2009年07月04日
葦の紙の障子

先日のブログでも触れた「板倉工法」の家です。
木造工法のさまざまな可能性を追求する設計者の探求心が
随所に感じられる住宅なワケですが、
この障子。ごく普通の障子と思っていたら、
さにあらず、紙は北上川の河口地帯でいまでも取れている
「葦」を漉いて和紙にした紙なんだそうです。
北上川河口の葦は、東北地方でも最大の産地であり、
伝統的に屋根材として使われてきた素材です。
現代にこの葦で、葺いた屋根を再生させようと運動している人たちもいて、
設計者の佐々木さんは、そういった運動にも関わっている。
建築材料としての葦は、まさに自然材料そのものであり、
グラスウールという、現代の断熱素材が提供されていない時代で考えたら、
もっとも断熱性能のある自然素材だったのではないかと思っています。
なんといっても植物繊維素材であり、
内部に空気を保留する素材なのですね。
断熱は静止空気層を保つことで、その効果が発揮されるので、
伝統的な草葺きの屋根って、性能的にも効果が高いと言える。
先人たちの慧眼に、まさに目からウロコの思いがする材料。
しかし、そういう素材を現代に甦らせるためには、
さまざまな市場価値を創造しなければならない。
そういった努力の一環として、
こういった葦原料の和紙、というような挑戦も行っているのでしょう。
このように使われることで現物としての風合いをユーザーに見せて、
その質感でファンを獲得していきたいと考えているのでしょう。
佐々木さんとしては、このような在来木造工法の持っていた
伝統的な素材を現代に継承させるための
やらなければならない産業復興まで志向しながら、
家づくりに取り組んでいるのだなぁと、思い至らされた次第です。
こういう活動は、奇抜な空間デザインを生んだりする方向ではないので、
評価者のしっかりした目線がなければ、
「普通っぽい」というような評価にしかならないでしょう。
しかし、永い日本人の木造との付き合いという見方からすると、
誰かがこうして取り組んでいてくれることが大切だと考えます。
とくに、東北の人々にとって、
こういった味わいの家づくりは、
地域が育ててきた空間的感受性に大きく関わっていると思います。
そういうものこそが、本物のデザインだ、と思います。
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北海道・東北の住宅雑誌[Replan(リプラン)]|家づくり・住まいの相談・会社選び
2009年07月02日
北海道R住宅、注目度高まっています。

さて、住宅関係では国交省の長期優良住宅先導的モデル事業が
大きな話題になっていますが、
そのなかでも、今年度第1回の応募で採択された
「北海道R住宅」の評価がいろいろな場所で高くなっています。
先般も、事業運営主体に対して、
補助金審査をする会合での模様が報告されていました。
中古住宅の性能向上でのシステム提案という、全国的にもきわめて異色な
それも、もっとも気候条件のきびしい北海道からのものとあって、
一向に進まない「住宅ストックの性能向上」という
国の掲げる基本施策をまさに「先導的に」実現しようというこの試みは
多くの審査員の先生たちからトップ評価をいただいていたそうです。
こうした補助金交付の決定に当たっては、
学会有識者が審査員になるのが通例ですが、
そういうみなさんにとっても、そもそも住宅検査人という概念まで産み出そうという
この提案はまさに革新性を持ったものと評価されているのです。
中央レベルでのシステムへの高い評価を
どうやって活かして、北海道の大きな社会資産にしていけるのか
制度を作ってきた立場として、
大いに正念場を迎えてきたように思います。
考えてみると、わたしどもの雑誌、リプランも
当初は住宅リフォームの雑誌としてスタートしたのです。
そういう意味で、北海道の進んだ住宅技術が
明確な数字で評価できる住宅リフォームマーケットを創造しようとしているとも言えるわけで、
雑誌発行者としても、制度の創造の局面に立ち会えていることに感慨の念を持ちます。
しかしながら、国の補助金はいただけたのですが、
なんといっても「単年度事業」という厳しい制約があります。
過去4年間の論議の積み重ね、社会実験の積み重ねがあるとはいえ、
社会制度まで創出しながら、
今年度中に、ユーザーも巻き込んだ実績を作っていくというのは
並大抵の作業ではありません。
現在も、なんとかオール北海道の底力で、
この制度を立ち上げられるように、まさにボランティアで
いろいろな活動に取り組んでいる次第です。
ことし、家の改修をお考えのユーザーさん、
住宅建築の未来を切り開きたいとお考えの事業者のみなさん、
ぜひ、この北海道R住宅への積極的な参加、取り組みをお待ちしています。
<写真は仙台城址の堀>
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北海道・東北の住宅雑誌[Replan(リプラン)]|家づくり・住まいの相談・会社選び
2009年06月29日
床板の玄関扉

散歩の道すがらにこんな玄関扉を発見したしました。
店舗のようなんですが、
設計者や施工者は当然、不明であります。
でも思わず、「いいなぁ、これ」であります。
玄関扉って、建物を建てたらいちばん使用頻度の高い部位。
出入りには必ず使用するわけで、
そういう部分に対して、どういうセンスを持って望むのかは、
建てるひとの感受性を表してくる部分であり、
毎日使う側にとっては、その建物への愛着に関わってくる部分。
ある設計者から、毎日使う場所だからこそ、
その素材とか材質、質感、すべてに満足感が必要だと言っていましたが、
まさにその通りで、見た感じや、さわった感じなど、
感受性のすべてで、受け止めるべきものですね。
で、この扉、一見してそのまんまなんですが(笑)
扉材に古いフローリングを再生利用している。
無垢板で、多くの人間の踏んだ痕跡感が感じられる。
塗料のはげた感じ、素材と時間、使った人間の肌の感じまで
そのまんま、そこから立ち上ってくるような感覚がある。
たまらなく懐かしい気持ちが沸き起こってくるような印象。
取っ手はシンプルなデザインの太めな金属製。
扉の枠も色調が整えられているので、統一感もある。
どうも、歳を取ってくると
こういうデザイン感覚に同意したくなってくる。
結局人間がいちばんやすらぐのは、素材の質感と時間感覚。
ざらついた表情に、こちら側の心象風景も掛け合わせて感受するようになる。
まぁ、こういうデザイン手法、
良くあるのだろうとは思いますが、
なかなか悪くはないなぁと、ひとり納得しておりました次第。
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北海道・東北の住宅雑誌[Replan(リプラン)]|家づくり・住まいの相談・会社選び
2009年06月22日
変形屋根の家

本日は夕方から、ある建築関係の団体からの依頼で
講演を予定しています。
まぁ、定期的に、っていうようにときどき依頼があるのですね。
わたしは建築を専門で学習してきた人間ではなく、
むしろ専門外の雑誌編集・メディア側の発想人間ですので、
住宅建築の専門的な、たとえば断熱や気密といったテクニカルなことは
北海道の住宅を紹介するようなときに触れることはありますが、
そういう話がメインで講演で頼まれると言うことはあまりない。
しかし、住宅は年に100件以上は見に行く機会があるので、
メディア的に興味は深まってきます。
まぁ、強いて言えば、住宅建築に社会的に、あるいは情緒性的に関わっている、
とでも言ったらいいのではないかと思っています。
とくに歴史は大好きなので、
人間の生活,民俗的な視点からのアプローチが大好きです。
それと、マーケティング的な角度も織り交ぜながら、
お話を展開しています。
でもまぁ、講演が専門でもありませんので、頼まれればやりますよ、
っていうような立場でお引き受けしている次第。
毎回、パワーポイントでプレゼン形式でお話ししています。
やはり雑誌なので、写真は豊富に持っているわけで
みなさん、難しい話よりも、きれいな写真の方が見やすいので、頼まれるとも言えますね(笑)。
さて、今回のプレゼン作成で紹介する写真のひとつがこれ。
北海道に住んでいる人なら、よく見かけるタイプの家ですが、
他の地域ではあまり見かけることがない。
屋根が思い切り変形していて、???っていう雰囲気の住宅。
昭和40年代、大手ハウスメーカーが北海道に進出してきて
三角屋根の画一的なデザインが飽きられたことや
長尺鉄板が普及したことで、屋根のデザインの「個性化」が進んだようなのです。
その他の理由としては、雪対策というものもあったのではないかと思われます。
さすがに今日では廃れてきていますが、
北海道の住宅の歴史の中に、エポックを刻んでいるタイプといえます。
北海道の住宅が、日本的な伝統を離れて
より、自由になっていこうとした雰囲気を表していたのかも知れませんね。
ただ、デザインの個性化、というような面から見て、
こういう屋根形状でそれを表現するというのは、
さすがにちょっと、今日的感覚からすれば引いてしまう(笑)。
デザインというものは、こういうものとはすこし違うのではないかと思います。
まぁ、歴史的にはしっかり確認する必要のある住宅の形でしょうね。
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2009年06月18日
住宅検査人

来週月曜日22日に、北海道R住宅の基本的制度になる
「住宅検査人」講習会が全道の皮切りとして札幌で開催されます。
初年度のこの講習会については、費用が無料と言うことで実施。
今年度、国交省の先導的モデル事業で、申請総額が満額で事業認可された
「北海道R住宅」ですが、このまったく新しい住宅リフォームの
スタンダードにとって、
その基本になるのは、第3者的な立場からの「既存住宅の住宅検査」。
この社会システムでは、これまで曖昧とされてきた
既存住宅についての客観的な性能評価が可能になります。
さまざまな評価基準をカルテ化して、目視や測定器具などを使って
わかりやすく「住宅評価」を数値化させることができるようになるのです。
この数値化・見える化こそが、
既存住宅の性能向上型リフォームの基本的な部分。
これまでは、いきなりリフォームの事業者が
「ああ、これはこうだから、こうしたほうがいいですよ、費用は・・・」
というように進行してきた住宅リフォームという分野が、
「この建物の現状評価はこの通りです。これに基づいて改善する方法は・・・」
というように、初めて客観的評価というメスを入れることが出来るようになるのです。
こういう評価を定めるのにあずかるのが、住宅検査人。
住宅検査は、さまざまな側面から過不足なく
客観的な評価が可能なようにカルテが構想されています。
それを使って実際に建物を診断し、
その結果を、「既存住宅サポートシステム」という
北海道が開発したWEB上の履歴保管システムに登録するのです。
初年度の起ち上げ作業。
さまざまな困難を乗り越えて、こういうところまでこぎ着けてきた
北海道の、地方公共団体としての政策立案力はすばらしい。
わたし自身もその中に入ってシステム構築してきたのですが、
まさに、第1歩が、この住宅検査人講習なのです。
現状では、百人以上の参加が見込まれそうということ。
まだ初年度で告知が十分とは言えない中では
まずまずの希望が寄せられてきていると思います。
なんとか無事に船出できるように、祈っている次第です。
<写真は、鎌倉鶴岡八幡宮そばの竹と茅で構成された塀の様子。本文とは無関係>
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2009年06月16日
200年住宅への挑戦

今月22日全国で発売開始されるのが写真の特集号。
題して、「200年住宅への挑戦」。
国が昨年からはじめた「長期優良住宅」住宅施策で
「先導的モデル事業」という募集を行ったわけですが、
それに対して、全国から応募があり、認可を受けた事業が行われました。
多くの事業は、いわばハウスメーカーのモデルハウスの建て替え費用だよ、
っていうように揶揄されたりしておりましたが、
そういうなかで、地方公共団体として北海道は主体的にこの事業に関わり、
合計123戸の補助金交付住宅を完成させました。
交付された金額をすべて事業として達成したのは、きわめて稀有。
地域としてこのような住宅を実際に建てられたのは、
どのようなコンセプトと背景があったのか、
また実際にどのような住宅が建てられたのか、スポットを当てた特集号です。
折しも、今年度も北海道では「北方型ECO」と
リフォーム分野の「北海道R住宅」が事業認定されて、
ふたたび「先導的モデル事業」が継続的に行われています。
そういった取り組みを紹介し、多くのユーザーの関心を高めたい
という狙いも込められています。
全国紙・朝日新聞にも広告を予定していまして、
北海道の住宅技術の確かさを全国のユーザーのみなさんに伝えたいと考えています。
昨年以来、「エコ住宅Q1.0」の全国発売など、
このような広報活動に力を入れてきているのですが、
いろいろな方面から、すこしづつ手応えのある反響が巻き起こってきています。
この「200年住宅への挑戦」は、
北海道がまさに、全国に先駆けて「先導的に」実践してきている
日本の住宅の高性能化の実態が、わかりやすく表現されています。
伝聞では、オバマ大統領が、先般の麻生首相との会談で
北海道の住宅技術について
「ぜひ技術を移転してもらいたい」というように触れたという情報もあります。
やはり次世代型の住宅技術は、こういった北海道標準のものが
高性能なスタンダードになっていく必要がある。
全国有名書店で、22日から発売されます。
一部地域、首都圏などでは20日前後には書店店頭に置かれると思います。
また、先行予約販売を当社HP
http://www.replan.ne.jp/hokkaido/bookcart/b3toku/c1-2009/
でも行っております。
一冊1000円。注目を集める省エネ住宅技術の実例集、
ぜひ、ごらんいただきたいと思います。
ということで、本日は出版の宣伝ブログです(笑)。
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2009年06月15日
住宅用暖冷房エネルギー全国比較

先日の北総研研究発表会の報告から。
国の省エネルギー基準を定める審議会には、北総研の代表者が
主導的な立場で関与していることは、先日書きましたが、
そうした報告から、面白いデータ報告がありました。
全国の地域別の住宅用暖冷房エネルギーを比較したデータです。
って、そういうようなデータもちゃんと国は把握しているのですね。
国、あるいは中央省庁というシンクタンクは、
実にさまざまなデータを持っていると思いますが、
まぁ、当然といえば当然か。
で、やはり面白かったのが、
北海道の地域的先導性。
他の地域は1970年を起点とした家庭内エネルギー使用が
一貫して上昇曲線を描いているのに対して、
床面積の拡大がありながら、
北海道では、一貫して下降カーブを描き続けていると言うこと。
まぁ、ごく最近についてはやや上昇曲線を見せていますが、
他との比較ではやはり特異的といえます。
寒冷という条件から、道民意識としてエネルギーにたいして敏感であり、
そして、その削減方法、基本的には断熱についての理解が
全国で飛び抜けて高いと言うことを表していると思います。
個別の関与事業者のレベルであるとか、
そういうことを超えて、
やはりユーザーが断熱についての基本的知識を持っていることが
一番大きいのではないかと思われます。
確かに、グラスウールだとか、気密だとか、
こういった業界的専門知識に対して
一定の理解力を持っているから、合理的でない工法宣伝に惑わされない
賢明なユーザーが多いと言うことは実感できる部分。
全国を席巻してきた○○ホームが、まったく振るわないということには
そういうユーザーの目線の確かさがあるかもしれません。
さて今週は土曜日に建築家住宅バス見学会が予定されています。
定員20名で募集したところ
なんと倍以上の申込みが来て、バスを2台に増やしたイベントです。
その反動からか、先週土日のイベントはイマイチでしたが、
そういったこともユーザー動向のアンテナではあります。
賢明なユーザーにより豊かな情報を提供するのが
わたしたちの基本的な役割と考え、頑張りたいと思います。
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2009年06月12日
洗面の排管詰まり

きのう朝、事務所の女性社員用の洗面から水が流れない、という申し出。
洗面は2つボウルがあるのですが、
片方だけが水が流れなくなっている。
経年的には同じ時期に設置したので、ちょっとおかしい。
また、他の場所の洗面でも特段、詰まりの症状はない。
いろいろ配管掃除の家庭用薬剤とか使ってみるけれど、
さっぱり効果が出ない。
やむなく、工務店さんに連絡、ほんの1時間かからずに来ていただけました、詰まり屋さん。
って、そんな名前ではないでしょうが、
名刺ももらうことなく、だったので、工事種別も聞きませんでした(笑)。
ただし、詰まりの原因についてはしっかり取材。
原因はどうやらセンサー付きの蛇口にあるようなのです。
もうひとつの蛇口は使用するたびに蛇口を操作するタイプ。
こちらの場合には、一般的に水量が大きくなるので、
石けん垢や細かいゴミなども一気に排出されて詰まらないけれど、
手を蛇口にかざして、そのセンサーで水が出てくるタイプの場合、
水道水使用量が抑えられる利点がある一方で、
一般家庭のような使用回数で納まっている場合、
総体の水量が不足して、ゴミが溜まりやすくなるのだそうです。
高速道のパーキングなどのトイレでは
ほとんどこのタイプですが、
あのような使用状況の場合には、トータルでの使用料は抑えられ、
しかも多人数の使用があるので、詰まることも少なくなる。
というようなことだそうです。
管の中のことなので、さすがに奥が深い(笑)。
水量を抑える効果はあるけれど、
トータルの使用総量とのバランスで考えなければならないのですね。
写真下は、こんなことになって初めてしげしげと見た配管部分。
奥にあるのがセンサー装置なのだそうです。
水道を止めて、管の詰まりも除去してもらいましたが、
大変勉強になりましたね。
で、やはり、こういうメンテナンスにすぐ人が来てくれる安心感って、
深く感謝したくなりますね。
わが社では、地域の工務店さんにずっとお願いしているのですが、
大手ハウスメーカーではこのあたりどうなっているのか、
建ててしまえばあとは知らんぷりというケースも聞きます。
建物とは長い付き合いになっていくわけで、
そういう専門家と、いい関係を築いておくというのは
大変大切な部分だと思いますね。
困った、が、ありがたい、で終われた一騒動でした。
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2009年06月10日
北総研2008研究発表会

きのうは毎年この時期に行われている
北総研(北方建築総合研究所)の研究発表会。
北総研は北海道の外郭組織ですが、
やがては独立行政法人に組織替えすることになっています。
道庁の予算削減などもあって、
組織としての存続の行方は、どのようになっていくのか。
そういうなかで、しかし、北方圏住宅の研究開発で果たしてきた役割は
きわめて大きなものがある。
今回の発表会でも、北総研が大きな役割を担った報告が前段で2つ報告。
ひとつは、長期優良住宅先導的モデル事業の大きな成果となった
「北方型ECO」の北海道の取り組みで中核的な役割を担った報告。
まさに地方自治体でありながら、この北総研のような
研究開発組織を持っていて、地域工務店に対しても指導力を持っている、
という立場を十分に発揮した結果が、
補助金を北海道にもたらした原動力になったものと思います。
もうひとつの報告は、北総研の鈴木大隆さんが中心メンバーになってまとめた
国の新省エネ基準作りの経過報告。
この基準の改定については、わかりにくいと言われていて、
そのことも自身から何度も繰り返されていましたが、
ことし1年間掛けて、全国に普及させていく予定であると語っていました。
現状では、IBECに問い合わせても、担当者ごとで説明が違ったりする(笑)
場合もあり得る、っていうことだそうですが、
まぁ、確かに説明をいろいろ聞いていてもわからないことが多い。
しかし、こうした国レベルの基準作りにも
北総研が大きな役割を果たしている事実は明確。
今後の省エネ推進のためにも、寒冷地建築についての豊かで実証的な
北総研の研究成果は大きな存在になっていくと思います。
こういった研究開発型組織の発表会なのに、
結構大人数の参加がありまして、
会場は7割方は埋まっておりました。
最新の研究開発の事情を把握したいと、全国から逃さず見に来ている、
っていうようなみなさんも多く、全国レベルでの関心の高まりを実感します。
一方で地元の工務店さんも何軒か、社員が参加というケースもあり、
地域性と、全国的な広がりの両方を感じることが出来ました。
研究のテーマも多く、発表会は実は2日間連続開催でした。
まぁ、さすがに両日参加は困難ですが、
大きな成果はあったものと感じました。
それぞれのテーマについては、CDなどに詳しくまとめられてもいますので、
今後、じっくりと確認してみたいと思います。
なかには、たとえば「耐震性と断熱性の両方を一気に解決する手法」研究など、
これからの既存住宅性能向上のベースになる技術なども
北総研の大きな役割が発揮されたものとして発表されています。
追って、それぞれ取り上げてみたいと考えています。
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2009年06月09日
リフォーム用気流止めGW

室蘭工大の鎌田先生研究室でのアイデアから生まれた
既存建物の断熱気密改修用の「圧縮グラスウール」。
いろいろな実証実験を経て、もう少しで完成と言うところまで来ているようです。
写真のような形状で、これに梱包と気密材を兼ねるビニールを
もう一工夫して、完成という形なのだそうです。
で、こういう形状で現場に運ばれて、
現場備え付けの「掃除機」で内部の空気を脱気して
土台と壁の突き合わせ部分に挿入し、
その後、ビニールをカットして既存の壁の中で膨らませ
断熱層・気密層を構成しようという材料。
ことしから北海道で取り組む、断熱性向上型リフォーム「R住宅」の
大きな技術的なバックボーンになっていく期待が膨らみます。
確かに、今回のR住宅が性能基準として求めている
気密性能2.0cm/m2という数値は、達成が難しいと言われていますが、
ぜひ、こういった技術を活用して、
多くのみなさんが取り組んでいただきたいと考えています。
既存の建物の状態にもよるわけですが
この技術、大いに広まっていって欲しいものだと思います。
しかも、新住協で発表される技術は基本的にオープン技術として
公開されています。
きのうは先週の会議づくめの間に溜まっていた
整理作業、対応作業が山積み。
ちょっと対応しないでいると、あれやこれや、
段取りが進んでいかない仕事がたくさんある。
机の上はそういう書類やら、資料やら、連絡メモやらで一杯になってしまう。
そういうのに対応するのにきのうは1日かかったのですから、
4〜5日程度で、1日かかるって、
こういうのは確実にしとめ続けないと、
なかなか、手強いゴミの山になってしまうのですね。
既存に対応する、って結構、根気はいる次第ですけれど・・・。
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2009年06月06日
市民会員で参加の国会議員さん

きのうは新住協の年に一度の総会。
朝9時からスタートして、午前中に組織としての総会を終わって
基調講演、午後からは研究発表などが相次ぎ、
終了したのが午後5時半。
そこから会場を変えて懇親会も行われました。
写真は、懇親会の会場の様子。
新住協って、これまでの総会でも
いわゆる来賓祝辞というようなものってなかった。
それだけ実質的な住宅技術研究開発型の組織だったのですが、
運動の広がりが大きくなってきて、
今回は4名の来賓が来られていました。
とはいっても、住宅に関連する組織からの公務として参加のような方たち。
そんななかで、来賓あいさつにも立たず、
その後の懇親の席であいさつされて初めて来場を知ったのが、
参議院議員の中村てつじさん。
民主党の所属で、奈良県選出の議員さんです。
中村さんは、全国発売されたわたしどもの「エコ住宅Q1.0」などの
雑誌を知っていただいて、数十冊単位で購入され、
国会議員さん仲間や、中央省庁などに「北海道ではこんなにいい住宅を建てている」
と、大いに住宅政策的な立場から活動いただいています。
そんなことで、いろいろにお話しさせていただきました。
いま進めている「北海道R住宅」についても、
わたしどもの雑誌をごらんいただいていて、
「大変わかりやすかったので、利用させてもらいました(笑)」
と、おっしゃっていました(笑)。
新住協の進めている地域工務店の技術向上、地域活性化の努力に
賛同していただいていて、大いに共感できた次第。
その後、「地域工務店さんの声をもっと聞きたい」と
2次会でも多くのメンバーと活発に意見交換されていました。
国会議員さんの議員連盟も最近、超党派で組織されています。
地域工務店の立場に立って活動してきた新住協の運動が
このような国会議員さんたちのレベルでも広がりつつあるのです。
工務店メンバーのみなさんとも、現状の国の住宅政策について
忌憚なく意見を話し合って、いろいろに認識を深めていただけたようです。
しかしそれよりなにより、
国会議員という立場でありながら、
一市民の立場として、このような民間団体の総会に出てくるという
姿勢に大きく感銘を受けました。
国の住宅政策の進み方に
わたしどもの雑誌が志向している「地域で暮らす工務店」の立場が
すこしでも反映されるような方向になっていって欲しいものだと
強く念願する次第です。
北のくらしデザインセンター
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2009年06月01日
ヒバ樹皮の「断熱」素材

