2008年11月21日
お料理好きのキッチン

きのうは上越市で取材でした。
寒波が押し寄せてきていますが、新潟県は日本海の横幅が
もっとも大きい地域なので、降雪量が大きくなる、
という説があるそうで、積雪が心配されましたが、
なんとか、峠を越えて、青空も望むほどに回復。
でも、たいへん天気の変化が激しい状況でした。
写真は、久しぶりに見た「ガスコンロのあるキッチン」。
お施主さんが料理にこだわりがあって、
絶対に譲れないポイントだったのだそうです。
中華料理などで、よく油炒めをするときなど、
やはり瞬間的な火力ではガスが効率がいい。
とくにわたしも、もやし炒めをラーメンの具として入れたい方なんですが、
もやし炒めは、強い火力で一気に炒めてさっと止めるのがおいしい。
シャキシャキとした食感が歯ごたえとして残る、
こういう料理のツボでは、やはりガスに軍配が上がるように思われます。
で、そういうこだわりのある人は、
同時にキッチンの仕上げもステンレスを好むようです。
モノトーンの質感が、知らず知らず、料理への集中力を高めるのか、
機能性にシンプルに訴求するものがあるのか、
こうした雰囲気のものが人気がある気がします。
まぁ、あんまり普段は見ることがなかったのですが、
シンクまわりのこだわりのある設計仕様は、なかなか考えられていました。
とくに魚を捌くことにこだわった機能は、なかなか考えられています。
日本の食事では、やはり魚料理の比率が高い。
大量の水を使いながら、使いやすく捌いていくには、
シンクへの工夫が欠かせないポイントだとも思います。
日本語で「流し」というくらい、大量の水を流しながら作業するので、
感心させられる機能性でした。
メーカーキッチン、なかなか油断できませんね(笑)。
写真の中にあるパソコンは、
カメラマンの確認用のもの。
キッチンにパソコンが付属していると言うことではありません(笑)、
念のため(笑)。
さて、全国行脚、まだ、札幌への帰還のメドが立ちません。
予定は未定の出張が、しばらく続きそうです。頑張らねば!
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北海道・東北の住宅雑誌[Replan(リプラン)]|家づくり・住まいの相談・会社選び
2008年11月20日
和の美しさ

こういう空間にたたずむと、なじむ・・・。
写真はきのう取材してきた長野県岡谷市の住宅。
和風住宅の楽しさをたっぷりと味わえる家です。
そのなかでも、北海道に暮らすわたしとしては、こういう広縁に強い憧れを抱く。
床板のヒノキはどこまでも清浄感をたたえています。
庭に面して開放されたこういう場所は、
日本的な自然観や、感覚の大きい部分に色濃く影響を及ぼしていると感じるのです。
こういう空間から、庭を眺めるわけですが、
場合によっては、こういう空間から庭の白砂上で腹を切るシーンを
「見届け」たりすることすらあったでしょう。
死生を分ける結界的な空間でもあったのだと思うのです。
こういう広縁に込められた民族的な感覚って
たぶん、完全には説明できない、さまざまな精神文化につながる部分がある。
正面には円窓が開けられています。
ここからは、梅が眺められる、というか一幅の絵として
梅の花の咲く様が、室内に円窓を額縁として切り取られている。
右側の横長の大開口は、日本人が感覚してきた寸法の原点的なもののような気がする。
よく、左右の黄金比率というようなことを聞きますが、
こういう日本建築の寸法は、さてどうなのでしょうね。
日本の屏風絵という絵画形式がありますが
あれも、こういう寸法が基準になっているものだと思う。
こういう伝統的な空間にペアガラスの樹脂窓が嵌め込まれ、
しかも重厚な気密断熱性が施工で確保され、
冬の厳しさの中でも、むしろ古人達が楽しむことが出来なかった
雪の降りしきるようなさまも、楽しく感受することが出来る。
わたしたちは、伝統に育まれながら、
こういう進化した住宅性能で、まったく新たな体験も感覚できるようになってきている。
利休さんが、いま生きていたら、
こういう性能を獲得した住宅建築から、
いったいどのような「わびさび」精神文化を紡ぎ出すのだろうか?
北海道から長野に来て、
そんな思いがふとしてくるような空間を体験しました。
楽しい取材でした。ありがとうございました。
<来年早々に出版予定の「エコ住宅Q1.0」第2号掲載の予定です。>
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2008年11月13日
フローリングの傷み

最近寄せられたクレーム投稿で気になったものから。
新築でフローリングの傷が気になって仕方がない、
いったい、どれくらいなら許容範囲なのか、というような内容でした。
フローリングといっても
無垢の、どこまで削っていっても自然木というものと、
一般的に広く流通している、
表面だけ自然木を薄くスライスしたものを貼ったものとがあります。
後者は、心材として加工した木を使っています。
写真はわが家のお恥ずかしい状態の様子です。
残念ながら、表面だけ貼ったものは宿命的にこういうことになりやすい。
わが家では、床暖房を土間コンクリート床に敷設してあり、
その表面に張っていくフローリングとしては
「床暖房用」と明記されていたのが、この製品だけでしたので
これを採用したのですが、
事務所兼用住宅だったので、椅子の脚に移動用の車輪がついた事務用椅子を
使っていたところ、もののみごとにこのような感じで
表面仕上げ部分がはがれてきてしまいました。
いろいろあるのでしょうが、
床暖房用って、物理的刺激には弱かったのかもしれません。
もっとコストダウンした床材を使っていた部屋では
同じ「フローリング」(無垢ではない)でも
同じような使い方をしても、タフに耐えています。
こういう経験があって、
やはり床材って、いろいろ用途があって、
適材適所が大切だということに改めて気づかされました。
そんなことから、暮らし方と、部材の検討って
きわめて大切だと考えています。
そこで、そのあと建てた事務所では、
タフに利用する床はやはり安価で耐久性の高い樹脂のフロア材を利用して
裸足や、スリッパで利用する床面は無垢で一番安いものとしています。
床暖房する場所には、その他、テラコッタも採用して
こちらでは蓄熱性も利用するようにしました。
こういう経験があったので、
フローリングにはいろいろの種類もあること、
さらに長期の利用では、自然のものなので傷みからフリーではないこと、
などを意見として書き添えました。
もちろん、新築時点ですから、傷み具合の程度問題ではあります。
ちなみにわが家の写真のフローリングですが、
現在は放置して、そのまま利用しております。
補修を試みても、きりがないし、難しいのは一目でわかるんですね。
人生に完全はあり得ないのですから、
失敗の教訓を毎日確認しながら生きていくのも
案外、大切な部分ではないか、などと納得しながら暮らしています(笑)。
まぁ、負け惜しみですね、明らかに(笑)。
パソコン、慣れない環境で
作業をいろいろやっていて、ストレスがたまりますね。
昨日、一番つらかったのは
PDFが簡単にできない、ということ。
このパソコン、間違えて、っていうか、予備用と考えていたのもあって、
OSをWIN_XP「ホームエディション」にしたのですが、
これが想像以上にとんでもなかった・・・。
なんせ、まともにネットワークプリンターに接続できない。
いじわるとしか思えない仕様なんですね。
確かにOSの値段に格差をつけるのにこうしたのでしょうが、
「家庭用」のパソコンは、業務には使うな、ということなのですね。
まぁ、技術スタッフがサポートしてくれて
なんとかリカバリーできましたが、このPDF作成は
同様にプリントまわりの仕様がからんでくることなので、
解決しようというのは、まぁあきらめた方がいい。
別の方法でデータを人に渡すことにして解決させました。
MACではOSレベルでPDF作成をサポートしているので、
全く考えたこともなかった次第なんですね。
まぁ、なんとか、作業は間に合わせることができましたので、ひと安心。
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北海道・東北の住宅雑誌[Replan(リプラン)]|家づくり・住まいの相談・会社選び
2008年11月08日
白い化粧

昨日から、札幌は本格的に白いものが舞い始めました。
夏タイヤから冬タイヤに履き替えもちょうど終わらせたところでした。
毎年、冬の向かえかたって、いろいろあるんだけれど、
やっぱり北海道は、白い雪が一気に全部を化粧するっていう
単純に劇的なことがやってくる。
こういう当たり前のことに、歳を取ってくると、思いが深くなる。
ブラックアウト、という言葉があるけれど、
北国の人間の感覚からすると、冬の訪れは
「ホワイトアウト」という感覚に近い。
まぁ、劇的な場面転換が暗転ではなく、白転とでも言えるような感覚でしょうか。
で、来てしまえば、しばしの間、見とれているようなところがある。
小さい頃からの初雪の記憶がフラッシュバックしてくる瞬間。
きれいだ、とかいう感覚とは違うんですね。
確かに綺麗ではあるんだけれど・・・。
雪にも色があるって、
札幌の絵描きさんが言っていましたが、
この初雪は、そういう白色世界のバリエーションの始まり。
視覚領域の中に、ベーシックに白が入り込んできて、
他の色達とのコンビネーションを構成する。
北国の住宅って、外観で言えばこういう白の世界との対話が
けっこう大きな部分なのではないかと思う。
下見板張りの外壁を復権させた建築家・倉本たつひこさんは
こういう雪のなかでの建物の調和を考えていたような気がする。
わたしたち、北海道の人間が、倉本さんの住宅を見て
「そうだよ、こういうのが北海道なんだよ」
って思えたのは、こうした心象意識があったのではないかと思う。
まぁ、雪に似合う色合いとか、質感とか、
やっぱりそういう感覚からわたしたちは無意識ではいられない。
そういう風に考えてくると、
もっと外観について、論議があってもいいと思うのです。
雪の季節に、家を実感させてくれる外観って、
さて、どんなことなのでしょうね。
<写真は雪化粧した庭木を上から見下ろしたところ>
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2008年11月07日
露出の電気配線工事

わが社の2階はイベントができるようなスペースを持っています。
6年ほど経過したのですが、やや照明が少なめでした。
電気配線は、「オール電化」の視覚的表現と言うことで、
可能な限り、露出配線をしています。
久しぶりに建物に手を加えなければならないので、
ついでに電気工事での追加照明を考えて打ち合わせした次第。
電気工事って、まず表側に出てくることがない。
だいたいは構造段階での配線工事で、壁の中に隠されるのが一般的。
当社のようなケースは大変少ないのでしょうが、
その分、一生懸命になってやっていただいて、
思い出話なども交えての楽しい打合せでした。
6年前にこうした露出配線の経験のある職人さんは、ほぼリタイア状態。
ということなので、出来る人間をまた捜さなければならないのですが、
「なんとかできるでしょう」ということでアテもありそう。
インテリア的には、構造の素地表しに近い空間なので、
やはり電気配線の仕上がりが決め手になりそうです。
さてどういう具合に仕上がるか、楽しみにしていたいと思います。
トヨタの決算見通しが発表されていました。
対前年比70%減少と言うことですね。
主要なマーケットであるアメリカ市場の景気減速が加速して、
業績を押し下げると言うことだそうです。
さて、どういう方向に向かっていくのか、
当面はアメリカの状況から目が離せないのではないかと思われますね。
但し、経済はひとびとの気持ちの問題も大きい。
ブッシュからオバマに政権が代わって、
前向きな社会になっていくのかどうか、
そういう部分が、結局は経済をも規定していくのではないでしょうか。
まぁ、なんとなく、これ以上は悪くならないのではないか、
というような気分が、いまのところ支配的のような気がします。
オバマには、メッセージを伝える力がある、と言われています。
当面は、様子を見ていくという状況になるのでしょうね。
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2008年11月01日
木床の防音対策

生活騒音の問題って、
日本人の生活意識が変化してくるにつれて問題化してきました。
戦前までの賃貸住宅中心の住環境では、
都市型住宅であれば、あり得ないような問題だと思います。
京都などの町家形式住宅でも、隣家とは場合によっては
薄い壁一枚の隔てしかない環境が当たり前。
むしろそういう環境の中で、他者の心情を推し量る、という
日本的な精神文化が涵養されてきたのではないかと思われるくらいです。
江戸の町民も、庶民はほとんどが権利意識の薄い賃貸住宅・長屋に住んでいて
ひとつの井戸を共有して暮らしているのが生活スタイル。
そういう生活意識が劇的に変化してきたのが、
戦後の社会でしょう。
アメリカの占領を経て、個人主義的な生活文化が導入され、
権利意識というものも高まり、
同時に「持ち家化」政策が経済の高度成長とともにたいへん有効に働いて
マンションなどでも「区分所有」という概念で取引されてきた。
区分所有とは、個人の権利意識を幅広く認める考えに基づく。
極端に言えば、高いお金を払って「所有」した空間内部では
誰からの干渉も受けるのを受忍しない、という態度が広がってきた。
そうした拡大した個人主義って、
ちょっと歴史をさかのぼれば、日本人の生活文化伝統にはなかったことはすぐに気付く。
・・・はずなんですが、なかなかそうは割り切れないのが現代の状況。
っていうようなことで、建築の側で、
さまざまな防音対策の工夫が行われるようになってきている。
写真はあるメーカーが開発した木床と、構造との間に入れるクッション材。
型と強度維持が難しそうなので、高いものだそうです。
効果はある程度出るものでしょうが、
しかし、住宅110番に寄せられる騒音苦情って、
いったん、受忍限界を超えてしまってからなので、
こういう工夫だけでは、納得させられるものとも思えません。
そんなことを考えていたら、
住宅の研究組織・東北フォーラムから以下のような案内が来ました。
住まいと環境 東北フォーラム
第66回研究集会 フォーラム共催行事
橋本典久先生・日本建築学会賞受賞記念講演会
(日本建築学会東北支部60周年記念)
「集合住宅における床衝撃音性能と騒音トラブル」
橋本典久先生(八戸工業大学工学部建築工学科・教授)が
「拡散度法による床衝撃音遮断性能の予測に関する研究 」にて、
平成20年度日本建築学会賞を受賞されました。これを記念に企画された講演会です。
ご講演内容は、建築関係者だけでなく一般市民や学生向けに、
身近な集合住宅における騒音問題を取り上げていただいておりますので、
この機会に奮ってご参加いただけますよう、下記のとおりご案内申し上げます。
皆様のご参加を心からお待ちしております。
■日 時:平成20年12月5日 15:00〜17:00
■場 所:フォレスト仙台(宮城県教育会館)第1フォレストホール
(仙台市青葉区柏木1-2-45 TEL:022-271-9340)
■共 催:日本建築学会東北支部環境工学部会,
住まいと環境 東北フォーラム
■定 員:100名(申し込み先着順)
■参加費:無料
■申し込み:「騒音トラブル講演会参加申し込み」と明記の上、
参加者氏名・所属とともに下記宛にE-mailもしくはFaxにてお申し込み下さい。
住まいと環境 東北フォーラム 担当:柴田
FAX 022-221-9243 E-mail htoenv@rio.odn.ne.jp
もし興味を持たれる方は
発表を聞かれたらいかがでしょうか?
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北海道・東北の住宅雑誌[Replan(リプラン)]|家づくり・住まいの相談・会社選び
2008年10月30日
古い木造の「場の力」

