大きな「工場」を、いわば
「地産地消」の先駆けのような存在として取り組んできたことがある。
最盛期には、雇用者数が1300人を超えていたというように、
この工場生産を地元経済振興として取り組んできた側面は大きい。
きのう、わたしも初めてこの工場を見たのですが、
まぁ大変な広大さで、ちょっとびっくりしてしまいました。
企業経営で考えると、
こういう基本的生産コストが大きい、という形態は
なかなか変化の大きい時代には対応が難しいと思います。
そういうことから、建築基準法の運用厳格化による
「混構造建築」の建築確認ベタ遅れに直撃を受け、
高コスト生産システムが、資金ショートを招いた側面が大きい。
まぁ、そのほかにもいろいろな経営的硬直化はあったものと思います。

後継企業は、大阪を地盤とする「創建」という会社がバックアップします。
写真真ん中は、新会社の社長、吉村氏です。
左右には、地元栗山の町長さんや、北海道の空知支庁さんなど、
地元経済の大きな担い手としての期待が掛けられています。
〜長くなりそうなので、続きは明日以降に。

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2009年09月10日

家と税金

7796.jpg

日本の都市住宅である「町家」は
為政者が庶民に税金を掛けるのに、その富裕の状況を把握する方法として
建物の間口の広さを単純に計量していたことへの
庶民側の対応として生み出されたのだそうです。
間口が問題にされるのなら、奥行きを長くしますよ、という知恵ですね。
現代のように「会社」社会になり、個人の所得が
すべてに近く、国家に把握されているような社会というのは、
ごく最近になって出現した社会形態のようです。

町家という形態は、そういう規格的な背景があって、
目立たないように配慮しようという
庶民の生活防衛の結果の建築的表現と言うこと。
こういう知識はあったのですが、
さらにもっと変わったというか、乱暴な税金の決め方として
「窓税」という概念が、ヨーロッパにも、日本にもあったのだそうです。
ヨーロッパでは個人のプライバシー空間として
建物内部に権力とはいえ、簡単には入り込めず、
税の徴収の基準として、外側から判断できるように、
至極単純な方法として、窓の多さを基準にしたのだそうです。
で、そういう知恵は古今共通らしく、
日本でも戦国期から江戸期に掛けて、実行されていたのだそうです。
まことに権力という存在は無理矢理、考えるものですね。
戦国大名など、領地争いの戦争ばかりして税金を使い続けて
こういうところで税を巻き上げていたのですから、まぁすごい。
で、写真のような江戸期の農家住宅、
一般的に「古民家」と呼ばれるような建物は
どこでも、極端に「採光」が犠牲にされている構造になっている。
今日まで残ってきていて、改修するという場合、
第1にリクエストされるのが、採光条件の改善なのですね。
単純に窓を開けることが極端に少ないのです。
窓を開けるというのが、それほどに大変なことなのかなぁと
技術的な問題なのかと思っていましたが、
実は、そういう技術発展を阻害する要因は別にあったということなのですね。

今日では、所得把握、資産把握が
どんどん進化してきていて、
固定資産税というような概念まであり、
国家が土地の資産価値を値踏みして、本来、換金しなければ支払えないものにまで
税金を掛けている。
事業資産として、それで商売をしているのならまだしも、
ただ暮らしている生活の場に税金を掛けています。
自然状態で人間が家に住んでいると、それだけで税金がかかる。
世界的な宇宙物理学者ホーキンスさんが、税金の仕組みだけは
あまりにも不合理で理解できないという話を聞いたことがありますが(笑)・・・。

近年では、とくに地方都市などで
地価というような概念自体がどうなのか、と疑問が出るような状況です。
売買が成立したときの価格に一定の掛け率を掛けて
固定資産税を評価するわけですが
いまや住宅用の土地で売買が成立するかどうかは不明。
また、どんどんと地価が下落してきているのに、
そういう意味では、「取りすぎていた税金」を還付する
という考え方は、絶対に権力機構の側からは発信されてこない。
現状の経済状態に、権力構造が合わなくなってきているのではないでしょうか。
先日、政治家たちの討論を聴いていて
なんのために税を取って、権力を運営するのか、
そのあたりのことすらも、どうも再検討すべきなのではないかと
いろいろ思い至る部分を感じた次第です。

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2009年09月04日

和室のデザイン

7790.jpg

和室というのは、定義ってどうなるのでしょうね。
和の室なんですから、日本的な部屋ということでしょうが、
畳の部屋がそうなのか、
という点から言えば、歴史的に見て庶民が畳敷きの空間に暮らせるようになったのは
そんなに「伝統」とまでいえるような長い歴史時間ではない。
江戸期でも板張りの部屋と敷物というのが一般的。
総畳敷きの空間というのは、豪華さの表現だったと思います。
古民家をよく見ていると、畳の部屋って、そうは多くない。
ごく、ハレの間がそうであって、
通常の居間は、板敷というのが多い。
だとすれば、畳の部屋を「和室」と呼ぶのは疑問。
ただ、この写真の部屋のように、「座った位置での目線を基本にしている」
というような定義で言えば、わかりやすいのかも知れない。
日本の住宅では、とくに一般的な居間では
掃き出しの窓が多いけれど、
あれって、座った目線まで外の風景を見ることができる、という意味合いが強い。
一般的に日本人は室内で「座った」状態で寛ぐ。
それに対して、障子などの視線遮蔽装置を取り外すと、
そとの景色が眼前に広がる、というのが視覚的感受性の原点。

ひるがえってこの写真は
ツーバイフォーの住宅の中の和室です。
こういう建て方の家では柱がないので、
本来は和室ではないだろうと思われるのですが、
まぁ、たいして疑問もなく平面図にも「和室」と書かれている(笑)。
確認申請を受ける機関でも文句なく認可される(笑)。
ようするに概念規定ってほぼないのでしょうね。
したがって、現状では畳を敷く部屋が和室、ということでおかしくはない。
でも、窓の開け方は大変日本的伝統のスタイルを踏襲して
目線の高さに収められています。
そのうえ、外部には植え込みを板張りの囲いを背景にして配置。
畳も、意外性を狙ってか、カラー畳ですが、
こういう背景装置がしっかりしていると、
和室の雰囲気としては、まぁ、これでいいと思えてきます。
和室の定義、みなさんどう思いますか?


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2009年08月30日

テレビの位置

7785.jpg

近年のテレビの大型化が、住宅の風景をある程度変えています。
以前は、「コーナー型」設置,とでも呼べるような
まだ、移動可能な「家具」的扱いが多かったのですが、
大型化の結果、一面の壁面を専有するようなかたちになってきている。
やはりテレビ画面だけでは視覚的につらいので、
余白に相当するような背景部分が、
それもできれば白い背景壁面が、
なるべく多く必要になってきた、という側面がある。
シンプルモダン、という風潮の蔓延には、こうした背景があると思います。

こうなってくると、居間を相当に大型化させる必要がある。
そのうえ、居間を2面採光で考えると、
言葉を換えて言えば、そとの風景を愛でるような方向に大きな窓を2方向に
開けたいと考えると、
その上でテレビが壁面の1面を独占するとなると、
合計で3面が固定され、しかもソファの位置がテレビに向かうとなれば、
居間の配置構成が大変難しくなってしまうのは自明。
場合によっては、せっかく開けた美しい外部への窓に背を向けて
テレビ画面に向かうという形になってしまう。
以前、吉永小百合さんがCMに出ているのでは、
大きな開口部の真ん中の位置にテレビを置くプランまでありましたね。
でもあれだと、たぶん、外部の視界がテレビ画面への集中を削ぐ。
背景が気になって、テレビを見るのにやや疲れるだろうと思うのですね。
おお、っと、驚くようなCM効果はあるけれど、
そういう解決手段はないだろうと思うのです。
そうすると、2面採光は諦めるべきなのか、
なかなか、究極的な選択がいま、日本の居間設計には迫られているのです(笑)。

っていうなかで、
写真のような階段下壁面利用計画を久しぶりに見ました。
階段って、いま、居間の拡大にともなって
面積的にもっとも厳しい現実になっているのですが、
居間から上がる、という家族関係重視と合わせて考えると、
こういう選択もありなのかなと、思えた次第です。
ただ、家族がテレビに向かっているなかを2階に上がることになるので、
そのあたり、ちょっとそのときの心理的部分が
どうなんだろうかと懸念される部分はありますけれど・・・。
建築的には、こういう利用の仕方というのは大いにあり、ですね。
みなさん、テレビの位置、どうしています?

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2009年08月27日

室町期の木材製材

7779.jpg


きのうの続編です。
建物の建築作事のとなりに、こういう「木割〜製材」の様子がありました。
どうも、当時の工程としては、
建築現場で、こういう製材も同時進行していたようです。
よく見ると、白い上衣をまとった人たちが管理者のようで、
工程管理しているように見受けられます。
ここでみると、乾燥させているかは不明ですが原木を
切り割ったり、墨付けして一定の大きさに裁断したり、
ノミやカンナで、仕上げたりしている様子が見て取れます。
画面に見えるほぼ全員が烏帽子をかぶっているのは、
日本人に一般的だった風習なのか、
それとも、現代でヘルメットをかぶって作業するような意味合いを持っていたのか(笑)、
まぁ、そんな安全管理の考えは強くはないでしょうから
それこそ、裸になって作業しても、烏帽子だけはかぶっていたのかも知れません。
そういえば、髪を結い上げて、ちょんまげにするという
ちょっと奇妙な風習はかなり以前から、日本に定着していたのでしょうか?
この烏帽子を見ていて、なぜなんだろうと想像が膨らみますね。
上衣と下の衣類はそれぞれ別のようで、
まぁ、そこそこ機能的な様子が見えます。
先日のブログでも触れましたが、
こういった製材部分が、大きな公共事業終了後も、京都などで
その後も店を構えて営業していたら、
けっこうな繁盛をしたということで、現代にまで伝わってくるような
製材を立てて置いて商売するスタイルができた、ということです。

しかし、こういう労働の姿を見るのは楽しい。
いろいろなポーズで、一心不乱に働いている様子は
それぞれの職人さんの個性も伝えてくれるような
そんな想いを感じさせてくれます。
きっと、それぞれ、暮らしがあり家族があり、
っていうように考えていくと、時を超えてだんだんと親しみを感じてくる。
こういう職人集団のなかから、やがては「棟梁」になるような
優秀で人望もあるような人材が出ていったのでしょう。
また一方で、先日触れた小堀遠州のような芸術家的設計者も
「奉行」として、こういう作事職人集団を統率していたのでしょう。
こういう労働の結果、今日まで伝わっている大きな建築が作られていたのですね。
普通の人々の、ごく普通の営為が記録されているのって、
表現もわかりやすくて、本当に見ていて楽しく、あきない。
すぐにでもこの現場に行って、職人さんたちに声を掛けてみたいです(笑)。

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2009年08月25日

画期的な公共事業公開審査

7781.jpg

環境省が推進するエコハウスモデル住宅に北海道内では
2つの街が選定されています。下川町と、美幌町なのですが、
そのうち、美幌町での「設計者選定公開プロポーザルという異例の取り組みが
昨日の夜に行われていました。
インターネットでの動画中継で配信され、
審査の模様が公開されていたのです。
仕事の都合やらがあって、断続的にみられたり、みられなかったり、でしたが、
大変有意義な試みだと感心いたしました。

美幌町21世紀環境共生型モデル住宅(エコハウス)設計者選定公募型プロポーザル審査。
二次審査会(公開ヒアリング)
開催日時  平成21年8月24日(月)午後6時〜
開催場所  美幌町 しゃきっとプラザ 集団健診ホール
        (美幌町字東3条北2丁目 美幌町役場横)
内   容  プレゼンテーション(一次審査通過設計者各10分以内)
        全体ヒアリング(審査委員聴き取り)
そ の 他   インターネットライブ中継(美幌町HP)をします。

一次審査通過設計者
小尾建築事務所
くりえいと創
堀尾浩建築設計事務所
五十嵐淳建築設計
株式会社画工房
  5 件

美幌町21世紀環境共生型モデル住宅(エコハウス)設計者選定審査委員
審査委員長 圓 山 彬 雄 (建築家、潟Aーブ建築研究所代表取締役)
審 査 委 員 岩 村 豊 治 (指導林家、網走支庁管内林業グループ連絡協議会幹事)
審 査 委 員 小 玉 祐一郎 (建築家、神戸芸術工科大学環境・建築デザイン学科教授)
審 査 委 員 高 橋 信 夫 (北見工業大学、副学長)
審 査 委 員 中 原 秀 樹 (東京都市大学環境情報学部教授)
審 査 委 員 染 谷    良 (美幌町副町長)
審 査 委 員 平 野 浩 司 (美幌町経済部長)


っていうような内容での審査でした。
なかなか白熱した討論が行われておりまして、
また、審査委員長や設計者もいつも話をするみなさんで
ごく身近なひとたちばかり。
また、テーマも建築サイズが住宅レベルの話なので
たいへんわかりやすくて、論点も明確に展開されていたので、
非常に面白く見ることができました。
結果については、リプランの次号9月発売号でも掲載しますが、
なにはともあれ、こういう取り組みを行った美幌町のみなさんに
「よくやった」と、強く思わせられました。
夕方から、終わった9時半過ぎまで、見ている方でも大変だったので、
審査員のみなさんも、大変だったと思います。お疲れさまでした。

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2009年08月21日

店舗の流行性

7775.jpg

写真は宮城県の地方都市、亘理で見た居酒屋店舗。
店舗建築というのは、流行性を表現するものですが、
現代の「癒し」というものの所在をなんとなく教えてくれる。
居酒屋さんなんていうのは、
その典型のような存在でしょうね。
まぁ、あんまり外食とか、たくさん行くわけではないのですが、
そういえば、こういった昭和初期風の店構え、
よく見るような気がします。
わたし自身でも、古い雰囲気を残しているような店が好きですね。
札幌は古い木造建築に対して
たいへん厳しい地域で、その耐え難い寒さの記憶を「持っている世代」
にとっては、ちょっと懐かしむ、までの心理はなかなか生まれてこなかったけれど、
最近は、そういった店舗が徐々に出てくるようになってきている。
「こういうの、昔、あったよなぁ」
っていうような懐かしさが、ようやくその寒さの記憶を
追いやってくれるようになってきたのか。
それとも、寒さの記憶自体を持っていない世代がそろそろ現れてきたのか。
ひょっとすると、そういう若い年代がデザイン感覚だけで、
いいかも、というようになってきたものかも知れませんね。

こういう店舗設計の世界では、
この店の外壁に貼っている看板の類、
結構な需要なんだそうで、いろいろ手を尽くして集めている専門店もあるのだそうです。
また、古材の需要も高まっているので、
世界中に、安くて、それらしい雰囲気の出る材料を
探し歩くビジネスも存在しているのだとか。
こういうのって、何を表現しているのでしょうかね。
昔の時代が持っていた、癒しの雰囲気が
現代のぎすぎすした人間関係からみて、ノスタルジックに思える。
そんなことだとすれば、やはり寂しさがありますね。


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2009年08月18日

小堀遠州の作庭

7773.jpg

写真は宮城県松島の円通院の庭の小屋。
いつ行ったのか、良く覚えていないのですが、
なにげに歩いてみて、瑞巌寺からほど近くにありました。
松島には、いろいろな機会に行くことがあるので、
瑞巌寺前庭の杉の森など、好きなのですが、
この庭を歩いたのは、ほんの偶然でした。
で、歩いてみてびっくりするほど繊細な造作ぶりに感嘆したのです。
で、あとから、この庭が小堀遠州の作であると聞いた次第。
なんでも江戸の伊達藩屋敷にあった庭を、
この松島に移築させたのだそうです。
「え、庭を移築?」と、驚きますが、
江戸初期の時代には、そういう感覚が存在したのでしょうね。
小堀遠州というひとは、
千利休・古田織部とならぶ、近世の芸術家といわれます。
西洋とは、すこし日本は芸術の価値観が違うと思いますが、
そういう世界観の中で、独特の芸術世界を生み出したこの3人は面白い存在。
小堀遠州というひとの来歴を見ていると、
武家としての栄達も遂げていますが、
現代の価値観から言えば、かれは建築家といったほうがいい。
いろいろな建築の奉行を務めていて、
それも幕府御用達、というような存在のように思います。
師匠である古田織部の非業の死を見ていたので、
政治的に、幕府との距離感を常に計算している感じがして、
そのあたり、清々しさには欠ける面もありますが、
しかし、利休からの権力と芸術の関係を見ると、やむを得ない面がある。

そういう遠州に、庭を依頼できたのですから、
伊達の世渡りのうまさ、というのも十分に伝わってきます(笑)。
庭は、まぁ、ことばでいくら説明してもしょうがない。
見て、感じて味わうものでしょうが、
写真はさりげなく建てられていた小屋がけであります。
石置きの屋根、円窓、といった構成でしたが、
庭と一体感があり、建物の意味を感覚させてくれるものでした。
わたしはとても感激しました。としか、言いようはありませんね(笑)。
やはりこのひと、面白そうだなぁと、小堀遠州のことを
もっと知りたくなったきっかけになった次第です。


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2009年08月17日

鉄刀木(タガヤサン)

7772.jpg

最近の北海道の住宅では、ほとんど本格的な和室が見られない。
いわゆる床の間というものを造作する数自体が少ない。
なので、「床柱」という木にこだわりを持つという文化は
どんどん消滅に向かっていると言えるのでしょうか。
そのような「日本的」決まり事からは自由になって、
むしろインターナショナル的な方向に向かっているとも言える。

日本海岸の増毛にある商家の古民家、といっても
相当の成功者の家なんですが、
明治の初年に建てられた住宅に見る床柱です。
鉄刀木、と書いてタガヤサンと読むのだそうですが、
どうもよくわかりません。
黒檀、紫檀、と並んで唐木三大銘木と呼ばれるものだそうです。
原産地はタイ、ミャンマー、ベトナム、カンボジアなどということなので、
この時代に、それも北海道の北の地域で
こういった床柱を使用するのは、大変贅沢なことだったことでしょう。
北前船の便に乗せて運ばれてきたものでしょうが、
北海道では、まことに希少な材料使いだったことでしょう。
現在では、流通が良くなっているのでしょうから、
比較はできませんが、40〜50万円程度の価格のようです。

木材の重くて硬いさまが、
まるで「鉄の刀のようだ」ということから「鉄刀木」の漢字が当てられるそうです。
腐りにくいことから、家が長く続くということに掛けて
床柱には、縁起がいいと言うことなのでしょう。
南洋材がこういう北海道の果てまで流通していたということが
旺盛な日本の建築需要を表現しているでしょうね。
それにしても、住宅建築の中のこういう一部分にこだわりを持つ文化性って、
日本建築のなかのどういう出自を背負っていることなのか、
いつも不思議な思いを感じます。
こういう部分に世界性を表現しようなどと考えるのは
「舶来」に対する強烈な日本人の憧れを表したものでしょう。
茶の湯でも、その茶碗に世界性を求めることが流行した
そういうものと通底するようなことなのでしょうか。

現代の住宅で、こういう日本文化的な部分が
もっと進化していくとしたら、
さて、どういうような領域にこだわりが向かうものか。
いろいろ発想は湧いてくるのですが、
北海道的なとらえ方の世界では、まことに興味をそそられる部分です。


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2009年08月06日

江戸初期の造園

7764.jpg

写真は、先日書いた「皇居東御苑」内の造園の様子です。
江戸初期には兼六園とか、水戸の偕楽園とか
後世に残っていく、名庭園が盛んに造園されていますね。
以前にも、浜離宮についても触れたことがあります。
この江戸城内の造園は、そういった「大名庭園」の流れの中に位置するのでしょうね。
戦国期から江戸初期に掛けては、
盛んな軍事的要請からの土木技術の進展が大きかったのだろうと思っています。
秀吉の出自自体、そういった土木技術の世界をかいま見せる気がします。
墨俣の一夜城などといった故実は、まさにそういう技術の様子を伝えています。
秀吉の中国地方征服過程では、たくさんの土木工事が行われていますね。
播州三木城や、高松城の水没作戦などに象徴されるもの。
たぶん、秀吉というネットワークの中に、こういう土木技術の世界が繋がっていた。
それまでの戦争概念とは一変する土木技術による勝利。
秀吉が織田家のなかでの地位が向上して、軍事予算を自由に裁量できるようになって
こういう作戦が目立つようになる。
まことに軍事が産業の進化を促すのは、鉄砲と鍛冶技術など
枚挙にいとまがありませんが、この戦国の時代に
日本では、巨大に土木技術が隆盛したのでしょう。

で、たぶん、そうした技術で成り立っていた経済構造があり、
それが平和な時代になって、軍事目的から平和目的に変化せざるを得ない時代になって
ひとつの「救済的公共事業」として、
この写真のような公共的庭園が築かれたのではないでしょうか。
まぁ、ちょっと想像力が飛躍しすぎかなぁ(笑)。
現代でも、たとえばアメリカの軍需産業とNASAとの関係であるとか、
そのNASAの規模縮小と、その後の金融技術との関係とか、
このあたりの経済と軍事、政治の結びつきの強さというのは
人の世に切っても切れない関係のような気がするのですね(笑)。

写真は、見立ての滝から水が池に注いでいく側から
見返しているところです。
城内には、日本人よりも圧倒的に海外の方が多くて、
ほとんど日本語を耳にしませんでした。
東京都心に、こういう人工的な自然空間がぽっかりと存在していて、
しかも、それは日本的公の空間であるということ。
いわゆる「パブリック」とはいえない、あいまいな領域であるというあたり、
不思議の国、ニッポンを感じていただくにはピッタリとも言えましょう。


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2009年07月23日

補助金を使った行政

7741.jpg


最近、身の回りで「補助金」に関連した動きが大きい。
ちょっと前までは、こういうことには一切関係がなかったことを思うと
まさにいまの経済状況を良く表していると思う。
民需の側で、たいへん厳しい状況が続いていて、
どうにかして仕事を継続していくのに、
官演出の需要が下支えとして必要があるという点ではその通りだと思う。

しかし、そのプロセスで
手続き的な問題がたいへん煩雑にならざるを得ない現実がある。
どう考えても、行政側とのプロとしての対応テクニックのような部分が必要。
これまで、大きな箱物とか、道路とかの
公共事業の仕事を得るためにゼネコンのような会社が
やらざるを得なかったような複雑な対応が、
一般的な中小企業レベルでもやらなければならなくなってきている。
法の番人であり、執行者でもある官僚機構側としては
まことに当然のことではあると思います。
しかし、「景気対策」ということで出てくるこういう施策が
現場的には、結果として大量の事務作業の山を強いるのでは、
さて、どんなものなのでしょうか。
疑問と感じざるを得ない部分が多々あります。

こういう状況になって、
これまでもこういった官僚機構との対話を継続的に取り組んできているみなさんと
良く接触するようになっています。
国が施策として打ち出すいろいろな「補助金」は
それをどのように活用するのか、について
プロの世界があるのだと言うことなのですね。
そういったプロのみなさんが、
たとえば同じ官僚機構の中の末端にある地方自治体などに
主体的に働きかけたりするのが実態なんだとか。
まぁ、これだけたくさん「補助金」の類があると、整理分類も大変ですね。

政権が交代するとして、
さてこういう状況がどうなっていくものか、
注視していかなければならないと思います。

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2009年07月22日

人間の安定的優良居住条件

7740.jpg


写真は、道東標津町の湿原を流れているポー川。
湿原の中とあってか、大変水量が豊かで、
たっぷりとした流れが、いかにも自然の営みを感じさせてくれる様子。
ここの湿原に対して台地上になった端部に
太古からの人間の営み痕跡があるのです。
旧石器から、アイヌ期まで、ここでは遺跡痕跡が積層しています。
人間の暮らしに不可欠なものは、
現代人のほうが長い歴史の中では特殊だと思われます。
人間の歴史は、何万年ということになるのか知りませんが、
少なくとも、旧石器の1万年前後から考えれば、
ほんの1千年前くらいまでの北海道地域では
こういう「自然条件」のほうが人間生活の基本条件を形成していた。
海が迫っていて、後背には豊かな森が広がっていて
河川がすぐ近くを流れている。
やや高台になっていて、水害の恐れが少ない。
こういった条件が、人間の長い歴史の中では
より普遍性に近いような「安定的居住条件」なのではないだろうかと思う。
その後、農耕社会がはじまって条件が大きく変化していくけれど、
それまではほぼ一貫した条件で人間生活が営まれている。

長期優良住宅、という概念、
福田前総理が打ち出した政策でありますが、
かれが想定していたのは、アメリカの高級住宅地を見てのことだったといいます。
しかし、人間の居住条件って、
その依って立つ経済的条件から無縁ではないと思う。
アメリカの高級住宅街は、近代工業社会での生産活動が一方に成立し、
そういう都市経済基盤というものがあって、その居住ゾーン
というのに過ぎない。
まぁ、そのような居住条件はそれなりの歴史的検証を経てのことだから、
当然のように前提と考えていい、とも言えるのかも知れません。
しかし、どうも納得はしかねる部分があります。
どうも、ああいう長期住宅イメージというものを前提として
本当に考えていっていいものかどうか、
イマイチ、承服しかねる部分があるワケなんですね。
どうなんでしょうか?

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2009年07月15日

日本人の居住環境・長屋

7734.jpg

きのう書いたブログは、結構なみなさんが見てくれたようです。
まぁ、以前から考えていたことなんですが、
自分でもだんだん明確に思うようになってきたのですね。
居住って、その時代時代で、考え方は変わってくるものではある。
今日の「個人・自我」優先の社会が出来上がって
そういうなかでの暮らしと、たとえば江戸期のような社会では違いもある。
しかし、長期的な日本人の居住環境について、
哲学的に論議しなければ、日本の住宅政策など考えられないと思う。
それなのに、せっかく、福田元総理が言い出して
国の施策にもなった「200年住宅」という大切な概念について、
きのう、聞いていた話では、国交省自体、
「なるべく、というか今後は使わないようにしてください」とアナウンスしているという。
おいおい、であります。
確かに、かれら役人さんたちは政治家の言い出したことの整合性を
整えていかなければならないのだから、難しいのはわかるけれど、
キャッチフレーズ的に内外に公表したことについて、
官僚の独断で「やめてください」と「行政指導」していいのかどうか。

むしろ、福田さんはわたし、ものすごくすばらしい慧眼を持っていたと思っています。
今後、住宅への日本人の投資を半減させて
その分、どうしたら「豊かに暮らせるか」みんなで知恵を出し合うというのは
人口減少、経済成長マイナス時代を生き抜く鍵になると思うのです。
まずは安心して気兼ねなく暮らせる優良な長期的資産としての住宅があって、
そこにあまりお金を掛けなくても生きていける、
そういう前提があれば、日本人全体の考え方に「ゆとり」が生まれる。
写真は、江戸期の「長屋暮らし」の間取り図。
基本的には独身者や低所得者には約9畳ほどのスペース。
そのほかに井戸や、井戸端、共同便所などの生活協同装置スペースがあるので、
まぁ、個人的というか、身内的な空間として基本的に9畳だったのですね。
確かに狭いとは思うけれど、
都会生活というのは、銭湯や祭事や催事空間としての神社仏閣といった公共的な空間も多く、
憩う空間は案外たくさんあるのだから、そういう部分まで
不必要に住宅内部に取り込む社会的意味は少ない。
逆に家が狭いと、外に出かけることが増えるはずなので、
「都会的経済循環〜賑わい」という意味では意味も大きい。
そう考えてみると、9尺×3間という空間は、まぁそこそこ調和している。
食べる、寝る、といった基本行為にはそれくらいの広さがあれば充分。
このあたりは、竪穴住居などでもそう大きくは違いがない。
実は、日本人というのは、こういう空間性にくるまれてきたのが基本ではないのか。
現代はあまりにも「肉体的利便性」に重きを置きすぎて
維持するのにも金のかかりすぎる住宅になっているのではないか。
極端ではあるけれど、
どうもこういう部分から、論議を開始しなければ
ほんとうの意味での「日本人の長期的優良住宅」なんて考えられないのではないか。
そのように思えてなりません。


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2009年07月13日

日本の行く末示す住まいの悩み

7718.jpg

さてきのうも連日開催の建築家セミナーであります。
きのうも11名の参加をいただきまして、
個別の相談会も大盛況で盛り上がっておりました。
なかなか終了せず、わたしは最後まではいられませんでした。
まぁ、毎回のことですが、
来場される方はみなさん、住宅についてのさまざまな相談、
悩み事というものを持っています。
本当にそれぞれなので、面白いというか興味深い。

そういうなかで、最近「え、そんなことあるの?」
というような悩み事を聞きました。
ご夫婦はそれぞれ再婚で、2人暮らしなのですが
なんと、住宅が合計で4軒もあって
その内のどれを使って、どれを処分するか賃貸にするか、
悩んでいる、というご相談なのですね。
戸建て住宅が2軒に、マンションが2軒分(2戸分を1戸として利用)。

まぁ、人口減少社会が来ていて、
社会的にも住宅ストックが家庭の数を超えている現実からすると、
相当の大きなレベルで、こういう事態は発生しているかも知れませんね。
人間の数よりも、維持しなければならない住宅の方の数が大きい。
どう考えても、有史以来初めてに近いような悩み事ではないかと
その意味では、人類史的なレベルでの問題なのでしょうか?
それにしても、ちょっと考えられないような悩みが現実化しているのですね。
多くの場合で2世帯住宅というのがなかなかうまくいかなくて、
家族の数だけ分散的に住宅数だけが増えていって、
そういう社会になったところに、
右肩上がりの経済ではなくなった状況が来ている。
それぞれの維持管理だけでも費用が発生してくるけれど、
その費用がなかなか捻出できなくなってきている。
さりとて、マンションはまぁ、なんとか賃貸には回せるけれど、
戸建て住宅の賃貸はなかなか借り手捜しも難しいし、
いったん貸せば、それにともなう維持管理費も出費せざるを得ない。
なかなか、貸す側としての損得勘定で考えると難しい。
そして、ちょっと考えればわかるけれど、
こういう事態はどう考えても今後、どんどん増えていくことが考えられる。
社会の構造が、ストックをどうするか、っていう問題になってきた。
で、更に問題は、そのストック自体が性能レベルに達していないこと。
延命させて利用するには、さらに費用も発生せざるを得ないと言うこと。
なんとも、悩ましい事態が深く静かに進行していると思わざるを得ません。
う〜む、どうなるのでしょうか?

<写真は、深く考え込んでいるサルと、ヒツジの狛犬であります。
仙台市内中心部の先日も書いた大日如来の境内にあります。>

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2009年07月05日

オホーツク文化人の復元住居

7728.jpg

きのうは、以前からの念願であった
「オホーツク文化人」の復元住居を見学に行きました。
っていっても、場所は札幌を遠く離れた標津町です。
札幌からまっすぐ行っても437.4 kmという距離。
おまけにきのうはついうっかり道を間違えたので、都合80kmくらいはオーバー。
ですからゆうに500kmは走らねばなりません。

しかし、北海道という島に住んでいた人間の住居痕跡を
さまざまに探訪してみたいという欲求からすると、
この謎の民、「オホーツク文化人」の住居痕跡は欠かせない。
それが復元されているのは、この道東・北方領土に面している
標津にしかないのですね。
北海道の固有民族といえば、アイヌのひとたちが思い浮かびますが、
歴史的には、アイヌは日本史の側の鎌倉時代くらいから
北海道で優勢になる民族。
それ以前には、石器時代から続く流れがあります。
しかし、そのなかに特異に存在しているのが「オホーツク文化人」。
かれらは300年間くらい日本のヤマト朝廷側でも存在を認識している。
外交や交易関係も記録が残されています。
しかし、どこから来て、どこへ去っていったのか、
まだその全貌は見えてきていない民族なのです。
海獣捕獲の主要文化を持っていて、
たぶん、北東アジア地域から獲物を追って北海道のオホーツク海側に
たどりついて、そこに多くの生活痕跡を残したのでしょう。
かれらの文化の中に、後の民族であるアイヌの「熊送り」にも似た
風習が認められ、アイヌ文化のルーツのひとつとも思われるのですが、
よくわかっていません。
この復元住居はそういったかれらの姿をかいま見せてくれる数少ない痕跡。
竪穴形式ですが、深さが1m以上と深い。
また、外壁や屋根などに、木の構造の上から樹皮をかぶせたりしています。
樹皮は脂分の多い樹種が使われていて
風に対する防御性を高めていると思われますね。
外観はきれいな切妻ですが、
このあたりは、どうであったか、
やや疑問と思います。
立地的には海から湿原地帯を抜けたやや高台に位置しており、
当時の食料獲得方法が海獣や魚類の捕獲であったとすれば、
まさに好適地に、無数の竪穴痕跡が集中しています。
周辺は、こぼれるばかりの瑞々しい緑が生い茂り、
また、ポー川という豊かな水量をたたえる川もあって、
かれらの生活の場が、生き生きと目に浮かんでくるような気がしました。
遺跡周辺には、「熊出没注意」という看板や張り紙があり
すこし、おっかなびっくりの引けた腰つきでしたが(笑)、
なんとか、念願の遺跡を見ることができまして、
ライフワークのワンピースを得ることが出来た次第です。


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2009年07月03日

茶室

7716.jpg

写真は仙台の青葉城近くの緑地に建てられている茶室。
伊達家の由緒があるような建築なのだろうと思います。
日本全国を歩くことが多いのですが、
まぁ、おしなべて本州以南地域では
こういう地域を代表するような茶室建築が遺されている。
たぶん、高級接待場所として
権力者周辺の交際の場所として活用されてきたのだろうと思います。
千利休ばかりでなく、
茶の世界は時の権力者を虜にして
その庇護を得て、その世界観を世に普及させてきた。

茶って、そのそもそもはアジア世界からの輸入。
宗教的な体験を補強するような
というか、宗教概念と一体となった体験をさせることで、
ひとびとの心の中に味わいとともに文化性を注入してきたものでしょう。
そういった背景の中で、
大航海時代の陶器の世界交流みたいなことが相まって
日本独特な「茶道」というような世界が成立したと思います。
一方で、利休さん他、
建築的な美的世界への感受性を発揮する作家たち、
小堀遠州みたいなひとが
一種の建築家として、多くの仕事を後世に残している。
このあたり、歴史的には江戸初期の大名庭園造成ブームというものも
こういう世界の成立に大きくあずかっていたと思われる。

表現行為である以上、
世界観の表現が追求され、
「わびさび」というような世界観を語ったのでしょうね。
芸術性と建築表現が、渾然となった世界だったのでしょう。
戦国期からの武士階級の死生観ともあいまって
こういった精神性が美的感受性とからみあって
この写真のように、独特な茶室表現が全国に広がってきた。
そういう背景の中にあるのでしょうが、
茶室というと、そういった精神性を重視するので
定められた作法通りに作っていくと、
たとえば北海道では、耐えられないほどに寒々しい空間になってしまう。
文化をありがたがるのはいいけれど、
ひたすらに文化のために、堪え忍ぶような空間性になってしまう。
簡素な世界観を語り合うのはいいけれど、
凍え死ぬような場所ではなかなか難しい(笑)。
茶室の世界で、北海道や東北の風土にふさわしい建築デザインについて
論議があったということは聞いたことがない。
どうなんでしょうか。
なんとか半年だけ使える施設として考えよ、
というように考えるべきなんでしょうか。
・・・っていうようなことをいつも考えています。


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2009年07月01日

住宅の評価ってなんだろう?

7725.jpg


写真は先週、仙台で取材した住宅。
ある建築家の設計した住宅ですが、
この建物は、その構造においてきわめて革新的な工法を採用しています。
日本人は、基本的に森の民族であり
木造住宅への志向性がきわめて高い民族です。
そういう民族の住まいを作るとき、
木造の可能性を追求するというのは、ある意味、
きわめて意義が高いということが出来る。
デザインという意味合いからも、その可能性を高めるには
なんといっても、建築工法の進化が大きな革新をもたらす。
この住宅では、板倉工法という工法を実践しています。
いわゆるログハウスは、同じく木の民族である欧米人の作ったモノですが、
わたしたち日本人も、たっぷりの木の質感に包まれた空間を愛してきた。
この板倉工法は、在来木造に比較して
圧倒的な構造的な強さを実現しています。
構造研究家としての筑波大学・安藤教授の研究成果の賜物なのです。
写真正面左側の壁は、一見、羽目板のようですが、
そうではなく、厚さ3cmほどの板を軸間に「落とし込んで」、
さらにその背面側から木で補強して、強固な「壁面」を実現しているのです。
ツーバイフォー以上の構造強度を実現する日本のオリジナル工法なのですね。
で、この家の設計者の佐々木さんは、
こういう木材量では、在来工法の3倍近い高密度の木造を
さまざまな工夫を積み重ねることで、
一般的に入手可能なレベルの価格で実現させてきています。
自然素材だけを使って、いかに高性能な住宅を実現するか、
こだわりを持って、住宅建築に取り組んできているのですね。

しかし、ことデザインという意味合いでは、
最近の「シンプルモダン」全盛のデザイン感覚の人たちからすると
やたら木質が重厚で、やや鈍重にも見えてくる、
ということから、評価が高いとは言えない。
意味不明なシンプルモダン系の住宅の薄っぺらさが気になるなかでは
まさに正調な、こういう木造構造にも踏み込んだ試みは
一服の清涼剤ではないかと思うのですが、
まぁ、なかなか、理解されにくいのですね。
でも、ディテールの真剣で詳細な検討ぶりなど、
きわめて密度の高い空間だと思えてなりません。

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2009年06月28日

海辺の白い家

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ほぼ真夏のような陽気が続いていますね。
きのうは、仙台および近郊で住宅取材でした。
写真は、七ヶ浜の海辺の住宅の様子です。
漁家の娘さん夫婦が、生家の敷地内に建てたという住宅です。
立地としては、まさに海に向かって開かれている眺望が最大のコンセプト。

七ヶ浜というのは、
多島海である松島などと同じような成り立ちのようで、
地域全体が、島のようでもあります。
入り江も入り組んでいて、この写真のように対岸側もごく近い。
敷地は海に対して東側が面している。
取材に伺った午後からは、海側から見るとやや逆光。
そういう立地背景のなかに、白い外観が海から眺望できます。
海が仕事場であるお父さんは、
娘夫婦や可愛い孫のありかがすぐにわかるようになっている。

宮城県内や、東北全体でも感じているのですが、
北海道で住宅取材をしているときに比べて
圧倒的に地域景観との対話型の設計スタイルが感じられない。
北海道では、豊かな自然景観が都市の中でも発見できるよろこびがあるけれど
東北ではそのような暮らしへの積極的な楽しみ方のスタイルがやや感じられない。
伝統的な住宅建築のスタイルの中にそういう部分が少ないのでしょうか。
逆に北海道では、たとえば二間続きの和室、というような
生活習慣的な親戚関係を前提としているライフスタイルが薄くしか存在せず、
一方で、風景とのふれあい、景観の中で楽しむという
そういう開放的な住宅づくりが行われているとも言える。
そんなことから、なんとなく「北海道スタイル」とでも言えるものがある気がします。
そんな思いをしている中で、
こういう直接的な生活表現欲求をもった建て主さんというのも出てきた。
「わたしはこんな暮らし方がしたい」という
メッセージ性が訪れるものにシンプルに伝わってくる。
この土地らしい暮らし方が明快で、
まことに素直に建てられている住宅だと思います。

暑い一日、
こんな住まいの取材で、たいへん気持ちがスッキリとして
清涼感に満たされたような印象を感じておりました。

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2009年06月25日

家の長期存続に不可欠なもの

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最近は、国からの補助金政策があれも、これも、
という感じで、景気対策としてずいぶんと使われています。
ひたすら土木や道路といった利権が一部に集中するような使い方からすれば
まぁ、マシではあるとも言えるのですが、
いろいろな概念の押しつけとも思えるようなこともあります。
いま、盛んに言われている「長期優良住宅」という概念もそのひとつ。

そもそも、長期優良住宅という概念は
前の総理大臣の福田さんが、海外生活が永くて
アメリカの住宅地を見ていて、感じていたことを政策化したもの。
その趣旨自体は、全然正しい認識といえるのですが、
いざ、法として整備されてくると、
どうもクエスチョンの付くようなものが入ってくることになる。
やれ耐震等級だとか、っていうような、
これまでの法律との整合性を盛り込んでくることになるので、
建築の自由度を制限するような方向になってくる。

そういうことはまだいいのですが、
さて、そのように細い構造材に金物でがんがん補強を入れた建築で
床面積も40坪程度の住宅で、長期優良です、
っていうようになっているのですね。
でも、実際に200年、300年建ち続けてきている住宅も
日本にはたくさんあるのです。
地域の暮らしに根ざした大型農家住宅がそれですね。
いわゆる古民家と、一般的に認識されている建築です。
で、このような「長期優良住宅」論議のなかで
ほぼまったく論議されていないのが、その長期継続性の精神性の部分。
「ひとびとは、どうしたら永く家に住み続けるのか」
ということがらですね。
国の政策ではありながら、こういう文化的なというか、哲学的なというか、
そういう視点が提起されることはまず、ない。
でも、実際に古民家を訪れると、一様に
写真のような神棚が家の真ん中、神聖空間に鎮座し、
先祖への礼拝空間も美しく飾られている。
そういう「継続性」への文化こそが、
ひとびとに住空間を大切に保持していこう
という意識を生み出す最大のものであることが自明です。
それは日本人の生きて繋がっていくこと、継続性への自然な姿。
ひるがえって、生産活動の手段のない、生活装置だけの住宅が
そこまで長期にあり続けていくのか、疑問を感じざるを得ない。
ことは宗教的な部分まで及んでくるので、
確かに現代国家の政策テーマには難しい側面を持っているけれど、
逆にそういう哲学論議を持つことなく、
「景気対策」というようなことで、安易に価値判断していいのかどうか、
いつも迷いを持って感じてきている次第です。
みなさん、いかが感じられるでしょうか?

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2009年06月08日

昔のアイロン

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呉服といわれる服飾は
相当長きにわたって日本人の美的感受性の中心にあったと思います。
そういう衣装を「仕立てる」道具って、でもあんまり見たことがなかった。
写真は先日、上ノ国の旧家で見かけた道具類。
で、なんとも面白かったのが
写真左下にあるもの。
これって昔の「アイロン」なんだそうです。
アイロンって、大体その語源からして、アイアンでしょうから
その言葉を独占的にひとつの器具が独占したこと自体
いかに服飾、とくに和服仕立てにおいて
日本人の暮らしに根付いたものだったことを表している。
で、この器具は先っぽの円筒状部分に炭火を入れて
熱を伝えやすい鉄の性質を活かして
それで衣服のシワを伸ばしたりする用途に使われたそうです。
また、右側のコテのような形状のものは
直接暖めて、より細かい部分を仕立てるものなんだそうです。
両方で、現代の「アイロン」の役割を果たしていたものだそうです。
興味があったので、Wikipediaで調べてみると

炭火アイロン

日本では金属製の片手鍋のような容器に炭火を入れ、この熱と容器の重みで布の皺をのばす火のしが 中国から伝わり江戸時代中頃から昭和30年頃まで使われていた。
明治時代になると、西洋より炭火アイロンが入ってきて広く普及した。 炭火アイロン、あるいは火のしは中の炭がはじけて火の粉が飛び散り、布を焦がす心配があるが、日本では良質の木炭が生産されていたので、さほど問題にならなかった。
西洋では布を焦がす問題から、中に炭を入れないこて(鏝)形のアイロンも広く使われた。 これは、石、鉄、銅等で制作され、使用する時はアイロンストーブと言われる専用のストーブの上及び周囲に乗せて加熱するもので、火の粉の心配は無い。
後に、電気式のアイロンに移行する。なお、現在では家庭用にはコードレス方式やスチーム機能付のものも多い。

っていうような説明なのだそうです。
こんなふうに「仕立てる」というような技術も
それこそ、日本中に職人的な手業として継承されてきていたものでしょう。
いまの時代、このような手業の文化は否定される方向が明確ですね。
で、一度文化が消滅すると、
二度とその技術が復元されることが少ない。
手間暇を掛けてきたこういう手業の文化、
たとえば建築の世界でも消滅しそうな分野って多い。
こういう道具ひとつ見ても味わい深い文化が
綺麗さっぱりと消えていることに、ため息が出る思いですね。


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2009年06月05日

本日、札幌で新住協総会開催

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きのうは札幌に全国から210人の方々が集結。
このブログでもよく取り上げている「新住協」の総会参加のみなさんです。
前夜祭からすでに大変な盛り上がりで、
座る場所がないというような状況です。
本日9時半から総会が始まるのですが、当日地元から参加される方たちも
合流してくると、会場がすし詰めになるのではないかと
前夜祭の会場でもあいさつのなかで危惧する声が聞かれました。

わが社では、「エコ住宅Q1.0」の発行などを通して
全国のメンバーのみなさんと顔見知りの方が多く、
会場のあちこちで、旧交を温めさせていただきました。
昨年ことしと、新住協の活動がベースになった高性能住宅技術が
国の長期優良モデル事業のまさに骨格部分を形成している
ものとして、クローズアップされてきていると思います。
そういうなかでQ1.0住宅を建てられる技術を持ったビルダーが
さまざまな場所で大きな役割を発揮しています。

きのうはまぁ、北海道にようこそ、
というようなブレークダウンのミーティング(笑)。
屈託のない交流で、楽しい時間を過ごさせていただきました。
本日の総会参加での体調が
あんまりひどくならないように(笑)、セーブしながら
でも結局、12時過ぎまで帰宅がずれ込んでおりました。
会場で座る場所を確保できるかどうか、
早めに出かけたいのですが、
全国から来られるみなさんに、札幌のいちばんいい季節を満喫していただいて
またしっかり、高性能住宅の最新情報を交流していただきたいですね。
ということで、本日も頑張っていきたいと思います。
本日は総会・懇親会で、
あすは一般市民にも公開される「市民セミナー」も開催。
詳しくはリプランHPにもバナー掲載されています。
ぜひ多くのみなさんの参加を期待しています。


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2009年06月04日

北海道R住宅、本格離陸!