写真は、道南・上ノ国の笹浪家住宅外壁。
表面に扱われている素材は何かなぁ、と見ていたらボランティアの方が
「ヒバの樹皮です。断熱効果を期待していたそうです」
という説明をしてくれました。
北海道日本海側地域は、
北前交易など、伝統的に日本海側地方からの移民が多く、
この住宅も「能登屋笹浪家」という出自をそのまま屋号にしたもの。
一般的に家の次男三男といった存在が
「一旗」組として北海道に可能性を夢見て
初めは労働者として移住し、
徐々に船を持ったりして、自立を図ったのでしょう。
そういった事例は、山形県酒田から来た「青山家」など、
たくさんの事例があります。
この笹浪家もそういった家系出自をもった家。
享保年間に能登から、この地にやってきたということですから、
約300年前くらいのこと。
この建物は、何回か改築されてきたもので、
江戸末期から明治初年に建てられたものと言うことです。
寒冷地住宅として、この地に住んで百数十年経過した家系なので、
なんとか、寒冷条件を克服できないかと
考えている痕跡がこの「ヒバの樹皮」貼りの外壁。
日本家屋の伝統技術には寒冷地用の技術は大変乏しいので、
この樹皮を貼る、という考え方はたぶん、蝦夷地アイヌの
住宅などからヒントを得てのことだったのではないかと思われます。
樹皮は油分が多く含有されているので、
たとえば平安期北海道の原住民の住宅では、
防水・防腐の効果を期待したような使い方が復元住宅などで行われています。
漁労労働力として、あるいは交易の相手として、
アイヌとふれあう中で、
そういった知識、「技術」などを見聞きしていた可能性はある。
で、そういった知識を膨らませて、
原木のヒバの樹皮をていねいに剥いで、
住宅の外壁に貼り込むという知恵の飛躍を試みたのでしょう。
この住宅の屋根には柾目板が使われていますので、
木材を薄物として利用するような大工技量を持った棟梁が
このような工夫を考えついたものでしょうか。
残念ながら、現在は保存建物で住んではいない建物ですので、
冬期間の暮らしようはどうなのか、
証言は得られませんでしたが、どうなんでしょうか。
まぁ、その後、樹皮の建物外皮が普及したという話も聞いたことがないので、
いわゆる「暖かさ」という点では、
期待したほどの効果は出なかったのではないか、と思われます。
しかし、きわめて風の強い地方ですので、
面で風を受け流す、という意味では「防風」的な効果は
あり得たものかも知れません。
日本建築として、ギリギリの防寒的試みとして、
ちょっと興味を抱いた外壁でした。
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2009年05月07日
重厚な建具文化

写真は増毛に保存されている重要文化財・本間家の
商家部分の区切りの建具。
こういう商家の建具って、実に多彩な工夫が凝らされていて
目を見張るほどなんですね。
なによりも手仕事での造作なんですが、
その造形のみごとさに圧倒される。
この建具では、かんぬきが仕込まれていて、
閉めると自動的にロックがされる仕掛けまで施されている。
たぶん、それを開放する鍵の仕掛けもあるのでしょう。
構造材は重量感のある広葉樹種の脂身のある材が使用されています。
一目見ただけで、相当の熟練の工務であり、
工芸品に近い出来映えであります。
いつも思うのですが、こういう実用の建具って、
その手仕事のレベルで言えば、工芸品を上回っていて、
しかも日常使いの実用の用を完全に満たしている。
日本の手仕事、職人のレベルの高さをみごとに証明していると感じます。
ただし、工芸品のように移動可能ではないので
仕事への価値、売買価格というような部分では評価されない。
なんとも不思議なものだなぁと思っています。
一度など、秋田での取材だったですが、
ものすごい重量の立派な建具が家の中で使われていて、
聞いたら、建て主さんがインターネットで購入したのだと聞きました。
ところが、100kgは軽く超しそうな超重量物で
しかも材料は、もう入手困難と思われる本物素材でありながら、
値段を聞いてびっくり。
なんと、輸送費も10000円程度の宅配便扱いで、
本体価格も20000〜30000円だったものでした。
宅配便価格は寸法に対してしか値段規格がなくて
ものすごい重量物にもかかわらず、タダ同然だったと聞きました。
いかに日本では、こういう建具の価値について評価がないか、
よく表しているお話しだなぁと思った次第。
しかし、以前に見た余市の漁家の蔵の扉のみごとさなど、
ちょっと筆舌に尽くしがたかった。
こういう建具文化に対する価値観の低さって、
そのうちに必ず見直されると思います。
いいものを永く使って、エコロジカルに、というのが
本物の流れであれば、やがて必ず見直されると思うのです。
ただ、現状では、住宅建築の側では、
施工の簡易性や、合理性にばかり目を奪われていて
こういう手仕事の価値観について正当な評価がない。
こういうみごとな昔の手仕事を収集しておくと、
そのうち、「お宝鑑定団」で超高額な資産になるかも知れません(笑)。
いまから、買い占めに入ろうかなぁ(笑)。
北のくらしデザインセンター
NPO住宅クレーム110番|イザというときに役立つ 住まいのQ&A
北海道・東北の住宅雑誌[Replan(リプラン)]|家づくり・住まいの相談・会社選び
2009年05月05日
紙越しの採光

ゴールデンウィーク、好天が続きますね。
きのうは足を伸ばして、増毛方面へ。
坊主はバスケットと言うことで、カミさんと母親、3人での行楽。
増毛は、古くからの酒蔵が観光の中心になっていて、
その本宅としての旧家も重要文化財に指定されて
ミニ小樽的な観光条件が整ってきていますね。
札幌からは海岸線をずっと北上するコースなので眺望が良く、
途中には豪快な滝があったり、
岩尾温泉という泉質の良い温泉施設で日帰り入浴も楽しめます。
きのうも街の中は大変混雑を見せていまして、
なかなかの人出でした。
ということで、カミさんの母親に観光案内しながら。
写真は、旧本間家商家の見学です。
酒を造ったり、海運業を行ったり、
明治以降は銀行を開設したりと、地域最高の有力者の邸宅です。
さすがに結構を尽くしておりまして、
書の類、ふすま絵など、豪華な調度が飾られています。
こういう旧家でいちばん感じるのは、
障子越しのやわらかな採光がもたらす心地よくコントロールされた明るさと暗さ。
紙で内と外の結界を造り、
採光の要素ももたらせているという空間って、
アジア的な独特なものなのでしょうか。
幾何学的な格子組と紙による繊細な採光。
それが室内に入ってくる光を統御している。
床に写り込む格子模様やらが、この写真のような広縁の鏡面に反射して
日本人が永く愛してきたような空間性を形作る。
ここは寒風吹きすさぶ日本海北端に近い寒冷地ですが、
いっとき、春から夏にかけて半年程度は
日本的な風情を堪能する「高級住宅」要件を実現していた。
というよりは、建築技術の問題として、
こういう雰囲気以外に、日本には「よき住宅」という概念がなかった。
左側の庭に対しては一面のガラス建具が障子の外にあるので、
それがかろうじて、室内の空気を外界から区切り、保持する装置。
こういう富豪の住宅でも、
建築技術者は、本州地域から「出稼ぎ」で来ていたのでしょうから、
この地に似合った高級住宅を創造する、という情熱は持てなかった。
半年は破綻する生活だけれど、
まぁいいや、という形で思考を放棄したものでしょうね。
今日でも、北海道の気候風土を考えたとは言い切れない建築が
「出稼ぎ的な建築技術者」が東京からやってきて、
たくさん建てられているのが現実。
それが「建築文化」だと言われれば、まぁしょうがないとも言えるけれど、
寒々しい家で耐えていかなければならないのはやや滑稽ではあります。
要は、こういう雰囲気の良さを
寒冷地的に活かして実現すればいいわけで、
それには、理解と知識、技術がどうしても必要なのですね。
北のくらしデザインセンター
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北海道・東北の住宅雑誌[Replan(リプラン)]|家づくり・住まいの相談・会社選び
2009年05月01日
間取りのオープン化と階段

階段っていうと、どんなイメージを持たれるでしょうか?
一般的にはひたすら機能性であって
「階段室」という区切られた壁の中を直線的に、あるいは回り込みながら
上下階をつなぐ、という役割を果たす存在。
日本の古い家屋では、けっこうな旧家でも
まるで「はしご」に近いようなものも散見される部位です。
一方では、欧米文化世界では
入り口を入ってすぐに優美な曲線を見せる「アップステアーズ」っていう雰囲気の
「見せる階段・装飾的な階段」っていうようなものもあります。
日本では構造強度的に2階建てというのはごく近年まで発展せず、
一方、欧米では木造がツーバイフォーで構造が安定して、
安心して2階建てを建てる建築文化が発展したので、
こういう「見せる階段」文化が生まれたものでしょうか?
で、最近、こういう流れとは違って、
間取りがオープン化してきて、
ある必然性を持って、階段が重要なファクターに変化してきていると感じます。
というのは居間の拡大傾向。
大型テレビの影響で居間が面積拡大し、
その分、他の部位を取り込みつつあって、
その流れから、「階段室」というような面積的ゆとり部分が
真っ先に目を付けられて、居間に取り込むという形が増えていると感じます。
で、そういうふうに変化してくると、
階段のデザインっていうのが、かなり問題になってくる。
写真は、十勝地方の高性能住宅の階段。
熱損失が究極的に少なくなってくると、
家中の仕切り壁というのも必要性がなくなってくるというか、
大きな一体空間の方が熱環境的に合理的なので、
勢い、階段が面白い位置を占めるようになります。
この家では、階段の半ば、踊り場がちょうど手前側・食堂に
面して配置されています。
「ごはんができたよ〜」
「は〜い、あ、きょうはカレーだ」
「そうよ、早く階段で止まっていないで、降りてきなさい(笑)」
みたいな、家族の会話にワンポイントが加わってくると思います。
食べるという行為が、より家族関係を円滑にする仕掛けになる。
階段の位置で、こんなライフデザイン変化が生まれてくる可能性がある。
動線と、ゾーン配置の変化が微妙な面白さを作り出すのではないでしょうか。
どうなっていくか、楽しみな部分だと思っています。
北のくらしデザインセンター
NPO住宅クレーム110番|イザというときに役立つ 住まいのQ&A
北海道・東北の住宅雑誌[Replan(リプラン)]|家づくり・住まいの相談・会社選び
2009年04月25日
緑と住まい

写真は川崎市にある「日本民家園」でのもの。
日本の住宅は、都市部の賃貸住宅・長屋は別にして、
けっして短寿命なものではなく、
こんにちの行政機構が目指しているといわれる
「長期優良」なものとして、地方の農家住宅などで長く存続してきて、
多くの場合、数百年間、大切に使用され続けてきたものだといわれます。
それらは、研究すればするほどシンプルに
機能性と、性能を考えてきたものであり、
そういう「先人の知恵」が、DNA的にデザインマインドも支配して来ている。
家って、結局は「癒しの場」であり、
人間が癒される、っていうことにはやはり基本的なものが存在する。
そんな思いが段々強く感じられるようになっています。
写真のような光景、
みなさんも、きっと「どこかでみたことがある」
っていうように感じられないでしょうか?
こういう緑の額縁を通して、その先に日だまりのような空間が広がり
大きな屋根が差し掛かっていて、
ひとを包み込むような安心感を伝えてきている。
旅の中で、巡りあったときにすらこういう感情を抱けるのだから、
ましてや、こういう住まいがわが家であったとき、
その情緒性は、計り知れないくらい痛切なものになる。
こういう住まいに帰り着き、
乾きを癒し、飢えを癒し、ここちよい睡眠を得るときに
人間はこころのすみずみまで、癒されたと感受すると思う。
どうも、この写真の光景、
思わず写真に収めたものだったのですが、
繰り返し、見続けていて、
なんとも飽きずに見ていることができる光景なのですね。
やはり、緑と住まい、というものが決定的なのかも知れませんね。
「家と庭」と書いて、家庭と、よく言われますが、
単純にそういうことで、シンプルに考えればこうなる。
こういう基本要素を、どうやって現代の暮らしの中に
再構成していくべきなのか、
っていうのが、家づくりの目指すべきものなのでしょうね。
北のくらしデザインセンター
NPO住宅クレーム110番|イザというときに役立つ 住まいのQ&A
北海道・東北の住宅雑誌[Replan(リプラン)]|家づくり・住まいの相談・会社選び
2009年04月12日
マンションで漆喰塗り

出張から帰ってきて、きのうも早朝から大忙し。
午後からの「建築家イベント」を前に
朝一番で、いまやっているマンションリフォームのメインイベント。
そうなんです、漆喰塗装仕上げをやるんです。
マンションといえば、ビニールクロスにカーペット仕上げというのが
定番だと思うのですが、
そういう既成観念を打破する工事をしたかった。
機能面で言えば、密閉性の高いコンクリート駆体のなかで
空気環境は、あまり考えられているとは言えないのがマンション。
構造は木造一戸建てとは違って、考慮のしようがないレディメード。
断熱も、外側でやりたいとなっても、
それはマンション自治会全体での取り組みにならざるを得ない。
ということで、区分所有のユーザーがマンションに手を加えるという場合は
水回り設備の更新くらいしかないと思われている。
なんとか建築的な感激をユーザーに感じてもらえる手はないか、
そんな考えで取り組んでみたひとつの答が、
この「漆喰の塗り壁」というものなのです。
まごうことなき、本物の質感を味わうことが出来る素材そのもの。
マンションという、どこか「仮設」的な生活装置に
一点だけでも、存在感のある、空気感を支配する
いわば、「沈黙を支配できる素材の世界」を演出できるとすれば、
やはり、圧倒的な量感をたたえる「本物の壁」しかないだろうと思った。
まぁ、言葉で言えばこんなことなんですが、
簡単に言って、静かにたたずんでいるときに、視線がなんとなくなごむような壁って、
結局、本物の素材しか、行き着かないんですね。
ビニールクロスの、陳腐な模様の壁だけを見つめていても
人間の心象風景に「質感を楽しむ」というこころが芽生えてこないのではないか。
どこか、そんな思いがするのですね。
きのうは、塗りむらの感じとか
オーナーさんに実体験もしてもらいたいと考えて
見ていただき、実際に塗ってもいただきました。
手応えのある漆喰自体の重量感も感じて、それが壁に仕上がっていくプロセスも
記憶の中にとどめていただくのですね。
よく塗り壁工事では、施主さんの手形があったり、こどもさんの足形があったりします。
こういう「手業」が残されている、というのも
ほかのどこでもない「特別な空間」としてのわが家、という意識を育む。
っていうことでしたが、
実はわたし自身が、いちばん、楽しい思いをしておりました(笑)。
いいんですよね、この「スイス漆喰」の壁って。
いやぁ、予想以上の「凛とした」壁、という印象を持てて、
まことに清々しい気持ちが立ち上っていました。
写真の壁面は大体、5m×3mくらいの壁なんですが、
そこに30kgくらいの漆喰が塗られるワケなんです。
よく「重量感のある壁」みたいな言い方をしますけれど、
本当に、それくらいの「重量物」が壁に加えられていくんです。
そういうことなので、下地としての壁も強度が考えられる必要がある。
前日までに、そういう下地処理も行っていただいておりました。
夕方、用事を片付けたあと、
ふたたびチェックしてきましたが、対面する2面の壁が
みごとに漆喰の穏やかな表情で出来上がっておりました。
なにかこう、グッとくだけてくるような雰囲気の空間を感じることが出来ます。
来週土曜日18日には、現場公開を考えています。
ぜひ、いい壁(笑)を感じていただければ、と思います。
北のくらしデザインセンター
NPO住宅クレーム110番|イザというときに役立つ 住まいのQ&A
北海道・東北の住宅雑誌[Replan(リプラン)]|家づくり・住まいの相談・会社選び
2009年04月02日
サスティナブル住宅賞発表

(財)建築環境・省エネルギー機構っていう長い名前の
政府機構があります。
天下り団体といえば、その通りなんですが、
省エネルギーの推進という政策の上では役立っている団体。
略称で、IBECというように言われています。
ここでは毎年のように
「サスティナブル住宅賞」という省エネの観点を重視した
住宅の賞を発表しています。
なぜか、平成17年、18年と続いたのに19年がありませんでした。
どういう経緯だったのかは不明なんですが、
首都圏を基盤として、こういう住宅の情報を集める、
その作品性も論ずる、という場合、
応募作品そのものの数を集めるのに苦労する、という現実はあると思います。
東京の設計者は、やはりこのポイントについては
無理解な人が多い。
そういう部分に力を入れるよりも、
表面的なファッション的なデザインに傾注した方が
受注に結びつきやすい、ということが大きいのだと推察されます。
いわゆる、建築専門雑誌などでも、
温熱環境についてまったく顧慮していない
「スカッとした」デザインの住宅ばかり、
壁の薄さをことさらに強調するようなデザインが主流。
そういう環境の中では、断熱や気密、省エネを十分検討する、
っていうようなことは、野暮ったいと考えるのでしょうか。
北海道から見ていると、理解しがたいようなデザイン手法が
もてはやされていると感じます。
そんな状況で、応募を募るような動きが
新住協などに寄せられてきていました。
新住協は北海道を発祥とする高断熱高気密住宅の中心的運動体。
むしろ、これまで、どうしてアプローチがなかったんだろうと不思議なくらいでした。
ようやく、中央省庁からも、こういう動きが出てきたようですね。
で、平成20年度の受賞作品がめでたく発表された次第です。
グランプリは、新住協秋田支部の池田建築店が施工した住宅。
設計は、室蘭工業大学鎌田研究室と、西方設計さん。
Replan誌面では2年前くらいに取材、掲載した住宅で、
このブログでも、何回か、その様子をお伝えしています。
Q値が0.6レベルという最高水準のもので、
しかも日射熱取得について、非常に簡易な工夫でユニークな試みを行っている住宅です。
そのほかの作品も、JIA環境部会の、環境建築賞受賞作品が多く、
この新住協と、JIA環境部会のどちらか、という様相。
たぶん、IBECとしても、こういう運動体に期待を高めている、
という状況なのではないかと思われます。
今日の社会の状況の中で、環境的な建築というものに興味を持たない
そういう姿勢は、どうも同意しにくいと思っているのですが、
この賞などが、先鞭を付けていくようになってほしいものと思います。
北のくらしデザインセンター
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北海道・東北の住宅雑誌[Replan(リプラン)]|家づくり・住まいの相談・会社選び
サスティナブル住宅賞発表

(財)建築環境・省エネルギー機構っていう長い名前の
政府機構があります。
天下り団体といえば、その通りなんですが、
省エネルギーの推進という政策の上では役立っている団体。
略称で、IBECというように言われています。
ここでは毎年のように
「サスティナブル住宅賞」という省エネの観点を重視した
住宅の賞を発表しています。
なぜか、平成17年、18年と続いたのに19年がありませんでした。
どういう経緯だったのかは不明なんですが、
首都圏を基盤として、こういう住宅の情報を集める、
その作品性も論ずる、という場合、
応募作品そのものの数を集めるのに苦労する、という現実はあると思います。
東京の設計者は、やはりこのポイントについては
無理解な人が多い。
そういう部分に力を入れるよりも、
表面的なファッション的なデザインに傾注した方が
受注に結びつきやすい、ということが大きいのだと推察されます。
いわゆる、建築専門雑誌などでも、
温熱環境についてまったく顧慮していない
「スカッとした」デザインの住宅ばかり、
壁の薄さをことさらに強調するようなデザインが主流。
そういう環境の中では、断熱や気密、省エネを十分検討する、
っていうようなことは、野暮ったいと考えるのでしょうか。
北海道から見ていると、理解しがたいようなデザイン手法が
もてはやされていると感じます。
そんな状況で、応募を募るような動きが
新住協などに寄せられてきていました。
新住協は北海道を発祥とする高断熱高気密住宅の中心的運動体。
むしろ、これまで、どうしてアプローチがなかったんだろうと不思議なくらいでした。
ようやく、中央省庁からも、こういう動きが出てきたようですね。
で、平成20年度の受賞作品がめでたく発表された次第です。
グランプリは、新住協秋田支部の池田建築店が施工した住宅。
設計は、室蘭工業大学鎌田研究室と、西方設計さん。
Replan誌面では2年前くらいに取材、掲載した住宅で、
このブログでも、何回か、その様子をお伝えしています。
Q値が0.6レベルという最高水準のもので、
しかも日射熱取得について、非常に簡易な工夫でユニークな試みを行っている住宅です。
そのほかの作品も、JIA環境部会の、環境建築賞受賞作品が多く、
この新住協と、JIA環境部会のどちらか、という様相。
たぶん、IBECとしても、こういう運動体に期待を高めている、
という状況なのではないかと思われます。
今日の社会の状況の中で、環境的な建築というものに興味を持たない
そういう姿勢は、どうも同意しにくいと思っているのですが、
この賞などが、先鞭を付けていくようになってほしいものと思います。
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北海道・東北の住宅雑誌[Replan(リプラン)]|家づくり・住まいの相談・会社選び
2009年03月27日
一体化した高性能窓・ブラインド

先日の展示会で見かけた高性能窓です。
室蘭工業大学の鎌田先生もよく言われるのですが、
窓ガラスが3枚も使うようになって
断熱性能が向上しているのだから、
その内部に、ブラインドを入れ込んでしまえば、
最高の品質・性能・使い勝手をユーザーに提供できるはずだ、
っていうことですね。
ところが、たぶん、技術的にというよりも
マーケットに投入しても価格的な問題で投資に見合う需要を得られない
という判断が大きくて、
なかなか、踏み込むメーカーがなかったというところなんだと思います。
そんななかで、この商品は北米地域で発売されているもの。
扱っている建材店の方に聞いても、説明はイマイチわかりにくかったのですが、
コンセプト自体は大変明確。
この窓は、ガラスが2枚で、そのなかにブラインドが仕込まれていました。
このブラインドの使い勝手をよくしながら、
同時にペアガラスの密閉性を高める、というのが
開発上の最大のポイントなんだろうと推定できますが、
慣れないせいか、扱い方がちょっとわかりにくかったです。
わが家には、北欧製の窓が入っていますが、
施工した工務店の方は、見たこともない扱い金物だったので、
開き方を説明できなかったことがあります。
きっと、この窓も、実際に施工されたら、
そのあたりの商品説明が必要だろうと思います。
この窓を見学したあとになって、
先日、木製窓でペアガラス+内窓という構成の窓で、
真ん中に、ハニカムサーモスクリーンという
断熱ブラインドを仕込んだ窓の施工例を見ました。
現状で考えられる高性能を突き詰めていくと、理の当然でこうなる、
っていうような、そのものズバリの窓です。
価格的には確かに高くなっては行くのだけれど、
窓にぴったり、性能的にも似合ったカーテンシェードの役割も果たす。
日射遮蔽という意味あいもバッチリ。
そういう意味で、ユーザー側からすれば、すべて満たされた窓になるわけです。
家に外光を招き入れ、外部の風景を切り取って楽しみ、
しかも、室内の環境をがっちりと守ってくれる、完璧な窓なんですね。
そういう装置の安心感、っていうものは住宅への価値観の中で
けっこう大きい部分の価値なのではないかと思います。
少なくともプロのみなさんは
こういう装置への理解を持ってもらいたいと希望します。
ということで、ようやくWBC、終わることが出来ましたね(笑)。
ダルビッシュ君、ことしも一段と成長したピッチングを期待します。
ことし、わが北海道日本ハムファイターズは、けっこう進化しているのではないかと
密かに期待しております。
もうすぐ開幕ですが、札幌ではさっそくダルビッシュと岩隈の
対決という、どうやら点が入らなさそうな、1-0くらいの
しびれるような試合からスタートしそうです。
なによりこのふたりの対決なので、
パリーグの試合が、トップの扱いで始まりそうですね。
大いに期待しています。
北のくらしデザインセンター
NPO住宅クレーム110番|イザというときに役立つ 住まいのQ&A
北海道・東北の住宅雑誌[Replan(リプラン)]|家づくり・住まいの相談・会社選び
2009年03月26日
クルマに、住む