美唄の小学校の廃校施設を再利用した建物。
先日来、何回か掲載していますが、
写真はそのなかの広めの部屋に彫刻が展示されている様子。
彫刻が素晴らしいのは、まったくその通りなのですが、
それ以上に、感銘を覚えるのが古い木造校舎の魅力。
大体が、どんな地域に行っても、
古い木造の大型建築、学校に行くと、こころがやすらぐ感覚を覚える。
まぁ、ほとんどのひとが感じるのは事実のようなので、
そろそろ、こういうものの復権を真剣に論議すべきなのではないかと
思われてなりません。
近代合理主義丸出しの威圧的なコンクリートと、
無節操なガラスの透明感に頼り切った空間構成はどうもいやらしい。
確かにそういう材料での空間構成を否定はしないけれど、
それはむしろ控えめに、
木質の豊かな情緒性を補強する存在であるべきではないのでしょうか?
建築って、ひとびとの暮らしを豊かにすることをめざしているもの。
その意味で、古い木造建築が持っている
「癒しの力」のようなものを早急に科学的に解明すべきではないのでしょうか。
だれが訪れても、必ず楽しくなれる空間の「力」ってすごいと思う。
鉄筋コンクリートは強い耐久性は持っているけれど、
言ってみれば「愛着の耐久性能」という部分では、
大型木造の持っているスーパーパワーにはまったく太刀打ちできない。
写真のような場では、
やはり素材に刻印される時間の経過というものが
訪れるものに、視覚や空気の臭いのようなものが一気に包んでくるのでしょう。
そういうことがらを受容するときに、
わたしたちの心が、それを圧倒的に心地よいと感じるのだと思う。
DNA的な、木という生きている素材が、
同じ生き物としての部分で、深い感受性を刺激するのだと考えられる。
木は語りはしないけれど、
多くのことを人間に訴求してくる「力」を持っているのではないか。
こういう空間にいると、
窓の外の自然の移ろいが同質性を持って感じることが出来る。
自分自身もそういう大きなものの中のひとつであるという自己認識を持てる。
きっと、こういう空間はそうした「回復力」に優れているのではないか。
こういう建物から感じるのは、そんなことのような気がします。
母方の伯父が、
函館に住んでいたのですが、「古い家がいい」と言って、
木質素地外壁の古家に住んでいたことを思い出します。
だんだんと、そういう心理になってくる年齢なのかも知れませんね(笑)。
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2008年10月24日
十勝2×4協会30周年

きのうは十勝地方の建築業者の団体
十勝2×4協会30周年の大会が開かれました。
地域独自の団体なのですが、設立から30年も続いている稀有な団体です。
毎月24日の会合と言うことで、
忘れられない日取りということから(笑)
長く続いてきたようです。
というのは冗談ですが、本当にこんなに長期に続いてきているのは
まさに会員の研鑽努力の積み重ねと言うことだと思います。
そういうことから、十勝地方では住宅の60%以上が
2×4工法が選択されてきているそうです。
寒冷地で、あたたかい住宅がなによりも求められる地域性に
こうした建築事業者の研鑽努力がマッチして
地域に受け入れられてきていると言うことを表していると思います。
そうしたことから、
日本中から建築関係者、またカナダ政府関係機関からなど
たくさんのみなさんが大会に参集されていました。
ということで、本日はこれから現場見学会がありますので、
夕方、また追記で更新したいと思います。ではのちほど。
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北海道・東北の住宅雑誌[Replan(リプラン)]|家づくり・住まいの相談・会社選び
2008年10月22日
建築家大会インスタレーション青森

仙台での建築家大会でのアピールとして
定禅寺通りの中央緑地帯で東北支部各県ごとの地域会による
「インスタレーション」が行われておりました。
インスタレーションって、
1970年代以降一般化した、絵画・彫刻・映像・写真などと並ぶ現代美術における表現手法・ジャンルの一つ。ある特定の室内や屋外などにオブジェや装置を置いて、作家の意向に沿って空間を構成し変化させ、場所や空間全体を作品として体験させる芸術。空間全体が作品であるため、鑑賞者は一点一点の作品を「鑑賞」するというより、作品に全身を囲まれて空間全体を「体験」することになる。鑑賞者がその空間を体験(見たり、聞いたり、感じたり、考えたり)する方法をどのように変化させるかを要点とする芸術手法である。
(Wikkipediaより)
ということなのですが、
まぁ、ようするに社会に対するアピールですね。
各県ごとにさまざまな展示がされていましたが、
写真は青森支部のもの。
青森といえば、ねぷたなので、ごらんのような行灯のような制作物が作られていました。
なかに入ってあいさつすると旧知の建築家Sさん。
中に仕舞い込む灯りを点けていました。
屋外でもあり、てっきり電球を採用しているのかと思いきや、
ろうそくを使って、火を点けているんです。
大丈夫なのかなぁと、心配になったのですが、
その辺は、さすがねぷたでみんな慣れているということでしょうか。
そんなお話しをしていたら、
「なので、使っているのはタイベックシートなんですよ(笑)」
っていうこと。
ふむふむ、なかなか考えていると、膝に手を打ちました。
タイベックって、住宅の外壁材と通気層のすぐ内側に張られる「防風層」の材料。
湿気は外部に向かって開放するけれど、
外部からの空気の進入は遮る働きをするもの。
なものですから、外で使用しても風の影響は少なくなるものと思われます。
建築家の社会に向かってのアピールとしては
こういう全体構成はなかなか考えられていて、いい。
デザインとしては伝統的なものをイメージさせながら、
同時に建築的な材料の意味を、優れて感じさせてくれています。
わたしのような印象を持つ人は多いだろうから、
その都度、防風層の意味を話せばいい。
こういうのって、優れて啓蒙的な展示としての意味があると思いました。
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2008年10月19日
JIA環境建築賞

きのうも建築家大会2日目。
わたしはてっきり開会式からが初日と思っていたのですが、
実は開会式前の前日から始まっていたと言うことで、
きのうは3日目なのですね。
で、きのうは前から見てみたいと考えていた
JIA環境建築賞の受賞者のプレゼンが行われていました。
3時間に、12人の受賞者の発表があり、
しかもそれに対するパネルディスカッションもあり、
最後には東北フォーラム・吉野理事長などのまとめなどもあるという
なんとも盛りだくさんで、とても消化しきれないのでは、
と思われる内容でしたが、まぁ、なんとか時間内に収まっておりました。
審査委員長の野沢正光さんの総評の中に
1800年代以降、建築は常に問題に立ち向かって来た歴史である、
そして現代の最大の問題が、
どうすれば、2050年段階でCO2排出を半減以下にすることができるのか、
というエネルギーの問題だ、という指摘がありました。
まさに言われるとおりだと思います。
そのための要素技術の蓄積があり、設備機器の進化がある。
こういうものを具体的な建築デザインとして、
いかに良い建築として作り上げていくのかが、建築家に課せられた
もっとも、今日的な課題なのだと思います。
そして、これまでどちらかといえば、
寒冷北方のテーマと思われてきたこの部分に
多くの設計者の興味が集まってきており、
温暖地域でも、いろいろな取り組みが見られてきていると言うことが
実感できてきた次第です。
断熱気密の基本技術を踏まえ、さらに自然エネルギーを活用する
さまざまな技術の組み合わせ・活用が考えられ実践されてきていると思います。
CASBEEという考え方、住宅レベルで考えているケースなんて、
ほとんどないのではないかと思っていたのですが、
認識を新たにさせられました。
また、再生利用という、建築の今日的な課題についても
実に豊かな想像力による挑戦が行われてきているようです。
なにより、多くの実践が積み重ねられてきていることが
多いに勇気づけられた次第。
会場にはさすがに、北海道からの参加者が多かったのですが、
それ以外にも、全国から会場一杯の参加者が詰めかけていました。
こういう熱気を体感できて、たいへんうれしかったです。
先日書いた「東屋」〜あずまや〜について、
読者の方から、漢字では四阿という表記が一般的だけれど、
なぜ、こういう書き方になるのか、調べてブログで書いて欲しい、
という意見が寄せられました。
わたしの使っているATOKでは、四阿も東屋も同義とされていたのですが、
確かに四阿って書き方、不思議ですよね。
ちなみにWikkipediaには、こういう情報はありませんでした。
う〜〜ん、困った。
とんだ宿題になった感じがいたします。
読者の方で、問題探求の心当たりのある方、ぜひ教えていただきたいです(笑)。
<写真は定禅寺通り〜これもきのう書き間違えました〜
での建築家大会向けのデモンストレーション>
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2008年10月17日
掘っ立ての東屋

先日書いた平取町の「義経神社」境内で
思わずシャッターを切りたくなったのが、この東屋。
用途としては清めの手水所で、竜の蛇口から水が流れておりまして、
なかなか立派なんです。
流水を受ける流し台は岩をくりぬいたようなんですね。
こういうしつらいは、
「お、なかなか、いけるじゃんか!」っていうところ。
で、外観全体もなんともいけているのです。
柱は、地面からそのまま生えているような掘っ立て柱。
それも自然木の皮を剥いだままの木材を使用しているので、
垂直といっても、寸法はきっちりと決まってはいない。
掘っ立てって、技術的には単純なだけにすごく難しいもの。
わが社でも、外部に古電柱の照明を連続させたときにその工事を見たのですが、
三内丸山遺跡以来、っていうような縄文から続くであろうような
技術伝統をかいま見せてくれる工法なんですね。
それに梁を渡して、屋根組みしていますが、
屋根もなんと、茅葺き。
すべて自然素材の質感そのまま、屋根からは青々とした草も見えている。
っていうようなたたずまいの空間が、境内の森の一隅に
つつましやかに建っている・・・。
ふむふむ、なかなかにいい仕事、していますなぁ
(なんでも鑑定団ふうのため息)
という感想を持った次第であります(笑)。
本体の神社自体は、あまり歴史的な由緒に価値はないのではと思われましたが、
どっこい、こっちのほうは、一見の価値がある。
むしろこういうところにこそ、日本的な美的感覚のエッセンスがある。
どっちかというと、自然の木をそのままそこにおいて、
しかも建築的機能を果たしていますよ、というような感覚でしょうか。
岩も、ごく普通にある岩が、よく見ると手洗いシンクになっていますよ、
というようなさりげなさを装うデザインマインド。
ちょうど西洋式の庭園がこれでもかと人工的に作るのに対して
日本の庭園が、ひたすら自然な表現を心がけているのに通底している。
残念なのは、仰々しく立て札が置かれてあって
なにやらこれ見よがし風に読ませられそうな点。
ここまでさりげなく作っているのなら、それを貫徹して欲しかった(笑)。
でもまぁ、許してあげたいところです。
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2008年10月16日
トイレのバリアフリー

先日見学に行った現場公開での写真。
トイレの手すりの面白い製品が取り付けられておりました。
うねうねと折れ曲がっていて、色もなんとも鮮やか。
強烈な印象なんですが、
黄色って、毎日見ていると、そう強烈感は持続しない色。
だんだん馴染んできて、思ったよりも落ち着きはある色だと感じています。
あ、わが家でも家の真ん中にあるらせん階段を黄色く塗っているんですよ。
ちなみに風水では黄色って、金運を呼ぶ色とかで、
カミさんから聞いて以来、黄色を好きになるように自己暗示をかけ続けている
一般的大衆のごく一部分がわたくしであります(笑)。
ってまぁ、色はおいといて、
人間工学を考えたと言うことで、複雑な形状になっていますね。
たぶん、よっこいしょっというひと動作ごとに
過不足なく、体を支える働きをするものと理解されます。
以前はこういう装置について、
イマイチ、現実感をもてなかったのですが、
だんだん、高齢化がわたし自身の肉体にも影響が現れてきているので、
このような手すりとか、現実感が高くなってきています。
そういえば、文字の大きさというのも、
ちょっと前まではほとんど気にしていなかったのですが、
たとえば名詞などで、英文のメールアドレスなどは
ほとんど解読不能になってしまっています。
デザイナーとかに注文するのですが、
かれらはどうしても全体のバランス感覚を優先してくるので、
機能要素のような、文字のベタな伝達性優先という考え方は基本的にしない。
でも、高齢化の時代、バリアフリーということは
デザインの分野でも大変重要なテーマだと思います。
それとして、でかくしました、っていうようなレベルではなく、
わかりやすさという根本的なテーマをしっかり追求して欲しいものだと考えます。
若い世代でも、高齢世代でも誰にもわかりやすい、ということが重要。
そういう意味ではこうした手すり、
毎日使い続ける中で、使い勝手優先で考えられている感じがします。
目に鮮やかな色合いも、そう考えると納得もできる。
まぁ、考え方はいろいろにできるとは思いますが、
生活上のわかりやすさ優先のひとつの形ではあると思いますね。
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2008年10月15日
暖房の未来形