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きのうは札幌市内中心部で、
合計3つの会議が集中いたしまいした。
午前中が「北海道R住宅」の事業者協議会。
午後からは新築の方の「北方型ECO」のほうの2件の会議です。
いずれも長期優良住宅先導的モデル事業の採択を受けてのもの。
とくに「北海道R住宅」のほうは、わたしもメンバーとして
いろいろ、事業者幹事さんの人選とか関与が大きくなっていますので
次第の進行に関与しております。
この事業は、はじめ北海道の諮問委員会的なものが
3年間の論議を行ってきたものが
その後、国交省の支援を受けて全額国費補助を受けて1年間引き継がれてきたもの。
今年度、国の先導的モデル事業に事業採択され、
なんと、事業総枠が申請通り満額回答されたというものです。

「性能向上」型のリフォームというものが
なかなか社会的に認識が深まらず、マーケットの構築が見えてこない中で、
まさに「先導的」なかたちで、社会にそういう事業を広めようという壮大な企画。
こういう事業に対して、国の補助金が認められた意義は大きいし、
また、こういった指向に賛同を示してくれた各事業者さんの
たくさんの(70社)参加を得られたことはまことに心強い。
まぁ、しかし、なにせ世間にそう大きく需要が転がっているという
そういうビジネス分野ではないだけに、
みんなで創造していく、というタイプの事業領域になっていくものでしょう。
この国の補助金という大きなバックアップを活かして、
「性能向上リフォーム」という概念を世間に訴求していきたいと考えています。

まずは各事業者さんからの要望戸数を確認して
それに割り振って、現状ではまだあまりがある。
今後、それをどのように配分して、実を上げていくか、
なんとか、総枠185戸分相当、国費2億4000万円あまりを有効に使って
北海道から住宅の高寿命化、高性能化の
先鞭を付けるような事業構築を実現させていきたいものと考えています。

なんですが、論議し、方向を生み出していかなければならない事柄も
まことに多く、これからも難題は山積しています。
ひとつひとつ解決させていくように頑張っていかなければなりません。


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2009年05月15日

官僚機構とロビー活動

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住宅の政策って、これまでは
企業育成的な、たとえば「ハウス55」政策のような
大量生産をするための政策誘導という側面が大きかったと思います。
っていっても、多くのみなさんはなじみがないと思います。
戦後の高度成長期に、日本の産業政策が国際競争力の強化
大企業の育成という「経済成長」追求型の政策誘導だった時期に、
地方から大量に「大企業従業員」を大都市に集中させる必要があり、
そのかれらのために、「東京で家を建てる」という目標を
人生の大きな目標として持たせる政策誘導を行った。
そのときに、同時に住宅業界にも「大企業」を創出しようと取り組んだ政策が
「ハウス55」政策だったと言われます。
大工工務店の伝統的住宅生産システムでは
このような社会が要求するレベルの大量の住宅生産は不可能であり、
それを可能にするには、住宅生産のプレファブ化が必要。
そういう提案に対して、補助金を出したり、政策優遇することで
骨格的な「住宅業界」が形成されてきたのは、否めない事実だったのですね。
良くも悪くも、やはり、日本の場合、政府の政策誘導が産業にとって決定的であった。

そのような産業政策の中で、
驚くことに、ついこの間まで、
まともに「工務店の立場」からの住宅政策への提言というのは、ほぼなかった。
官僚機構側としては、
政策立案のアドバイザーとしての学者さんたちや、
産業界代表としての大手ハウスメーカー、およびそれが主導する業界団体、
さらには、素材生産のメーカーおよび、その業界団体などとは
人脈的にも多くの絡まり合いがあり、
いわば、住宅政策の進路方向検討の「ロビー」団体として活用できていた。
しかし零細な工務店には、そういう活性化した業界ロビー団体がなかった。
いまでこそ、「全建連」という眠っていたような団体が
活性化してきて、工務店側の「物申す」団体になってきたけれど、
これまで実に長い期間、本当になかったのだと言うことです。
このことは、工務店業界団体側からも、
官僚機構側からもヒアリングしているので、
おおむね間違いがありません。

このような経緯に対して、
今後の、よりよき業界環境、目指すべき住宅の姿を
国の政策に反映させていく活動は、やはり必要不可欠だと思います。
地域住宅雑誌として、多少なりとも
こういう事柄についても、情報収集と関与をする必要はある。
そういうなかから、いろいろなものが明確になってくると考えています。
<写真は文章と無関係。住宅に似合う日除けです>

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2009年05月13日

地域工務店の存在意義

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きのうは仙台で、山本里見さんとの対談取材。
次号・東北版Replan誌面での企画です。
本誌も、地域工務店の重要性について、大きな関心を持っていますが、
山本里見さんは東北仙台を拠点にしながら、
地域工務店の情報共有・経営的な協力体制の構築に
精力的に関わって来られています。
そういうことから、誌面企画で対談させていただいた次第。

お話しの中心は、
「住環境研究」とでもいえるような事柄についてでした。
建築という領域は存在するけれど、
肝心の、その中での暮らし場面での「居住環境性能」について
人間主体のスタンスで提言してきているのは少ない。
どうしても、建築や構造に論点がいってしまって、
そこで暮らし始めたときに決定的な「ユーザー視点」が
見失われがちになってしまう現状を指摘していました。
その意味で、地域に暮らして、そこでの気候風土を
一ユーザーとしても体感し続けている
地域工務店という存在は、逃げも隠れもせずに
その地域のために、その地域での暮らしに灯台のように
道を照らし続ける存在でなければならないのでしょう。
もし、そういう存在が経営的に行き詰まって
存在し続けられなくなったら、その地域は確実に損失になる。
住宅というものづくりの、地域におけるセンター機能を持っているのですね。

そのような活動を10年以上続けてこられて
年に一度の「健康住宅サミット」も毎回成功させてきています。
ちょうど、北海道ではアース21という団体が活動を活発化させていますが、
基本的には、理念を共有していると思います。
工務店の横のつながりというのは、これまでは
特定のメーカーが主導するようななんとか工法のグループが多く、
本来の工務店主体の活動とは言い切れなかった。
そういうなかで、本格的な工務店のための自主的な活動、
今後も、大いに広がっていくべきものと感じています。
<写真は仙台の楽天の球場>


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2009年04月23日

レース手芸の奥行き

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先日の仙台市内での住宅撮影の時に
ふと見かけた壁面を飾っていたレースの手芸品。
つい、見とれていましたら、
「これは奥さんの手作りなんですよ」ということ。
って、絶句いたしました。
この作品は全部が白い糸で編み上げて作られているモノ。
たしかに細かいけれど、一部は太い糸とも見られる部分がある。
それと細い糸の部分があって、それだけでも精密。
この太い方は、細い糸をロープ状に巻き上げて作っているのだそうです。
このデザインの場合、細かい円状をひとつひとつ造作し、
それらを全体として、再構成していって作り上げるのだそうです。
大変細かい作業になるので、
大きな作業用のレンズを使ったり、
手元を大きな光量で明るくして、作業性を高める必要もあるのだとか。
いずれにせよ、まことに根気のいる作業のようで、
「えぇ、この作品は1年くらいはかかりました(笑)」
「え・・・・」
っていうような作業時間。
しかし、こういう「人間の手業」だけで作られるモノ、って、
直感的にあきらかに雰囲気が違う、と思わせられるものでもあります。
こういう形状自体は、たとえばビニール製品などで
見ることができますが、その形だけは巧妙にまねは出来ても
この質感とか、たたずまいとか、雰囲気とか、
人間がこころで感受する部分は、どうやっても真似は出来ない。

結局人間は、人間でしか、感動させられない
みたいな、奥行きのあるインテリアの世界があると思います。
ひとを寛がせることの力、のようなもの。
それは最後は、こういう手業の部分に究極的にはたどりつくのではないか。
きわめてシンプルな、素材としての白い木綿糸が
こういう深く広がりのある印象をもたらせてしまうのですね。
やはり本物の持つ力は、凄いものがある。

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2009年04月22日

既存不適格

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小樽の市内にいまも、こんな建物が残されています。
写真は、たぶん、推定するに店舗建築だった建物。
50年以上は経っているように思いますが、木造で3階建て。
もちろん、現状では「既存不適格」な建物と言うことになるでしょう。
建築当時は、なんとか、決まりをクリアしている建物だったのかも知れませんが、
いまとなっては、まったく規則から逸脱している。
で、「歴史的建造物」とまではならない。
しかし、それが存在するだけで、街の記憶につながっているような建物。
案外、こういう建築って、古い町には多く残っています。

こういう建物って、
デザインって言うことでは、面白い味を出してもいる。
中折れ屋根(マンサード)と、正面外観がなかなか調和しています。
商業店舗としては、まぁ、目立ったのでしょうか。
小樽という街は、いまではすっかり観光都市になっていますが、
札幌が発展する前には、その母体となってくれた街。
本州地域との船による物資の輸送、移民船の受け入れ港などの
北海道開拓期のもっとも重要な都市だったのです。
活発な商業資本の蓄積が見られ、
その後、この街で貯えられた資金がほかの北海道地域の開拓の元手になっていった。
そういう時代を記憶にとどめるような装置群が
運河沿いの石造倉庫たちであり、
「北のウォール街」といわれた目抜き通りの様子なんですね。
そういうなかに、まるで時代の記憶そのままにピンナップしているような建物。

建築の基準というのは、どんどん変わっていきます。
ことしの秋には、瑕疵担保法が施行され、
建築事業者は、保険加入が義務づけられるようになります。
しかし、制度は順調にいくものとは限らない。
とくに近年の国交省の打ち出すさまざまな制度は、
どうも、業界構造を必ずしも良くする方向に行っているとは思えないものも多い。
どんどん、「既存不適格」物件が増えていくだけで、
ほんとうに豊かな住宅建築・街並みが形成されてきているのか、
疑問に感じざるを得ないことも多いようです。

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2009年04月21日

住宅視察案内

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当社が東北でも事業を展開する中で、
温暖地域のみなさんの北海道住宅視察をアレンジすることが増えています。
きのう・おとといと、今度は新潟県からの来訪。
北海道は住宅性能では日本最先端地域、という認識が広がり、
そういう地域の業界動向が、いわばアンテナ的に未来予測の要素を持っていると
考えられる見方が、多くの住宅関係者に高まってきている。
現実に、「超長期住宅」の実施について、
北海道は100%の実現率だったのに対して
ほかの地域では、予算の未消化が発生してしまったようです。

住宅性能は、それだけの問題ではなく、
当然、デザインというものにも大きな影響を与えていくもの。
きのうも訪れた最後の住宅では、木製サッシと換気の問題にポイントが集中。
機能性と性能の問題が、デザインを
必然的に規定している点をクローズアップした次第。
いずれにせよ、住宅性能を基本的に満たしながら、
ユーザーの生活デザインにどのような提案を行っていけるのか、
北海道は、革新的にこういう領域を探求していると言える。
寒冷地の住宅デザインが、環境問題とか、省エネルギーへの
具体的なライフスタイルの提案というところまで高めて行ければ、
っていうように考えています。

意見交換をいろいろにさせてもらいましたが、
やはり、ビジネスの情報という面では、
本州地域のみなさんの情報力には深く教えられる部分が多い。
さまざまなビジネスの核心的な情報が、ひとの言葉で教えられるというのは
たいへん有意義で、勉強になる部分です。
北海道は、そういう意味では島国であり、
どこかのんびりとした鈍感さを持ってもいると思います。
こういった部分はやはり大きく教えていただきながら、
お互いの地域の住宅がもっと良くなっていくように交流を深めたいところですね。

きのうもおとといも、気持ちのいい晴天が続いて、
屋外の住宅視察でしたので、
帰ってきたら、なんと顔が日焼けしておりました(笑)。
わたし、どっちかというと色白でして、
どうもこの時期、ふと気付くと顔がほてっている、と言うことが多い。
案外、この時期の日射の方がきついんですよね。
まぁ、春がどんどん進んでいる感じで、いいですね〜。

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2009年04月17日

居間と大型テレビ

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最近、っていうか、ここ5〜6年でしょうか、
テレビがどんどん大型になっていく傾向にありますね。
デジタル化が呼び水になってか、
テレビの買い換え需要を起こそうという人為的なキャンペーンの臭いを感じましたが、
ここまで一般化してくれば、まぁ、長いものには巻かれろしかない。
なんですが、こういうことが住宅プランに影響を与えていることも否めない事実。
そんなあたりを、ユーザーにも知ってもらいたいと言うことで、
ビルダーさんたちに、そのことについての意見を求めました。

そうすると、さすがに毎日、そうしたユーザーの声に接しているからか、
さまざまな意見、感想を得ることが出来て、有意義でした。
大型テレビは、大体が大きな黒い物体なので、
そういう物体がリビングに独占的に存在するようになると
いろいろ、住宅の方で変わってこなければならなくなる。
40型以上になると、画面からのセットバック距離が4mを推奨してくるのだそうです。
4mって、すごい面積ですよね。
単純にソファに座って視聴するとして
ソファが移動動線空間も含めれば3m相当とすれば、
実に12平米、坪に直せば、約4坪・8畳間相当を空けろ、っていうわけ。
当然、その他にもリビングの機能は必要なわけですから
テレビによって、居間はものすごく大きな面積を必要とするようになってきた。
でも、テレビって、いまや個人単位での視聴が主になってきている。
単純に、テレビの主要なコンテンツって、
子どもくらいしか、見ていないのではないか。
居間のテレビとその空間は巨大化しているけれど
その内実としての「家族の団らん」は充実してきているのか、
って考えたら、どうもコスト換算で考えて
間尺にあっているのかどうかは、考え物というのが実態のようです。

居間から、周辺の眺望や庭の景色を楽しむ、というのが
設計プラン上の当たり前の要素なので、
大きな開口を設けて、そういう位置に主要な「いごこち装置」・ソファを
配置するのが普通一般的だった。
テレビはそういうプランの補助としてこれまで考えてきたのが、
どうしても、メインにしなければならなくなってくる。
極端な話、せっかく2面に周辺環境との親和を考えた窓を開けても、
主要な壁を背景としたテレビの側にソファが置かれて、
窓に対して、背中側になってくる、というケースも増えてきている。
このあたり、景色を楽しむとか、自然と親しむという
そういう楽しみがあらかじめ不可能になっている地域のライフデザインが
全国に、あるいは全世界に押しつけられていっているような
そんな危機意識を感じざるを得ない部分もあるのです。

さて、みなさん、いかがお考えでしょうかね。

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2009年04月15日

工務店ネットワークという概念

7642.jpg

地域に存在する工務店という業態は、
たいへん、ユニークな存在だと思います。
よく「地域の製造業」という言い方をしますが、
結局「生産活動」というのは、人間の結合体が行っていくもの。
住宅の生産というのは、その地域の気候風土を知り尽くした存在が、
地域の住民の立場に立って作っていくのが自然。
確かに大手ハウスメーカーが全部、住宅を受注することは出来るでしょうが、
メンテナンスにきめ細かく対応など出来るわけがないし、
全国一律の住宅が、各地域の実情に似合うわけもない。
さらに、こういう存在がなくなってしまうと、
地域でモノを作っていく、という基本的な部分が喪失してしまうことを意味する。
技術って言うのは、仕事がなくなると簡単に消えてしまう。
それを再生しようとすると、大変な熱意と努力が必要になる。
地域の中に、木材を扱う専門家から、
左官を扱う専門家、建具を扱う専門家、などなど、
一連の「製造業システム」がきちんと存在するということの意義はきわめて大きい。

しかし、一方で
家を頼むユーザーの側も、定住性という部分では
どこまで地域にこだわり続けられるのか?
という問題点も大きくなってきていると言える。
国の推し進めてきている、既存ストックの向上政策では、
長期にわたっての優良性を確保できる住宅ということが
目指されているけれど、
肝心のユーザーの側からすれば、
そんなに長く持ってしまう住宅だと、相続を受ける側の人間が困ってしまう、
っていうような悩ましさすらも出てくる。
その地域に「ずっと住む」ということについて、
前時代のような社会的共通認識自体が希薄になってきている。
まぁ、確かに、であるからこそ、価値の流動性を担保する
住宅流通が活発化しなければならない、という部分もある。
優良な住宅が、きちんと評価されて流通させられれば、
社会的な資産として、多くの人が価値観を認められると言うこと。
この両方の論議の谷間で、
じゃぁ、実際にそういう住宅を造っていく存在は、と考えれば
「家守」とでも言えるような社会的存在としての
地域工務店というものの重要性が増してくると思う。

きのうから、北海道を中心とする地域工務店ネットワーク
アース21の総会が開かれています。
ことしは、ずいぶんと盛大な会になっていてびっくり。
総勢60人からの会合になっているのです。
地域工務店だからこそ、情報を共有するネットワーク活動が大切なのだと思います。
活発で、内容の深い論議が戦わされる会なので
毎回楽しみに参加してきています。
そのうえ、本日はいろいろと座談会などの企画もあるので、大忙し。
掛け持ち日程ですが、なんとか頑張りたいと思います。ふ〜〜〜。

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2009年04月11日

開口部ユニット

7638.jpg


きのうは仙台で、「東北住宅大賞」の大賞と優秀賞の2作品を取材。
そのうち誌面で発表する予定です。
本日ご紹介するのは、その内の1作品の内部。
いろいろ変わった取り組みをしていましたが、
とてもユニークだなと思ったのが、「開口部ユニット」的な部分。
どちらの居室にも写真左手のようなユニットが装置されています。
これは上下にガラスが嵌め込まれて、
その真ん中に収納と、換気用の開閉装置がついているもの。
完全に造作で、しかも断熱や気密仕様は考慮されていないのですが、
考え方としては、たしかに面白い試み。
窓の考え方として、一般的に外部の通行者からの視線の高さについては
収納装置部分でシャットアウトして
明かり取りと、視線のないレベルの高さにガラスの窓を作っている。
たとえばこの居室は和室で、夫婦寝室として使用していますが、
座った視線の開放感は実現しながら、外部の視線はカットされ、
外を歩く人の足元が見られる程度になっています。
収納部分の奥には開閉できる部分があり、
網戸もあらかじめ仕込まれていて、換気の用途に使われている。
金物とか、密閉性のレベルとかは課題ですが、
開口部の用途を検討して、面白い結論に至ったものだなと思われました。
こういう考え方自体は、すでに高性能木製窓では作られていますので、
まったく新奇性というのではないのですが、
壁の要素、収納の要素も持たせようという考え方はユニーク。
ただし、現状ではまだ、一般的な使用レベルには達していないと思いました。
これから大いに試行錯誤、研究を重ねて面白い
開口部ユニットが生まれてきたら楽しいですね。

仙台はきのうはものすごく気温が上昇。
上着を着るのは辛いほどの陽気で、一気に花見本番だったことでしょうね。
取材2件を片付けたあと、
盛岡からのお客さんと打ち合わせしてから、
3日間の日程を終えて、最終便で札幌へ帰還。
さすがに空港ロビーでもついうたた寝してしまいまして、
気がついたら、みんなが飛行機に乗り込みおわるころ。
どうも最終便というのは、こういうケースが多い。
一回、この調子では、空港で寝過ごすと言うことが起こりそうです(笑)。
飛行機の中のことはまったく覚えていない。
ほとんど気絶ですね。
ということで、札幌到着。仙台とは打って変わって、
これは雪が降ってくるかも、っていうような身も凍える寒さが迎えてくれました(笑)。

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2009年04月06日

北海道栗山・小林酒造本社

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小林酒造って言うのは、北海道の地酒・北の錦を製造している
蔵元で、酒造業で北海道を代表する存在。
栗山にある本社、レンガ倉庫は、建築としても保存対象になっている。
初代の方が北海道に来たときは、
札幌に店を構え、その後、前途有望と目された栗山町に本社をお移転したのだそうです。
それはたぶん、空知一帯の産炭地を後背に持ち、
その集散基地としての交通の要衝、という意味合いだったと推測できます。
また、日本酒の消費地としても
炭鉱労働者が集まる夕張地域への物流に有利という読みがあったのでしょう。

現存している元・本社事務所建築はちょっとした博物館の様相。
建物自体も、戦後すぐに進駐軍が接収して使っていたということにわかるように
洋館風の建築で、重厚感があるたたずまい。
明治の時代、こういうデザインの建築が日本各地で建てられていますが、
外来文化を摂取することに積極的な日本人の性格を表していると思います。
考えてみると、日本の建築というのは、
奈良期の大々的な仏教と律令国家体制の中国からの受容期から
海外の建築を模倣することが続いてきたのでしょうね。
そういうなかから、やがてそのエッセンスに「日本的」といえる
風合いが加味されてきたのが、根付いてきた。
もちろん、縄文の三内丸山とか、出雲大社などの
大型木造建築の文化自体はこの列島にはあったけれど、
思想と一体の、いわば文明としては、そういう外来が基本だったのでしょう。

北海道という、明治になって日本が着目した地域に
たとえば、北海道庁旧本庁舎・赤煉瓦や、
北米合理的木造建築のプラットフォーム工法の時計台という
国が目指そうと考えた欧米思想を体現する建築を建てたのは、
そういう流れから、自然だと思います。
しかし、日本酒の会社の本社建物としては
たとえば、秋田県で訪れた建築と比べて、やはり異質。
コンクリート建築であるということですが、
まことに北海道らしい、屈託のない蔵元建築ですね。
内部には、腰壁にタイルが貼られたりしていて、
素晴らしく重厚な空間になっています。
1階は、大きくスパンが飛んでいる大空間。2階は、各室がそれぞれ配置されています。
2階は、GHQによる簡易裁判などの法廷としても使われたとか。
広間のような空間では、
新酒が出来上がったときの祝宴の雰囲気が再現されています。
2つに別れた据え膳、大皿が所狭しと並べられ、
酒、というものがいかに大きな経済的存在であったかが偲ばれます。
物流がそれほど活発でなかった時代、
その地域に酒を提供する蔵元というのは、
独占的な資本家の代表のようなものだったことでしょう。
記録写真には、税務署役人さんたちとの記念写真の類がありましたが、
酒に掛ける税金の主要納入者としても
地域の蔵元というのは、相当の経済的存在だったのでしょう。

休日の一日、
春の天気に誘われて、高速代半額と言うことで(笑)、
カミさんと足を伸ばしてみた次第です。
もうちょっと、書いてみることもありますので、明日以降も触れたいと思います。

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2009年03月21日

第1回建築家住宅バス見学会

7622.jpg


きのうは第1回建築家住宅バス見学会。
北のくらしデザインセンターの大きなイベントとして
セミナー・相談会とは別に
実際の住宅を見に行くツアーというのを
以前から計画していまして、ようやく実現できたもの。
朝、9時札幌市中心部のテレビ塔前に集合して、夕方4時半くらいまで、
札幌市内の住宅全8件を巡り歩くツアーです。
初めての試みと言うことで、参加者は全17名。
わたし自身もほとんどが初めて見学する住宅ということで、
大変興味深く、楽しみながら、参加者のみなさんと
いろいろお話ししておりました。

それぞれが個性的で、世界にふたつとない住宅ばかり。
コストもそれぞれ、まったく違っています。
また建築家もそれぞれ、個性が異なっていて、
まったく独自の価値観・デザイン感覚が展開しています。
ただし、建てられている敷地は、札幌の西側の宮の森や円山・界川といった
高台敷地で、緑の環境が得られやすい地域が多かったのが特徴的。
まったくの平坦地というのは1件だけでしたね。
で、その1軒の家も川縁という条件。
やはり、敷地選びから、個性的な「暮らし方」ということに
強い興味を持っている方たちが多いという感じがしますね。

札幌って、全国のどの都市よりも
そういう意味ではまだまだ、自然を感受できる環境が、
さまざまに残されていて、
「こんな暮らし方が出来るんだ」という発見ができる街。
全国で建てられている建築家住宅が、どちらかといえば、
自閉的で、周辺に対して無機質になっていて、
そういう無表情さが、かっこいい、っていうように
誤解が進んでいるように思われる中では、
きわめて特徴的に、周辺との関係性に重要なテーマ性を持っていると感じます。

このあたり、なんと表現していいかわからないけれど、
札幌に暮らすっていうことが好きになるような家づくりがある、っていうことか。
逆に言うと、それ以外のところでは、
どうもそのような「地域性」というものが感じられないデザインが多い。
シンプルな箱に、どんどん、還元されていて
そういう意味では、「デザイン」というものに近づいていて、
「家づくり」という、こころの襞を感じる部分がなくなっているように感じる次第。
わたし自身も、札幌を離れていろいろな住宅を見て歩くことも多く、
久しぶりに札幌の家を集中して見ることで、気付く部分ですね。

っていうようなことで、
バス見学会、第1回が終了いたしました。
けっこうなボリュームで見て回ったので、さてみなさん、
どのような感想を持っていただけたか、
でも、帰り際、みなさん、ちょっと疲れてはいたけれど、
楽しそうな笑顔を見せていただけたので、
すこしはお役に立てたかも知れません。
また、時期を見てやりたいと考えています。
別に建築家に家を頼む方以外でも、凄く参考になることは保証します。
家を建てる計画を思い立ったら、
ぜひ、こういう機会、大いにご利用ください。

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2009年03月19日

内装選択の楽しみ

7620.jpg

マンションのリフォーム、
コーディネートをしております。
実際に行うリフォームの内容に沿って、
ユーザー側と施工者側の両方の視点で、いろいろと考えてみている次第。
こうやって見ていると、いろいろなことに気付きます。

ユーザー側からすると、
まずは経済的な自分の「身の丈」を計る、という辛い作業がある。
でも、ここの部分はそのあとの生活設計から考えて
やはり無理がなくて、現実性が高いものでなければならないのは大前提。
現状のような経済状況の中でも、
やはり底堅い実需の住宅需要というものが存在している実感はある。
衣食住というくらいで、この需要は根底的なんですね。
ただし現在は、その実需ラインは相当に下がったラインのような気がします。
そういう現状のなかで、でもどうやったら、
「楽しい提案」ができるのか、っていうのが試されている。
そんな気がしますね。

まぁ、たまたま、ゆりかごからお終いまで計画から工事まで
ずっと関わることになるのです。
で、ちょうど内装の床材の選択にたどりついて
そのカタログサンプルをお届けして、
見てもらっているところ。
やはりユーザー側からすると、こういう
直接自分の毎日の暮らしに影響してくる部分って、興味は高い。
当然コストのことはあるのだけれど、
そのなかでも、具体的にイメージできる部分にはこだわりも持ちたいだろう、
っていうことなのですね。
まぁ、自分自身も家づくりは何回か経験はしているのですが、
とくにマンションのリフォームっていう限定の中では、
こうした床材選択というのは重要度が高まる。
家を新築すると言うことなら、
そのほかにも考えるべき事柄が多すぎて、
つい重視はしないような部分だけれど、やはり大きくなる。
コストと騒音などの対策からカーペットになるのですが、
カタログ見本帳っていっても、かなりかさばるもの(!)。
デザイン・色合いともバラエティは無限に近い。
まぁ、「選んでおいてください」って言うしかないのですが(笑)、
とくに女性にしてみると、服を選ぶのにも似て
とても男が立ち入れないような気の遠くなるような(笑)、
ああでもない、こうでもない、っていう世界が広がっている。
ほほえましいというか、そういう部分でありますね。

しかし、考えるべき領域が狭くなるのではありますが、
現状の住宅需要というのは、
こういう部分に中心的な興味領域もあるわけで、
そういうなかで、どんな面白い展開を生み出せるのかどうか、
ちょっと、チャレンジしてみたいと考えております。
さて、どうなるでしょうかぁ?


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2009年02月24日

ビル解体・再生型事業

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先日の仙台での講演の折り、
会場となりのビルで、解体工事をしておりました。
最近、中心部でこういう解体現場を見ることがなかったので、
ついカメラを向けてみました。

以前、というか、10年前くらいであれば、
なんか日常的な風景として感慨を覚えなかったのですが、
エコロジーだとか、景気の最悪状況など
最近の流れからすると、こういう光景は異質に感じます。
鉄筋コンクリート建築は、一応60年とか「耐用年数」が
定められていますが、きちんとコンクリート品質が保たれたものならば、
それこそ100年を超えて長期使用に本来耐えうるもの。
その意味では、この解体現場で見ている範囲では
頑丈そのものであって、解体している様子では、必要ないんじゃないか、
っていうように、通行人としては見てしまいますね。
しかし、一方で日本の経済って言うのは、
こういうスクラップ&ビルドの繰り返しを続けることで
活力を維持させてきたような側面もある。
まるで大型建築というものが建たなくなる、というのも
経済循環で考えれば、景気動向に影響してきたんですね。

しかし、やはり、場違いな感じは否めない。
コンクリートから破断面で見えている鉄筋の量もたっぷりしているし、
断熱の様子は見えないけれど、
構造としてみれば、まだまだ強度をしっかり保っていると言える。
やはり直して使い続ける方がいいのではないかと思ってしまいますね。

本日、わたしも4年間関係してきた
「北海道R住宅推進協議会」の
長期優良住宅モデル事業としての参加社説明会が開かれます。
午後2時から北海道自治労会館ということ。
北海道が長い時間を掛けて取り組んできた
既存住宅への長寿命化方法を具体的に指し示す方向性をもったものです。
ぜひ多くのみなさんの参加を得て、
画期的なリフォームについての指針が産声を上げて欲しいと念願しています。
4年もやってくると、やはり愛着が湧いてくる部分もある(笑)。
いろいろなまとめられた社会システムの各部分で
あんな論議もした、こんな検討もした、って思えるのですね。
どれくらいの参加社が出てきて、どんなメンバー構成になるのか、
関与したメンバーの側でも全然、読めないのです。
わたしどもでも各方面には声かけはしておりますが
さて、どれくらいの反響があるかどうか、
まったく未知数。
ぜひ多くのみなさんの参加を求めたいと思います。

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2009年02月04日

住宅建築と近隣関係

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未曾有の経済危機ということが叫ばれている昨今ですが、
ことしがスタートしてから、
住宅雑誌として、自ら住宅需要と向き合って
いろいろな活動をしてみて、
やはりひとが家に住む、ということは底堅い実需なのだ、
というふうに思える手応えを感じつつあります。
きのうも古くからの知人から、リフォームの相談を受けました。
経済危機とはいえ、住むところ、食べるもの、着るもの
基本的な衣食住の需要は、自然的に存在するのですね。
いろいろ相談と向き合っていると、
ごく自然な人間的なくらしの実相が見えてきて、
そういうくらしが、少しでも楽しく、無理なく、できるようにお手伝いする、
そういう基本的なスタンスに気付かされます。

写真は、江戸期の「住宅普請」に際しての
近隣住民が、どのように手助けとして関わるのかを表したもの。
見ると
1 労働力の提供
2 建築材料の提供
3 職人や家主をねぎらう物品や食事の提供
4 建前などの建築儀礼への参加、金品の贈答
などが上げられています。
こういう社会文化が、連綿として継続してきたのが日本なのですね。
改めてこうしてみてみると、
先人達の作り上げてきた社会が、いかに豊かな隣人関係を作ってきたかに
気付かされると同時に、
振り返ってみて、いまわたしたちが生きている社会はどうなのか、
という不安な気持ちも高まってきます。
マンションの騒音問題などを見るに付け、
欧米社会から導入され続けてきた「個人主義」が
異常に根を張り続けていることを実感させられます。
確かに個人主義は現代の社会成長を促してきた基本だとは思うのですが、
さて、これからのサスティナビリティというものを考えたとき、
やはり、人間は社会的存在であり、
豊かな近隣関係というものが持つ、知恵こそが
省資源型の暮らし方、生き方につながるのではないかと、
思われてなりません。
こういうお互いがお互いを支え合う社会って、豊かだと思えるのです。

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2009年02月03日

内外ドア開き変更

7573.jpg


先週のいくつかの変更工事で
いっしょにやって貰ったのが、ドアの変更工事。
これまで外開きだったのを内開きに変更したのです。
もっとも、どちらが「内側」か、は考え方次第ではあるのかなぁ?
個室とオープンスペースに対しての開き方です。

来てくれたのは、ベテランの大工さんなので、
「あ、いけね、材料忘れた・・・」というような失敗もあるのですが、
なんとなく人情味が感じられて楽しくなる。
細かい作業部分では、細かくお願いするのですが、
頼む方も、頼まれる方も細かい部分は目が不自由になって(笑)、
困ることもあるけれど、まぁ、お互い様ですね。
鍵も付け替えるのですが、
この辺になると、わたしもいっしょに工事に参加。
「だからさ、こっちの方向にさぁ・・・」
などと、協力しながらの作業。
工務店としては、こういう造作変更工事などは、
やはりベテランの大工さんがいいのでしょうね。
亀の甲より年の功。
お客さんが目の前にいても、ひょうひょうと作業をこなす人柄のようなものが必要。

こういう造作変更などは、いつも頼む工務店さんがあって、
まぁ、重宝しています。
最近はハウスメーカーで建てる人も多いのですが、
どうも、気軽に頼めるものかどうか、
またその料金は適切なのかどうか、
みなさんどうしているのかなぁと、思います。
やはり建築とは、ずっと付き合っていかなければならないものなので、
それをお願いする工務店との関係というのは
近隣関係への配慮、というものと似たような部分もあると思うのです。
その土地で暮らしていくのに、
自分ひとりでは生きていけないわけで、
地域の中で、頼める先があるかないかは大切な部分だと思います。
そしてそういうときに、人間的なふれあいを感じられるというのも
やはり地域工務店の良さだと思います。

ちょっとした工事を頼むのに、
東京本社の大企業の下請け仕事先、っていうのも
なんともぎすぎすした人間関係のような気がします。
気軽に気兼ねなく頼める関係性、
っていう部分の大切さを知る必要があるのではないでしょうか?

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2009年01月20日

図書館ってなんだろう?ー2

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きのうの続きです。
公共事業としての「図書館」っていうものに
考えさせられるポイントがあったので、書いてみている次第です。
設計は、本当に素晴らしいのです。
写真は、閲覧のためのスペースですが、
東側に五稜郭を望む面は、ひろびろと閲覧スペースになっているのです。
採光窓としての機能はバツグンで、
なんとも手元の本の閲覧に快適で、
ちょっと疲れて目を移せば五稜郭の光景が広がる。
本を読むという行為にとって、これだけ豊かなスペースはないでしょう。
見に行ったのは、金曜日の午前中なのですが、
利用する人の数は、用意されたスペースに対してごくわずか。
これだけの豊かな空間が、ほぼ独占的に利用できるのです。
図書館というのは、無限といってもいいほどの人間の知識が豊かに貯えられている場所で、
しかも閲覧のための場所もここまで快適になっている。

建物の2階北側には、
郷土資料のための「研究室」というようなコーナーもあり、
なんと、個室も用意されているんです(!)。
利用はちょっとした申し出をすればほぼフリーパス。
前面には大きな窓があって、北側からの安定した静かな採光があり、
もともと図書館という静かな環境の中で、
なお、集中できる空間まで提供されているんです!
素晴らしい。
たしかに、文句の言いようのない素晴らしさであって、
「本を読む」という人間行為のひとつの極限が実現しているような気もします。
ここまでの環境があれば、
函館から、優秀な作家や、読書家がたくさん出てくるかも知れません。
っていうような気になってきます。
わたしのような、ライフワークをこころに溜めているものにとっては、
こんな環境で集中的に時間が取れれば、とまさに垂涎の思いを抱きます。

どうせ作るのなら、これくらいのモノを作るというのはいい。
でもしかし、これって、公共的な図書館なんですね。
ここまで至れり尽くせり、という公共の箱を作る必然性ってあるのか?
という一方の思いもわき上がってくることを禁じ得ない。
まぁ、もうすぐオリックスグループに売却される予定だという
厚生年金ホテル施設のバカげた豪華ぶりと比べれば、
たいへん有意義であることは、論を待ちません。
また、わたし自身は、年金ホテルの大ファン的な利用者ではあります(笑)。
(ある施設など、低料金で温泉が付いていて、シングル利用が出来て食事もいいって、まったく文句はないですよね)
しかし、このような施設建物が、
基本的には子どもたちの世代の負担になる、という現実を考えるとき、
受益者として、それでいいのか、という思いも出てくる。
個人としての投資や、企業としての投資としてならもちろんいい。
本来、図書館という施設の理念というのはなんだったのでしょうか?
本を購入することの出来ない貧しい人々のために
知識を得る機会を提供するという、基本的な役割はわかる。
けれども、どう考えても、そこに「最高の環境」というまでのものを
用意する必要性はあるのか、という部分で、考え込んでしまう。
ようするに、設計者の問題ではなく、
わたしがどうにも疑問に感じるのは、発注者の側のシステムに対して
大きな問題点を感じざるを得ない、ということのようですね。

あんまり深刻に考えるべきことがらではなく、
実際に出来ているのだし、大いにわれわれは利用すればいいとは思っています。
本当に函館で暮らすことがあったら、
できれば、この図書館の近くに住みたいと思います(笑)。
でも、この建物が持つ空間の豊かさには、一個人の投資可能金額では
とてもかなわないので、たぶん、一日中でもここにいることになると思います(笑)。
だったら、お金をあんまり使わないで、
小さな賃貸住宅の方が、合理的かも知れませんね(笑)。


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2009年01月19日

図書館ってなんだろう?ー1

7560.jpg


確か「赤レンガ建築賞」だったと記憶しているのですが、
函館の街の、五稜郭に面した立地で
「函館中央図書館」というのがあって、受賞した建物だと思います。
機会があれば、見に行きたいと考えていた建物でした。
で、webで調べてみたのですが、
どうも確認できなくなっている。
わたしの不確かな記憶なので、賞は違う賞かも知れません。
でも、その受賞パーティにも顔を出しているので、
受賞していることは間違いはないはずです。
って、いやぁ、寄る年波そのもので、なんとも・・・(笑)。

公共的な施設って、
あんまりたくさん見るわけでもないし、
税金を使って、立派なモノを作るって言うこと自体、
その意義に疑問符もあるわけですが、
でも作る以上は、そのモノに対する評価というのは
少なくとも、利用者や納税者にとって不可欠だと思います。
わたしたちのような、
個人の資産である住宅を中心的な評価対象にしているものからすると、
そのように考えられるのですが、
案外そのような視点というのは、顧みられていないと思います。変ですよね。

で、この図書館を見てきたのです。
たくさん図書館というものを見ているわけではありませんが、
こんなに豊かな空間を作ってもいいのですか?
というのが、素朴な印象でした。
わたしが周辺の居住者だったら、
時間が許せば毎日でも開館から閉館まで
この場所にいることになることは間違いありません。
たっぷりした敷地条件を上手に利用して、
入るとすぐに写真のようなウェルカム中庭があって、明るい採光空間が広がります。
その周囲もベンチが据えられたりして、
気が向いたら、ここで本を読んだり、ノートを広げられる場所になっている。
ちょうどいまは、雪も降り積もっているので、
ほどよい空調の中で、眺めもよくここちよい居場所。
って、実はこういう空調費はどれくらいかかっているのか、
そういうこともものすごく気になります。
だって、そういう維持管理コストもわたしたちの税金なワケで、
その使い道が周辺居住者に対して、事実上独占的に
「専有的公共資産」として提供されるのですよね。
確かに、この場所の評価はいいけれど、
そのためにいくらかかっているのかを合わせて考えなければ、
民主的とは言えないのではないかと考えてしまうのです。

長くなってしまうので、
今日はここまでにしたいと思います。また明日、書き続けます。

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2009年01月17日

記憶の中の伯父の旧宅

7562.jpg


叔父はもう亡くなってから5年以上経つのですが、
函館に長く住んでいて、その家に母に連れられてよく遊びに行っていた。
母は、どうも末っ子のわたしを連れて、よく実家や
実家の家族を訪ねることが多かったひとでした。
考えてみると、嫁として結婚したら、
1年中、神経の休まる時間がないくらしなので、
そのような実家帰りが昔の人間にとってはなによりの骨休めだったのでしょうね。
とくに母は、これも末の弟だった、函館の伯父と仲がよかったようでした。
伯父には実子が生まれなかったので、
大家族だったわが家から、自分に一番血のつながりの近い姉の家の子を
なんとか、もらい受けたいと思っていたようで、
たまたまわたしが末っ子で、よく母と連れ立ってきていたので、
わたしにそうした白羽の矢が立っていたそうです・・・。
で、わたしも何回か、函館の伯父の家に来たことがあり、
札幌とは全然違う、いわば文化的な香りのする街並みが好きで、
行くことが楽しみだったものでした。

昨日はそんなことで、函館の街を
散歩がてら、歩いてみました。
で、ふと、街の記憶が突然甦る瞬間があって、
振り返ると、いまはもうたぶん、取り壊されていると思いこんでいた
伯父の住んでいた家にそっくりな家に出くわしました。
最後に伯父の家を訪れてからでも、もう25年近く経っているし、
その間に伯父は函館で勤めを退職して、札幌に家を建てて
移り住んでいますから、たぶん、もうないだろうと思っていたのです。
ところが、記憶というのは断片化しながら、
ある空気感のようなものを鮮烈に記憶していて、
「あ!」と、一気に情景が押し寄せてくるものなんですね。
たたずまいはまさにこんな印象に近かった。

室蘭工業大学を卒業した伯父は、家のことを話すとき決まって、
「古い家がいいんだ」と、語ってくれていました。
なので、借家だった函館での家はいかにも、こんな写真のような家で、
古色蒼然、だけれども、こころの中のなにかが吸い寄せられていくような
そんな古びたわびを感じさせる住まいだった。
記憶の中では、そういう印象は
かれの実家である、母も育った三笠の家の印象にも通じるところがあって、
不思議にやすらぎを感じさせてくれる家でした。
いま、考えてみると、住宅についてのいろいろな体験の中でも、
伯父の、家に対する感受性はわたしも受け継いでいる部分があると認識しています。
日本人がところを定める、というのには
やはり精神性のやすらぎ、というものが一番大きな部分なのかも知れない。
この写真のような古美た自然な素材のもつ表情。
自然木の松が無骨な肌合いと、柔和な造形を見せる中に門があり、
庭木が外界から守るように家を取り囲んでいる。
その奥に、人間の、訪ねるべき人格が存在している。
訪れるものに、そういう出会いへの期待感を高めるような
そんな風合いがあるような気がします。
やっぱり、こういう家の良さは今日も永続していって欲しい、と
念願しながら、じっと立ち止まって眺めていた次第です。
本日は仙台で、建築家のみなさんと「デザイン」を巡ってのイベントで
講演を行います。


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2009年01月12日

上棟式

7540.jpg

上棟式って、建物の構造が出来上がっての儀式。
最近は、まったくやらないケースが増えているそうです。
住宅とはいっても、現在建てられているものは、
この写真の頃のような希少価値のあるものではなくなっているので、
まぁ、家という概念の喪失過程で、
このような儀式性も喪失の方向に向かっていくものなのでしょうか。

それにしても、明治のはじめ頃という
この写真の住宅の豪壮ぶりと、人足数の多さなど、
家を建てるという社会的意味合いは、相当のものだったと推測されますね。
一般人は、都会では長屋という協同賃貸住宅が主であり、
田舎では、地主と小作では社会的格差は巨大だった。
地主で自作農という旦那さまの邸宅は、
このような「上棟式」にそれこそ似合った格式だったのでしょう。
一方の小作の方は、小屋といったほうが正確だった。
その後、戦争を経て、小作制度がGHQによって解体され、
社会構造がフラットな方向に「民主化」された。
しかも戦後発展した、人口の都市集中と産業の工業化が
このような希少価値を持った、旦那による「普請」から、
住宅金融公庫の貸し付けによる、
農家の次男三男という、それまでは「家を持つ」ことなど夢のまた夢だった階層が
都市での労働者となり、自分の家を建てることが可能になった。
この写真のような上棟式など
夢に見ようとしても、見果てぬ夢だった階層が主役になったのですね。
よく、「邸」と「宅」は違う、と言われますが、
戦前までのこのようなお宅は、まさに社会的に「邸宅」であり、
戦後、大量に建てられた都市住宅は、
本来は「宅」でしかなかったのです。
そういう意味では、上棟式というような行為が
廃れてきているというのは、きわめて自然なことだと思われます。
今日の狭小住宅地での取材などを見ていると、
それがどんなに個人的好みを映し出そうと努力していたとしても、
しょせんは、都市大量居住のための「長屋」の現代版、
というようにしか、考えられないのかも知れません。

社会的な関係性を大きく表現したような
このような「上棟式」を行うシステムではなく、
きわめて「個」の要素が強く反映しつつあるのが、今日の住宅なのかも知れません。
家を持つと言うことの意味合いが、
大きく変化してきている中に、いまのわたしたちの
家づくりというものはある、ともいえるのでしょう。

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2009年01月11日

生業・住まい・地域

7539.jpg


写真は、日本民家園(川崎市)で見た
地域性と住宅様式についての展示からのもの。
日本海側の京都府の海浜地域の漁村の風景。
住居は船をしまい込むように海に向かって突き出させていて
それらの様子を見ていると、
間口を抑え、海への出入りを工夫して各戸に確保している。
そういう機能性を満たしている建築デザインであることが見て取れます。
で、写真には多くの漁民が網をたぐり寄せている様が映し出されている。
明治の初年の頃の風景という解説があったので
まだ、近代的産業が勃興せず、
人口の都市集中という人口再配置が動き出していない日本の地方の現実。
エネルギー革命もなく、低レベルの機械力しかなく
ひたすら人力に依存して、生産性の低い労働が主であった時代。

たぶん、たまらない貧困が社会を一色に染め上げていた。
しかし、住宅の地域的な豊かさという意味では、
今日の写真(右側)と比較してどうであったのか?
たしかに水回りの快適性とかは比較にならないレベルで進化しているだろうし、
家電製品とか、進歩を感じさせるくらしの変化は格段でしょう。
しかし、現在の風景を見て、ある程度は記憶の残影が残されているとはいえ、
ある種の秩序が崩壊して
地域性という部分の豊かさは大きく失われていると思えます。
たぶん、決定的に人口が流失してしまっている。
船も近代化はしたけれど、
木造小型船の、ある種、美しい貧しさからは大きく隔たってしまった。

住宅建築の世界で考えれば、
この間で、素材も代わり、生産システムも大きく変わってしまっている。
現在ではこういう地域にも、大量宣伝型のハウスメーカーが来ているだろうし、
地域のデザインを踏襲する意志を持ったような作り手もいないでしょう。
いわんや、写真のような生業を持った人間の数も少なくなって
地域らしい住宅デザインの存立基盤も失われている。
いま、この地域に住む人は、最新の「日本中どこでも同じような」
ライフスタイルを志向するひとのほうが多数派であるかも知れない。
そのように考えてくると、
地域らしさ、ということを安易には言い切れないのかも知れないと
思い至る気がしてきます。
生活の実感の最大領域はいまや、やはりテレビ的現実のほうなのでしょうね。
みのもんたのほうが、生活に密着しているのかも知れない社会なのでしょうか。
なんと、複雑怪奇な社会であることでしょう。

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2008年12月25日

窓のデザイン

7529.jpg

写真は帯広市内で見た住宅の様子。
ツーバイフォーの壁に丸い穴を開けている窓です。
左手の四角い窓のように
「外の風景を切り取る」という感じはなく、
さりとて「外から光を導入する」という用に似合っているとも言えない。
内部からも、外部からも、そのデザイン性を楽しむという
用途にもっとも近いのではないかと思われます。

最近の若い年代のひとが作る住宅で
このような志向性の窓の開け方が出てきていると感じています。
住宅はもっとも根源的な意味で
そこに暮らす人たちを映し出す一種の表現物とも言えますから、
生活の価値観の中で、このような部分も必然ではあるかも知れません。
現代の住宅は、現代人が暮らすものですから、
現代の暮らしというものが、
このような「遊び」感覚を持っていることも表している。
機能性というよりも、遊び感覚に近い。
ただし、作る側から見れば、
こういう窓を材料にした表現ではあると思う。
このような方向性を持った家は何軒か見てきています。
こういう窓による空間の変化とか、印象が、
ひとつの生活背景表現物を構成している、という感覚。

窓の形や、光の入り方、その変化など
表現方法と考えたら、いろいろな表現に膨らんでいく可能性はあります。
ただし、建築の手間などは確実に増えるので
性能要件から見れば、マイナスにしかならない。
まぁ、昔の家でも高級住宅では円窓がよく作られていたので、
ずっと簡便に壁に窓を開けることが可能になった時代なのですから、
そう大きなマイナスと考える必要はないのかも知れませんね。

ただし、このように窓を造作するのであれば、
「表現物」としてのひとからの鑑賞眼とは
真っ正面から立ち向かっていく必要はあると思います。
ひとつの表現として、審美的な観点からの評価を受けることを覚悟する必要はある。
自由に開けられると言うことは、
同時にそういった一種の責任からは逃れられなくなると思います。

っていうことですが、
こういう傾向がさて、今後どのように進んでいくものかどうか、
ウォッチしていく必要はあるでしょうね。

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2008年12月20日

沈黙が支配する季節

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寄る年波、ということでしょうか?
ごくなにげない風景やことがらに無性に思いが募るときがあります。
以前ならば、そう感じもしなかった北海道の冬景色。
どこにでもあるような冬の寂寥たる景色にこころが騒ぐ。

っていうようなことを感じておりましたら、
おとといのJIA出江寛会長のお話の中の一節がこころに飛び込んできました。
優れたデザインの中には、沈黙が仕組まれている・・・。
というべきなのかどうか、
そこまで言い切っては、出江寛さんの論旨をはずれるかも知れませんが、
文化性を持った都市には、かならず沈黙が支配する空間が豊かに存在している
というご意見でした。
京都の龍安寺石庭などを例として示されていました。
そしてそこから、日本デザイン文化の持つ、
「間」の文化と、「対比性」にも触れられていて
氏の設計の根源的な考え方が、目の覚めるように見えた瞬間でした。
出江寛さんの感じられている「沈黙が支配する」街として
京都・奈良・倉敷の3つの都市が上げられていました。
それぞれに、深く納得できるお話しだったと思います。
しかし、
北海道の寂寥とした冬の季節、その景観を
目に焼き付けながら育ったものとしては、
そのような人間の作り上げた世界を超えて、
この、ごく身近に感受できる場所に、ことばそのまま、
「沈黙が支配する」空間世界が、
わたしたちを包み込んでくれていると感じてしまいます。

写真はつい先週、ふと訪れた支笏湖の景色。
冬枯れた世界、凍り付く直前の光と影の世界です。
豊穣なモノクロームの世界、とでも言える世界なのではないかと感じます。
しかし、都市としての札幌には
確かに、そのように文化的意図を持って、
「沈黙が支配する空間」というものが存在するか、と
問われれば、たいへん心許ないと言わざるを得ません。
なにもかも「つるりとした」味気ない近代合理主義的な
「建築材料」が幅を利かせる都市空間だと思います。
さみしい、と言われれば、その通りです。

こういう写真のような荒涼たる世界に似合うような
住宅建築って、やはりどんなものなのかと、
振り返って再び考え込んでしまいます。
以前、リレハンメルでオリンピックが開かれたとき、
それをアピールする環境映像が流され、
そこに存在している素朴な住宅達が、
なんとも言えず人間的でかわいらしかったことを覚えています。
北国の人間を癒す、沈黙が支配する(住宅)建築って、さて?