さて、やっと落ち着いて住宅ネタに帰っていきたいと思います(笑)。
にしても、やっぱり熱狂しました。
野球は、日本の国技になって参りましたね。
これだけ多様化した社会で、多くの国民の大注目をこれだけ集めうるのは
やはり、野球くらいしかない。
終わってみると、世界中で野球がこれだけWBCに積極的に取り組んでいたのは
極東の2国とキューバなどの国だったのですね。
ことしの野球、シーズンも大いに盛り上がる予感がします。
さて、話題転換(笑)。
現代生活とクルマは、切っても切れない関係。
クルマって、本格的に発明登場してから
まだ、100年にもなっていないけれど、
世界を変えてしまったという意味では、ものすごい変化をもたらせた。
わたしの父親など、体が大手術ですっかり弱ってからでも、
ひょいひょいとクルマを運転しておりましたが、
「移動する」ということが、これほど直接的に実現できる機械って、
たしかに、人間を夢中にさせるものです。
それまでの社会のことって、一回変わり始めると忘れるものですが、
船が基本的な運搬手段だったのですね。
だから、発達した都市には運河網がきめ細かくネットワークされていた。
そういう好適地が、大都市としての基本属性を備えた存在だった。
道路網の整備と、クルマの増大が一体になって進んだのが
20世紀中葉以降の世界の基本的変化だった。
いまでは、全国に高速道路網が完備して、
移動が、実に簡便な社会が実現している。
エネルギーの問題はあるけれど、
その問題解決も、やはりクルマメーカーが主導する形で実現するように思われます。
ホンダと、トヨタのハイブリッド車の戦争が
今後のクルマ社会をリードしていくのは明らか。
住宅でも、いろいろにクルマは関係するのですが、
近いところでは、システムキッチンはクルマと競合関係にある、
っていうようなマーケティングデータなんてのもありました。
先日の住宅設備の展示会で、出展していたのがこの写真。
突き詰めていって、クルマに住むのかなぁ、っていうことなんですが、
どうも、説明が合点がいかなくて
わかったようで肝心のことがわからなかった展示でした。
集まってくるのは、住宅関係の事業者のみなさん。
それに対しての展示なのだから、
っていう前提で見ていて、どうも訴求ポイントが不明。
時間もないし、まぁ、いいや、いいじゃん、これ、
っていうような感じで見ておりました、実にいい加減な次第(笑)。
でも、「クルマに住む」って、
個人的に惹かれるものはありますね。
リプランでは、「コンパクト」という特集をやったのですが、
究極的には、こんなふうに暮らすって言うのも、
「茶室」という文化を持っている日本人としては、
悪くないと感じる部分ではないでしょうかね。
立って半畳、寝て一畳、移動できてミニバン暮らし。
っていうような、現代的「方丈記」の世界が見えてくる感じがいたします。
団塊の世代の、終の棲家のかたちとして、
こういう世界を実践する人たちが出てくるかも知れない、
という夢想を、ずっと持っているのですが、
どうなのでしょうね。
北のくらしデザインセンター
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2009年03月23日
沈黙するレンガ壁面

先日の建築家住宅バス見学会より。
フーム空間計画・宮島豊さんの設計住宅の様子です。
台所の壁面って、一般的には脂汚れを拭き取りやすい白っぽいタイルが一般的。
なんですが、この家ではごらんのようなレンガ仕上げ。
宮島豊さんの住宅ではほぼこの仕様で、大好評ということ。
全体に落ち着きのある陰影感に満ちたインテリア空間が
特徴なんですが、
そういう雰囲気が、最近の「建築デザイン」の素材感に乏しい
壁の薄さを強調しているようなデザイン傾向とは一線を画しています。
で、そういう空間を、徹底的に機能性を強調しながら
建て主さんに説得するのです。
このレンガ壁面も大変理にかなっているのですが、
出来上がってみると、この質感がなかなかいい。
半割レンガをタイルのように張り込んでいく仕上げなんですね。
ざらざらとした質感が、ステンレスの台所機器と対比的で
インテリア的な納まりがシック。
よく聞くと、このレンガは、いわゆる「ハネ」品と呼ばれるもので、
野幌のレンガ工場でも製品出荷できないもの。
安価なものなんですが、でも、使い方で高級感を見せる。
お金の使い方、なかなかうまいなぁと感じます。
それにしても、最近の東京を中心とする建築家住宅の
「シンプルモダン」ぶりって、
ちょっと、どうなんだろうかと思われます。
住宅というのは、そこで成長する子どもの「こころ」を編み上げていくものだと思うのです。
子育ては「錦を織る」仕事なのだ、という言葉を聞きます。
さくらさくらんぼ保育の考えの基本のような言葉。
人が生きていくときに、こころの「襞」のようなものが
絶対に必要であり、他者への「思いやり」というような
暖かみのある人格形成に預かっているのではないかと思うのです。
そのように見てくるとき、
あくまでも白く、スカッと開放的で、壁の質感を否定しているような
デザイン空間って、どうも薄っぺらさを感じてしまう。
こういう空間で、「さめざめと泣く」っていうような成長期の貴重な体験を
いまの子どもたちは、得ることが出来るのだろうかと
つい、考え込んでしまうことが多いのです。
そんななかで、こういう質感を重視した空間作りを心がけている
住宅を見ていると、やはり安心できる。
こころに「沈黙」を得ることが出来る空間、っていうような
そんな感覚が迫ってきます。
みなさんいかが感じられるでしょうか。
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2009年03月16日
建築行政の制度設計ということ

先日の東京出張でいちばん聞きたかった講演がこれでした。
野城智也先生という東大の建築の先生なのですが、
専攻は、建築を巡る社会システムの方なんですね。
建築にもそういう分野があるということを初めて知った次第ですが、
ちょうど、国が進めている「長期優良住宅」施策の基本を方向付けている中心メンバー。
こういう考え方が、長期優良ということの概念を規定している。
講演の内容は大変多岐にわたっているので、
時間を見て、しっかりまとめたいと思っています。
この講演の中で、大変面白かったのが、
日本の注文住宅である農家住宅は大変優良な長期優良住宅であるという点。
日本住宅の数量的な大部分を占める都市住宅は基本的に賃貸住宅であり、
確かに、構造的にも、社会システム的にも簡便な作られようで作られてきたけれど、
きわめて資産性を考えて作られてきた農家住宅は
基本的に数世代にわたって継承され、
大規模な修繕などの手も加えられながら、
数百年間の長きに渡って延命してきた建築ばかりであるとされていました。
まさに、言われるとおりだと同意できます。
日本の普通の考え方に木造建築のもろさ、みたいな誤解が
長くはびこっている気がします。
それは、度重なる都市圏での大火火災の経験が、
いわば、社会的な常識として、木造は燃える、
という安易な常識を形成してきたと言えるのだ、ということ。
そして、長期優良住宅を考えるには、
延命を担保する、社会的なシステムを設計することのほうが
建築自体の強度をどこまでも重装備にするよりも、
はるかに効果的であり、追求すべきである、という考えなのですね。
こうした考え方から、
究極的には、各戸に「住宅ID」を付与し、
その作られようが常に明確に把握できるように
建築を構成するいろいろな素材にICタグを埋め込んで
常にチェック可能にする、というような方向性を目指しているようなのです。
そのための「社会実験」は多様に取り組まれているようであり、
その様子も詳細に報告されていました。
わたしのブログでも、江戸中期の農家住宅の家屋記録保管を
ご紹介したことがありますが、
まさにそのような社会的なシステムが必要なのだと言うことですね。
ただし、江戸期には「家制度」が明確化して、
長子相続システムが基本的社会システムとして根付き、
権力の側でも、それを積極的規範として社会に強制した、
というような事実が大きかったと思います。
もし今日、長期優良住宅を社会システムとして考えるべきだというのであれば、
実は、この「家制度」という延命システムの代替制度創出まで
取り組んでいく必要があるのではないかと思われた次第です。
それは、民族的なレベルの同意形成が必要であり
単に、ICタグで解決出来る問題ではないのではないか、
根本的な問題に注目しながら、
そこから出てくる結論はどうにも目先的ではないのか、
というような思いが募ってきます。
いうまでもなく、今日社会では
結婚すら共通的な社会規範とは言えなくなっているような
「個人」を基本的な単位とした社会形成が行われており、
「家」の存続を、必ずしも保証するような社会システムではない。
端的に言えば、相続税を3代も払い続ければ資産がなくなるか、
きわめて中産階級的なレベルでしか「資産継承」が行われない、
という現実があります。
国としては、このような中産階級的な建築としての住宅を
「長期優良住宅」としてのレベルまで引き上げたいと考えているのか、
このあたり、どうも未消化ではないのかと思われたのが実際です。
みなさんは、どのように思われるでしょうかね。
北のくらしデザインセンター
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2009年03月12日
建材店の展示会

きのうは初めて建材店・キムラさんの展示会というものに参加。
わたし自身のミニセミナーのようなものをやっていたのですが、
事前に打ち合わせはしていなかったので、
実際に行ってみると、かなり印象が違う展開。
かなり主催者側も忙しいと見えて、
プロジェクターの設置から、会場設営みたいなことも手作りで(笑)。
ということでしたが、まぁ、そこはなんとかクリア。
無事にプレゼンは終わらせることが出来ました。
その後は、建築関係の知人のみなさんがたくさん来たり、
来客のみなさんが引きも切らずに来られて、
時間があっという間に過ぎていく印象でした。
普段、これだけたくさんの人に会うことは
なかなか出来ないことなので、そういう意味では大変有意義。
北海道東北、東京など、
来場されるみなさんも全国各地域なので、
東北版でお世話になっている人も多く来ていただけた次第。
住宅雑誌として、こういう展示会に出展することに
あまりピンと来なかったのですが、
実際に出店してみると、たくさんの収穫がありました。
感謝の思い、しきり、というところ。
ある建材商社の方とは、ビジネス的な折衝まで浮かび上がって
すっかり意気投合したりしておりました。
ことしReplanでは実際の住宅建築プロセスに関与する活動を始めているので、
そういう意味で、建材の動向というものに
リアリティが出てきて、提案などのやりとりが具体的になっています。
こんど、ある建築現場を事例として利用して、
実験的な取り組みを行ってみようと考えた次第です。
より具体化したら、そのうち、ここで宣伝するかも知れません(笑)。
写真に使ったのは、ポリカーボネイトの断面模型。
先日の東京での建築建材展でも見かけたものですが、
札幌の会場でも出展しておりました。
ポリカーボネイト建材って、比較的初期から北海道の建築家グループが使い始め、
「北海道でも大丈夫なんだから」ということで、
全国的なブームに育っていった、という記憶があります。
ガルバリウム鋼板も似たような経緯があったと思います。
札幌がテストマーケティングの市場として利用される、ということがありますが、
建築材料の世界でも言えているのですね。
新しもの好き、っていうような北海道人気質(笑)なのでしょうか。
さて、本日もここでミニセミナーを行って、
その後、長期優良住宅の北海道の提案グループの総会が行われます。
リフォームの方の「北海道R住宅」は、提案主体者側なので
責任もある立場。なんとか初めての取り組みが成功するように
一生懸命取り組みたいと考えています。
北のくらしデザインセンター
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北海道・東北の住宅雑誌[Replan(リプラン)]|家づくり・住まいの相談・会社選び
2009年03月11日
屋上緑化製品花盛り

さてきょうも建築建材展からのご紹介。
温暖地では、夏の日射遮蔽対策が省エネの観点から考えても
大きな部分を占めるのは間違いがない。
建物の側では、屋根面の日射取得・高温化というのが問題。
それに対して、断熱は寒冷地よりも薄くてもいい、
というおかしな考えになっているので、小屋裏の熱気はすさまじく、
そういう暖気がずっと抜けないので、むしろ輻射的に夜間、室内温度を上昇させる。
厚めに断熱して、室内の空気の抜けを
きちんと立面的に考えて行く必要があると思うのですが、
絶対、そういうようには考えていかれません。
そういう建物の側の問題が解決しなければならないと思います。
そういう意味では、本体的な問題解決ではないけれど、
一方ではエコロジーブームに乗って、屋根面緑化は花盛り。
断熱的に考えても、土はすぐれた断熱素材なので、
期待できるし、芝の屋根は自然そのものの素材なので目に優しく、
四季それぞれで表情を変えていくという意味で、
飽きの来ない、優れた屋根材だと思います。
まぁ、コスト面の問題が解決されれば、普及は促進されるのでしょうが
どうなのでしょうか? 太陽光発電などには国からの補助金が
ふたたび考えられているようですが、
こっちの屋上緑化にはあまり政策的なバックアップはないようです。
屋上緑化のほうは、あまり産業育成につながらない
むしろ、太陽光発電の方が大企業もビジネステーマとして取り組みやすい、
っていうような事情が関わっているようにも思われます。
大いに普及が進んで欲しいものと思います。
さて、本日から2日間
札幌のアルファコートドーム(旧・産業共振会場)で、
建材店・キムラさんの展示会が開かれていまして、
その会場の片隅で、ミニセミナーをすることになっています。
テーマはこのブログタイトルそのまんまですが、
最近のパワーポイントデータで、どっちかというと
北海道の建築家デザインの紹介が大きいものを考えています。
会場では、わが社発行の雑誌も販売予定ですので、
ぜひお立ち寄り、お買い求めくださいますよう、お願いいたします(笑)。
そういえば、エコ住宅Q1.0が、最近、よくWEB注文をいただきます。
建築士、という雑誌で取り上げていただいたようで、
そうした影響のようです。
そのほかでも、関東地域で口コミが行き渡りつつあるようで、
いまはプロユースが中心のようですが、
北海道発の住宅技術、ぜひ広がっていって欲しいものと考えています。
どうぞよろしくお願いいたします。
北のくらしデザインセンター
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北海道・東北の住宅雑誌[Replan(リプラン)]|家づくり・住まいの相談・会社選び
2009年03月10日
木の薄皮照明

建築建材展から、照明のご紹介です。
照明のシェードって、実にいろいろあるものですね。
イサムノグチさんの照明って、日本的な提灯をそのまま照明に使って
一種の驚きを演出したものですが、
慣れてしまうと、なんとも日本人に似合っていて、
どうしてこれまでこういうデザインがなかったのか、
不思議な感じがします。
照明は、どっちかといえば北方の方がデザインを生み出しやすい。
北欧デザインの住宅内部空間で
照明の占めている位置は、きわめて重要。
というよりも、空間性の大部分を独占していると思います。
たくさんの名品があって、世界の市場できわめて大きな存在。
それって、やっぱり長い冬を過ごすうちに
室内のインテリアの重要性がきわめて高くなって、
そういう感受性の部分が大きく発達したと言うことでしょう。
なので、日本でも照明デザイン、
ぜひ北海道発のデザインが育って欲しいと思っているのですが、
まだなかなか、そういう機運は出てきていない。
でもこれからの「アジアの時代」のなかでは、
雪が降る文化レベルの高いアジア地域代表として、
北海道はかなりユニークな存在になっていく。
そう考えると、北海道がアジア人の納得できるデザインを生み出す可能性はある。
ぜひ北海道発の楽しい照明デザイン、期待したいと思います。
写真の照明,木を薄くスライスした薄皮で
自由な造形を生み出して、赤みの強い人肌にも似た雰囲気を実現しています。
紙よりも素材の質感が強く、
ある種、好き嫌いが別れるような気がします。
独特ではあるけれど、やはりもう少し、色合いが白っぽい方が
一般性があるように感じますね。
しかし、たとえば和室の照明としては使いようがあるかも知れません。
みなさん、どんな印象を持たれますかね。
北のくらしデザインセンター
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2009年03月09日
建築家と政官業の論理

きょうの日経メディア・ケンプラッツを見ていたら、
「カプセルホテル」というビジネスを生み出したのは
建築家・黒川紀章である、という記事を見ました。
たぶん、こういうビジネスの部分って、
双方の思惑や、契約関係などを含めて情報公開されることはあまりないのでしょうが、
建築家と、企業論理とのコラボレーションを理解させてくれる。
先日セミナーで聞かせてもらった、
東大大学院の建築学教授の肩書きを持つ難波和彦さんの講演でも、
氏の「箱の家」シリーズが、
無印良品の家として販売されて行っている様子も聞けました。
建築家、というものの役割の大きな部分で、
こういうプロトタイプを示す、という役割が存在すると思います。
大学の先生らしく、基本的な住宅建築の4要素をまず、示して
その論理展開に沿って、自らの作品を紹介する、という
大変興味深く、しかもわかりやすいセミナーだったと思います。
東大の先生のセミナーをこの日はもう一つ聞けたのですが、
北海道のような遠隔地から来ると、
企業社会、官僚社会などの中枢部と、建築界の接点が見えにくい部分なのですが、
いろいろと示唆に富んでいて、
明示的なものばかりではなく、消息のような部分でも
よく伝わり、わかりやすく見えてくるものがありました。
アカデミズムと、建築行政の関わり合いの実態って、
次々と語られるさまざまな事例紹介から、ありありと実感できます。
アルミ工業界が実験的な取り組みとして
アルミ建材だけで作る住宅というテーマを提示し、
そのプロセスの内容をつまびらかに明かしていただいた内容では、
「そうか、こういうプロセスで進んでいくものなのか」
というように理解できた次第です。
東大工学部建築学科、という存在が政官業のトライアングルのなかで占めている位置が
示唆的に、あるいは明瞭な形で教えていただけた。
まぁ、セミナーの内容自体は別の機会にまとめたいのですが、
蓄熱素材としては「水」が最高の蓄熱素材である、
というくだりがあり、大いに目を見開かせられた次第です。
そのうえ、その水を建物にしまい込んでいくのに
NASAの部品供給企業からの協力を得て
素材を開発したのだそうです。
要するに建物に「湯たんぽ」を抱っこさせるような考え方なんですね。
こういう考え方が、現実的なのかどうかは別として、
東大工学部的には、こういうような考え方もするのだなぁと
そういう部分では、奥行きを感じさせられた次第です。
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2009年03月08日
古材ブーム商法

いつの頃からか、は定かではないけれど、
古材の見直し・ブームというのが存在している。
店舗などでも、こういうブームが続いているので、
いろいろなお店で体験することも出来ますね。
たしかに、わたしなんかも弱い方で、
日本各地の古民家探訪をしているのは、
根底にそういうものへの強い思いがあるからなのでしょうね。
建築、それも住宅に人間が求めるものって、
いろいろあるとは思うのですが、
その基本には、外界から保護する、という機能があると思います。
それが人間の緊張を解きほぐして、
やすらぎの感情を刺激してくれる。
その基本的機能で考えたら、
家を構成する空間性のなかに、そういう部分を刺激する素材に
仮託するような思いが出てくるのは自然。
そうした感情を受け止めてくれるのが、古びた素材。
やはり、歳月を経た木質の醸し出す味わいは、
ちょうど人間の感情のひだにぴったりとハマっている。
きっとそういうものだろうと考えられます。
まぁ、デザインを超越するような生物的癒し空間。
そんな空間性が、わたしたちの現在の置かれた状況の中で
輝きを増している側面があるのでしょうね。
建築建材展でも、こうした古材のビジネスがいろいろ展示されておりました。
主に北米からの材料の、「Vintage」建材とかもありました。
で、面白かった展示がこちらで、
これは東南アジア各国で古材を集めてきました、っていうもの。
もちろん現地では、こういう素材への価値観はそう大きくはないので、
たぶん、二束三文で購入してくるに相違ない(笑)。
聞いてみると、
現地で建築丸ごと買い取って解体して持ってくるのだそうですが、
ひとつひとつの建材は、規格が揃っているとは言い難く、
断面の大きさも、長さもバラバラなんだそうです。
でも、日本のほぞ組みのような仕口も見られます。
まぁ、いろいろに考えて商売をしているものと感心しますね(笑)。
北のくらしデザインセンター
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2009年03月06日
店頭ディスプレー新技術

きのうは、超多忙なスケジュール。
北海道から来るので、どうしてもスケジュールを欲張る。
前から行きたかった、「歴史民族博物館」に午前中。
午後からは、本来の取材の「建築建材展」ビッグサイト。
っていうように考えました、が・・・。
なんと、「歴史民族博物館」って、千葉県の佐倉市にあるんですね。
国のこういう施設なので、首都圏に分散配置しようと
考えるって言うのは理解できるんですが・・・。
なんとも遠い!
朝一番で7時過ぎに都内中心部のホテルを出て
都営地下鉄浅草線〜京成線っていう乗り継ぎなんですが、
到着したのは、約2時間後。
で、京成佐倉駅からもバス利用くらいしかない。
おとなしく従って参りましたが、
開館時間は9時半で、まぁ、ほぼその時間なんです。
ところが、折悪しく正面前は工事中とかで、入場するために
大きく迂回しなければならない。
ふ〜やれやれ、で、ございました。
展示内容は、もう、歴史大好き人間としてはチョー感激。
このブログでも、いろいろ、ご紹介していきたいところですが、
まぁ、内容が凄すぎて、筆舌に尽くしがたい。
場内をぐるっと見て回るだけで3km以上歩くことになるということ。
なんとか、予定通り午前中駆け足で見て回りましたが、
とても後ろ髪引かれる思い。
で、帰りはまったく足がない状態。
事前に12:05京成佐倉発でのルートを考えていた時間にギリギリ。
来ないタクシーを・・・。
っていうことでしたが、なんとか間に合って、
そこから京成船橋でいったん、JR線に乗り換えるのですが、
これがまったく連結していない。
いったん外に出て、5分以上歩かなければならないし、
案内がわかりにくい、というか工事中なので不完全案内なんですね。
さらに船橋から一駅で、こんどは西船橋で乗り換えで武蔵野線。
新木場まで出て、そこから「りんかい線」にふたたび乗り換え。
都合4回、乗り換えるという、北海道から来た旅人には綱渡り日程。
ほぼ全部、初めていく場所なんですね。
まぁ、比較的方向音痴ではなくて、カンはまぁ、いいほうなので、
無事、「国際展示場」駅に到着いたしました。
で、ビッグサイトでは凄い歩くので、
荷物を駅でコインロッカーに入れて取材に向かいました。
って、これまた、「プレス受付」場所が、
チョーわかりにくい場所に・・・。
ふ〜やれやれ、で、ようやく取材開始となった次第です。
というあたりまでで、本日アップ分はタイムアウトみたいですね(笑)。
写真は、会場に入ってすぐに迎えてくれたブースのお姉さん。
・・・って思ったら、なんか違う・・・。
そうなんです、この映像動画、背面のプロジェクターから映写されているんです。
このお姉さんの人形型に切り取ってガラス面に接着した
特殊な透明フィルム画面に投射されたものだったのです。
広告の冬の時代ですが、
店頭ポップで、こういうので、しかも
有名俳優さんとかタレントさんとかが、商品説明をしたりすれば
店頭ディスプレーとしては、確かに画期的なものでしょうね。
っていうような、取材の様子はゆっくりと
これから、ご案内していきたいと考えています。
にしても、会場でも3kmくらいは歩いているし、
その前後の歩く時間も多かったので、
きのう一日で、12〜3kmは、軽く突破していると思います(笑)。
それも重い荷物を背負って・・・。
いや、東京に来ると、本当に健康にいい。
運動不足解消には、東京出張を。オススメです、ふ〜やれやれ・・・。
北のくらしデザインセンター
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北海道・東北の住宅雑誌[Replan(リプラン)]|家づくり・住まいの相談・会社選び
2009年03月03日
ガラスのない時代の窓

写真は、日本の建築としては壁が重装備な
「蔵」の開口部の様子です。
建てられているのは、北海道余市。
日本海側の海岸沿いに点在したニシン漁の網元の建築。
江戸から明治に掛けて、
北海道で獲れたニシンは、それでひとつの産業構造を形成するような
大きな素材資源産業だったので、現地にいる経営者というのは
大きく言えば、日本最先端の産業人だったわけです。
なので、遺されている建築も豪勢なものが多い。
その時代の建築技術でも、かなりの水準の仕事が残っているのだろうと
考えられますね。
で、窓なワケですね、本日は。
この建物はまぁ、100年は経過している建物を修復復元したもの。
ガラスが導入されていたのかどうか、
この建物の年代特定まではわからないのですが、
ここでは窓にガラスが使われていない。
で、心理的結界装置としては、なぜか木組み格子が使われています。
京都の町家でも、このような形式が取られている。
京町家に特徴的な格子。接道部に用いられる。光を採り入れ、中からは外が見えるが外からは中が見えにくい。ガラスの登場により衰退しつつある。
多くは、紅殻(べんがら)と呼ばれる酸化第二鉄(赤サビ)を主成分とした粉末にエゴマ油などを混ぜて塗られているため、紅殻格子とも呼ばれる。紅殻には防腐、防虫効果がある。顔料の紅殻(紅柄、弁柄)は、産地であるインド北東部の地名ベンガルに因んでいる。
格子の形は構造、形態、職業などによって分類できる。(Wikkipedia)
っていうことなのですが、
通風を確保しながら、泥棒などの侵入を防ぐ装置なのでしょう。
町家などでは、対泥棒の要素が大きいのでしょうが、
ここでは外側に更に鎧戸が設けられているので、
そこまでは必要ないけれど、
湿気を逃がすときに開口させる時間の防犯というのが要件だったと思います。
開閉装置は、このような鎧戸のように
観音開きが多く、建具としての造作仕事のレベルも高かったと思われます。
ここではこういう状態で仕上がりですが、
居住用の住宅では、光を透過して取り入れるために
さらに内側に障子建具を配するのが一般的。
まぁ、ガラスの代わりに紙を使っていた。
いずれにせよ、建具職人の仕事が非常に多く、
まさに手業の世界が豊かに広がっていたのですね。
現代では、自由に工業製品となったサッシが使われ、
比較的安価に窓が造作されていくわけですが、
先人たちの窓への思いと比べて、
たぶん、希薄な思いのまま、無感動に窓を考えていると思います。
こういう時代のことを考えてみたら、
窓の開け方とか、
もっと深く大切に考えてみたいと思ってしまうものです。
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北海道・東北の住宅雑誌[Replan(リプラン)]|家づくり・住まいの相談・会社選び
2009年01月27日
住宅の記録保管