写真は北総研の方の講演時のスライドから。
暖房用エネルギーといっているけれど、
住宅の性能が向上していくと、生活廃熱と太陽日射の割合が高くなってくる。
熱損失係数が1.0あたりからは
暖房用負荷としても、そっちのほうが大きい割合になってくる。
これは北海道でのことなので、
だとえば東京くらいだと、
暖房はゼロエネルギーっていうようになってくる。
北海道内でいま建築中の「北方型住宅ECO」は、換気の条件抜きで
熱損失係数1,3を性能要件としているので、
もし、第1種換気を装置した場合には1,0くらいが相当するレベル。
この写真で見る○をしたくらいのエネルギー構成になるのですね。
この場合は、生活廃熱と日射熱を足した方が
暖房専用エネルギーを上回ってくるという結果になる。
このレベルの住宅が、ことし一気に123棟も建設されているのです。
たしかにこれまでも先進的なビルダーは
ごく標準的にこういうレベルの住宅を建ててきたのですが、
そういう住宅がひとつの住宅運動として大量に一気に市場に公開される意義は高い。
こういう住宅になってくると、
暖房というものが、もっと意味合いが変化してくるような気がします。
いまは、補助暖房的に使われている薪ストーブですが、
性能が低い住宅では確かに「補助」としてしか考えられないけれど、
人間がコントロールできて、しかも
精神的にも高い癒しを提供してくれるものとして
場合によっては、主暖房の位置を占めてくるかも知れない。
環境問題で考えても、薪のような熱源は再生可能エネルギーとされているのです。
そのほかの暖房装置も十分に可能性検討が可能になってくると思います。
そしてその場合、性能要件的なものよりも
もっと、精神性を豊かにさせる方向に向いていく気がします。
同じ機能を果たしても、形態や見え方がまったく従来とは違うものになっていくとか。
そういう変化って、たぶん、北方圏生活デザインとして
本州以南地域に売り込んでいくことが可能なのではないかと思われます。
おおいに進化していって欲しいものだと念願しますね。
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北海道・東北の住宅雑誌[Replan(リプラン)]|家づくり・住まいの相談・会社選び
2008年10月11日
エントランスの表情

今度、わたしのカミさんがテレビに出ることになって、
って、フジテレビ系列のローカルのUHBで、
15日の朝の「トークで北海道」というのですが、
そこで「出演者のお宅は?」ということで、
写真だけですが、どうもわが家の様子を写すのだそうです。
そんなことで、パソコンの中をガサゴソ、探してみた次第。
検索技術は進化していて、確かに便利なんですが、
やはりというか、案の定というか、
人間の方の記憶がはるかにいい加減なので、
目的の写真に付けた「名前」に統一性がないので、探し出せない。
ようやく見つけ出せたのが、リフォーム前の懐かしい写真。
その中の1枚がこれです。
その後、増改築したので現在はこういう雰囲気ではありません。
改造して一番残念だったのが、このエントランスの雰囲気だったんです。
木製のパーゴラでシンボルツリーからの動線を受け止める、
そういうやわらかい引き込み方が好きだったんです(涙)。
住宅って、そこのなかでの機能性が一番大切ではありますが、
そこにいたるまでの演出というのも、やはり印象のなかで大きい。
四季折々、また一日の光の移ろいなど、
刻々と変化していくエントランスの表情が、見るものに
「あの家、なかはどうなっているのかなぁ・・・」
という興味を起こさせ、表情も和ませていくものではないでしょうか?
記憶って、過去は美しくしか残っていかないとは言いますが(笑)
この建物への来訪者のみなさんの表情の中に
ある種の、やすらぎとか、ゆとりとかが感じられたように思い出します。
なかなか、予算がきびしくて
家づくりではお金が回っていかない部分ではあると思いますが、
やはり、外部に対して豊かな表情を作り出して、
地域の景観に参加しているという意識も芽生えてくるものなのではないかと思います。
さて、本日も当社2階では
たかたのりこさんの展覧会が開催中です。
スライド上映のセットアップをしたのですが、
やはり、美しい絵はひとをなごませます。
日曜日12日までですので、ぜひ足をお運びください。
詳細はきのうのブログでご確認ください。
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2008年10月06日
アイヌの家・チセ

二風谷の探訪編2です。
民俗資料館周辺には多くのアイヌの家・チセが展示されています。
写真左側のような住宅です。
間取り的には1間だけですが、ほぼ一定に前室というか、
機能的には「風除室」と言える入り口空間があります。
たぶん、冬場の風向きを考えて入り口の方向は設定されているものと推定されます。
そんなチセのなかに一軒だけ、
布製品を作っている方がいましたので、いろいろお話を伺いました。
こちらは住宅関係なので、必然的に作り方のことに質問が及びました。
まず、アイヌの人たちは結婚を契機としてチセをつくるということ。
それも、大部分は婿のところに嫁が来て、
婿の実家の近くに新築するのだそうです。
婿の側では、新築するのに必要な建築材料を揃えることが必要。
建築プロセスを資料館ではビデオで見ることができましたが、
基本構造は掘っ立て柱を四隅などに立てることからはじまります。
地中に1m近い穴を穿って、そこに周辺で伐採した柱材をしっかり固定する。
次にこの柱に横架材を架けていって、基本構造を作る。
そこに三脚状に組み上げた「柔軟なトラス」ともいえる屋根の構造材を立てる。
これが前と後ろに2つ立てられる。
これをつなぐように、棟木が架けられる。
簡単に言って、こんなプロセスで構造が形作られる。
すべてが周辺の山に入って伐採してくる木材ばかり。
その意味では、労力だけでしつらえられる。
一方で、基本建材になるのは写真右側の「茅」。
壁も、屋根も茅で造作されています。
注意してみると、それらが結束されている。
「茅を切って、一定の束にするのは女の仕事なんです」
と、布製品を作っている女性から聞きました。
彼女は、この茅束作りが得意だったのだそうです。
コタンの周辺には茅の自生場所が確保されていて、
家づくりのための材料を協同で確保していたのですね。
「いまはお馬さんたちの牧場になってしまっています(笑)」
この茅束作り、熟練者で1日にできるのは30束ほどだそうです。
家1軒分には、700束ほどの量が必要と言うこと。
で、こういう茅束を使って、
「縫い物を作るように・・・」
構造材の骨組みをくるんでいくように造作していくのだそうです。
茅束ごと、あるいは四隅など雨仕舞いで慎重な場所では束をほぐしたりしながら
この茅束で家をくるんでいくわけです。
で、構造の骨木材に対して、縄やなめした柔らかい木などで
ちょうど茅束の布を,糸で縫うようにして結束していくのです。
本当に縫い針のような用途の大きな木製針も見せていただきました。
屋根は「段葺き」という造作がされていました。
雨への防水対策で、雨漏りしないように工夫されていました。
壁を先に仕上げて、屋根は軒側から順に上に向かって仕上げていくようです。
地震などへの耐力は、聞いていて、かなりの柔構造なので
「どんな地震にもビクともしません」ということ。
建築の最後には屋根にたくさんの人が登って作業することになるので、
自然に建物が「締まってくる」という効果もあって、
完成の時には、凛とした状態になるのだそうです。
たいへん理にかなった作り方だと感心させられます。
茅は中空の素材なので、内部に空気を保持しているので、
一定の断熱性能はあったものと推測できます。
というか、自然素材の中で、もっとも適合した材料ということが出来ます。
以上のような基本建築費用を考えてみると、
構造材などは建て主の基本労務で集めてくることができる。
茅束を計算すると、熟練者で25日くらいあれば作ることができる。
これを1日人工で計算すると、15000円×25日で、375.000円程度。
こうした材料を、建て主が建築場所に用意しておくと、
あとは日を決めて、集落全体の労力で建築工事にかかるのだそうです。
聞き取った工事内容で考えると、10人程度で10日もあればできそうに思えます。
これも15,000円×100で、1,500,000円程度と考えられる。
その他の結束材などを勘案しても、総工費2,500,000円程度でしょう。
まぁ、人工の計算で大きく違ってはくることでしょうが・・・。
いずれにせよ、当たり前ですが、このような自然素材だけで造作されているのですね。
内部には、大きな炉が作られています。
東北地方の古民家と比較してもかなり大きめであるのは、当然か。
明かり取りと、宗教的な意味合いからかならず窓が何カ所か開けられます。
建具は蓋状のものが考えられています。
確かに冬はきびしい暮らしだけれど、暖房すると、
その輻射熱で、かなりあたたかくは感じていたということでした。
家づくりの知恵の深さにしばし、感嘆していた次第です。
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北海道・東北の住宅雑誌[Replan(リプラン)]|家づくり・住まいの相談・会社選び
2008年10月02日
雨仕舞いと換気

写真は、ここんとこ続いている余市の旧漁家の食料庫。
大人数が生活していくためのコメとか、味噌とかの食品蔵なんです。
現代の住宅では、換気は義務化されていますが、
昔の建物は基本的にスカスカの空気流動の大きい建物が一般的。
そういうなかでも、とくにこういう食品庫の場合は
さらにそういう要素を求めている仕様。
立地的にはこの施設の敷地内で、一番高台に配置されています。
津波などがきたとしても、一番被害が少なそうな位置。
で、建物として特徴的なのは、
雨仕舞いの重厚さ。
雪のことを考えると、屋根の軒の出は
やや少なめにした方が、積雪荷重、端部への雪氷の付着から雪庇から
守ることができると思われるのですが、
その分、太い材を使用してがっしりとした屋根を構成して、
しっかりと軒を出しています。
前面の犬走り(小石の敷き込まれた空間)も幅広くなっています。
その上、出入り口にも小屋がけされていて、
入念に雨仕舞いへの配慮がされています。
軒の出が大きいので、冬期の積雪も建物からやや後退距離が保てそうです。
まぁ、余市は風は強いけれど、海に面しているので
積雪量自体はそう、多くはないところではありますが・・・。
空気流動を建物内に呼び込む工夫として
床高が高くなっています。
見ての通り、4段ほどの階段が架けられているほど、床が上がっています。
このように作ることで、床下空間がたっぷり確保されます。
床を構成する構造材も太い材が使用され、
それらの作り出す格子が大きな開口部を見せています。
そのように建物内部に導入された空気が
小屋上の換気口が見えていますが、
そこから上昇気流で廃棄されていく仕掛けが見えます。
食品などの保存としては、高床式倉庫という
日本的、というか普遍的な伝統技術が踏襲されていると感じます。
あとは食品庫としては、
ネズミなどの食害への対策が考えられていました。
いずれにせよ、理にかなった建て方がシンプルに反映していると思いました。
さて、きのうはおかげさまで、
北海道日本ハムファイターズ、めでたくクライマックスシリーズ進出が決まりました。
2位通過はできませんでしたが、
スカッとした大量得点勝利プラス豪華投手リレーでの完封勝利。
最後の最後で、こういう勝ち方をしてくれるのは、
選手たちの集中力の賜物でしょう。
札幌に移転してきてくれてから、これで4度目の進出です。
ことしは苦しい戦いが続きましたが、
やはり底力が付いてきているのかも知れませんね。
これで10月もまだ、野球を応援できる幸せをいただけました。
他チームファンのみなさんには申しわけありませんが、
なんとか勝ち抜いて、ふたたび札幌ドームにチームが帰ってきて欲しい!
そんなように夢想を大きく持って、応援していきます。
頑張れ、北海道日本ハムファイターズ!!
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2008年10月01日
ニシン漁場の蔵入り口