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2008年11月18日

建築家・毛綱毅曠の世界

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写真は釧路の春採湖畔に建つ釧路市博物館。
建築家・毛綱毅曠さんの設計になる公共建築です。
かれは若くして日本建築学会賞を受賞された建築家ですが、
惜しくも、若くして世を去っています。
はじめてReplanの取材で釧路を訪れたとき、ノーアポイントで
当時、お母さんがひとり暮らしをされていた実家の住宅「反住器」を
見に行き、一部写真も撮らせてもらったことがあります。
四角いガラスボックスの中に入れ子状に居住部分を仕舞い込んでいる建物。
その前衛的なフォルムは、建築への意志を明瞭に感じさせてくれるものでした。

そんな建築家の作品をなるべく数多く残すのが
地域公共団体としての役割だと考えていた市長さんが
できるかぎり「随意契約」で、公共建築を建築家・毛綱毅曠さんに依頼していました。
この釧路市博物館は、その代表的なもの。
ごらんのように建物全体がまるで、鶴が翼を広げたような外観。
立地も、申し分なく、ゆったりとした背景のなかにあります。
まだ、なまなましい近い時代でのことなので、
なかなか評価が定まりにくいだろうと思われるのですが、
現在でも、たしかに釧路は北海道の都市の中でも
ちょっと景観的には異色の存在になっていると思います。
かれが手がけたものは、釧路湿原展望台まで及んでいて、
折からの湿原観光などで訪れる全国からの来訪者に釧路をプレゼンテーションし続けている。

わたし自身も住宅を取材したりしたので、
インスピレーションの部分で、その特異性を肯定気味なのですが、
本当の評価は、地域のみなさんの釧路への思いや
全国から訪れるみなさんの街並みの印象への部分になっていくのだと思います。
経済的に苦況である釧路地域ですが
現状でも、なんとなく特色があって、ユニークな地域形成を感じる。
建築って、繰り返し感受され続けていくものなので、
こうした地域環境の中で育つこどもたちが
いったいどのように釧路という街を思い出すことになるのか、
定まってくる評価の部分って、そういうものでしょうね。

でも、毛綱毅曠さんの感覚世界は
一種宗教的でもあるような、独特なバイタリティを感じます。
それもなにか、地域的というか、土着的というか、
もっと言えば、縄文的とでも言えるような感受性世界のような気がします。
ちょっと興味深い実験を、地域としての釧路は選び取り、
いま、静かに評価を待っているというような思いがあります。
みなさん、いかが感じられるでしょうか?

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2008年11月10日

よき公共建築選定システムは?

7481.jpg


写真は先日のJIA建築家大会での基調討論の様子。
真ん中にいるのは、いま、公共事業の設計選定に関して
ある地方公共団体と係争している、山本理顕さん。
この事件というのは、一度設計協議が行われて山本さんが採用されたのにかかわらず、
選挙で信任された首長が、それを白紙に戻したというもの。

このような事件はそう珍しいことではなく、
地域の設計者では、長いものに巻かれろ的にならざるを得ないところを
正面切って、係争していると言うことで注目されているのです。
で、この討論会では、そういう問題ではなく、
いったい、よい公共建築選定システムとはそもそもどういうものか、
ということについて、論議されているのですね。
この問題、わたしも以前から興味を持っていました。
選挙によって首長は選ばれるのだけれど、
だからといって、そういう首長に「よい建築」選定眼があるとはいえない。
まして、組織としての末端の自治体建築担当セクションに
そういう判断力があるとは思われない。
ところが、実際には行政組織の恣意的な選定作業によって
さまざまな建築が、野放図に建てられているのがこれまでのシステム。
ある設計者と話していて、自治体側の公共事業担当者の対応ぶりを聞いて
さもありなんという現状を知らされているのですね。

少なくとも、こういう公共建築選定システムは
独立的な、地域の歴史伝統なども理解しているような
受け入れ先が存在すべきだという気がします。
それがいいかどうかは別として、
京都の地域景観の維持システムのような知恵が必要。
その地域が、どのような志向性を持って地域作りが行われていくのか、
という根幹的な部分の透明な議論が行われるべきだと考えられます。
現在の選挙システムが、こういうものまですべて決定力を持っているのだけれど、
言ってみれば、最高裁判所の裁判官国民審査のように、
システムとして破綻していると思う。
そういう結果、なんとも悲惨な公共建築が量産されている。
こういう存在は、維持管理の点も含めて
長く地域社会がその存在について責任を持っていかなければならないものなんだけれど、
そういう意義を持っている建物が、さてどれほどあるか?
20世紀後葉の、公共建築量産時期のものが
ほんとうに歴史のきびしい眼から評価されて存続していけるのか、
はなはだしく疑問だと思えるのですね。

そういう問題意識を、このJIAは少なくとも論議している、
という意味では、まだまだ捨てたものではない、
という思いも、一方でおおいに感じた次第です。
この論議が、今後、方向性を持って育っていって欲しいと思いました。

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2008年11月05日

平安期の北海道の住居

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考古学の資料の楽しみにジオラマがあります。
時代の考証を、研究専門家がさまざまに総合して
時代再現を試みるものですね。
時代小説家が特定の時代を描写するのにも似て、
事実の積み重ねと、一定の想像力で作り出す世界ですね。

写真は北海道埋蔵文化財センターに展示されていた
「檫文」時代の住居復元模型です。
檫文って言うのは、ヤマト政権側でいうと平安から鎌倉にかけての時代。
文字表記による資料はないけれど、
末期古墳が造営されたりしているのです。
千歳空港近くで発掘されているものもそうしたひとつのようですが
ヤマト政権国家と、活発な交易活動などで
相当に深い交流があったと考えられます。
交易が生業化もしていたようで、
生活に欠かすことが出来ない刀子〜ナイフのようなもの〜など
鉄製品を自分たちでは生産せず、交易に頼っていたと考えられている。
自分たちはアザラシの皮や、クマの皮、熊の胆、鷲の羽などの
狩猟結果品を交易の材料として取り続けていた。
そういう交易品が自然的な再生産力を超えてしまうような事態もあっただろうし、
狩猟の場所などの権利関係を巡っての内部争闘もあったに違いない。
後期になってくると、防御集落的な形態が増えてくるし、
交易入手品に刀などの戦闘用品も増えてくる。
緊張が高まっていった社会だったに違いない。

住居形式としては、土を掘り込んだ竪穴住居で、
柱を立てて、梁を渡し、骨組みを作ってその他の構造造作を作っている。
入り口付近など、木を曲げてアーチ状に造作している。
木と木はシナの木などのやわらかい木や、縄などで結び込まれている。
このような構造に、茅などの素材で表面を覆って仕上げたものと思われます。
檫文の住居はその後のアイヌ文化に重層していて、
それとしての実物は残存していない。
土器による食物調理加工だったので、暖房の囲炉裏のほかに
「かまど」がしつらえられていた。

秋になって大量に獲れるサケが主要な食糧源なので、
だいたいが大きな川の河口や、港状になっている地域に集落が営まれた。
交易のための狩猟採集を基本にしながら、
少量のヒエ・アワといった炭水化物を栽培し、
ヤマト政権側との交易のために水利を利用して、
石狩川水系地域から、遠く青森県や秋田県地域、
場合によっては北上川河口の石巻周辺などにも旅した。
こういった交易民との窓口になったのが、古代蝦夷といわれる
東北古代の人びとだったのだろうと。
そういう風景の中に、ヤマト王朝側の「歴史人物」が複雑に重なってくる・・・。

北海道と日本の関係、
かなりさかのぼって、いろいろ想像力を掻き立ててくれる。
住宅の模型から、しばし、思いが膨らんできます。

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2008年11月03日

銀鱗荘

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銀鱗荘って、北海道に住んでいる人なら
名前だけしか知らない典型的な高級旅館として有名。
余市の大網元の建てた宏壮なニシン御殿を小樽に移築して
温泉を掘り出して、旅館に改装したものです。
まったく自慢ではありませんが、わたし宿泊したことはありません。
なんといっても、宿泊は大人ひとり40000円で、
オーシャンビューの和室は、50000円なんだそうです。
ちょっと目がくらくらとしてきますです、ハイ。
以前にも一度、見に行ったことがあり、
そのときは、「北海道新聞社さまご一行」という名札を見ました。
すごいなぁ、儲かっている会社は・・・、
って、垂涎の思いで眺めておりました。

きのう、久しぶりに小ドライブで、カミさんと
昼下がり、ケーキとコーヒーを楽しんで参りました。
とはいっても、別棟の「グリル」のほうですが、
こっちも建築的には同様で、余市から移築されたもの。
ただし、何回かの修復が行われてきていることは明白でした。
余市という漁場は、「千石場所」と言われたそうで、
大名というのは1万石以上を大名というのですから、
その10分の1相当の富を、網元という一資本家が独占していたのですね。
それも基本的には収奪型の経営なワケで、
領民の安全を保証したり、家臣を養うのに巨大な保証をしなければならない
大名と比較して、経済的にはたいへん有利だったのでしょう。
江戸期を通じて、服飾というファッション産業を支えた木綿生産の
基本部分を担ったのが、北海道のニシン漁業だったので、
販売の方は、無尽蔵的な需要が見込まれたのですね。
そんなことから、北海道での網元というのは、
当時の日本の資本家層にとって、
ぜひとも入手したい権利だったのだと考えられます。
場所は確かに北海道だったけれど、
経済の動きで言えば、全日本的な規模での「投資」だったのでしょう。
ニシン漁の活況が消え去ったとき、
北海道にはそういう蓄積した富や、文化伝統が残らなかったのも無理はありません。
ただ、建築だけはやむなく当地に残らざるを得なかった。

そういう歴史的経緯で、存在している建築。
グリル館を見るのがやっとなワケですが、
それでも断片的に、その豪壮ぶりは伝わって参りました。
内部にはいると、2階まで吹き抜けがあるのですが、
思わず見上げると、天井が「塗り土」仕上げ、聚楽とおぼしき仕上げなのです。
とまぁ、何とはなしに想像したのですが、
考えたら、天井に土塗りするって、作業的にも大変そうだと思い至りました。
梁や柱の位置関係、際の様子などを観察すると、
やはり塗り仕上げに間違いはなさそう、まさかクロス仕上げではない。
下地の竹の木組みに対して練った土を塗っていくのだろうけれど、
それが重力に反しているのだから、土を押さえるのに
どのようにやったものなのか、左官仕事の詳細知識がないので、
ちょっと、わからなくなってしまいました。
その天井から軒側に向かって傾斜する天井部分には
土壁の上から竹が、ちょうど土を押さえるように羽目込まれていました。
お店の人に聞いたら、それでもときどきポロッと土が落ちてくるそうです(笑)。
っていうことですから、やはり水平天井部分、どうやって土を押さえているのか
いよいよ、興味を深くいたしました。
こういう部分、こっそりどなたか、教えてください(笑)。

まぁ、越後の宮大工の仕事になる豪壮建築、
やはり、一度はしっかり目に叩き込んでおきたいものだと思いました。
でも、一泊40000円って、う〜む・・・(汗)。

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2008年10月26日

土まんじゅうの庭

7466.jpg


都市型住宅の戸建て住宅で
最近の傾向として、時間にゆとりがなくなり、
庭仕事を楽しむようなことが少なくなってきている現実があります。
それって、戸建て住宅の楽しみの中できわめて大きな部分を
放棄しているような感じがするのですが、
しかし、そういう傾向が増えてきているのは事実。
そうなると、敷地利用のなかで、
建物として利用する残余のスペース、庭が占めている場所を
どのようにデザインするか、考え込んでしまう。
よくあるのは、コンクリート平板などの石素材で覆ってしまうこと。
そうすればメンテナンスフリーなドライ空間が出来上がる。
でも、そういう解決策だと、なんともやはり寂しさが募る。

っていうような部分ではないかと思うのですが、
先日の十勝の取材で見たのがこの「庭」。
コルゲート管のような材料を置いた上から
土をかぶせて、ある程度固めて、その表皮を芝生で覆っていました。
「お、なんだろう」という思わぬ効果があって、
よく考えてみるとメンテナンスは芝生の養生程度。
伸びすぎれば時々カットしてやる必要はあるけれど、
それ以外は、特段の手入れの必要はなさそうな感じがする。
小さい子どもがいる地域では、
近隣の子どもたちも遊びに来て友だちが増える効果もありそう。
好きなんですよね、こういうワケのわからない空間が子どもって(笑)。
なずか、こういう穴が開いていると子どもは入り込む。
造形としては、龍安寺や銀閣の砂の庭のようで
一種、禅か何かに通じているような自慢も出来そうです(笑)。
十勝なので、そんなに雪は積もらないだろうけれど、
雪が積もったら面白いかまくら効果を持つかも知れない。

っていうような印象を持たされた庭でした。
みなさんはいかが、感じられるでしょうか?

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2008年10月25日

仮設足場下シート

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きのうは急ぎでブログを更新して、そのあと、札幌に戻ってから
再度、更新しようとしたのですが、
さすがに帰ったら7時過ぎで、運転と前日のお酒の疲れで
まったく睡魔に歯が立ちませんでした(笑)。
今回も実にたくさんの知人と交流できたのですが、
こういう機会はやはり貴重です。
北海道では、地域工務店レベルのこうした交流が盛んであるとは言えます。
ほかの地域では、お互いに商売敵の関係で
このような交流機会を作ることは出来ず、
地域工務店というのは、情報的にはきわめて孤立した存在。
なので、数少ない情報源が
さまざまな工法の、フランチャイズグループに参加すること。
逆に言えば、北海道ではそういう工法を超えて
公開された情報ネットワークが活発であるといえるでしょう。

そんなことから、現場の公開という
他地域ではあまり考えられないような情報公開も積極的に行われます。
公開は完成した住宅もあれば、建築途上の建物もある。
細かい部分まで、現場で尋ねたり、確認することも出来る。
結局、工務店という製造業は、
さまざまな小さな部分の工夫の積み重ねという産業なので、
こうした情報交流が、実質的に大変重要である、ということなのですね。
昔の大工修行が、すべてを現場で修養するということだったのでしょうが、
現代では、さまざまな新建材や、住宅性能の進化に伴うノウハウは、
こういう現場でしか情報交流できない部分があるのですね。

写真は十勝の岡本建設さんの現場でのもの。
ほんの小さなことだと思いますが、
建築途中の建物外周に立てられる仮設足場の足下にシートが敷かれていました。
気がつくと、防風シートの残りとか、
部材製品の梱包シートなどの現場から出る残材が使われていました。
用途的には一目瞭然。
建物内外部の建築プロセスの間、建物の清潔を保つ工夫ですね。
一旦こういったシートを通ってから建物に出入りさせれば、
靴に付いた泥土の総量は確実に低減させられる。
小さな工夫ですが、こういうことが最終的な製品品質にも関わってくる。

ユーザー側にもこういう部分まで、
感じ取ってほしいと思いますね。

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2008年10月18日

JIA建築家大会2008

7458.jpg


きのうから仙台に入りまして、
日本建築家協会の建築家大会に参加しています。
会場は、こういう大会らしく定善寺通りに面したメディアテークです。
北海道と東北と、たくさんの知り合いが集まっているので、
まぁ、次から次へと、あいさつばかりしている1日でした。
とは言っても、はじめて参加しましたので、
勝手がわからず、一応報道プレス側と言うことで、
開会式と、その後のメーンパネルディスカッションを聴き、
その後、懇親会に参加いたしました。

パネルディスカッションでは、出江会長が進めている
「建築家」職能認定活動を中心とした活発な論議が行われました。
世界的に、建築家職能の認定が大きな潮流になっている中で、
日本の現在の「建築士」制度の問題点を明らかにして、
制度的な改変を視野にしていこうということ。
法律の専門家の方から、制度の歴史的な経緯に詳しい方、
さらにいま、公共発注の建築設計業務で地方公共団体を提訴して
話題になっている、山本理顕さんも参加。
第3者的な立場から見ているので、いろいろ勉強になりました。

まぁ、ようするに
設計料はただでもいいですよ、という大手ゼネコンから始まる
日本の建築業界の風潮に対して、建築家の職能制度の確立を対峙させて
きちんとした設計業務の社会的認知を獲得させたいと言うことですね。
しかし、話題は多岐にわたりすぎた感があって、
シンプルに「良い建築が生み出されるためには、どういう制度がよいのか」
という軸線がやや、みえにくいなと感じた次第です。
そういうなかで、
国交省などの官僚システムの側から、
自動車などは、設計と施工は一体のものとして価格が設定されている、
という議論があると紹介されていました。
なぜ、建築も同様に考えられないのか、という立場。
さらに、現行の建築確認システムでは、
基準を満たしている申請に対しては
どのような建築でも認可されるという問題点の指摘がありました。
一例として、楳図かずおさんの住宅の周辺景観論争が
提起されていました。
で、ああいった個人の欲望発露に近い建築計画が
現状ではそのまま建築確認がなされるのは仕方ないにしても、
それに対して、意見を申し立てるような建築家は存在していない、
というような鋭い指摘がありました。
建築家という存在が、ただの建築施主の「代理者」として
社会的に存在している現実をどう考えればいいのか、
というような提起ですね。
う〜む、さすがに論議は根源的になっていて、興味深い。
残念ながら、時間の制約で、様々に提起された問題点は
論議未了、というようなことだったと思います。
しかし、これはやむを得ないでしょうね。

こういう基本的な論議が交わされると言うことでは
やはり意義深いものを感じました。
これから、それぞれのみなさんの発表をもう少し深く分析していきたいと感じた次第です。
ということで、本日は結論未了のブログです(笑)。ではでは。

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2008年10月03日

バブルの廃墟

7443.jpg


先日、カミさんと小樽方面に行ってきたときに
ふと気付いて、あそこ見に行ってみようか、となった店舗。
小樽市張碓という岸壁に張り付くような地域に建っていた「ユーラシア」という店。
コンクリート打ち放しで、店内からは石狩湾を北に見晴らす眺望を
最大のウリにして、オシャレなお店として
デートコースになっていたという店舗。
開店当時は「商店建築」などの雑誌で大きく取り上げられ、
大変な話題になっていたのです。
その後、まったく噂を聞かなくなっていましたので、
どうなっているのかなぁ、と近くに来たついでに足を伸ばしてみたのです。

案の定、お店は閉鎖されていました。
コンクリート打ち放しの建物はまだ、全然しっかりしているし、
すぐにでも転用できそうな状態に見えます。
敷地や眺望条件にはゆとりもあり、
まぁ、なんとももったいない、っていう感じがしますね。
雑誌などで掲載された様子では、へぇ、こういうコンセプトで
札幌からも結構離れているのに、お客さんがたくさんきて、繁盛するものなのか?
っていうように「すごいなぁ」と感心していたのです。
しかしまぁ、やはり、話題になる=繁盛する、というようにはならない。
格好いいだけでは、永続的な存続には決して結びつかない。

あんまり調べてもいないので、どういう事情があったのかは
不明なのですが、商売がうまくいかなかったのは確かでしょうね。
でもしかし、周辺のみなさんにとっても
このような建築がそのまま放置されているというのは環境にとってマイナス。
しかし、店舗としての再活用にはやはりこういう「わざわざ」店はむずかしい。
どうしたらいいのか、なんとも言えませんけれど、
人ごとながら、なんとも無惨な思いが募ってくる光景ですね。
話題になった建築がうち捨てられていくというのは、やるせない思いがします。

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2008年09月19日

和風住宅の「こだわり」

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写真は先日見学した増毛町の本間家住宅から。
ケータイの写真なので、すいません、ややピンぼけ。
明治以降、たいへんな豪商として富を築いた家なので、
当時としては、粋を凝らしたような住宅を造り上げていたのですね。
でも、その住宅技術の向かう先はひたすら和風のディテール。
せっかく、豪華な資金を考えている施主さんなのですから、
「家をあたたかくする」ということにもう少し目を向けてもいいのではないかと
思うのですが、けっしてそうはならない。
やはり、当時本州から出稼ぎで来ていただろう大工棟梁個人のできることには限度があるし、
そういう研究をする技術伝統が、和風住宅にはない。
やはりひたすら「花鳥風月を愛でる」というような興味にしか向かわないのですね。
当時としてはやはり無理からぬところでしょうか。
窓にガラスを入れたりしていますが、
そのほか、住宅建築としては温熱的な工夫は特段見られない。
やはり家人は寒さに耐えられず、後工事でストーブのための穴を開けたりしている。
まぁ、当然でしょうね。
で、写真では見えにくいのですが、
こだわりは、ひたすら和風住宅のディテールに集約されていきます。
写真は貴賓室の床の間に並んでいる押し入れ下部の様子。
横にされた仕上げ木材を、彫り込んでウェーブ状に仕上げているのです。
どういうデザイン的な意味合いが込められているのか、
いまとなっては、証言もないわけですが、
こういう仕上げに至るまでの手間を考えると、
相当なこだわりぶりだと推察することができます。
ウェーブ状にして、そのうえ、磨き込んでもいるのですね。
なので、確かに一種面白い効果は出していると思われますが、
どうも、豪華さの実感という意味では伝わってはこない。

この部屋では、東南アジア原産という銘木が床柱に使われたりもしています。
また、壁も漆喰に墨を混入させる仕上げもされていました。
ただし、たぶんその後の改装工事に際して
漆喰の職人技術がなかったのか、一部の壁には土塗り仕上げが施されていました。
まぁ、北海道では漆喰の壁はメンテナンスが難しい。
南東側には暑寒別岳が眺望でき、北西側には日本海が望まれる
眺望はなんとも豪快で、絶景が堪能できます。
しかし、それは半年のことだっただろうと思います。
まぁ、冬場には日本海が荒れて貴賓が訪れることもなかったのだと思われます。

和風木造で、数寄屋風の建築というのは、
なかなか、北海道ではそのままでは存続がきびしいなぁというのが実感。
しかし、日本文化は基本的に中央に対して同化するという動機が強い文化。
どんなに気候風土が違っても、
「こんなところでも、結構な住宅があるんですね」
というようなことに高い価値観を持ち続けてきたのだと思います。
そういう意味では、北海道で断熱気密の技術が進んで、
あたたかい家、ということを追求しはじめたというのは
日本文化的に、きわめて稀有な事態なのではないかとも思われます。
で、そういう寒冷地住宅技術文化とでもいえるものが、
文化の中心地に対して「違う住宅文化」として存続し続けていけるのかどうか、
あるいは日本文化の中心地に逆に影響力を持っていくことができるものかどうか、
ある意味では、歴史的に珍しいことが
いま、進行しているのかも知れないと思うこの頃です。

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2008年09月08日

玄関のない家

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盛岡に移動後、訪れたのが写真の家。
まだ工事が完了しておらず、写真撮影などは後日に順延。
っていうことなんですが、設計者の方や、工事にあたった工務店の方などに
お話を伺うことができました。
こういうのはこういうので、それなりに見方は出来るもの(笑)で、
いつも住宅を見ている側にしてみると、コンセプトなどは
別段聞き取るのに、支障はありません。
中に入りたいと考えて、入口を捜すのですが、どうも見あたらない・・・。
って、それとおぼしき場所にたどりついても
一般的な玄関ではありませんでした。
建物は道路というか、通路に対しては入り口はありません。
この建物は、道路から入り込んだ敷地に建っています。
親御さんが所有する大きな敷地の奥に建っているのですね。
で、通路は北側で南側は広い畑地に面していて、そちら側に開口を開いている。
そちら側には左右にそれぞれ土間や、デッキが装置されていて、
玄関に相当しているのは、それらの空間。
そのように考えれば、まぁ、日常使い的には支障はないでしょうね。
土間は農園仕事などのための広めの空間ですので、
自由度の高い「入り口空間」とは言えるのではないかと思います。
っていうような印象を抱いたのですが、
考えてみると、玄関って言うのは心理的な意味合いが大きいとは言えますね。
武家屋敷などでは、ことさらに玄関の「格式」などが強調される。
そういうのは、確かに身分制社会の象徴とも言えるわけで、
現代のような社会で、玄関というのをそのように見なす必要はない。
だとすると、空間要素としては外部と内部との心理的な「結界」要素が残る。
このあたりでは、世代的な違いというのも大きくなるものかも知れません。
この家の建て主さんは30代ということですが、
家としての他者との付き合い、というような部分は、
そう大きく意識していないのではないかと思われます。
それよりも「セルフ」の部分が拡大して、興味関心の方向が大きくなっている。
そして、そういう結界的仕分けも意識が大きくない。
なにか、そのような印象が強まってきます。

家というものも、時代によって変化してくるのは当然ですから、
このような変化も、ある意味、自然なものかも知れないと思われます。
たとえば竪穴式住居などでは、明確な結界などはありえない。
でもまぁ逆に言えば、玄関というものにまで変化が現れてくるほど、
現代は、人間の暮らし方とか、社会性というものがゆれ動きはじめているのか、
というとらえ方もあるかも知れませんね。
もうすこし、考察する必要がある事柄なのかも知れません。

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2008年08月12日

家相図

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保存のいい古民家で、写真のような「家相図」を見ました。
現代ではあまり顧みられることの少ない家相や風水ですが、
じっくり見ていると面白いものですね。
中国4千年の知恵というか、経験値がなんらかの形で込められているのだと思います。
方位学的なアプローチが基本なのでしょうが、
そういう意味では合理性が感じられる部分がありますよね。
いま、ちょうどオリンピックですが、
都市計画でも、こういう方位学的な方法が取り入れられているのだと思います。
大きな建物の形などには、知恵が加えられているのでしょう。

よく四神相応というような言葉がありますが、
図面にも白虎大道などという言葉が見られます。
風水というのは、奥が深すぎてまぁ、敬して遠ざかる、みたいなもの。
諸説がいろいろあって、風水で見ると江戸城などというのは
絶対に四神相応とはみなされないのに、
自分たちは「いや、四神相応である」というこじつけがなされている。
Wikkipediaには、
「風水には地理の別名があり、天文がかっては狭義の天文学と天象を基にした占いのアマルガムであったように、風水も狭義の地理学と地理を基にした占いのアマルガムであった。」
というような記述が見られます。
現代でも設計でもっとも重視されなければならないのは
「土地を読む」というような部分。
地形であるとか、地盤面、方位、風向きなどなど、
いろいろな「風水的」な検討が成されるのは当然ですから、
家相というのも、必ず行われているとも言える。

こういう図面まで残されているというのは、風水に乗っ取った設計だったのでしょうから、
相当のお金持ちの家だったことも表しているのでしょう。
こういう家相図は、たぶん施工の大工さんが頼んで図面を起こしてもらって
施主に渡したものでしょうから、そういう職業が成立していたのでしょうね。
思わずじっくりと見入ってしまった図面でした。

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2008年07月25日

超長期住宅の現状

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さて、延び延びになっていた例の200年住宅の件、
北海道が音頭を取って地域工務店などを組織化した「協議会」に採用の正式通知がきたようです。
内示のような発表があってから、さらに数週間遅延しました。
今年度中にすべての建築を終え公開の義務もある、という住宅。
ここからスタートで、申請業務、それと「性能評価」を受けることも義務づけられているので、
実際に交付金が受けられる住宅が建つまでにはまだ紆余曲折が予想されます。

そういうなか、本日、道庁で協議会の総会が開かれる予定。
そもそも申請総数が400棟を超えているのに
どうも道庁に示された交付総額は百数十棟相当というようなのです。
ということは、1棟あたりの交付金額を減額するのか、
総数を減らすのか、その両方で対応するのか、
「調整」が不可欠になってくる。
さまざまのタイムスケジュールを考えると、
ギリギリの局面の上に、この調整作業の困難さ・・・。
そこを見越した考え方も、事前に道からは示されてはいましたが、
さて、実際にそうなるとなると、各ビルダーさんもそれぞれに
お客様との打合せの経緯などがあるでしょうから、
調整作業が順調に推移するかどうか、まことに微妙なところ。

まぁ、事前に告知されている「交付金割り当て方法」とでも呼ぶべき基準は
さすがに行政組織と思わせるような「経験値」の様相でした。
住宅という業界ではあまりこうした交付金行政は経験がなかったこともあり、
「ほう、なるほど」と感心するような基準だったと思います。
ただし、今回は協議会が組織されているので、
もう一段階、調整が複雑にもなってきます。

こんな経緯をみていると、
良くも悪くも行政の補助金を武器にした業界調整、というようなことの
必然性をかいま見せてくれるようでもあります。
これまでは中央省庁だけでこういうプロセスが閉じこめられていたのでしょうが、
それが全国に拡大したとも言えますね。
今回は北海道という、地方公共団体が介在しているので、
より公開性が高く運営されている側面があります。
さて、どのような方向に向いていくのか、という現状です。
写真は無関係ですが、北上展勝地からの眺望。


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2008年07月16日

納涼の仕掛け

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ことしは、どうなんでしょうか、
北海道でも暑いと感じる日が増えているように思います。
日射しは強くて、その日射が乾燥した空気の中で
肌により強く感じる、っていうのが北海道の夏の特徴なのかも知れません。
なので、草木の陰影が強烈に感じられる。
なにより空気のなかの湿度の違いが大きいのでしょうね。
それに対して本州以南地域では
強烈な多湿が特徴。そういうなかでは
草木の陰影もなにか空気に融けていくような印象を持つ。
写真は宮城県の遠刈田あたりの別荘での様子。
風呂に隣接してこういうデッキを造作していました。
昼間の凶暴な高温多湿の暑さを逃れて
汗を流したあと、こういう空間でそこはかとない空気の流動に全身を預けて
「涼感」を探しながらたたずむ、という空間なのですね。
むせかえるような緑の空気感が、体全体に染みわたってくるようです。

こういうあたり、やはり北海道で育った人間には
ある羨望の思いが、どうしてもあります。
こういう民族的といえるDNA体験の世界から、すこしの隔たりがある。
今の時期くらいであれば、へたをすると
こういう空間そのままならば北海道では、寒い時すらある(笑)。
しかし、わたしたち北海道に育った人間も、そのルーツにおいては
こういう民族的な夏の空気環境体験を持っていて、
そういう気持ちが、ある寂しさをこころにもたらすのですね。
でも逆に、こういう部分の違いが、日本の中で北海道が特異的な部分なので
その環境の中で、どんな個性・「地方性」が育つのかが興味深くもある。
まだ140年なので、明確な形は見えてきてはいないけれど、
北海道内の作家たちの表現から、少しずつそういう部分が出てきているように思います。


きのう、水産漁業のみなさんがストライキをしましたね。
本当にきびしい現実が出てくるモノだと、慄然とします。
アメリカという国は、一説では全企業収益の40%を占めるほど、
いまや金融ビジネスが大きな産業領域なので、
その産業が求める「投機対象」を考えなければならない、ということなのか、
世界的な石油高騰に対して、
産油国すら危惧を持っているというのに、アメリカ政府としては動きが見えない。
金融ビジネスとしては、そのメカニズムは理解できるけれど、
結局は、既存の世界の生活システムをも脅威にさらしているというのが現実。
アメリカ政府が、この問題に対してどう対応を考えるのかどうか、
石油の価格上昇は、アメリカとそれ以外の世界というような
対立構造を生み出すことになるかも知れない。
北海道にとっても、このままの石油価格で冬を迎えることになったら、
どういう状況になっていくのか、不安ですね。


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2008年07月04日

岩手宮城内陸地震・住宅相談

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きのう宮城県栗原市で、岩手宮城内陸地震の被災住民に対する
はじめての住宅相談会が行われたということです。
宮城県のJIA支部からお知らせをいただきました。
地震などの場合には、建築士のみなさんが業界団体を通して
地震と建物被害について調査活動を行ったりしますが、
同時にこうした活動も取り組まれるわけです。
きのうは初日ということで、地元メディアなどから取材が相当数あったということです。

その報告によると、
被災状況のなまなましい現実が迫ってくるようです。
主な相談内容は
1 改築(建て替え)・改修の助成制度ならびに公庫・民間融資の相談。
2 全壊・半壊認定の中で、改修して住み続ける場合の地盤への不安や改修方法などへの指導願い
3 震災建物から発生した廃材・ガラス・サッシなどの処分先と、その費用について、など。
ということのようです。
まだ、初日ということで、相談件数は5組ということ。
相談は現地を見て話し合うというモノではなく、
あくまでも相談会場に来て、口頭で説明し合う形式が定められているので痛痒感があるとのこと。
まだ、行政の側で助成方法や人的支援がなかなか決定しないなかで、
毎日の生活上のストレスが積もっていく住民のみなさんの気持ちが伝わってきます。
今後、順次、各地域を巡回して相談会が行われるということ。

しかし、3のようなことを読むと、
身に迫ってくるような気がします。
こういう問題についても、地震大国だけれど、まだまだ対応が整っていないのですね。
結局は自力で直すとか、建て替えたい、というように意志を持ったとしても
あとで、地震との因果関係を証明する必要も生じる。
なので、客観的な資料や写真を自分で用意しなければならないということのようです。
そうはいっても、証明根拠として的確なものを作成するのも簡単ではない。
行政の側で支援策が決定するまでの時間ロスが生じて、
そうしたストレスは受忍し続けていなければならないのですね。
初期段階の人命救助から、復興生活支援まで
まだまだ、息の長い道のりが続くのだと思います。
今回の地震は比較的に建物への被害が
その地震規模と比較して少なかったとはいえ、
このようなプロセスはしばらくは継続するのでしょう。
ボランティア活動にがんばっているみなさんにも
本当に頭が下がる思いがした次第です。
<写真はJIA宮城支部からの配信資料より>


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2008年06月13日

美しい天井仕上げ

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写真は旭川での見学住宅の内装の様子。
下地に構造合板、まぁ、ベニヤを張って、
その上に押縁を押さえて、そのうえから塗装を施したという仕上げです。
単純な構成ですが
このように見せられると、なんともリズム感があって、
そう高くはない素材の組み合わせなのに、
高級感もしてくるような工夫のある仕上げだなぁと感心します。
色合いも馴染む絶妙な感じがあって
こういうディテールだと、毎日見上げていても
微妙な陰影とかが、陽のまわり方に連れて変化を見せてくれると思います。

屋根面なりの天井で、この部分は平屋ですが、
天井の高さがここだけは少し高くなっていました。
別に吹き抜けでなくても、
非常に心地よい空間が出来上がります。
屋根の傾斜も緩やかでいて、変化にも富んでいて落ち着いている。
まぁ、たぶん、そういう要素すべてで調和することが
内装の「似合い方」で大きな部分なのでしょうね。

おとといは白金温泉から一度札幌に戻って
いろいろ仕事の段取りを付けてから
仙台へ移動。スタッフとの打合せをすませて
JIA宮城支部のみなさんへ講演プレゼンテーション。
最近はたくさんのプレゼンデータを作成しているので
とっかえひっかえ、お見せいたしておりました。
北海道での動き、最近はたいへん多いので、
何からお話しすべきなのか、迷うところですね。
他の地域に来るとやはり、200年住宅への地方自治体としての応募、が
高い関心を持って受け取られるような気がします。
「北海道のビルダーさんはいいですね」と、
うらやましがる人たちが多いと思います。
来週は環境総合展がいよいよ、開催されるのですが、
その準備がいろいろに時間的に迫ってきて、
きょうも寸暇を惜しんでのパソコン作業が続きます。がんばらねば、ふ〜〜〜っ。


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2008年06月11日

「淘汰の時代」の始まり

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きのうは北海道の建築ビルダー組織「アース21」の定期的な例会で旭川、白金温泉へ。
さすがの山奥温泉街と言うことで、PHSも電波がキャッチされません(泣)。
わたしはだいたいが早起きなので、早朝、一日が始まる前にはブログをアップするのを日課にしております。が、久しぶりの遠隔地ということで、アップがすぐにはできません。
でも、習慣というのは恐ろしく、どんなに環境が変わっても、時間に対する感覚は変わらない。
なので、いまは早朝5時なのですが、ブログ原稿だけは先に書いておいて、あとでアップしようと考えています。たぶんアップは午後になるものと思われます。

この時期になると、朝は早いですね。
けさはいつも通り4時半頃に目覚めたのですが、夏至寸前ということでまったく昼と変わらない明るさであります。
さて、きのうからの例会・勉強会では、異口同音に経済状況の厳しさが語られておりました。
そのなかでの発言で、ある設備事業者さんの言葉で、同業他社の社長さんたちのなかには、「いまどき仕事なんてあるわけないけれど、そのうち必ず仕事は循環しはじめるさ」というふうに、諦めきっている、という発言がありました。
という状況なんですが、さてどうなんでしょうかね。
今回の建設需要の落ち込みは、単に循環型のダウンというよりも、「淘汰の時代」の始まり、というようにも理解できる部分があると思います。
発注量の大幅ダウンが日常化して、受注側が激しく選別される状況がいよいよ始まった、というような感覚がいたします。
きのうまで触れていたような「人口減少」が、その心理的な部分で大きなうねりを見せて始まってきたような感覚。きのうも旭川市内の住宅見学をしてきたのですが、需要の先食いが20代まで狙ってきている様子が見て取れました。さらにこういう状況から、投資を抑制しようという意識が相当浸透を見せてもいると思います。
ある事例では、高齢のお母さんがひとり暮らしのために似合った住宅に建て替えようとしたのに、やがて残される子どもさんたちがそれをやんわり引き留める、ということ。
そういう部分まで、先行きに対する不安感の方が強くなってきているのが実情なんでしょうね。

こういうなかでは、やはり先行きに対するテーマの設定が一番大切なのでしょう。
それが単純なバラ色のものではなくとも、明確にして、自分の立ち位置を見定めていくことが、状況を乗り切っていくのに一番必要な「羅針盤」になるのではないでしょうか。

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2008年06月05日

リフォーム活況

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住宅リフォームの状況が良いようです。
この業種には、「建築確認申請」に該当するような「情報のダム」機能を果たすものがありません。
したがって従来から、専業事業者さんからの直接の聞き取りくらいしか
的確な顧客動向を確認するすべがありません。
なかなか、把握できないんですよね。
なんですが、聞いてみると最近、団塊の世代からの注文が増えてきているということ。
色々と考えていきたいと思っています。

なんですが、
一般のみなさんがリフォームの情報に接するのって、
一番身近なのが、チラシの情報でしょうね。
で、面白いボード告知が以前に行ったビッグサイトでの催事で見たので、
上に張っておきました。
リフォーム工事って、とにかく値段がわかりにくい、というのが
一番大きい問題なんですが、
そういう消費者心理をお知らせする告知ですね。
業界って言う形でクローズアップしにくいのは、この問題が大きい。
そのなかでは、某社の新築の半分くらい、っていう宣伝は効果的のよう。
一般的には、モノの値段を表記して、それがいくらで入れ替えられます、
というような告知が多い。
そのポイントに徹底的にこだわって、小口需要専門に特化するという業態もある。
まぁ、いろいろなんですが、
考えていかなければいけないポイントですね。

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2008年05月29日

デザイナーの建築造形

7297.jpg

さて、先日、新住協総会が行われていた安比高原のホテル。
リクルートさんがバブルの頃に建てたリゾートホテルだそうです。
で、造形や色遣いが面白くて、聞いてみたら
専門の建築設計者ではなくて、亀倉雄策さんがデザインした、ということが判明。
亀倉雄策さんは故人ですが、
日本のグラフィックデザインでは、超有名な方です。
1957年 - 通産省(現・経済産業省)のグッドデザイン賞のロゴマークを手がける、
ということだそうで、まぁ、大家・大御所という存在。
そういう方ですので、こういうデザインの基本造形をしたのでしょう。
それと独特な色合い。
普通っぽくない、まことにシャープな印象という仕上がりですね。

なんですが、この建物の用途と、置かれた環境との見合いで考えたら、
いろいろに意見があるところでしょうね(笑)。
やはり建築のデザインと、造形デザインの違いというようなものに
ちょっと気付かされるような気がします。
やはりものづくりなので、
建築って、可能な限り美しくしなければならないのは当然ですが、
このような造形の「おもしろさ」とか「奇抜性」というのは
それを優先して考えるべきではないような気がします。
というか、あくまでも周辺環境との調和性とか、
その中に置かれることでの意味合いの部分での存在感、というようなものではないか。
造形のデザインって、どこにあっても同じというものでしょうが、
建築はそこに存在する、という意味合いが強烈なのではないか。
そういう事柄への配慮というのが、建築が持つべき姿勢であるような気がします。
どんなに奇抜であってもいいけれど、
それがそこに存在することで、ある「いごこちのよさ」につながっている、
という部分がとても大切なのではないでしょうか。

面白いけれども、
どうもここにこういうものが存在するという、存在感が希薄。
べつに亀倉雄策さんがどうこうではなく、
この建物を見ていて、そんな思いに駆られていました。
まぁ、リゾートなので別にいいとは思うのですが、
ちょうど、ある漫画家のデザインした自邸の色合いが
周辺住民から問題を指摘されているというようなことを想起させるものも
一部に、かすかに感じさせてくれました。
そういうようなのが、建築としての安心感の部分には不可欠なのだと、
あらためて思わせてくれるという意味では、逆に意味もある建築だと思います。
やっぱり「いごこちがいい」ということが
最大の評価軸なのではないでしょうかね、建築って?

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2008年05月21日

第2回東北住宅大賞授賞式

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先週金曜日、表題のように表彰式が行われました。
大賞受賞は秋田県出身の建築家・納谷学、新さんの兄弟です。
昨年もお父さんの住む実家、能代の住宅で応募されましたが、
惜しくも優秀賞に終わったので、ことしはリベンジということ。
受賞作品については、現在発売中のReplan東北版最新号で掲載していますが、
築後150年近いという民家の再生型リニューアル。
こういう民家が、そのデザインと愛着を維持しながら、
最新のデザイン感覚で再生され、ながく残っていくように改修されたもの。

というような次第になったわけですが、
東北の住宅に限らないのですが、建築家の役割として
既存住宅をどのように現代的なすまいに作り替えていくのか、
その想像力とデザイン力がおおいに発揮されなければならないと思います。
納谷さんは、どちらかといえばシンプルモダンデザイン的な志向性の建築家ですが、
今回の再生住宅ではみごとな古材の迫力を活かした
光の投入の仕方を見せてくれていました。
古材の堂々とした質感に対して徹底して白壁を対比的に置いていって、
コントラストが明快な空間を作り出しました。
既存状態では、防寒のためにその下側に天井が張られていたみごとな梁が
そのまま表しになって、外光のいろいろな入り方に沿って、
時々刻々と変化する表情を見せていました。
ひとつの古民家リフォームの可能性を表現していると言えます。

今年以降も、この賞は継続していくと言うこと。
とくに、ことしはJIAの大会が仙台で開かれるので、
その目玉イベントとしても行われるようです。
ぜひ、大きな盛り上がりを見せていって欲しいと念願しています。

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2008年05月20日

水と建物のデザイン

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写真は恵庭カントリークラブというゴルフ場のクラブハウスの様子。
コテコテのアメリカンデザインで、豪華絢爛という
きわめて装飾的な建物だったので、ついシャッターを押していたなかの一枚です。
ゴルフ場としての事業計画は、当初のものはまったく破綻して、
経営的には行き詰まり、倒産して、その後、経営母体が転売を繰り返してきているというもの。
なんですが、ここまで豪華絢爛というものなので、
「もったいない」ということなのか、
こういう写真のような状態が維持されているのです。
はじめの計画では、北海道で一番のゴルフ社交場を目指していたそうなので、
立地的にも、北海道地元のメンバーと言うよりも
広く全国的なメンバー構成を考えて、豪華施設を作ったのでしょう。
ゴルフ不況が叫ばれて久しいのですが、
いまでも、けっこうなプレーフィーを取るということ。
まぁ、わたしどもはシーズントップで正式オープン前だったので
超格安で入場できた次第なんですけれど(笑)。
しかし、こういう噴水装置まである人工池なので、
維持管理費用だけでも相当にかかる。
すごいものだなぁと、他人事ながらびっくりさせられていたのです。

こういう池とか、水を建築的に活かす、というのは
大変ポピュラーで、世界標準的な考え方ですね。
飛鳥朝時代、蝦夷のための宮廷の外交的「迎賓施設」に、
こういうプール装置がしつらえられていた、という記録も残っていて、
その復元土木の写真も見たことがあります。
金閣や、平等院鳳凰堂、平泉の庭園など、
日本の建築でも、たいへん事例が多い。
海外の住宅地でも、高級層を狙う場合には
多くの場合、池や湖を囲むように造成する。
わかりやすくて、そういう水辺に近いほど価格が高く設定されている。
水の果たす背景的な役割、
外観を引き立たせる、建物内部視線からは、もっともシンプルで不変な
「自然の感受装置」という意味合いが込められるのですね。

しかし、このゴルフ場クラブハウス、
確かに建築的にはよい建物であり、その佇まいも味があるのですが、
こういう素晴らしいものでありながら、果たして残っていくものかどうか、
どうも疑問に感じます。
いわゆる、地元性というようなものは感じられない。
やはりバブリー、という印象の方が強烈すぎて、
「愛着を持って、存続させていく」というふうには感じられない。
なにかが違うように思いますね。
絵的には美しいけれど、どうも親近感とは違う感覚が襲ってくる。
デザイン的にわたしたちのDNAとは異質なので、
無意識のうちに、これは自分たち自身とは関係ない、というように思いこむのか。
いや、単純に一般庶民的なひがみなのでしょうかね(笑)。


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2008年05月19日

建物の装飾性

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仙台の街では、市内各所にあった寺院建築を駅東側に
一括して移転させて、「新寺町」という地名の街区を作っています。
お寺というと歴史性を感じさせる「古美」た風情というのがポイントですが、
この一帯では、むしろ建築としては新しいものばかりで、
わび、という感じがイマイチ、いたしません。
わが社の事務所はこの地域にあるのですが、
むしろ事務所のほうが「古びた」鉄筋コンクリートで、風情を感じるほど(笑)。
という次第なんですが、
やはり寺院建築では、そんなにおかしな「新建材」などを使うことは少ないので、
まっとうに年をとり続けているようなところは感じられます。
素材の若々しさは目にそのまま感じられるけれど、
これからが素材の味わいがだんだんに出てくるものなのでしょう。
最低、百年くらいの風雪を経ていかないと、
「わびさび」というような建築的な味わいには到達してこないのでしょうね。
出江寛さんのお話しに、
「わびとはなにか?」という疑問への答として、利休の師匠である
武野紹鴎の残した、
「わびとは、正直で、慎み深く、おごらぬさまを言う」という言葉が紹介されていました。
出江さんにお話を聞いたら、出江さんは京都の出身と言うことで、
小さいときから、古いお寺などで遊んで過ごしてきたのだそうです。
自然にそうしたことへの感受性が育てられる環境にいた、ということ。
この言葉そのままに理解すれば、
建築としての有り様というものが見えてくる部分があるでしょう。
きっと、そういう部分が本質的なものなのだろうと感じられます。

一方で、お寺さんの建築には奥行きのある装飾性もあります。
写真にあるように、ゴテゴテとは言えないけれど、
過不足なく、随所にデザインが施されています。
大きな意味では、単純な三角の屋根の造形を引き立てるような役割を担っているのでしょうが、
ひとつひとつの装飾は、感覚がおもしろいものばかり。
ディテールを見ていると、ちょっと時間を忘れるような気がしてきます。
「あれはなんの意味を持っているんだろうか?」という素朴な疑問が
次々に起き上がってきて、ひとがそのものに託した機能や思いを
思念し続けるような時間を味わうことができます。
そういう思いが、ふたたび、単純な外観プロポーションに戻ってきて
カタルシス的なものも感じられるようになる。
多くの人間が見続けてきたお寺などの建築デザインには
そういうさまざまな「仕掛け」が詰まっているのだろうな、と思われます。
まぁ、こういう新しいお寺さんは、伝統的美感の
「しきたり」を忠実になぞっている、というところなのでしょうが、
それでも、いろいろに想像力を膨らませてくれます。

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2008年05月17日

JIA出江寛次期会長

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きのうはJIA東北支部のいろいろな催しがあり、参加してきました。
わたしも審査委員を拝命していた「住宅大賞」の授賞式などのイベントもあり、
折からの青葉祭り前日の仙台メディアテークで行われました。
ことしは17年ぶりにJIA全国大会が仙台で開かれると言うことで、
それに向けての「プレ大会」的な催しになっていました。

写真は来賓として、というか、
その迫力のあるメッセージは、とても「来賓」というような穏やかさではないのですが(笑)
元気いっぱいの「旬のひと」JIA出江寛次期会長の講演も聴くことができました。
ことし、JIAの会長職ははじめて選挙で選ばれることになり、
立候補を表明した出江寛さんと、現職の仙田満さんのあいだで争われ、
出江寛さんが当選して、6月からは新会長となるのだそうです。
自ら立候補して、政党の党首選挙並みに「公約」を掲げ、
その実現の道筋も、ロードマップで示すという公明正大な姿勢を通しています。
その主張されるところは至ってシンプル。
国、国交省に対して「建築家」という存在を証明させるということに尽きるでしょう。
建築士という制度がさまざまな矛盾を抱えてきている現状で、
それを打開して、革新しようと努力されています。
お話しの中で、安藤忠雄さんとのやり取りが紹介されていましたが、
世界の建築物の設計料は、実施をともなわない基本設計だけでも
かれ、安藤さんは建築費の20%をいただけるそうです。
それに対して、日本の公共建築の設計料は2%なのだとか。
しかも、それすらも「随意契約」であるならばまだしも、
「競争入札」で安売り合戦を強いられるというのが現実なんだとか。
そういう結果、世界的に活躍する安藤忠雄さんですら、
「所員に、満足な給料を支払うことができない」
というようになるのが実際のところなのだそうなんですね。
こういう現状に対して、究極的には「建築家法」の制定を目指して
建築家の地位向上の運動を展開しようというのが出江寛さんの主張。
具体的には、台湾で実施されているというシステムですが、
建築確認と同時に、「設計契約書」を添付することを義務化させようという作戦。
設計という行為が「無料」です、というような
社会風潮に歯止めを掛け、コンプライアンスを明確化し、
最終的には消費者保護につながるような改革に着手しようというのです。

やはり人間の価値は、社会のためになることに
私心を捨てて立ち向かおうとする情熱の部分だろうと思います。
自分の役割も明確に示して、責任を持ってなすべきことを成そうとする迫力は
十分に伝わってきた気がしました。
ぜひがんばって欲しいものだと共感の気持ちを抱いた次第です。

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2008年05月15日

建て替えの間取り

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写真は先日取材してきた盛岡市のお宅。
岩手県の民間で行っている「エコハウスコンテストいわて」で
大賞を受賞した住宅です。
熱損失係数はほぼ1を切るレベルで、暖房はヒートポンプを採用。
随所に熱環境性能を追求している高性能住宅です。
ということなのですが、
この家は実は老朽化した住宅を建て替えたもの。
施主さんの要望は、なによりも暖かく快適な住宅性能というものだったので、
その要望を最大限、現状で可能な限り実現させているのです。
一方で、暮らし方とか、ライフスタイルとかの面では、
特段意識しないで、設計者と打ち合わせるウチに、
だんだんと、前の家のプランに行き着くようになったということ。
なので、最終的な間取りプランは前の家と大きな変化がないのだそうです。

まぁ、面白い結果にはなったなぁと、
建て主さんと設計者は笑い会っていたのですが、
こういうの、取材しているとときどき見かける事例です。
間取りって、知らず知らずのうちに生活ぶりに溶け込んでいて、
同じ敷地に建て替える場合、間取りを変えないというのは、
ある意味、合理的で「継続性」の面で理にかなってもいます。
せっかく建て替えるんだから、と思う部分もあるのですが、
その家を使っていくのは建て主さん。
生活の仕方、流儀のようなものって、出来上がっているとすれば、
それをあえて変えなければならない、という理由はない。
あさ、起きたらこの方向に行けばトイレがあり、
そこから新聞を取りに行って、居間で新聞を見ながら、
お茶を沸かす、みたいな「生活習慣」は、そのひとがたどりついたもの。
そういう部分にも変化を求めたい、という希望も理解できるけれど、
たとえば、高齢者の場合には
そうした部分に過度な変化を与えない方が「安心感」を持てる。
まぁ、人によりけり、ということもできますが、
案外、こういう継続性の方がいいというケースも多いんですね。

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2008年05月06日

近隣騒音〜国民的論議?