最近、住宅相談を受けた方で、
鉄骨造の住宅のリフォームのご相談がありました。
聞くと、一度ある業者さんに相談した際に建築の図面を渡したのですが、
その後、その業者さんが倒産して
図面も行方不明になってしまったという、お気の毒なケース。
寒くてたまらない家、ということで、
困っていて、リフォームしたい。けれど、
相談するにも、特殊な構造なので図面がなければ、頼まれる方も困る、
というような事例でした。
何人かの建築家のみなさんと相談されて、
一定の方向性が出たようでした、が、
結構、こういうケースは多いものなんですね。
というか、経緯はどうであれ、図面保管がなされていない家は多い。
場合によっては、中古で買っても図面がないというのもある。
これまで、そういう決まりが社会的に存在していないので、
それでも中古売買が成立してきたとも言えます。
国でも、ようやく今回の超長期住宅政策で、
こういう問題の重要度を追認してきていて、
「記録の保管」方法に対して、啓蒙する方向にはなってきたようです。
こういう国の施策をリードしてきているのが北海道。
北海道では、かねてから「北方型住宅」の基準の中で、
インターネット上で記録を入力させて、北海道が責任を持って保管する、
というシステムを稼働させています。
地域自治体という、存続可能な社会組織が責任を持って記録を保持します、
ということなのです。
これに対して、国レベルのものでは、大手ハウスメーカーに
保管責任を持たせる。というような考え方になっているようです。
しかし、これでは、その会社が倒産したり、なくなった段階で
大変な社会混乱が生じてしまいます。
企業による「顧客囲い込み戦略」に国が協力するという結果しか生まない。
そういうことなので、さっぱり記録保管が進まない。
悲しいけれど、こういうのが現状なんですね。
北海道の「北方型住宅」の場合には、
建築途中の、たとえば「断熱施行」状況の確認、というものでも
写真としても証拠が保管されたりしているのです。
こうした安心感というのは、ユーザーにとって心強い。
写真は、江戸中期の住宅の記録古文書。
昔の農家住宅で大型のものは、資産価値も高く、
その記録はしっかりと「家宝」のように保管されてきて、
そういうものを「家督」相続という、責任の所在の明確化のなかに組み込んでもいた。
いわば責任感を相伝するようなシステムがあったのですね。
しっかり見ていくと、実に豊富な記録になっていて、
この時点の建築工事が「増築建て替え」であった事実がつまびらかになり、
しかも構造材の種類や材質といった基本的なことから、
誰々が、どのように支援してくれたのか、まで具体的に表記されている。
有力者は材料をプレゼントしてくれたり、
貧しい人も、労働奉仕してくれたり、工事中の職人のための食事の素材提供など、
まことに豊かな社会関係・システムが
こうした「普請」には、ぎっしり詰め込まれていた様が見て取れます。
現状と、こういう江戸期の知恵を見比べて、
さて、いまは進歩しているのかどうか、
考えさせられてなりません。う〜む。
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2009年01月14日
屋根と雪

散歩を復活させると、
いろいろと発見があって面白い。
住宅街なので、屋根のかたちもさまざまな住宅を見ることができます。
写真は、大きな傾斜屋根の和風住宅の軒先。
本州以南地域ではこういう屋根が多いのですが、
北海道では、こういう屋根はむしろ少数派でしょうか。
傾斜が緩くて、軒が出ているというタイプ。
和風の住宅には多い屋根でしょうね。
問題になるのは、雪庇。
写真でも、大きく張り出してきていますね。
この家の場合は、雪が落ちるのは自分の家の庭なので、
特段の問題ではないのですが、
もしこれが道路に面している場合には、
屋根面の「表層雪崩」や、雪庇の落雪が
通りがかりの人を襲う、という事件が発生する場合があります。
屋根の掛け方は隣家や、地域の条件によって、
傾斜の方向はさまざまになりますが、
場合によってはやむを得ず、道路側に傾斜させなければならなくもなる。
そこでこういう心配が発生するのですね。
また、この家では、
軒先に氷柱ができてはいませんでしたが、
断熱欠損があるケースでは、「すがもれ」現象で、固い雪になるときがあり、
危険のレベルが上がってしまいます。
雪庇は、そのときの気象条件で「成長」します。
季節風のふき方加減で、
雪が供給されることもあるのですね。
そして、この問題は、こうした落雪屋根ばかりでなく、
フラットな屋根でも、雪庇の問題が発生しているのです。
まだ今年の冬には、一度くらいしか発生していませんが、
激しい吹雪と北東風がいっしょになると、
南東側に大きな雪庇が、札幌の住宅地では、大きな問題になります。
軒から1mちかく張り出すというのもめずらしくはない。
こうなると、モンスター(笑)。
って、こわいんですよね、けっこうこれが。
わが社でも、社屋でこの問題が発生したので、
軒側に融雪の工夫をしまして、ことしはみごと一発で落とせました。
で、落とせたら、融雪電源をすぐにシャットしなければならない。
ほうっておくと、融けすぎて融雪水が軒先側に流れ、
氷結しかねないのです。
まことに、北国の雪問題は、奥の深い世界でして(笑)
なかなか一筋縄ではいかないのであります・・・・。
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北海道・東北の住宅雑誌[Replan(リプラン)]|家づくり・住まいの相談・会社選び
2009年01月08日
禅宗寺院の庭園

写真は、鎌倉期の北条一族が武家の都・鎌倉に招聘した禅宗寺院・建長寺の庭園。
日本の権力というのは、その権力の示威として
宗教的建築に力を傾注する、というのが一般的。
それは圧伏させるためのひとつの重要な要素なのでしょうか?
なぜなんでしょうね?
権力というのは、握るまでは暴力装置の強弱が決定的。
ただ、それが強ければ持つのか、といえば、
やはり安定的に権力を維持するためには世界観の提示が欠かせないのか。
人々の暮らしが、その権力に追随していくためには
そういう価値観の共有が必要とされるようになるのか。
仏教が日本に導入されるようになった時代的な背景はよく見える。
当時はアジア世界で、中国に強大なスーパー超大国が出現して、
その成立を可能にしたシステムとしての官僚制や
支配思想としての仏教という現実があって、
それを早くから取り入れた新羅国家の成功、という事例が存在した。
朝鮮半島と日本列島の社会は
分かちがたく関係の強い社会だったので、
そうした衝撃は強烈で、強い権力基盤に天皇制を押し上げたいと考えた勢力が
積極的に仏教システムを導入した。
それが東大寺を造り、全国に国分寺を造り、
というかたちで、暴力的強制力と同時に、宗教的権威もあわせて追求してきた。
で、この建長寺造営の目的は、
王朝国家から権力を奪った武家権力の宗教施設だということ。
建長という寺号自体、その年号をそのまま使ったそうですから、
まさに国家としての事業であったのですね。
で、庭園であります。
前時代の宗教的施設といえば、たぶん、関白家藤原氏の造営した宇治の平等院鳳凰堂
もしくは、別国家ともいえる平泉の宗教施設群になるでしょう。
そういう施設の庭園は、浄土庭園が一般的。
それへの対抗心からか、
中国でも隆盛を極めていた禅宗の僧侶を輸入して、
いわば「最高の禅宗寺院」を造営しようと考えたと思います。
なんですが、この庭園、どうも迫力がいまひとつのような気がします。
この寺の開山の和尚さん、蘭渓道隆さんという方ですが、
中国人で、ほかでは甲府に一時いたことがあって
そこでは、山の斜面に龍門漠の枯れ岩滝組をもつ池泉観賞式の
素晴らしい庭園を造作したということなのだそうですが、
どうもこの庭園は、前時代の臨池式の優美さを意識したような
ちょっと中間的な印象を持ちました。
禅宗の庭園って、後の時代になると龍安寺石庭というような展開になって、
まさにわれわれが抱く、強烈な精神性にいたるのですが、
まだ、そういうところまでは表現が至っていない時代性を表しているのでしょうか。
どうも、そんな印象を持った次第でした。
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2009年01月06日
町割り

写真は江戸期から続くある宿場町の町割の様子。
航空写真と、マップです。
日本の都市計画は、京都の町割りが基本になって、
間口が狭く、奥行きが長い「町家」形式の住居形式が
都市住宅の基本プランになっていました。
そういう形式が、独特の日本的な情感を育ててきた部分があると思います。
隣家と壁一枚を隔てて、場合によっては「共有」して
生活していくことから、「他者を思いやる」
「他人に迷惑を掛けない」というような隣人関係についてのマナーが
育っていた部分があったと思います。
それが子育て上でも、しつけの基本を構成していた部分もある。
作法やマナーの多くで、こういう住居構造が預かっている部分は多いと思います。
こういう町割りでは、公共的な部分としての道路の面積が少なくて済む。
道路が1本あれば、町を構成することが出来る。
ただし、これがすべて木造で造られれば、
瞬く間に火が回って、防火対策上は難しくなる。
また、言うまでもなく、クルマ社会的には対応がきわめて難しくなる。
このようなメリット、デメリットがあるわけですが、
戦後以降、現在の町割りでは、こういう形式が取られることはない。
都市集住という意味では、こういう町家住居に一番近いと思われるのは
マンションではないかと思うのですが、
住み方のエチケットについて、こういう町家の知恵は顧みられることがない。
木造か、コンクリートか、の違いが決定的なのか、
それほどマナーというものに価値観を誰も見いださないようです。
いや、初期のマンションにはそれなりの「常識」が生きていたけれど、
日本人の常識の方が、時代とともに変化してしまったのか、
今日の「隣人騒音問題」に、この生活倫理問題が集約されている気がします。
どんどん進展する個人主義が
社会的制約との間で、緊張関係が高まってきて、
人口都市集中の進展とあいまって、
極限化してきているのかも知れません。
どちらのほうが、「文化的」な暮らし方」であるのか、
もうちょっと時間が経過しないと、
評価は難しいのではないかと、思われてなりません。
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2009年01月02日
暖房の歴史

写真は昭和年代とおぼしき石炭ストーブ。
昭和といっても、たぶん、初期、戦争前くらいに流通していたものと思います。
でも、わたしたち北海道に暮らすものにとって
ストーブくらい、身近に思うものもない。
当たり前ですが、暖房は冷房とは違う。
そこに命の切実さがあって、
「快適性」というような範疇とはやや距離感がある。
冷房は、暑さから快適なクールダウンを求めるものであって、
そこには命の切実感はない。
暖房は、まさに人の命に関わる装備であって
基本的な「権利」とも似通った部分を感じさせる。
北海道に日本人が大量移住を始めてから140年ほど。
この間の1/3くらいの時間をわたしも生きてきているわけですが、
そのなかですら、暖房については多くの変遷があった。
もちろん、それ以前の石器・縄文・檫文・アイヌ期といった
「いろり」暖房の時代もあったのですが、
家屋が日本スタイルの平地式の木造家屋が主流になってから
ストーブと煙突の暖房形式が一般化した。
熱源は大量に採掘された石炭。
ニシンなどの採集型・略奪型経済が衰えを見せ始めると前後して、
同じような経済原理の石炭採掘が活発化する。
さかんに採掘された石炭は、ずいぶん低価格で流通していたような気がする。
産炭地であり、暖房が不可欠な地域として
価格も抑えられていたような記憶がある。
札幌でも、どの家にも「石炭小屋」という収蔵装置が併置され、
家屋内部に小分けされて運ばれて、
この写真のようなストーブに「くべられた」。
その石炭ストーブも、
石炭産業の衰退とともに、石油ストーブに変化して、
石炭小屋は、石油タンクに変貌していった。
開放型の石油ストーブから、FF式の石油ストーブへ進化し、
温風対流型が一世を風靡したかと思うと、
その空気汚染が問題とされて、だんだん輻射式暖房に移行する。
パネルヒーターを持ったセントラルヒーティングが普及してくる。
さらに建物の高性能化が進んで、
深夜電力を利用した電気蓄熱暖房が普及する。
こんにち、エネルギー価格の不安定さを反映して、
空気熱源式や地中熱などのヒートポンプ、燃料電池などの
新エネルギーによる暖房革新も近づいている。
そういう意味では暖房熱源は変化するのが当たり前で、
世代交代は至極、当然のようにおこなわれてきた。
暖房はこれからも形を変えていくと思いますね。
ひるがえって、車のエネルギー源は開発当初からずっと石油。
いま、世界の金融危機からはじまって、
車経済が大きな曲がり角を迎えているけれど、
やはり大胆に、エネルギーを乗り換えることで
革新させる方向に向かう必要があるのでしょうね。
暖房の歴史を簡単に見ても、必ず実現可能なことだと思えます。
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北海道・東北の住宅雑誌[Replan(リプラン)]|家づくり・住まいの相談・会社選び
2008年12月30日
旗地への導入装置

写真は、鎌倉の鶴岡八幡宮への裏参道に面していたそば屋さんです。
旧市街地らしく、この裏参道では間口が狭く、
奥行きが長い、いわゆる「町家」形式の土地割りになっている。
こういう土地割りでは、やむなく「旗地」といわれるタイプが登場する。
広めの敷地を確保しようとしたら、
どうしても間口を犠牲にして、
通りから離れた奥に敷地を確保することになる。
必然的に長い通路専用の細長い土地が出来上がる。
で、商売をやろうと考えたら、
どうやってひとを、「その気にさせて」引き込んでくるか、
が、勝負の分かれ目になる。
というような興味を持って、この敷地割りを見ていました。
まず、出入り口にはわざわざ、木の門を設けて、
床も結界を表すように、大谷石のような独特の風合いの石を敷き込む。
そこから、まっすぐに白茶けた土の踏み込まれた道。
素材はなんでしょうか、たぶん、吸湿性がよくてドロドロになりにくい
そんな種類の土なんだろうと想像される土でしょうね。
あんまり見ることのない種類だなぁとは思われました。
この石と土の色と風合いのコントラストがなかなかいい。
で、それを際だたせるように、
右側には低く刈り込まれた垣根植栽。
左側には、変化を付けるかのようにところどころ、高い植栽。
右側の壁は、隣地との境界の板塀。
まぁ、これもいろいろなデザインの組み上げ方で
目に印象的なように造作されている。
一方左側は、隣地の店舗の壁やらを表していて、
変化に富んでいる。
土と植栽の境界には丸太が使われていて、これも
「ん、あれ、なんだろう?」と思わせるには効果的。
門の上部には鄙びた電球照明がしつらえられて、
暗い背景の中で、効果的なあんどん効果。
っていうような導入装置が工夫されていました。
正直に言って、
通り過ぎようとは思ったのですが、
一度、振り向いて、寄らずに行こうと思ったのですが、
やはり、そこはかとなく心が誘惑されて、
戻って、この道を踏みしめて中に入っていった次第。
門の前には、お品書きもあって、そば店であることはわかりました。
さて、繁盛しているのかなぁ、という興味ですね。
で、これがみごとな高級そば店としてにぎわっている。
まぁ、味はこの場合、興味の外でして、
建物をしげしげと観察させられました。
これもやはり、茶室があるなど、
結構な構えでして、ふむふむと納得させられました。
こういうところに、
時間を掛けて工夫を重ねてきた部分が感じられて、
いわば、日本の、というか「内地」の建築文化の奥行きを感じさせられるわけですね。
昼時、一本取られた思いをしながら、のど越しの良さを楽しんだ時間でした。
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2008年12月29日
外断熱の行方

写真は、ある「外断熱」系のビルダーさんの
より高性能タイプ住宅の壁断熱模型。
Q値が1.0を切る方向になってくると、
必然的に外(貼り)断熱の板状断熱材を厚くする方向から
空洞になっている壁の中にグラスウールを充填する方向へのチェンジが明確になってくる。
板状断熱材をこれまで以上に厚くすると、
第1にコストアップが大きくなることと、
同時に、壁材の保持がより厳しくなってくることが
こういう傾向を強めるのですね。
で、このビルダーさんの場合には、
もともと充填断熱についての技術知識を十分に持っていたので
なんの問題もなく対応できているのですが、
場合によっては、どうすべきか、方向性が見えなくなるビルダーさんもいる。
関東地域では、これまで次世代省エネ基準がQ値で2.7だったのが、
来年早々の改正で、1.9になるということ。
これまで「次世代対応」ということで謳っていたのが、
これまでと同じ対応では厳しくなってくるのですね。
実際に、こうした動きは顕在化していて、
「外断熱」ということで、高額な施工単価でも受注できるビルダーはいいけれど、
そうでもないビルダーさんは、なんとか施工単価を下げるために
充填断熱での高性能住宅ノウハウを
模索しはじめている現実があります。
そこに、この基準の改正があって、方向性が見えてくる可能性があります。
とくに景気の動向がここまで不透明になってくると
単価の下落は避けられないし、
一方では高性能化は、環境の観点からも大きく迫られてくるテーマ。
ことし年末に、FP工法のメーカーさんが行き詰まりましたが、
すぐに外壁材の全国メーカーさんが再建協賛スポンサーとして
名乗りを上げたのには、このような業界事情が内在していると思われます。
今後のマーケットの推移が注目されるところです。
さて、本日もまだ仕事が続いています。
まぁ、しょうがありませんね。
ことしは、まだまだ終わりません(笑)、頑張りましょう!ではでは。
北のくらしデザインセンター
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2008年12月27日
外壁の芸術

いやはや、この冬一番という大嵐がやってきましたね。
一昨日夜から、ずっと2日間くらい、
猛烈な状態が続いておりました。朝早くから雪対策です。
石油ボイラーによるロードヒーティングを敷設している
会社の方の駐車場はやむなくスイッチオン。
しかし、積雪がすでに15cmほどは進んでいたので、
4WD車で圧雪させたりして、気長に融雪を待とうとしておりましたが、
なんと夕方になって気付くと、電源コンセントが脱落していたこと、判明・・・・。
まぁ、日中の積雪はそうは多くなかったので、まぁいいか、と。
きのうの降り方は完全に「ブリザード」状態でして、
昼間、車のライトを付けて車道に出ても5m先が見えない状態。
降る、というよりは「吹きすさぶ」という状態でしたね。
しかし、そのほかにも歩道部分の除雪作業もしなければなりません。
取り急ぎ、応急的に通路を確保させて、
あとは出てきたスタッフに任せることにして、今度は自宅。
一応、ロードヒーティング設備はあるのだけれど、
やっぱり、ここ2〜3年前くらいから、反省して手作業除雪のみにしています。
ということで、広大なスペースの除雪作業。
そういう作業が断続しておりましたが、
日中は、今年最後の出社日なのでなにくれと忙しい。
この大雪を押してアポイント時間前に来てくださった来客の方に聞くと
市内の幹線道路で、倒木被害で渋滞も発生しているとか。
そのほか、電線の被害もあって停電も多発したようです。
まぁ、冬らしくていい、とも言えますが、
本当に厳しい状況の今年を反映した最終日でした。
ということで、今朝、ふたたび除雪作業。
まぁ、ようやくにして、嵐は去った様子で、
写真を撮影しようか、というゆとりも出てきた次第です(笑)。
今朝のわが家の外壁の様子です。
角波鉄板を使っている部分は、とくに面白い雪の付着の仕方。
まるで、遅れてきた絵描きサンタさんが
置きみやげにしていったような、すさまじい、というか
自然の造形というか、
なんとも楽しい絵が、あちこちの家に描かれております。
でもやっぱり、サイディングの住宅はこういうなかでも味気ない。
自然な素材の持つ、凹凸や陰影が自然条件を映し出しているのに対して
なんとも無機質な表情で、つらっとしていて、
とりとめも、印象もない・・・、むむむ。
その土地の自然の移ろいを、感受させる要素というのは、
やっぱり不可欠のような気がしますが、さてどうでしょうかね。
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2008年12月24日
デザイン炊飯かまど_2

どうも、かまどという台所装置を見ると
つい、目が点になっていく。
写真は昨年取材した宮城県の古民家再生の住宅で見たもの。
これも実に立派なんですよね。
床に近い部分は、まるで家具のように重厚な木で仕上げられている。
かまど自体は土で塗り固められて造作されたようです。
この家は、仙台伊達藩の大きな輸出(といっても江戸への)品であった、
寒冷地木材、杉や松といった針葉樹構造材を管理していた家柄。
そうした家格が維持され、いまに至るも
そういう家業を意識しながら暮らしている、というあたり、
北海道から取材に来ると、絶句してしまう部分なのですが、
そういう家の伝統のようなものから
使われている素材は、立派な材がふんだんに使われておりました。
そんな家格に見合うような「かまど」という
意識もきっとあったのでしょうね。
江戸期から続いている家ですが、
このかまどは明治の頃のものだそうです。
明治とは言っても、こういう技術の世界では継続性が高かったでしょうから、
江戸期から、このようなデザイン性を強調した
まるで、システムキッチンのような仕上げが意識的に存在していたのだろうと思います。
このように考えると、網野善彦さんの書かれる常民史のような世界の
暮らしの道具の歴史的変遷というものも見えてくる。
生活道具の中で、
命をつなぐという意味で、もっとも精神性が込められそうなのも
やはりかまどということになるのだと思います。
お米を炊く、というのは精神を込める、というようなこころの動きがあると思うのです。
この写真のかまども、今回の再生工事がきっかけで、
きれいに磨き込んでみたのだそうですが、
それまではただ黒いだけの飯炊き装置そのものだったのが、
このように仕上げてみたら、一級工芸品的な輝きを見せて、
施主さん自身もびっくりしたと言うことなのだそうです(笑)。
なかなか、奥行きの深そうな世界がかいま見えますね。
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2008年12月19日
天然ガスの「面的利用」

天然ガスはわかる。
自然エネルギーであって、クリーン性はきわめて高いエネルギー。
でも、「面的利用」ってなに?
面倒なのかなぁ(笑)、などとダジャレも頭に浮かびつつ、
パネリストにJIA出江会長や、北海道の建築家・中山真琴さん、
札幌出身で商業建築などの作品の多い笹森則次さんなどの名前を見て
急な知らせでしたが、「報道席」にて見てきました。
あ、要件を書いていませんね(笑)。
どうもガス会社の関係で国から既存街区のビル建築などで
エネルギーを天然ガスに転換して、
2以上の建築物のエネルギーを共用するようなプロジェクトに対して
補助金が出ることになったそうで、
その全国的啓発として、まずは札幌でセミナーを開催することになったのだそうです。
まぁ、街づくりというようなテーマに関わることから、
JIAのみなさんに声がかかって、こういうセミナーとなったようですね。
ううむ、どうも背景説明がかなり、こんがらかっていますね〜。
JIA出江会長のご意見は何回か、聞いておりまして、
あのご意見と、今回のこの補助金のお話しがどうつながるものか、
まぁ、こっちは気楽な立場ですので
講演セミナーを「取材」させていただいた次第です。
小型のコージェネに対して補助金が出ることになりました。
なんと、設計料に対しても1/3の補助金が出ますよ、ということ。
JIA出江会長からは文化の面からの街づくりへの基調的な提言がありました。
珠玉のような力とイマジネーションのある言葉が
つぎつぎと氏の語り口からは飛び出してきます。
まことにその通りと頷けるようなお話しばかり。
やはり、選挙で戦ってJIAの会長職に着いただけに、旬を感じさせる
ひととしての迫力のようなものを感じずにはいられません。
一方、札幌地元の2人の設計者からは
そういう提言と深く同意するようなお話しが聞かれました。
お話しの総括としては、
セミナーのテーマとはどうなんだろうとは思ったのですが、
やはり美しく愛着を深く持てる街とはどう作るべきであるのか、
ということに集約されていたように思います。
建築家のセミナーなので、当然の成り行きですね。
中山さんからは
バルセロナの街の市長さんの奮闘ぶりが報告されていました。
結局、よい街を作っていこうと考えれば、
一建築家だけの範疇は超えてしまう部分なのでしょう。
このあたり、現実はなかなか難しいですね。
出江会長の、「本物の素材を使うべきだ」という考えはまったく同意するのですが、
そういう素材を使えないようにしているのは
「防火基準による材料の規制」が結果しているのは明らか。
燃えるからと、住宅地でも木材を外壁に事実上使えなくしているのは
国が定めている法律のせいなんですね。
コスト的にも見合う、ということを考えていくと
事実上、化学製品であるサイディングを使うしかないのが現実。
むむむ、さてどうすべきなのか?
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2008年12月17日
玄関の意味って