北海道の歴史って、日本海側に点在する「ニシン漁場・場所」の建築物などが
建築としては、かろうじて残っているものでしょう。
まぁ、高々200年程度さかのぼれるくらいのものです。
そうしたなかで、ニシン漁というものがどれほどのものだったか、
いろいろ実感させられる資料もありますね。
写真は、そういう漁場主の持っていた富の収納庫、蔵の入り口。
漆喰で塗り固められた外壁なのですが、
入り口は、これでもかという重厚さがみられます。
まず一番内側には、通風を確保させるための網入りの引き戸。
次に外壁と同様に防火性を考えたであろう漆喰で仕上げられた引き戸があります。
その上に、観音開き状の重厚な木製建具が大きな蝶番によって据え付けられています。
この木製建具、自重がどれくらいあるのか、
相当な重量感があります。
もちろん、大人の男性数人でなければかないそうもない感じ。
そして、その建具の密閉性を高めるために、
建物の側に枠が造作されていますが、
5重の段差が付けられています。
それも漆喰で丹念に形作られています。
開口部の下部分には、軟石が据えられています。
万が一の水の進入に対しての配慮で、石は敷居の高さが高い。
一方、建具の側の造作も、枠にぴったり合うように
丹念に造作されています。
締めるときには、こうした段差がぴったりと組み合わさって、
気密性が高く内部を保護するようになっていたものと思います。
鍵も、何重にも厳重に架けられるようになっていました。
現代のような既製品がない時代、
このような開口部とそれを閉める建具は、
ひとつひとつ、手作りで、用途を考えながら、
最善の手段を尽くして、内部の富を守るように作られた様子が手に取るようです。
まぁ、この工事ぶりを見学するだけでも価値がありますね。
この部分だけの工事費用、かかる日数を考えただけでも
再現することは困難でしょうね。
ここまでの大工事を尽くしてまで、
守りたかった富の集積が、ここには存在したということ。
この家は、明治期を迎えて地元に銀行まで創ったということですから、
推して知るべしと言うことでしょう。
ただし、北海道でニシンなどの収奪型産業を経営していたひとたちは
その好景気が去った後には、そこで蓄積した資本を
ほとんどが横浜などの貿易関係に移転させていったケースが多いのだそうです。
明治初期の国を挙げての北海道開拓が急速に熱が冷め、
その後、財閥系に土地そのものがほとんどタダ同然で払い下げられていった。
今日でも北海道の森林はそういう所有が多いと言われています。
そもそも、この漁家のような「場所請負」的な漁場所有形式そのものも
権力との結びつきによる権利獲得プロセスだったのだと思います。
まぁ、いろいろな事柄を残影のように教えてくれる建築だと思います。
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2008年09月26日
木製の外壁保護装置

余市の福原漁場の続きです。
写真は、主屋の隣りに建っている蔵です。
一見すると、外壁には木が使われているように見えます。
てっきりそうなのか、と思っていたのですが、
それにしては、ところどころ、様子がわからない仕掛けのようなものが見える。
あれはいったい何なのだろう、という疑問が起こります。
そんな疑問を抱えたまま、ボランティアの方の説明を聞き、
内部を見学して、これが総漆喰の壁面だったということを聞いた次第。
日本では海辺に面した倉庫建築として、
漆喰の外壁の蔵というのはよく目にする風景。
それと同様な作りのものなんだそうです。
ところが、北海道では冬場の気候条件が厳しく、
漆喰の壁は劣化が激しく進行する。
その劣化から外壁を保護するための木造のヨロイのような装置が
外壁全体を覆っていたのですね。
しかも、春になったらそのヨロイを外して、本来の漆喰の白壁を
表すように仕掛けられていて、ようするにコートを着たり、脱いだりするのですね!
ところどころ、仕掛けがしてあるのは、
着脱のための装置の結節点ということなんだそうです。
そういう着脱装置、まぁ、よく考えたというか、
よくもまぁ、ちょうどよく保護できるように工夫したものだと感心させられました。
この着脱壁の付け替えの時にも
ひょっとすると、大工さんの手間工事が必要なのではないかと思えます。
素人だけで、この3階建ての建築の外皮着脱が可能とは思えません。
この装置を見て、北海道の自然条件の厳しさと、
ここまでして、夏期の間の日本的景観を優先させるのか、という2つの感想を持ちます。
蔵には、この漁場による利益のすべてが収納されるわけで、
そういう建築に対しての執着のすごさも感じますね。
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2008年09月25日
薪風呂

きのう紹介した余市・福原漁場主屋の風呂の様子。
これは室内にこしらえられた主人とその家族用の造作風呂。
造作は明治年代のものだと思われます。
薪のストーブ状の装置に対して、
鋳物の蓄熱層があって、それが浴槽の水を加熱するという仕組み。
高温になる鋳物表面が浴槽側から肌に触れないように
板の仕切りで、区分けされています。
湯加減を見ながら、薪を調整していったのでしょう。
薪ストーブ的な部分には表面に鉄板が張られていますから、
けっこうな造作品だと思われます。
また、鉄板で煙突も出しているのでかなり本格的な作り。
なんですが、冬の期間のことを考えたら、ぞっとする風呂。
気密は取れていない建物ですから
室内で直接、火をたけばその分の燃焼に必要な空気は入り込んでくる。
ようするに隙間風は相当に入り込んできてしまう。
たしかに湯の中で体は温まるけれど、
容易に浴槽外でからだを洗うことはできなかったでしょう(笑)。
なんといっても真冬には当然零下20度くらいの世界。
たぶん、日のある日中に使用したのではないかと思います。
それ以外の時間に、っていうか、冬の夜にはちょっと難しかったでしょう。
まぁ、わたしなんかの世代でも、冬に室内の風呂に入るときは
気合いを入れて、手短かに体を洗っていた記憶を持っています。
春から秋にかけての時期にこの建物には
多くの出稼ぎ人たちがいましたが、
彼ら用には、主屋から離れた屋外の小川のたもとに
五右衛門風呂を置いて、使わせていたという説明でした。
冬期間はかれらはここにはいないわけですから、
冬の風呂というのは考えなくてもいい。
まぁ、子どもの学校のこともあるでしょうから、
主人家族はここで冬も生活していたのでしょう。
さて、冬場にはどんな入浴であったのか、想像するしかありませんね。
冬のことを考えたら室内で風呂を使いたいけれど、
そうするといろいろな問題が出てくる。
幼い頃のわが家でも、室内に据えて炊きあげた五右衛門風呂が、
翌朝になったら、湯が氷になっていた、というのは日常茶飯な風景。
そのうえ、結露が酷く集中するのは理の当然なので、
風呂まわりの木材は、ほぼ間違いなく腐ってしまう・・・。
そんなことから、北海道では「地元」のユニットバスメーカーというのが繁盛したのです。
そういういろいろな思いが交錯する写真です。
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2008年09月24日
ニシン漁場の食卓

最近は北海道内でも、歴史的な建築物の保護再生が進んでいるようですね。
きのうご紹介したような、北海道開拓記念館の活動などが
そうした動きを支えているように思います。
きのうも、小樽の奥の余市にカミさんと出かけてきまして、
いろいろ歴史的な建築物などを見学してきました。
カミさんとこうして出かけられるのはありがたいと思っています。
で、写真は江戸期の「ニシン漁場」内部の様子です。
ニシン漁には、日本海側の東北北陸から多くの出稼ぎ労働力が動員されました。
そういう住み込み労働者に対して、給仕された食堂の様子。
とはいっても、専用に膳を用意するのではなく、
ここでは、床下にごらんのような椅子を据え付けてあって、
その上に普段は架けている床板を外すと、
そのまま、食堂に早変わりして、しかもその床板がそのまま、
食卓テーブルに変身するように工夫されていました。
まるで、ビフォーアフターみたいな仕掛け。
実際に椅子に座ってみると、なんとも寸法がぴったりで、
座り心地も考えられ、しかも食卓までの距離感も過不足がありません。
その上、食卓の高さも床板テーブルの嵩上げ分で、まことにちょうどいい。
椅子の座り幅も極限的に考えられていると感じる幅です。
これ以上狭ければ、用をなさないだろう、ギリギリの寸法。
こうした建築は、日本の作事の伝統の中の寸法感覚という部分の
精妙さをはっきりと認識させてくれます。
まぁ、実用と建築費用との見合いで、
このような部分こそ、徹底的な研究開発がされていたことだろうと推測されます。
とくに、この建築は施主としての漁場主の経済と、
労働力確保のための他漁場との競争の大きな部分でもあったろうと考えられます。
北海道開拓の村に移築保存された「青山漁家」では
「メシはいくら食ってもタダ」というのが、
優良な労働力確保競争の決め手だったということなんです。
そんな経済の流れの中で、このような建築にも反映されている部分。
心地よさというものと、建築寸法などの接点が明瞭に見えます。
きのうは見学にあたって、ガイドさんが懇切ていねいに説明をしていただけました。
いろいろな部分で大変勉強にもなった次第です。
建築は結局、その時代その時代の可能な材料を使って
用と予算のせめぎ合いの中で、工夫を重ねるもの。
先人の建築はさまざまなことを教えてくれていると感じます。
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2008年09月21日
芝屋根のレストラン

最近、北海道は気温が高い状態が続いている気がします。
もう9月の20日だというのに、日中汗ばむばかりの陽気と日射し。
とくに日射はきつくて、きのうは外で浴びることが多かったせいか、
皮膚に炎症感が起きているほどです。
どうもわたしは、日焼けに弱いタチのようなのですが、
それにしても、「まるで、海水浴帰りの日射しだね」というカミさんの言葉通り。
そんななか、日射しに誘われて、近場を散策。
前から気になっていた、恵庭の「えこりん」というところに行ってきました。
ここは「アレフ」というレストランを経営している会社が
エコロジー風テーマパーク的に作っているモノ。
恵庭の高速を降りてすぐ近くに羊の放牧などを行って
のんびりとした野遊びの場を作っています。
さすがに好天に恵まれて、そこそこのクルマが止まっていました。
わたしたちは、雑誌で見ていた芝屋根のレストランでの食事が目的。
名前は「天満食堂」ということだそうです。
羊さんの放牧が、目にも楽しい施設なのですが、
悲しい人間の性、その羊の料理をウリにしていて、
雑誌の写真で、食べたい、となった次第なのですね(笑)。
以前、阿寒湖の近くにシカ肉料理の店で「バンビ食堂」というのもありましたが・・・。
そういう食欲の他に、
やはり芝屋根の建物というのを見てみたいという欲求ももちろん。
写真の通りの様子でした。
室内も、計算された質朴さ、という雰囲気。
中世ヨーロッパ的なインテリアの雰囲気で統一されていました。
窓も、木の株の真ん中をくりぬいた枠に、窓ガラスを合わせている、というもの。
ただし、不定形の形状に建築工事の方がついて行けずに、
ディテールではコーキングでの荒技(笑)が目立っておりましたけれど。
でもまぁ、室内の暖冷房は地中熱ヒートポンプを採用したり、
補助暖房装置として、暖炉が据えられたりと、
楽しい雰囲気満載でございました。
で、一方、料理の方は羊料理、
おいしかったです。自然な風合いで味わいも風味豊か。
なのですが、お値段は残念ながらちょっと高め。
羊料理を楽しみに行ったので、もうすこし低料金にしてくれたら・・・と
思われる値段でしたね。
たぶん、食材などにこだわって吟味しての結果なのでしょうが、
こどもが楽しめるテーマパーク的なところなので、
家族一緒に食べるとなると、一回で10000円以上という価格では、
気軽には食べられないのではないかと思われます。
長沼町のジンギスカンだと、まぁ、半額以下だなぁ、というのが実感。
食事後、建物外周からいろいろ写真を撮っていました。
やはり芝屋根って、楽しいですね。
周囲の緑と溶け込んでいるので、建物を見つけるのが難しいほど(笑)。
まぁ、たまに行くなら、っていうところでしょうか?
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2008年09月20日
築地塀

写真は東京芝増上寺の築地塀です。
築地塀って、上等の建築区画を一般世間から画する装置。
古代の東北地方の城柵では、権力の象徴として
整然とした直線の築地塀が結界として使用されていました。
というようなものですが、
さすがは増上寺、徳川氏が江戸に入城して結局、菩提寺の地位を獲得したことで、
大繁栄することになって、権力を誇る築地塀にも格式が表れている。
築地塀(ついじべい)とは泥土をつき固めて作った塀。単に「築地」(ついじ)ともいう。石垣の基礎に柱を立てて貫を通した骨組みを木枠で挟み、そこに練り土を入れて棒でつき固める「版築」という方法で作られる物が多い。塀の上には簡便な小屋組を設け、瓦や板などで葺いたものが多く見られる。古くより貴族の邸宅や寺院、官舎などに見られ、現在でも御所や寺院などで見られる。(Wikkipediaより)
という一般的な工法ではないように、この築地塀は感じられます。
なにより、平版のような石が土の中にサンドイッチされている。
っていうか、見た目では平版を積み重ねたように感じる。
その石も、やはり立派そうな石なので、
やっぱり、その富や繁栄ぶりを表現する意匠性にこだわったものでしょう。
そうした建築工法で作られているので、
高い耐久性を誇っているものと思います。
頂部には小屋も架けられていて、雨による劣化に対しても防御されている。
戦争での被害はなかったのか、わかりませんが、
作られようをみていると、相当の長期間使用に耐えられそうな作りです。
デザイン的に見ると、
礎石のゆがみが、そのまま表現されていて、アクセントになっていて
まぁ、飽きることがない印象ですね。
また、微妙な苔むした色合いも楽しくて、変化にも富んでいると思います。
英語圏では、家の中の壁も、このような区画用の塀も
WALLという同一言語が当てられるそうですが、
そう考えると、日本では木造で建てられる建築の方は壁、というようではなく、
むしろ、西洋的な意味合いのWALLというのは、
このような塀を意味することの方が大きいのではないかと感じますね。
このあたり、日本的ということのなにごとかが
表現されているようにも思います。
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2008年09月12日
優美な円窓