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すっかり忘れていましたが、
実はわたし、プレジデント社の「Famiiy」誌6月号で取材を受けて掲載されています。
「親子の「困った!」すべて解決70問」という特集を組まれていて、取材を受けた次第。
その特集の中に「近隣騒音」問題があり、そこに登場しています。
現在書店で販売中ですから、参考までにごらんいただければ幸いです。
こういうブログとは違った発表の場なので、
比較的自由に表現できたと思っています。

なぜ思い出したかというと、
住宅クレーム110番の方に寄せられた投稿をチェックしていて、なんです。
まぁ、毎日のようにこうした悩みが寄せられます。
いろいろ、建築的解決法から話し合い手段を探る手だてまで
提案もしてきているけれど、一向に浸透しない。
なかなか、単純な解決策は見あたらないし、事情自体は個別的。
この問題って、そういう部分を持っているんですね。
で、たまたま本日寄せられた投稿の中に
「ほとんどの共同住宅の半分以上が抱えてる問題だと思うのに
何故改善されないのでしょうか?」
という部分があったのです。
言われてみて、なるほどその通り。

この問題、被害を受けている立場も、出している立場も、
同様に「個人として」、放り出されているに等しい立場なんですね。
わたし自身でも、賃貸アパート・分譲マンションと
経験してきているけれど、公共的な問題として社会的に提起されることは少ない、
と感じてきています。
わたしの場合は、無意識な解決法として結局戸建て住宅を選択したのですが、
多くのみなさんがそのように解決できるわけではない。
とくに首都圏のみなさんには、逃げ場があるものでもない。
NPOを立ち上げて10年近く、HPで住宅問題を考えてきた立場から言えば、
この問題、そろそろ、国の機関が本腰を入れて
取り組んでいくべきなのではないかと思われますね。
いまは政府は、目先ばかりで迷走している状態だけれど、
この問題はすでに国民的な大問題。
であるのに、論議の場も用意していないというのは、
政治家・官僚組織とも、怠慢の極みなのではないかと思うのです。
というようなことを思案し続けております。
なにか、ご意見をお持ちの方、お聞かせいただけないでしょうか?
どうかよろしくお願い申し上げます。

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2008年05月04日

近隣MS建設計画

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近隣に計画中というマンション。
町内会からは何回か進行状況についてのお知らせが来ていましたが、
とんと事業者側からは連絡が来ない。
そうこうしているうちに町内会から回覧が来ていたのを
確認し忘れていて、見ていませんでした。
で、はじめて連絡書を見たのが「打合会」当日の午後3時。
打合会なるものは、1時から4時までというように書いている。
とはいっても、書類の日付が4月29日で、5月2日の開催というスケジュール(!)。
29日は祭日ですから、考えてみたらすごい日程ですね。
たまたま当日はスケジュールが空いていたので、時間は遅れましたが、行ってみました。
町内会さんから、期日未定の段階で、ぜひ来てくださいと念を押されていたのです。

行ってみるとこの会の趣旨もはっきりしない。
建築事業主に対しては、再三町内会側の希望として
「説明会」を開催して欲しい旨、申し入れているけれど
そういう全体的なことはしない、あくまで個別に説明して歩く、ということ。
なので、この集まりというのも、町内会役員が事業者側から
個別説明の結果を聞くという名目での会、というものでした。
なにか、どうにも意味不明の対応です。
わたしの事務所も日影が冬期の昼前後2時間ほどは掛かってくるので、
当事者でないことはないと認識しているのですが、
「事業者側」の話によると、直接隣接している10m以内の住戸に対しては
説明義務があるけれど、わたしのような場合には
「言われたら説明すべき」というような法律になっている、という説明。
そういうものなのかどうか、その根拠法も示されないので、
こちらとしては、あとで確認するしか方法はありません。
それと、そもそも「事業者側」というのが「代理人」なんですよ。
マンションの建設って、地域の住民にとっては
直接的には日影問題が大きいのですが、そのほかにも
工事中の騒音から、舞い上がる粉塵などもあります
もっと根源的に言えば「眺望権」の侵害ということもあるわけで、
「事業者」が地域に「迷惑を掛ける」のは間違いがない。
ことにこの地区は古くからの住宅街で、近くの山が見えるのが好きで
暮らしているという人たちも多い土地柄。
そこに後から入ってきて、そのひとたちの眺望を奪って
一方では「眺望バツグン」というようなPRで販売するのは目に見えている。
それなのに、事業者側が直接出てこない、というのでは
面倒くさそうなことから逃げようとしているというのが一般的な理解。
そういう態度であれば、こちら側も迷惑の部分を訴えていくしかないと思われます。

住宅クレーム110番という相談も受けている立場でもあるわけですが、
こういうような問題って、自分に降りかかってきたのは初めて。
単純に「地域エゴ」を主張するという考えはないのですが、
しかし、だからといってマンション建設業者の好きにしていいことでもないと思います。
考えていた以上に、事業者側って勝手なもの、という印象。
もうすこし、地域に配慮したコミュニケーションを取れないものなのでしょうかね。

<写真はまったく無関係のものです>

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2008年05月01日

200年住宅の補助金

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きのうは北海道庁で、例の国交省の補助金政策、
200年住宅についての北海道としての対応の説明会が開かれました。
北海道として、道内の住宅企業と連携して
北海道が窓口になる形で、この政策の受け皿になろうという次第です。
そのための企業側との会合、内容の説明会、ということでした。
連休の谷間にもかかわらず、広い会場がいっぱいになる盛況ぶり。
ざっと、200人は下らない人数の住宅企業が集まってきていました。
昨年の建築基準法の厳格化によって、政府発の不況が現出し、
その失地回復に懸命の国交省は、総額130億円という補助金政策に乗り出しています。
しかも、この金額は単年度だけではなく、今後5年間は継続する考えとか。
その材料になっているのが、超長期寿命住宅という性能面からのアプローチ。
福田総理が長い間住んでいた米国での経験から着想した政策。
この政権の先行きがどうなるのか
たいへん不透明感は漂ってきていますが、
国の政策としてスタートする以上、簡単には後戻りもできないでしょう。
一方で、北海道としては、この機会にこれまで取り組んできた
「北方型住宅」というものを大いにアピールし、
その施策スピードを上げていきたい、という考えは理解できるところ。
全国の地方公共団体として、今回のような
「拙速な」国交省の施策に対して、ビジョンを提示できるのは
たぶん、例外的に北海道だけではないかと思われます。
すでに「北方型住宅」という取り組みをずっと継続してきていて、
実績もあるわけで、国交省から開示があってから
応募の締め切りが1ヶ月しかない、というような即決型政策に
対応可能だったということだと思われます。

各住宅企業にとっても、
締め切りまでの時間のなさから、今回は単独での対応は難しい。
その意味では、北海道が提示したプランに乗るしか、
対応はないと思われます。
それにしてもあわただしい。きのうの説明会から連休も挟むというのに、
企業側応募の締め切りは5月7日、それも午前中必着(!)ということ。
でも、そういう日程でないと、今回の国交省の補助金政策には間に合わない。
北海道は、前述したような経緯があるからなんとか
「内容があって、可能性が高い」提案が可能ですが、
さて、全国のほかからはどのような応募が出てくるものなのか、
逆に見物とも言えると思っております。
普通に考えれば、付け焼き刃で実績の乏しいものが、それこそ
雨後の竹の子のようにたくさん出てくるのでしょうか?

いずれにしても、補助金である以上、
最終的にはダムを造るのと同じなわけで、
税金の使い道というか、ばらまきであることには変わりはない。
今回のこの拙速ぶりが、どのような結果に至るのか、
ハラハラしながら見ていかなければならないなと、思っております。

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2008年04月19日

スクラップ&ビルド・・・

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最近、わが社事務所周辺では活発に建築が行われています。
大型MS建築については先日も触れていますが、
そのお隣、ちょうどわが社の目の前では、
セブンイレブンとなりの民家が先日取り壊されていました。
この民家って、どういう経緯で建てられていたのか、わが社が引っ越してきてから
つい3年前くらいに古い家を壊して建てられていたものでした。
大きな20m道路に面して建てられていたのですが
どんな建物が建つのかなぁ、と見ていたら
なんのことはない、ごく一般的な住宅だったので、へぇ〜と思っていた次第です。
で、そういう新築物件が、先月くらいに解体されていたのでびっくり。
おいおい、まだ2〜3年じゃないか、と思っていたのです。
で、その後、土工事・基礎と建築が進み、
どうも平屋っぽくて、さてなんだろうと思っていたら、
こんどはセブンイレブンが解体工事。写真はその様子。
っていうあたりで、ようやく工事の人に聞いたら、
セブンイレブンが角地を嫌って、一軒ずれて建てたい、ということになったようなのですね。
それで、既存の建物を解体して撤去し、
お隣の建物と敷地を買収して、角地は駐車場にしようという考えのよう。

どうやらそういう流れのようなんですが、
この間で、2軒の建物が解体されているのですね。
商業的目的とはいえ、ちょっと荒っぽいなぁと思います。
CO2削減とか、最近、そういう周辺のことが頭をよぎっているので、
余計に、そのような思いを感じるものかも知れません。
新築時にはCO2は約10tくらい排出されるし、解体には3tくらい排出される。
そのように考えると、短期間に、って3年前の正面の家の新築も含めると
新築が2軒に、解体が2件。都合26tくらいのCO2が排出された計算になる。
なんとなく、息苦しい感じもしてきそうです(笑)。

まぁ、このセブンイレブンには先日、車が突っ込んだりして、
幸い、人的被害はなかったのですが、
角地って、けっしていい立地環境とも言えない、というのがきっかけではあるのでしょうね。
店舗としての安全性を最優先して考えての結果だとは思われます。
しかし、それにしてもちょっと、すごく無駄という気もします。
どうなんでしょうね〜〜〜。

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2008年04月13日

ガンプラフェチ

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ひとにはさまざまな「嗜好」の世界があります。
フェティシズムというものですね。
わたしのような年代、1950年代生まれのような人間って、
団塊世代の一番最後なのか、
それより下の年代の先駆けなのか、
よくわからない部分があります。
でも、確実によく見えないフェティシズムとして、ガンプラフェチってものがあります。
プラモデル自体は、わたしたち戦後少年たち一般に
耽溺した時期を持っているケースは多いと思います。
しかし、このガンプラフェチはちょっと異質。
ガンプラフェチって、その後、けっこう長く続いているようで
いまでも、ウチの坊主なんかガンプラを作ったりしていますね。
まぁ、わたしなんかは比較的にこういう心理は理解できる部分もあります。
考えてみると、プラスチックに対する「親近感」の差のような気もしてくる。
わたしより上の年代の人には、プラスチック一般に対して
否定的な感覚の人は多いように感じる。
わたしなんかは、自分でもプラモデルを一生懸命作った記憶があって、
そういう嗜好記憶の延長で、ガンプラっていうのも理解はできる部分がある。

しかし、先日伺った弘前での取材先のお宅、いや、オタクと書くべきか(笑)
では、そのガンプラフェチの濃密感にタジタジになりましたね。
子どもさんのいないご夫婦なんですが、
家の中心的な居室はオーディオAVルーム兼フェチスタジオなんです。
食事を作る、食べる、くつろぐ、
というような家の機能性部分はむしろ付帯的な「装置」のようなんですね。
子育ての機能が家にないとすると、趣味生活的な部分が大きな位置を占めると言うことなんでしょうか。
音響や映像には大変なこだわりぶりで、まぁ、映画館以上の臨場感。
でもそれ以上に感心させられるのが、写真のようなガンプラフェチぶり。
これはもちろんごく一部で、まぁ、至る所に飾られておりました。
40代くらいの人から始まって、30代の幅広い年代に
こういう嗜好傾向は広がっているように思います。
ガンプラフェチの設計者なんて言う方もいるし、
仙台にはガンプラフェチのための専門ショップができたりもしています。

人間の暮らし方、生き方、感じ方は
こういう部分でも規定されてくるものなので、
家づくりに反映してくるのも理解できる部分ではあります。
考えてみれば、茶室なんて言うのも、こういう心理の
究極的なものとも言えなくはない。
ガンプラを愛でるための空間装置っていうのが論議されるようなことが
今後あるかも知れない、なんて思えてきますね。
ちょっと、妄想が膨らみ過ぎかなぁ(笑)。

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2008年03月28日

地下水利用融雪

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きのうは秋田県湯沢市で撮影してきました。
写真はことしの3月はじめに同地に行ったときに出会った光景。
今年は融雪が早く、もうほとんど消えかかっておりましたが、
以前から聞いていた日本海側地域での地下水融雪の様子を見ることができたのです。
写真ではちょっとわかりにくいとも思うのですが、
地下水を使っての融雪なので、
土中からの泥水から、このように地中成分として出てくるのですね。
北海道と違って、夜になっても温度低下がそれほどでもないので、
このように地下水を散水しても氷結の心配をしなくていいようです。
こういうことを北海道でやったら、
一面のスケートリンクで、大変なことになるでしょうね(笑)。
でも、一度、北上でもこういう光景に遭遇したことがあり、
北上ではやや凍結もしていて、
そういう道を歩くと大変危険な思いをしたことがあります。
微妙な気温状況変化が、起こりうることなので
判断は難しい部分があるのだろうと思います。
季節の風物詩としてみると、なかなかに風情のあるものではあります。
ただし、靴が濡れる心配もあるので、
融雪中は歩行に気を使う必要があることでしょう。

湯沢市ではこのような地中成分の湧出が見られるのですが、
このあたり、事情はその土地の地盤構成によっても変化するそうです。
このような土の色は、土中の鉄分量が多い場合の特徴だそうです。
融雪後、こういう成分がホコリとして空中に舞うことになるでしょうから、
春先には花粉症原因になることも推定できます。
まぁ、どんなことにもメリットもあれば、デメリットもある。
その土地ごとで、知恵の使いようではあると思いますね。
話は変わって、ことしは北海道では灯油熱源でのロードヒーティングが
激減していたという話題が聞かれます。
折からの灯油の大高騰が、切実な問題として結果したのでしょう。
そういう意味では、3月に入って順調に融雪が進んだことは
北海道の人間にとって、まことにありがたいことでした。

と、書いていたら、なんと、久しぶりに窓の外は雪が降っています・・・。
春まだ遠し、一本調子ではいってくれないようですね。
って、ことしはもう車のタイヤ、履き替えちゃっているんです。
やれやれ困ったなぁ。

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2008年03月24日

デザイン神棚

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弘前での取材先で見つけた神棚です。
神棚って、廃れていそうで、実際に取材に行くとほとんどついているもの。
仏壇は少人数の核家族というのが一般的になって、
まぁ、だいたいはその家で亡くなる方がいて、はじめて作る、購入する
というのが一般的。
なので、新築当時はほとんどが造作されていないというケースが多い。
その傾向は北海道の方が高いものがあります。
しかし、ひるがえって、神棚の方は案外、ない家の方が少ない。
家を新築するときに御祓いをしてもらう関係からか、
神様の方が縁ができやすいということを表しているのでしょうか。
というようなことなのですが、
伝統が生きている地域では、大工さんの手作りというのが一般的。
というか、大工さんからの新築祝いとして、神棚プレゼントが多いのですね。
職人らしく、手作業をプレゼントにするという伝統。
で、この家では、シンプルながら、
ちょっと使い勝手にも配慮したスッキリデザインの神棚でした。
この家は、設計者の関与している住宅なので、
たぶん、設計者が新築祝いに大工さんに設計図を渡して作ってもらったものでしょう。
神様の祭壇を載せる台はシンプルな平台。
その上にまぁ、よく売っている祭壇が載っけてあります。
ふつうならば、その平台の上に飾り物やお供えも載せるのですが、
それだと、毎日、お水を買えるときにもいちいち踏み台を用意して
やらなければならないことになる。
神棚って、大体が2m以上の高さの位置に据えられますから。
で、毎日大切にしたいと考えれば、
水を載せる台など、このように段違いにして下にあると便利。
注連縄もこのように付けるとまた、変化があって楽しい。
微妙だなと思うのは高さ。毎日使うのに頭がぶつかるようでは困る。
その点、絶妙な高さに据え付けられているので、その点もセーフ。

そんな作られようの神棚ですが、
出来上がってのスタイルは、実にスッキリとしたプロポーション。
ここは吹き抜けに面しているので、上を人が通ることもない。
悪くないモダンデザインで、家の雰囲気にも合っている。
ちょっとした部分ですが、モダンと伝統との融合という感じで
ほほえましいと思った次第です。

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2008年03月21日

ティッシュボックス

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先日の取材先で発見したデザインティッシュボックス。
不勉強で、こういうの初めて見ました。
なんでもDUENDEというブランドが作っているモノなんだとか。
そのHPには、

Duende(デュエンデ)は2002年9月にスタートしたコンテンポラリーな家具とインテリアプロダクトを紹介するプロダクトレーベル。毎年ロンドンで開催される世界的に名高い「100% Design」への出展からスタートしました。
ミニマムな中に温かみを感じるようなデザインをコンセプトに商品開発しています。
日本の生活の中から生まれたデザインを世界へ。
海外の生活から生まれたデザインが日本へ。
様々な国籍、様々な素材、様々なカテゴリー、それらうまくコーディネートし、
国境にとらわれずどの国でも親しんで頂けるプロダクト作りを目指します。

というふうに紹介されていました。
で、このティッシュボックスは

横置きが定番のティッシュケースを縦置きにする事で、従来に比べ、より最後までティッシュをスムーズに引き出す事が出来ます。
縦置きのフォルムは、省スペースですっきり見せられ、パウダールーム・デスクトップ等様々なシーンをさり気なく演出できます。底面が広がっているため安定感があり、ティッシュを引く力程度では倒れる事はありません。2006年日本産業デザイン振興会グッドデザイン賞(Gマーク)を受賞。

ということなんだとか。
2006年受賞ということなので最近のプロダクツですが、
日本的な生活からのデザイン発信という志向性が伺えて
なかなか好感度が高い製品だと思います。
わが家でも、食卓などにティッシュボックスが置かれていますが、
どうにも納まりが良くない上に、ぬいぐるみみたいなのに入っていて、
「モロではない」という程度の装飾性のものしかなかった。
どうやってこれ、入手したか聞いたら、結婚式の引き出物でもらったそうで、
HPで値段を調べたら3600円するそうです。
どっかに売っているんでしょうが、
なぜかHPでは通販していないようです。
こういうの困りますね。
せっかくいいなと、情報を見て感じても、
問い合わせしなければいけないとか、お店で探さなければならない
というのは、忙しい現代人には難しい。
すぐその場から、買えるようにすべきですね、
とくにこのようなニッチタイプの商品については。
買いたいなと思っているのですが、そのことをすぐに忘れる(笑)。
トリ頭にはなかなか入手困難なんですよね(笑)。

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2008年03月17日

木のお医者さんの仕事

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青森市内の住宅の庭木の様子です。
先日触れた、アーム付き薄型テレビの家ですね。
こちらには古くから立っている桜の木が3本あります。
周辺にはずいぶんたくさん桜の木があったそうですが、
住宅建築が進んで、伐採されまくって、この家の庭木だけが残ったということ。
こうした植栽は、地域の記憶の継続性の上でもっとも直接的な機縁。
建物は現代ではなかなか永続していかないけれど、
その上、樹木まで永続していかなければ、
「地域性」とはいっても、なんのよすがも存続し得ない。

確かに今どき、庭木を切らずに古い家屋敷地を永続させていくというのは
相続税などのことを考えると、難しい。
社会の仕組み自体が、そういった自然の輪廻を破壊する方向になっている。
まぁ、固定資産税や相続税ばかりのことではなく、
その土地で愛着を持って暮らし続けるということに
ほとんど社会システムの側で顧慮していない、といわざるを得ない。
江戸期までの社会であれば、
その生まれ育った地域とともにひとの生き方は決定づけられていた。
藩という、ひとつの社会システムの中で
否応なく、人々の暮らしようは決まっていたのですね。
そういう固定化した社会だからこそ、祭りという非日常空間が意味を持ち、
日常生活とのあいだでバランスを取っていた。
一方、今日の社会では、ひとはその所属する企業・団体などの「職域」社会が
基本単位になっていて、住む地域というものとの結縁性が薄くなってしまっている。
江戸期までの社会が基本として家の継続を大目標にしているのに対して
こんにちでは、形式上、個人主義に基づいた社会になっている。
でも、やっぱりひとはその土地に生きているのは事実。
そもそも家を建てる、という行為は地域性と一体化すること。
個人主義に基づいて、しかも地域社会とのつながりをどう作っていくべきなのか?
現代の住宅建築がもっとも考えなければならない問題だと思います。

って、いうことで全くの横道(笑)ですね。
桜の木の表面が防腐処理されていました。
また、枝も適度に切られていて
長く生命力を維持して行くには、このような科学的な態度が
知恵として求められているのだと思います。
このような的確なメンテナンスが、後の世代まで
サスティナブルということを伝え続けていく機縁になってくれるといいですね。


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2008年03月16日

岩木山が見える窓

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家って、いろんな「設計条件」を考えるものですが、
そのなかに、いかにも地域独特の、
というような条件が感じられることがあります。
弘前での注文住宅の場合、特徴的で、
「岩木山が見えるような位置にメインの窓を開けたい」というのがあります。
昨日伺ったお宅は、間口が狭く奥行きが長い、という武家屋敷的な地割りの家。
こういう敷地で、両隣が接しているので、
その既存の隣家に配慮しながら、建物の配置を考えた結果、
同時に眺望的にもちょうどいい位置に建物を配置できました。
そのうえで、将来的にも家が建ちそうにない位置に居間の大きな窓を配置。
2階分の吹き抜けに大きな開口が開けられていますが、
それがちょうど岩木山の方角に開かれています。
きのうは曇天でしたので、裾野が少し顔を出す程度でしたが、
堂々たる偉容が室内から眺められるようになっています。

この大開口は、居間を中心にした吹き抜けを介して、
家中から望むことができ、家族が集まってくる場所に
同時にその日の岩木山の眺めが提供されるようになっているのです。
なんとも羨ましいかぎりの毎日の暮らしと感銘を受けました。
平野部に屹立する独立火山って、
日本人にとって独特のなにごとかを精神性として与えるものだと思います。
東北で言えば、岩木山・岩手山・鳥海山・会津磐梯山など、
それぞれの地域の中で、精神のよりどころとして
受け継がれてきているものがあると感じられます。

住宅とは、他のどこでもない、その土地に建てられるものであり、
その風土の中で暮らしていこうという
建て主さんの意志を直接的に表すもの。
その意味で、できることならば、このような積極的な表現を
可能であれば、ぜひ多くの家づくりが志して貰いたいものだと思います。
こういう志向を持った家づくりが、
その地域のアイデンティティを高めることになり、
そこで成長する子どもたちに「ふるさとらしさ」を意識させる
大きな「機縁」にもなっていくのだと思われます。

いつも、弘前に来るとなにか、人情の違いを感じるのですが、
それって、こんな地域性がどこの町よりも色濃く残り、
なおかつ、あらたに継続していこうという意志を地域のみなさんが
大切にしているのではないかと、感じられるからだと思っています。
そういうディープな部分で、深く惹かれるものがありますね。
好きです、弘前の街。

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2008年03月13日

池の結氷

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写真は福島県の川内村での「亜鉛閣」のもの。
この建物は、本体よりも周辺の自然回復と言うことの方がテーマが大きい。
敷地が8000坪もあるんですが、その背景には山林原野が200000坪ほども広がっている。
そうした後背地の自然系がうち捨てられていた。
敷地自体は農地で、農家が廃業したあと、
誰も手を付けることなく、放置されていたのだそうです。
建築家の山下和正さんはそういう敷地を買い取り
長い年月をかけて自然環境の再生に取り組んできたのです。
その自然再生のなかで、最初に取り組んだのが
沢水の管理の必要性。
雨が降り続いたりすれば、伏流水の小川がすぐに土砂災害を引き起こしていた。
農地利用のために、自然が破壊されるに任せていたのです。
人間が自分だけの都合で、勝手にこの近辺の自然をねじ曲げていた。
そうした「暴れ水」に、秩序を与えて、
きちんとした生態系を復元させるように考えたのですね。

で、できあがったのが「調整池」。
まぁ、自然の水に呼吸の場所を提供したようなもの。
いったんこの池で水量を調整しながら、
河川に放水するように改良しています。
その結果、よき生態系が復元している。
手を付け始めた頃には、小動物も目にできなかったのが、
いまでは、大型ほ乳類・いのししなどが遊びに来るほどに回復したのだとか。
人間の、自然への回心に似たような営為と感じた次第です。

今月初めに訪れたのですが、
「福島県最寒の地」ということで、零下10度ほどの寒さが続きます。
その結果、ごらんのように結氷しておりまして、
人間が乗っても全然大丈夫なほど。
わたし、北海道でもこんな光景に出会ったことはありませんで(笑)
っていうか、体重が心配で恐ろしくて、
氷の上なんて、とても乗れませんです(笑)。
まぁ、徐々に融けてきておりましたので、
いまころはそろそろ、氷が水になっておるかも知れませんが、
自然の素晴らしさを実感させられる光景でしたね。

本日から、青森県で集中的に取材です。
朝一番で列車移動。
これから出発いたします、ではでは。

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2008年02月27日

国の機関の政策進行

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きのうは、今年度最後の北海道の仕事での会議出席。
中古住宅流通促進方策検討委員会、という
何回言われても覚えられない名前の会議でした。(笑)
なんですが、この会議、けっこう盛り上がりまして、
こうした自治体の会議としては珍しい(失礼)ほど、多くの成果を生み出し、
また、新業態の開発、産業育成的な部分で驚くほどの結実を得た事業でした。
新築マーケットが縮小に向かうことは確実な趨勢の中で、
既存住宅マーケットをどうしたら活性化できるのか、
今後の「製造業」としての住宅建築の主体である工務店などの生き残りにとって、
必須の産業育成方法を模索した会議だったと思います。
簡単に言えば、新築に代わる魅力的な中古住宅再生という事業分野創成に
必要なインフラや事業環境整備を考えてきた会議だったのです。
とくにこうした取り組みが
もっとも自然条件の厳しい北海道ではじめて取り組まれたというのは、
今後のこのマーケットにとって大きい意味を持つことになるかも知れません。
こうした事業取り組みというのは、
なぜか、3年という期限で行政では取り組まれるのが慣例になっています。
ということで、3年目の最後の年度がこれで終了となった次第なのですが、
こうした取り組みが、まさにいまの国の施政方針と合致していることから、
いわゆる200年住宅への取り組みの一環として、
国の補助事業として、来年度以降もより大きな事業規模で継続される方向になっています。

というようなことなのですが、
こうした流れから、きのうは国土交通省の外郭団体から
オブザーバーの方も参加されていました。
いろいろお話を伺ったワケなんですが、
国の政策にどのように業界の意向が反映されていくものか、
その経緯の一端もかいま見えて、興味深いものがありました。
窓のメーカー団体などから、こうしたプロセスについての話も聞いたことがあるのですが、
やはり、具体的な政策に対して業界ごとの利害が相克し、
なかなか方向性を定められないという部分が見えてきました。
行政の側が立案する基本的な方向性というのは、
そんなに間違っている方向でもないと思うのですが、
その原案が、さまざまな利害調整の中で、否応なく「調整」させられ、
結局は総花的になったり、適当なことでお茶を濁したり、
というようになってしまう現実が出来上がってしまうようです。

そうしたなかで「モデル的」事業として
この北海道の取り組みが国に認められそうだというのは、
かなり面白そうにはなるかも知れません。
官に対する批判というのが大きいのですが、
接してみればみんな、できることから、少しずつ変えていこうという思いは共通です。
絶望せず、地道に取り組んでいくことが必要ですね。


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2008年02月24日

大雪再来

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もうすこしで3月というこの時期ですが、
今年の冬はなかなかにやってくれますね。
先週はすっかり春めいた気候が続いていたのですが、
どっこい、すんなりとは春にはなってくれません。
関東では春一番だそうですが、
こちら札幌では、きのうも一日降り続き、今日朝にはすごい状態でした。
季節風も強く吹き付けていたようで、
事務所のエントランスは腰までの積雪状態。
吹きだまりのようなことになっていたのですね。
雪の降り具合、風の向き・強さで、雪の状態はまさに千変万化します。
きのうは、風邪気味の体をいとい、
雪かき作業をさぼっておりましたが、さすがにもう手が付けられなくなるので
朝から、大汗かいての雪かきに追われました。
おかげで、坊主は友人たちとのスキーが荒天のため中止。
まぁ、遭難の危険があるし、第一、スキー場もクローズかも知れません。

っていう、冬真っ盛りの札幌地方ですが、
この季節、いつもお伝えしている「雪庇」が各家庭で順調に成長しています。
無落雪屋根をはみ出して、季節風の風下方向に雪の庇がせり出す現象。
わが家の3階居室から、屋根からの雪庇が見えるようになっておりました。
ちょっと、オブジェとしてみていると面白い。
わたしたちが子どもの頃には氷柱が冬の北海道の風物詩でしたが、
坊主たちの年代には、この雪庇が冬の風物詩になっていくかも知れません。
じっくりと観察してみると、
端っこ部分では微妙な自然の造形が見られてなかなかに楽しい。
見ていても面白いし、窓を開けて破壊するのも楽しそう。

なんですが、やはりこれが急激な暖気などが来たら、
落雪して、危険も伴う。
北海道は、氷柱を克服し、屋根雪崩の危険を克服し、
無落雪屋根というユニークなデザインも生み出して、
敷地の狭小化も克服してきたけれど、
いまは、この雪庇問題が、なかなか難しい問題になってきています。
まぁ、危険の度合いは昔とは比較にならない低レベルではありますが、
とはいえ、対応策は考えねばならない問題ではあります。

でも、けっこう面白くて、きれいでしょう。
ゆとりももって、考えていきたい問題だと思います。

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2008年02月13日

里山に繋がる裏庭

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きのう書いた集住形態の農家群の中の住宅です。
このお宅は、この一帯の「家守り」役であったと思われる大工さんの家。
というか、いまは大工さんだったお父さんが亡くなって、
その娘さん夫婦を中心にした4世代同居のお宅です。
どうも推察するに、この大工さんが、きのう触れたような農家住宅を建てたり、
保守管理・増築などの作事一般を受け持っていた気がします。
現代がもう、システムとしてなくそうとしている、
「家守り」システムですね。
これは、建築の専門家である地域居住の大工さんが、
その地域での色々な建築的相談事を専門的に受け、管理していく社会システム。
現代のように、ハウスメーカー・商品化住宅システムの全盛期になってくると、
ちょっとした補修など、「どこに頼んでいいかわからない」
というような状況が生まれてきてしまう。
たぶん、こういう不便な状況って、最近というか、
戦後高度成長期以降、顕著になったのではないかと思います。
いわゆる、ハウスメーカーの成長期で、国策としてもそういう建築企業を培養した。
官主導で進められた「ハウス55」計画は、
労働者として大量に都市に集められた農家の2男・3男という
あらたな「住宅希望者」に対して、
既存の家づくりシステム(家守り」を中心とした地域工務店ネットワーク)では
住宅建築を請け負うのは不可能だと判断して、
そういう建築の受け皿として、
規格大量生産型のプレハブメーカーを国策で養成したのですね。
というような経緯で、今日の状況を迎えてきていて、
いまや、地域工務店というのは、業界としての存続の縁にある。
先日も、全建連という工務店の全国組織のトップの方とお話ししたのですが、
そうした危機が、まさに迫っているという状況ということです。

写真は、この地域(宮城県の石巻近郊の山間農業地域)での
家づくりの基本である、里山に寄り添った住宅計画の結果、必然化する
自然の里山の裏庭を撮影したものです。
家の裏の山からは、四季変化に応じて
いろいろな恵みももたらされて、暮らしになくてはならない潤いを
もたらしてきたに違いないと思います。
春の山菜採りから、秋のキノコ取り、落葉は貴重な肥料に、と
伝統的な農家の暮らしの基本的バックグラウンドだった。
そういう暮らし方が、そのまま、国土の保全に繋がっていた。
そうです、身近な森林の管理に繋がるわけですね。
こういう一連の営みを、官僚統制的手法で破綻させてきたのが
戦後の高度成長システムの弊害であった。そして、気付いたときには
それを復元する社会システム自体も崩壊してしまっていた、
というのが現実の姿なのです。

しかし、そういうなかで、この家に暮らして育った娘さんが
この家に愛着を感じて、お父さんが建てた家を壊して建て替えるのではなく、
なんとかリフォームして暮らし続けたいという希望を持たれたのです。
現代では、こういう古い建物を延命させて現代的な暮らしやすさを実現するのは
たいへん気骨のいる作業だと思いますが、
幸いにしてリフォーム会社の担当の女性の方も、
「またこの家に帰ってきた気がするんです(笑)」っていうように、
建て主さんといっしょになって苦労したことが、
その明るい表情から伺えたのです。
そんな明るい女性ふたりの会話を聞いていて、
なんとなく救われるような気がした取材でした。

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2008年02月12日

農家住宅の地域性

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先週末には、宮城県石巻近郊の住宅のリフォーム事例を取材。
周辺には独特の形式の農家群が集まっています。
昔の農家の建てられようには色々なスタイルがありますが、
一般的に多いのは集住スタイルで、ミニ都市のように集まって暮らすもの。
それに対して、各家屋がぽつんぽつんと建てられるのが「散村」といいます。
この地域では、集住の家屋が、それも周囲の小山を背にするように建つ
「里山」形式で、しかも路に沿って連続して建てられていました。
これは、たぶん、季節風から暮らしを守る知恵でしょうね。
その目的をさらに明確にしてくれるものも見られます。
面白いことに、この地域では道路側に面して、
各戸が納屋のような建物を一様に建て並べているのです。
このように建てられれば、区切られた内部の空間は
冬の季節風から、ほぼ守られるような半外部の空間になる。
写真は、そうしたなかでもひときわ立派な建物。
高さも通常の2階分ほどもあり、内部の平面も広大に保護できます。
このように季節風を遮れば、内部には宮城県らしい
日射の豊かさが実感できるような空間が出来上がる。
大変よく考えられた、地域のくらしに似合った住宅装置であることがわかります。
塗り壁などは剥落して土壁が露出し、
何度もリフォームを試みてきた様子が手に取るように残されていますが、
いまは、どうも使用を諦めたと思われるような佇まい。
そうでしょうね、この建物の用途を推察すれば、
たぶん、農業用の倉庫が主要任務。
入り口から内部を見通すと、いろいろな農家の仕事のための小屋がけがあります。
それらはみな、ほぼうち捨てられたような状態だったので、
最近は使用されていないような雰囲気なのです。
そうなれば、外観的なものに気を使っていくような心映えはなくなる。
入り口の上部には、外部なのに開口部飾りの欄間まで見られています。
欄間は通風などの用途を考えているもので、しかもデザイン的に考えているということは
「家格」を表現しようとした装置であったことはあきらか。

考えてみると、いまの日本ではここまで考えている
「農家としての住宅装置」というデザインは存在しない。
農家であっても、主屋についていえば、
無国籍的な都市型住宅のプロトタイプが無自覚に建築されているケースが多い。
農家の側からも、ハウスメーカー的な宣伝デザインを希望する、
というような場合が多いのではないかと思われます。
素晴らしい伝統的建築デザインの古民家を
「○○ホームみたいな洋風の感じにしてください」
というようなリフォーム希望が寄せられる。
確かに、農家の暮らしようも、農作業のやり方も
伝統的な様式とはまったく変わってしまっているので、
そうした変化自体はやむを得ない部分ではあるけれど、
そのまま放置していけば、いったいどのような「地域的アイデンティティ」が残るのか?
まず、残っていくことはないでしょうね。
後世の人が、こういう家の建て方を見て、現代の暮らしを想像すれば、
その驚くべき想像力の枯渇ぶりに驚くのではないか、
そんな危惧の思いがわき上がってくるのを禁じ得ません。

でも、じゃぁ、どうすればいいのか、
と考えても、残念ながらなかなか、解決策は見つからない。
実際にこうした建物のオーナーさんから、
「都市的な快適性」を願われれば、そのように建築することになるのは
自明なのではないかと思われます。
地域的必然性の欲求の低下というなかで、
現代的な暮らし方という摩訶不思議なパワーが、無国籍建築を
大量生産していく、
こういうプロセスは、これからも増殖し続けるのでしょうか?


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2008年02月03日

建築家展_2斉藤裕講演

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きのうは、いろいろと住宅建築関係では盛りだくさんの日。
新住協の全国一斉Q1.0住宅見学会が行われていて、
午前中にはわが家から一番近くの現場である勇和建設さんの住宅見学。
まえから見たいと思っていたのですが、
ようやく見ることができました。
勇和建設さんと、若手建築家・畠中秀幸さんのコラボ住宅。
その他、武部建設さんからは、見学会で「エコ住宅Q1.0」が6冊売れたよ、
といううれしいお知らせもいただきました。

で、午後からはカミさんと連れだって
きのうのブログで触れた「建築家展」を再訪。
なんですが、違う会場で建築家・斉藤裕さんの講演会が行われるので、
そっちに移動。
カミさんも、知り合いが斉藤さんを知っているということで、
斉藤さんのお話に興味を持ってくれていたのでした。
わたしは以前にも、日本建築学会賞を取られての講演会を聞いたことがあり、
その審美的な建築眼のような一貫した姿勢に
強い印象を抱いていた方です。
プロフィールなどは今回初めて知ったのですが、
北海道小樽市出身と言うこと。
そんなことからか、札幌の建築家・豊島守さんと親交があり、
今回の建築家展でも講演を引き受けられたそうです。
演題は「黄金の塵 日本建築の美」というもの。
まさに、わたしの聞きたかったいちばんのテーマだったのです。
お話しは、歴史と同時進行しながら、
日本の建築がたどってきた審美探求の流れを詳細に研究したもの。
東大の学生さんたち向けの講演を聴いた豊島さんが、
ぜひ北海道のみなさんにも聞かせたいと言うことからくどいて
実現したという、大変優れたテーマと、その深め方でした。
伊勢神宮から、出雲大社、奈良期の巨大建築から、
京都に残る建築や、歴史の舞台に残されたさまざまな建築のディテールを
詳細に解析しながら、審美的ポイントを見通していきます。
わび・さび、ということの本質を平易に語ってくれました。
久しぶりに、痛快なお話を聞くことができた次第です。
いろいろな建築に実際に行ってみる以上に、
筋を通して「体験」させてもらいながら、その本質的価値を再確認する。
斉藤さんの執着力って、本当に素晴らしい。
まさにきわまっているなと、思われたのは高松に残るという掬月亭のこと。
数寄屋とか、わび・さびというものを実際に体験してみたのですね。
名前の掬月亭というのは、月を掬うという意味。
それは、水面に映る満月を、その月明かりだけの世界の中で、
杯の中に月を、掬い上げて、飲み干す、という意味なのだそうです。
そして、建築は、その「幽玄な世界」を体験するために作事された。
そういう審美的な心的要因からスタートして、その実現のために
万金を投ずる、そういう建築が数寄屋という心ではないか。
たぶん、国宝級の建築なのでしょうから
そのように体験させてもらうためには、相当の努力が必要だと思います。
斉藤さんのお話には、そのような審美欲求への思いの強さが感じられる。

たいへん素晴らしいお話を聞くこともできて、
今回の建築家展、ほんとうに素晴らしいイベントになってきていると思います。
きょうからも、またさまざまなイベントやセミナーなどが予定されています。
住宅や建築に興味がある、あるいは特段ない(笑)、という方たちも、
この建築家展は絶対に面白いと思いますので、
北海道近代美術館に、足を運んでみてください。
月曜日は中休みですが、
会期は10日までやっています。損はしないと思いますよ。ではでは。

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2008年02月01日

十勝の寒さ

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いやぁ、寒かったです(笑)。
先週、十勝でアース21の例会が開かれて、
多くの建築現場見学をしてきました。
住宅の方は、どれもすばらしく、以前と比較しても、
デザイン的にバリエーションが広がってきているのを実感します。
とくに天井の高さに、特徴を持たせたケースが目につきました。
設計ポイントで聞いてみたら、
全体のシンプルモダンのトーンの中で、
薄型大型テレビとのバランスを考えていくと、
いきおい、ボリューム感たっぷりの壁面が必要になってくる、
とくに居間、というような声を聞きました。
伝統的にツーバイフォーの比率が高く、デザイン的には
やや保守的に北米デザイン的な傾向が強かった地域ですが、
ユーザーさんや、ビルダー双方とも、若い世代から、
シンプルな十勝っぽさ、とでも呼べるような動きが見られるようです。

というようなことでしたが、
なんといっても、素晴らしかったのは(笑)、十勝の寒さ。
「十勝晴天」といえる青空が抜けるように広がりながら、
底抜けに寒い。
そう、底冷え、というようなレベルではない。
まぁ、底が抜けるほどの寒さという表現にたどりつきましたね(笑)。
早朝など、車窓からは河の周囲が霧に包まれております。
川の水自体も身を切るように冷たいのですが、
はるかに超えて寒い大気、たぶん零下20度前後の空気が
河の水とのあいだで温度差を引き起こして、霧を発生させるのです。
まぁ、美しい光景なのですが、
すごいですね。
写真は、早朝の十勝川温泉にて、川面に登る川霧を撮影したのですが、
うまく伝わってくるでしょうか?
ホテルでは、たぶん、台湾のみなさんが
早朝、ほぼ、無言で、って、ようするに寒さで震え上がっている感じ。
で、名物のバルーンに乗りに行っていましたが、
大いに寒さを体感していって欲しい(笑)、と思いました。

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2008年01月22日

坪258,000円の実像

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特定企業のことを書くのはためらわれるのですが、
やはりあれだけ派手な宣伝をしていると、一種の社会的な影響もあるので、
触れてみたいと思います。タマホームのことです。
北海道にまだ上陸していない、ということもあって、
わたしたちにはまだ、実像が明確でない部分があり、
色々なうわさ話程度の知識しかなかったのは事実。
まぁ、一度、素知らぬ顔でモデルハウスを見に行ったことはありますけれど・・・。

これまでは宣伝だけは派手でしたが、
実際にはそのビジネスの実態はあまり表側に出ては来ていませんでした。
そんななかで今月の「日経ホームビルダー」で、リポートが掲載されていました。
記事構成は昨年11月に調査会社を使って
タマホームで実際に家を建てたユーザーにアンケートを実施して
その結果を基に、玉木社長にインタビューしているというもの。
このあたり、派手な宣伝とは裏腹に、実像が見えない企業の取材と言うことで、
「報道する」側の細心さがみえてきます。
社長さんのインタビュー自体は建前論に終始しているので
それほどの内容はありませんでしたが、
やはり目に付いたのが、実際のユーザーの声。
回答してくれた方たちの実際の坪単価は、
423,000円から、444,000円・454,000円・578,000円・
750,000円・800,000円というもの。
こういう率直な数字をぶつけてみると、
社長の方から初めて、
「ウチの場合、40坪で建築費が1,600万円、これがウチの平均です」
という答が返ってきています。
「元々の価格が安いので、それならばと、オプションに目が行く結果です」
というようなことのようです。
このあたり、やはり多くのローコストビルダーと同様で、
実際の単価とは大きな乖離があるというのが実態のようですね。
まぁ、年商が1,290億円で、建築棟数が7,600だそうですから、
単純に割れば単価は1,697万円になる。
細かく見ていくと、そのオプションというのは、
どうも、一般価格と比較してむしろ高めだったという声もある。
結果としては、言われるほどは安くなかった、というのが実態のよう。
企業のコンプライアンスが声高に叫ばれている中で、
このように大宣伝しているうえに1,290億円の売上を上げている企業として、
これでいいの?、という思いは禁じ得ません。
まぁ、世間的にはメタボリックが叫ばれている中で、
一方で「メガマック」とかの「メガ」ばやり、ということがあるので、
そういう心理に通じた側面があるのかも知れません。
しかし、地域工務店とかの経営基盤を脅かしつつある存在でもあるわけで、
冷静に実像を見る必要があると思いますね。


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2008年01月17日

札幌の冬の雪雲

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慣れ親しんだ季節感のある雲のかたち、って、ありますか?
わたし、小さいときから雲を見続けているので
<って、誰でも当たり前か(笑)>
そんな思いをするような雲のかたちに視覚記憶があります。
近年は、生活の場が2階になっても、やはり近隣に大型の建物が多くて、
なかなか、そのような感覚が薄れては来ていますね。

札幌の場合、石狩湾低気圧、というのがいろいろな天候に預かっているもの。
それが、ちょうど石狩川をさかのぼるように
雲を形成するというのが多いケースではないかと思います。
こどものころから、不思議と札幌の北側に向かっての眺望を
見続けてきた視覚記憶が大きいので、
こういった認識を持つに至ったのかも知れません。
嵐のときには石狩川の川の流れに沿って、
おどろおどろしい黒雲が、まるで龍のように暴れている、と認識できました。
こういう記憶認識って、やっぱり貴重なものだと思います。
そして、季節ごとにいろいろな空気感をもたらしてくれる。
写真はちょうど、札幌から石狩湾の方向に向かっての眺望。
こういう群雲が、ちょうど夕陽の時間に向かって太陽光を反射して、
ときには魅惑的なピンク色になったりする。
「あ、こういうの見たことある!」と、素朴に感動したりする。
そういう色彩が、小さいときからの視覚記憶を刺激するワケですね。
「豊かな生活感」というものの実質の中に、というか、
自然とひとのつながりの実質として、こういう視覚記憶の連続性がもたらす
安心感とも、いごこちの良さ、ともつかない部分があると思います。
年を取ってきても、幼い頃の記憶を鮮明に保ち続けられる環境の中にいる。
記憶感覚の連続性のなかで日々暮らせる、ある種のよろこび。

わたしの場合、わが家を新築したときに
「学校の近くで、玄関が北向き」という方位角度という、
生まれ育った家や、その後過ごした家の両方と、ほぼ同じ条件の住宅だったのです。
別段、そこまでの認識はなかったのですが、
暮らし始めてから、日々視界に飛び込んでくる眺望が、
幼い頃の視覚記憶と同じようなものを得られる環境になっていた次第なのです。
こういうポイントって、なかなか考え付かない部分だと思うのですが、
ひとが生き続けるという上では、気付いていると得するポイント。
なのではないかと(笑)、最近思い続けているのです。
まぁ、根拠はそれほどはありません(笑)。
でも、やっぱり毎日、窓の外を見続けることが楽しみである家、
っていうのは、住まう大きなよろこびの部分なんですよ。