玄関、という概念ってある意味、面白い。
玄、という言葉と、関という言葉が組み合わさっている。
関のほうは、意味が明瞭で、
外界と家の中を仕分ける意味合いが込められていることはわかりやすい。
一方の、「玄」というほうは、しかしなかなか、形而上的。
玄妙、という言葉の意味合いのように
「非常に優れている」というような意味合いが込められている。
漢和辞典で見てみたら、
玄関、というのは、玄妙な道に入る関門、と書かれてある。
仏教的な概念が言葉のそもそもの意味に近いのだそうですね(ホエ〜)。
そんなことを今更言われても、
日常いつも、考えることもなく使用しているわけで、
別に仏門に入りたいと考えながら、玄関を通過しているワケじゃないよ、
と言いたいところではありますが、
日本語の成立過程からすると、そのような概念が込められているワケです。
確かに欧米住宅では、このような明確な玄関はあまりみられない。
靴をいちいち脱ぐという習慣も、あまり聞かない。
いわんや、名詞単語にそのような意味合いを付与しているというのは
ありえないでしょうね。
まことに、「生活は文化」ということを認識させられる次第です。
現代生活は、リアリズム的な機能性を重視した社会なので、
そういう視点からは、建物への出入り口という機能だけに絞られやすいのですが、
古民家や、立派な歴史的建築を見れば、
宗教的というか、精神文化的にとらえるという文化に気付かされます。
写真の玄関は、ことし見てきた中でも
かなり頑張って作っていた玄関の様子です。
玄妙と言う言葉の語感に似合った土間の黒い、玄昌石タイル、
式台と、上がり框、収納扉にケヤキ無垢材が使われ、
床板にもヒノキが使われていて、
玄関に入った途端に、香ばしい木に包み込まれるような雰囲気でした。
こういう立派な玄関に出会うと、
やっぱりそうだよ、玄関ってこういう意味なんだよ、
と改めて、思い起こさせられますね。
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2008年12月16日
デザイン炊飯かまど

写真は、江戸期の宿場町住宅の土間に据えられたかまど。
大人数が働く商家で、その胃袋を満たすための装置なんですね。
首都圏の古民家を集めた場所に移築されたものなんですが、
「かまど」なのにまるで神様のように飾り立てていてユーモラス。
大人数の働く意欲を刺激する装置ですから
一番大切なインテリア装置だったものと思われます。
こういうたくさんの人間のための労働施設では
目に見える「腹一杯食べられそうだ」という部分が意味が大きかったのでしょうね。
北海道でも、ニシン漁のための働き手、
季節労働者を集めるための魅力的な条件として
「めしはいくら食べてもタダ」というものがかなり有力だったそうです。
労働者勧誘に当たって、こういう条件は
最大の口説き文句だった。
それだけ、食べていくということが難しい、貧しい時代だった。
しかし、このかまど、釉薬まで塗り込められていて、
また、形態も曲線が強調されていて、
現代のシステムキッチンにまで通じるようなデザイン性。
確かにうまそうな飯が炊きあがりそうな印象が強く感じられます。
このあたり、かまど製造の発注者であるこの建物のオーナーの
認識のありかを、そこはかとなく伝えてくれている気がしてくる。
どんなことがあっても、食べるだけは安心だなぁ、と思える装置なのか。
このかまどは、作業場としての土間にどんと置かれていたので、
建築的な配置意図としても、そういう計算はあったことでしょう。
料理をしていると、少し作るよりも
たくさん作った方が、味わいが深くて、おいしく出来上がる気がする。
きっと、素材のハーモニーがより大きく働いてくるからではないかと思う。
こんな装置から出来上がってくる食べ物、
一度食べてみたいというくいしんぼなのは、わたしだけでしょうかね。
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2008年12月14日
なんでも燃やせるボイラー

長野県の住宅で実際に使っている事例をはじめて見たボイラー。
このボイラー、家庭で出るゴミ、
プラスチック以外はなんでも燃やせるというヤツ。
まぁ、ゴミ焼却炉をコンパクトにして
家庭用にしてみたんですけど、というものなんですね。
このお宅では、暖房給湯用に利用されていました。
家の外の物置に設置して
まぁ、なんでも食べてしまう焼却炉。
デザインは至ってシンプルで赤いハンドルを回して
焼却炉を開口させて、どんどん放り入れればいいということ。
薪ストーブは燃料になる薪を入手するのがひと苦労。
ペレットストーブも、いまのところ燃料代が高く付く。
それらに比べて、どんなものでも燃やせるという利点はいい。
確か、FFタイプで燃焼用の空気は外部から取り入れ、
排気も外部に排出できるので、家の中でも使える道理になっている。
燃焼効率がよさそうなので、それほど燃焼廃棄物の心配はなさそう。
っていうことで、いいかなぁ、
ちょっとわが家でも検討しようかなぁ、と考えたんです。
わたしとしてはこういうモンスター的なデザイン、
眺めて暮らすのは全然オッケーなんですが、
さて、家族がなんというか、っていうところ。
これだと家庭で取っている新聞紙やチラシ、
勝手に折り込まれてくる宅配チラシなど、
わざわざ、リサイクルに回していたものがそのまま、燃料化する。
薪といっても、建築廃材などでもまったく問題ない。
薪ストーブの薪って、けっこうデリケートなもので
広葉樹系の脂身があって火持ちする樹種でないと不都合が多いと聞きます。
そういう気遣いは一切不要。
っていうことなんですが、
まぁ、デザインでしょうねぇ・・・。
わたし自身は、こういう機能性の美しさのようなものに
ある種、親近感を持つのですが、
一般的には、やはりもっと女性的な洗練が求められるのでしょうね。
ことしは実に多様な暖房形式が話題に上ってきます。
ヒートポンプ暖房が実際的な選択枝になってくるものかどうか、
いよいよそうした議論が起こってきているのですね、北海道でも。
地中熱利用タイプはいろいろ面白そうなんですが、
やはり設置コストが問題になってくる。
掘削の費用が大きいのですね。
なので、そうなると簡便なのは空気熱利用タイプ。
これが進化してくると、日本は一気に「環境先進国」として
次世代の経済成長技術を得ることが出来るのではないか、といわれている。
北海道で空気熱源タイプが実用化できれば、
ヨーロッパ市場などは一気に制圧できる。
ロシアの暖房技術者が、北海道に来てさかんにこの空気熱利用ヒートポンプに
注目していると語っているそうです。
ヨーロッパ製品と比較して、日本の製造管理技術はずば抜けているので
実用段階に至れば、世界市場を席巻すると踏んでいるようなのですね。
ということなのですが、
外気温マイナス30度になる北海道の寒冷気候の空気の中から
熱を取り出す技術というのは、そうは問屋が卸してくれない状況。
そのほかにも燃料電池とか、技術発展が待たれるものが
目白押し、というのが現状なんですね。
混沌とした状況で、たとえばロードヒーティングなどでは
地中熱ヒートポンプが実用レベルとしてのメドがついてきた感じでしょうか。
寒さも、景気も吹っ飛ばすような
実用技術の大発展を期待したところなんですが、
さてどうなっていくのでしょうね・・・。
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2008年12月13日
8Wの蛍光管照明

きのうのテーマに引き続いて照明のことです。
宇都宮の取材先で見た小さい蛍光管照明です。
家事コーナーをキッチンの一角に造作していて、
上部に収納があるところから局所的に照らしている光源に利用していました。
こういう小さい領域には、白色球が使われてきたけれど、
蛍光管をよりコンパクトにする技術が向上してきた。
というか、温暖化対策で白色球が敬遠されて
その分、蛍光管への研究開発が進んでいることの結果に違いありません。
左が蛍光管本体で、これをまわして電源部に装着させる。
右側はシェードになるもの。
デザイン的にもなかなかスグレモノと思いました。
白熱電球から蛍光管へのシフトって、
十分に理解できるのですが、
こと写真撮影という面から言うと、蛍光管照明って
色味が狂ってくるので、カメラ側でフィルタリングするなりして
色調を計算しないと、撮影した写真の色が現実を反映しなくなる。
このあたりはカメラマンさん泣かせではあるのです。
やむなく、撮影に当たっては蛍光管照明は切らざるを得ない。
まぁ、どうしても光量が不足する場合は
そのまま撮影して、できあがった写真を補正するということになります。
蛍光管を電球色にしたらいいのかというと
そういうものでもないのですね。やはり色味を変化させてしまう。
こういう問題は、しかし、やむを得ない部分でしょうね。
逆に、こういう照明に変化してくる室内環境に対応して
住宅デザインの側で、それに似合う室内の考えを打ち出していく必要がある。
まぁ、そういう意味ではシンプルモダン系の
室内デザインだと、伝統的な「木質的な質感重視」デザインタイプよりは
蛍光管照明との相性はいいと言えるかも知れない。
しかし、やはり室内デザインの主流派は伝統的木質デザインであることは
今後も変わらないのではないかと思われるので
やがて、蛍光管が似合うような伝統的タイプの室内デザインが
生み出されてくるものかも知れない。
とくに寒冷地の場合、
北欧などでも、木質をいかに魅力的に見せるか、が
デザインの基本要素である気がします。
寒い地域では、室内にいる時間が長く、
そこに人肌に似た風合いの木質があたたかさと懐かしさを呼び覚ますと思うのです。
このあたり、デザインという意味では
時代が変化を促している部分であると思うので
密かに注目している部分ではあります。さてどうなるのか・・・?
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2008年12月12日
和の照明

写真は長野県岡谷市の住宅から。
北海道ではまず見ることができないような和の空間です。
和のデザインには、まずは木構造をそのまま見せる美しさがあります。
野太い柱や梁の材や、太さというものが
その家の素晴らしさの直接的表現になっている。
この家でも、天井の豪快な木組みによる枠の中に
上手に照明がしまい込まれていて、電気による照明という
伝統的な住宅にはなかった装置へのデザイン的な対応が見られます。
電気の導入初期には、照明の側で、似合ったデザインというものを
工夫して、和風住宅の決定的な問題点である
採光への対応を計ってきていたものでしょう。
時を経てきて、この写真のような工夫へと住宅建築の側で工夫がされてきた。
ただし、こういう対応はやむなく高価にもなるでしょう。
ここでは照明器具をそのまま表さずに、障子の「ふた」まで造作されている。
ナマな「照明器具」という工業製品をできるだけ直接見せたくない、
という建築側の意志を感じることが出来ます。
このように仕上げれば、伝統的な
「障子越しに明るさを室内に取り入れる」という手法の範囲内に納められる。
ただし、一般的には障子は垂直に納めるのに対して、
水平に天井に対して「付加」する感じになる。
ちょっとした違和感は感じるかも知れないけれど、
窓側の障子と、デザインが共通しているので、やがて慣れてくる。
ほかの和風の装置、引き戸の建具とか、欄間の障子という
基本的な装置群とも調和していると言えますね。
しかし、こういう建築、
北海道ではまず、目にすることはない。
長野県では、こういうデザインの住宅のままに高断熱にしたい、
という需要が存在するのでしょうが、
北海道の現実的合理主義の側では、
「あたたかい家を造ることに合理的なデザイン」という価値観が
端々に顔を出すようになってくる。
壁の作り方が大きく変化して、
柱を表す「真壁」から、柱が見えてこない「大壁」が主流になってくる。
このあたり、「地域が選択するデザイン」というものを感じさせます。
きのうから札幌、一気に冬の様相を見せてきていますね。
雪はサラサラとした低温を象徴するような雪質。
底冷えの寒さが迫ってきます。
きびしい景気動向のまま、閉塞感の中を、雪が降り続いている感じ。
しかし、明けない夜はないし、終わらない冬もありません。
楽しく冬を乗り切っていきたいものですね。
北のくらしデザインセンター
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2008年12月03日
碍子配線工事ふたたび

きのう発表させていただいた
「北のくらしデザインセンター」。会場になる
わが社2階のオープンスペースの改装では
大量の展示パネルの表示効果を高めるために
照明を追加したいと考えました。
ところが、何回かご紹介していると思いますが、
この展示スペース、実は「オール電化」のイメージ訴求のために
電気配線を露出させ、碍子を利用しているのです。
「碍子」っていっても、若いみなさんはわからないでしょうね(笑)。
電気って、出来ている家に後から通るという
そういう時代もあったのですね、これが。
で、そうするとあらかじめ壁の中に隠して配線するということが出来ない。
なので、やむなく、全部配線を室内に露出させて
電気を必要な場所に通らせたと言うことなんです。
なので、電気会社ではこのような露出配線技術が習得必須だった。
そういう技術の復権、というか、再生を考えてみた次第。
で、久しぶりにくだんの電気工事屋さんに連絡したら、
当時、「もうこういう工事を出来るのはこの人くらい・・・」
と紹介された職人さんはとうに引退している。
なんですが、わが社の工事がきっかけで何軒か、こういう仕事もあったようで
まだ手がけられる職人さんが存在していたのですね。
ふたたび探し出してきてくれて、
ごらんのような鮮やかな手仕事を披露していただけた次第なのです。
今回は壁面と窓面側上部に電球色蛍光管を設置するのですが、
スィッチは集中1箇所にするので、
このように碍子による配線工事が延々と行われました。
配線を「見せる」となると、
電気工事職人さんも、やはり背筋がきりっとして頼もしそうな手さばきぶり。
ただ、どうしてもこんがらがりそうになるのだそうで、
途中何度か「えぇ〜〜〜っと・・・」という声が。
でもまぁ、めでたく完成いたしまして、
スィッチオンさせたら、今度は蛍光管、白色を持ってきたということで、
ありゃりゃ、ということに・・・。
後日、管は電球色のものに入れ替えていただけることになりました。
たいへん楽しい工事でした、ありがとうございます。
こういう工事で、お待ちしていますので
ぜひ、「北のくらしデザインセンター」ご利用ください。
北のくらしデザインセンター
2008年11月28日
窓を保護する

写真は、関東高崎市郊外の家。
関東は4地域。
風を考慮すると、体感的な冬の寒さは2地域くらいとも思える。
でも、やはり冬以上に考えなければならないのが夏。
冬の関東に行くと、その日射しの暑さに驚く。
緯度は北海道とは比較にならない低緯度。
そこに晴天の続く日射しなので、
太陽光利用には最適だと考えられます。
しかし、太陽光は夏場は室温の過上昇を招きます。
そうした対策として、伝統的な家屋では
深い軒の出が活用されてきた。
さらに夏の日射遮蔽技術として
葦簀やすだれが多いに活躍してきたけれど、
住宅が密集するようになり、セキュリティの面からも
夜間に窓を開放して寝ることが出来なくなってきた。
こうした条件に合致する「地域らしい」家づくりの
デザイン的なアプローチはあまり見られませんね。
土地の確保、という、より社会性の強い要因の方が大きくて、
住宅としての性能的要件まで認識が深まっていかないと言うことでしょうか?
そんななかで、
この家では、深い庇が特徴的に取り入れられています。
庇のメリットで大きいのは日射の制御と、窓面の保護。
窓や壁面を保護することは長期的な住宅の寿命を左右する。
手間はかかるけれど、それほど大きな金額の工事ではない。
でも、ほとんど行われることはない。
こういう性能要件に十分な配慮をせず、
社会的要件の方に価値観を大きくしてしまうと
住宅の本来的な進化にはつながっていかないのではないでしょうか?
土地の値段という、経済要因の方が大きすぎて
「家は土地のおまけ」的な住宅文化が、後の世になって、
さて、どのように受け止められるか、
豊かな経済力の時代だったが、
住宅文化という面では、見るべきものが乏しい地域・時代だった、
というように言われるかも知れません。
そうでなくても、住宅金融公庫システムという
国民皆建築とでもいえるような住宅システムは生み出されたのに、
残り続けるような住宅文化、という点では
きわめてあやしいのが、現代の住宅。
もう少し、目的的に取り組まなければ、
このような危惧が現実になってしまうものかも知れません。
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2008年11月24日
南面デッキベランダ

きのうは榛名山のふもとに建つ、ウッディハウスを取材。
敷地に比較的ゆとりがあるので、真っ正直に真南に大きな開口面を見せた家です。
で、こちら側にはそれぞれデッキやベランダが配されていて
ちょうど伺ったときには、いい天気のもと、洗濯物干しを。
開けられた窓からは、たまたま親戚のこどもさんたちも合わせて5〜6人の
にぎやかな笑い声、歓声が上がっている楽しい雰囲気でした。
こっちは、家を離れて1週間を超えてきたので
そろそろ、子どもの顔でも見たい頃合いでして、なんともかわいらしい・・・。
おっと、脱線。
南面からは明るい陽光が室内に導き入れられますが、
温熱環境的には、いろいろなコントロールを考えなければならない。
冬場にはなるべく室内に無料の暖房エネルギー、
太陽光日射を導入したい。
けれど、夏場は、きびしい低緯度の日本のきびしい日射しは遮り気味にしたい。
そういう役割の一端を果たす装置が、2階ベランダなんですね。
スノコ状の床面が、1階の大開口部に対して適度な角度で
日射をコントロールしてくれる。
冬場には太陽角度が下がってくるので日脚が延びて
室内の奥まで陽光が入ってくる。
一方、夏場の高い日射は、これが庇がわりになってくれる。
こういう工夫が基本的な建築要素で、
しかもこの家では、こちらに面している開口部すべてに
白い、カーテン状のものが見られます。
これは「ハニカムサーモスクリーン」。
これは断熱性に優れたもので、夏の日射を遮り、冬の室内の熱が逃げるのを防ぐ。
室内側からは、ちょうど障子のような風合いがあって
インテリア的に、他の素材とケンカするようにはなっていない。
さらに、日射対策として、
夏場には、葦簀を立てかけようと考えているそうです。
ただし、ことし3月の竣工でしたが、
基本的な断熱性能がQ値1.3レベルであり、夏場も室内温度がそう上昇しなかったので、
そこまでの装置利用の必要性がなかったということです。
太陽光という、わたしたちが得られる基本エネルギーを
どのように建築的に利用したり、遮ったりするか、
今世紀の住宅づくりが、いままさに直面しているテーマ。
いろいろに地域性に配慮しながら、いい暮らし方を見つけていきたいものですね。
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2008年11月23日
鉄骨の建物のリフォーム

きのうは仙台まで北上して、
近郊・秋保温泉街の中のある設計者の住宅を取材。
もうこの地に住み暮らして4代目だという「地域住民」の方でした。
お父さんの代から、設計事務所を始められていますが、
長年暮らしてきているので、建物を複合的に利用していて、
1階は一部で酒店を経営し、他のお店に貸してもいる。
2階はペンションホテルも経営。
そして、その上に今回、住居部分を造作して住もうという計画。
ということなのですが、
計画道路の拡幅で、建物が半分以上削り取られることになって、
それにともなう一大リフォーム工事だったのですね。
元々の建物は、お父さんの設計になるモダンデザイン建築で、鉄骨造。
その基本を踏襲しながら、周囲の自然豊かな環境の中で、
それをすべて取り込むような開放的な建物を志向されていました。
熱損失係数は、さてどの程度になるものか、
ちょっと、想像できないだろうと思います。
設計者の自己責任での住宅づくりであり、体験的な部分での
「こういう建物でも、そこそこ住み続けてこられた(笑)」という住宅でした。
正面側は南に面しており、裏側北側は緑たっぷりの針葉樹の森。
谷間に位置していて、冬場の季節風などはそれほど感じられない。
逆に太陽光日射は、冬でもたっぷりと室内に導入されていて、
それが、床面や天井面のコンクリートスラブに「蓄熱」される効果はありそう。
今回は、ヒートポンプ床暖房を居住スペースの3階床面に敷設しています。
さて、ほぼ前面開放的なデザインで、
太陽日射取得蓄熱と、これも自然エネルギー活用である
ヒートポンプ暖房で、宮城県中部地区の自然環境の中、
どういう生活温熱環境になるか、
ちょっと興味深い部分もありました。
体感的には、きのうは床面に敷き込まれた毛足の長いカーペットが
蓄熱した暖かさを足下に伝えてくれていて、
ほんわかと、心地よさも感じられた次第です。
ただし、日射が期待できない天候条件では、ヒートポンプ暖房が
はたして、足りるだけのエネルギー取得できるものかどうか、
いろいろ、実験的な数字を今後、計測確認していきたいと思いました。
ペンションの方は、1泊3000円で、
隣接する温泉ホテルのお風呂が無料で利用できるそうで、
そう考えると、たいへんリーズナブルに秋保で宿泊できる。
今度、一回、体験宿泊してみようかなぁ・・・。
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2008年11月21日
お料理好きのキッチン

きのうは上越市で取材でした。
寒波が押し寄せてきていますが、新潟県は日本海の横幅が
もっとも大きい地域なので、降雪量が大きくなる、
という説があるそうで、積雪が心配されましたが、
なんとか、峠を越えて、青空も望むほどに回復。
でも、たいへん天気の変化が激しい状況でした。
写真は、久しぶりに見た「ガスコンロのあるキッチン」。
お施主さんが料理にこだわりがあって、
絶対に譲れないポイントだったのだそうです。
中華料理などで、よく油炒めをするときなど、
やはり瞬間的な火力ではガスが効率がいい。
とくにわたしも、もやし炒めをラーメンの具として入れたい方なんですが、
もやし炒めは、強い火力で一気に炒めてさっと止めるのがおいしい。
シャキシャキとした食感が歯ごたえとして残る、
こういう料理のツボでは、やはりガスに軍配が上がるように思われます。
で、そういうこだわりのある人は、
同時にキッチンの仕上げもステンレスを好むようです。
モノトーンの質感が、知らず知らず、料理への集中力を高めるのか、
機能性にシンプルに訴求するものがあるのか、
こうした雰囲気のものが人気がある気がします。
まぁ、あんまり普段は見ることがなかったのですが、
シンクまわりのこだわりのある設計仕様は、なかなか考えられていました。
とくに魚を捌くことにこだわった機能は、なかなか考えられています。
日本の食事では、やはり魚料理の比率が高い。
大量の水を使いながら、使いやすく捌いていくには、
シンクへの工夫が欠かせないポイントだとも思います。
日本語で「流し」というくらい、大量の水を流しながら作業するので、
感心させられる機能性でした。
メーカーキッチン、なかなか油断できませんね(笑)。
写真の中にあるパソコンは、
カメラマンの確認用のもの。
キッチンにパソコンが付属していると言うことではありません(笑)、
念のため(笑)。
さて、全国行脚、まだ、札幌への帰還のメドが立ちません。
予定は未定の出張が、しばらく続きそうです。頑張らねば!
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2008年11月20日
和の美しさ

こういう空間にたたずむと、なじむ・・・。
写真はきのう取材してきた長野県岡谷市の住宅。
和風住宅の楽しさをたっぷりと味わえる家です。
そのなかでも、北海道に暮らすわたしとしては、こういう広縁に強い憧れを抱く。
床板のヒノキはどこまでも清浄感をたたえています。
庭に面して開放されたこういう場所は、
日本的な自然観や、感覚の大きい部分に色濃く影響を及ぼしていると感じるのです。
こういう空間から、庭を眺めるわけですが、
場合によっては、こういう空間から庭の白砂上で腹を切るシーンを
「見届け」たりすることすらあったでしょう。
死生を分ける結界的な空間でもあったのだと思うのです。
こういう広縁に込められた民族的な感覚って
たぶん、完全には説明できない、さまざまな精神文化につながる部分がある。
正面には円窓が開けられています。
ここからは、梅が眺められる、というか一幅の絵として
梅の花の咲く様が、室内に円窓を額縁として切り取られている。
右側の横長の大開口は、日本人が感覚してきた寸法の原点的なもののような気がする。
よく、左右の黄金比率というようなことを聞きますが、
こういう日本建築の寸法は、さてどうなのでしょうね。
日本の屏風絵という絵画形式がありますが
あれも、こういう寸法が基準になっているものだと思う。
こういう伝統的な空間にペアガラスの樹脂窓が嵌め込まれ、
しかも重厚な気密断熱性が施工で確保され、
冬の厳しさの中でも、むしろ古人達が楽しむことが出来なかった
雪の降りしきるようなさまも、楽しく感受することが出来る。
わたしたちは、伝統に育まれながら、
こういう進化した住宅性能で、まったく新たな体験も感覚できるようになってきている。
利休さんが、いま生きていたら、
こういう性能を獲得した住宅建築から、
いったいどのような「わびさび」精神文化を紡ぎ出すのだろうか?
北海道から長野に来て、
そんな思いがふとしてくるような空間を体験しました。
楽しい取材でした。ありがとうございました。
<来年早々に出版予定の「エコ住宅Q1.0」第2号掲載の予定です。>
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2008年11月13日
フローリングの傷み