写真は五所川原で取材した住宅の内部のようす。
和風住宅の内部なのですが、玄関から主屋側がやや段差を持っており、
手すりのある5段ほどの階段を上ると、
長く広い廊下がつながっており、その手前左手にこの円窓がしつらえられている。
円窓って、まずは外部側に建具をこしらえる。
そこに障子を嵌め込み、明かり取りの用途を果たすように仕掛ける。
雨のことを考えれば、雨戸もその外側に造作しなければならない。
そうした保守管理のしやすさも考慮した設計が求められる。
で、塗り壁造作の竹木舞といわれる工程で、
円窓の大きさ、デザインに合わせて下地の作り方を工夫する。
この窓では、竹の組み上げにもデザイン的なポイントが感じられる。
細めの竹を2本組み合わせで使って、
繊細な感じを出しながら、強度的にも持つように考えられている。
その上で、塗り壁工事が左官屋さんの手で仕上げられていく。
まずは円窓の形状に十分に注意を払いながら、
エッジ部分の仕上げには、相当に丹念な手仕事が要求される。
きっと、職人さんの技量が決定的に試されるような仕事なんでしょうね。
鑑定団ではありませんが、「いい仕事していますね」(笑)、という部分。
一方で、障子の側にも桟の仕上げで実に優美なデザインが施されています。
一見すると、不規則性のデザインで、
竹木舞との陰影が生み出す軽やかさは、なんともいえない雰囲気が感じられる。
こういう円窓が、緑の中間色の壁の色合いの中に浮かんでいます。
壁も塗り壁なので、陰影感にまろやかさがあって、
竹や障子の桟の線の造形感との対比が、実に豊かさを感じさせてくれる。
こういうプロセスを創造してみると、
建築職人さんたちの集団的造形作業による「作品」という世界になります。
「和」の世界とか、よく言うけれど、
このように考えると、本当に言葉そのまま、
というような気がしてきますね。
ただ、壁下部が塗り壁ではなく、板壁になっているのがどうも解せない。
用を考えてこのようにしたものかどうか、不明。
でもイマイチ、不釣り合いな印象を持ってしまいます。
古い建築なので、何回かの改装を経験してきて、
本来のかたちからずれてきた結果なのかも知れません。
みごとで繊細な感覚の円窓とはやや似合っていないとは言えると思います。
あるいは、円窓の構造に関わっての必要部分なのでしょうか。
しかし、そういう点はあっても、
こういう雰囲気のある佇まいを演出する、円窓の素晴らしさは決して損なわれていない。
玄関からの導線のなかの最大の結界ポイントとして
こういう仕掛けを考えて活かしてきた日本の建築手法。
やっぱりすごいですね。
しばらく、この雰囲気の中に包まれていたいものだと、思った次第です。
また、こういうの、若い年代のみなさんはどう思われるものかなぁ、
ということも、頭をよぎりますね。どうなのかなぁ?
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2008年09月10日
玄関への採光と屋根

きのう触れた住宅の続きの写真です。
玄関側の外観の様子なんです。
とくに屋根の形状がずいぶん変わった形になっていますね。
妻入りの玄関ですから茅葺きの屋根が下がってきて
ふつうは雨とかに対して、室内を守るように
屋根はほかの開口させない部分と同様にそろった軒先を見せるのが一般的。
そうでなければ、小屋根を造作して玄関部分を保護するようにする。
ここでは、そのどちらでもなく、
ほとんど見たことのないような仕上げを行っているわけです。
推測してみると、たぶんは「採光」を考えて
茅葺き屋根を後退させて切り上げていって、
玄関前の空間に見える「障子窓」を造作した、ということでしょうか?
その結果、雨への防水の関係上、
玄関先に独立的な庇を造作せざるを得なかった。
しかし、それでも左右の半端に切り上げられた部分はどういうことなのか、
あんまりうまく説明はできない。
でも、こっちも壁上部に格子窓がしつらえられているので、
採光を考えてのことだろうことは、確かな感じです。
真ん中部分との調和を考えて、段階的な屋根ラインとしたのかも知れませんね。
まぁ、全体としてのバランスは失われてはいないので
デザインとしては、まぁちょっと変わっているなぁ、程度の仕上げだと思います。
茅葺き屋根の決定的な問題点はとにかく採光なんですね。
西洋近代の建築が日本に導入されて一番変わったのは
窓にガラスが使われていた、ということの驚きだったのだろうと思います。
こういうガラス窓が、住宅のような一般的レベルで使用されるという
西欧社会の産業振興ぶりが、圧倒的な現実として認識されて
徹底的な受容という日本社会の結論に至ったのでしょうね。
古民家の改修では、まず第1に屋根面に窓が開けられるケースが多い。
生活していて、最大の問題点が採光が足りない、ということなんですね。
この家の場合、そういう条件に対して、
さまざまな可能な範囲の挑戦を行っていたということなのでしょう。
確かに変わった仕上げではあるのですが、
しかし、全体のバランスを著しく壊しているとまでは言えないし、
そこそこ調和も取れている。
いにしえの人々も、住宅の「性能とデザイン」せめぎ合いの中で
いろいろな工夫をしていたんだなぁって、気付かされる住宅でした。
きのうから東京に出張しておりますが、
さすが9月。日中は日射しがきついけれど、
夕方や朝方など、肌寒いくらいな気候に落ち着いてきていますね。
いろいろ天候不順な気候が続いた夏も終わりを迎えてきている感じですね。
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北海道・東北の住宅雑誌[Replan(リプラン)]|家づくり・住まいの相談・会社選び
2008年09月09日
津軽古民家の迎え松

写真は五所川原市内にある古民家の様子。
最近は、地元の古民家の保存を大体、行っていて、
どの街に行っても、そこそこ見学できる古民家があるのではないかと思います。
この家は、旧平山家住宅ということで、重要文化財の指定を受けています。
重要文化財(じゅうようぶんかざい)とは日本に所在する建造物、美術工芸品等の有形文化財のうち、文化史的・学術的に特に重要なものとして文化財保護法に基づき日本国政府(文部科学大臣)が指定した文化財を指す。
ということなので、津軽北部地域の民家様式をつたえていくのに
最適な建築と認定されているものです。
上層農民の住まいとして、藩の信任も厚かったことから、
とくに格式として長屋門が許されていて、
きのう触れた「玄関」もしっかり表玄関が立派にしつらえられています。
こういう表玄関は、普段は使用されることはなく、
賓客が訪問してきたときにだけ迎え入れる場所になるのです。
写真はそっちのほうではない、普段使いの土間玄関の方を撮影したものです。
こっちも玄関の上の屋根に特徴があり、
ちょっと見たことがないような屋根形状になっていました。
複雑な開口形態で、あとで調べてみたいと思いました。
きょうは、その玄関前に植え込まれている松、
よく「迎え松」といわれる松の役割が見て取れた気がした写真です。
普通、迎え松って、もっと玄関位置からは離れて、ちょうど門の位置にあるのが一般的。
それに対して、非常に玄関に近い位置に植え込まれている印象を持ちます。
訪問したのは、日中昼前後でしたが、
この時期の太陽角度に対して、ちょうど玄関が遮光されている様子が明瞭。
普段多くの人間が使う場所なので、
機能性を考えて、植え込む位置をよく考えて立てられたものと思われます。
実際に玄関周辺は、ほっとする清涼感の空気が感じられ、
用のデザインというものを感じさせてくれました。
同時に津軽という土地柄を考えると、冬には防雪というような意味合いも
大きいのだろうな、とも感じますね。
っていうか、玄関にここまで近接しているのは、
むしろそっちの方の意味合いが強いという方が正しいと思われますね。
五所川原のみなさんに気候の特徴を尋ねると、
異口同音に、冬の横殴り、いや地面から、下から吹き上げてくる吹雪をあげます。
そういう冬のブリザードから、建物と外界との安心できる結界としての
玄関空間を守っているのが、この迎え松である、ということだと思います。
小さなディテールだけれど、実用的で、暮らしぶりが伝わってくる
と思われた次第です。
同じ雪国人として、すぐにいろいろな想像力が掻き立てられる。
北海道の人間には、やはりマザーを感じざるを得ない部分があります。
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2008年08月28日
木炭のボード建材

先日の北総研の研究発表から。
地場の材料で面白い建築材料に利用できないか、という
いかにも北総研らしい研究だったのが、こうした取り組みでしょうか。
共同研究対象は北海道下川町とのもの。
下川町って、リプランでもその動きを伝えていますが、
地場の木材を有効利用することに熱心な取り組みを行っています。
今回研究発表されていたのは、豊富にあるカラマツを使って
それを炭化させて木炭にして、しかも一般的に使いやすいボード状に加工し、
内装建材に利用して貰おうというもの。
そのための基礎的な研究を北総研と組んでやっているのですね。
木炭なので、最近話題になっている室内のVOCなどを吸着する性能が期待できます。
炭化の度合いのコントロールで
構造強度などの性能を犠牲にすることなく
建材として利用できないか、というものでした。
基本的な研究課題として
1 既往の製造方法による木炭ボード
2 準不燃性能の付与
3 強度の向上。配合
4 比重の低減・配合決定・コスト検討・工程の確立
5 表層処理
6 施工方法・使用部位の検討
7 各種物性の再評価
などのポイントが上げられていました。
逆に言えば、こうしたポイントがクリアされれば、
建材としての幅広い利用が考えられるようになるでしょう。
よく見えにくいかと思いますが、
写真では天井の仕上げ材として利用されていて、
黒い素材のデザイン性は、なかなかに渋くていい雰囲気がある。
なんといっても木炭なので、家庭内でのにおいを吸着してくれる性能が面白そう。
古い日本家屋の知恵で、床下に木炭を入れている事例があります。
吸湿性やにおいの吸着性に着目した知恵ですが、
そういう考えの現代版、しかも建材として利用しやすいように工夫されていれば、
利用するには面白い素材といえるかも知れませんね。
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2008年08月25日
既存建築の省エネルギー

先日の北総研、研究発表会から興味を持ったテーマをご紹介。
第1回は、「既存公共建築物のコスト縮減効果の高い省エネ回収技術の開発」
北海道は全国他地域の平均の約2倍の温室効果ガス排出量。
業務用建築からの排出量も90年時点から53.6%増加しています。
そうした現状を踏まえて、省エネの道筋を考えるために
現状の運用エネルギー構造を分析し、
改善のための方針を考える基礎条件を作っていく研究です。
研究は3段階で構成されていて、
1 実態調査を行い、暖冷房・空調などの用途別運用エネルギー標準値を提案。
2 運用の改善・高効率設備機器への更新などで削減を実現。
3 エネルギー診断ソフト「Dear.H for pubric-fc」を開発提案。
というプロセスがプレゼンテーションされていました。
写真はプレゼンのなかのスライドですが、
運用エネルギーをおおまかに
1 暖房熱源
2 暖房動力
3 冷房熱源
4 冷房動力
5 照明コンセントなど
6 給湯など
7 冷房給湯など
というように仕分けされていました。
それらが、建築用途でどのように違いがあるのかを明らかにし、
それぞれごとに運用エネルギーコスト削減策を考えるのですね。
発表では、こうした仕分けはもともとされているわけはなく
電気料金などの請求書から按分などを考え合わせていく作業の報告がありました。
目的別に電気メーターがあるわけはありませんから、
最後はこういう作業になるでしょうね。
主に電気設備関連の改修・改造処置で、
大きくコスト削減も現実に計られたということで
このようなアプローチはこれから脚光を浴びることになっていくと思われます。
民間の既存建築物については、すでにこうしたアプローチ手法が
北総研HPにアップされているそうで、
ダウンロードして、利用可能になっているそうです。
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2008年08月23日
アトリウム日射遮蔽

アトリウムって、とくに北海道や寒冷地域では
ニーズの高い空間ではないのかと思います。
温暖地では、こういうガラスの空間は作ろうと思えば、
それこそそれほどの痛痒もなく造作できますね。
・・・とはいっても、ガラスで構成された大空間、
温熱環境の知識がなく無造作に作ってしまうと致命的欠陥をもうみだします。
多くのデザイン賞を受けたような建築で、ガラス壁面隅角部などで
冬期に氷柱が生成するという問題が指摘されてもいます。
それほどの気温低下ではなくても、いろいろ不具合は考えられるのですね。
っていうようなことなのですが、
温暖地においておや、ということで、寒冷地ならば
こういう空間を作るについては、まなじりを決して取り組まなければなりません。
写真は旭川の「北総研」の建物のアトリウムの様子。
上記のような冬の問題は当然クリアされているのですが、
反対に夏場の「防暑対策」も考えられていかなければなりません。
なんといってもガラスなので、日射取得が大きくて
簡単に内部温度上昇が大きくなってしまうのですね。
ここでは写真上部の屋根ガラス面内側に遮光スクリーンを
装置させていまして、その開閉を「人力」で行えるようになっています。
なぜ機械制御ではなく、人力?と聞いたら、
まずは単純にコストが機械制御ではかかりすぎるのと、
暑い寒いのセンサーは人間の感覚に任せた方が対応が早いし、
そのまま、メンテナンスも容易にできるということに期待したということ。
スクリーン面自体は大きい面積なんですが、
開閉操作はきわめて簡略に考えられていて
「ちょっと暑いかなぁ」と「思った人」が即、操作できるということ。
結局、温熱環境維持も、そのようなこまめな対応がうまくいく秘訣。
工学系の研究者のみなさんの方が、むしろ機械コントロールによる限界も
ハッキリと理解しているのだと、好もしく思われました。
さて、残念ながら、残念ながら、っていうことで、
負けちゃいましたね、ニッポン野球。
昨日の試合の様子では、どうもメンタル面で韓国の方が
よりスポーツライクな印象を与えてくれていました。
受け身に対応していた日本に比べて、当たって砕けろ的なチャレンジ精神が
韓国の方がよりくっきりとしていたということですね。
一発勝負のオリンピックのような戦いでは、
やはりそういうメンタル面の戦略というのが大切なのだと思います。
しかし、負けたので、やはり気持ちは落ち込みますね。
こういうときに、どうすべきなのか?
特定の個人を攻撃して、そのひとのせいにする、というのは
結局はなんのためにもならないでしょうね。
そういう安易なことにしたい、という気持ちはわかりますけどね(笑)。
でも、問題はそういう簡単なことじゃないでしょう。
負けたりするのは当たり前、負けていじいじせずにどうやったら
日本の野球がもっと強くなれるのか、
そういう方法を模索するような方向にぜひ行って欲しいですね。
このオリンピックでは、日本野球は残念ながら「完敗」です。
気になったのは、日本の打者の振りの力感のなさ、でしたが・・・。
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2008年08月22日
北総研2007研究発表