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2008年01月16日

耐震偽装からの脱出

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事務所の斜め向かいに高層マンションの工事現場があります。
例の耐震偽装問題が相次いだ時期に着工され、
その後、長い間放置されていました。
基礎の工事が大規模に行われ、3階分くらいの地下掘削も行われる大規模MSでした。
確か、20階を超えるマンションのようでした。
その工事現場が、最近ふたたび動きだし、
きのう、見ていたら、既存の造作部分、たぶん、4階分ほどの
立ち上がりが重機で解体されていました。
とはいっても大型の工事なので、
解体自体もけっこうな時間が掛かりそうで、
へたすると1週間では済まないかも知れません。
聞いた話では、やはり偽装を告白した建築士が構造設計に関与していたそうで、
デベロッパーとしては、解体しての建て替えを選択したようです。
この間で、近隣500mほどの距離地点に別の会社の高層マンションも建てられることが決まって
モデルルームも公開されている中での工事再開。
他人事ながら、かなり厳しい工事再開と察せられます。

しかし、相当の敷地、たぶん2000坪を超えるくらいの近隣敷地が
工事途中で放置されている、というのも考え物。
まぁ、応援するわけではありませんが、
なんとか工事再開になったのは、喜ぶべきことではあるかも知れません。
この耐震偽装問題を契機として、
建築基準法とその運用が大きく様変わりし、
昨年は拙速との批判がある新法の施行にともなう大混乱で
「建築基準法不況」というかたちで建築業界へのしわ寄せが露呈しました。
建築着工数が1〜2割程度落ち込み、
中小零細の事業者は厳しい状況にも追い込まれているのが実態。
住宅業界でも、都市部での3階建ての確認申請が大きく滞り、
大手ハウスメーカーなどでも、売上を大きく下方修正せざるを得ない状況。
最近の経済指標にも、この問題による景気への影響も顕著に出ていました。
サブプライム問題での景気後退もありますが、
実態としての経済への影響もあって、株価の低迷などに繋がっている部分。
国土交通省も、当初の危機感のなさからは脱却し、
相当手厚い施策をやらざるを得なくなっている局面になっています。

解体され、瓦礫と化す構造物を見ていて、
なんともいろいろな思いが見えてくる解体現場の様子でした。

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2008年01月15日

通り土間の魅力

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みなさん、とくに寒冷地のみなさん、玄関土間は広く計画しましょうね。
わが家では、当初は広く取れていて、
「家としての使い心地」がとってもよかったものでしたが、
やむなく床面積を増築したときに、玄関がぐっと狭くなってしまいました。
かえすがえすも、残念でなりません。
いまは家族が暮らしているだけなので、なんとかできてはいますが、
それでも玄関の狭さからくる「家全体の窮屈感」は言葉にできない部分。
なんといったらいいのか、
入り口の狭いトンネルだと入ってくるのに気を使う。
とか、高速道路で、出入りに気を使うパーキングなんて、
もしあったら、誰も停まらないのじゃないかという感じ。
どうもそんな印象に近い。
出入りがゆったりしているのと、そうでないのとでは、
長い人生の時間の中で、大きな心理的違いが表れるのではないか、と思います。
で、毎日「帰ってくる」建物である家には、
そういう意味での安心感が欠かせないと思うのです。

写真は弘前の古い街並みの中の住宅。
間口が狭く、奥行きが長い敷地を表すように
長いエントランス空間が実現しています。
ちょうど、長い敷地の中間くらいに玄関を持ってきているのですね。
ですから、長い半外部的な通路空間を通って玄関にたどりつく。
そんな空間を壁・天井とも板張りで仕上げていました。
こういう木の質感って、肌触りがあって、
ひとのこころに潤いを感じさせてくれる。
床はコンクリートの土間なので、気を使わず、
大きくて、どっしりとした「家に帰ってきた安心感」を増幅してくれる。
で、写真左の引き戸を通って、2階の生活空間に至る。
そういうシチュエーションを仕掛けてあるのですね。

こういう「公私の別」を心理的にハッキリ認識させる空間の用、って見えにくい。
少なくとも平面図的には、意味のない広い空間になってしまう。
公団住宅的な○LDK思想から、まっさきに排除された空間だと思うのです。
しかし、毎日の暮らしの中で、こういう「心配り」の部分こそ、
家というものの本質を表してもいると思います。
ぜひ、可能な限り、広い玄関土間計画を。


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2008年01月07日

寒中施工

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さて、本日から本格的に仕事の開始です。
ことしはほぼカレンダー通りのケースが多いようで、
先週末から始動した会社も多いようですが、
仕事、本格的に始まるのはきょうからが一般的だと思います。
どこにも行かない、地味に過ごした休暇でしたが、
その分、ゆったりできた休暇でした。

ということで、会社の近くでは
知り合いの建築会社の現場がスタートしておりました。
冬もこのように現場にシートを架けて
雪を防ぎながら、場合によってはバーナーで暖を取りながら
施工するわけですね。北海道は積雪もするし、
なんといっても寒さも厳しい中での作業。職人さんたちも大変です。
寒中施工には良い面もあって、
コンクリートの打設、乾燥にはドライな北海道の冬は似合っている、
というようなこともあります。
また、こうやって冬場も仕事ができるというのは
企業経営で考えれば、大変有意義。
これまで、北海道では冬場は工事が行われず、
職人さんたちはいったん離職して、
冬の間は「雇用保険」でつないで、春から再雇用される、
そういうケースが一般的に多いのですね。
ただ、最近はそういうしのぎ方ができにくくなってきている。
まぁ、構造改革路線の結果、そういう雇用のセーフティネットに
政府資金を使うのを避けようという方向が強まっている。

もちろん、北海道の建設業でもこのように
冬場、寒中施工をできれば雇用の継続がはかれるので素晴らしいのですが、
しかし、寒中施工はやはり経費が膨らんでしまうので、
経営的に見てみれば、収支計算上は利益を圧迫するだろうと思います。
単純にこのような外皮を現場にかけるわけで、
その「損料」だけでも、夏場に比較すると経費増になります。
もちろん、最近の灯油高騰もあるわけで、燃料費も余計かかる。
しかし、こういう冬期、なにも仕事をしないで過ごす、
というのも経済的には不健康な姿。
さて、こういう問題をどう考えればいいのか、
簡単に二者択一と言うことはあり得ないと思うのですが、
解決の方向性は考えなければならない問題。
ひとつの方向性としては、北海道の冬期間に温暖地での仕事を取る、
という考え方もあり得ると思います。
その場合、どういう方法が考えられるのか、
北海道の建設産業全体で、考えていかなければなりません。


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2007年12月30日

屋根の建築デザイン

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写真は、勿来の関周辺の新設和風建築。
ごく最近建てられたことは明白な建物なんですが、
ごく和風な作り方をしているのですね。
で、この写真撮影位置は周囲を巡らせている築地塀らしき塀の
正面、なんだけれど、やや右手側寄りから入る門のあたりからの眺望。
この建物が主屋であって、それに至るまでが右手側に回廊がある。
なので、意図としては、主屋をこの角度から見ることを
あらかじめ想定している角度がこの写真と言うこと。

日本の建築って、金閣に行くとわかるけれど、
大体がこのような写真撮影角度が多くの人たちに好まれてきたようです。
たぶん、この建築を設計した人も
そのような日本的な建築の「韻」を踏んでいるのでしょうね。
こういう角度から、このような寄せ棟を変形させた、
入母屋屋根のプロポーションを眺め、
その屋根の端部の反り返りぶり、いわゆるビーナスラインを
美的な審査対象にしてきたのではないか。
かえって昨日今日、建てられた建物だけにそのことが見えてくる。

やっぱり屋根ですよね。
こういう風景の中で、わかりやすいのは屋根のかたち。
さきにこういうかたちがあって、それから初めていろいろな構成要素に
目が行くのだと思われます。
で、ふつうは瓦だとかの素材感・質感に目が行って、
もっと、豪華さを出すには、ということから隅角部の瓦を特殊にデザインする。
あるいは、茅葺きの質感を愛でる、など。

北海道はこういう屋根デザインの建物が少ない。
日本海沿岸に点在する漁業の成功者たちの遺した建築くらいで、
一般的にはいきなり洋風建築の切妻屋根からスタートしている気がします。
雪のことを考えていけば、より単純な形態が求められた、
いわば、地域風土がやむなく求めたかたちだったのかも知れません。
いずれにせよ、北海道から東北以南地区に行って、
こうした屋根デザインには、敏感にならざるを得ないものがあります。
また、一方で現代東京の無国籍風デザインというものもある。
主に、都市的な経済要因が主たる決定因子として選択され続けている
あのような無国籍風デザインが、今後どうなっていくのか?
いろいろ面白く見えてきます。

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2007年12月03日

ノスタルチックなくらしデザイン

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写真は内地(北海道や沖縄から本土を呼ぶ言い方)で、
冬場の暖房方式として伝統的だった「いろり火」。
日中の気温が10度前後くらいのレベルであれば、その時間には
これくらいの暖房方式でも、と思える感じはする。

いま、日本の住宅は既存大手ハウスメーカーの後退、
新興ローコストビルダーの激しいつばぜり合い、
そしてその谷間で、工務店による注文住宅の不振、迷いが見られると思います。
基本的には工務店の家づくりは高断熱高気密の性能向上で
地域の中での信頼を勝ち取っていく、という方向だろうと思うのですが、
いわゆるデザイン的に、伝統的なくらしデザインに過度に偏った
そういう方向で建て主さんをナビゲートしよう、という動きもありますね。
極端な事例では、現在建てられるモデルハウスで
古民家と思われるような建て方をしているようなケースもあります。
たとえばこのような写真の雰囲気を、現代のユーザーに勧めているような動き。
もっと、すごいなぁと思えるのは、
最近の住宅雑誌で、若い夫婦と想定されるモデルさんの
暮らし方を描写するような「事例写真」を見せることで、
伝統的シンプルライフを暮らし提案しているようなケースもある。
こういうのって、ほとんど住宅性能なんて顧慮しない、
一種のイメージ戦略だけで、住宅選びさせているようでちょっと疑問。

考えてみれば、大手ハウスメーカーが大きく業績を伸ばした時代っていうのは
日本全国均一なモダンデザインを丸呑みした生活スタイルを
ばらまいてきた流れだったような気もするので、
そういうものへのアンチテーゼとして、伝統的素材や質感を
一方で大いにアピールするという傾向が出てきていたというのも事実。
そういう部分をもっと進めたような動きだと思いますが、
やはりちょっと、やり過ぎのような気がします。

もちろん、こういう風合いの暮らし方の独特の心地よさはあった。
そういうものは強くノスタルジーを揺さぶられるものではあるけれど、
技術も革新され、現代的快適性も体感しているユーザーというものも考えれば、
住宅供給側が、こういうくらしデザインを推奨するというのは
やはり同意できないなぁと思います。
こういう暮らし方に還れ、というのはそれは不可能でしょう。
昔の暮らしように、思いをはせることは悪くはないけれど、
そういった暮らしが持っていた居心地の本質を考えて、
「現代的にくらしデザインする」ことが求められているのだと思います。
やはりそのためには、住宅内部の温熱環境をコントロールできる技術が
地域の工務店には、求められるのではないかと思います。
こういう暮らし方のエッセンスを理解して、なお、現代的快適性を犠牲にしない
そういう家づくり技術をこそ、ユーザーは期待しているのではないでしょうか。

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2007年12月02日

全開放型の掃き出し窓

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写真は宮城県蔵王での取材先にて。
蔵王というと、きっと寒いのじゃないか、と想像するけれど、
実際には東側に隣接している亘理などと
気候条件は似ていて、宮城県の中でももっとも温暖な地域。
福島県中通り地域と比較しても、暖かい地域とも思えます。
12月はじめですが、南面している居間には
ごらんのような床までの掃き出し窓が付けられ、
しかも、引き違いでもなく、全開放型のものが採用されています。
内側に樹脂で、外側がアルミという複合型サッシ。
熱環境的には条件は厳しくなるけれど、
一方ではごらんのように日射取得熱がたっぷり利用できる。
必要なときにはしっかり気密が取られるべきだけれど、
条件が良いときには、このような開放型の暮らしが楽しめるというのも合理的。
そういうバランスをどう考えるのか、というところがポイント。
そういう意味では、先日取材したような昼間の陽光を
蓄熱体で室内に取り込んでしまうというのは良い考えでしょうね。
「昼間に蓄熱して、必要な夜間に熱を放出する」
という考え方での装置と言うこと。
そうしたタイプの温熱装置が考えられれば、こういう全開放型の窓の
意味合いももっと大きく変化してくる。
太平洋型の、冬の日射量が大きい地域では、いかに南面側の窓を考えるか、
ということが、北国でももっと研究されるようになるかも知れませんね。
もっとも基本的なパッシブソーラーという、理にかなっています。

さて、こういう開放型の暮らし方、しかも
陽がさんさんと降り注ぐ日中には、元気な男の子は内外関係なく
裸足で遊び回っておりましたね。
ちゃんとセーターのような服も着込んでいるのですが、
面倒くさい靴は履かずに、家の前の庭と言わず道と言わず
構わずに実にワイルドな育ち方をしておりまして、元気そのもの。
まぁ、ほれぼれするような男の子らしさ。
正面には大きな川があって、その先には山がそびえている。
住宅地なんだけど、自然と暮らせるような住まいになっていまして、
この子はどのように大きくなっていくものか、
頼もしく、楽しい気持ちにさせられたお宅でした。

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2007年11月26日

坪庭

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最近では北海道の畳敷きの部屋数って、
さらに減少しているのではないか、と思われますが、
それにともなって、和風の外部装置、たとえば写真のような坪庭も
実際には大変少なくなっているだろうと思います。
この家は宮城県石巻市で、冬場、寒いけれど雪は多くはない地域。
まぁ、全国的な傾向でもあるとは思います。

確かに写真のような坪庭って、
雪がたくさん降って、しかも凍結したり
屋根からの落雪がうずたかく堆積したりした状態では
どのように保守管理すべきか、見当も付きませんよね。
丸ごと雪囲いするしかないでしょうね。
そういうメンテナンスがユーザーになかなか受け入れられない。
でもやはり、こういう坪庭って、日本人的な文化。
なんでもミニチュア化させてしまうミクロコスモスの世界とでもいえる。
石と竹、縄、植栽というような単純な構成で、
自然を取り込む感覚は、われわれの祖先の感受性の豊かさを表している。

こういう坪庭を見ていると、独特の時間が流れていて、
これは「つくばい」だと思われますが、
たとえば鹿威し、もしくは添水(そうず)と呼ばれる
水を竹に溜めて一杯になったら水を落とすと同時に音を鳴らす装置など、
まことに水と緑の豊かな国土性を表してもいる仕掛け。
一定時間を定めて水が満ちるさま、落ちるさま、
その背景の石と緑という素材感を愛でる。
こういう単純な装置で、記号のようなワンセットになっているのだと思います。
こういう文化性ってすごいものだと実感します。
なんでも矮小化させる盆栽のような文化って、
江戸期の都市生活者たちの自然への思いが生み出したものだ、
という説を聞いたことがあるのですが、
実に創造的な国民性を表現したものではないでしょうか。
暮らしを精一杯に楽しもうという思いが伝わってくるような気がします。

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2007年11月22日

和風の建具工事

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写真は先週取材訪問の石巻のお宅。
住宅の性能面でも、気取らないFFストーブでの土間蓄熱型暖房の
想像以上の心地よさにも感激だったのですが、
やはり随所に伺えた、地域に根ざした職人仕事が素晴らしかった。

ちょうど、土間の居間と、畳敷きの居間の境目あたりを
写真に納めたワケなのですが、
欄間飾り、引き戸、窓周りの内側建具など、
ぎっしりの「建具工事」オンパレード。
最近の「新建材だらけ」の住宅とはまったく違う異質な空気感。
まぁ、取材に行く住宅って、
わざわざ、住宅雑誌で取り上げるような住宅と言うことなので、
わたしなどはむしろ、こういう住宅を見る方が多いのですが、
心がけて、数多く建てられる、一般的な住宅展示場などにも行くようにはしています。
そう、みのもんたが宣伝しているようなのも含めて(笑)。
そういうものって、わかりやすく、新建材の組み合わせで作りました、っていう家。
あぁ、あぁ、っていう建材メーカー品で
交渉の結果、こういう範囲内の価格に納めています。
っていうような事情がそのまんま、住宅というモノを構成している。
実際にそういう建物を現場で造っている職人さんの仕事って
想像力を働かせようとしても難しい。
逆に、モデルハウスと銘打っているのに、
びっくりするような仕立ての悪さに遭遇することもある。
まぁ、確かに心を込めていたら、
コスト至上主義体質の中では、仕事はできないでしょうね。

写真で見るような職人仕事って、
わかりやすく、そうした「新建材集合住宅」とまったく違う。
細かい枠の組み方を見ても、それぞれ本物の素材を
手仕事で、しっかりと組み上げて仕上げている。
家って、一番大切な機能は、人間が暮らす感性の「ゆりかご」という点。
一番わかりやすいのが、子育ての場であるということ。
それは「教育」でもあると思うのですが、
その空間に人間の手仕事の味わいがあるかどうか、
結構、決定的な事柄ではないのか、と感じることが多いのです。

こうした手仕事に囲まれた空間の持つ肌触りのようなもの、
ぜひ、こういうことが理解できるような人間に育って欲しいと
親が願い、そのように意識しなければ
そうした子どもの感受性も育ちにくくなっている時代ではないでしょうか。
こういう手仕事の、地域に根ざした製造業、ものづくりが
これからもしっかりと存続していって欲しいものだと思っています。

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2007年11月15日

楽しい四阿〜あずまや〜

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日本縦断の行程が続きます。
ということで、昨日は名古屋から汽車で1時間ほどの
岐阜県・恵那を訪問して参りました。
以前から知り合いの金子建築工業さんの社屋訪問。
金子さんは10年前くらいから高断熱高気密に取り組んでいる
本州中部地区屈指の存在。
建材、といっても地域の、東濃の檜を全国に広げていこうという
建材販売の仕事と、工務店支援の要素が強い
「高性能住宅技術の普及」のための実験的な設計施工が業務。

もう11月ですが、日中は13度くらいまで温度上昇。
日射熱も輻射熱として得られて、
からだは汗ばむほどの気候です。さすがに遠州灘的な気候。
こういう気候の中では、高気密高断熱技術も、
そうした条件を織り込んで、基本を踏まえながら、
さまざまなアプローチを行っていくべきでしょう。
金子さんでは、日中の太陽熱をどのように蓄熱させて、
夜間・早朝にどうやって温度を利用すべきか、
いろいろな取り組みを行っています。

ということで、取材がてら、社屋を見学させてもらいました。
で、見かけたのがこのユニークな四阿。
って、読みにくいでしょう? こう書いてあずまや、って読む。
ほとんど、読めませんよね。
まぁ、それは別として、風情がおかしいですよね。
社屋は自然豊かな川沿いの広い敷地に建てられていて、
東濃の森で生産される地元の美しい檜が度肝を抜かれるほどストックされています。
そのストックヤードに隣接して、家づくりの情報スペースが
ゆったりと、これもバラエティいっぱいに展示されていました。
そのなかに、遊び心たっぷりのこれがあるのですね。
川沿いの竹林ごしに川の景色を眺める窓、というか穴も開けられていて
「立って半畳、寝て一畳」的な方丈記の世界が実感できる。
木組みで床面を造作し、竹でマユのように骨組みをこしらえて、
それに土を壁として塗り込んで、壁天井を造り上げる。
その上で、雨をしのぐように屋根をかけた、というもの。
でも、こんな原型的な空間を実体験すると、
家づくりについての、住宅展示場的なステロタイプな観念は吹き飛んでいく。
より自由な発想に転換してもらうには
面白い装置だなぁ、と思われました。
同じものを北海道で作ったら、
冬を越してすぐに、原形をとどめないほどに崩壊するでしょう(笑)。
凍結などで土壁部分がまず間違いなく風化する。

さすが温暖地。こういうものでも存続していける風土なんですね。
しかし中に入って薫風を感じていると実に楽しい。
アタマの保養をさせていただきました(笑)。

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2007年11月12日

黒柿の床柱

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土曜日から出張に出ていまして、
きのうは宮城県石巻市で取材でした。
で、見させていただいたのが、すばらしい和風デザインのお宅。
性能面でもFF式ストーブ2台を半地下的に設置しての全館暖房で
家中、たいへんやわらかな品質の暖かさが実現しているお宅。
土間床にして、そこをピットにして蓄熱層として活かし、
そこから上昇気流を2階も含めて暖かさで包み込んでいます。

そういう高断熱高気密でありながら、
真骨頂は、むしろ、伝統的和風デザインの世界。
設計施工の今野工務店さん、社長の人柄がにじんでいる空間です。
先代からの付き合いというみごとな建具工事もすごいなぁと感心させられます。
そんななかでもひときわ目を見張らせられたのが、
この「黒柿の床柱」。
これは輸入材ということですが、
柿の木で中が黒いのだそうで、って、見たまんまですけど(汗)、
銘木という次第です。
最近は北海道では、ほとんどこういう和風の家って
見ることが出来ない。
こういう素材が、ほかの空間感覚の中に収まっていて、
徐々に醸し出されていく和の質感、のようなものが
訪れるものに、上質なもてなしの世界を演出しています。
にこやかで柔らかい笑顔の社長さんですが、
こういう空間を作ることに、きっと強い意志を持っているのだと思います。

こういういわば、「作ることへの思い」のようなものって、
その家族にも伝わっていくようで、
娘さんはステンドグラスの作品を作り続けているのだそうで、
これもみごとなものでした。
そのうえ、お孫さんの男の子、
取材中に仲良くさせていただいたのですが、
途中、自分の部屋にこもってなにやら作業に没頭。
で、なんと、帰り際には
小石に虹のような彩色を施したものをお土産にしていただきました。

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ひとしきり、かわいいプレゼントに感動させていただいた次第。
帰ったら、わたしのデスク周りに飾っておきたいと思っています。
ありがとうね。

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2007年11月10日

ダルビッシュでも練習できる家

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写真はきのうも紹介した建築家・小室雅伸さんの住宅作品。
この写真は、まるで汽車のように横に長い建物に
玄関から入ってすぐのショット。
ずっと先の正面にはピクチャーウィンドが配置されているので、
訪れる人は、まず最初にこの「視線の抜け」を経験します。
ひとが「広さ」を認識するのは、まずはこの「視線の抜け」ぶり。
まずはこの長さにさわやかに驚くのだろうと思われます。
それを強調させているのが、屋根の構造木材が表しになったまま、
どこまでも連続しているリズミカルさ。
色調も、床のテラコッタタイル、素地表しのインテリアという
統一感のなかにあるので、正面の自然の緑がいっそう鮮やか。
よく見てみると、左手が南面なのですが、
これもきれいに揃えられた欄間窓の直線的配置も効果的。

小室さんの住宅デザインが
非常に良くわかりやすく展開しています。
こういうタイプのシンプルさが、かれの真骨頂なんではないかと思います。
敷地にゆとりがあって、
太陽光の取得に有利な敷地条件が得られたら、
まっすぐにその条件のメリットを最大化させる。
その単一目的に向かって、シンプルに全力投球する、
まるで、そんな印象を持たせてくれます。
まぁ、言ってみれば、デザインというものがきわめて「建築的」。
かれ自身が言っていたように、
「ダルビッシュが練習できるような」という
フレーズが、誰にでもわかりやすく感受できるような空間を作ってくれる。

こういうように作られた空間って、
まさにおおらかで、いかにも北海道らしい。
あぁ、こんな広いところに住んでいて幸せだ、って思える。
不良少年で名高かったダルビッシュが、
まっとうに本格派ピッチャーに成長できたように
そういうおおらかな雰囲気を持っているのが、北海道なんだ。
みたいな、イメージのふくらみを感じます。
そして、こういう空間が、全体として実に巧みに
温熱環境が考えられて、外の気象条件の厳しさに立ち向かっている。
実に「低燃費」で、ここちよくこの地での暮らしを満喫できる。
そういうがっしりとした温熱環境技術に裏打ちされているのです。

確かに受賞理由の「北海道の住宅のひとつの到達点」ということが
まさに明瞭に伝わってくるようです。

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2007年11月09日

今年度「北海道建築賞」審査員特別賞

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先日、ことしの「北海道建築賞」の受賞作発表会がありました。
これは、公共的な建築から住宅まで幅広い建築を顕彰するもので、
第1回が1975年、という歴史のあるものです。
今回は、たまたま、リプラン誌面でも取り上げていた
小室雅伸さんの「当別田園コート」が表題の賞に選出されました。
写真は、その建物の正面外観(リプラン誌面より)。
えらい、左右に横長い住宅なんですね、これが(笑)。
この建物は比較的に交通量の多い幹線道路から、セットバックはあるとはいえ、
遠景することが出来るもので、車を思わず止めて、
あるいはいったん通り過ぎてから、わざわざ、バックしてきて(笑)
見ていく人が多く、それをまた建て主さんが室内から見て面白がっている
というような住宅ということです。

なんでこんなに左右に長いのだろうか、というのが素朴な疑問なんですが、
プラン的には単純明快で、正面を向いているこちら側が
南側になっていて、敷地にゆとりがあるので、
できるだけ採光と日射取得を有利にするために、このようにしたのですね。
さらにこの家は2世帯での利用が考えられているので、
その意味でも、出来るだけプライバシーを離している、
というポイントもあると思われます。
でもまぁ、まるで汽車が走っているように見えますわな、こりゃぁ(笑)。
玄関を入ってまっすぐ見通せる先に緑豊かなピクチャーウィンドがあります。
「ダルビッシュが冬に来ても、練習できる」と
設計者が説明していましたが(笑)、まったく同感。

設計者の小室さんとは、長い付き合いになっています。
わが家は小室さんと同じ設計事務所のOBに設計してもらったので、
その設計手法や考え方が、通じている部分があり、共感できる設計者。
かれが造る住宅はまったくシンプルになるのが特徴。
しかし、そのシンプルさに、実に奥深くさまざまの考え方が込められているのですね。
それで、そういう部分に気付けば気付くほど、
実に大胆な設計手法だなぁと、感心させられる。
それと、住宅の性能への探求心は刮目するレベルで、
そういう意味からも、「ひとつの北海道の住宅の典型を見せた」という
今回の受賞理由には同感するものです。
まぁ、単純に実に「北海道らしい」建築設計ではないかと思うのです。

小室さんは、近日発売の
「北海道の建築家たち・住宅特集、北のくらしデザインします.8」
では、性能とデザイン、というコーナーで
若手建築家の五十嵐淳さんと対談したり、住宅が紹介されたりしていますので、
ぜひ読んでいただけると幸いです。
たくさんの興味深い話題が展開して、北海道の家づくりの
基本的な部分が明瞭に見えてくるような内容になっています。
って、宣伝なのですが(笑)、ぜひと、オススメいたします。
11月下旬発売、北海道内有名書店と、
今回は、東京の建築関係書籍に力を入れている有力書店でも発売いたします。
値段は1冊、2000円。ちょっとウチの本としては高めですが(汗)、
損のない内容と自負しております。


って、すっかり話題がそれましたが、
またこの家の写真、ご紹介したいと思います。ではでは。

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2007年11月08日

札幌らしい建物の色

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写真は北海道開拓の村に移築されている
旧北海中学校の校舎です。案内には、

この校舎は、明治41年(1908)から翌年にわたって建築された本館部分である。創立は明治38年(1905)で、前身は札幌農学校第三期生らが中心となり明治18年(1885)に設立した私立北海英語学校である。外観の意匠は、明治半ばから大正期の官庁や学校の木造建築によく見られる様式である。

とあります。まぁ、札幌の街には擬洋風建築と呼ぶべき
デザインが多かったので、そういう系譜のなかの建物でしょう。
で、気がついたのは、建物の内外装の色。
この空色掛かったクリーム色、と表現すべき色、
札幌の多くの建物に使われていたなぁ、と思ったのですね。
ちょうど、先日見てきた北大植物園内の建物群でも
同様な彩色が施されていました。
これって、示し合わせてこのように決定してきたモノなのでしょうか?
あるいは、単純に偶然の一致なのでしょうか?
このように建物に色を施すというのは、
それまでの日本の建築には強くない発想。
開拓期以来の洋風尊重の姿勢の成せる技だったろうと思うのですが、
それにしても、色まで特定させていたものなのかどうか、
たいへん、不思議に思います。
このように塗装をするというのは、
外装材の風化予防という意味が強いものですが、
単純に色は、この色がたくさん出回っていて、価格的に安かった、
というような想像は無理があるでしょう。
だとすれば、ある了解事項に基づいて、選択されたと思われます。
その了解事項の決定動機って、さてなんだったのか?
この間から、機会があれば調べてみたいと思っていて、
そのまんま、なんですね(笑)。

スウェーデンなんかの住宅の色のなかに赤い独特の色がありますが、
あれなんかの場合は、彼の地で採れる鉱物資源の再利用だということ。
地域で産出する材料を無駄なく使った結果が、
あのような地域独特の色合いとして存続したのですね。
札幌や、日本の都市では、そこまでの決定的な色って、
なかったのではないかと思うのですが、
写真で見るこの色には、どうも惹かれるものがあって、
「札幌らしい」という色合いに近いのではないか、と思った次第なんです。
みなさん、どのような印象を持たれるでしょうか?

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2007年10月29日

無落雪屋根住宅のデザイン

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写真は先日のアース21札幌例会での住宅視察のひとこま。
札幌の住宅って、日本の中でも特異な進化を遂げてきた存在ではないかと思います。
現在でこそ、首都圏などの住宅デザインでも
インターナショナルなモダンデザインへの指向が強くなっていますが、
そういうなかで、シンプルなボックスデザインというものに挑戦する例があります。
そういうのって、デザインが動機になって生み出されているものですが、
札幌での場合は、ちょっと違って、
積雪という条件がまずあって、その後に敷地条件が狭くなっていくなかで、
やむにやまれぬ選択として、屋根から雪を落とせない、ということになっていった。
いまでいえば、「陸屋根」という呼ぶよりも、
「無落雪屋根」と呼ぶ方がポピュラーかもしれないけれど、
この言葉自体も、たぶん温暖地では聞き慣れない言葉なのでしょう。
まぁ、雪を落とす敷地のゆとりがなくなり、
同時に「お互い様」というような隣近所関係も希薄になっていくなかで、
建築的に雪を屋根に載せたままに出来る作戦が考えられたのですね。
しかし、そうなると、日本の住宅デザインの系譜のなかには
こういうボックスタイプでのデザインの歴史などはないことに気付く。
そこから、苦しいなかでの住宅デザインの模索が始まってきた。
屋根でデザインできない、という現実のなかで
逆に言うと、屋根でどれだけデザインというものが押し隠されてきたのかも
必然的にあらわになってきたとも言える。

まぁ、そんなような雑感が沸き起こってきます。
現在は、シンプルモダンというような言い方がでてきて、
こういうボックスの潔さ、のようなものが浸透してきている。
しかし、札幌でのこういうタイプの住宅のデザインの工夫は常に進化している。
屋根がないなら、壁と開口部、その配置によるデザイン、という
明確な目標が定まってきているので、
表現のバリエーションは少ないけれど、やりようはある感じがしますね。
そういうなかで、この住宅。
外壁の素材をいろいろに変化させていて、モンドリアンの絵のようです。
四角く縁取りを固めて、開口部の配置と大きさで勝負しています。
よく見ると、外壁素材もいろいろなバリエーション。
窓は、樹脂なのだけれど、枠がほっそりと見せられていて、
現代風のシャープさが訴求されています。
最近は、むしろシルバーのアルミっぽい素材感が受けているのだそうです。

こういうデザインの住宅、どう思われますか?

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2007年10月25日

個人の私的権利と社会的子育ての狭間

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ふたたびマスコミからの問い合わせが来ていました。
今回は日本テレビからの取材協力要請。「こどもの声や遊ぶ音が騒音となって困っているケースが無いか?
或いは増えているといった現状を探しております。」ということです。
直接のきっかけは、読売新聞の以下の記事ということ。

●子供の声「騒音」の時代、自治体への苦情増加
 「部活の練習がうるさい」「児童館で遊ぶ声が騒がしい」――。学校や公園などで、子供の声を巡って、周辺住民との摩擦が生じるケースが増えている。読売新聞が全国の県庁所在地、政令市、東京23区の計73自治体を対象に調査を行ったところ、各地の自治体が、子供の声や部活動で生じる様々な音に対する苦情の対応に追われている実態が浮かび上がった。 今回の調査では、48自治体で何らかの苦情が寄せられていた。
東京都北区の小学校で今年7月、ブラスバンドや合唱など、日ごろの練習成果を発表する音楽会が行われた。会場の体育館には冷房がないため、窓を開け放っていたところ、体育館裏に住む人から苦情の電話があり、窓を閉めて続行した。松山市の中学校には2、3年前、「野球部員の声やボールを打つ音がうるさい」と苦情が寄せられた。住民との話し合いの結果、声出しはやめることになった。野球部は今も黙々と練習しており、住民は「以前よりは静かになった」と納得しているという。放課後の子供の遊び場である児童館も、例外ではない。東京都練馬区ではこの1年間に、住宅地にある児童館2か所について、「子供の声が響いてうるさい」という苦情があった。窓やカーテンを閉め、子供たちに「館内では静かに遊びましょう」と指導し、子供が大声を出す度に、職員が注意しているという。今年6月、福井市内の公園の使用について、住民から市にメールが送られた。「サッカーボールで遊ぶ音に悩まされている。(自宅の)敷地に入ったボールを取りに、子供が勝手に入ってくるのも迷惑」との内容。担当者が公園に行ってみると、ボールが金属製のフェンスに当たる音が響いていた。市ではフェンスの手前にネットを張り、フェンスに向けてボールをけらないよう呼びかける看板を設置した。こうしたトラブルを未然に防ごうと、東京都の杉並区教育委員会では、小、中学校を改築する際に、周辺住民から要望を募っている。中にはこんなものもあった。「プール授業がうるさい。地下のプールにしてほしい」「体育の先生は小さい声で指導を」「校庭での球技はうるさいから禁止してほしい」。区教委では「抑えられる騒音は抑えるよう努力する」としながらも、困惑顔だ。 通学時の子供の声について住民らから指摘されることがある世田谷区教委の担当者は、「昔は学校ということで地域の人たちも寛容だったが、最近はそうもいかなくなった」と話している。
(2007年10月22日14時39分 読売新聞)

さて、いよいよ、私的権利とはなにか、というような問題にまで
踏み込んだ論議が必要になってきた気がします。ちょっと危機的。
マンション騒音問題の広がりと同時に、こういう問題が浮かび上がってきています。
ことがらは、子育ての本質的な問題まで問われてきているように思います。
子どもたちが野球をするときの掛け声を騒音とするのか?
こういうものにまで、近隣住民の私的権利を認めては
たぶん、社会として子育てもできにくい状況を生み出しはしないか。
非常に疑問に思います。
みなさん、いかがお考えでしょうか。

写真は記事とは無関係です。皇居のお堀。

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2007年10月20日

壁厚50cm超の実験住宅

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きのうは、以前から訪問したかった仙台市北方の富谷にある
「北州」さんの本社建物に行って参りました。
北州さんは建材販売をスタートに、
2×4(現在は標準で2×6)住宅のハウジング部門も持つ企業。
東北を代表する建築会社ですが、ハウスメーカー的な志向性の強い会社。
住宅性能面へのこだわりを持つ会社ですが、
まぁ、言ってみれば北海道からスタートしたスウェーデンハウス的な志向性の強い
東北の住宅会社といえるでしょう。
昨年5月に環境共生型のオフィスを新築して、そういった賞ももらっています。
今回は通気層を持たない外張り断熱の展開を始めるにあたって、
その工法的な特徴などを発表されたのですが、
その会見当日はこちらの都合がつかなかったので、
お願いして、特別に対応していただいたものです。
この工法については、少しまとめた上で、雑誌の方で取材記事として
まとめたいと思っていますが、
敷地のなかには、写真のような「実験住宅」もありました。
東北大学工学部の吉野教授との共同研究と言うことで、
この住宅はなんと、壁厚が500mm超もあるんだそうです。
ほぼ無暖房住宅のレベルになるものだと思いますが、
ちょうど伺ったときには、社員研修中で詳細なお話は出来ませんでした。
この住宅を教材として、ユーザーへの説明の仕方などを
研修している最中でした。

北州さんというと、そのデザイン性も注目されます。
牧子さんという設計者がすべての住宅について監修しているので、
どういう住宅であっても、「あぁ、北州だなぁ」という雰囲気が感じられます。
聞いたら、設計のスタッフはいろいろなポイントを叩き込まれるんだそうで、
そのあたり、なみなみならない企業努力を傾けているように思います。
写真の住宅などでも、三角の面のある妻側の壁の黒っぽい塗装仕上げなど、
ユーザー心理をしっかり捉えるデザインのポイントが伺えました。
ヨーロッパ北方、とくにドイツに関心が高いのではないか、
というようなデザインの傾向がありますね。
ただし、北州さんは現在、宇都宮まで商圏を南下させていて、
そうなってくると、ヨーロッパで言えば、イタリアンの感覚に近い
関東圏マーケットのユーザー心理、デザインの好みの違いもありますね。
北関東までは、ぎりぎり北州さんらしいデザインでいけても、
南関東地域では、もうすこし軽快感のあるデザインに流れるのかも知れません。
しかし、そうなると、北州というイメージを壊す部分も出てくる。
そのあたりで、難しいポイントがでてくるのでしょうか?

さてさて、ヒルマン監督、大リーグチーム・ロイヤルズの
監督に就任とか、おめでとうございます!
今回の辞任劇、いろいろな考え方は出来るでしょうが、
ハッキリとした出処進退と、その理由の明確な開示ということで、
こころからおめでとうと言えるものだったと思います。
どうも、相手は2年連続で中日の可能性が高まりますが、
最後、日本一まで駆け上がって欲しいものだと思います。
がんばれ、ヒルマン。がんばれ、北海道日本ハムファイターズ!

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2007年10月09日

築後45年住宅の柱の縮み

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きのう、家の近くで築後45年という住宅の再生工事の見学会を見てきました。
まだ、写真撮影の了解をいただいていなかったので、
写真は撮影してこなかったのですが、
いろいろと面白かった住宅でした。
というか、やはり大規模なリフォーム工事って興味深い。
写真は、以前撮影したリフォーム工事の写真ですので、参考まで。
まず面白かったのが、使用している建材、柱の寸法。
この家では、予算の関係からか、
わざと2階の1部屋だけ45年前のままにしてありました(笑)。
まぁ、予算的にはそれほどのことはないだろうと思うので、
新築ではなく、再生型リフォームにこだわったという
建て主さんの希望だったのではと推測します。
で、その部屋に残されていた柱の寸法が何となく気になったので、
建築会社の方にお願いして、寸法を測ってみた次第。
そうすると、幅が9.5cmほどでした。
柱は、現在、というか基本的に、規格として10.5cmが基本寸法。
このことは45年前とは言っても変わらないはずなので、
この期間に、柱がやせ細った、ということができるのです。
10.5cmというのは、木材が乾燥して縮小するのを見越して定められているもの。
規格としては10cmを維持することを想定しているのです。
そういうことから、さらに0.5cm構造材が縮んでしまったのです。
約10%も縮んでしまうのが現実なんですね。
それでいて、そう大きな狂いは生じていなかったと言うこと。

まぁ、知識としては自覚しているのですが、
現実にここまで縮んでいるのを見て、乾燥のすごさと、
生きている材料なんだという驚き、それでいて、
大きな問題にはならなかったという、いろいろな意味でびっくりしたところです。

工事関係者の方にお話を聞いて、
他にもいろいろ面白いお話が聞けました。
これから、札幌でもこういう住宅だけれど、再生して使いたい、
というような需要が本格的に出てくるような気がします。
昔とは違って、住宅性能技術が向上し、一般化してきたので、
新築住宅と遜色ないレベルまで居住性能は高めることが出来る。
親が残した資産を、建築再生の工事費だけで活用できるワケなので、
新たに郊外に宅地を求めて新築するよりも、割安だし、
自分が生まれて住んでいた住宅への愛着も延命できる。
昨日触れたような人口減少局面でも、価値が高い選択と思えますね。

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2007年09月22日

優美な曲面のR壁

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先日のブログで書いた曲面の壁、内部の様子写真です。
細かく切り込みを入れたツーバイ材を切り込み方向に曲げて、
造作したR壁を持つ部屋です。
建物の増築時点では、事務所兼用だったので、
この場所はわたしの執務室として使っていました。
現在は事務所を別に建てたので、書斎のように使っています。
って、わたしのデスクはこの面の反対側に造作。
なだらかで優美な曲面壁は、見て楽しんだ方がいい、という心理。
実際、ちょっと後退距離があると、
家にいるときの心理的句読点になってくれています。
こういう、自分なりに気に入った場所、って、うれしいです。
収納の造作棚も壁面に合わせているので、全体のバランスが調和が取れている。

なので、現在はごらんのように神棚や
父母との祈りの空間にしている次第です。
わが家は仏壇のない家ですので、いまのところはこういう簡易な
コーナーにしているのですが、そこそこ気に入っている「仏間」。
パイプ椅子に座布団、というキッチュな構成で、ちょっとお恥ずかしいのですが(笑)。
どうなんでしょうね、わが家の場合はわたしが死ぬことで
仏壇を持つかどうか、ということになるわけですが、
わたし自身は、そのような伝統的スタイルをとるか、
ちょっと、考えがまとまってはおりません。
最近は散骨というようなものも認められてきているということなので、
そんなこともいいのかな、とも考えたりしてはいます。
本家ではないので、父母の死にあたって、位牌のようなものは作らず、
掛け軸状のものをお寺さんにお願いして、弔っている次第。

なんか、仏さんのことにテーマが振れてしまいました(笑)、
本日のテーマはR壁の部屋ということです。
ただ、こういう他の部屋とちょっと違う空間っていうのも、
日本の伝統的な「床の間」というものとも繋がってくる気がします。
いかがでしょうか。

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2007年09月04日

窓の位置

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窓の位置の決定って、どのように考えるでしょうね。
東京のような過密都市で家を考える場合には、とりあえず基準法に則って
必要な「採光条件」を満たすことを優先させることくらいしか考えられないことでしょう。
窓の決定の大きな要素は、
採光・周辺環境の室内への取り込み・自然換気などが考えられるでしょう。
写真のお宅の場合、この方向は北側で、隣地には大きな店舗があって
その駐車場に面しています。
なので、必要な採光を確保して、外の視線を排除して、
天井レベルまで高くしています。
やや天井高さも抑えられて、真ん中にフィックス窓と、左右に換気用の開閉窓がついています。
よく見る、腰からの高さで一般的な窓、とは違っています。
こういう窓って、それだけで、シャープな印象をもたらしてくれます。
というか、一般的なサッシのカタログから適当に選択した、
というような感じではない。
窓の開け方に、基本的な家づくりの姿勢が感じられる。

左手には食卓テーブルがあるのですが、
この高さの窓だと、座った位置からは空だけを見るような感じ。
確かに、隣地の駐車場の車たちを見せつけられるのは叶わないし、
こういうように関与したくない隣地状況のときには
もっと利用すべき窓の開け方だと思いました。

きのうは久しぶりにススキノで会食しておりました。
たいへん板前料理に感嘆。
かぼちゃの煮付けのほどあいの良さに、感激しておりました。
たまに、ちゃんとしたお店の料理をいただくのは、
家庭料理の参考にもなるので、料理法を聞きまくっておりました。(笑)
変な客だなぁと、毛嫌いされず、親切に教えていただきました。
でもね、カボチャの煮付けって、奥が深そうであります・・・。

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2007年09月02日

水中ミクロコスモスの趣味

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たいへん趣味世界の豊かな、というか
自分自身の暮らし方へのきわめて明確な建て主さんを訪問しました。
住宅の良さというのは、結局は住む人の力だと思います。
家を建てるのには、サポートする人が必要ですが、結局決め手は建て主さん。
現代以前には、一部の金持ち層が数寄屋なり趣味っぽい家を建てることが出来た。
ほんとうの意味での「注文住宅」というのはそういう世界に限定されていた。
大多数の一般庶民は、住み暮らすための入れものとして
規格的な住宅を、寸法精度が要求される部分くらいだけプロに依頼し、
それ以外の人手がかかる部分は自分たち素人だけで施工した。
街で暮らす場合には、大部分が土地持ちが経営する賃貸規格住宅「長屋」に住んでいた。
つい、半世紀ちょっと前くらいまでは、そういう現実だった。
ですから、本格的注文住宅という文化が根付いてきたのは
歴史的にも、きわめて新しいことなのではないかと思われます。

どうも、横道にそれてしまった。
ようするに、建て主さんの明確な暮らし方への想像力の問題。
この宮城県大崎市古川の住宅では、まさに、豊かな想像力がありました。
写真は総工費20万円ほどで実現している水槽世界。
この水槽のなかに、さまざまな生物や自然形成条件を考えながら
サスティナビリティを考え、発展させていくというような楽しみをされていました。
なかには熱帯魚ばかりではなく、エビなども飼育されているのです。
食物連鎖の相性なども研究しながら、
共存可能な生物たちを組み合わせ、生育密度なども考えてコントロールするんですね。
まさに、このミクロコスモス世界では、神のごとく思考できる。
愛情を持って、生き物たちの行く末を案じながら、手も考えていける。
で、この水槽、なんと、トイレの一方の壁面、
ちょうど、座った目線の壁に置いてあるんです。
なんとも大きさといい、ぴったりでして、神のごとき瞑想的空間にふさわしい。
こういうプランニング、建て主さんのアイディアなんだそうです。

こういう暮らし方への明確な考え方を伺うっていうのは、
冒頭に横道に行ってしまったような部分で、たくさんありそうだけれど、
実はあんまりないっていうのが、現実だと思う次第なのです。

ものすごく自由な建て方を出来る時代になっているけれど、
必ずしも、そういう暮らし方への想像力って、
そう、大きくなってきているのかどうかは、楽観できないのです。
なので、やはりこういう自由な発想を持つ事例の紹介というのが、
きわめて重要な要素になっていくのかなぁ、と思えるのです。
さて、どうなんでしょうかねぇ?

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2007年08月30日

窓の開け方を考える

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首都圏在住の方と話していて、
ふと気付いたのが、表題のこと。
わたしは北海道をベースにして住宅を考えているのですが、
無意識のうちに、この土地では一体、どのように窓を開けたら
気持ちのいい暮らし方が出来るのだろうか、
と、考え始めるように思います。
家を建てるには、その土地の環境条件が決定的だ、という由縁だとも言えるでしょうか。

ところが、首都圏地域を始め、多くの都市部の戸建て居住者にとっては
まずは、社会的なハードルを達成することが最優先。
過密社会である首都圏などで、地べた付きの戸建て住宅をゲットする
ということの社会的困難さのほうが、大きい。
そのためには激烈な成功競争を勝ち抜くことが最優先事項。
まぁ、確かに当たり前ではあるのですが、
そのような前提条件での困難を乗り越えることのみに
意識が集中して、いざ、家を建てる段階では、
最初に考えるような「窓の開け方」などということに考えも及ばなくなっている。
まずは社会的過密の方が前提であって、
窓を開けると言っても、とりあえずは「開けられるところに開ける」
というようにしか考えられないのが実際のところなんだ、ということですね。

そういう意味で、改めて北海道で家を建てる、
ということの楽しみ方、というものも見えてくるのでしょうね。
こんなに条件の良い悩みを考えられる幸せを
もう一度、深く思い至ることが必要だとも思いますね。
写真は札幌の街を見下ろす大倉山にある市営のレストランからの眺望。
周囲は自然豊かな森であって、同時にこのような眺望を得られる。
まことに贅沢きわまりない家の建て方を楽しめているのですね。

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2007年08月27日

カンディハウス

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北海道内の企業でありながら、
視野は広く世界に持って、優良企業として活躍している企業も数多くありますね。
そんななかでも、インテリア関係企業として元気なのが、
旭川のカンディハウスさんです。
創業者の長原さんは家具職人としてヨーロッパで修行し、
そのとき、北海道の優良な原木が高級家具の材料として
ヨーロッパに輸出され、職人の手業が加えられて高級家具に生まれ変わって、
ふたたび日本にも出荷されていくプロセスを目のあたりにして、
北海道で高級家具生産を一念発起して起業したフロンティア。
企業家としてのそういう姿勢は深く尊敬していたところです。
そう思っていたら、数年前にわたしの高校時代の同窓生である友人、渡辺直行氏が
なんと、2代目社長に就任しています。
ふしぎな巡り合わせにびっくりしているのですが、
ときどき、顔を合わせる機会にはいろいろな情報交換をさせてもらっています。
とはいっても、先方は幅広く世界を相手に高級家具で戦っている企業。
ほぼ、一方的に情報をいただいている、というところ。

今回もいろいろ話を聞いてきましたが、
とくに面白かったのが、欧米での「日本ブーム」の様子。
日本文化全般への関心が高まっているそうですね。
「いちばん理解していないのは、日本じゃないかなぁ・・・」ということ。
アメリカのIT成功者たちのなかでも1,2を争う大富豪の、
オラクル社の創業者が、なんと、桂離宮をアメリカでそっくりに建てたんだそうです。
施主本人が身長が高い人なので、
実際の桂離宮より寸法が大きくなっているのだそうですが
日本から宮大工を招いて、現物と同じような設計プランで作ったのだそうです。

なんで桂離宮のような建築まで、と疑問を感じますが、
サスティナブルということを考え始めてきた欧米人にとっては、
木と石と、紙や土などといった素朴そのものの素材で、
千年を超える審美眼に耐え抜いてきた日本文化は、まさに生きた未来透視図なんですね。
相当のレベルまで、本物の日本文化性がかれらに活かされようとしている。
その意味で、やはり省エネルギーとか、サスティナビリティということが
まさに現代の最先端的な興味分野になってきているのだなぁと
実感させられますね。

写真は、同社製品に囲まれた、あたたかく心地よさの感じられる社長室です。
たいへん、人をフレンドリーにさせる雰囲気でした。

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2007年08月23日

北海道らしい建築

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きのうは十勝にて仕事しておりました。
で、札幌から帯広に向かう国道沿いに、たいへん巨大な建築があります。
この写真の建物なんですが、名前は
「川西農業協同組合麦等大規模乾燥施設」という建物です。
川西というのは地名。その文字の上には、
「昭和55年度地域農業生産総合振興事業」という文字も。
まぁ、要するに麦などの生産穀物を集中的に乾燥させる施設なんですね。
農水省による公共事業案件として建った経緯がわかります。
という、機能性のみを追求した施設なんですが、
なんというか、現代的な巨大サイロとして、
十勝全域のランドマークとして立派に機能していると
わたし、個人的に強く心引かれているものなんです。
最近はまわりにGSなどの無粋な看板が並んでしまって、
ごちゃごちゃしてきたんですが、
それでも、この巨大さで、車のなかから、
「おう、また十勝に来たぜぃ・・・」という気にさせてくれる。
だいたいが青空が広がっている十勝の空。
そこにガルバリウムとおぼしき耐候性の高い外装。
単純で巨大な容姿。
いかにも農業関連施設としての機能性の表現。
などなど、ちょっと類例のない「北海道らしさ」が伝わってくる。
もし北海道らしい建築、というようなコンクールがあったら、
わたしとしては20世紀代表でこれに一票、入れてやりたい気持ちがあります(笑)。
「ここは十勝だ、農業で食っているんだ、文句あっか?」
みたいな、堂々たる主張性が明快で、まことに潔い。
っていうようなことをいうと、みんなニコニコするのもいい。

で、このもう少し札幌側に進んだところには
甜菜から砂糖を作る巨大円形サイロもあって、
どちらも、地域らしさを圧倒的に感じさせてくれるんです。
どうも、感じ方が単純に出来ているんでしょうか。
みなさん、この建物、どう思われるでしょうか?