最近寄せられたクレーム投稿で気になったものから。
新築でフローリングの傷が気になって仕方がない、
いったい、どれくらいなら許容範囲なのか、というような内容でした。
フローリングといっても
無垢の、どこまで削っていっても自然木というものと、
一般的に広く流通している、
表面だけ自然木を薄くスライスしたものを貼ったものとがあります。
後者は、心材として加工した木を使っています。
写真はわが家のお恥ずかしい状態の様子です。
残念ながら、表面だけ貼ったものは宿命的にこういうことになりやすい。
わが家では、床暖房を土間コンクリート床に敷設してあり、
その表面に張っていくフローリングとしては
「床暖房用」と明記されていたのが、この製品だけでしたので
これを採用したのですが、
事務所兼用住宅だったので、椅子の脚に移動用の車輪がついた事務用椅子を
使っていたところ、もののみごとにこのような感じで
表面仕上げ部分がはがれてきてしまいました。
いろいろあるのでしょうが、
床暖房用って、物理的刺激には弱かったのかもしれません。
もっとコストダウンした床材を使っていた部屋では
同じ「フローリング」(無垢ではない)でも
同じような使い方をしても、タフに耐えています。
こういう経験があって、
やはり床材って、いろいろ用途があって、
適材適所が大切だということに改めて気づかされました。
そんなことから、暮らし方と、部材の検討って
きわめて大切だと考えています。
そこで、そのあと建てた事務所では、
タフに利用する床はやはり安価で耐久性の高い樹脂のフロア材を利用して
裸足や、スリッパで利用する床面は無垢で一番安いものとしています。
床暖房する場所には、その他、テラコッタも採用して
こちらでは蓄熱性も利用するようにしました。
こういう経験があったので、
フローリングにはいろいろの種類もあること、
さらに長期の利用では、自然のものなので傷みからフリーではないこと、
などを意見として書き添えました。
もちろん、新築時点ですから、傷み具合の程度問題ではあります。
ちなみにわが家の写真のフローリングですが、
現在は放置して、そのまま利用しております。
補修を試みても、きりがないし、難しいのは一目でわかるんですね。
人生に完全はあり得ないのですから、
失敗の教訓を毎日確認しながら生きていくのも
案外、大切な部分ではないか、などと納得しながら暮らしています(笑)。
まぁ、負け惜しみですね、明らかに(笑)。
パソコン、慣れない環境で
作業をいろいろやっていて、ストレスがたまりますね。
昨日、一番つらかったのは
PDFが簡単にできない、ということ。
このパソコン、間違えて、っていうか、予備用と考えていたのもあって、
OSをWIN_XP「ホームエディション」にしたのですが、
これが想像以上にとんでもなかった・・・。
なんせ、まともにネットワークプリンターに接続できない。
いじわるとしか思えない仕様なんですね。
確かにOSの値段に格差をつけるのにこうしたのでしょうが、
「家庭用」のパソコンは、業務には使うな、ということなのですね。
まぁ、技術スタッフがサポートしてくれて
なんとかリカバリーできましたが、このPDF作成は
同様にプリントまわりの仕様がからんでくることなので、
解決しようというのは、まぁあきらめた方がいい。
別の方法でデータを人に渡すことにして解決させました。
MACではOSレベルでPDF作成をサポートしているので、
全く考えたこともなかった次第なんですね。
まぁ、なんとか、作業は間に合わせることができましたので、ひと安心。
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2008年11月08日
白い化粧

昨日から、札幌は本格的に白いものが舞い始めました。
夏タイヤから冬タイヤに履き替えもちょうど終わらせたところでした。
毎年、冬の向かえかたって、いろいろあるんだけれど、
やっぱり北海道は、白い雪が一気に全部を化粧するっていう
単純に劇的なことがやってくる。
こういう当たり前のことに、歳を取ってくると、思いが深くなる。
ブラックアウト、という言葉があるけれど、
北国の人間の感覚からすると、冬の訪れは
「ホワイトアウト」という感覚に近い。
まぁ、劇的な場面転換が暗転ではなく、白転とでも言えるような感覚でしょうか。
で、来てしまえば、しばしの間、見とれているようなところがある。
小さい頃からの初雪の記憶がフラッシュバックしてくる瞬間。
きれいだ、とかいう感覚とは違うんですね。
確かに綺麗ではあるんだけれど・・・。
雪にも色があるって、
札幌の絵描きさんが言っていましたが、
この初雪は、そういう白色世界のバリエーションの始まり。
視覚領域の中に、ベーシックに白が入り込んできて、
他の色達とのコンビネーションを構成する。
北国の住宅って、外観で言えばこういう白の世界との対話が
けっこう大きな部分なのではないかと思う。
下見板張りの外壁を復権させた建築家・倉本たつひこさんは
こういう雪のなかでの建物の調和を考えていたような気がする。
わたしたち、北海道の人間が、倉本さんの住宅を見て
「そうだよ、こういうのが北海道なんだよ」
って思えたのは、こうした心象意識があったのではないかと思う。
まぁ、雪に似合う色合いとか、質感とか、
やっぱりそういう感覚からわたしたちは無意識ではいられない。
そういう風に考えてくると、
もっと外観について、論議があってもいいと思うのです。
雪の季節に、家を実感させてくれる外観って、
さて、どんなことなのでしょうね。
<写真は雪化粧した庭木を上から見下ろしたところ>
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2008年11月07日
露出の電気配線工事

わが社の2階はイベントができるようなスペースを持っています。
6年ほど経過したのですが、やや照明が少なめでした。
電気配線は、「オール電化」の視覚的表現と言うことで、
可能な限り、露出配線をしています。
久しぶりに建物に手を加えなければならないので、
ついでに電気工事での追加照明を考えて打ち合わせした次第。
電気工事って、まず表側に出てくることがない。
だいたいは構造段階での配線工事で、壁の中に隠されるのが一般的。
当社のようなケースは大変少ないのでしょうが、
その分、一生懸命になってやっていただいて、
思い出話なども交えての楽しい打合せでした。
6年前にこうした露出配線の経験のある職人さんは、ほぼリタイア状態。
ということなので、出来る人間をまた捜さなければならないのですが、
「なんとかできるでしょう」ということでアテもありそう。
インテリア的には、構造の素地表しに近い空間なので、
やはり電気配線の仕上がりが決め手になりそうです。
さてどういう具合に仕上がるか、楽しみにしていたいと思います。
トヨタの決算見通しが発表されていました。
対前年比70%減少と言うことですね。
主要なマーケットであるアメリカ市場の景気減速が加速して、
業績を押し下げると言うことだそうです。
さて、どういう方向に向かっていくのか、
当面はアメリカの状況から目が離せないのではないかと思われますね。
但し、経済はひとびとの気持ちの問題も大きい。
ブッシュからオバマに政権が代わって、
前向きな社会になっていくのかどうか、
そういう部分が、結局は経済をも規定していくのではないでしょうか。
まぁ、なんとなく、これ以上は悪くならないのではないか、
というような気分が、いまのところ支配的のような気がします。
オバマには、メッセージを伝える力がある、と言われています。
当面は、様子を見ていくという状況になるのでしょうね。
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2008年11月01日
木床の防音対策

生活騒音の問題って、
日本人の生活意識が変化してくるにつれて問題化してきました。
戦前までの賃貸住宅中心の住環境では、
都市型住宅であれば、あり得ないような問題だと思います。
京都などの町家形式住宅でも、隣家とは場合によっては
薄い壁一枚の隔てしかない環境が当たり前。
むしろそういう環境の中で、他者の心情を推し量る、という
日本的な精神文化が涵養されてきたのではないかと思われるくらいです。
江戸の町民も、庶民はほとんどが権利意識の薄い賃貸住宅・長屋に住んでいて
ひとつの井戸を共有して暮らしているのが生活スタイル。
そういう生活意識が劇的に変化してきたのが、
戦後の社会でしょう。
アメリカの占領を経て、個人主義的な生活文化が導入され、
権利意識というものも高まり、
同時に「持ち家化」政策が経済の高度成長とともにたいへん有効に働いて
マンションなどでも「区分所有」という概念で取引されてきた。
区分所有とは、個人の権利意識を幅広く認める考えに基づく。
極端に言えば、高いお金を払って「所有」した空間内部では
誰からの干渉も受けるのを受忍しない、という態度が広がってきた。
そうした拡大した個人主義って、
ちょっと歴史をさかのぼれば、日本人の生活文化伝統にはなかったことはすぐに気付く。
・・・はずなんですが、なかなかそうは割り切れないのが現代の状況。
っていうようなことで、建築の側で、
さまざまな防音対策の工夫が行われるようになってきている。
写真はあるメーカーが開発した木床と、構造との間に入れるクッション材。
型と強度維持が難しそうなので、高いものだそうです。
効果はある程度出るものでしょうが、
しかし、住宅110番に寄せられる騒音苦情って、
いったん、受忍限界を超えてしまってからなので、
こういう工夫だけでは、納得させられるものとも思えません。
そんなことを考えていたら、
住宅の研究組織・東北フォーラムから以下のような案内が来ました。
住まいと環境 東北フォーラム
第66回研究集会 フォーラム共催行事
橋本典久先生・日本建築学会賞受賞記念講演会
(日本建築学会東北支部60周年記念)
「集合住宅における床衝撃音性能と騒音トラブル」
橋本典久先生(八戸工業大学工学部建築工学科・教授)が
「拡散度法による床衝撃音遮断性能の予測に関する研究 」にて、
平成20年度日本建築学会賞を受賞されました。これを記念に企画された講演会です。
ご講演内容は、建築関係者だけでなく一般市民や学生向けに、
身近な集合住宅における騒音問題を取り上げていただいておりますので、
この機会に奮ってご参加いただけますよう、下記のとおりご案内申し上げます。
皆様のご参加を心からお待ちしております。
■日 時:平成20年12月5日 15:00〜17:00
■場 所:フォレスト仙台(宮城県教育会館)第1フォレストホール
(仙台市青葉区柏木1-2-45 TEL:022-271-9340)
■共 催:日本建築学会東北支部環境工学部会,
住まいと環境 東北フォーラム
■定 員:100名(申し込み先着順)
■参加費:無料
■申し込み:「騒音トラブル講演会参加申し込み」と明記の上、
参加者氏名・所属とともに下記宛にE-mailもしくはFaxにてお申し込み下さい。
住まいと環境 東北フォーラム 担当:柴田
FAX 022-221-9243 E-mail htoenv@rio.odn.ne.jp
もし興味を持たれる方は
発表を聞かれたらいかがでしょうか?
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2008年10月30日
古い木造の「場の力」

美唄の小学校の廃校施設を再利用した建物。
先日来、何回か掲載していますが、
写真はそのなかの広めの部屋に彫刻が展示されている様子。
彫刻が素晴らしいのは、まったくその通りなのですが、
それ以上に、感銘を覚えるのが古い木造校舎の魅力。
大体が、どんな地域に行っても、
古い木造の大型建築、学校に行くと、こころがやすらぐ感覚を覚える。
まぁ、ほとんどのひとが感じるのは事実のようなので、
そろそろ、こういうものの復権を真剣に論議すべきなのではないかと
思われてなりません。
近代合理主義丸出しの威圧的なコンクリートと、
無節操なガラスの透明感に頼り切った空間構成はどうもいやらしい。
確かにそういう材料での空間構成を否定はしないけれど、
それはむしろ控えめに、
木質の豊かな情緒性を補強する存在であるべきではないのでしょうか?
建築って、ひとびとの暮らしを豊かにすることをめざしているもの。
その意味で、古い木造建築が持っている
「癒しの力」のようなものを早急に科学的に解明すべきではないのでしょうか。
だれが訪れても、必ず楽しくなれる空間の「力」ってすごいと思う。
鉄筋コンクリートは強い耐久性は持っているけれど、
言ってみれば「愛着の耐久性能」という部分では、
大型木造の持っているスーパーパワーにはまったく太刀打ちできない。
写真のような場では、
やはり素材に刻印される時間の経過というものが
訪れるものに、視覚や空気の臭いのようなものが一気に包んでくるのでしょう。
そういうことがらを受容するときに、
わたしたちの心が、それを圧倒的に心地よいと感じるのだと思う。
DNA的な、木という生きている素材が、
同じ生き物としての部分で、深い感受性を刺激するのだと考えられる。
木は語りはしないけれど、
多くのことを人間に訴求してくる「力」を持っているのではないか。
こういう空間にいると、
窓の外の自然の移ろいが同質性を持って感じることが出来る。
自分自身もそういう大きなものの中のひとつであるという自己認識を持てる。
きっと、こういう空間はそうした「回復力」に優れているのではないか。
こういう建物から感じるのは、そんなことのような気がします。
母方の伯父が、
函館に住んでいたのですが、「古い家がいい」と言って、
木質素地外壁の古家に住んでいたことを思い出します。
だんだんと、そういう心理になってくる年齢なのかも知れませんね(笑)。
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2008年10月24日
十勝2×4協会30周年

きのうは十勝地方の建築業者の団体
十勝2×4協会30周年の大会が開かれました。
地域独自の団体なのですが、設立から30年も続いている稀有な団体です。
毎月24日の会合と言うことで、
忘れられない日取りということから(笑)
長く続いてきたようです。
というのは冗談ですが、本当にこんなに長期に続いてきているのは
まさに会員の研鑽努力の積み重ねと言うことだと思います。
そういうことから、十勝地方では住宅の60%以上が
2×4工法が選択されてきているそうです。
寒冷地で、あたたかい住宅がなによりも求められる地域性に
こうした建築事業者の研鑽努力がマッチして
地域に受け入れられてきていると言うことを表していると思います。
そうしたことから、
日本中から建築関係者、またカナダ政府関係機関からなど
たくさんのみなさんが大会に参集されていました。
ということで、本日はこれから現場見学会がありますので、
夕方、また追記で更新したいと思います。ではのちほど。
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2008年10月22日
建築家大会インスタレーション青森

仙台での建築家大会でのアピールとして
定禅寺通りの中央緑地帯で東北支部各県ごとの地域会による
「インスタレーション」が行われておりました。
インスタレーションって、
1970年代以降一般化した、絵画・彫刻・映像・写真などと並ぶ現代美術における表現手法・ジャンルの一つ。ある特定の室内や屋外などにオブジェや装置を置いて、作家の意向に沿って空間を構成し変化させ、場所や空間全体を作品として体験させる芸術。空間全体が作品であるため、鑑賞者は一点一点の作品を「鑑賞」するというより、作品に全身を囲まれて空間全体を「体験」することになる。鑑賞者がその空間を体験(見たり、聞いたり、感じたり、考えたり)する方法をどのように変化させるかを要点とする芸術手法である。
(Wikkipediaより)
ということなのですが、
まぁ、ようするに社会に対するアピールですね。
各県ごとにさまざまな展示がされていましたが、
写真は青森支部のもの。
青森といえば、ねぷたなので、ごらんのような行灯のような制作物が作られていました。
なかに入ってあいさつすると旧知の建築家Sさん。
中に仕舞い込む灯りを点けていました。
屋外でもあり、てっきり電球を採用しているのかと思いきや、
ろうそくを使って、火を点けているんです。
大丈夫なのかなぁと、心配になったのですが、
その辺は、さすがねぷたでみんな慣れているということでしょうか。
そんなお話しをしていたら、
「なので、使っているのはタイベックシートなんですよ(笑)」
っていうこと。
ふむふむ、なかなか考えていると、膝に手を打ちました。
タイベックって、住宅の外壁材と通気層のすぐ内側に張られる「防風層」の材料。
湿気は外部に向かって開放するけれど、
外部からの空気の進入は遮る働きをするもの。
なものですから、外で使用しても風の影響は少なくなるものと思われます。
建築家の社会に向かってのアピールとしては
こういう全体構成はなかなか考えられていて、いい。
デザインとしては伝統的なものをイメージさせながら、
同時に建築的な材料の意味を、優れて感じさせてくれています。
わたしのような印象を持つ人は多いだろうから、
その都度、防風層の意味を話せばいい。
こういうのって、優れて啓蒙的な展示としての意味があると思いました。
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2008年10月19日
JIA環境建築賞

きのうも建築家大会2日目。
わたしはてっきり開会式からが初日と思っていたのですが、
実は開会式前の前日から始まっていたと言うことで、
きのうは3日目なのですね。
で、きのうは前から見てみたいと考えていた
JIA環境建築賞の受賞者のプレゼンが行われていました。
3時間に、12人の受賞者の発表があり、
しかもそれに対するパネルディスカッションもあり、
最後には東北フォーラム・吉野理事長などのまとめなどもあるという
なんとも盛りだくさんで、とても消化しきれないのでは、
と思われる内容でしたが、まぁ、なんとか時間内に収まっておりました。
審査委員長の野沢正光さんの総評の中に
1800年代以降、建築は常に問題に立ち向かって来た歴史である、
そして現代の最大の問題が、
どうすれば、2050年段階でCO2排出を半減以下にすることができるのか、
というエネルギーの問題だ、という指摘がありました。
まさに言われるとおりだと思います。
そのための要素技術の蓄積があり、設備機器の進化がある。
こういうものを具体的な建築デザインとして、
いかに良い建築として作り上げていくのかが、建築家に課せられた
もっとも、今日的な課題なのだと思います。
そして、これまでどちらかといえば、
寒冷北方のテーマと思われてきたこの部分に
多くの設計者の興味が集まってきており、
温暖地域でも、いろいろな取り組みが見られてきていると言うことが
実感できてきた次第です。
断熱気密の基本技術を踏まえ、さらに自然エネルギーを活用する
さまざまな技術の組み合わせ・活用が考えられ実践されてきていると思います。
CASBEEという考え方、住宅レベルで考えているケースなんて、
ほとんどないのではないかと思っていたのですが、
認識を新たにさせられました。
また、再生利用という、建築の今日的な課題についても
実に豊かな想像力による挑戦が行われてきているようです。
なにより、多くの実践が積み重ねられてきていることが
多いに勇気づけられた次第。
会場にはさすがに、北海道からの参加者が多かったのですが、
それ以外にも、全国から会場一杯の参加者が詰めかけていました。
こういう熱気を体感できて、たいへんうれしかったです。
先日書いた「東屋」〜あずまや〜について、
読者の方から、漢字では四阿という表記が一般的だけれど、
なぜ、こういう書き方になるのか、調べてブログで書いて欲しい、
という意見が寄せられました。
わたしの使っているATOKでは、四阿も東屋も同義とされていたのですが、
確かに四阿って書き方、不思議ですよね。
ちなみにWikkipediaには、こういう情報はありませんでした。
う〜〜ん、困った。
とんだ宿題になった感じがいたします。
読者の方で、問題探求の心当たりのある方、ぜひ教えていただきたいです(笑)。
<写真は定禅寺通り〜これもきのう書き間違えました〜
での建築家大会向けのデモンストレーション>
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北海道・東北の住宅雑誌[Replan(リプラン)]|家づくり・住まいの相談・会社選び
2008年10月17日
掘っ立ての東屋

先日書いた平取町の「義経神社」境内で
思わずシャッターを切りたくなったのが、この東屋。
用途としては清めの手水所で、竜の蛇口から水が流れておりまして、
なかなか立派なんです。
流水を受ける流し台は岩をくりぬいたようなんですね。
こういうしつらいは、
「お、なかなか、いけるじゃんか!」っていうところ。
で、外観全体もなんともいけているのです。
柱は、地面からそのまま生えているような掘っ立て柱。
それも自然木の皮を剥いだままの木材を使用しているので、
垂直といっても、寸法はきっちりと決まってはいない。
掘っ立てって、技術的には単純なだけにすごく難しいもの。
わが社でも、外部に古電柱の照明を連続させたときにその工事を見たのですが、
三内丸山遺跡以来、っていうような縄文から続くであろうような
技術伝統をかいま見せてくれる工法なんですね。
それに梁を渡して、屋根組みしていますが、
屋根もなんと、茅葺き。
すべて自然素材の質感そのまま、屋根からは青々とした草も見えている。
っていうようなたたずまいの空間が、境内の森の一隅に
つつましやかに建っている・・・。
ふむふむ、なかなかにいい仕事、していますなぁ
(なんでも鑑定団ふうのため息)
という感想を持った次第であります(笑)。
本体の神社自体は、あまり歴史的な由緒に価値はないのではと思われましたが、
どっこい、こっちのほうは、一見の価値がある。
むしろこういうところにこそ、日本的な美的感覚のエッセンスがある。
どっちかというと、自然の木をそのままそこにおいて、
しかも建築的機能を果たしていますよ、というような感覚でしょうか。
岩も、ごく普通にある岩が、よく見ると手洗いシンクになっていますよ、
というようなさりげなさを装うデザインマインド。
ちょうど西洋式の庭園がこれでもかと人工的に作るのに対して
日本の庭園が、ひたすら自然な表現を心がけているのに通底している。
残念なのは、仰々しく立て札が置かれてあって
なにやらこれ見よがし風に読ませられそうな点。
ここまでさりげなく作っているのなら、それを貫徹して欲しかった(笑)。
でもまぁ、許してあげたいところです。
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2008年10月16日
トイレのバリアフリー

先日見学に行った現場公開での写真。
トイレの手すりの面白い製品が取り付けられておりました。
うねうねと折れ曲がっていて、色もなんとも鮮やか。
強烈な印象なんですが、
黄色って、毎日見ていると、そう強烈感は持続しない色。
だんだん馴染んできて、思ったよりも落ち着きはある色だと感じています。
あ、わが家でも家の真ん中にあるらせん階段を黄色く塗っているんですよ。
ちなみに風水では黄色って、金運を呼ぶ色とかで、
カミさんから聞いて以来、黄色を好きになるように自己暗示をかけ続けている
一般的大衆のごく一部分がわたくしであります(笑)。
ってまぁ、色はおいといて、
人間工学を考えたと言うことで、複雑な形状になっていますね。
たぶん、よっこいしょっというひと動作ごとに
過不足なく、体を支える働きをするものと理解されます。
以前はこういう装置について、
イマイチ、現実感をもてなかったのですが、
だんだん、高齢化がわたし自身の肉体にも影響が現れてきているので、
このような手すりとか、現実感が高くなってきています。
そういえば、文字の大きさというのも、
ちょっと前まではほとんど気にしていなかったのですが、
たとえば名詞などで、英文のメールアドレスなどは
ほとんど解読不能になってしまっています。
デザイナーとかに注文するのですが、
かれらはどうしても全体のバランス感覚を優先してくるので、
機能要素のような、文字のベタな伝達性優先という考え方は基本的にしない。
でも、高齢化の時代、バリアフリーということは
デザインの分野でも大変重要なテーマだと思います。
それとして、でかくしました、っていうようなレベルではなく、
わかりやすさという根本的なテーマをしっかり追求して欲しいものだと考えます。
若い世代でも、高齢世代でも誰にもわかりやすい、ということが重要。
そういう意味ではこうした手すり、
毎日使い続ける中で、使い勝手優先で考えられている感じがします。
目に鮮やかな色合いも、そう考えると納得もできる。
まぁ、考え方はいろいろにできるとは思いますが、
生活上のわかりやすさ優先のひとつの形ではあると思いますね。
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2008年10月15日
暖房の未来形

写真は北総研の方の講演時のスライドから。
暖房用エネルギーといっているけれど、
住宅の性能が向上していくと、生活廃熱と太陽日射の割合が高くなってくる。
熱損失係数が1.0あたりからは
暖房用負荷としても、そっちのほうが大きい割合になってくる。
これは北海道でのことなので、
だとえば東京くらいだと、
暖房はゼロエネルギーっていうようになってくる。
北海道内でいま建築中の「北方型住宅ECO」は、換気の条件抜きで
熱損失係数1,3を性能要件としているので、
もし、第1種換気を装置した場合には1,0くらいが相当するレベル。
この写真で見る○をしたくらいのエネルギー構成になるのですね。
この場合は、生活廃熱と日射熱を足した方が
暖房専用エネルギーを上回ってくるという結果になる。
このレベルの住宅が、ことし一気に123棟も建設されているのです。
たしかにこれまでも先進的なビルダーは
ごく標準的にこういうレベルの住宅を建ててきたのですが、
そういう住宅がひとつの住宅運動として大量に一気に市場に公開される意義は高い。
こういう住宅になってくると、
暖房というものが、もっと意味合いが変化してくるような気がします。
いまは、補助暖房的に使われている薪ストーブですが、
性能が低い住宅では確かに「補助」としてしか考えられないけれど、
人間がコントロールできて、しかも
精神的にも高い癒しを提供してくれるものとして
場合によっては、主暖房の位置を占めてくるかも知れない。
環境問題で考えても、薪のような熱源は再生可能エネルギーとされているのです。
そのほかの暖房装置も十分に可能性検討が可能になってくると思います。
そしてその場合、性能要件的なものよりも
もっと、精神性を豊かにさせる方向に向いていく気がします。
同じ機能を果たしても、形態や見え方がまったく従来とは違うものになっていくとか。
そういう変化って、たぶん、北方圏生活デザインとして
本州以南地域に売り込んでいくことが可能なのではないかと思われます。
おおいに進化していって欲しいものだと念願しますね。
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2008年10月11日
エントランスの表情