きのうは朝1番で旭川へ行って参りました。
いろいろなスケジュールが重なっていたのですが、
以前からぜひ行きたいと考えていた
北総研の年に一度の研究発表会があったのです。
このブログで、何度か書いているのでおわかりかと思いますが、
北総研というのは、正式名称は、北方建築総合研究所。
北海道がそれこそ開拓使の時代から
取り組んできている「住宅性能研究」のための研究機関なんです。
一地方自治体としては、大変な維持体力をかけて
地域の最重要基本問題に対して取り組んできたことを表すような研究機関。
寒い地域の日本民族の建築、住宅にとって不可欠な解決課題を研究しているのですね。
基本的なこうした研究テーマに加えて、
住宅性能についての省エネルギー要素技術など
企業との共同研究にも取り組んでいます。
この部分では守秘義務部分もあるのでしょうから、
すべてが公開されるわけではないまでも
基本的な技術部分については、この発表会のように
オープンに公開されるのです。やはり公共機関としてのスタンスですね。
で、きのうは朝9時から発表会ということだったので、
家を出たのが6時半。
なんとか間に合いまして、そこから夕方6時過ぎまで
いろいろ旧知のみなさんの顔も見ることができながら、
技術オタクのように、楽しく研究成果を聴講させていただきました(笑)。
どうもだんだん、こういう技術のお話しが面白く感じるようになってきています。
北総研では、少なくとも寒冷地建築が考えなければならないテーマは
すべてといっていいくらい、最先端のものが取り組まれているので、
今後の技術の向かう先とか、
そこにかいま見える現在の状況というのがくっきりと見えてくるのですね。
それにしても、よくこうした研究機関を維持しているものだと
感動の思いを禁じ得ません。
本来であれば、地方公共団体というよりも、
国の研究機関として運営されていくべきだと思うのですが、
日本国家というのは、北方寒冷地に対して
「特殊な地域」という伝統的な認識が強いのですね。
研究員現場段階では、北総研の存在に対しては国の研究機関と同等と
認識しているのですが、上層部ではどうしても地域的テーマという考えが強い。
しかし、そのようなずれが世界的には日本のレベル低下をも招いている部分があります。
温暖地域のマーケットにおもねって、サッシなどの基準が世界的に
立ち後れたレベルになっている、などの事態があります。
会場では、あきらかに意匠設計が得意と思われる
札幌の設計者に出会いました。
話してみると、建築不況の現在、環境建築的アプローチにしか
突破していく方向はないのではないかと考えているようなのです。
結局、日本は技術で方向性を作っていくしかないでしょう。
そんな思いを強くした次第です。
個別の技術発表の内容については、折に触れて書いてみたいなと考えています。
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2008年08月20日
耐震実大実験までやれる施設

今週は、あした北総研で研究発表会があります。
北総研って、このブログでは結構紹介しているのですが、
北海道の外郭団体で、北方圏住宅の性能を中心に研究している機関です。
地方公共団体が自前でこういう研究機関を持っているというのは、
たぶん、きわめて珍しいケースではないかと思います。
調べてはいませんが、普通は国交省などの国の機関くらいしかあり得ない。
逆に、国の機関としてはつくば市に「国総研」があります。
そこの研究員のみなさんもここを訪れて、
「わたしたちは温暖地のことを、寒冷地のことは北総研に任せますよ」
と、言っています。
実際に設備なども国の機関並みの施設を備えています。
来ていたスウェーデンの研究者が言っていましたが、
北欧の諸国家とも、そう遜色はないレベルのようです。
写真は「耐震実験装置」。
この平盤面上に住宅を建てて、実際にいろいろな揺れを起こして、
その揺れ具合を記録して、実証データを得るものなんです。
北海道の住宅は、まずは寒冷地住宅ということで
基礎が、凍結深度以下にまで深く作らなければならない。
旭川で80cm、札幌でも60cmですので、比較的にしっかり作られる。
そのうえ、屋根は積雪荷重も計算して作られている。
ほとんどが板金屋根なので、屋根の重量も軽く作られている。
というような条件が、耐震性でも有利に働くようで、
ひんぱんに地震が起こる北海道東部地域でも、マグニチュードのレベルと比較して
地震の建物への被害というのは少ないようです。
そんな研究施設なのですが、
年に一度、公共機関らしく、研究の成果を発表しているのですね。
あしたは朝から夕方まで、びっしりと研究発表が予定されています。
昼飯時間まで、施設見学時間に充てられているので
「弁当持参」が勧められておりました(笑)。
広大な敷地が必要ということで、旭川でも郊外に立地していまして
周辺にはあまり繁華街はないのです。
まぁ、久しぶりに缶詰になって、お勉強に行く雰囲気なんですね。
楽しみにして行ってきたいと考えています(笑)。
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2008年08月18日
「いわて住まい塾」

岩手県って、北海道以外ではいちばん住宅性能についての
建築関係者の熱意が強い、というか、
その情報交換ネットワークが力強い地域ではないかと思っています。
北海道では、官民学のネットワークが
同じ気候条件を共有しているという共感があり、
それを克服することに協同する機運というものがあります。
同様に岩手でも、個別企業の論理を超えていこうというムードがあります。
そういうみなさんが、地域の住宅性能向上を進めようという運動として
取り組んでいるのが、「エコ・ハウスコンテストいわて」。
これは初め、県の主催で行われてきたコンテストをベースに
県の予算が終了したあとも、民間でお金を出し合って行っているものです。
タイトル通り、性能に力を注いでいる住宅に対して
それを顕彰し、一般ユーザーの関心を高めたいというもの。
ことしは9月6日(土)に一般ユーザー対象の
「いわて住まい塾」というイベントが行われます。
一般ユーザー向けのイベントって、なかなか集客も難しいのですが、
特定企業のみの立場を離れたイベントなので
本音の住まいの情報、知識を得ることができます。
わたしも講演を依頼されていまして、ユーザーのみなさんの家づくりの参考になる
お話しをしたいと考えています。以下、案内文の抜粋です。
「エコ・ハウスコンテストいわて」では県内のエコ・ハウスの普及を願って
「いわて住まい塾」を企画します。
「特定の企業」に偏らない “公”の立場で、よりよいと思われる情報を提供する場です。
どなたでも参加できます。
会場: aiina いわて県民情報交流センター8F (803会議室)
第1回、第2回とも同じ会議室 (定員100名)
2008.9.6 土曜日 12:30 開講 (12:20受付開始)
第1回
<第1部>
12:40-14:10
改修・改造のお話・・部分的に直すか、大規模に直すか、いつ直すか?
北海道でも断熱改修、耐震改修、バリアフリー化は見直されている
<第2部>
14:20-15:40
建築のお話・・空間構成、間の取り方、壁、窓、屋根、床、内装、構造
・・長持ちを軸に考えると・・・
<第3部>
15:50-16:50
設備のお話・・暖房、給湯、換気、家電 ・・・暖房燃料代高騰
・・暖房エネルギー半減の為に!エコ眼で見てみると、小さな設備を長く使う事、修理を前提に考える・
2008.10.11 土曜日 12:30 開講 (12:20受付開始)
第2回
<第1部>
12:40-14:10
エコ・ハウスに入居されている施主を交えた討論会
住まいとは・・お金、住宅性能・数字の先にあるモノ・・・・
<第2部>
14:20-15:40
資金計画(ファイナンシャルプラン)・生涯住居費を考えてみる!
生涯収入の中から居住費をどの程度当てるのか客観的にお話ししていただきます。
<第3部>
15:50-16:50
インテリアデザイン・家具・照明・色調・・心地いい居場所をつくる
お気に入りの家具たちに囲まれて過ごす心地よさ・・・
参加費:資料代1回、2回、各500円、参加は一部参加、全体参加は自由に選択できます。
事前申し込みは不要です、当日会場にお越しください。
詳しくは http://eco-con.jp/
問い合わせ先 Email: nagadoi@mac.com TEL 080-5550-3566 長土居
主催: 「エコ・ハウスコンテストいわて」実行委員会
後援: (財)岩手県住宅センター、Dotプロジェクト、NPO環境パートナーシップいわて、
岩手県地球温暖化活動推進センター、INS住まい環境研究会
特徴: この住まい塾は情報の提供を目的としております、住所・氏名をお尋ねすることはありません。
ということです。
ぜひお近くのみなさんにオススメいたします。
家づくりの参考になるイベントだと思いますので、どうぞよろしく。
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2008年08月16日
略奪可能な食品庫

写真は奄美地方から移築して神奈川に再現された「倉」。
すごいんですよね、植生なんかをみると
わたしのような北海道から見に行く人間からすると
熱帯の、ポリネシアくらいな感じを持つ。
夏期は実際、神奈川ってそれくらいな気候地域ですよね。
聞いてみたら、沖縄からの移住者が多いとも言われています。
気候風土的に太平洋型の海洋性気候が共通する部分なのでしょうか?
で、この建物、用途としては食品を保存する倉なんですね。
「高倉」というネーミングはそのままでもある。
こういう熱帯の気候地域では、
なにより食品を乾燥状態で保存させるというのが大問題。
縄文の時代にむしろ北日本・東日本の側が生活しやすい地域だった
とされている理由には、食物保存の方法が
「寒い冬」という天然の「保冷装置」が得られたという理由が大きいと
聞くことがあります。
秋に大量に獲得できる食料が、雪という冷蔵庫で長期保存できたと言うことなんですね。
一方で、南方型の気候地域では、
冬もものが腐りやすく、長期保存に適していなかったということ。
そういう現実をどのように克服するか、というテーマに
この「高倉」は応えている生活装置なんですね。
以前に「吉野ヶ里遺跡」は2度ほど見に行っていまして、
コメ生産社会と、このような長期保存装置は一体として進化してきたのだと
認識させられましたが、その建築的仕様はより南方の
こうした地域からもたらされたものなのでしょうね。
逆に言うと、こうした高倉が遠望されれば、
その地域には「略奪可能な」長期保存食が貯えられている、という証拠でもある。
その「富」を狙って他地域の支配者が略奪を試みたのでしょう。
きわめてナマな戦争の、戦いの基本的な動機なんだと思います。
隣の芝生はきれいに見える、みたいなもので、
このような高倉建築はわかりやすい動機を養ったのでしょうか。
そんなDNAに刷り込まれた感覚の部分、きっとわたしたちにも残されているのではないかと
想像してしまいますね。
建物としてみれば、
やはり通風に配慮していることが明白。
湿潤な気候の中では、このように床下空間を全開放させて、
通気させるのがもっとも理にかなっています。
こういう場合で一番心配されるのはネズミの食害でしょうが、
ここでは4本の柱上部に「ネズミ返し」の工夫が施されていました。
「食」の安定確保がなによりも最優先されてきた歴史を
まざまざと視覚的にも体験させてくれる建築だと思います。
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2008年08月14日
光の制御

西洋近代主義が導入されて、近代的な工業製品を住宅に利用するまえの段階では
ごらんのような光の制御方法が日本家屋では一般的。
というか、窓を開けるというのが大変技術的にも手間がかかっていたので、
こういう床の間空間を照らすような外光の導入のように
ハレの間に対する特別な仕掛けくらいしか、
一般庶民の住宅では窓を開ける習慣がなかったに等しい。
自由に窓を開けられるようになってから
まだ、高々70〜80年程度の時間しか経っていないのでしょう。
日本家屋では、伝統的に大きな窓というのは
縁側に面した開放できる建具、というのが代替してきていた。
その「窓」からの眺望はたいていが庭を見晴らすように仕掛けられていた。
写真のようなスペースは
外光をコントロールして、窓辺にやわらかい灯り空間をもたらす。
なので、「書院」というような言い方をするのでしょうか?
たしかに書物を見るにはもっとも適したような仕掛けが得られている。
「学ぶ」というようなことへの態度が、
知らず知らずに背筋が伸びていくような環境装置とも言える。
個人的な体験というか、感覚では
こういう明かり取りの障子の桟に不思議と愛着を感じる。
じっとしていると、桟木で区切られた枠をタテ横斜めと頭の体操よろしく
いろいろに眺め回すようなことがよくある。
それが畳の組み方の連続性・規則性とあわせて、
日本人の算数能力の基本を形成していたのではないかと
根拠曖昧ながら、ずっと思ってきている次第です。どうなんだろう?
きのうは朝早くから一家でお盆の墓参り。
つかの間の夏休みに突入です。
でもことしはオリンピックで、休む間もなくあれこれの競技。
鍛え抜かれた選手たちのパフォーマンスは素晴らしいですね。
勝つこともあるけれど、残念ながら力を発揮できない選手でも
全力を発揮する様子に、つい力がこもりますね。
何もできないうちに負けてしまう選手たちに不思議と思いが募ってくる昨今。
スポーツの楽しみ方も変化してくるものなのでしょうか(笑)
がんばれニッポン!
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2008年08月11日
伝統的な半外部空間