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2007年07月26日

大正末期の写真館

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先日行ってきた北海道開拓の村から。
しばらく見に行っていなかったら、こんな面白い空間を持った建物が建てられていました。
大正末期、1924年建築で、昭和の半ば、1958年まで写真館として
岩見沢市で使われていたという兼用住宅。
写真スタジオや絵のアトリエとかは、大量のたっぷりと安定した太陽光を求めます。
写真左側は内部の様子ですが、
たぶん、北側に面した屋根を全面ガラス張りにして、
太陽光を室内に取り入れる設計にしています。
日光の変化があまり大きくないのは北側からの光。
南側からの光は強烈すぎるものなのです。
いまでこそ、こういう空間を作ったとしても、温熱環境を犠牲にしないで済むことが
可能にはなっていますが、この当時はそうではなかったでしょう。
しかも、建てられていた岩見沢市は有数の積雪地帯。
屋根はここまで壁に近い急傾斜なので、積雪はしなかったでしょうが、
室内から奪われる熱が雪を溶かし、夜になれば
その水分が結氷して、巨大な氷柱を形成したのでは、と推測されます。
その氷柱の重みを受けたのは、ガラス面でしょうから
いろいろな不具合が発生したことは明白。
はたしてまともに、冬期間、スタジオとして機能させられたのかどうか、
取材は出来ませんが、想像するにあまりある大胆な設計。
まぁ、商業目的ですから、建築的困難は織り込み済みではあっただろうと思われますね。

こういう採光の仕方は、シングル・スラントと呼ばれるそうで、
写真スタジオ建築としては、良く試みられたものなのでしょう。
しかし、当時のみなさんはこういう空間を見て、驚かれたことだろうと思います。
商業目的とはいえ北海道で、こんな大空間を開放的なスペースにしてしまう、
荒唐無稽ぶりに、あっけに取られたに相違ありません。
ガラスは単板ものでしょうから、
いったいどのようにメンテナンスしてきたのか、
詳しく聞いてみたくなったような兼用住宅です。


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2007年07月14日

玄関前の敷石

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写真は、北海道開拓の村、旧松橋家住宅のもの。
今回見学に行って、一番感じたのが、
「札幌軟石」のさまざまな利用のされ方だったのですが、
この家では、立派な玄関先(右写真)に敷き込まれて使われていました。
で、左側は「勝手口」側なんですが、
こちらは、どうも基礎工事などでこの地盤面を掘り返したときに
出てきたゴロタ石を取っておいて使った、という感じ。
こういう明確な素材の分け方って、
物事への判断基準がハッキリと峻別されていることを表していて、
一種、生きる上での哲学の明確さを伝えてくれます。
この敷石で言えば、正面玄関を通って入ってくる
「ハレ」の存在への畏敬の表現というものと、
日常使いのものへの質素の強調、とでも言えるでしょう。

こう見てくると、現代の住宅建築で、
こういう社会規範要素が設計上の与条件になる、ということは少ない。
ちょっと、飛躍してしまうかも知れないけれど、
床の間とかは、「家の格式」とか、生きていく規範を
住み暮らすものの意識に植え込んでいく装置ともいえたもの。
いまや、そういう存在に建築的敬意を払う、という習慣はほぼなくなった。
北海道では、和室自体、予算的に無駄、と計画されない家が多い。
歴史的に言えば、封建的な価値観の廃棄とでもいえるのでしょうか?
ただし、このような「しきたり」に属するようなものは
どんな年代の古民家にも共通するものであって、
狭い意味での「封建」というような価値観ではくくられないと思う。
家、とか家族、の基本的な存続に関わるような規範性でもあったと思う。
そういう考え方から、このようなハレと、日常の
「秩序感覚」もおのずと育まれてきたものなのだと言えます。
そして、その考え方には、かなり合理性もあったのだと思えます。

勝手口、というようなハレと日常の隔て装置はいま、ほとんど意識されない。
敷石の果てまで、そのような秩序感覚が貫徹しているのと
秩序感覚がほぼ消滅したような社会。
どちらのほうが、「文化的」といえる社会なのか、
ちょっと、考えなければいけないポイントなのかも知れませんね。

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2007年07月05日

挫折の履歴書

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こういう種類の興味というのは、どういうことなのか?
自分でもよくわからないのですが、
いろいろな土地を訪れるたびに、崩壊寸前のような建物を見るのが、
習いのようになっています。
素晴らしい建築を見るのとはまったく違う意味合いで、
こういう種類の、いわば挫折の履歴書のようなものが、
その土地のさまざまなことを語ってくれるように思えるのです。

写真は、6月のはじめに赤井川村を通過したときに
以前から気になっていた、うち捨てられた家屋を撮影したものです。
赤井川村は、札幌市に隣接する村ですが、
札幌からのアクセスは、高い山々が遮っていて、
峠越えの、急峻な道を通って約1時間くらい掛かる地域。
この道が通る前には、小樽や余市を回ってしか行けない村。
産業らしいものがあるわけでもなく、
この家の持ち主は、たぶん開拓農家として入植したのでしょう。
どのような経緯があったかは、知るよしもありませんが、
結果は、こういう崩壊する家屋がすべてを語ってくれています。

最近の小泉改革以降、
地方という経済基盤は大きく揺らぎ、
その打開方向というのも、まったく見えてこない現実があります。
首都圏や、中京、関西といったメガシティ以外の地域は、
中核的な都市部という、ごく一部を除いて、
生き延びていく方向性をなかなか持てない。
というような雑感を、どうしても感じてしまう次第です。
そういうなかで、どのように地方に生き延びていく仕事や、
地域社会を作っていけるのか、
地方零細企業としては、勇気を持って取り組まなければならない課題ですね。
ま、しかし、みんなで知恵を絞るしか、ないのでしょうね。

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2007年07月03日

ニセコひらふのリゾート建築

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先日のオージー企業によるニセコ訪問時の写真。
いちばんスキーゲレンデに近い位置の滞在型物件です。
このデザインは、オーストラリア人の基本構想に踏まえてまとめられたもの。
手前側がゲレンデ側。片流れの屋根で手前側に高窓が開けられています。
なので、一見、3階建てなんだけれど、
メゾネットタイプの2階建て。
外観の色合いは黒っぽい、シンプルなもの。

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一方、こちらは内部の様子。
2階の大きな居間空間に、ごらんのような太い梁が走っています。
無垢の材料だったのですが、長さも太さもちょっと、規格外っぽい。
どうやってこんな材料、仕入れられたのか、
このあたりがポイントになっていましたね。
当然、日本国内では難しいでしょうから、外材でしょうけれど、
それにしても太さが半端ではないものでしたので、
ロシアなどから探してきたものでしょうか。
長さも大型トラックでギリギリっぽい。
まぁ、こういう素材だけで、ドーンと見せてしまおうというインテリア。
この居間空間を持つ部屋はベッドルームが4つくらいあったので、
8人くらいでシェアする滞在型の造り。
大きめのキッチン設備などもあって、居住性が高い。
1週間以上、2週間程度の長期休暇を取ってスキーリゾートを利用する
こういう、かれらのリゾートスタイルにとっては、
温泉観光型の日本人型のリゾート施設は、価格も内部空間も適していないんですね。
どうしても、既存のホテル群や、民宿などは、
1泊2日の短期滞在型にあわせて、盛りだくさんの据え膳、っていうスタイル。
価格も、1週間分を土日で稼ごうとするものになる。
どうも、スキーリゾートというのは、そうではないようなんですね。
オーストラリア観光客は、絶対に地元の施設を利用しない、
ということの理由が明白でした。

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2007年06月28日

ふるさとの風景

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わたしは北海道空知郡栗沢町の生まれなんですが、
最近の市町村合併で、いまは岩見沢市になった、とごく最近聞きました。
というのは、ご覧の写真のワイナリーに先日、訪れてから。
3才までのふるさとなので、あまり記憶はありません。
しかし、たとえば、夏の日射しを厳しく浴びた土の色とか、
冬前の野焼きする焼ける草の臭い、などというような
いわば感覚脳の領域では、鮮明な記憶があるようです。

そんな記憶を、このワイナリー周辺では強く記憶再生してしまった次第です。
生家からごく近く、やはりそういう記憶感覚の中にいる自分を発見します。
ということなんですが、
でも、よく考えると、このワイナリーの建築が媒介している気がします。
このワイナリーの建物は、小樽にあった倉庫建築を移築してきたものだそうです。
こういう移築再生では、やはり地元の武部建設さんがお手の物。
古い雰囲気をほぼイメージ的には完全に再生させながら、
建築としては、構造的にも、断熱気密的にも
最先端の技術レベルで、建てられています。
古さを持った建築には、ひとびとの、それぞれの生きてきた記憶脳に
訴求するような、ある、強烈なメッセージ力があるのではないでしょうかね。
わたし自身、この建物とはなんのゆかりもありませんが、
前記したような、記憶が激しく揺さぶられるような思いを抱いたのでした。

っていうようなこともあって、
つい、ワインを3本も購入してしまいました(笑)。
ふるさとにほど近い、こういう場所で、
生き抜いていこうという人に接していて、
とても親近感を抱いてしまったと言うこともあります。
まぁ、でも、それよりは単純に、おいしそうだったと言うことなんですね(笑)。
こんど、大勢でパーティする機会でもあったら、
ぜひ、味わってみたいと思ったわけなんです。
みなさんも、一度、行ってみてください。とても素敵な建築でしたよ。ヴィアグレスト宝水。
場所は、道道三笠・栗山線を栗山方面から走ってきて、
上志文を過ぎ。毛陽への信号も過ぎて行くと、
両側に山が連なる沢のなかに入ってきます。
右手に「雉が森カントリー」をみてすぐの左の山裾に、
ぶどう畑が広がっているのがわかります。
そのぶどう畑を上から見下ろすように、
計画されたワイナリー、です。(武部さんのHPhttp://www.tkb2000.co.jp/takebe/より)

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2007年06月26日

木肌の味わい

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先日紹介した岩見沢市での武部建設さんの施工事例の外壁。
住宅を見に行ったあと、カラマツ外壁を乾燥しているところも見学。
切断する厚みと長さは一定なのですが、木の太さやねじれや曲がりに沿って、
不定型な張り方、表情になっています。
まさに自然な風合いが感じられる仕上がりになっていますね。
カラマツの間伐材利用と言うことなんですね。
こういうデザイン的な発見に満ちた素材の活用って、
たいへんすばらしいことだと思います。

いま、諸外国からの木材輸入の先行き不安が大きくなってきて、
北海道の木材を高値で本州大手企業が買い占めてきている実態があります。
永年、北海道の木の素晴らしさをアピールして
実際の住宅建築に「北海道らしい」素材として活用してきた
地元工務店に、地元産材が回ってこなくなっているのです。
お話を聞けば、大量購入で、高値の指し値、という
経済原則そのものの現実が進行しているのです。
まぁ、日本企業お得意の集中豪雨型の投資の実態。
こうした危機感から、地元の山そのものを
工務店のグループで購入・管理しよう、という動きも出てきています。
このままでは、早晩、北海道の森林環境は
破壊的な局面に立ち至る可能性もあります。
こうした実態を、多くのユーザーのみなさんも知っていただきたいと思います。


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2007年06月21日

再生家具ショップ人気

6901.jpg

写真は先日伺った、伊達市・須藤建設さんのショールーム。
RCのビルの1階を展示コーナーにしている。
で、なにげに見ていた家具なんですが、
良く聞いてみたら、これらは再生家具なんだそうです。
脚や、骨組みなど、立派なんだけど、
カバーや表面などが汚れたり、傷ついたりしている家具は多い。
そういうのを集めてきて、というか、
販売単価などを見ていると原材料としての古家具は
どう考えてもただ同然で仕入れているとしか考えられない
という値段で、販売されているのだそうです。
伊達に来たのですが、この家具のショップは札幌にあるのだそうで、
情報って、なかなか、面白いものですね(笑)。
展示されているのは、種々雑多なデザインや材質。
こうやって、新品のように再生させられるのですが、
やはり使い込まれたような、いわば親和感のようなものが感じられます。
新品では出そうと思っても出せない味わいなのかも知れません。
きっと、木の表面に細かく付くだろう傷が
表面にやわらかい光の屈折をもたらして、
人の目に優しい印象を与えるのではないだろうか、などと
勝手な思いこみがわき上がってきます。

こういうところに目を付けるというのは面白いですね。
商売でも最近は、新しいものによりも、
古いものや、リサイクルに関連したようなものが人気だ、という説がありますね。
こうやって実際にこういうモノを見ると、
真に迫ってくるような感じがいたしました。

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2007年06月20日

北海道の住宅視察同行

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一昨日より盛岡からの北海道住宅視察に同行しています。
東北と北海道との架け橋のような活動をしているので、
こういう機会が必然的に増えています。
そんなことから、あらためて地元に建てられている住宅を再認識したりもするので、
こちらにとってもたいへん有意義な経験が出来ますね。
北海道の住宅、札幌を中心とした地域の住宅は
日本で一番、インターナショナルデザインに近いと思います。
実際に建てられている住宅を見て回ると、
その性能面やデザイン面、どちらもレベルが高いと再確認することが多い。
一昨日は、札幌でも高級住宅街とされる地域を案内したのですが、
日本的住宅文化の伝統から自由な外観デザインが
実にバラエティ豊かに展開していると思います。
敷地割り自体が、開拓期にアメリカの影響を受けているからか、
それとも、積雪寒冷地ということからか、
ゆったりとしていて隣家との距離がしっかりとられています。
なので、いろいろ個性的な建物が適度な間隔の中に建てられていて、
バラバラともいえるけれど、
非常に自由にデザインを楽しんでいるという感じでしょうか。

写真は、札幌近郊の地方都市・岩見沢に建てられている住宅。
スイスの住宅デザインにインスピレーションを得て、
カラマツの間伐材を、その自然な形態・風合いをそのまま活かすように
実に印象的に使っています。施工は地元の武部建設さん。
設計は京都在住の設計者ということですが、シンプルなかたちと、
さまざまな表情が飽きることのない美しさを放っている外壁の魅力で、
一気に、見るものの気持ちを鷲づかみしてくれます。
こういう住宅がさりげなく建てられているというあたり、
視察のみなさんも驚かれていました。
こんど、内部もしっかり見てみたいな、と思った住宅です。
みなさん、いかがでしょうかね。

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2007年06月18日

札幌の建築家住宅のルーツ

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写真は、コーヒー店として移築保存使用されている旧小熊邸。
札幌の創成期の建築家として知られる
故・田上義也氏の代表的な個人住宅です。
何回か、リプラン誌面でも取り上げてきていますが、一応、その紹介。
以下、リプラン誌面より<
この建物は古くから札幌に残る歴史的建造物で「さっぽろ・ふるさと文化百選」にも選定されている「旧小熊邸」です。老朽化のため解体消失が危惧されていましたが保存運動により、平成10年秋、藻岩山ロープウェイ乗り場近くに建築当初の姿で復原移築され、喫茶店「ろいず珈琲館」として甦りました。
この建物は昭和2年、札幌市中央区南1条西20丁目(当時は円山村だった)に、北海道帝国大学農学部小熊桿(元北海道大学理学部学部長)博士の自宅として、建築家・田上義也氏(故人)の設計により建てられました。設計者である田上義也氏の初期の頃の作品で、氏はアメリカ建築界の巨匠、建築家フランク・ロイド・ライト(日本での代表作品に「東京帝国ホテル」がある)に師事しその影響を受け、平面構成や深く張り出した軒先、サッシの幾何学的な割付など印象的な作風で、北海道の近代建築の草創期を代表する建築家です。

 構造には、ツーバイフォー工法の基本となったバルーンフレーム構造を一部に採用(復原では全面的にツーバイフォー工法が使用された)。外観では、田上氏の作品に共通する屋根の破風妻面を途中で切ったような破れ破風、外壁の腰部分は横羽目板張りとし、低く抑えられた階高、張り出した軒先、軒先に上端を揃えた窓など、水平性を強調。また、応接間として使われた部屋の亀甲型の大窓は印象的です。内部では、長押や斜めに走る押し縁、幾何学的な照明器具、造り付けの長椅子や菱形小窓、各所にくみこまれた窓飾りなど、インテリアもとても印象的です。

田上義也 プロフィール
1899年 栃木県生まれ
1913年 青山学院中等科入学
1915年 早稲田工手学校(夜間)入学
1916年 早稲田工手学校卒業
1918年 帝国ホテル現場事務所勤務。 アメリカの建築家、フランク・ロイド・ライトの数少ない日本人弟子のひとりとなる。
1923年 北海道へ渡る。
以来、建築のプロフェッションを強く意識し設計活動を行った、北海道近代史上におけるフリーアーキテクト(自営建築家)の先駆者の一人。

というようなことなのですが、先日、久しぶりに行ってきました。
こういう建築物が、一般的に利用可能なかたちで保存利用されているのは
すばらしいことなのではないかと思いますね。
いっとき、時間を忘れて北海道の建築の歴史を想起することができます。
みなさん、ぜひ、一度利用されてみてください。

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2007年06月15日

オージー向け別荘タイプ投資物件

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このコンクリート住宅は、オージー企業の投資物件。
敷地が約70坪ほど、延べ床は30坪内外と思われました。
コンクリート打ち放しのシンプルなボックス。
手前側の大開口が、2層分の高さに渡って大きく開いています。
この建物は、わたしたち北海道の建築技術の先端グループの企業による建築。
こういう開放的なデザインを、寒冷地であるニセコで
長期的な資産価値を損なうことなく、
投資に見合う耐久性能とデザインを持たせているというのがポイント。
オーストラリア人や、香港などの投資家にとっては、
投資金額本体の回収は、数年で完了させられ、しかも、
ニセコヒラフという魅力的なスキーリゾートが世界的に価値が高まっていけば、
売買による投資利益も期待できるものになります。

そして、ニセコヒラフが世界のリゾート地間の競争の中で
ほかとは違うユニークな存在にしたいと考えるときに、
かれらオージーたちにとっては、
この建築が、インターナショナルにわかりやすく、
しかも「現代日本的」なデザイン性を訴求するものである必要があります。
そういう視点で見たときに、このコンクリート建築は
十分にその用を満たして、さらに超えるような魅力を持っている、と語っていました。
わたしたちにしてみると、この建築はインターナショナルには思えますが、
日本的、と言われると、やや場違いな感じを否めません。
しかし、ディテールには随所に日本的なテイストは感じられましたし、
建築としての性能、ということで考えれば、
寒冷地住宅技術では、まさに世界の最先端とまったく遜色はない。
そもそもインターナショナルな感覚に一番近い日本といえる北海道が、
現在生み出し続けている建築デザインにそういう側面があるのだ、
とも言えるのかな、という印象を持ちました。
確かにこの建物は寒冷地住宅としての性能要件は
ほぼ、今現在の日本と世界の技術の最高水準に近く、また、デザイン面でも、
インターナショナルと日本文化の融合的な北海道の感覚をあらわしているとも言えます。
壁厚なんと、380mmという2層構造のコンクリート外断熱の性能とデザインは
世界の投資家にとっても、たいへん強いメッセージを伝えるものだと思います。

そういうことで、北海道以南の日本よりも前に、
海外のシビアな選択眼・審美眼が
北海道の住宅建築の真の価値を見いだしてくる、
きっかけを与えるのではないかと思います。
そうした意味から、こうした海外からの投資の動きを、
北海道の企業家はもっと着目すべきだと思われてなりません。

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2007年06月14日

オージー企業のニセコ高級リゾート作戦

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ここ数年、ニセコ地域へのオーストラリア観光客の流入、
その結果としての土地価格の上昇がいわれています。
今回、そのブームの担い手といえるオージー企業の事業展開をみてきました。
例によって、アース21という建築会社のネットワークの視察。

建築プロデューサーの側面というよりも、
徹底的にマーケッターである、というのが実態。
世界の高級スキーリゾートという、かれらが選択した事業領域の中で、
この北海道ニセコの地域の価値を高めることで、
かれらの利益を追求していく、というのが明確。
コンドミニアムタイプのものから、別荘的な小さな戸建て物件まで、
「投資物件」としての目的に沿って、建築が作られています。
戸建て物件は、地元の優秀なビルダーが建築を受け持っているだけありますが、
大きな物件については、大変、ラフだなぁ、というのが率直な印象。
ただ、どういうようなリゾート地域にしたいと考えているか、
という質問に対して、「現代日本的な」ものにしたいので、
よくある欧米のスキーリゾートのようにログハウスだらけ、
というようにはしたくない、という答えが印象的。
さらに、彼らが主要な事業展開地域としている
現状のヒラフ地区の街並みの様子について、
こちら側のメンバーが、不統一で混乱した街並みになっているのではないか、
と指摘したのに対して、
「いや、バラエティに富んでいていい、と思う」との答えでした。
アフタースキーの楽しみの中で、すしや純日本的な料理店から、
現代日本的な、無秩序な「なんでもあり」という文化(?)が、
むしろ、キッチュで、楽しいというような感覚を持っているのか、と思った次第。

一方で、戸建て的な別荘建築では、
決まり切ったログハウスではない、
現代日本的な、ハイテク的なイメージとかも含んだような
新しい「日本らしい」クオリティと、デザインの建築を志向しているようです。
かれらの、建築への一番の関心ポイントは
「資産価値として高い耐久性」という側面が強い、クオリティというもの。
このあたり、このオージー企業自体にはそういうビルダーとしての能力は
不明ではありますが、よきパートナーシップが得られれば、
面白い、インターナショナルっぽい北海道的なあたらしいものが
生まれ出てくる可能性はあるのではないかと感じた次第。
かれらは、かれらなりの投資的な世界の中での競争の論理で行動していますが、
そのなかで、われわれ北海道の企業側でも、
大いに、活かして利用していくべきなのではないかと思いました。
あした、戸建てタイプのものを取り上げたいと思います。

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2007年06月04日

どんな会社が家を建てているか

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先日の講演に準備した資料の中のひとつです。
札幌市内の昨年の年間建築棟数は全体で4121棟という数字。
これを一体どのような企業が受注しているのか、のグラフです。
いちばん左側が、いわゆる「全国ハウスメーカー」分。
真ん中は北海道の地場大手ハウスメーカー。
そしていちばん右側が、地場工務店。
それぞれ、なにを基準に区分しているのかは難しいのですが、
いちおう、本社が東京などにある大手企業が左端。
札幌や北海道内に本社がある会社で、
大量の営業マンでやっている会社が真ん中。
右端の企業群と、真ん中を分けたのは、年間着工数で40棟をラインに設定したもの。
このあたりは、まぁ、根拠が薄いと言われればそれまでなんですが、
下請けや、丸投げをしない範囲で、
いわば、製造業としての工務店の品質レベルを維持可能な
最大限の年間棟数という区切りを考えた次第。
多くの工務店経営を知見したうえでの区切りです。
いろいろな見方が出来る数字なのですが、
こうしてみてみると、札幌では全国ハウスメーカー率(建築棟数に占める割合)が
23.6%になっています。
こういう統計を詳細には当たっていませんが、
実感的には、仙台などの例で考えると少ないレベルだと思います。
一方で、ひとりの経営者が管理可能な製造業としての工務店率は57.6%。
また別の言い方をすれば、
直受けの工事の比率が57.6%であり、逆に下請け率が42.4%ともいえます。
大手ハウスメーカーというのは、要するに
下請けとして多くの工務店を傘下にしているのが実態。

北海道内では他の地域なども
概ね、この傾向からもっと地場ビルダーが割合が高いと思います。
北海道は、積雪寒冷条件が厳しく、
全国ハウスメーカーは一部が短期間で撤退するなど、
地場ビルダーの割合が大きいと思うので、
その意味では他の本州以南地域では、
この全国ハウスメーカー比率はもっと高いだろうと想像できます。
いずれにせよ、その地域に実際に暮らしている経営者が
その地域の気候風土に似合う家を生産する、という当たり前のことが、
もうすこし増えていくのが良い傾向なのではないかと思います。
みなさん、いかが感じられるでしょうか?

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2007年05月31日

ちょっと住んでみたくなった、公共住宅

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写真は、以前から気になっていた、
仙台市内から空港へ抜ける道すがらにある公共住宅です。
とはいっても、公共住宅とわかったのは今回が初めて。
ちょっと1時間ほど、飛行機の時間まであったので、
車を止めて、じっくり見てみることにしてみました。
こういう発見の立ち寄りって、
ワクワクするような時間を楽しめます。

で、この建物って、表札って言うか、看板を見てはじめて
「仙台市荒井市営住宅」であることを知った次第。
なんとなく車から見ていて、その雰囲気とか、とても気になった建物なんですね。
じっくり見てみて、「いやぁ、内部の取材なんかもしてみたい」と思いました。
ふつう、こういう公共住宅の場合には、
予算効率が最優先で、単純なボックス形態を取ることが多いと思いますが、
この建物は、中央に通路の空間を取り、そこからいくつかのグリッドを
散在させている、というのが配置的な特徴。
こういう配置計画を採用することで、中央通路や分岐する通路などの
空間に、豊かな陰影感を作り出すことに成功しています。
各グリッドが小さいスケールでしかも3階建てと低層なので、
各戸ごとの採光条件なども大変素晴らしいものがあります。
駐車場なども各エリアに分散させている関係から、
建物と建物との空間も、植栽など表情豊かになっている。
ちょうど、こどもたちが遊び回っていましたが、
明るい場所、暗い場所、広い場所、狭い場所、風が通る場所、閉鎖的な場所など、
実にさまざまな外部と半外部の空間が展開しているので、
かくれんぼなどで遊ぶのには、恰好と思われました。

まぁ、わたしは戸建て住宅についてが専門領域なのですが、
こういう空間性を戸建て住宅で実現しようと考えたら、
かなりの土地の余裕が必要なので、たいへん贅沢なプランになると思われます。
こういう豊かな空間性を持った建物が、
公共住宅として提供されている、というのが不思議な感覚。
住宅部分の内部の居住性はわからないのですが、
こうした配置なので、適度に緑地帯も確保されていて、
室内からの視野は比較的に豊かだろうと推測されました。
なので、設備や内部の性能環境は別として、
建築として考えれば、実にすぐれたものではないかと思われました。

ということで、インターネットで、設計者や施工者の情報を探してみましたが、
仙台市からは、インターネット上にはそういう情報は公開されていないようです。
ハッキリ言って、仙台では性能的に優れた建物って、
そうは提供されているとは言い難いので、
どうせ、どんな建物でも自分で性能を向上させるしかない、
そういう風に手を掛けなければならないと思えば、
こういう住宅って、利用価値は高いだろうなと、思います。
まぁ、仙台市民ではないので居住資格はないのが残念です(笑)。
ほとんど、一般の戸建て住宅ばかりを見ているので、
たまにしか、こうした公共住宅を見る機会がないため、
見方は見当外れになっているかも知れません。
さて、みなさんのご感想はいかがでしょうか?

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2007年05月24日

JIA東北住宅大賞授賞式

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先週18日は、以前から触れてきた
「東北住宅大賞」の表彰式典が仙台で行われました。
写真はJIAの仙田満会長による講演の様子。
地球環境問題を正面から考える建築的取り組みについて、触れられていました。
まさに言われるとおりと思いました。
そして、こういう時代であるからこそ、
とくに寒冷気候の東北で始められたこの賞が、
暖房冷房のエネルギー削減努力、CO2削減の具体的追求などの
まさにそういう時代の大きな志向性に対して、その最先端で、
エコロジカルで、高品質なデザインを考える
まさに地域建築家の答えを示すものになって欲しいと思います。

引き続き行われた住宅建築のフォーラムでも、
審査員としてのまとめ的な仕事としてコメンテーターを務めました。
今回の住宅賞では、わたしは「北方圏住宅」としての視点、
というものを審査の中に反映させていく役割が求められていたものと考えています。
そしてそのことと同時に、それはユーザー視線での住宅評価にも繋がるのでは、
とも考えながら、勤めさせていただきました。
このふたつの役割、果たして思ったようにできたのか、
いろいろな思いがありますが、
しかし、古谷審査委員長を始め、多くのみなさんのサポートをいただき、
無事に役を終えることが出来ました。
ほっと、ひと安心と思っているのですが、
第2回となることしの審査委員もひきつづき、やれとのこと。
まぁ、乗りかかった船なので、
前記したようなスタンスで、ことしも勤めさせていただこうと考えております。

本日は、岩手県奥州市水沢で住宅ビルダーさん向けの講演。
東北電力さんの主催でのもの。
で、昨日千歳空港から飛行機に乗り込もうとしたら、
なんと、JIA東北支部のみなさんとバッタリ遭遇。
聞いたら、台湾の建築家グループとの交流からの帰りと言うこと。
時間的に成田よりも、千歳の方が都合が良かったと言うことで、
台湾〜千歳〜仙台、というルートだったのだとか。
つい先日、この授賞式で顔を合わせたみなさんだったもので、
そういえば、この授賞式について書いていなかったのを思いだした次第です。
それにしても、人間、動き回っていると、思わぬところで出会うものですね(笑)。

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2007年05月23日

土地の値上がり

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写真はなにげなく仙台の定宿から外を見ていたら、
目に飛び込んできた空地を見たもの。
市内中心部なので、いろいろに思惑が動いているんだろうな、と
想像させるような光景です。
最近、札幌市内では土地の高騰ぶりが話題になってきていますね。
知人の経営者からよく耳にします。
地元の中小企業に手が届く、
ほんとうの中心部地域とは言えない、やや縁辺地域ですが、
5〜6年前購入した土地が、5倍・6倍といった勢いで
主に、ファンド系の資金で買いが大きく入っているようです。
札幌市中央区の場合は、マンション利用のケースが多い。
やはり、中心地回帰かと思いきや、どうもマンション購入の主体は、
セカンドハウスとしての本州の方も多いようですね。

しかしそれにしても、坪あたり25万円前後だった土地、
それも裁判所の競売などで市場に出されていたものが、
いまは140〜150万円にもなろうという状況。
中心街地でも全然、買いが入っていなかった時期から考えると
ちょっと、びっくりするような高騰ぶりですね。
実際にそうして値上がりすると、固定資産税など、大きく上昇するので、
良い面もあるけれど、そうでない面もある。
しかし、銀行借入などが容易になって、
その分、企業の設備投資意欲を呼び覚ます効果は大きい。
今回の土地価格上昇は、以前のように住宅地まで巻き込むようには
なっていないけれど、この先は、商業地の近接地域まで
広がっていくのでしょう。

有効求人倍率が、北海道は0.5程度で、
もっとも人手不足感が高い東海地区では2倍前後。
経済は、確かに自立的に動くものなので、
そういう現実に踏まえながら考えていかなければならないけれど、
住宅取得意欲を持てる層というのが、
地方ではだんだん限られてきているのも事実。
こういう土地の値上がりなどで、活発になる投資が、
現実的な雇用の上昇にまで高まってくれることを期待したいですね。

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2007年05月13日

仏式地鎮祭

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写真を整理していたら、わが社の社屋地鎮祭の様子の写真発見。
わたしとわが家は、もう二十年以上も前に父母とも
他界しているものですから、わが家でも会社事務所新築でも
神社というよりは、仏さん・お寺さんの方が縁が深くなっていまして、
たまたま、宗派が真言宗なものですから、
加持祈祷のたぐいが得意、ということもあって、
こういう地鎮祭などは、お寺さんにお願いしています。
たいていは、建築業者さん、こういうときにお坊さんが来るというのは初めてのようで、
「え、どうやるんですか?」と一様に聞かれます。
「だいたいは神道と同じようにやるんですが、ねぇ・・・」と
説明するよりも、見ていればわかりますから、とその場対応でお願いします。

弘法大師・空海の開いた密教・真言宗は、
さまざまな加持祈祷の秘技のような呪文とか、気合いとかが
なかなかに多くて、とくに四方に清めを行うときなど、
お坊さんの裂帛の気合い〜れっぱくのきあい〜がとどろいて、
一同が、「お、おっ・・・」と静かに盛り上がるのが、これがいいんですね。
真言宗は、日本古来の在地の自然崇拝とか、を取り入れることに熱心だったことが
こういう融通性の高さに繋がっているのか、
まぁ、わが家はこういう宗旨なので、
ごく自然とお願いしている次第です。
建ててから、一度も大きな事故や火災などもなく平穏に推移してきていますので、
やはり、御利益の霊験、あらたかなものがあります。
ということで、めずらしい、地鎮祭の様子を。

さて、わたしのブログ、ずっと朝一番更新を継続してきましたが、
今後は、夕方とか、夜とか、時間は不定期に更新したいと思います。
あんまり朝早くと決めていると、ワーカホリックじゃないですけど、
ちょっと、きゅうくつな気持ちがしてくるものなんですよね。
そんなことで、更新の時間は、変わりますけれど、
今後も更新自体はがんばりますので、ご愛読どうぞよろしく。

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2007年05月06日

都市型RC連棟住宅

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わが家の近くに建てられた珍しい「連棟」スタイルの住宅です。
「連棟」って、前にもこのブログで触れましたが、
欧米ではよく見かける住宅です。
あれだけ、個人主義の伝統が根強い文化社会だけれど、
同時に、地域コミュニティというような考え方も成熟していて、
「個」と「共」の関係についての文化ルールがしっかりしているのですね。
一方、日本でも伝統的な「町家」スタイルの居住形式がかつて存在し、
現在もそうした基本的な街割りの中で多くの住宅が存在しています。
しかし、新設の住宅ということで考えると、
なかなか、権利関係についての考え方が難しい、こういう住宅は建てられにくい。

この住宅では、ごく近かったということもあって、その経緯を把握しています。
まず、大きな広めの戸建て住宅の持ち主が亡くなられ、
その跡地が、小規模なデベロッパーに再利用されることになった。
その会社は、ローコストのRC住宅で売り出している会社で、
小さな敷地に分割して、土地価格を抑えたうえで、
同時期に、間取りやプランなどもほぼ同一の企画型住宅として販売した。
さらに、建築工事としても連棟住宅とし、一気に着工〜完成させることで、
コストダウンを計ることが出来る。
こうすることで、便利のいい敷地でありながら、
比較的求めやすい単価に抑えることができる、というメリットがあるのですね。
最近は、こういうスタイルの家づくりをさらに発展させたような、
コーポラティブというスタイルを取り入れた住宅も徐々にできてきています。

まぁ、マンション並みの価格で、戸建て住宅、
それも、この住宅群のように駐車スペースが2台分確保できるのです。
ただ、こういうコンセプト、ユーザーに理解してもらうまでには
若干、時間がかかったようで、
「現地販売説明会」が、何回か行われていました。
たぶん、都合1年以上時間がかかったのではないかなと思います。
ということで、完成し、なんとか販売はできたようなんですが、
さて、最初に書いたようなこと、
これから、住むみなさんにとって、未体験なことが始まるわけですね。
「地域コミュニティ」の創成、というようなことです。
欧米の、地域コミュニティと個人主義の折り合いの歴史的文化に対して、
戦後以降の無原則に近い個人主義、という今日の、日本の状況、
そのなかでどっぷりと育った世代が、
こういう地域コミュニティを安定的に作り出せるのか?
経緯を知っていて、また、そう大きな利害関係もない、
しかし、隣人ではある存在として、
ちょっと、興味津々、という感じで見ている、という次第なんです。
みなさん、どう思われますでしょうか?

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2007年05月05日

公園の樹を、わが家の庭木に

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写真は、2年前くらいに取材した家。
設計者はこの写真のこんもりとしたヒバとおぼしき公園の樹木を
格好の借景と考えて、設計していることが明瞭でした。
こういう常緑樹は、葉っぱが冬になっても落ちないし、
そのうえ、公園に繁っているのでまず、切られる心配はない。
ということで、この緑をいかに室内空間に取り込むか、が
最大の設計ポイントです。
まるで、わが家の庭木感覚で設計意図に取り込めるんですね。
しかも、管理に要する費用は公共が負担してくれる。
こんないいことはない(笑)、っていうようなプランニングですね。

まぁ、公園に面した家って、だいたいは
こういうような考え方ができるわけですが、
やはり、樹木との配置関係をよくわきまえて設計しなければなりません。
一方で、公園なのでいろいろな視線にさらされたり、
迷惑な騒音などの問題も発生する可能性はある。
わたしの散歩道でも、途中、そういう問題で困っているような家も散見されます。
この家の場合は、主な生活空間を2階にもっていって、
不必要な外部からの視線を遮っています。
そうすることで、大きなピクチャーウィンド開口を取っています。
その窓のガラスも、三重ガラスなどを使えば、
室内側からの眺望には問題はないけれど
外部側からは、内側を見通しにくくする配慮も可能になってきます。
三重ガラスの場合、光の屈折作用が大きくなるんです。
わが家では、大きな三重ガラスサッシを使用していますが、
新築当初、よく、この屈折作用で、
野鳥が、ガラスに映り込んだ景色に錯覚して、
かわいそうにぶつかったりすることがありました。
たいていは気絶で、そのあと、復活してくれるのですが、
一度はそのままで、やむなく家の近くに埋葬した経験もあります。
1階も、防御的な壁面構成で、最低限必要な採光窓という感じ。
こういうような設計配慮を行うことで、
こうした敷地条件を完全に活かした、面白い住まいが可能になるのです。

北海道は、東北以南の他の地域と比較して、
こういう自然条件というか、自然との関係で、
家づくりに活かせるような環境がたくさんあると思います。
よく探せば、こういう面白い眺望を楽しめる家って、都市の中でも作れるもの。
ただし、土地探しのノウハウが一般ユーザーには
想像を超える部分のようなんですね。
このあたり、今後のテーマになるのかなぁ、って考えております。

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2007年04月30日

五蔵舎ショールーム

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写真は、秋田市に新装なった五蔵舎さんの本社社屋。
五蔵舎さんは、個性的な住宅づくりのビルダーさんとしては
東北を代表するような存在。
その建築する住宅は、ほぼすべてが注文住宅であって、
いわゆる企画型住宅というような住宅は縁遠いビルダーさん。
こういう企業の場合は、モデルハウスという存在はなかなか難しい。
なので、建てられた本社社屋は、
いわばコンセプトハウスというような建物になっています。
所在地は、秋田市の東口からまっすぐ秋田中央インターに向かう
大きな交差点のほどちかく。
秋田市中心部は、東西を貫く道路が計画されていて
交通の利便も大変よい立地。
近辺には企画型住宅メーカーさんのショールームもありますが、
そちらが、窓などにも大きな宣伝文句があったり、
大きな看板が立っていたりするのとは対照的に
ごく控えめな印象のたたずまいを見せています。

しかし、間口が長く奥行きが狭い敷地条件をうまく生かして、
シンプルなプロポーションながら、
2階の壁面が1階のそれよりも突き出していて変化に富んでおり、
また植栽や敷石などのアプローチが、
「住まいのたたずまい」を重視した個性的な家づくりを志向する
五蔵舎さんらしい雰囲気を感じさせています。
住宅は機能を満たす空間だけではなく、
そこでの「癒し」が大きな要素といえます。
そういう空間の味わいのようなものを感受できる、
そういうタイプの住宅ショールームですね。
お近くのみなさんは、ぜひ触れてみるといいと思います。
電話 018-836-5526です。

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2007年04月27日

建築のデザイン、暮らしのデザイン

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建築への考え方って、いろいろ多様性はある。
しかし、こと住宅についていえば、
デザインのためのデザインっていうのは意味がないと思う。
住宅はそこに暮らす人があってはじめて成立するもので、
あくまでも、そのひとのくらしへの洞察とか、思いやりというのが
ベースにあって、建てられるべきものだと思う。
どんなに斬新なデザインであっても、その発想の起点において
住む人への心遣いが、背景として、感じられないものは意味がない。
言葉を換えていえば、「用」という絶対条件があって
それをしっかり満足させられる範囲で、デザイン要素は考えられるべきだと思う。

むかし、あるお宅を取材したことがあります。
設計は、東京の高名な建築家で、家は札幌にありました。
行くと、玄関前に大きなコンクリート剥き出しの、平滑でフラットな平面がありました。
大きさで10畳ほどもあるような、広さ。
玄関の三和土が外化したようなもの、ともいえるのでしょうか。
これがどのような「用」を果たしていたのかは不明なのですが、
たぶん、デザイン的な意味が強いものなのだと思います。
取材して、住んでいる人からそのコンクリート平面の意味の説明が語られませんでした。
で、奥さんの率直な意見として、
「冬になると困るのよね、凍っちゃって。玄関まで恐る恐る、ね・・・」
というご感想。
たぶん、零下の気温が続く冬の北海道の気象条件を把握していなかったのか、
いや、それ以上にデザイン的な直感性を優先させたのか。
いずれにせよ、結果としては
冬の間、住んでいる人は買い物荷物を抱えながら
転ばないように、慎重になってわが家に帰り着く生活を強いられていたのです。

敷地の条件とか、いろいろ把握する機会はあると思うのです。
そこに建てられれば、相当長期にわたって、
建物は使われていくもの。
そのときに、いろいろなシーンを想定してプランは考えられねばならない。
建築としてのデザインの、もう一方で、
もっと大きな意味合いの「暮らしのデザイン」が
しっかりと意図されていなければならないと思うのです。
だからといって、デザイン的な試みを否定するのではありません。
しかし少なくとも、そのように作られた意図は、建て主に明快に理解できなければ、
あんまり意味を持たない試みなのではないでしょうか?

最近、ある高名な建築の先生が寒冷地で建てた公共住宅で、
お風呂まわりの水道管が凍結して被害が出たということ。
「寒さは、我慢すべきものだ」という考えの持ち主ということで、
まぁ、そういうご意見をお持ちの方たちが、
日本のアカデミックな建築界の多くをリードされているようなのですね。

写真はきのうに引き続いて、能代・西方設計さんの社屋。

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2007年04月20日

連棟スタイルの住まい

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日本ではいまは、戸建て住宅というと
ほぼ一家族のための住まいというのが一般的ですが、
外国では、よく連棟式の住まいというのに出会います。
「集まって住む」というスタイルですね。
ふつうに、都市住宅として建売なんかで、壁を共有している住宅が分譲されている。
そういう場合は、まぁ、他人同士が住んでいるわけですが、
一度、北欧の方で、ヒッピー(って古いかなぁ)たちが
自分たちの価値観を実現できるような家、というコロニー型の住まいもありました。
もともとは他人同士だけれど、いくつもの家族が集まって住むことで
ちょっとユニークなコミュニティが成立していて、
暮らし方が楽しく膨らんでいる印象を持ちます。
スウェーデン・ヨーテボリの建築家ハンス・エークさんの
「無暖房住宅」も、こういう連棟スタイルでした。
熱環境的に考えても、こういう住宅の建て方は合理性があります。
外気に接する壁面積を減らすことができるので、
少ないエネルギーで生活できるというメリットもあるわけです。

なんですが、日本ではなかなか、連棟スタイルって馴染まない。
というか、そういう発想が少ない、ということでしょうか?
この写真の家は青森県の家なんですが、
兄弟で左右に分かれて同じ棟を共有するという家です。
片方は子育て真っ盛りで、こどもとにぎやかに暮らしていて、
もう片方は、独身生活を謳歌しているという兄弟の方でした。
これから、結婚への考え方でシングルを選択するケースも増えている。
そういう場合でも、やはり距離感を保ちながらも、
肉親の安心感に包まれて暮らしていく、というのは必要な要素。
プライバシーを保ちながら、そこはかとなく存在感は確かめられる
というような距離感で暮らしていました。

もちろん、兄弟関係が良好で、お互いに納得ができている、という条件の下ですが、
こういう住まい方というのも、「家族」概念をもうすこし拡大してくれると思います。
結婚への対応などをめぐって、多様な価値観ができてきている社会の中で、
こういうスタイルの住まい、連棟スタイルっていうのも、
もう少し見直してみるのは、面白いのではないかと思います。
取材していて、大きな意味での家族関係が成立していて、
たいへん微笑ましい暮らしぶりだったです。
まぁ、メリットはいろいろありますが、一番大きいのはコスト負担。
ひとつの建物をシェアするということになりますから、
建築コストをさまざまにコストダウンさせることが可能なんですね。

でもまぁ、親しき仲にもしっかりルールと、取り決めを定めて、
とくに権利関係はハッキリさせておく必要はあります。
そうした基本部分がしっかりしていて、
お互いのプライバシーへの配慮がなされれば、
楽しい住まい、ユニークな暮らし方を手に入れることができると思います。

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2007年04月18日

居間の中のこどもコーナー

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写真は先般取材した秋田の家。
こども室って、取材していると面白いのだけれど、
そのための部屋数確保というのが新築の大きな動機なので、
大体が、個室で、扉も付けられて立派に作られています。
なかなか、このあたりについての革新的な考え、って持ちにくい。

で、このお宅では、子どものコーナーをごらんのように
居間の壁面に沿った位置に、しかも
台所食堂からもひとつながりの空間の中に納めていました。
部屋まで必要はなく、机を壁面に向けて造作した、という感覚。
たぶん、お母さんが子どもとのコミュニケーションを重視して考えたようです。
まだ、この家ではこどもさんは小学生がふたりで、
もうひとりは生まれたばかりの赤ちゃんという構成もありますけれど。
取材に伺ったら、こどもさんたちは実に元気よく
勢いよく、そとに遊びに飛んでいってくれていました。
大変にぎやかだけれど、でも考えてみれば、
こどもといっしょに暮らせる時間なんて、案外短い時間しかない。
せいぜい20年くらいのもの。
そのあとは、がらんとした、子どもが前にいた部屋、っていうのが
寂しく残るだけ、っていうのもなんかおかしい。
そういう意味で、本当に個室である必要があるのか、
というような考え方のようなんですね。
であれば、子どもといっしょにいる時間をにぎやかに楽しむような家っていうのもありでは。
こういう子どもコーナーだと、それこそ子どもとのコミュニケーションは
想像するだけでも笑えるような大騒ぎだろうな、と思いますね。
でも、おかあさんとワイワイ話ながら、
宿題をやる、とか、勉強をするという環境の方が、
個室にこもりっきりよりは、明るい性格を育むのではないか、という気もします。

まぁ、この家では、
2階にファミリールーム的な大きな部屋があって、
たぶん、こどもさんが勉強時期になったら、個室を用意できるだけの
スペースは確保されていました。
必要なときに、簡単に造作しよう、という考えが読み取れました。
実際に子どもを見ていて、やはり子どもには、
この写真のような家族との距離感の方が
楽しいのではないか、というような印象を強く感じた次第です。
みなさん、いきなり個室の方がいいでしょうかね? こども室って。

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2007年04月09日

千葉家住宅〜東北住宅大賞優秀賞の家

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優秀賞: 国登録文化財千葉家住宅断熱気密補強
設計者:安井妙子((有)安井設計工房)
建築主:千葉満雄.施工者:シンタックホーム.所在地:奥州市

東北版のリプラン発行以前にはじめて取材した東北の住宅がこの家。
北海道の家って、西洋近代の導入、
住宅性能という側面からの日本家屋の見直し、という地点から
そもそもスタートしている、という現実があります。
こういう古民家風のたたずまいの住宅は、
北海道では、多くは寒さの問題から棄却されてきたのが大きな流れ。
そして、そういう住宅での息づかいのような生活ぶり、
暗く日本的な情念を育んだような空間性を持っていません。
そういう意味で、この千葉家住宅に初めて触れて、
目の覚めるような思いを抱いた次第です。
そしてこういう空間も、北海道が生み出した住宅性能技術で
暖かい空間に改変できるのだ、という現実のインパクトが強烈でした。
たぶん、本州以南のひとたちと感じ方が違うのだと思います。

取材当時から5、6年は経過しているのですが、
すばらしい温熱環境のせいなのか、ご高齢のお施主さんは一段とお元気そうでした。
建築というものの仕事とはなんなのか、
というポイントを深く考えさせられた住宅です。
こういう古民家的なたたずまいを深く愛し続けている人というのは多い。
実際に足を踏み入れれば、その素晴らしさに圧倒される。
そのデザインをできる限り活かしながら、
どうすれば未来に向かって持続可能なかたちで残していけるのか。
住宅建築に携わるものが今日
直面している課題にストレートな回答を明示した住宅です。
しかし一方で、建築への姿勢という意味合いで、新しい空間性を創造する、
という側面は、いわば「引き算」として、表現されています。
この住宅でも、屋根面の工夫など、裏側でいろいろと開発された手法が
伺えましたが、新たな空間創造というポイントへの視点が加わってきたならば、
もう一段、多くのユーザーの心を掴むのではないかと思った次第。
サスティナブルという現代のテーマが、建築の分野でみごとに花開いた事例といえます。
東北らしい、というテーマではもっともふさわしいとも思えました。

きのうのブログで健康を気遣っていただいた投稿をいただきました。
大変ありがとうございます。
おかげさまで、本日は目覚めもすっきりとして、
久方ぶりにさわやかな朝を迎えております。
どうも、ご心配をおかけいたしました。また、元気に書き続けますので、
どうぞ変わらずに、ご愛読ください。

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2007年04月04日

解体工事

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最近、事務所のある札幌市西区山の手地区周辺では
いろいろな建設計画が進んでいるようです。
で、けっこう集積が進んでいる地域なので、勢い、建て替えや
土地の再利用というケースが多く、そういう解体工事が多い。
おもしろいもので、建築って、一度解体されてしまえば、
「あれ、ここに何、あったんだっけ?」とあっという間に忘却されてしまう。
というか、印象の薄い建物は解体されても、ほとんど気づかない。
最近は、コンクリートの建物を解体して、まったく違う利用途で
土地を再利用するというような工事が増えている印象があります。
それだけ、投資先を求めるマネーの趨勢が高まっている、
不動産バブル的な状況が、山の手地区のような場所にも
押し寄せてきたのかも知れません。
つい先日まで、会員制のスポーツクラブだった5〜6階建てくらいのビルが取り壊されて
今度は20階建ての高層MSが2棟、その跡地に建つのだとか。
取り壊されたビルだって、そんなに老朽化していたわけではなく、
まぁ、たぶん、投資不動産ファンドみたいなマネーによる
再開発型の「投資案件」になったのだろうなぁ、と推測されます。
ついこの間まで、札幌市中央区だけで起こっていた現象が
地下鉄からの距離もそう遠くないという立地環境から、
この地域もターゲットになってきているということなのでしょうね。

写真はどうも、以前賃貸マンションではなかったかな、と推測される建物。
どう考えても、解体してしまうのはもったいないと思える鉄骨造。
外壁にもタイルを使っていて、それなりに見栄えもしていたのですが、
まぁ、すさまじい状況で解体されておりました。
どうも、やはり、こういう解体工事は見ていると興奮してきますね。
無慈悲、というような形容がやはり適切。
お金の問題が最優先する、というようなあらがえないような迫力があります。
それ以外にも、どういうふうに建てられていたのか、
その素性が明確にわかるというような興味もわいてきますね。
ここでは、鉄骨構造だったわけですが、
こういうことも、建っている状態だけでは判然としない。
で、鉄骨の状態はどうだったのか、経年劣化の様子は・・・
などと、つい深読みしたくなるのは、こういう仕事の性でしょうか(笑)。

しかし、壊されて簡単に、何が建っていたか忘れられるような住宅や建築、
っていうのも、なんとも寂しいものですよね。
できれば再利用したいと、あとの時代のひとが思えるような建物を
いま、残し続けていきたいものですよね。
みなさん、いかがでしょうか?