今度、わたしのカミさんがテレビに出ることになって、
って、フジテレビ系列のローカルのUHBで、
15日の朝の「トークで北海道」というのですが、
そこで「出演者のお宅は?」ということで、
写真だけですが、どうもわが家の様子を写すのだそうです。
そんなことで、パソコンの中をガサゴソ、探してみた次第。
検索技術は進化していて、確かに便利なんですが、
やはりというか、案の定というか、
人間の方の記憶がはるかにいい加減なので、
目的の写真に付けた「名前」に統一性がないので、探し出せない。
ようやく見つけ出せたのが、リフォーム前の懐かしい写真。
その中の1枚がこれです。
その後、増改築したので現在はこういう雰囲気ではありません。
改造して一番残念だったのが、このエントランスの雰囲気だったんです。
木製のパーゴラでシンボルツリーからの動線を受け止める、
そういうやわらかい引き込み方が好きだったんです(涙)。
住宅って、そこのなかでの機能性が一番大切ではありますが、
そこにいたるまでの演出というのも、やはり印象のなかで大きい。
四季折々、また一日の光の移ろいなど、
刻々と変化していくエントランスの表情が、見るものに
「あの家、なかはどうなっているのかなぁ・・・」
という興味を起こさせ、表情も和ませていくものではないでしょうか?
記憶って、過去は美しくしか残っていかないとは言いますが(笑)
この建物への来訪者のみなさんの表情の中に
ある種の、やすらぎとか、ゆとりとかが感じられたように思い出します。
なかなか、予算がきびしくて
家づくりではお金が回っていかない部分ではあると思いますが、
やはり、外部に対して豊かな表情を作り出して、
地域の景観に参加しているという意識も芽生えてくるものなのではないかと思います。
さて、本日も当社2階では
たかたのりこさんの展覧会が開催中です。
スライド上映のセットアップをしたのですが、
やはり、美しい絵はひとをなごませます。
日曜日12日までですので、ぜひ足をお運びください。
詳細はきのうのブログでご確認ください。
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2008年10月06日
アイヌの家・チセ

二風谷の探訪編2です。
民俗資料館周辺には多くのアイヌの家・チセが展示されています。
写真左側のような住宅です。
間取り的には1間だけですが、ほぼ一定に前室というか、
機能的には「風除室」と言える入り口空間があります。
たぶん、冬場の風向きを考えて入り口の方向は設定されているものと推定されます。
そんなチセのなかに一軒だけ、
布製品を作っている方がいましたので、いろいろお話を伺いました。
こちらは住宅関係なので、必然的に作り方のことに質問が及びました。
まず、アイヌの人たちは結婚を契機としてチセをつくるということ。
それも、大部分は婿のところに嫁が来て、
婿の実家の近くに新築するのだそうです。
婿の側では、新築するのに必要な建築材料を揃えることが必要。
建築プロセスを資料館ではビデオで見ることができましたが、
基本構造は掘っ立て柱を四隅などに立てることからはじまります。
地中に1m近い穴を穿って、そこに周辺で伐採した柱材をしっかり固定する。
次にこの柱に横架材を架けていって、基本構造を作る。
そこに三脚状に組み上げた「柔軟なトラス」ともいえる屋根の構造材を立てる。
これが前と後ろに2つ立てられる。
これをつなぐように、棟木が架けられる。
簡単に言って、こんなプロセスで構造が形作られる。
すべてが周辺の山に入って伐採してくる木材ばかり。
その意味では、労力だけでしつらえられる。
一方で、基本建材になるのは写真右側の「茅」。
壁も、屋根も茅で造作されています。
注意してみると、それらが結束されている。
「茅を切って、一定の束にするのは女の仕事なんです」
と、布製品を作っている女性から聞きました。
彼女は、この茅束作りが得意だったのだそうです。
コタンの周辺には茅の自生場所が確保されていて、
家づくりのための材料を協同で確保していたのですね。
「いまはお馬さんたちの牧場になってしまっています(笑)」
この茅束作り、熟練者で1日にできるのは30束ほどだそうです。
家1軒分には、700束ほどの量が必要と言うこと。
で、こういう茅束を使って、
「縫い物を作るように・・・」
構造材の骨組みをくるんでいくように造作していくのだそうです。
茅束ごと、あるいは四隅など雨仕舞いで慎重な場所では束をほぐしたりしながら
この茅束で家をくるんでいくわけです。
で、構造の骨木材に対して、縄やなめした柔らかい木などで
ちょうど茅束の布を,糸で縫うようにして結束していくのです。
本当に縫い針のような用途の大きな木製針も見せていただきました。
屋根は「段葺き」という造作がされていました。
雨への防水対策で、雨漏りしないように工夫されていました。
壁を先に仕上げて、屋根は軒側から順に上に向かって仕上げていくようです。
地震などへの耐力は、聞いていて、かなりの柔構造なので
「どんな地震にもビクともしません」ということ。
建築の最後には屋根にたくさんの人が登って作業することになるので、
自然に建物が「締まってくる」という効果もあって、
完成の時には、凛とした状態になるのだそうです。
たいへん理にかなった作り方だと感心させられます。
茅は中空の素材なので、内部に空気を保持しているので、
一定の断熱性能はあったものと推測できます。
というか、自然素材の中で、もっとも適合した材料ということが出来ます。
以上のような基本建築費用を考えてみると、
構造材などは建て主の基本労務で集めてくることができる。
茅束を計算すると、熟練者で25日くらいあれば作ることができる。
これを1日人工で計算すると、15000円×25日で、375.000円程度。
こうした材料を、建て主が建築場所に用意しておくと、
あとは日を決めて、集落全体の労力で建築工事にかかるのだそうです。
聞き取った工事内容で考えると、10人程度で10日もあればできそうに思えます。
これも15,000円×100で、1,500,000円程度と考えられる。
その他の結束材などを勘案しても、総工費2,500,000円程度でしょう。
まぁ、人工の計算で大きく違ってはくることでしょうが・・・。
いずれにせよ、当たり前ですが、このような自然素材だけで造作されているのですね。
内部には、大きな炉が作られています。
東北地方の古民家と比較してもかなり大きめであるのは、当然か。
明かり取りと、宗教的な意味合いからかならず窓が何カ所か開けられます。
建具は蓋状のものが考えられています。
確かに冬はきびしい暮らしだけれど、暖房すると、
その輻射熱で、かなりあたたかくは感じていたということでした。
家づくりの知恵の深さにしばし、感嘆していた次第です。
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2008年10月02日
雨仕舞いと換気

写真は、ここんとこ続いている余市の旧漁家の食料庫。
大人数が生活していくためのコメとか、味噌とかの食品蔵なんです。
現代の住宅では、換気は義務化されていますが、
昔の建物は基本的にスカスカの空気流動の大きい建物が一般的。
そういうなかでも、とくにこういう食品庫の場合は
さらにそういう要素を求めている仕様。
立地的にはこの施設の敷地内で、一番高台に配置されています。
津波などがきたとしても、一番被害が少なそうな位置。
で、建物として特徴的なのは、
雨仕舞いの重厚さ。
雪のことを考えると、屋根の軒の出は
やや少なめにした方が、積雪荷重、端部への雪氷の付着から雪庇から
守ることができると思われるのですが、
その分、太い材を使用してがっしりとした屋根を構成して、
しっかりと軒を出しています。
前面の犬走り(小石の敷き込まれた空間)も幅広くなっています。
その上、出入り口にも小屋がけされていて、
入念に雨仕舞いへの配慮がされています。
軒の出が大きいので、冬期の積雪も建物からやや後退距離が保てそうです。
まぁ、余市は風は強いけれど、海に面しているので
積雪量自体はそう、多くはないところではありますが・・・。
空気流動を建物内に呼び込む工夫として
床高が高くなっています。
見ての通り、4段ほどの階段が架けられているほど、床が上がっています。
このように作ることで、床下空間がたっぷり確保されます。
床を構成する構造材も太い材が使用され、
それらの作り出す格子が大きな開口部を見せています。
そのように建物内部に導入された空気が
小屋上の換気口が見えていますが、
そこから上昇気流で廃棄されていく仕掛けが見えます。
食品などの保存としては、高床式倉庫という
日本的、というか普遍的な伝統技術が踏襲されていると感じます。
あとは食品庫としては、
ネズミなどの食害への対策が考えられていました。
いずれにせよ、理にかなった建て方がシンプルに反映していると思いました。
さて、きのうはおかげさまで、
北海道日本ハムファイターズ、めでたくクライマックスシリーズ進出が決まりました。
2位通過はできませんでしたが、
スカッとした大量得点勝利プラス豪華投手リレーでの完封勝利。
最後の最後で、こういう勝ち方をしてくれるのは、
選手たちの集中力の賜物でしょう。
札幌に移転してきてくれてから、これで4度目の進出です。
ことしは苦しい戦いが続きましたが、
やはり底力が付いてきているのかも知れませんね。
これで10月もまだ、野球を応援できる幸せをいただけました。
他チームファンのみなさんには申しわけありませんが、
なんとか勝ち抜いて、ふたたび札幌ドームにチームが帰ってきて欲しい!
そんなように夢想を大きく持って、応援していきます。
頑張れ、北海道日本ハムファイターズ!!
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2008年10月01日
ニシン漁場の蔵入り口

北海道の歴史って、日本海側に点在する「ニシン漁場・場所」の建築物などが
建築としては、かろうじて残っているものでしょう。
まぁ、高々200年程度さかのぼれるくらいのものです。
そうしたなかで、ニシン漁というものがどれほどのものだったか、
いろいろ実感させられる資料もありますね。
写真は、そういう漁場主の持っていた富の収納庫、蔵の入り口。
漆喰で塗り固められた外壁なのですが、
入り口は、これでもかという重厚さがみられます。
まず一番内側には、通風を確保させるための網入りの引き戸。
次に外壁と同様に防火性を考えたであろう漆喰で仕上げられた引き戸があります。
その上に、観音開き状の重厚な木製建具が大きな蝶番によって据え付けられています。
この木製建具、自重がどれくらいあるのか、
相当な重量感があります。
もちろん、大人の男性数人でなければかないそうもない感じ。
そして、その建具の密閉性を高めるために、
建物の側に枠が造作されていますが、
5重の段差が付けられています。
それも漆喰で丹念に形作られています。
開口部の下部分には、軟石が据えられています。
万が一の水の進入に対しての配慮で、石は敷居の高さが高い。
一方、建具の側の造作も、枠にぴったり合うように
丹念に造作されています。
締めるときには、こうした段差がぴったりと組み合わさって、
気密性が高く内部を保護するようになっていたものと思います。
鍵も、何重にも厳重に架けられるようになっていました。
現代のような既製品がない時代、
このような開口部とそれを閉める建具は、
ひとつひとつ、手作りで、用途を考えながら、
最善の手段を尽くして、内部の富を守るように作られた様子が手に取るようです。
まぁ、この工事ぶりを見学するだけでも価値がありますね。
この部分だけの工事費用、かかる日数を考えただけでも
再現することは困難でしょうね。
ここまでの大工事を尽くしてまで、
守りたかった富の集積が、ここには存在したということ。
この家は、明治期を迎えて地元に銀行まで創ったということですから、
推して知るべしと言うことでしょう。
ただし、北海道でニシンなどの収奪型産業を経営していたひとたちは
その好景気が去った後には、そこで蓄積した資本を
ほとんどが横浜などの貿易関係に移転させていったケースが多いのだそうです。
明治初期の国を挙げての北海道開拓が急速に熱が冷め、
その後、財閥系に土地そのものがほとんどタダ同然で払い下げられていった。
今日でも北海道の森林はそういう所有が多いと言われています。
そもそも、この漁家のような「場所請負」的な漁場所有形式そのものも
権力との結びつきによる権利獲得プロセスだったのだと思います。
まぁ、いろいろな事柄を残影のように教えてくれる建築だと思います。
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2008年09月26日
木製の外壁保護装置

余市の福原漁場の続きです。
写真は、主屋の隣りに建っている蔵です。
一見すると、外壁には木が使われているように見えます。
てっきりそうなのか、と思っていたのですが、
それにしては、ところどころ、様子がわからない仕掛けのようなものが見える。
あれはいったい何なのだろう、という疑問が起こります。
そんな疑問を抱えたまま、ボランティアの方の説明を聞き、
内部を見学して、これが総漆喰の壁面だったということを聞いた次第。
日本では海辺に面した倉庫建築として、
漆喰の外壁の蔵というのはよく目にする風景。
それと同様な作りのものなんだそうです。
ところが、北海道では冬場の気候条件が厳しく、
漆喰の壁は劣化が激しく進行する。
その劣化から外壁を保護するための木造のヨロイのような装置が
外壁全体を覆っていたのですね。
しかも、春になったらそのヨロイを外して、本来の漆喰の白壁を
表すように仕掛けられていて、ようするにコートを着たり、脱いだりするのですね!
ところどころ、仕掛けがしてあるのは、
着脱のための装置の結節点ということなんだそうです。
そういう着脱装置、まぁ、よく考えたというか、
よくもまぁ、ちょうどよく保護できるように工夫したものだと感心させられました。
この着脱壁の付け替えの時にも
ひょっとすると、大工さんの手間工事が必要なのではないかと思えます。
素人だけで、この3階建ての建築の外皮着脱が可能とは思えません。
この装置を見て、北海道の自然条件の厳しさと、
ここまでして、夏期の間の日本的景観を優先させるのか、という2つの感想を持ちます。
蔵には、この漁場による利益のすべてが収納されるわけで、
そういう建築に対しての執着のすごさも感じますね。
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2008年09月25日
薪風呂

きのう紹介した余市・福原漁場主屋の風呂の様子。
これは室内にこしらえられた主人とその家族用の造作風呂。
造作は明治年代のものだと思われます。
薪のストーブ状の装置に対して、
鋳物の蓄熱層があって、それが浴槽の水を加熱するという仕組み。
高温になる鋳物表面が浴槽側から肌に触れないように
板の仕切りで、区分けされています。
湯加減を見ながら、薪を調整していったのでしょう。
薪ストーブ的な部分には表面に鉄板が張られていますから、
けっこうな造作品だと思われます。
また、鉄板で煙突も出しているのでかなり本格的な作り。
なんですが、冬の期間のことを考えたら、ぞっとする風呂。
気密は取れていない建物ですから
室内で直接、火をたけばその分の燃焼に必要な空気は入り込んでくる。
ようするに隙間風は相当に入り込んできてしまう。
たしかに湯の中で体は温まるけれど、
容易に浴槽外でからだを洗うことはできなかったでしょう(笑)。
なんといっても真冬には当然零下20度くらいの世界。
たぶん、日のある日中に使用したのではないかと思います。
それ以外の時間に、っていうか、冬の夜にはちょっと難しかったでしょう。
まぁ、わたしなんかの世代でも、冬に室内の風呂に入るときは
気合いを入れて、手短かに体を洗っていた記憶を持っています。
春から秋にかけての時期にこの建物には
多くの出稼ぎ人たちがいましたが、
彼ら用には、主屋から離れた屋外の小川のたもとに
五右衛門風呂を置いて、使わせていたという説明でした。
冬期間はかれらはここにはいないわけですから、
冬の風呂というのは考えなくてもいい。
まぁ、子どもの学校のこともあるでしょうから、
主人家族はここで冬も生活していたのでしょう。
さて、冬場にはどんな入浴であったのか、想像するしかありませんね。
冬のことを考えたら室内で風呂を使いたいけれど、
そうするといろいろな問題が出てくる。
幼い頃のわが家でも、室内に据えて炊きあげた五右衛門風呂が、
翌朝になったら、湯が氷になっていた、というのは日常茶飯な風景。
そのうえ、結露が酷く集中するのは理の当然なので、
風呂まわりの木材は、ほぼ間違いなく腐ってしまう・・・。
そんなことから、北海道では「地元」のユニットバスメーカーというのが繁盛したのです。
そういういろいろな思いが交錯する写真です。
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2008年09月24日
ニシン漁場の食卓

最近は北海道内でも、歴史的な建築物の保護再生が進んでいるようですね。
きのうご紹介したような、北海道開拓記念館の活動などが
そうした動きを支えているように思います。
きのうも、小樽の奥の余市にカミさんと出かけてきまして、
いろいろ歴史的な建築物などを見学してきました。
カミさんとこうして出かけられるのはありがたいと思っています。
で、写真は江戸期の「ニシン漁場」内部の様子です。
ニシン漁には、日本海側の東北北陸から多くの出稼ぎ労働力が動員されました。
そういう住み込み労働者に対して、給仕された食堂の様子。
とはいっても、専用に膳を用意するのではなく、
ここでは、床下にごらんのような椅子を据え付けてあって、
その上に普段は架けている床板を外すと、
そのまま、食堂に早変わりして、しかもその床板がそのまま、
食卓テーブルに変身するように工夫されていました。
まるで、ビフォーアフターみたいな仕掛け。
実際に椅子に座ってみると、なんとも寸法がぴったりで、
座り心地も考えられ、しかも食卓までの距離感も過不足がありません。
その上、食卓の高さも床板テーブルの嵩上げ分で、まことにちょうどいい。
椅子の座り幅も極限的に考えられていると感じる幅です。
これ以上狭ければ、用をなさないだろう、ギリギリの寸法。
こうした建築は、日本の作事の伝統の中の寸法感覚という部分の
精妙さをはっきりと認識させてくれます。
まぁ、実用と建築費用との見合いで、
このような部分こそ、徹底的な研究開発がされていたことだろうと推測されます。
とくに、この建築は施主としての漁場主の経済と、
労働力確保のための他漁場との競争の大きな部分でもあったろうと考えられます。
北海道開拓の村に移築保存された「青山漁家」では
「メシはいくら食ってもタダ」というのが、
優良な労働力確保競争の決め手だったということなんです。
そんな経済の流れの中で、このような建築にも反映されている部分。
心地よさというものと、建築寸法などの接点が明瞭に見えます。
きのうは見学にあたって、ガイドさんが懇切ていねいに説明をしていただけました。
いろいろな部分で大変勉強にもなった次第です。
建築は結局、その時代その時代の可能な材料を使って
用と予算のせめぎ合いの中で、工夫を重ねるもの。
先人の建築はさまざまなことを教えてくれていると感じます。
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2008年09月21日
芝屋根のレストラン

最近、北海道は気温が高い状態が続いている気がします。
もう9月の20日だというのに、日中汗ばむばかりの陽気と日射し。
とくに日射はきつくて、きのうは外で浴びることが多かったせいか、
皮膚に炎症感が起きているほどです。
どうもわたしは、日焼けに弱いタチのようなのですが、
それにしても、「まるで、海水浴帰りの日射しだね」というカミさんの言葉通り。
そんななか、日射しに誘われて、近場を散策。
前から気になっていた、恵庭の「えこりん」というところに行ってきました。
ここは「アレフ」というレストランを経営している会社が
エコロジー風テーマパーク的に作っているモノ。
恵庭の高速を降りてすぐ近くに羊の放牧などを行って
のんびりとした野遊びの場を作っています。
さすがに好天に恵まれて、そこそこのクルマが止まっていました。
わたしたちは、雑誌で見ていた芝屋根のレストランでの食事が目的。
名前は「天満食堂」ということだそうです。
羊さんの放牧が、目にも楽しい施設なのですが、
悲しい人間の性、その羊の料理をウリにしていて、
雑誌の写真で、食べたい、となった次第なのですね(笑)。
以前、阿寒湖の近くにシカ肉料理の店で「バンビ食堂」というのもありましたが・・・。
そういう食欲の他に、
やはり芝屋根の建物というのを見てみたいという欲求ももちろん。
写真の通りの様子でした。
室内も、計算された質朴さ、という雰囲気。
中世ヨーロッパ的なインテリアの雰囲気で統一されていました。
窓も、木の株の真ん中をくりぬいた枠に、窓ガラスを合わせている、というもの。
ただし、不定形の形状に建築工事の方がついて行けずに、
ディテールではコーキングでの荒技(笑)が目立っておりましたけれど。
でもまぁ、室内の暖冷房は地中熱ヒートポンプを採用したり、
補助暖房装置として、暖炉が据えられたりと、
楽しい雰囲気満載でございました。
で、一方、料理の方は羊料理、
おいしかったです。自然な風合いで味わいも風味豊か。
なのですが、お値段は残念ながらちょっと高め。
羊料理を楽しみに行ったので、もうすこし低料金にしてくれたら・・・と
思われる値段でしたね。
たぶん、食材などにこだわって吟味しての結果なのでしょうが、
こどもが楽しめるテーマパーク的なところなので、
家族一緒に食べるとなると、一回で10000円以上という価格では、
気軽には食べられないのではないかと思われます。
長沼町のジンギスカンだと、まぁ、半額以下だなぁ、というのが実感。
食事後、建物外周からいろいろ写真を撮っていました。
やはり芝屋根って、楽しいですね。
周囲の緑と溶け込んでいるので、建物を見つけるのが難しいほど(笑)。
まぁ、たまに行くなら、っていうところでしょうか?
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2008年09月20日
築地塀

写真は東京芝増上寺の築地塀です。
築地塀って、上等の建築区画を一般世間から画する装置。
古代の東北地方の城柵では、権力の象徴として
整然とした直線の築地塀が結界として使用されていました。
というようなものですが、
さすがは増上寺、徳川氏が江戸に入城して結局、菩提寺の地位を獲得したことで、
大繁栄することになって、権力を誇る築地塀にも格式が表れている。
築地塀(ついじべい)とは泥土をつき固めて作った塀。単に「築地」(ついじ)ともいう。石垣の基礎に柱を立てて貫を通した骨組みを木枠で挟み、そこに練り土を入れて棒でつき固める「版築」という方法で作られる物が多い。塀の上には簡便な小屋組を設け、瓦や板などで葺いたものが多く見られる。古くより貴族の邸宅や寺院、官舎などに見られ、現在でも御所や寺院などで見られる。(Wikkipediaより)
という一般的な工法ではないように、この築地塀は感じられます。
なにより、平版のような石が土の中にサンドイッチされている。
っていうか、見た目では平版を積み重ねたように感じる。
その石も、やはり立派そうな石なので、
やっぱり、その富や繁栄ぶりを表現する意匠性にこだわったものでしょう。
そうした建築工法で作られているので、
高い耐久性を誇っているものと思います。
頂部には小屋も架けられていて、雨による劣化に対しても防御されている。
戦争での被害はなかったのか、わかりませんが、
作られようをみていると、相当の長期間使用に耐えられそうな作りです。
デザイン的に見ると、
礎石のゆがみが、そのまま表現されていて、アクセントになっていて
まぁ、飽きることがない印象ですね。
また、微妙な苔むした色合いも楽しくて、変化にも富んでいると思います。
英語圏では、家の中の壁も、このような区画用の塀も
WALLという同一言語が当てられるそうですが、
そう考えると、日本では木造で建てられる建築の方は壁、というようではなく、
むしろ、西洋的な意味合いのWALLというのは、
このような塀を意味することの方が大きいのではないかと感じますね。
このあたり、日本的ということのなにごとかが
表現されているようにも思います。
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北海道・東北の住宅雑誌[Replan(リプラン)]|家づくり・住まいの相談・会社選び
2008年09月12日
優美な円窓

写真は五所川原で取材した住宅の内部のようす。
和風住宅の内部なのですが、玄関から主屋側がやや段差を持っており、
手すりのある5段ほどの階段を上ると、
長く広い廊下がつながっており、その手前左手にこの円窓がしつらえられている。
円窓って、まずは外部側に建具をこしらえる。
そこに障子を嵌め込み、明かり取りの用途を果たすように仕掛ける。
雨のことを考えれば、雨戸もその外側に造作しなければならない。
そうした保守管理のしやすさも考慮した設計が求められる。
で、塗り壁造作の竹木舞といわれる工程で、
円窓の大きさ、デザインに合わせて下地の作り方を工夫する。
この窓では、竹の組み上げにもデザイン的なポイントが感じられる。
細めの竹を2本組み合わせで使って、
繊細な感じを出しながら、強度的にも持つように考えられている。
その上で、塗り壁工事が左官屋さんの手で仕上げられていく。
まずは円窓の形状に十分に注意を払いながら、
エッジ部分の仕上げには、相当に丹念な手仕事が要求される。
きっと、職人さんの技量が決定的に試されるような仕事なんでしょうね。
鑑定団ではありませんが、「いい仕事していますね」(笑)、という部分。
一方で、障子の側にも桟の仕上げで実に優美なデザインが施されています。
一見すると、不規則性のデザインで、
竹木舞との陰影が生み出す軽やかさは、なんともいえない雰囲気が感じられる。
こういう円窓が、緑の中間色の壁の色合いの中に浮かんでいます。
壁も塗り壁なので、陰影感にまろやかさがあって、
竹や障子の桟の線の造形感との対比が、実に豊かさを感じさせてくれる。
こういうプロセスを創造してみると、
建築職人さんたちの集団的造形作業による「作品」という世界になります。
「和」の世界とか、よく言うけれど、
このように考えると、本当に言葉そのまま、
というような気がしてきますね。
ただ、壁下部が塗り壁ではなく、板壁になっているのがどうも解せない。
用を考えてこのようにしたものかどうか、不明。
でもイマイチ、不釣り合いな印象を持ってしまいます。
古い建築なので、何回かの改装を経験してきて、
本来のかたちからずれてきた結果なのかも知れません。
みごとで繊細な感覚の円窓とはやや似合っていないとは言えると思います。
あるいは、円窓の構造に関わっての必要部分なのでしょうか。
しかし、そういう点はあっても、
こういう雰囲気のある佇まいを演出する、円窓の素晴らしさは決して損なわれていない。
玄関からの導線のなかの最大の結界ポイントとして
こういう仕掛けを考えて活かしてきた日本の建築手法。
やっぱりすごいですね。
しばらく、この雰囲気の中に包まれていたいものだと、思った次第です。
また、こういうの、若い年代のみなさんはどう思われるものかなぁ、
ということも、頭をよぎりますね。どうなのかなぁ?
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2008年09月10日
玄関への採光と屋根