先週末くらいから休暇入りという人も多いようですね。
最近は帰省、という夏休みスタイルはどうなんでしょうか?
日本って近代化がヨーロッパの国より4倍のスピードで達成されたと言われます。
その過程で農村から都市へと労働力の移動が起こり
都市への人口集中が急激に始まったのですね。
そのなかで、それまでの農本主義的な田舎社会から
都市居住の労働形態に変わって、年に数度田舎に帰るというのが
基本的な夏休みスタイルとして定着したのでしょう。
時間を短縮して、一気にこういう事態が起きたので
集中豪雨的に「民族移動」的な帰省風景というものが定着した。
しかし、そうした急変化はいまでは落ち着いてきていると思う。
集団就職で都会に移住した人々のこどもたちにとっては
その都会の家、大部分がニュータウンとして開発された団地的な街が
「ふるさと」になってきているのでしょう。
写真で見るような夏の日の日本家屋の風情というのは
もう、かなり歴史的な光景になりつつあるでしょうね(笑)。
長寿社会になって、祖父や祖母がこういう田舎に住んでいて
そこに親が帰省するのに、孫が付き合っているのかどうか、
っていうのがいまの実相に違いないでしょう。
一方で、孫たちはそういうニュータウンに「帰省」しているのかどうか、
ちょっと興味は持ちますね。
なんですが、日本再発見的に見て、こういう写真のような光景が持っていた
生活文化性の部分に強くイメージが掻き立てられます。
なんていうか、非常に開放的な野遊びの世界がこの半外部を起点として
起こっていく予感を感じさせてくれるのですね。
逆に右の壁の中には、否応なく「家」という格式的な世界がある。
それこそ、神棚や仏壇、家族の座る位置も決められているような世界。
その「結界」としてこういう半外部空間があった。
こういう部分に板敷き、スノコ状のものが据えられているというのは
機能性がきわめて高い。
それこそ、どろんこになって野山を駆け回ってきて
こういう場所で足の泥を洗い流して
家に「上がる」というのが一般的な習慣。
先日も親類が集まる機会があったけれど
10代のこどもたちは、そういう食事時でも
膝元に置いたケータイに目を落としたりしていて
会話の糸口もなかなか求めることができなくなっている。
こどもたちの「遊び」の世界がまったく世代わりしているのが現実。
いまではアクティブな遊びの世界の部分が消えつつあり、
こういう中間的領域の意味合いが民族的な記憶から失われるのかも知れませんね。
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2008年08月08日
都市型豪雨

なんとも傷ましい事故が報道されていますね。
首都圏の一部を襲ったゲリラ豪雨。
下水作業中のみなさんが流されてしまったという事件。
うちのスタッフも当日、東京都内で行動していて動けなかったそうです。
雨の降り方がまるで南の島のスコールのようになっていて、
その辺は温暖化の進展を表していると思うのですが、
東京都市圏を見ていて、やはりコンクリート護岸、コンクリート河川
というものの影響が大きいのではないかと思うのです。
コンクリート護岸は、至る所の河川がそのように管理されていて、
それはそれでメリットもあるのだろうと思うのですが、
人間の都合に自然現象をすべてあわせようと言う考えはやはり破綻する。
コンクリート化された河川は、「一気に」増水するのでしょう。
上流地域で集中的に豪雨が発生すると
下流では全然雨が降っていなくても、河川は増水する。
そのスピードがものすごく早くなってきている。
しかも下水道の場合、危険性を目で確認することもできない。
なんとも恐ろしいメカニズムになっているものですね。
で、道路ではないけれど、こういうコンクリート護岸も
定期的なメンテナンス費用もかかってくるだろうと思われる。
大変厄介な問題です。
治山治水という言葉があるように、
河川の管理は、権力が常に「治める」ことを求められる基本要素。
そういう意味で考えると、現代の治水は
この傷ましい事故が象徴的に示すように、大変難しい状況になってきている。
ヨーロッパなどでは、一度コンクリート化された護岸を
再度自然に戻すような工夫をしているということ。
自然的なショックアブゾーブ能力を再生しようという考えなんですね。
はたして、大集中している首都圏地域のような場所で
もう一度そのように考え方を変えて取り組んで行くことができるものかどうか
サスティナブルということを考える意味で、
大変重要なポイントになる事柄だろうと思います。
みんなで大きな知恵を絞って行かなければならない問題でしょうね。
<写真は東京・隅田川の護岸の様子>
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2008年08月06日
土間の心地よさ

いつも感じることなんですが、
現代に建てられている住宅と、古民家を比較して
最も顕著な違いは、土間の有る無し。
古民家に行って土間がないという住宅はまずありえない。
土間って、広大な土という調湿作用装置とも言えます。
なので、夏の暑い時期には土内部に蓄えられた水分が
気温上昇に伴って気化熱を奪って行くので、
相対的に室内の気温を下げる効果があると思います。
そのような基本的な室内環境演出装置という性能的側面があるのですが、
同時に、室内での土間って、自由な作業スペースとして
実に快適な装置だと思われます。
多くの用途としては、農家などでは雨の日の作業スペース。
商家や町家でも、仕事上の作業スペースとして重宝していた。
家というのが、生業を支える労働の場でもあったということをあらわしているのですね。
で、そのほかにも多くの場合、かまどや流しといった調理装置も置かれていた。
床が張られたスペースがひたすらに休息的な場であるのに対して
土間って、大変アクティブな生活空間だと思います。
こういうスペースが、現代住宅ではなぜ絶滅に近いのか?
というのは、たぶん、高成長時代の多人数家族の個室確保のために
なによりも「床面積」至上主義が行き渡ったということが大きい。
そして、住宅が手仕事的に丹念に設計施行されるのではなく、
大量消費的社会の中で、売り買いの対象となったことで、
床面積と、なんLDKというような流通指標が家を
客観的に表現することになったのでしょうか。
逆にいえば、そういう指標表現でもっとも有利なように
何とも表現できない、土間のような「残余」的なスペースが敬遠されたのでしょう。
さらに言えば、生産活動・労働活動と住まいが分離したという結果、
家の中にこういう作業スペースが必要とされなくなったことも大きい。
ということなんですが、
どうなんでしょうか?
これからの時代は、たとえば高齢者の住まいを考えると
部屋数がそんなに重視されることは少ないだろうし、
趣味的な空間の方が、欲求が高まってくると思う。
そういうときに自由度の高い土間は、すてきな空間とは言えないでしょうか?
熱環境的にも、基礎断熱を採用すれば、土間の蓄熱性って
大いに活かして使うことができると思われます。
そうなれば、夏涼しくて、冬暖かい基本装置にもなりうる。
なによりも家の中に開放的な空間ができることで、
快適性が著しく向上する。
そろそろ、LDK神話から目覚めてみませんか?
NPO住宅クレーム110番|イザというときに役立つ 住まいのQ&A
北海道・東北の住宅雑誌[Replan(リプラン)]|家づくり・住まいの相談・会社選び
2008年08月04日
豊かな食の装置

写真は古くからの商家のなかの土間にしつらえられた「かまど」。
3口もの鍋穴が開けられていて、
大量の調理が可能になっていました。
住宅というものは、なによりも寝食、ということばがあるように
安全に寝ることと、心安らいで食にありつける、というのが基本要素。
安全に寝られる、というほうは社会的な安全性にも機縁するので、
住まいだけの問題ではありませんが、
食べる方は、常に家が中心であり続けてきた。
外で食べる、というようなことはよその家に呼ばれるとか、
冠婚葬祭くらいしか、機会がなかったでしょう。
日本の律令時代の税に、各地の名産品を取り立てるとか、
国司などの高級官人が赴任するときにその地で歓迎の接待を地元民に強制する、
というような「ナマ」な税制、システムがあったのですが、
それくらい、「外で食べる」ということは希少価値だった。
したがって、食という基本は、
ひたすらに「住まい」の基本要素であり続けてきた。
この「かまど」、大変立派なものでびっくりしたのですが、
基本的には赤土のような土で固めて焼成させたものでしょうが、
そのうえから焼き物を仕上げるように平滑な表面仕上げが施されている。
一種、工芸品的な仕上げになっているのですね。
こういう仕上げというのは、家の持ち主のDIYになるものとは思われない。
この家が商家ということで、都市住宅だったので、
たぶん、こういう造作作事をなりわいとする専門家が存在したのではないかと思います。
ほかの住宅要素と比較して、飛び抜けて豪華さを感じさせる。
この商家には住み込みで働く奉公人が中2階に多数いたようなので、
このような大量調理道具が必要だったのでしょう。
現代のシステムキッチンと比較しても
その実質的な生活実態の豊かさのレベルがしのばれる。
遠く生家を離れて奉公する人間たちに、
擬似的な家族的共同性を植え込んでもきたとも思われます。
現代の、個住とコンビニという生活実態と比較して、
どちらに「豊かさ」があったのかといえば、論を待たないのではないでしょうか?
どうも、わたしたち現代人の貧しい暮らしというものが
身に迫って感じられてなりません。
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北海道・東北の住宅雑誌[Replan(リプラン)]|家づくり・住まいの相談・会社選び
2008年07月29日
200年住宅とオール北海道

さて、このブログでもいろいろ取り上げてきている
国交省の「200年住宅・超長期住宅」補助金政策。
600数十件の応募に対して、第1回の結果としては40件が認定されました。
新築の分野での提案では、採用率5%ほどという狭き門だったようです。
で、そうしたなかで北海道が公共団体として取り組んだ
「北方型住宅ECO」の採用が、注目されているようです。
やはり住宅性能の日本最先端地域という地域らしさが端的に表れたということでしょうか。
他の地方公共団体でも、「どうして北海道は採用されたのか?」
という声が上がってきているようです。
わたしどものような北海道発で東北関東と、
エリアを徐々に拡大している雑誌からすると、
あらためて北海道が官民挙げて住宅性能向上に心血を注いできた意味が
こういう機会に再確認できた、という思いがしてきます。
いわば「オール北海道」で取り組んできた大きな流れが背景なのですね。
採用に至った経緯は、それこそ国交省や、審査委員のみなさんの考えでしょうから、
発表通りを見るしかありませんが、
そこではやはり多様な工法に対して一律な住宅性能の要件条件で応募したという、
住宅性能に対するスタンダードな取り組みが認められた側面が大きい。
住宅性能のことというと、とくに関東以南地域では
「外断熱でないとダメだ」とか、
「うちの言っている工法でないとダメだ」
というような宣伝工法が大流行しています。
でも今回の採用されたものを見てみると、
そのような考え方の応募はきれいに全滅しています。
ようするに住宅性能の数値条件がしっかり実証されて満たされればいいわけで、
「だからダメ」という他者誹謗による自社宣伝は通用しませんよ、
と断言されたに等しいのではないかと思います。
そういう意味で、北海道が提案した「北方型住宅ECO」では
気密性能や、断熱性能レベルを明確に数字のみで規定しているのです。
そして、そういう条件に自ら自信を持ったビルダーさんたちが
手を挙げて参加したというものなのですね。
このような姿勢というのは、これまでの北海道の取り組みの積み重ねが
大変大きなウェートを占めている部分なのだろうと思います。
この北海道の挑戦が、大きな意味を持ってくるのではないかと思っているところ。
写真は、きのうも触れた「大工学校」でのひとこま。
こちらは窓サッシの納め方詳細手順実演です。
防水を主に、実に様々なノウハウの蓄積が詰まっているプロセスだと感じました。
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北海道・東北の住宅雑誌[Replan(リプラン)]|家づくり・住まいの相談・会社選び
2008年07月28日
気密化について

木造の建物で、室内の環境をエネルギーロスなく
温熱環境を維持するためには、それがコントロール可能になっていなければなりません。
これまでの日本家屋ではそういうことができなかったのが
生産のプロセスで「気密化」施工を上手に組み込むことができたことが
温熱コントロール可能な住宅に進化できたワケです。
写真は、新住協が年に1度程度開いている「大工学校」でのひとこま。
床まわりの気密化工事を実演しているところ。
北海道では木造大工さんにはいまや必須の技術といえますが、
その手順などを再度、こういう機会に実演し、確認しているのです。
新住協では全国でこういう機会を提供していて、
はじめて目に触れる技術者の方や、再確認するかたたちが集まってきます。
まぁ、わたしなんかも具体的な手順や確認ポイントなど、
大変勉強になりました。
鎌田先生からは、ぜひ現場の大工さんたちにたくさん来て欲しい
という希望が出るのですが、案外又聞きになるケースがおおいそうです。
今回、北海道が地場工務店などを組織化して
「北方型住宅ECO」という超長期住宅生産運動に着手するのですが、
そこではこの「気密化」レベルとして、
床面積1平米あたり、相当隙間面積で1cm平米以下、という基準が示されています。
北海道では多くのビルダーさんが当然のように
写真のような気密化施工に慣れていて、
いま、高気密高断熱を謳っているビルダーさんでは
0.2とか、0.3などというレベルが語られるケースが多い。
しかし、北総研のかたが「くれぐれも」と、念を押していましたが、
気密施工は実際に計測して結果を確認するわけで、
これまでのケースでも、実際に計ってみて達していないという場合も多いのだそうです。
普段、この程度はなんでもない、技術的には解決済み、と考えていると、
いざ、待ったなしでやってみるとそうでもない場合があるそうです。
今回の「北方型住宅ECO」では
万が一、このレベルを守ることができない場合には、
現実的にはそこに到達するまで再施工してもらうことになる、という対応が示されていました。
再施工ということは、壁の中まで還元してやり直しになるので、
たぶん、建築会社はもうけはすべて吹っ飛ぶことになる。
実際の施工方法を見ていて、
よく考えられているな、と感心できる部分と、
やはり、こうした工事には大工さんの慣れが大変重要と感じます。
最初の2〜3軒までが大変で、それ以降は
身についてしまえば、施工手間といってもそれほどはかからない、
だから高断熱高気密だからといって、
コストが大幅に上昇する、とはならないということなのです。
なんとか「北方型住宅ECO」ではすべての住宅が一発でクリアして欲しいものですね。
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北海道・東北の住宅雑誌[Replan(リプラン)]|家づくり・住まいの相談・会社選び
2008年07月26日
北海道版200年住宅スタート