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2007年03月30日

能代の家〜東北住宅大賞優秀賞の家

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優秀賞:能代の住宅
設計者:納谷学・納谷新(納谷建築設計事務所)

当地で高校時代まで育ったという設計者の実家の住宅です。
この家でも、大賞の家と同様に「入れ子状」の構造が試みられています。
外皮は無機性を感じさせるような印象ですが、
2階部分の採光窓の連続が、ユニークな室内空間を生み出しています。
この家でも、主たる居室部分は内側の入れ子状部分に集中され、
それをぐるっと囲むように回遊動線的な空間が回っています。
その内部は可変的な建具で仕切られていて、
冬場には動線もきわめて小さくて済む居住空間が展開しています。
この障子のような建具を開放していけば、夏場の開放的な生活空間が広がっていきます。
プラン・デザイン的にきわめて秀逸な作品です。
この設計者の家は、東京でもオープンハウスの機会があったので
見に行ってきたりしました。
このブログでも、そのときの印象を書いたのですが、
この入れ子状のスタイルというのは、設計者の手法なのか、
どちらも、外周をぐるっと囲む手法が試みられています。
こういう手法を採用することで、いろいろな面白い空間を生み出していけるのだなぁ、
と思った次第です。
<なお、この家についてはリプラン東北版で追って掲載予定です。>

ここんとこ、悪かった体調もおかげさまでだいぶ、回復。
心配していた坊主も、ついに鼻水が来まして、お医者さんに見せたりしたのですが、
こちらも、軽い風邪、ということで、治まっております。
でも、北海道は、まだ春遠し、という寒さが続いております。
みなさんも、ご自愛ください。

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2007年03月28日

天井換気窓〜東北住宅大賞の家

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この装置をなんと名付ければいいのか、
考えた末にこう付けてみた次第ですが・・・さて。
って、この写真は天地左右は間違っておりません、これが正しい方向。
なんか、見たことのないような道具立て、配置ではありますよね。
こちらの家は、先日の東北住宅大賞で拝見したお宅です。
構造的にコンクリート造の内殻と、それを包み込むような木造の外殻になっています。
で、この写真はコンクリート内殻の上に上って、
下に向かってカメラを向けたところなんですね。
なので、ここに写っている窓は、コンクリート内殻天井からの換気を用とした装置。
断熱性能を考えて、素材にはポリカーボネートを使用しています。
このコンクリート内殻を囲い込むおおらかな木造の外殻との間に
ゆったりとした空気層が設けられていて、
冬場には外気との中間領域的な装置になり、
夏場には、日中、過取得した日射熱を屋外に放出させるとともに
相対的に気温が下がる時間の外気を
コンクリート内殻に「蓄涼」させる働きをするのです。
このように装置することで、主たる居住スペースであるコンクリート内殻の
温熱環境を、パッシブにコントロールする、という住宅なのですね。

なのですが、実はこの階、というかロフト部分で天井高さもある場所、
上がっていくのが、なかなかスリリング(冷や汗)。
別に高所恐怖症というのではなくて、はしごで登るのがどうも・・・。
ちょっと金物がゆるんでいて、ぐらついていたりしていまして(怖)
体重増加を気にしている当方としましては、
春からの運動量アップを堅く心に決めさせていただいた契機になった次第(笑)。
上がってみると、住宅性能がよくない建物にある上階の温度上昇も見られませんでした。
ということで、住宅性能的にもいろいろな試みをしているチャレンジ精神の豊かさ、
という側面からも、今回の大賞受賞となった住宅です。

この住宅については、また触れていきたいと思います。
きのうは一応、半日様子を見ながら会社に出てみましたが、
「インフルエンザ」と話すと、みんなにさっと、引かれてしまいました。
まぁ、無理もないので、そうそうに要件を片付けて家で静養。
タミフルは5日分、出されていますが、症状としては今朝は80%以上回復。
もう大丈夫だと思います。
と、思ってなにげにパソコンで見たら、植木等死去のニュース。
わたしたち年代にとっては、ちょっと格別のお笑いスーパースターだったのですが、
もう80才を超えていたそうですね。
老齢になっての、渋い脇役もいい味を出していたと思います。
かれについては、葬送の意味で別に書くことにいたします。
まだ病み上がりのボケ頭は、充分クリアではないので・・・。ではでは。

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2007年03月16日

トイレのドアノブPOP

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先日の審査会で見た弘前の家でのひとコマ。
ちょうど子育て真っ盛りのお宅でもあり、家中、本棚っていう感じのお宅でした。
居間も、片側の一面の壁が本棚になっていて、
かわいらしく家族全員の読書好きぶりが伝わってくるほほえましい空間。
で、これはトイレのドアノブ表示。
まぁ、ふつう住宅では、こういう表示POPなんかは使わないで
ちょっと切羽詰まってきたら、いきなりドアを叩いて、ドア越しに
「○○ちゃん、早く出て!」とか声を掛ける、というのが多いでしょうが・・・。
でも、そういうの、入っている側からすると
いくら家族でも、ちょっと無遠慮すぎる。
そんなコミュニケーションの時、
こういう緩衝材のようなPOPって、声かけの仕方もつい和らぐ感じ。
「○○ちゃん、読書は他の場所でもできるんじゃない?」とかね。
実際にトイレの中にも、片面一杯のような書棚があって、
そういう時間も、ゆったりと過ごせるような(笑)、工夫がされています。

案外、こういう家族のなかでの会話コミュニケーションって、
最近の社会の変化の中で失われてきているものかも知れません。
例の東京で若い夫婦で、妻が夫をあやめた事件など、
こういう家族関係へのデリケートさ、のようなものの欠落が偲ばれます。
他者への思いやりよりも、
自己中心的なものを優先させる風潮を表現していたな、と感じます。
って、ちょっと大げさかとは思いますけど、
そんなことがらも思い出された次第。

きのうははじめて乗車の「秋田新幹線・こまち」で盛岡まで、
そこから乗り換えて古川駅に乗り捨てておいた車にもどって
仙台まで移動いたしました。
こまち、って途中で進行方向が逆転するんですね、ちょっと面白い。
道中は冬の嵐が過ぎ去って、風は冷たいけれど、春の日射し。
つい先日の猛吹雪とは実に対照的でしたね。
まぁ、命からがら、東北一巡の行脚も終了いたしましたです。
きょうは仙台での仕事を打合せ後、ようやく10日ぶりほどで
札幌に本格的に帰ることができます。やれやれ、ふ〜っと。

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2007年03月12日

現代から古民家を眺める

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きのう紹介した弘前の家の続編です。
この家は農家の敷地に建てられていて、一帯はむかしから農家住宅が
集まって集落を形成している立地条件。
なので、居間からこのように隣接する茅葺きの建物を見ることができます。
伝統的な津軽の家の様式住宅です。
こちら側は、平成の、まだ若いカップルの住むモダンデザイン住宅。
こうして、対になって併存しているのって、面白い。
岩木山のようにほほえましく対峙してくれていて、
新しい家とのコントラストが、さて、どんな暮らしぶりを生み出していくことか?
たいへん面白い生活背景装置になったと思います。

こういう茅葺きの屋根って、最近、北上川の河口近くで
復権させようと頑張っている方たちがいると聞きました。
自然素材としての調湿機能に優れているポイントを活かして
現代住宅でも利用できないか、研究しているということ。
先日は古民家再生に取り組んでいるみなさんが研修会を行っていました。
仙台空港で、そんな北海道のみなさんとバッタリしたものです。
現実には、たいへん難しい問題山積だと思いますが、
こういう、日本人の家の原風景に、いわばDNA的に刷り込まれた素材、
デザインの選択肢の中にぜひ、復活させられたらと思いますね。
っていうのは、ユーザー側本位の、勝手な思いかなぁ(笑)。
でも、たとえばこどもに「家の絵を描いてごらん」というと、
やはり多数派は、こういうプロポーションの絵を描くと思います。
そういう文化性のようなものは、尊重していかなければならないとも思います。
研修に来ていた北海道のみなさんが、
高断熱高気密にきわめて積極的なみなさんなので、
こういうデザインを取り入れながら、しかも安定的な室内環境を
実現させるように考えるみなさんだと思うので、期待しますね。
このインテリア空間に育つ子どもが、同時に窓の外に
こんな住宅を見て育つことになるのですね。
いろいろ、想像力が刺激されて、たのしい妄想がふくらんできます。

さて、本日から「東北住宅大賞」の最終審査、現地審査が始まります。
それに合わせてくれたように、東北らしい寒波の到来。
仙台から振り出しで、福島県、岩手、青森、秋田と3日間回ります。
スケジュールはハード気味ですし、そのうえ、高速もいまは一部が通行止め。
この寒波、あしたくらいまでは続きそうで、
こういう気候風土の中の住まい、考えるのに、いい条件だと思います。
でもまぁ、通行止めは勘弁して欲しいなぁ・・・。

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2007年03月11日

弘前のコロニー型住宅

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きのうは札幌から青森へUターン。
午後から弘前の住宅撮影に立ち会いました。
この家がそうなんですが、いくつか、面白い特徴を持っています。
まず、この家は地域の建築家のみなさんがコンペを実施して
建てられた住宅、ということ。
青森では、地域の建築家のみなさんが、建築家によるコンペを主体とした
設計デザインと、施主直営工事による家づくりシステムをはじめています。
昨年から本格的に事業を開始して、
すでに8件ほどの建築実績も上げているということなのです。
全国各地でPM方式という新しい住宅づくりのスタイルが
広がりつつありますが、この青森では、直営工事の
マネジメントも、A&Aマネジメントという事業主体が受け皿となって
運営されています。
直営工事といっても、やはりサポートする事業体がなければ、
頼む側としては、いろいろ面倒であったり、
基本的な情報なども得ることができないからなのですね。
最初、昨年、設立した当時には、
さて、いったいどのように進行させていくのか、
いろいろに予想される軋轢など、不安もいっぱいあると思った次第。
しかし、みなさん、新しい試みに大きな盛り上がりを見せているようです。

いっぽうで、この家は既存農家の敷地内の、
あたらしい「集住」のかたちを表現もしている住宅です。
建て主さんは、農家の若い息子さん夫婦。
親の持っている敷地内に、独立した自分たちの棟を建てたのです。
聞いてみたら、こういうパターンの家づくりが3件ほど続いたそうです。
土地代がほとんどゼロでいい、総額としての建築コストが削減できる
というような大きなメリットがありますね。
広くいえば2世帯住宅なんですが、それこそ「スープの冷めない」距離。
既存の住宅形式の中に、
あらたな棟を加えるという建築の側面を持ってもいるわけですね。
アジアに広く存在する、機能分離した棟が敷地内に分散して、
回遊するように生活する装置になっている、ような。
そういうスタイルの「津軽版」という面も併せ持った住宅でした。

この家の詳細については、4月15日発売の
リプラン東北版で掲載いたしますので、どうぞごらんください。
って、突然PRモードに切り替わっております。(笑)
自分でいうのもなんですが、
今回の号も、たいへん面白い住宅がたくさん掲載されています。
お買い求めいただいて、けっして損にはなりません。よろしく。

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2007年03月10日

地域が求める住宅デザイン

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東北で一円を対象とした住宅雑誌をはじめて4年。
東北って、各県ごとの商圏が明確で、県をまたいで仕事をする
というようなケースもきわめて珍しい、という声を聞くことが多くありました。
それがだんだん、商圏の拡大化が進行しているのか、
青森県南部、八戸や十和田などの地域で建てられたモデルハウスに
仙台地区から、多くのみなさんが訪れる、というようなことが起こりました。
リプラン東北版誌面で紹介している、この地域のツーバーフォー住宅ビルダーの
斬新なデザインが、新鮮な驚きを持って受け入れられていたようです。
そんなことから、相次いで、この地域から
仙台に進出するビルダーさんの動きが続いています。
写真は、モダンデザインとして、多くの支持を集めているビルドライフさんの
仙台の北の富谷大清水地区のジャスコ裏手にある、最新モデルハウス。

仙台地域って、保守的なのか、デザインで言えば、
圧倒的に寄棟の屋根が多くて、やや軽快感に欠けるようなデザインが主流。
内部の間取りについても、伝統的なスタイルに忠実というか、
提案力に、やや思い切りが少ないような印象があります。
そういう意味では、北海道・さっぽろなどのように
デザインは地域の建築家やビルダーの方が斬新で、
ハウスメーカーはひたすらクレームの出ないデザインを行っている。
というようなマーケット状況とは、だいぶん違いがあるなと、感じられます。
仙台では一般のみなさんは、外部も内部も、デザイン性はむしろ
大手ハウスメーカーの住宅の方が、いいと思われていると感じます。
そしてそうした全国ハウスメーカー住宅は少し高級イメージで売っていて、
地元ビルダーさんは、そういうデザイン性勝負は、ハナっから諦めて、
ひたすら、「同じようなデザインなら、価格的にお得ですよ」
というスタンスで、ユーザーに訴求している感じが強い。

このあたり、わたしの印象なので、独断的かも知れません。
もちろん、すぐれたデザインの地元ビルダーも多くはありますが、
全体的な印象という意味ですので、誤解ないようにお願いいたします。(笑)
そんななかに、どっちかというと、北海道スタイルの
モダンデザインスタイルに近い感覚の住宅提案をビルドライフさんは、持ち込んできたワケ。
聞いてみたら、こういう無落雪の屋根を見て
地元ビルダーさんからの第1印象として、「雨はどうなんだか?」
というような声が聞こえてきたんだとか。
まぁ、そのようなポイントはきびしい気候条件の中で
技術的に十分クリアしてきているのだけれど、
仙台地元の建築業界の常識の中では、これだけでも驚きがあるそうです。
こういうシャープなキュービックスタイルで、性能的にも
高断熱高気密、耐久性もいい、というのが信じられないということ。

そんなこんなで、わかりやすい現物モデルによる仙台への
本格的な北方型モダンデザインとその住宅性能の登場であり、
地域のみなさんが、どんな感想で受け入れられるのか、
たいへん興味を持って推移を見させていただいている、というところなのです。
外観だけ、写真掲載しましたが、内部デザインの方が
はるかに面白いのがビルドライフさんなので、
仙台のみなさん、大いにご覧いただきたいものだと思っています。
某社のように、しつこく営業勧誘するということは
人員スタッフも少なく(笑)、けっしてありえません、ということです。ご安心を(笑)。

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2007年03月07日

意図的な玄関三和土の段差

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きのうは、札幌でギリギリまで作業して、
あわただしく仙台へフライト。そこから、車で秋田へ移動。
片道3時間半くらい、280kmの走行でした。
なんでこういうスケジュールになるのか、直行便利用すればいいべさ、
なんですが、そのあとのスケジュールの関係で車移動の方が便利。
っていうか、10日には青森で取材が入っている、
青森以降、しばらくは東北滞在、というような日程なんですね。
ということから、仙台の空港に飛んで、秋田に向かうという
変則的な日程を組んでいます。やれやれ。日本は広いです。う〜む。
で、きょうは秋田市で地元ビルダーのみなさんとお話しして参ります。
なんか、寒波を持ち込んだみたいで、(汗)
秋田県一帯ではちょうど、雪が降り始めてきています。
さて、ことしは暖冬で、このまま終わるのかどうか、
案外、このころから、寒波の逆襲があったりして・・・。
札幌でもほとんど雪が降ってこなかったのが、こちらでけっこうな雪。
みなさん、お気をつけください。

さて、さて、写真ではよくわかりにくいかなぁ、と思いつつ。
この写真は、先日、盛岡市で取材した住宅でのもの。
玄関先のアプローチからいろいろな床素材で引き込まれる家なのですが、
入ってみて、もう一回、ちょっと驚かされたんです。
というのは、玄関三和土(たたき)〜要するに土間床ですね、
これに段差が付けられているんです。
聞いてみると、周囲との高さレベル差の関係でこうしたということなのですが、
まぁ、なるべく高低差を付けないというバリアフリーの考えとは
まるで、反対なんですけれど、これはこれで、
なかなかに面白い変化だなぁと、思った次第なんですね。
というのは、北国住宅の場合、雪や泥、雨といった自然条件が
いろいろに変化していく中で、足下の条件も変わる。
そういうケースで、この2段床レベルって、案外便利なものではないかと思うのです。
もちろん、そのためにわざわざ、っていうのはコストアップになるので
オススメできないと思いますが、敷地条件などによっては
使い用はあると思いました。
なんというか、結界が2ステップになることで、
心理的に、外部から内部への気持ちの切り替えに有用ではないかと。
清潔感というものを意識させる効用もありそうです。
何となく掃除がしやすそうな印象も覚えました。
入ってすぐなので、つまずくということも案外ないんだとか。
でも、欲を言えば、それをむしろ強調するように
タイルの色なんかも変えた方が、注意も喚起していいかも。

ということで、きょうは、住宅の小ネタでした。ではでは。
さぁ、プレゼンの最終準備、再チェックして、っと。

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2007年03月02日

根曲がり梁

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和風建築の魅力のなかで、木組みの迫力があると思います。
ごつごつとした風合い豊かな自然木が、力強く組み合わされているさまは
まさに「構造」という実感を伴って肌身に伝わってくるもの。
よく、男性の施主さんが、自分の家の構造を見ていてわくわくし、
だんだん、内装仕上げの段階になってくると、気持ちがしぼんでくる、
というようなお話を聞くことがあります。
それって、こういう男性的な、構造の迫力が感じさせる部分なのかなと思いますね。
さて、写真は会津の家の3弾です。
メインの居室のリビングダイニングの豪快な柱・梁の空間です。
ここは平屋なのですが、天井を張らず、構造をそのまま表して、
屋根なりの空間一杯に力強く表現されています。
梁は、端部が曲がっている材料を使っています。
聞いたら、地元の山から使えそうな自然木を選んできて、
その根の曲がり具合を計算しながら、こうして利用しているのだそうです。
写真ではそのウチの2本ほどが見えていますが、合計で3本くらいありました。
古民家などでは、こういう自然木の特性を活かした木組みが
よく見られる、というか、きちんと製材することのほうが難しかったのですから、
大工仕事の、現場対応力として必然的に
こういう曲がった素材を活かす技術が生まれてきたのでしょうね。
しかし、今日のようにプレカットばかりになってくると、こういう技術の延命は難しい。
やはりこの家では、現場で墨付けして木組みの仕口といわれる断面まで
臨機応変に考えて、組み上げていくのだそうです。

まさに、人間が作った、という手業が伝わってくる、
その息づかいのようなものまでが感じられてきます。
それも、自然木の持つ風合い、そのかたちを尊重して仕上げるのです。
考えてみれば、こういう手仕事こそ、もっとも贅沢なものなのかも知れません。
職人、っていうことば、司馬遼太郎さんが
なんて素敵な響きを持った日本語だろうと、書いていたことがありましたが、
こういう空間にたたずんでいると、そんな感慨が迫ってくるものがあります。
職人たちの手業が生み出す、自然木が織りなす空間デザイン。

なんとも、和のすばらしさが伝わってくる住宅でした。

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2007年03月01日

こだわりの和空間

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ごらんの写真、きのうご紹介した会津山義さんの手がけた家。
導かれるままに足を踏み込んでみた和室の様子です。
床の間、書院といった随所に見どころもあります。
しかし、なんといっても、左側の拡大写真の建具・障子の仕事にうっとり。
紙を貼った部分は、雪見障子になっていて上下開閉もするのですが、
葦のような細かく繊細な自然素材を編んで(!)、
目透かしの軽快感を表現しています。
繊維の一本一本を束ねて、ひもで刺し貫いているんですね。
それを障子の杉の桟の枠に丹念にはめ込んである、という仕事です。

ときどき、古民家の上級のもの、たとえば大名屋敷とか、
貴族の家とかでは、こういう造作を目にすることがありますが、
まさか、こんにち一般に流通している一般民家で
こういう造作仕事に出会うということは想定していませんでした。
まず、第一印象として、その仕事ぶりにまさに脱帽。
それから、こういう仕事を、手業を、きちんと継承してきているという
地域の文化性に対して、敬意の念を抱きました。
そして、こういう仕事を組み込んで、なお、一般住宅のコスト範囲に
納めているということにも、驚愕いたしました。
こういう仕事を見れば、それでもローコスト住宅屋さんの
大量生産品の寄せ集め住宅を選択するっていうことは考えられない。
って、心底思ってしまうのは、わたしひとりでしょうか。

こういう素材と手業で形作られている住宅って、
おのずと、雰囲気が違います。
ようするに、たたずまい、っていうような凛とした空間美があるんですね。
自然と対話するような暮らしに大きな価値観を
認識してきた日本の住宅らしい、空間構成デザインなのだと思います。
こういうデザインが、いまの多くのユーザーに伝わっていくのは
けっこう、やはりたいへんであるかも知れません。
こういう空間の、癒しの力というのは、
その空間に、まどろみ、たたずんで、無に近い時間の経過という
プロセスを経て、初めて伝わってくるような部分なのだと思うのです。
残念ながら、希有な施主さんしか、こういう空間教育を
認識しているとは言えないのが現実です。

しかし、やはりこうして現実に存在しているわけですから、
こういう実物、現物での現実伝播力のようなものもまた、期待できるのかも知れません。
会津の地域文化の奥深い部分の一端を
かいま見せてもらったような気分がして、
すごく満ち足りた気分で、いっときの時間を過ごさせてもらいました。

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2007年02月28日

香木がさわやかに薫るトイレ

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福島特集、こんどは会津に来ました。
会津もことしはホント、記録的な大暖冬ですね。
大体2月のこの時期だと、ほぼ北海道札幌とも変わらない
気候という印象がありましたが、なんと、
ぽかぽか陽気で、とても冬とは思えません。
みなさんに聞いてみても、これはことしは冷夏になるのでないか、
というような声が多く、季節らしさがまったく感じられない冬を過ごしていますね。
そんななか、訪問した会津山義さんの建てた家。
こちらの会社、横山義秋さんという社長さんで、名前の真ん中の2字をとって、
会社名にした、ということだそうです。
社長は根っからの職人さんで、宮大工気質を持った一本気ぶり。
家づくりにも、その気質が真っ正直に表現されていました。
家にはいると、本物の木の香りが圧倒的に迫ってきます。
聞くと家中の床材は青森ヒバを使用しているということ。
この香ばしさは、なにものにも勝る心地よさです。

というような家なんですけれど、
写真はこの家のトイレ。
開けてみてびっくりしてしまいました。
よくバリアフリータイプの家で、トイレに手すりなどを付けるというのはよくありますが、
なんと、ここでは手すり代わりに、大黒柱のようなのが一本、すっくと立っています。
それも自然木の風合いそのままの無垢材。
で、香りが床材ばかりではなく、なんとも言えない芳香が・・・。
もちろん木の種類まではわかるまでもなく、聞いたら
「白檀です」とのお答え。
「え〜、びゃ、白檀?」とぶったまげてしまいました。
白檀といえば、古代インドから日本に香木として輸入されていた木です。
仏教の伝来とセットで、蓮なんかと同様に日本の地にもたらされたもの。
そんな素材を、トイレのもたれ木として使っているワケなんですね。
目的と手段としては、たいへん明快にわかります。
香木の香りで、さわやかな瞑想の時間を楽しもうという次第なんでしょう。
トイレ、よくみたら、反対側には坪庭へのピクチャービューも開けられています。
なんとも、「五感を刺激してくれる」しつらいなんですね。

まぁ、びっくりした次第なんですが、
こういう考え方での家づくりというのが、社長さんのポリシーなんですね。
家中、まさに本物素材のオンパレードです。
取材が終わって車中に戻っても、ずっとしばらくは木の香りが残っていて
さわやかなフィトンチッドに包まれたような空気感のなかにいました。
まぁ、すごいものです。
この家の様子は、リプラン東北版次号の福島特集に掲載されます。
見どころも一杯の家なので、ぜひごらんください。
あしたも、その一部分をご覧いただこうと思っています。
この写真を整理していたら、また残り香が漂ってくる気がします。

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2007年02月24日

五感で感じる家

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先日伺った水沢の家のトイレです。
まぁ、朝1番からこのブログ、見ている人、ごめんなさい。(笑)
でも、朝だと、このトイレのようなさわやかさ、かえっていいかもしれません。
なんで、写真をわざわざ撮る気になったかと言えば、
やっぱり、なんともいえないさわやかさに感動したからなんですね。
この家の設計施工者は、木の香の家、というブランド。
そのコンセプト通りの空気の印象がトイレに感じたんです。
写真はわたしの拙いデジカメですので全体の印象まで伝えられませんが、
要するにこのトイレ、床から壁、天井、さらには造作の手すり替わりの棚にいたるまで、
すべてが清々しい無垢板で被われているのですね。
家の中でも、いちばん清々しい空気がたっぷりの感じ。
たとえていえば、早朝の森のようなフェトンチッドを体感するんです。

換気は24時間、第1種計画換気が働いているので、
このトイレももちろん、常時換気されています。
その意味では、軽い空気流動が仕掛けられているので、
よどんだような空気感はありえない。
なので、入っても、何とも言えない木の香りだけが満ちているんですね。
こういう場所で、1日のスタートを哲学的に瞑想し、
スッキリとした気持ちではじめられる、ということ。
考えてみれば、北国住宅ではトイレの考え方が
「ご不浄」と呼ばれてきた感覚からずいぶん乖離してきて、
ある建築家の設計住宅では、なんと居間のなかに1コーナーとして
あしらわれるくらい、明るくオープンな存在となっている気もします。
そこまででなくても、スペースを節約できるという意味以上の、
いわば、積極的な3イン1の計画とかも多い。
少なくとも、暗い、くさい、という雰囲気が消えてきている。
そして、この家のようにより積極的に楽しめる空間っていうように
進化してきている感じを持ちますね。
においや手触り、といった部分まで、いわば五感を呼び覚ますような
家づくりの考えが感じられた次第です。

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2007年02月20日

玄関先の工夫

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写真は盛岡市内の旧市街のなかの住宅。
前面の道路幅が厳しくて、家の前にようやく駐車スペースを確保している家。
見てみると、周囲との地盤面の高低差がある。
土間コンクリートレベルの関係で、生じてきた感じ。
そういうことの結果、おもしろい足下の工夫、素材使いになっています。
玄関の前、短いアプローチ部分は、コンクリートでほんの少し
他の地盤よりも高くなっていて、そのうえ、木で覆われています。
盛岡は雪も多いし。凍結もする。
コンクリート土間では、とくに冬場の朝は厳しいものがある。
それを緩和させるのに、木を張っているようなのですね。
これがなかなか、いい表情を建物に与えています。
以前、たいへん高名なデザイナー建築家が札幌に建てた住宅の玄関前が
一面、コンクリートの土間平面が大きく取られているケースがありました。
夏場には、かっこよくていいのでしょうが、
凍結する冬場は、アイススケート場状態になっていて、
毎日買い物から帰ってきて、荷物を抱えながら、
転倒しないように、ものすごく注意しながら住んでいました。
あぶないんですよね、ああいうの。その点、こういう工夫は面白い。
というような印象を、抱いていたら、
さらにそのうえ、ドアを開くと玄関土間平面が2段になっている。
まぁ、こちらのほうは、土間コンクリートのレベルの調整の結果、
ということのようでしたが、結果としては面白い。

日本人の家は、他の国の家と、玄関が一番違う。
靴を脱ぐ習慣が、一番面白いですよね。
あれって、ようするに雨の多い、泥のつく足下環境が多い、
という気候風土条件の結果なのだと思うのです。
そして、そういうものを解決したのが、玄関で靴を脱ぐ、
そのための段差をわざわざ、作ってきて、場合によっては、腰掛けてわらじを脱ぐ、
そういう動作空間を仕掛けてきたのだと思います。
玄関のこうした作られようが、日本人の清潔感覚を養ってきた大きな部分なのではないか。
そういった感覚で、この玄関土間の2段構成を考えると、
こういうのも、悪くはないのではないかな、と。
雪国の場合は、外の足下環境が刻々と変化するので、
こういうふうに、家の中との結界を何段階か、仕掛けておくのは
心理的な仕組みとして面白い生活装置のような気がしました。
外の木の床のところで、十分に雪を払い落としてから、
この一段低い土間部分で、靴の水分を一度落としてから、
本来の玄関土間にいたる、という生活上のシーン展開が想像できるのですね。
まぁ、でもあきらかにコストアップ要因だと思われるので、一般的ではないでしょうけども。(笑)
有用性は結構あるように思った玄関の工夫でした。


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2007年02月08日

北上の冬の美しさを楽しむ

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前から「いい家出来たんで、ぜひ来てください」と誘われていたSさん家。
断熱気密といった性能面の勉強に一生懸命取り組んで、
第3種換気採用の条件で、しかも北側面に主要な窓を開けているという悪条件ながら、
熱損失係数が1.3といういい結果が実現しています。
本誌リプランを「穴の空くほど見て、家づくりに生かしました(笑)」
といううれしいお言葉。
そんな言葉通り、素材の質感を重視したシンプルな空間を楽しんでいます。
室内はすべて塗り壁と木質の素地表しが基本。
そんななかに、眺望を重視して北上川方向に開けられた木製窓。
まさにピクチャーウィンドらしく、木製の額縁に
切り取られた冬の景観が、美しく2階居間一杯に広がっています。
展勝地を見晴らす高台に位置していますが、ごらんのように
周辺には豊かな自然景観が残されているので、
シンプルにこの景観を最大のごちそうにして、暮らされている家。
友人知人が足繁く訪ねてくれるようになったそうで、
そういう意味では、やはりいい家って、そのものズバリ、
「人生を豊かにしてくれる」、大きな投資であるのかも知れませんね。
ただ、単に、寝て起きて、育てて、という機能性だけでは
本当の住まいの価値というのはわからないのだと思います。

オール電化だけれど、あえて温水循環型のパネルヒーターを採用。
深夜電力だけの給湯で、暖房をまかなっています。
低温輻射なので、暖かさの質感、空気感もたいへんまろやか。
北国住宅としては、まずこういう空気感の良さが基本だと思いますね。
その上に立って、それと調和するように、
そこで暮らすことの満足感を十分に味わえる家、それが理想でしょうね。
考えてみれば、冬の暮らしを存分に楽しんでいる家、
そういうコンセプトが明確な家って、そう多くは取材できていない気がします。
やはりそういう意味では、北海道での家づくりの方が、
こういう部分では、ハッキリと明確に志向性が表れている気もします。
その土地の自然や、景観の良さを積極的に楽しむ、
暮らしに取り入れるという考えの家づくりに
もっと、たくさん巡りあいたいものだと思います。
北上の冬の美しさを、いっぱいに楽しめたお宅でした。

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2007年01月23日

白っぽいインテリア空間

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ある時期から、シンプルモダンっていう志向性が強まってきましたね。
まぁ、写真のような空間なんですが、
こういう空間へのこだわりっていうのが若い年代を中心に受け入れられている。
若いといっても、住宅年齢的な意味でして、
30代っていうことですね。
住宅はだいたい30代に最初の家を持つというか、
家庭を持ち、その家族生活のために、守るべき生活の拠点として
家を所有するようになるのが一般的。
この30代のみなさんの志向性の中にこういう空間があるわけですね。
取材に行くと、たいへんいいと思いますね。ある種の明快さが感じられます。
シンプルで、装飾的でない、素の空間性、光の移ろいだとか、
その中で逆に、暮らしの機能性というものが浮き立って見えてくるような感覚があります。

かえって精神性の方を感じる部分もあります。
「ごちゃごちゃとした生活感」という部分を排除したい、という気分は濃厚ですね。
っていうか、そういうのだけは許せない、という雰囲気が一般的に多い。
全般に硬質なイメージが強い。
手触りとか、柔らかな質感、という感覚からは遠い印象。
こういう空間への感受性について
最近はあらたな年代論的に、ちょうどホリエモン年代であることから、
ロストジェネレーションとか、いろいろにいわれるようにはなってきていますね。

まだ、手がかりはあんまりないのですが、
こういう白っぽい空間をベースにして、そこからまた、テイストの違いが意識されているように思います。
いえることは、全体としてベースはローコストに出来るだろう、とイメージできる点。
ただし、窓の開け方はメリハリを利かせて
数は絞っている印象がありますね。
たくさんは開けないけれど、開ける方向はどーんと大きく開けるのが基本。
まぁ、歌は世に連れ、じゃありませんが、
人が好む空間っていうのも変化していくモノなんでしょう。
そこで営まれる生活ぶりの変化とともに。
でも、考えてみれば、こういう無機的で生活感のない、
っていう住宅は、やはり少子化の反映とも言えるのでしょうかね。
子育てが始まれば、ごちゃごちゃするのは当然なので、
それでも簡単に片付けられるようなインテリア、という志向が高まるのではないか?
そんな気もします。さて、どうなっていくものなのでしょうね。
いろいろに建てられる住宅を、しっかりウォッチしていきたいです。

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2007年01月18日

市街密集地での窓の開け方

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写真は函館で活躍する建築家・永田史明さんの設計住宅。
函館って、北海道でも一番古くから栄えた街と言うことで、
街割りが全体的に日本的な狭さを持っています。
良く聞くと、なかなか販売できる土地が少ない、ということで、
いきおい、狭小敷地に密集して住宅が建ち並んでいます。
そんな条件の中で建てる場合、いちばん頭を悩ませるのが採光。
この家でも、そこが一番の問題だったそうですが、
ごらんのようにハイサイドライトをうまくデザインにも生かして、
問題を解決していました。
隣家との視線のバッティングを避けながら、
室内にふんだんな明るさを実現できますね。

で、こういう採光計画をすると、夜になるとこんなぼんぼりのような
街並みに対するサービスが実現できる。
ふだんの家の照明がそのまんま、街のランドマークになるんですね。
近隣のみなさんにとっては、この灯りがひとつの道しるべのように
機能しているものと思います。
家を造るって言うことは、そのまま、
その地域に対して、主体的に関わらざるを得ない、ということも伴うと思います。
そういう家の住み手の思いの総和が、地域の雰囲気を決定する
ともいえますね。
こんな試みが、地域の中でどんなように受け止められていくものか、
興味を抱いた次第です 。

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2007年01月16日

風景を切り取る

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写真は札幌市近郊の日本海を見渡す立地に建てられた住宅からの
窓の外の様子。
このお宅は、定年後の退隠生活を満喫する目的に純化したもの。
自分の人生に対する「ごほうび」的な作りよう。
最近、こういうタイプの「自分御用達」のような需要があるようですね。
お歳暮ギフトでも、確実に「自分用に」高級品を買う、というニーズが盛り上がっているとか。

こういう需要って、実需的な生活の重み、のようなタイプではなく、
きわめて、感性的な需要と言うことが出来ますね。
こういう空間で、ゆったりと時間の経過を楽しむ、という需要。
こういう需要にとっては、機能性であるとか、
それこそ、部屋数だとか、というような部分はシンプルになる。
それよりも、「どう時間を過ごすのか」というようなことの方が比重が高くなる。
この家の場合には、シンプルに「海を見て暮らしたい」となったのですね。
そうすれば、たぶん敷地選択も絞られただろうし、
メインの居室から切り取る風景の切り取り方のほうが、きわめて重要になる。
窓の大きさ、左右幅、高さなども検討し尽くしただろうと思います。
結果、こういうきわめてシンプルで「静かな」ピクチャーウィンドになったのでしょうね。

手前の座卓テーブルで、苦めの茶などを喫しながら、
一日をゆったりと過ごす、という無上のシンプルライフ。
この海は西海岸に面しているので、晴れた日の夕陽の時間などは
強烈な照り返しが室内に満ちて、黄金色になると思います・・・。
きわめて単純ですが、明快な「風景の切り取り方」による
快適の演出というわかりやすい事例だと思います。
しかしシンプルでいて、あきのこない、居心地の良さを演出するのって、
よく考えてみたら、かなり大変な作業である気がしてきます。
そんな思いが沸いてくる、住宅です。

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2007年01月10日

広い玄関土間の効用

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写真は建築家・圓山彬雄さんの設計住宅から。
氏は、よく設計する住宅に広い土間を提案されるケースが多い。
北海道の家は、断熱気密の性能が向上してきて、
外部は比較的に単純な形態を志向するケースが増えています。
そうするほうが、エネルギーロスが少なくて済むわけなのですが、
その結果、内部のボリュームっていうか、
一体感がすごく大きくなってきます。
温熱的には、強く単純な外皮があるので、
内部はあんまり区切らない、おおらかな空間が特徴的。
そういう方向で、室内デザインが展開されているケースが多い。

そうすると、内部の使用用途にも
もっと柔軟な考えがあってもいいのではないか、
というような提案として、こうした広大な土間が出てきたのですね。
この家では、玄関を入っていきなりこんな空間が広がるので、
外から帰ってきても、「家に入る」という感覚よりも
「家が迎えてくれる」という開放感の方が大きいと思います。
家の中での暮らしが、閉鎖的でなく、アクティブになる、
というような感じでしょうかね。
寒さを気にすることなく、こういう空間を冬期に利用可能なわけです。

ぜひこういう空間利用が、もっと広まって欲しいものだと思います。
ここには逆転の発想があって、
北国の住宅が獲得した性能が、暮らし方も変えられるというメッセージが
いっぱいに情報発信されているからですね。
こういう空間で、もっと外部的な楽しみ方が
北国の暮らし方として取り込まれるのではないか、という期待がふくらみます。

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2006年12月27日

座席下照明

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間接照明って、そのセンスが家の雰囲気や住人の人となりまで
あらわしているように感じられることがありますね。
写真は、札幌市内のある建築家自宅でのもの。
コンクリートの1階部分で、車庫などにも使われている階なので、
広めの玄関と、設計アトリエのみの間取り。
コンクリート打ち放しの空間なので、
すこしざらついた質感が印象的です。
こうした空間の場合、直接照明を使うと、のっぺりとした雰囲気になってしまいます。
素材の質感を重視していくと間接照明を採用したいもの。
というところまでは、まぁ、誰でも考えるところですが、
その間接照明の場所が思いもしなかった場所でした。
って、写真ですから、見たまんまのわかりやすさなんです。
蛍光管照明ですから、設置場所が難しい。
壁や天井に付けていけば、どうしても面が強調された
陰影感のない灯りになってしまいやすい。
そこで、コンクリート空間にぽっかりと浮かんだような
木製腰掛けを簀の子状に造作して
その隙間から照明を入れて、木質感を浮かび上がらせるようにしています。
コンクリートの質感と、木質の質感がうまく調和して
なかなか豊かな情緒性が感じられます。

こういう設置をすると、電気の配線なども座面に隠すことも出来るので
たいへんスッキリした印象も持たせられます。
家づくりって、こういう細やかな部分で、
その家の印象がかなり大きく左右されるもの。
とくに、玄関ですから、生活の中での「句読点」としての
役割は大きい空間です。
照明ひとつでも、いろいろな雰囲気を演出できるものですね。

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2006年12月24日

テラスのような玄関

6689.jpg

写真は、過日撮影した秋田市の住宅の玄関の様子。
こちらは間取り的に面白い配置で、リビングは2階にあります。
1階は大きな窓越しに庭と面していて、
広々とした玄関土間が広がっています。
その中ほどに右側に靴脱ぎスペースがあって、
右の写真は、2階への階段から土間を見下ろした位置からのアングル。
テラス的な玄関は、つややかな床タイル、
大きくて、桟が瀟洒な印象の窓。さらに外の色彩を受け止める白い壁天井、
という質感豊かな素材で作られています。

通路として利用される左写真の部分は、左右の幅も大きくて
玄関土間というよりは、室内だけれど、半分外部的な
庭を思いっきり楽しむぞ、というような気分にさせてくれる空間。
なかなかこういう空間をたっぷり取る、というのは
予算とスペースの関係で難しい面もありますが、
最近は、こういう志向性を前面に出したような家づくりが増えていますね。
これまでの、床面積と有用性重視ばかりではなく、
家に「癒し」としての側面を大きく求めようとする傾向が増えてきています。
そう考えたとき、ひとつの機能性の拡張として、
こういう土間空間が持っている、明るくアクティブな空間性って、
もっと注目度がアップしてもいいのではないでしょうか。

ことしも残すところ、1週間ほど。
きのうはちょうど来客もあったので、家の片付けをいろいろカミさんと
考えながら、ゴソゴソとやっておりました。
やってみて、やっぱり楽しみは足下にある、って実感。
家具配置や、レイアウト変更で応接的な落ち着いた空間ができました。
ちょうど年末の大掃除もかねて、
家の新しい空間の魅力、って考えてみると面白いですよ。
すっかり新鮮な気分で、夫婦で、にんまりとしておりました。(笑)

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2006年12月22日

庭をつつみこむ間取り

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きのうご紹介した家の内部の写真です。
平屋で平面プランは、中庭を真ん中に作り、左右に長方形に2つのゾーン。
ひとつはLDK空間とお風呂などの水回り。
一方は個室がふたつにトイレ、収納などという構成。
家族数が少ないので、シンプルなボックスプランですね。
中庭は、まんなかに左右の生活ゾーンをつなぐブリッジで区切られています。
で、片方は写真で見るようにウッドデッキになっています。
ですから、こちらは「外の居間」のように使えますね。
向かい側の寝室用の個室には
周囲からの視線を遮る用途で、オーニングも架けられているので、
必要に応じて、日除け屋根も架けられますから、
たいへん開放的な暮らし演出になっています。
写真手前側の片方の庭は、植栽を楽しむ庭。
これも、すぐにブリッジから出られるので、庭作業がリビング感覚で楽しめます。
場合によっては、手作りの野菜を栽培して、すぐに食べるみたいなことができますね。

屋根はそれぞれ外側に片流れになっていて、中庭側にむかって天井高が上がります。
そこに高窓が開けられていますが、これも効果的。
高さはそうは実際にはないけれど、この窓のおかげで、
開放感が、ぐっと増していますね。
また、周囲に対しては閉じた計画で、中庭側に開いている窓ばかりなので、
カーテンを考えなくてもいい、というのが大きいですね。
ちょうど訪問したときは、オープンハウスも終わり近くの4時過ぎでしたが、
刻々と、薄暮から日暮れの時間で、室内に取り込まれる
外の空気感が直接、生活の中に飛び込んできます。
こういう自然な時間の移ろいを、体感できるような仕掛けはたいへんいい。
せっかくの窓だけれど、夜になれば絶対にカーテンを閉めなければいけない、
というのは、半分しか楽しめていない、ということであるかも知れませんね。
この薄暮の時間の、青い空気の色合いを室内に取り込んで楽しめる、
なかなかに味わい深い、インテリア空間と思います。

床面積としては20坪ほどと、小さい住宅ですが、
中庭を実に効果的にプランに取り込んでいるので、
たいへん豊かな暮らしのイレモノになっています。
好感を持てる家だと思いました。

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2006年12月21日

住まいの表情

6686.jpg

玄関前のエントランスの表情って、大切なポイントです。
首都圏などでは、建て売り住宅地というのは大体が都心からの距離と
地名ブランドによって決定づけられていて、
最後にどの家を購入するか、どうかって、
ほとんどが外観と玄関前などの家の表情で決定するものだ、
というように聞かされることが多いものです。
ただし、最近のシンプルモダンの住宅デザインでは、
なかなか表情にメリハリを付けるというのには苦心するだろうと思います。

写真は、先週土曜日の夕方に伺った仙台市の住宅の外観。
設計は鈴木弘人設計事務所さんです。
けっこうなローコスト住宅でありながら、中庭を囲むようなプランになっていて
シンプルながら、しかも変化に富んでいて、
豊かな内部環境を見せている印象度の高い住宅でした。
で、玄関前のこの表情が、なかなかにスタイリッシュ。
木の縦格子で、エントランスの土間を囲ったのですが、
夜景で見ると、照明ともマッチしていろいろな表情を演出しています。
そのうえ、正面外壁は白で、側面側は見えなくなっているのにも関わらず
黒い外壁とツートン構成にしています。
そういえば、室内でも全体はプラスターボードに白く塗装しているのですが
収納クローゼットの内側は目に鮮やかな赤、
お風呂も1面は緑など、「ちょうど裏地のように」彩色されていました。
こういう配慮って、きっと毎日使っていくウチに、
暮らしに句読点を打ってくれる仕掛けのような気がします。