きのうも触れた、国の超長期住宅・200年住宅事業に応募して
地方公共団体としての北海道が地域の工務店などを組織化して
地域住宅運動として取り組もうという
「北方型住宅ECO」。
昨日朝10時から、北海道中のビルダーさんたちが結集して
事業主体となる「協議会」の総会が開かれました。
いくつかの議題に即した話し合いが行われましたが、
結局、申請総額8億円を超えた交付金が、2億5千万円ほどに減額されたことを受けて
400軒という新築住宅総数が、123軒に減ったため、
その割り振りをどのように仕分けるべきか、
その考え方を調整し、決定するという「全部やる」会議でした。
その前段では97社からある参加企業の「代表」を決定するという
脂っこいテーマもあって、薄氷を踏むような会議プロセス。
会議テーマをはじめて目にしたとき、
これを2時間の時間でまとめるのか、と多難を予想したのですが、
まずは提案通りの結論を得ることができたのは、
道庁建築指導部の日頃からの各社との信頼関係の構築が預かって大きかったと思われます。
主要なテーマである、123軒の総数を97社に割り振る件は、
基本的には各社に1件ずつを割り振った上で、
ちょうど選挙の「ドント方式」を想起させるような手順での「調整」。
大変日本的なシステムだなぁと、感心してしまいましたね。
こういう業界調整の部分、
いろいろに言われたり、批判も浴びる部分ではあるのですが、
会場からは安堵するような雰囲気が流れており、
一部出席者から、1件ずつ割り振るのを止めて全部に対して「ドント方式」を、
という意見も出ていましたが、
調整としては順当でやむを得ない、という「落としどころ」だと思いました。
まぁ、ものごとはすべてが竹を割ったようには進まない。
そういうなかで、「知恵を絞る」というのも必要な部分ですね。
さて、このような経緯でしたが、
こうした全プロセスをすべて報道関係にも公開しながら調整した
北海道建築指導部は、よく頑張られたものと思います。
そして、ようやくに離陸できた「北方型住宅ECO」、
こうした住宅の一斉着手が全道でひとつの目的に向かって行われるというのは
大変、画期的なことだと思います。
その前向きな部分におおいに注目して、この場でもそのプロセスを
折に触れてお伝えしていきたいと考えます。
日本の一番北で取り組まれる、住宅性能に着目した超長期住宅の大規模な取り組み。
ぜひ、全国のみなさんも注目ください。
なにより、他の200年住宅の取り組みの多くが
大手ハウスメーカー主体になっているなかで、
地方公共団体と、地域工務店を主体として地域ぐるみで行われるというのは、
大変に意義深いことなのだと思います。
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北海道・東北の住宅雑誌[Replan(リプラン)]|家づくり・住まいの相談・会社選び
2008年07月23日
住宅環境技術の国際交流

写真は北総研を見学しているスウェーデンの換気技術者の方たち。
このときには北海道内で換気などの講演会があって
そのために日本に来たのです。
で、北総研の研究技術の様子を興味深そうに見学していました。
住宅を巡っての技術の世界というのは、
寒冷に対する防寒の技術というのは基本ですが、
それ以外の部分では、その土地での条件によって違いが出てくる。
とくに大きいなぁと思われるのが積雪条件の点。
というか、日本の西海岸側地域というのは
世界的に見ても大豪雪地帯だ、ということを認識させられます。
この北総研では雪を床下に溜めて、暑い夏の時期に冷房に利用していますが、
こういう部分は世界的にも珍しい研究なのかも知れません。
豪雪の地域は他にも多いのでしょうが、
まとまった人口がこういう大豪雪地帯にたくさん住んでいることが変わっていると思われます。
そういうことなので、札幌のように屋根が建築時期によって
大きく様相を変えているという特色が生まれてくる。
北欧も決して雪が少なくはないけれど、
屋根形状がフラット、というようなものは記憶にない。
基本的に雪は空地に落とすという考えで処理しています。
それに対して、さすがに日本の大都市ということで、
札幌では、隣地との間に空地はなかなか確保できなくなってくる。
いまは郊外地域でも60坪程度が基本的な広さ。
そのような条件では難しいのですね。
無落雪屋根という世界的に珍しいデザイン形式が広がっているというわけ。
こういう屋根にすることで隣地との雪のトラブルが回避されたのです。
でも、そうすることで、いろいろな問題も次々と発生してきたのですね。
でも、最近では屋根のないデザインを見て
その制約のなさにデザインの自由さを感じるという本州地域の設計関係者も多い。
何が幸いするかわからないので、
こういう条件を逆に活かす工夫も必要なのかも知れません。
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2008年07月11日
サスティナブルを考える

いつも住宅のことを考えているような生活をしていますが
そうやって考えてくればくるほど、
日本的なシンプルな住まい、ということを考えるようになります。
歴史年代的に見れば、わたしたちの民族的な住宅体験は
圧倒的に写真のような竪穴式住居が長かったと言えます。
現代の自然素材への強い希求とかのベースに
こういう住宅体験がDNA的に色濃く根付いているのはないかと考えるのです。
縄文の時代では採集を基本としながらも
定住も見られて、食料植物の栽培も行われていたようです。
縄文時代の食素材は、驚くほどに豊かだとされています。
いろいろな素材をまんべんなくバランス良く食していたようです。
縄文時代には圧倒的に人口は東日本に集中していたという説が有力。
適度に寒冷で、秋には自然から様々な食素材の恩恵が得られた。
そういう素材を、長期保存してくれる寒冷な冬が冷蔵庫代わりにもなった。
そういう条件を持たない西日本は、生きにくかったのですね。
海産物なども秋に回遊してくるサケなど、
非常に豊かな恵みをもたらしてくれていた。
縄文の貝塚に見る食素材の豊かさに比較すると、
たとえば古代律令国家の東北侵略拠点・胆沢城での下級官の食事などは
米と一汁一菜というバランスの悪いモノであり、
食生活の様式で見て、蝦夷の伝統的食生活〜たぶん、縄文的な要素も残っていたと思う〜
と比較すれば、ヤマト的暮らしに「まつろわなかった」のも
理解できるような気がしてくる。
こういう生活空間の構成のシンプルさ、
架構造の力強さ、屋根の萱などの湿度調節作用など
非常にサスティナブルな住居と言えるのではないかと考えられます。
現代のわれわれが、新建材固めにして
現代的快適性基準を追求してくるのだけれど、
色々考えれば考えるほど、
こういう住空間に教えられることが大きくなってくるのですね。
少なくともこういう自然素材に囲まれた空間は、
自然への単純な共生感覚をもたらしていただろうと考えられます。
こういう空間に戻ることはできないけれど、
その心地よさへの想像力は失ってはいけないでしょうね。
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2008年07月08日
省CO2推進モデル事業、結果発表

相次いだ国土交通省の肝煎り「モデル事業」募集。
総額の国費が半端でない200億円近い金額。
サミットの関係で間に合わせようとしたものと思われますが、
その応募結果の発表が、国交省HPで発表されていました。
http://www.mlit.go.jp/common/000018273.pdf
きょう触れてみたいのは、「省CO2」のほう。
まぁ、どちらも似た傾向にはあるのですが・・・。
結果を見ると、モデル事業とされたのは、
ハウスメーカーが3社(三洋ホームズ・パナホーム・積水ハウス)と
アトリエ天工人(テクト)+金沢工大の先生の提案。
写真は、その選考の講評の概要部分です。
一番最初に出てくるのが
「既存設備の単純な組み合わせでは不十分」というモノ。
こうしたコンクールの場合、選考基準を明確にするというのが
大前提だと思われるのですが、今回の募集要項を見ると第1回ということもあって
抽象的な、雲を掴むような内容。
で、選考の講評になって、こういう文言が突然出てくる。
この事業のはじめから危惧されていたのが、
選考委員はほぼ全員が大学の先生と官僚機構のみなさんという点。
住宅という市場の実態を本当に知っているのか、
霞ヶ関の机上と、アカデミズムの殻の中からしか
日本のいまの住宅マーケットを見ていない。
「先導的」と考えられる企業はハウスメーカーであると
結論づけているのが今回の結果になったわけですが、
日本の住宅はそういう風になるべきだと考えているのでしょうか。
ハウスメーカーというものが、革新的などういう活動を行ってきたのか、
そういう市場に対する判断力がなければ、
こういう事業は軽々に着手すべきではない。
住宅は長期にわたって建築されるモノであり、
設備などもさまざまな実証を経て、その耐久性であるとか
持続的安定性というようなモノがなによりも大切な分野だと考えます。
確かに「選考する」という作業からすれば、
こういう後出しジャンケンでしか判断できないというのは理解できる。
しかし、そうであれば、いきなり巨額の税金を投入するというのは避けるべきではないのか。
ルールを決めていない段階で競争した結果、
名前ばかり有名な企業だけが残ったのではないか、と言われても仕方ない。
ハウスメーカーの応募内容も見てみたのですが、
「今回の選定について」の基準から考えて
どこに選考に値するのかと、疑問を感じざるを得ない企業もあります。
または、CO2削減競争を住宅の住まい手に仕掛ける、みたいな提案が
採用されてもいるのですが、こういうことが実際にできるものかどうか、
よく考えていただきたいと思われます。
北海道で地元ビルダーと大手ハウスメーカーが
省エネをテーマに住宅団地を形成したあとで、
住民同士、暖房用灯油使用量を比較しあって、ハウスメーカー住宅の住民が
憤慨してしまったというようなことが実態としてあるのですが、
そういう実証をともなわないで、言葉とイメージの提案だけで
こういう施策を実行させるというのは、どうも腑に落ちません。
多くの優良なビルダーさんの提案が落とされて、
採用された提案内容を見ていて、まさに不条理の思いを抱く次第です。
みなさん、いかが感じられるでしょうか?
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北海道・東北の住宅雑誌[Replan(リプラン)]|家づくり・住まいの相談・会社選び
2008年06月26日
窓の内開き、外開き

写真はわが家の書斎の窓です。
窓はスウェーデンのメーカーで日本でノックダウンしているもの。
木製3重ガラス入りサッシです。
北欧の考え方は、だいたいがこういう滑り出し・回転窓というもの。
窓の開け方としては下端についている取っ手を回してロックを解除し、
それを正面方向に押し出す。
そうすると、10cmくらいいったところでストップする。
「チャイルドロック」という機能です。
子どもが操作して誤って窓から落下することを防ぐ仕組み。
で、そのロック解除ボタンが窓枠中程に赤いものがありますので、
それを押しながらさらに窓を正面外に向かって押し出すと
さらに大きく開口していきます。
その分、外側に出っ張っていくので、一定の隣家との感覚が必要なのは論を待たない。
で、さらに開いていくと今度は窓が回転していくのです。
そうして、外側ガラス面がこちらを向くようになる。
という具合で、ガラスを拭くこともできるようになっているワケ。
このスタイルに対して、
外に開くのではなく、家の内側に開いていくタイプがあります。
先日の旭川の最新住宅見学の折りにいくつかの家で採用されていて
ちょっと珍しく感じました。
玄関ドアでもそうだけれど、日本人的な感覚としては
ドアを「開いて」という感覚は外に押す感覚になっている気がする。
それに対して、内側に開くというのは
どうも感覚がだいぶ違う。
一般的には建具を左右に「引き違い」にスライドさせる開口部、
というのが日本的な伝統スタイルといえるでしょうが、
窓の「気密性」という意味合いからは、開き方は上記のどちらかのほうが合理的。
北海道は、合理的日本スタイルの実験場みたいなものなので、
ここで受け入れられたインターナショナルスタイルが日本全域に広がる素地を持っています。
まぁ、内開き、外開きとも
それぞれメンテの簡便性、使い勝手の良さというメリットを持っているので
最終的には「北国に住む日本人の感性」が選択していく部分だと思います。
さて、どういうふうに選択されていくものか、興味がありますね。
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2008年06月24日
進化が待たれるヒートポンプ

いまや企業業績でも、トヨタの利益を
海外原材料の輸入商社主要5社の総利益の方が上回ってしまっているそうです。
簡単に言えば、経済が原材料資源のほうに価値が集まってしまって
加工産業、製造業産業が、世界的な資本主義マーケットの大競争の拡大で
相対的な価値を落としてしまっている、ということ。
資源を持たない新興国家群は、日本のような成長モデルを踏襲する。
ちょうど、中国が開放路線を取るときに
日本のシステムを参考にしたように、多くの新興国家が
加工組み立て製造業を自然な成長モデルとして経済発展に取り組んでいるのですね。
まぁ、当然の成り行き。
そういうなかで、先物取引の金融ではいち早く、資源への投機の流れが加速した。
アメリカの金融不安が、低金利政策を誘導して、
その過剰流動性が全体として資源投機へと向かっているのが現状でしょうか。
こういうなかでは、日本の地方経済はきびしいものがある。
多国籍企業化している東証一部上場企業の多くは
その工場も、市場も日本国内の比重を下げることで
維持発展させることが可能だけれど、
とくに住宅のような「内需型産業」の場合、
成長可能性が著しく低下せざるを得ない。
時代的閉塞感は、こういう背景から必然的になっていると言えます。
そんななかでひとつの可