ローコストの住宅なのですが、
随所に、使い込んで印象が深まっていくような仕掛けが施されていて
質の良い仕立て服のような、居心地の良さを感じる住宅。
そんなことを感じながら、もう一度振り返ってみた玄関前で撮影した写真です。
そういう意味では、けっこう「余韻が残る家」のような気もします。
結局、住宅って、そういうものを味わっているのが
知らず知らずの本質的部分、なのかも知れませんね。

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2006年12月18日

内部と外部が渾然とした家。

6683.jpg

東京大田区の住宅街に新築された住宅見学会に行ってみました。
設計は納谷学さんという建築家。
東北住宅大賞で、候補作品にノミネートされている方で、
能代の実家が候補作であり、それを写真撮影してきたので、
それ以来、お付き合いさせていただいています。
京都の地域住宅賞で受賞されて以来、けっこう建築専門誌などでも
取り上げられることが多い設計者ということです。

というような背景があるからなのか、
オープンハウスには多くの人出があって、大盛況でした。
学生さんや、建築雑誌編集者とおぼしきみなさんが中心でした。
まぁ、一般の施主さんらしきひともちらほら。
住宅は、この都心立地としては例外的な60坪近い敷地でした。
そのうえ、建てられたのは平屋のプラン。
将来的には2階建てに増築する計画も織り込んでいるそうです。
家族は2世帯、というか、おかあさんと、子どもさん夫婦という構成。
外観は、黒っぽいガルバリウム鋼板で無表情。
旗地の通路部分の先に、玄関ドアが2つ並んでいるというシンプルさ。
写真左側は、玄関から続く回遊空間の様子。
プランとしては、外側はまったく閉じられたもので、
その分、写真右側のように内部に中庭を取り込んでインテリア化しています。
1面を除いて3面はガラスがお互いに突きつけられたディテール。
寒冷地ではちょっと、というような処理の仕方ですが、
逆に夏期の日射取得もどうなのか、質問するにも、所員の方たちはわからないし、
納谷さんとも他の話で時間がかかって、あまり話せなかったので、不明でした。
まぁ、コンセプトとしては明快すぎるくらい明快なプラン。
この中庭の他に、お風呂のとなりにも石を張った坪庭があり
内部に取り込まれたいきなりの外部、という直接感の住宅ですね。
このガラスのボックスの耐久性と、中庭の草木の生命力とその管理が
最大のポイントになると思いますが、
そのあたりは、実際に住まわれてから、しばらく経ってみないと結論は出ませんね。

ただ、北海道で考えるのなら、この開口部の仕様は
かなり入念に検討しなければなりませんね。
それと、この区切られた中庭でのビオトープが、どのようにうまくいくか、
建築の側でここまで外部を取り込むのなら、
中庭の自然循環についての、かなり詳細な検討が必要ではないかと感じます。
床レベルはかなり低く抑えてもいるので、
そのあたりが大きな課題になってくる気がいたしました。

ま、にしても、
こうした住宅はかなり変わってはいるものでしょうけれど、
かなり過激なところまで踏み込んできているなぁ、というのが
東京都内での注文住宅づくりへの感想ですね。

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2006年12月15日

壁なのか屋根なのか

6678.jpg

三角屋根の立ち上がる角度、というのは
いろいろな建築の目的や条件で変化していきます。
北海道ではとくに冬期の雪処理の問題から、たんにデザイン的な点だけではなく
屋根の形状や、その角度というものが検討されるものです。
北海道ではそういうのが常識なのに、それ以外の地域では
ほとんどなんの検討もなく、決まりパターンで寄せ棟屋根が
かけられていく様子を見て、そんなものか、と思ったくらいです。
雪処理、落とすためにはその敷地と風向き、方位など、いろいろな
方向から検討されるべきではあります。
そうしたなかで、とにかく雪を落とす必要から
全体を急角度にしたりするパターンがありました。
そうすると、居室としては垂直の壁をたくさん維持できないスペースが
増えて行かざるを得ません。
場合によってはごらんのような急角度の屋根勾配を
そのまま室内にあらわして、空間利用したいと考えるもの。

この屋根の角度は、計ってはいませんが、60度を超えるくらいだと思います。
これくらいになってくると、ほとんど壁と変わらなくなってくる、
というような意見を聞いたことがあります。
このように縁に近い部分を収納として利用する、というアイデアは
一番合理的な解決手段です。
収納されたものを取り出すときには、どうせしゃがんで取り出すので
そのときには天井の高さはすこし減殺されていても問題がありません。
窓も写真の例のように、屋根に付けた天窓なんだけど、
違和感なく、壁の窓の感覚に近い。
屋根面の構造や断熱厚分、額縁の面も大きくてすこし出窓っぽくて
重厚感を与えてもくれていますね。
こういう屋根や利点状の縁部分って言うのは、
主要な目的としては、通路的な空間に利用するので、
こういう収納との合わせ技、というのがよりいっそう効果的といえます。
ここでは、内装にも全面の木張りとしたので、
たいへん調和の取れた空間になっています。
ツーバイフォーなので、音の対策も考えて、
2階床面には厚手のカーペットを敷き込んでもいるので
ちょっと腰を下ろして
そのまま、読書としゃれ込んでもぴったりはまりそうです。

家の、床・壁・天井、いろいろな表情があり、
工夫とアイデアが生かされるべきものなんだと思います。

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2006年12月14日

空中庭を持つRCの家

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写真は仙台の古い街道に面した旧市街地の町家敷地に建つ家。
間口が狭く奥行きが長い、という敷地ですが
あえてその立地に着目して、あらたに土地を購入して3階建てRC住宅を建てたもの。
このブログでも前にも取り上げていますが、今回は庭について見てみます。

そういう敷地条件なので、周辺環境の中で
よりよい居住環境をどう作り出すのか、
いろいろと工夫努力が見られる住宅なんですが、
この写真は2階の主たる居住スペース、居間の様子です。
基本的に光や風の渡りなどは考えながらも、周辺からは隔絶されたような
中庭を、家の内部に取り込んだようなプランになっています。
しかも、1階はたくさんの友人たちの集う場として、
駐車場スペースを確保しているので、この中庭は2階にあります。
まぁ、いってみれば「空中庭」とでもいえるでしょう。
この場所には、たぶんこれから観葉植物など鉢物での装飾が考えられていくでしょうね。
屋根はここにはかけられていません。
床面の排水は十分に考慮されていますから、そういう機能面はOK。
天井ばかりではなく、隣地との壁面にも、
スチール製のルーバーとか、ガラスブロックなど
透光性の素材が多用されているので、大変明るい空間になっています。
インテリアで見れば、やや暗い印象のコンクリート空間と
コントラストが鮮やかともいえますね。

都市性というものは、その交通的利便性として利用して
こういう空間性の部分では、中庭も含めて
大変閉鎖的でありながら、一方で開放的な生活装置にもなっている。
ちょっと、おもしろい出来上がりになった事例だと思います。
まぁ、家の中の細い通路空間も別に設置はされていますけれど、
この中庭は、向かいには和室が配置されていますから、
家の中での通路空間にもなっています。
家の中で移動するのに、外部の気象条件、晴れや雨、雪、風、といった
自然の移ろいの中に身をさらすことになる、というコンセプト。
ちょっとふしぎな暮らし方になる気がします。
まぁ、古くからある日本の都市住宅、町家の伝統的スタイルともいえます。
木と、コンクリートの違いはあるけれど、家の造られようは同じですね。

この家は、リプラン東北版1月15日発売号でご紹介しています。
ぜひ、ごらんください。ちょっとユニークです。

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2006年12月10日

日本的ガーデニング装置

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写真は福島県白河市での取材先でのもの。
古い城下町としての敷地割りの土地に建つ住宅で、
間口が狭く、そのかわり敷地の一番奥には、代々丹誠を込めてきた
四季変化をたっぷり楽しめ、見事な樹種が咲き誇る。みごとな庭があります。
生活を楽しむ、という装置としての庭の存在が、この家の最大ポイント。
その土地で現代的な暮らしが可能なように建て替えることで
代々の住まい手である祖先の暮らしの息づかいまで
感じられるような空間に抱かれて、過ごされているのです。

このテーマに沿って、敷地の奥のほうに寄せられた玄関から、庭にむかって
ウッドデッキが広く取られています。
隣家との間にはごらんのように目隠しとしての収納が装置されています。
これは庭作業をいろいろに展開するウッドデッキのために
庭仕事などの道具やら、その他、家の中にはしまい込めないものを
保管しておくための、外物置的な装置。
しかし、そのデザインでも、しっかりとライフスタイルをわきまえて
扉を目透かし状に、ルーバーのように造作していました。
ちょうど、庭で採れた、とうがらしの乾燥に使われていましたが、
こういう扉デザインにしておけば、物置内部に確保するたっぷりの通気を
こうやって、外側でも吊り下げて使うことで利用できるのですね。
ルーバーって面白くて、デザイン的に見れば
普段の時はその中の収納物って、そうは気にしないが、
案外気をつけると、その中に仕舞ったものはおおまかに認識できる。
来訪者などは、その中のものなんて、ほとんど留意しない、
そんな「あいまいさ」をもたらせてくれるもののような気がします。
ここでは、そういう装置が実にうまく生かされているなと感じました。

ガーデニングって、一時期、英国風のスタイルとして
もてはやされたと思いますが、
日本の伝統的な生活装置のなかには、実に巧みな手法が
たくさんあり、また、日本の植栽に似合ってもいると感じます。
それにしても、こういう風情って、
いかにも日本的な季節感を醸してくれていて、
その土地での暮らしの味わいそのもの、という印象を持ちましたね。

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2006年12月09日

こどもと父の勉強空間

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札幌市内で見学した住宅内部の様子です。
この家では、上下逆転プランが採用され、居間が2階にあります。
写真では天井面に木組みがあらわれていますが、
この場所は1階です。隣地との関係から1階の右側は壁一面の壁面書棚。
2階の居間には大きな開口部が設けられていて、
ちょうど天井からさんさんと明るい日射しが降り注いできます。
で、この場所は勉強コーナーとしてあるのです。
普通、勉強のための空間といえば、個室として子ども部屋を想像しますが、
この家ではふたりの子どもさんのコーナーを左右にして
真ん中にはおとうさんの書斎が兼用になっています。
まぁ、図書館の一角でみんなで勉強するような雰囲気ですね。

そのうえ、天井が開放されて、居間にいるおかあさんも
その様子が一体的に感じられる空間になっています。
その辺に配慮してか、テレビはありませんでした。
上で、おかあさんや家族が大音量でテレビなんかをかけっぱなしにしている中で
下で、しこしこと勉強するっていうのは、まぁ、ありえないですしね。
なので、このスタイル、テレビと、子どもの勉強、家族関係
すべてをふくめて、大変ユニークな生活スタイルをあらわしているもの。
親の側で、かなりライフスタイルを絞り込んでいる結果とも言えますね。
テレビの代わりに、ムーディな音楽は背景として流されていまして、
落ち着いた生活の旋律、とも思えました。
さて、くだんの勉強コーナー。
まず、勉強するのに孤立感が際だつ個室スタイルに比べて、
こういうスタイルだと、ある程度、家族の会話を楽しみながら
勉強を「一緒に」している、という感じが出てくるように思いました。
その分、普通のお父さんにはかなりプレッシャーになるのではないかと思いますが
お父さんは職住一体の設計事務所が仕事なので、
普段から、机に向かって仕事していく職業である、という要素があって
こういうスタイルでも、とくにイヤではないということのようです。
逆に考えれば、こどもといっしょに暮らせる人生時間なんて
案外限られているのですから、その時間を
きわめて有効に楽しむために、楽しいライフスタイル演出であるのかも知れません。
子どもが巣立ってからでも、この空間はお父さんの書斎として
ずっと活用することも出来るでしょうから、
ライフスタイルに柔軟に対応しているとも言えましょう。

たいへん変わった間取り配置の例でしたが、
さて、みなさん、こういうスタイル、いかが思われますか?

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2006年12月07日

和デザインのツーバイフォー

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とても大空間を実現させながら、
暖かくて、気密性がすぐれたツーバイフォーで和風という住宅を拝見。
和のしつらいが施されたアプローチ、玄関を入って、
見上げるばかりの大空間が高々と迎えてくれました。
これだけの大空間を在来木造で作るとすると、
相当大きな構造材が必要になってくるはず。
そういう意味では、ツーバイフォーで作ったというのは合理的な選択といえます。
在来では小屋組だけでも、たくさんの構造材があらわれてくるはずですから、
その点だけで考えても、ツーバイフォーのほうが合理的。
大空間で、ほんわかと暖かい室内環境も実現していて、
でも、天井にはなんと、葦簀(よしず)も張られている和の空間。
って、在来工法では、普通こういう仕上げは考えないようなデザイン。
全体としては和風の感じを持つのですが、
ちょっと違う、スケール感覚の違う和風、という感じでしょうか。
写真は2層分の吹き抜け天井空間を持つ2間続きの和室から
隣接しているリビングルームを見返したところ。
ちょっと不思議な感覚に襲われるようなインテリア空間です。

ビルダーさんに聞いたら、建て主さんの要望が和風住宅ということで、
ツーバイフォーを専門に作っているけれど、
在来工法でも積算してみたのだそうです。
そうすると、構造材だけでもかなりのコストがかかる計算になったので、
こういう和風ツーバイフォーフォーという住宅に
挑戦してみようということになったのだとか。
とくに玄関からすぐの2間続きの和室は確かに壮観。
天井は高々と10m近くあり、間延びしないようにと、
1階天井部分には木組み格子もデザイン的にあしらっています。
とてもデジカメでは全景を表現することが出来ません。
今度1月15日発売のリプラン東北版に掲載予定ですので、
興味をお持ちの方は、ぜひごらんください。
まぁ、買っていただくのは強制ではありません(笑)、って宣伝っぽいですけど(汗)。

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2006年11月15日

窓辺のしつらいから

6641.jpg

写真は秋田市での取材でのもの。
ディテールにたいへんなこだわりを持っていた施主さんで、随所に
細やかな小物使いが見られて感銘を受けました。

いるんですよね、こういう方。
建築を建てる側って、基本的には「背景」としての演出は出来るけれど
最後の空間の質を決定づけるのは、やはり施主さんの感覚。
この写真で言えば、上下窓や壁の質感・色合い、棚の造作といった部分は
建築の側の事柄といえますが、
照明などの計画、飾るものの選択、ここの場合では台所シンクの選定、
といった部分は、施主支給もふくめて施主さんの感覚に負うところが大きい。
こういう「空間への想像力」っていうものが、
自分なりに持っているって、なかなかいないんですよね。
たぶん、こちらの方なら、インテリアコーディネーターみたいなことも
素地としては持っているのではないかなと思います。
(実際に職業として似合うかどうかは、その他の要素、
主に、コミュニケーション能力の部分が重要ではありますけれど)

あるひとつの旋律を持った空間意識、美の感覚のなかに包まれるというのは、
何とも言えず、ここちよさを感じるものです。
考えてみれば、こういうことを感じさせるような教育っていうのが、
存在していないような気がしています。
こういう感覚って、生きていく上では大切な部分なのです。
「空間を豊かに楽しむ能力」といったことなんですが、
情操教育のなかでも、きわめて大切だと思うのです。
いい音楽を楽しむ、いい絵画や芸術を楽しむ、
というのは教育カリキュラムに入っているけれど、
いい空間を楽しむ、っていうことについての土壌がないと思います。
いまのところは、こうした能力はひたすら人的な体験の集積のみに
頼って存続してきている、あるいは、相伝的に
人から人へ、技術伝承されている、ということなのでしょうか。

こういうここちよくデザインされた空間は、
ひとを和ませるし、ひとの本然に戻させるような時間を与えてくれます。
是非、こういう感覚領域についての
教育プログラム、どこかが本格的に取り組んで、
一般のみなさん向けにやってみたらいいのではないでしょうか。
けっこう、現代人にとって大切な心的領域だと思います。

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2006年11月13日

和洋一体型テーブルから

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このテーブル、奥の畳小上がりと手前の椅子、両方から使えます。
って、よくあるんですが、畳小上がりの下側を収納などに使う場合が多い。
場合によっては、畳のコーナーは掘りごたつ風に椅子のように使えるケースもありますね。
こういうインテリアって、いろいろな家族構成や
そのときの気分で、食事のシチュエーションに変化を持たせられます。
たとえば手前側では、ふつうの食事を取って、
酒が入ってくると、奥の畳でごろっと横になったりしながら
のんびりと楽しむ、ってような使い方。
まぁ、ただ単にテーブルとする方が、コスト面では有利でしょうね。
こういうスタイルにすると、内装での造作工事部分が増える。
でもまぁ、材料代などはそうは大きく変化しませんから、
大工手間の分だけといってもいいかもしれませんね。
そういう意味では、驚くほどのコストアップにはならないかも知れない。

しかし、関東などでは、こういうの、大変かも知れませんね。
先日の取材の時に、東京で設計事務所をやっているひとから
話を聞きましたが、関東ではなにせ、大工技術の劣化が著しいのだとか。
断熱気密といった住宅性能のレベルのことなどは、夢のまた夢のことで、
まともな木工事の技術段階がきちんと出来ていないようなレベルだそうですね。
それなのに、マンション内装工事などの仕事は山ほどあるので
施工の職人さんの引き合いは強い。
需要と供給のバランスが、いびつなかたちになっているので、
現場のレベルはどんどん品質が落ちていっているのだとか。
聞いただけの話なので、もちろん断定は出来ませんが、
そういう施工の技術レベルということでは、
首都圏と各地方では、明確に差が出来てしまっているというのが実感とのこと。
って、首都圏がレベルが上で、地方が劣っているというのじゃない、
その反対なんだ、というところがある意味、すごいことですよね。
地方で、設計の仕事をすると、とにかく廉価な予算でも
仕上がりが望む以上のものに出来る、という思いを持てるそうです。
一方で、首都圏で建築の広告情報の仕事をしている人に聞いたら、
ほかのなんでもの常識で考えて、
首都圏の住宅は「高いし、きっと品質もいいのだろう」と素朴に思っている
そういう受け手の意識というのもあるように感じます。
なにしろ、情報の送り手・媒介者がそう思っているのですから、
そういった情報が、ユーザーに届けられているのが実態なのかも知れません。
確かに土地のコストは高いので、最終的な住宅価格では
高いものになっていますが、それと品質とは、
極端に言えば、なんの関係もない、というのが現実なんです。
品質や価値観とは違うことの比重が、価格決定の最大要因である、
といういびつなマーケットというのが、首都圏の住マーケットのようです。
さてさて、どうなんでしょうか、ね。

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2006年11月10日

新興住宅地の家

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きのうは青森県六戸町にある「小松ヶ丘」ニュータウンでの取材。
この住宅地は、郊外型の典型的なモダン住宅地で、
100坪を超えるゆったりとした敷地の広さが特徴。
三沢の米軍キャンプなどで、アメリカナイズされた住宅を望むニーズがあり、
そうした住宅が似合うニュータウンとして、
建築会社も、地元のビルダーが頑張って、面白いデザイン住宅が
軒を競っています。
ごらんの住宅は、十和田市を初め、青森県東南部地域をテリトリーとした
Jホームさんの最新モデル住宅。

ツーバイフォーフォー工法ながら、
ジャパンデザインをコンセプトとした家づくり、
そして外張り断熱とオール電化の設備仕様が特徴です。
暖房方式は、土間床全面にヒーティングしての床暖房。
そこで暖めた空気を一階床面のスリットから上昇させます。
2階は補助するように蓄熱暖房を設置しています。
内部で面白かったのは、ユニバーサルデザインを表現したような
1階玄関から土間を大きく取って、もう1室、土間付きの部屋としている点。
将来的に傾斜アプローチを考えた、玄関への取り付きとあわせ
介助の必要になった方の居住性も考えられています。
同時に、そうではない場合でも、この土間付きの部屋って
楽しく使えそうです。

でも、いちばん面白かったのは、
こうした新興住宅地の家にありがちなそっけなさに
坪庭などのエクステリアの仕掛けで変化を作り出していること。
新興住宅地って、土地に起伏があるわけでもなく、
当然、近隣の歴史的な関係性というのも希薄。
緑などの環境にも乏しいというのが一般的。
そうなると、室内からの眺望など、内外部の関係性が乏しくなるんですよね。
言ってみれば、「広場の孤独」みたいな感じ、といえばわかりやすいか。
それに対して、たとえば外観写真の右手に目隠しのような
坪庭が配置されていて、
これが室内側からの生活上のきわめてポイントになる、安心感を生み出すのです。
このあたり意識的に仕掛けられていて、
玄関からのまっすぐ正面にも、低い位置の坪庭が
目に飛び込んでくるようになっていますので、周辺の所在なげな地域性を
打ち消してくれています。
けっこう大切なポイントだと思いますよ。このあたりって。

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2006年11月08日

無機質な素材

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写真は先日取材した仙台の住宅の居間の様子。
施主さんが、無機的な空間へ、強いこだわりを持っていたという。
年代的には団塊の世代よりも少し若いくらい、
50歳前後という年代なのですが、こういう
コンクリートと金属、ガラスという素材に対して、
ある意味では感受性が芽生えてきたビジュアル世代ということなのか?
やっぱり団塊以上の年代では、こういう志向性は少ないと思います。
なぜなんでしょうか?
まぁ、空間としては、こういう背景のなかに点景のように
緑が、観葉植物であったり、借景としての隣家のみごとな庭木であったり、
強い存在感で、あしらわれているので、
正しく言えば、自分たちも含めて、有機的なものを
際だたせてくれるようなインテリア空間、ということなのかもしれません。
それをもっとも、感じさせるような背景として無機的な素材を
生かして使っていると言うこと。

でも、そうであっても、やはりこういう無機的な素材に対する
親和感というのは、この年代くらいから、ハッキリと出てくるのでしょうか。
わたしなんかも、そうした年代に属していて、
自分のこととして考えてみると、やっぱり、近未来的な都市感という
そういうような感覚がベースにあるのだと思います。
無機的な素材の冷たさが、なにか心地よいシャープさに見える、みたいな。
もっといえば、全部木を使ったような空間の持つ、
重さに対してみれば、軽快感に満ちているような感覚を持ちます。
それでいて、こういう無機的な空間は
光とか、陰影感、自然の移ろいとかもシャープに感じられる部分があります。
そういうことからすれば、素肌にそういう変化が直に伝わってくる感覚もありますね。
この家でも、一般的な家よりも、つよく日射感を感覚させられたものです。
ただし、こういう空間のなかで、暮らし続けるとなったら、
さて、どういう心理になるのか、すこし不安感を抱くかも知れません。
ちょうど現代の時間感覚そのもののようでもあるかも知れませんね。

などと、いろいろな想念を呼び起こさせてくれる家でした。
そういう意味からすれば、インテリアとしては、ある種、完成されたようなものとも言えます。
ミスマッチであったり、不釣り合いであると、
なんとはなく、居心地の悪さばかりがこころに残る場合もありますからね。
いろいろな素材を使って家って、形作られていくわけですが、
それらのハーモニーって、実に大切です。
インテリアは、それを毎日使う人の、こころのバックグラウンドなんですよね。
それを論議しないで、住宅は考えられません。
みなさん、どんな感想をお持ちでしょうか?

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2006年11月07日

南斜面の景観住宅

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札幌という街は、不思議な街でして、
方位学的には千年の都、京都とちょうど正反対だといわれます。
南側を山地が囲んでいて、北側に平野が開いている、
川も南東から北西の方角に流れて行っている。
地盤面の傾斜も、山側から平野側になっているので、
基本的にはやや北傾斜した敷地だらけという、
人間生活で考えれば、まったくふさわしくない地相の街と言われます。
逆に言うと、京都という街は画に描いたほどの「千年の都」であって、
ほんとうに千年以上、日本の首都でありつづけ、
いまでも、京都の街にとっては、天皇さんは
「ちょっと、武蔵野の方に、行ってきている」状態なんだとか。
一方の札幌ですが、これほど風水的にはまったく正反対になると
それはそれで、吉兆ともいえるのだ、なんていう説もあるそうです、が。

ということで、世界のどの都市でも、って、もちろん全部行っているワケじゃありませんが
一般的に都市の風上・西側にあって、高台、それで、南斜面という土地に
高級住宅街が成立するケースが多いと言われています。
この家は、札幌では希有と言ってもいい、
こうした条件を満たした立地にある住宅です。
ただし、札幌の中心市街地に対して、ひとつ山を越した位置にあるという点は
ちょっと違いがあると思いますが。
こうした敷地って、札幌では得難いので、よく建築家の人が
このあたりに自宅を構えている人が多い。

訪問したのは、つい先日の夕方4時頃。
つるべ落としの秋の日が、夕焼けに変わるような時間だったのですが、
見事な自然の変化の様子が、室内から我がものにできます。
ずっと見渡す視界には、札幌の南部市街地が広がり、
また、右手には定山渓から中山峠に至る、山並みが眺望されます。
日中の陽光は、ほぼ一日中室内に取り込まれています。
南側には、眺望と日射取得の用をなす2階分の大開口が取られていますが、
日射の過取得を制御するために、屋根から張り出すように
遮光用のルーバーが設置されています。
夏至の日射角度に合わせて、室内への日射を制限させている工夫。

こうした好立地の建物なので、
室内の壁・天井とも白に彩色して、四季や一日の時間などの
外界の変化による色合いの変化も室内に取り込ませています。
見事な夕焼け時間には、その見事さが室内を染め上げていくわけですね。
いや、実にうらやましい、暮らしのイレモノですね。

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2006年11月06日

意地の都市住宅

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っていう住宅紹介シリーズがあった。
ドーナツ化する都市の趨勢に反発して、
「意地でも住んでいてやる」みたいな住宅を見ていくものでした。
でも最近はマンションが都心では一般的になってきて
そういう意味で言えば、「意地の都心戸建て住宅」ってところでしょうかね。
ご紹介する住宅も、札幌の中央区の一角にある家。
周辺はどんどんマンション化していって、ほとんど戸建てはなくなっていくなかで、
鉄骨造4階建てという住宅を建てたものです。
主な居住スペースを4階に配置することで、劣化する眺望条件などから
自分自身を守ろうとする意志が明確なフォルム。
やぐら構造に近い構造になっていて、
1〜3階の4隅に太い鉄骨が入っているのです。
内部にはエレベーターが仕掛けられ、まぁ、ミニマンション的なもの。
しかし、こういう建て方をすることで、小さい敷地スペースでも
駐車スペースが見た感じでは3台程度確保されていて、
現代の車社会での利便性は十分です。

設計者に聞くと、この建物の建築中、周囲に建てられるマンション購入を
検討していた人たちの訪問が集中し、
完成後に開いた現場見学会では、実に300人もの人が訪れたのだそうです。
しかも、こうした奇抜な外観にもかかわらず、興味を持った人たちの多くが
けっこうな年配のみなさんだったということ。
老後の交通的な利便性からマンションを選択したいけれど、
マンションでは駐車場は1台しか確保できない、というのが大きなポイント。
それがこうしたプランならば、都心立地の狭小地でも
暮らし続けることが出来る、という夢が広がるんですね。
市街地の隙間にはこういう狭小敷地って、けっこう残っているもので、
この家を見に来た人たちが、この家のコンセプトを受け継いだ
その2,その3という家を続々、建築中なんだとか。

なんか、外観からして、
安易なマンション暮らしという「長いもの」には巻かれないぞ、
という団塊の世代らしい意気込みが伝わってくるようで、
都市のなかの点景としてもたいへんおもしろい景観を作っていきそうです。
ゆたかな暮らしへの想像力がふくらむ住まいですね。

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2006年11月05日

囲炉裏内蔵の食卓テーブル

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きのうは十勝幕別から地元建築士会のみなさんが
札幌の建築家住宅見学会に見えられて、ご案内役をやっておりました。
最近、札幌地区の建築家の活動ぶりについて関心が高まっていると思います。
2〜3年前から、こういう見学会を主に建築のプロのみなさん向けに
ときどき行っていますが、こういう住宅って、
実際に目にする機会というのはなかなかないので、
みなさん、いろいろな意味で刺激になるようです。
建築のディテールで気に付いたポイントなどをきっかけに
いろいろな面白い情報や考え方が浮き上がってきて、楽しいものです。
わたし自身、全国各地の住宅建築を目にする機会が増えていますが、
いっぽうで、この札幌地区の建築家のみなさんの住宅デザインのレベルの高さ、
それは、性能をわきまえながら、果敢に新しい空間性に挑戦している
という部分が強く感じられ、フロンティアスピリットみたいな部分でも
北海道らしさを実感できる、ということなのかも知れないと思っています。
いまは、どんどんと新しい個性が、新たな住宅を生み出し続けています。

という前置きは、まぁ、別の機会にまた・・・、
で、写真なんですが、ヒココニシさんという建築家の自邸にある食卓テーブル。
卵を半分に切ったようなかたちで、上部には換気扇。
テーブル面には炉が切ってあって、右側写真のようにコンロが仕込まれている。
さてこういうの、なんていったらいいのでしょうか?
機能としては昔の「いろり」そのものですね。
まぁ、自在鉤は付いていないけれど、付けようと考えればすぐできそう。
室内置きのバーベキューコンロ。
遠赤外線の炭火で、お肉を網焼きするとか、魚の串焼きなんかも楽しそうです。
そして、その焼き加減を楽しみながら、円形のテーブルで
会話も楽しく盛り上がりそうですね。
椅子も長時間座っていても楽なインターナショナルデザインなもの。
そのうえ、このコンロ、よっこいしょと移動させることも出来るので、
外に出て使うことも出来ます。まぁ、排煙の換気扇は持って行けませんけど(笑)。

なんでも、ヒココニシさんのおとうさんは金物職人さんだそうで、
卵形の部分はおとうさんの手作り作品なんだそうです。
この食卓テーブルで、住宅希望の施主さんと打ち合わせると、
「これいい!」というリクエストをしてくれる人も多いのだとか。
わかりますよね、その気持ち。
機能性とデザイン性、たいへん調和も取れていて、
とても楽しい生活装置、仕掛けだなぁと思います。 いかがでしょうか?

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2006年10月30日

あえて旧市街地に住む団塊世代

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仙台できのう取材した住宅の写真です。
古い旧市街地での新築住宅なのですが、
わたしはてっきり今までここに住んでいての建て替えとばかり思っていましたが、
実はなんと、こちらはわざわざ狙って、こういう旧市街地の敷地を買い求めたものなのでした。
こういう敷地、って、ここんとこ取材で重なっているワケなんですが、
いわゆる間口が狭くて、奥行きが長い、という
日本的な伝統的都市住宅の街割りのなかの敷地形状。
一般的ハウスメーカー住宅では、そもそも建てられないようなケース。
ただし、立地条件としては都市機能の利便性を享受できる。
この家の建て主さんもついの住み処は都市中心部のマンションかな、と
考えていたそうなのですが、やはり車はずっと使い続けるだろうし、
そのためにずっと駐車場を賃貸契約するのも、抵抗を感じる。
また、友人知人との気兼ねのない交友を考えれば、
戸建て住宅の暮らしやすさがやっぱりいちばんいい、
というように考えて、こうした敷地の入手を考えていたそうなんです。
もう、大人になった子供との間には、間取り的な距離感もほしいところですが、
そういうときに、中庭的な空間を介するスタイルが多くなる
こういう敷地形状って、むしろぴったりと当てはまるんだそう。
しかも、そういう利便性を考え合わせたとき、土地の価格としては
現代の条件からすると売りにくいこともあって、
比較的に入手しやすい金額で手に入れることが可能ということなのですね。
ふむふむ、なるほどと、感じ入った次第です。
そういう意味では、団塊の世代のひとつの典型的な「ついの住み処」の
新しい形になるのかも知れないなぁ、と思いました。

ただし、デザイン的には、ごらんのような「無機的な」印象。
コンクリート打ち放しの1階部分や2階から上の内部に対して、
2階から上の外断熱部分の外装材にはアルミ板を張っています。
外壁の日光に当たった部分は、ちょっと「ぬらぬら」とした
独特なイメージが喚起されます。
このあたり、やはり元祖ビジュアル系の団塊の年代らしい、住宅デザインの選択。
これまでのいかにも「高齢者向け」的なデザインには、
団塊のみなさんはすこし違和感を感じて、むしろこういう過激系の
作りようを好むものではないのかなぁ、というのが実感。
音楽などでもローリングストーンズみたいな好みが、きっと、この年代のスタイル。
60を過ぎても、過激なミックジャガーみたいに、老いていくんだと思いますね、きっと。
さて、こういうライフスタイル、どんな印象を持たれますかね?

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2006年10月29日

現状不適格の家々

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きのうは仙台市内の古い街並みのなかの住宅を取材。
古くからの街道筋の住宅地に建てられた家でしたが、
近隣になんとも面白い家並みを発見してしまいました。
写真がその様子なのですが、なんと、店舗に使っている古い瓦屋根の建物を貫通して
通り抜けていくような小路の左右に、小住宅が密集していました。
手前の道は江戸期からのメーン道路で、
道路幅はたぶん8mほどというもの。
車社会ではない時代としては十分な賑わいをたたえた
素晴らしい繁華街だったに違いないのです。
そうした時代には、きっと長屋的な賃貸住宅の需要があって、
前面建物の持ち主が、後ろの敷地も所有していて、
徐々に小さい賃貸住宅を建てて、貸していたに違いありません。
そうしたことが続いてきて、いまに至っては、
もう、その賃貸住宅の貸し手も借り手も、抜き差しならないほどに現状が固定され、
そのまま、時間が停止したような街並みとなって、
現代にも建ち続けている、ということのようです。
(こうした見方は、わたしの推測ですので、必ずしもこの写真の家が
そうであるとは断定できないことはご理解ください。)

古い都市の場合、このような形での固定化されたような土地利用というのを、
たいへん多く目にします。
所有権が明確ではあっても、賃貸している住人の権利が認定されているので、
たとえ、貸し手が土地利用を現代化したいと考えても、
事実上、手も足も出なくなってしまうのが、多くの実態。
法律は、多くの場合、こうしたケースでは既存状態を追認する方向で運用されます。
もちろん、公共による強制的な再開発など、夢のまた夢。
なのですが、たとえば都市防災という観点から見たときには、
非常に危険な状態が、むしろ追認されていると言えるのですね。
1階に、こうした通路空間を貫通させた瓦屋根の建物って、
まず、相当に危ない建築といえると思います。
また、万が一、地震などが来たとき、この小路の奥に住む住人は
たぶん、崩落する建物に逃げ道を塞がれてしまう危険性が高い。

複雑な権利関係が、入り組んで、にっちもさっちもいかなくなるんですね。
タイトルのように、現代の建築法規を当てはめてみれば、
現状が不適格な家が、それも借家法という法律に則って、
適格に存続すべきである、というようになっているワケなんですね。
まぁ、パラドックスとも言える。
この現状のなかでは、小路にある建物は、道路とも認定されない通路にしか
「接道」していないので、建て替えることも出来ない。
もっといえば、そもそも工事車両も入って行けそうにないので、
リフォームすることもどうにも至難の業のように見受けられるのです。

こういうような例は、しかし、仙台や多くの東北の古くからの都市では、
いや日本の一般的な都市にはたいへん多く残されているのが現実。
こういう状況を解決するには、建て替えなどに必要な建築上の法規を
きわめて弾力的に運用するような、
いわば、「建て替え特区」とでもいうべき対応が取られる必要があると思います。
そうでもしない限り、こういう都市計画上の破綻は解決不可能でしょう。
大変難しいテーマが横たわっていると思います。
きのうはその後、行政側で、こうした都市計画に携わってきた方と
お話しする機会があり、さらにこの思いが共有できたのでした。
さて、いったいどうすべきなのでしょうか?

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2006年10月26日

古い街並みのなかでー3

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写真はきのうまで書いてきた白河市の家の居間からの眺望。
さまざま、色とりどりの植栽がまさに咲き誇っている庭に大きく開口しています。
左側はデッキテラスになっていて、さまざまな園芸用品が使いやすく置かれてあります。
庭仕事を心ゆくまで楽しんでいる暮らしぶりが伝わってきます。
お住まいになっている高齢のお母さんの表情が
何とも柔和で、しかも快活そうだったのが大変印象的。
「いやぁ、この家はね、庭が楽しくてね。」
とはじけるような笑顔を見せていただけました。
きっと、永年丹精して楽しんできた庭木・植栽と、家を新しくしても
ずっと仲良く暮らしていけるという生活が、
お母さんの元気の源なんだろうなと、すぐに理解できましたね。
高齢者の住まいって、段差の解消とか、バリアフリーとかばかり
クローズアップされる部分があると思いますが、
でも、本当に大切なのは、こういう「暮らしへの愛着」の継続性だと思います。

取材で訪問している間にも、近隣の方の来訪があったりしました。
屈託のないコミュニケーションが、賑やかな笑い声とともに聞こえてきます。
日曜日に伺ったこともあって、家の周囲では近隣のこどもたちの
遊ぶ様も見かけることが出来ました。
以前、アメリカの都市住宅を観に行ったときに、
郊外型の一戸建てばかりではなく、
集住スタイルのタウンハウス型の住宅を観に行ったことがあります。
そこでは、いろいろな年格好のみなさんが共住していて、
こどもたちにとっては、たとえば自分の親が留守でも、
近隣のリタイヤした高齢者の方が、ひたなぼっこしながら、
ちょっとした会話をしながら子どもたちの様子をそれとなく見ている光景に出会いました。
そんなコミュニティの大切さにアメリカの社会でも、
気づいてきているのだ、と聞かされたことがあります。
「古い街並みのなかで」暮らし続けるって、やはり人間生活にとって、自然ですね。
そういうなかから、地域のアイデンティティが生まれ育ち、
しっかりと継承されていく部分が大きいのだと思います。
そして、そういう都市居住を可能にする住宅建築の努力も
大いに求められてきているのではないかと思います。
そんな思いを強く持ったお宅の取材でした。

●●●

きのうは超えなければならない「ジョーカー」での勝負でしたね、ヒルマン監督。
シーズン最終盤で勃発した、エース投手と監督の確執。
個人として、はじめて金村選手の発言を聞いたときに
かれ、ヒルマンがどういう感情を抱いたか、は想像するしかありません。
しかし、ペナントの山場で、いま全力で戦っているさなかに、
表面化すべき内容でなかったのは、誰の目にも明らかだった。しかし、
問題は、そこからの対処において、
チームと、監督と、ファンと、すべてがこの事態に勝ちましたね。
そして、ポーカーで言えば、それを使わなければならないジョーカーカードになった
かつてのスペードのエースカードを
昨日のゲーム、という局面で勝負カードとして使って、
見事な結果が得られました。
勝負師としての、野球監督最大の賭けに、ヒルマンは勝ったと思います。

さて、ここまできた!
札幌での今年の最後になるゲームが、最高のシチュエーションで用意できましたね。
きょうは中日さんもあとがない、エース川上選手の投入でしょう。相手にとって不足なし!
全力で、力の限りのさわやかな激闘を期待したいと思います。
あとは、無心に、選手たちと、チームスタッフすべてを信じて、
札幌ドームで、坊主とふたり、家族みんなの思いの分も精一杯応援したいと思います。
最後まで、がんばれ、北海道日本ハムファイターズ!

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2006年10月25日

古い街並みのなかで-2

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きのうからの続編です。
福島県白河市って、わたしもはじめて訪問したのですが
やはり一般的な日本の都市と同じように、旧市街地は古い家並みが続き、
一方で、国道沿いのロードサイド型のショッピングゾーンが
現代的な利便性の満足感を勝ち誇るように、わが物顔に跳梁跋扈という状態。
駅前にも、さして高層のビルらしきものが建ってもいない、
むしろ、駅前などを見れば、古い歴史性を誇らしげに売り物にしようとしている
そうした街並みが続いています。 まぁ、全国の都市を見ていて、
首都圏や関西圏、中部圏などの公共交通機関が発達した地域は別として、
それ以外の「地方都市」一般が抱えている、中心部過疎化が典型的にあらわれていますね。
このこと自体は、現代という社会がある必然性を持って
こうした現象を生み出しているのですから、
逆らいきれない変化、ということは出来るのだろうと思います。

さて、そうしたときに、ただ単にそういう風潮に流されて、
中心地域の過疎化という問題に対して、無自覚なまま、建築主の初動的反応、
「いまどき、こんな敷地は売り払って、郊外に」
という言葉にそのまま、乗っかって移転しての建築計画を進めるべきなのか?
地域のアイデンティティであるとか、その地域らしさ、というような
ことがらについて、もっともデリケートな感性を持っているべき建築家として、
どう、考えるべきなのか。きわめて悩ましい問題だと思うのです。
やはり、この家でも建て主さんからは、そういう希望が出されたそうですが、
相談された建築家・辺見さんは、この古い地割りのなかでの建て替えを
あえて、提案したのだそうです。

こういう地割りの場合、間口が狭く奥行きが長い構成。
で、いちばん奥まった場所には、永年手をかけてきた見事な庭があります。
四季折々の季節変化を伝えてくれる植栽の数々が、
そこに暮らす人の生活リズムそのものになっています。
そこでこの庭の活用と、ウナギの寝床的な敷地形状から採光条件が限られざるを得ない、
というポイントを覆すような敷地利用計画を考え出しています。
建物は主屋と、前室的な部分とに分けられ、中庭的な空間を廊下でつなぎました。
その残余の敷地を、奥の庭にまでつないでいく「土間通路」がこの家最大のポイント。

正面から見て左側をずっと抜けていくこの土間通路は、
みごとな植栽・造園が施され、奥の庭にいたって、全面的な緑に開放される。
この都市中心部にあって、四季折々の季節感が楽しめる空間を作り出しています。
現代生活との調和という部分では、建物前面にカーポート的な
屋根庇に覆われた土間空間で対応しています。
そして前室建物では、近隣コミュニケーションが上手に図れる空間演出がされています。
実際に、この場所では地域のみなさんとの「月見の会」などが行われているのだとか。
日本の地方都市が持っていた、こうしたコミュニケーションを
建築として、正しく受け止め、また次の世代に伝えていこうとする意志を感じます。
という、住宅建築のポイントがきわめて明確だったのが、
この家に強く感じていたポイントであり、実際に取材に行ってさらにその思いを強く感じました。
単なる建築デザインという要素を超えて、「暮らし方デザイン」として、
こういう地方都市の抱える問題点に、真っ正面から向き合って、
解決策を探ろうという家は残念ながら、なかなかない。
地域性というものと、住宅建築の関係性を強く訴えかける住宅でした。
みなさん、いかがお考えでしょうか。
写真は前室建物の、「小上がり」的な半外部空間の様子。
地域を表現する自然石が、足下で人を導いて、たどりつくしつらいです。
なんか、ちょっと上がってみたくなる雰囲気じゃありませんか、ね?

●●●
頑張りました、北海道日本ハムファイターズ!
第3戦を、実にいい形で取ってくれました。
初回の一気攻撃で逆転。集中力がみなぎっていた見事な攻撃。
しかし、中日さんも強い! 立ち直った朝倉投手のピッチングは見事でしたね。
しかしわがチーム、そこからは、調子に波がない、得意の鉄壁の守りが冴え渡りました。
守って守って、最後、相手の継投の一瞬の隙を突いた
これも一気攻撃での、強い突き放し方。
きのうは本当に、いい面が出た、いい勝ちかたが出来たと思います。
のびのびとしたプレーが出来ていますね。
この調子で、強豪・中日さんに真っ向からぶつかっていって欲しいです。
きょうも、あしたも、がんばれ、北海道日本ハムファイターズ!

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2006年10月24日

古い街並みのなかでー1

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先日の「東北住宅大賞」で候補作としてノミネートされた住宅。
大変興味を覚えたので、取材に訪れました。
というのは、東北の古い街並みのなかに、あえてそこでの暮らしを継続させようという、
建築家としての強いメッセージ性を感じたからなのです。
建築された街は、福島県の白河市。
古くから要衝の地として知られたこの街は、
であるだけに、古くからの城下町としての街割りがされています。
いわゆる「町家」としての土地割りになっています。
間口が狭く、奥行きが長いという典型的な日本の前近代的な街割り、都市計画。
前近代的な、と書きましたが、これは現代の側からの専横な物言いであるかも知れません。
正しく言えば、現代生活の快適装置、車社会から考えて、
それには適してはいない居住形態、歩いて暮らすのに適した街割り、
とでも言った方がいいかもしれません。
こうした街では、道路がそう広くはなく、また、しばしば戦争への備えから、
曲がりくねらされていて、不定形になっている。
そこに多くの居住を可能にするために、敷地利用は細長くなるのですね。
結果として、隣家同士が軒を接して建てられたり、
場合によっては壁を共有したりしている場合が多い。
現代生活では、車での移動への利便が保証されるような
そういう街割り計画が当たり前のようになっています。
間口は大きくなり、奥行きはそう必要とはされなくなった。
その分、交通に必要な前面道路の道幅は大きくなる必要があって、
そういうことを前提に考えていけば、アメリカの郊外住宅地のような
広大な敷地と、ゆったりとした前面道路、という都市計画が
もっとも、現代生活に適した街割りだ、ということになっていく。
このことは、どうも、わたしたち現代人のなかに、
ベーシックな部分で、いまや、刷り込まれたような前提条件になってきている気がします。

しかし、一方で、古くからの伝統であるとか、
地域らしさ、というような部分で、その土地らしい、そこに暮らすのに似合う、
というような価値観を考えるとき、
現実に存在するこうした街割りのなかでの暮らし方、
家の建てられようについて、しっかりした考え方は、
私たちはまだ、持っていないのではないかと思います。
この家の施主さんも、古くからあるこの敷地のなかの家の新築を考えたとき、
当然のように、引っ越しして新しい土地に住むと言うことを
まず、考えたんだそうなんですね・・・。

って、長くなりそうなので、この稿、明日に引き続きたいと思います。

投稿者 replan : 05:56 | コメント (0)

2006年10月09日

建築と水辺

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以前、北米や北欧の住宅を見学しに行ったとき、
あちらでは、住宅はデベロッパーが開発したニュータウンの住まいを
購入する、いわゆる建て売りが基本的な流通スタイルでした。
日本のような注文住宅もあるけれど、住宅というものの価値感のなかで、
「周辺環境」というものを含めたトータルで、判断していることが明確でした。
このことは日本での場合、いわゆる土地ブランド、ということになるのでしょうかね。
土地の価格が、飛び離れている日本なので、
「周辺環境」とはいっても、とにかく、ブランドとしての「土地の名前」に
すべてが収斂されていると感じます。
その点、海外ではそこまでのブランド信仰はなく、
新興住宅地でも、そのコンセプトや、めざすターゲットゾーンに対して
わかりやすい「周辺環境」で勝負できるところがあります。
写真は日本で撮った水辺の建物の例ですが、
洋の東西を問わず、水のたもとでは、建物のシルエットが美しく、
また、建物内部から得られる眺望も、大変優美なものが得られるので、
高級住宅のひとつの典型的な「周辺環境」と見なされるのですね。

海外では、高級住宅地というのは、きちんとゾーンの仕切が明確になされていて、
一般的には、緑などで結界が設けられて、
外界とも遮断されているケースが多く、そのさらに中心側に、
水辺を持っているケースが多い。極端に言えば、わざわざ、池を造成することも
決して少なくはない。その周囲にいちばんの高額物件が張り付いています。
ビルゲイツの自邸は、湖周辺の敷地を全部買い上げて、
その畔に建てられているんだそうです。
わかりやすい価値観、まさにインターナショナルですね。

こんにちの日本の高級住宅地、って、
そこまでの徹底性や、わかりやすさはないですね。
むしろ、歴史的に積み上げられてきた、たとえば田園調布、といった土地ブランド性が大きい。
札幌では宮ノ森や、円山という地域が、相当するのですが、
どうも、「周辺環境」という言葉自体の実体が、不明確になっている。
土地割りが細々となりすぎて、ゾーンとしての地域の雰囲気というものが
どんどん希薄になっていっているのが現状なのでしょうね。
まぁ、このことは相続とかの税制も絡んでくる問題なのでもありますが・・・。
さて、さて。

パリーグプレーオフ、だいぶ盛り上がってきましたね。
わが日ハム、ただ待っているというのも、なかなか、厳しいものなのですね。
きのうは無料開放の紅白戦に、なんと30,000人を越す観客が詰めかけたのだとか。
もうちょっとで、本番の西武ドームを超える人数だったようです。
って、きのうは札幌、凄い天気も悪かったんで、
外に出るのもおっくうになるほどだったのですが、ね。
みんなの期待感も、どんどん膨らんできています。
このたまってきた思いを、一気に、きょう決まる相手にぶつけていって欲しいです。
1位だけれど、まだまだ、わたしたちはファンも含めてチャレンジャーなんです。
がんばれ、北海道日本ハムファイターズ!

投稿者 replan : 04:24 | コメント (0)

2006年09月12日

和の暮らし、しつらい

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おととい触れた秋田市の住宅の内部からの様子。
設計施工は秋田でもピカイチと評判のビルダー・五蔵舎さんです。
五蔵舎さんは、施主さんの感受性を表現するような家づくりが秀逸で