きのう触れた住宅の続きの写真です。
玄関側の外観の様子なんです。
とくに屋根の形状がずいぶん変わった形になっていますね。
妻入りの玄関ですから茅葺きの屋根が下がってきて
ふつうは雨とかに対して、室内を守るように
屋根はほかの開口させない部分と同様にそろった軒先を見せるのが一般的。
そうでなければ、小屋根を造作して玄関部分を保護するようにする。
ここでは、そのどちらでもなく、
ほとんど見たことのないような仕上げを行っているわけです。
推測してみると、たぶんは「採光」を考えて
茅葺き屋根を後退させて切り上げていって、
玄関前の空間に見える「障子窓」を造作した、ということでしょうか?
その結果、雨への防水の関係上、
玄関先に独立的な庇を造作せざるを得なかった。
しかし、それでも左右の半端に切り上げられた部分はどういうことなのか、
あんまりうまく説明はできない。
でも、こっちも壁上部に格子窓がしつらえられているので、
採光を考えてのことだろうことは、確かな感じです。
真ん中部分との調和を考えて、段階的な屋根ラインとしたのかも知れませんね。
まぁ、全体としてのバランスは失われてはいないので
デザインとしては、まぁちょっと変わっているなぁ、程度の仕上げだと思います。
茅葺き屋根の決定的な問題点はとにかく採光なんですね。
西洋近代の建築が日本に導入されて一番変わったのは
窓にガラスが使われていた、ということの驚きだったのだろうと思います。
こういうガラス窓が、住宅のような一般的レベルで使用されるという
西欧社会の産業振興ぶりが、圧倒的な現実として認識されて
徹底的な受容という日本社会の結論に至ったのでしょうね。
古民家の改修では、まず第1に屋根面に窓が開けられるケースが多い。
生活していて、最大の問題点が採光が足りない、ということなんですね。
この家の場合、そういう条件に対して、
さまざまな可能な範囲の挑戦を行っていたということなのでしょう。
確かに変わった仕上げではあるのですが、
しかし、全体のバランスを著しく壊しているとまでは言えないし、
そこそこ調和も取れている。
いにしえの人々も、住宅の「性能とデザイン」せめぎ合いの中で
いろいろな工夫をしていたんだなぁって、気付かされる住宅でした。
きのうから東京に出張しておりますが、
さすが9月。日中は日射しがきついけれど、
夕方や朝方など、肌寒いくらいな気候に落ち着いてきていますね。
いろいろ天候不順な気候が続いた夏も終わりを迎えてきている感じですね。
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2008年09月09日
津軽古民家の迎え松

写真は五所川原市内にある古民家の様子。
最近は、地元の古民家の保存を大体、行っていて、
どの街に行っても、そこそこ見学できる古民家があるのではないかと思います。
この家は、旧平山家住宅ということで、重要文化財の指定を受けています。
重要文化財(じゅうようぶんかざい)とは日本に所在する建造物、美術工芸品等の有形文化財のうち、文化史的・学術的に特に重要なものとして文化財保護法に基づき日本国政府(文部科学大臣)が指定した文化財を指す。
ということなので、津軽北部地域の民家様式をつたえていくのに
最適な建築と認定されているものです。
上層農民の住まいとして、藩の信任も厚かったことから、
とくに格式として長屋門が許されていて、
きのう触れた「玄関」もしっかり表玄関が立派にしつらえられています。
こういう表玄関は、普段は使用されることはなく、
賓客が訪問してきたときにだけ迎え入れる場所になるのです。
写真はそっちのほうではない、普段使いの土間玄関の方を撮影したものです。
こっちも玄関の上の屋根に特徴があり、
ちょっと見たことがないような屋根形状になっていました。
複雑な開口形態で、あとで調べてみたいと思いました。
きょうは、その玄関前に植え込まれている松、
よく「迎え松」といわれる松の役割が見て取れた気がした写真です。
普通、迎え松って、もっと玄関位置からは離れて、ちょうど門の位置にあるのが一般的。
それに対して、非常に玄関に近い位置に植え込まれている印象を持ちます。
訪問したのは、日中昼前後でしたが、
この時期の太陽角度に対して、ちょうど玄関が遮光されている様子が明瞭。
普段多くの人間が使う場所なので、
機能性を考えて、植え込む位置をよく考えて立てられたものと思われます。
実際に玄関周辺は、ほっとする清涼感の空気が感じられ、
用のデザインというものを感じさせてくれました。
同時に津軽という土地柄を考えると、冬には防雪というような意味合いも
大きいのだろうな、とも感じますね。
っていうか、玄関にここまで近接しているのは、
むしろそっちの方の意味合いが強いという方が正しいと思われますね。
五所川原のみなさんに気候の特徴を尋ねると、
異口同音に、冬の横殴り、いや地面から、下から吹き上げてくる吹雪をあげます。
そういう冬のブリザードから、建物と外界との安心できる結界としての
玄関空間を守っているのが、この迎え松である、ということだと思います。
小さなディテールだけれど、実用的で、暮らしぶりが伝わってくる
と思われた次第です。
同じ雪国人として、すぐにいろいろな想像力が掻き立てられる。
北海道の人間には、やはりマザーを感じざるを得ない部分があります。
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2008年08月28日
木炭のボード建材

先日の北総研の研究発表から。
地場の材料で面白い建築材料に利用できないか、という
いかにも北総研らしい研究だったのが、こうした取り組みでしょうか。
共同研究対象は北海道下川町とのもの。
下川町って、リプランでもその動きを伝えていますが、
地場の木材を有効利用することに熱心な取り組みを行っています。
今回研究発表されていたのは、豊富にあるカラマツを使って
それを炭化させて木炭にして、しかも一般的に使いやすいボード状に加工し、
内装建材に利用して貰おうというもの。
そのための基礎的な研究を北総研と組んでやっているのですね。
木炭なので、最近話題になっている室内のVOCなどを吸着する性能が期待できます。
炭化の度合いのコントロールで
構造強度などの性能を犠牲にすることなく
建材として利用できないか、というものでした。
基本的な研究課題として
1 既往の製造方法による木炭ボード
2 準不燃性能の付与
3 強度の向上。配合
4 比重の低減・配合決定・コスト検討・工程の確立
5 表層処理
6 施工方法・使用部位の検討
7 各種物性の再評価
などのポイントが上げられていました。
逆に言えば、こうしたポイントがクリアされれば、
建材としての幅広い利用が考えられるようになるでしょう。
よく見えにくいかと思いますが、
写真では天井の仕上げ材として利用されていて、
黒い素材のデザイン性は、なかなかに渋くていい雰囲気がある。
なんといっても木炭なので、家庭内でのにおいを吸着してくれる性能が面白そう。
古い日本家屋の知恵で、床下に木炭を入れている事例があります。
吸湿性やにおいの吸着性に着目した知恵ですが、
そういう考えの現代版、しかも建材として利用しやすいように工夫されていれば、
利用するには面白い素材といえるかも知れませんね。
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2008年08月25日
既存建築の省エネルギー

先日の北総研、研究発表会から興味を持ったテーマをご紹介。
第1回は、「既存公共建築物のコスト縮減効果の高い省エネ回収技術の開発」
北海道は全国他地域の平均の約2倍の温室効果ガス排出量。
業務用建築からの排出量も90年時点から53.6%増加しています。
そうした現状を踏まえて、省エネの道筋を考えるために
現状の運用エネルギー構造を分析し、
改善のための方針を考える基礎条件を作っていく研究です。
研究は3段階で構成されていて、
1 実態調査を行い、暖冷房・空調などの用途別運用エネルギー標準値を提案。
2 運用の改善・高効率設備機器への更新などで削減を実現。
3 エネルギー診断ソフト「Dear.H for pubric-fc」を開発提案。
というプロセスがプレゼンテーションされていました。
写真はプレゼンのなかのスライドですが、
運用エネルギーをおおまかに
1 暖房熱源
2 暖房動力
3 冷房熱源
4 冷房動力
5 照明コンセントなど
6 給湯など
7 冷房給湯など
というように仕分けされていました。
それらが、建築用途でどのように違いがあるのかを明らかにし、
それぞれごとに運用エネルギーコスト削減策を考えるのですね。
発表では、こうした仕分けはもともとされているわけはなく
電気料金などの請求書から按分などを考え合わせていく作業の報告がありました。
目的別に電気メーターがあるわけはありませんから、
最後はこういう作業になるでしょうね。
主に電気設備関連の改修・改造処置で、
大きくコスト削減も現実に計られたということで
このようなアプローチはこれから脚光を浴びることになっていくと思われます。
民間の既存建築物については、すでにこうしたアプローチ手法が
北総研HPにアップされているそうで、
ダウンロードして、利用可能になっているそうです。
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2008年08月23日
アトリウム日射遮蔽

アトリウムって、とくに北海道や寒冷地域では
ニーズの高い空間ではないのかと思います。
温暖地では、こういうガラスの空間は作ろうと思えば、
それこそそれほどの痛痒もなく造作できますね。
・・・とはいっても、ガラスで構成された大空間、
温熱環境の知識がなく無造作に作ってしまうと致命的欠陥をもうみだします。
多くのデザイン賞を受けたような建築で、ガラス壁面隅角部などで
冬期に氷柱が生成するという問題が指摘されてもいます。
それほどの気温低下ではなくても、いろいろ不具合は考えられるのですね。
っていうようなことなのですが、
温暖地においておや、ということで、寒冷地ならば
こういう空間を作るについては、まなじりを決して取り組まなければなりません。
写真は旭川の「北総研」の建物のアトリウムの様子。
上記のような冬の問題は当然クリアされているのですが、
反対に夏場の「防暑対策」も考えられていかなければなりません。
なんといってもガラスなので、日射取得が大きくて
簡単に内部温度上昇が大きくなってしまうのですね。
ここでは写真上部の屋根ガラス面内側に遮光スクリーンを
装置させていまして、その開閉を「人力」で行えるようになっています。
なぜ機械制御ではなく、人力?と聞いたら、
まずは単純にコストが機械制御ではかかりすぎるのと、
暑い寒いのセンサーは人間の感覚に任せた方が対応が早いし、
そのまま、メンテナンスも容易にできるということに期待したということ。
スクリーン面自体は大きい面積なんですが、
開閉操作はきわめて簡略に考えられていて
「ちょっと暑いかなぁ」と「思った人」が即、操作できるということ。
結局、温熱環境維持も、そのようなこまめな対応がうまくいく秘訣。
工学系の研究者のみなさんの方が、むしろ機械コントロールによる限界も
ハッキリと理解しているのだと、好もしく思われました。
さて、残念ながら、残念ながら、っていうことで、
負けちゃいましたね、ニッポン野球。
昨日の試合の様子では、どうもメンタル面で韓国の方が
よりスポーツライクな印象を与えてくれていました。
受け身に対応していた日本に比べて、当たって砕けろ的なチャレンジ精神が
韓国の方がよりくっきりとしていたということですね。
一発勝負のオリンピックのような戦いでは、
やはりそういうメンタル面の戦略というのが大切なのだと思います。
しかし、負けたので、やはり気持ちは落ち込みますね。
こういうときに、どうすべきなのか?
特定の個人を攻撃して、そのひとのせいにする、というのは
結局はなんのためにもならないでしょうね。
そういう安易なことにしたい、という気持ちはわかりますけどね(笑)。
でも、問題はそういう簡単なことじゃないでしょう。
負けたりするのは当たり前、負けていじいじせずにどうやったら
日本の野球がもっと強くなれるのか、
そういう方法を模索するような方向にぜひ行って欲しいですね。
このオリンピックでは、日本野球は残念ながら「完敗」です。
気になったのは、日本の打者の振りの力感のなさ、でしたが・・・。
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2008年08月22日
北総研2007研究発表

きのうは朝1番で旭川へ行って参りました。
いろいろなスケジュールが重なっていたのですが、
以前からぜひ行きたいと考えていた
北総研の年に一度の研究発表会があったのです。
このブログで、何度か書いているのでおわかりかと思いますが、
北総研というのは、正式名称は、北方建築総合研究所。
北海道がそれこそ開拓使の時代から
取り組んできている「住宅性能研究」のための研究機関なんです。
一地方自治体としては、大変な維持体力をかけて
地域の最重要基本問題に対して取り組んできたことを表すような研究機関。
寒い地域の日本民族の建築、住宅にとって不可欠な解決課題を研究しているのですね。
基本的なこうした研究テーマに加えて、
住宅性能についての省エネルギー要素技術など
企業との共同研究にも取り組んでいます。
この部分では守秘義務部分もあるのでしょうから、
すべてが公開されるわけではないまでも
基本的な技術部分については、この発表会のように
オープンに公開されるのです。やはり公共機関としてのスタンスですね。
で、きのうは朝9時から発表会ということだったので、
家を出たのが6時半。
なんとか間に合いまして、そこから夕方6時過ぎまで
いろいろ旧知のみなさんの顔も見ることができながら、
技術オタクのように、楽しく研究成果を聴講させていただきました(笑)。
どうもだんだん、こういう技術のお話しが面白く感じるようになってきています。
北総研では、少なくとも寒冷地建築が考えなければならないテーマは
すべてといっていいくらい、最先端のものが取り組まれているので、
今後の技術の向かう先とか、
そこにかいま見える現在の状況というのがくっきりと見えてくるのですね。
それにしても、よくこうした研究機関を維持しているものだと
感動の思いを禁じ得ません。
本来であれば、地方公共団体というよりも、
国の研究機関として運営されていくべきだと思うのですが、
日本国家というのは、北方寒冷地に対して
「特殊な地域」という伝統的な認識が強いのですね。
研究員現場段階では、北総研の存在に対しては国の研究機関と同等と
認識しているのですが、上層部ではどうしても地域的テーマという考えが強い。
しかし、そのようなずれが世界的には日本のレベル低下をも招いている部分があります。
温暖地域のマーケットにおもねって、サッシなどの基準が世界的に
立ち後れたレベルになっている、などの事態があります。
会場では、あきらかに意匠設計が得意と思われる
札幌の設計者に出会いました。
話してみると、建築不況の現在、環境建築的アプローチにしか
突破していく方向はないのではないかと考えているようなのです。
結局、日本は技術で方向性を作っていくしかないでしょう。
そんな思いを強くした次第です。
個別の技術発表の内容については、折に触れて書いてみたいなと考えています。
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2008年08月20日
耐震実大実験までやれる施設

今週は、あした北総研で研究発表会があります。
北総研って、このブログでは結構紹介しているのですが、
北海道の外郭団体で、北方圏住宅の性能を中心に研究している機関です。
地方公共団体が自前でこういう研究機関を持っているというのは、
たぶん、きわめて珍しいケースではないかと思います。
調べてはいませんが、普通は国交省などの国の機関くらいしかあり得ない。
逆に、国の機関としてはつくば市に「国総研」があります。
そこの研究員のみなさんもここを訪れて、
「わたしたちは温暖地のことを、寒冷地のことは北総研に任せますよ」
と、言っています。
実際に設備なども国の機関並みの施設を備えています。
来ていたスウェーデンの研究者が言っていましたが、
北欧の諸国家とも、そう遜色はないレベルのようです。
写真は「耐震実験装置」。
この平盤面上に住宅を建てて、実際にいろいろな揺れを起こして、
その揺れ具合を記録して、実証データを得るものなんです。
北海道の住宅は、まずは寒冷地住宅ということで
基礎が、凍結深度以下にまで深く作らなければならない。
旭川で80cm、札幌でも60cmですので、比較的にしっかり作られる。
そのうえ、屋根は積雪荷重も計算して作られている。
ほとんどが板金屋根なので、屋根の重量も軽く作られている。
というような条件が、耐震性でも有利に働くようで、
ひんぱんに地震が起こる北海道東部地域でも、マグニチュードのレベルと比較して
地震の建物への被害というのは少ないようです。
そんな研究施設なのですが、
年に一度、公共機関らしく、研究の成果を発表しているのですね。
あしたは朝から夕方まで、びっしりと研究発表が予定されています。
昼飯時間まで、施設見学時間に充てられているので
「弁当持参」が勧められておりました(笑)。
広大な敷地が必要ということで、旭川でも郊外に立地していまして
周辺にはあまり繁華街はないのです。
まぁ、久しぶりに缶詰になって、お勉強に行く雰囲気なんですね。
楽しみにして行ってきたいと考えています(笑)。
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2008年08月18日
「いわて住まい塾」

岩手県って、北海道以外ではいちばん住宅性能についての
建築関係者の熱意が強い、というか、
その情報交換ネットワークが力強い地域ではないかと思っています。
北海道では、官民学のネットワークが
同じ気候条件を共有しているという共感があり、
それを克服することに協同する機運というものがあります。
同様に岩手でも、個別企業の論理を超えていこうというムードがあります。
そういうみなさんが、地域の住宅性能向上を進めようという運動として
取り組んでいるのが、「エコ・ハウスコンテストいわて」。
これは初め、県の主催で行われてきたコンテストをベースに
県の予算が終了したあとも、民間でお金を出し合って行っているものです。
タイトル通り、性能に力を注いでいる住宅に対して
それを顕彰し、一般ユーザーの関心を高めたいというもの。
ことしは9月6日(土)に一般ユーザー対象の
「いわて住まい塾」というイベントが行われます。
一般ユーザー向けのイベントって、なかなか集客も難しいのですが、
特定企業のみの立場を離れたイベントなので
本音の住まいの情報、知識を得ることができます。
わたしも講演を依頼されていまして、ユーザーのみなさんの家づくりの参考になる
お話しをしたいと考えています。以下、案内文の抜粋です。
「エコ・ハウスコンテストいわて」では県内のエコ・ハウスの普及を願って
「いわて住まい塾」を企画します。
「特定の企業」に偏らない “公”の立場で、よりよいと思われる情報を提供する場です。
どなたでも参加できます。
会場: aiina いわて県民情報交流センター8F (803会議室)
第1回、第2回とも同じ会議室 (定員100名)
2008.9.6 土曜日 12:30 開講 (12:20受付開始)
第1回
<第1部>
12:40-14:10
改修・改造のお話・・部分的に直すか、大規模に直すか、いつ直すか?
北海道でも断熱改修、耐震改修、バリアフリー化は見直されている
<第2部>
14:20-15:40
建築のお話・・空間構成、間の取り方、壁、窓、屋根、床、内装、構造
・・長持ちを軸に考えると・・・
<第3部>
15:50-16:50
設備のお話・・暖房、給湯、換気、家電 ・・・暖房燃料代高騰
・・暖房エネルギー半減の為に!エコ眼で見てみると、小さな設備を長く使う事、修理を前提に考える・
2008.10.11 土曜日 12:30 開講 (12:20受付開始)
第2回
<第1部>
12:40-14:10
エコ・ハウスに入居されている施主を交えた討論会
住まいとは・・お金、住宅性能・数字の先にあるモノ・・・・
<第2部>
14:20-15:40
資金計画(ファイナンシャルプラン)・生涯住居費を考えてみる!
生涯収入の中から居住費をどの程度当てるのか客観的にお話ししていただきます。
<第3部>
15:50-16:50
インテリアデザイン・家具・照明・色調・・心地いい居場所をつくる
お気に入りの家具たちに囲まれて過ごす心地よさ・・・
参加費:資料代1回、2回、各500円、参加は一部参加、全体参加は自由に選択できます。
事前申し込みは不要です、当日会場にお越しください。
詳しくは http://eco-con.jp/
問い合わせ先 Email: nagadoi@mac.com TEL 080-5550-3566 長土居
主催: 「エコ・ハウスコンテストいわて」実行委員会
後援: (財)岩手県住宅センター、Dotプロジェクト、NPO環境パートナーシップいわて、
岩手県地球温暖化活動推進センター、INS住まい環境研究会
特徴: この住まい塾は情報の提供を目的としております、住所・氏名をお尋ねすることはありません。
ということです。
ぜひお近くのみなさんにオススメいたします。
家づくりの参考になるイベントだと思いますので、どうぞよろしく。
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2008年08月16日
略奪可能な食品庫

写真は奄美地方から移築して神奈川に再現された「倉」。
すごいんですよね、植生なんかをみると
わたしのような北海道から見に行く人間からすると
熱帯の、ポリネシアくらいな感じを持つ。
夏期は実際、神奈川ってそれくらいな気候地域ですよね。
聞いてみたら、沖縄からの移住者が多いとも言われています。
気候風土的に太平洋型の海洋性気候が共通する部分なのでしょうか?
で、この建物、用途としては食品を保存する倉なんですね。
「高倉」というネーミングはそのままでもある。
こういう熱帯の気候地域では、
なにより食品を乾燥状態で保存させるというのが大問題。
縄文の時代にむしろ北日本・東日本の側が生活しやすい地域だった
とされている理由には、食物保存の方法が
「寒い冬」という天然の「保冷装置」が得られたという理由が大きいと
聞くことがあります。
秋に大量に獲得できる食料が、雪という冷蔵庫で長期保存できたと言うことなんですね。
一方で、南方型の気候地域では、
冬もものが腐りやすく、長期保存に適していなかったということ。
そういう現実をどのように克服するか、というテーマに
この「高倉」は応えている生活装置なんですね。
以前に「吉野ヶ里遺跡」は2度ほど見に行っていまして、
コメ生産社会と、このような長期保存装置は一体として進化してきたのだと
認識させられましたが、その建築的仕様はより南方の
こうした地域からもたらされたものなのでしょうね。
逆に言うと、こうした高倉が遠望されれば、
その地域には「略奪可能な」長期保存食が貯えられている、という証拠でもある。
その「富」を狙って他地域の支配者が略奪を試みたのでしょう。
きわめてナマな戦争の、戦いの基本的な動機なんだと思います。
隣の芝生はきれいに見える、みたいなもので、
このような高倉建築はわかりやすい動機を養ったのでしょうか。
そんなDNAに刷り込まれた感覚の部分、きっとわたしたちにも残されているのではないかと
想像してしまいますね。
建物としてみれば、
やはり通風に配慮していることが明白。
湿潤な気候の中では、このように床下空間を全開放させて、
通気させるのがもっとも理にかなっています。
こういう場合で一番心配されるのはネズミの食害でしょうが、
ここでは4本の柱上部に「ネズミ返し」の工夫が施されていました。
「食」の安定確保がなによりも最優先されてきた歴史を
まざまざと視覚的にも体験させてくれる建築だと思います。
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2008年08月14日
光の制御

西洋近代主義が導入されて、近代的な工業製品を住宅に利用するまえの段階では
ごらんのような光の制御方法が日本家屋では一般的。
というか、窓を開けるというのが大変技術的にも手間がかかっていたので、
こういう床の間空間を照らすような外光の導入のように
ハレの間に対する特別な仕掛けくらいしか、
一般庶民の住宅では窓を開ける習慣がなかったに等しい。
自由に窓を開けられるようになってから
まだ、高々70〜80年程度の時間しか経っていないのでしょう。
日本家屋では、伝統的に大きな窓というのは
縁側に面した開放できる建具、というのが代替してきていた。
その「窓」からの眺望はたいていが庭を見晴らすように仕掛けられていた。
写真のようなスペースは
外光をコントロールして、窓辺にやわらかい灯り空間をもたらす。
なので、「書院」というような言い方をするのでしょうか?
たしかに書物を見るにはもっとも適したような仕掛けが得られている。
「学ぶ」というようなことへの態度が、
知らず知らずに背筋が伸びていくような環境装置とも言える。
個人的な体験というか、感覚では
こういう明かり取りの障子の桟に不思議と愛着を感じる。
じっとしていると、桟木で区切られた枠をタテ横斜めと頭の体操よろしく
いろいろに眺め回すようなことがよくある。
それが畳の組み方の連続性・規則性とあわせて、
日本人の算数能力の基本を形成していたのではないかと
根拠曖昧ながら、ずっと思ってきている次第です。どうなんだろう?
きのうは朝早くから一家でお盆の墓参り。
つかの間の夏休みに突入です。
でもことしはオリンピックで、休む間もなくあれこれの競技。
鍛え抜かれた選手たちのパフォーマンスは素晴らしいですね。
勝つこともあるけれど、残念ながら力を発揮できない選手でも
全力を発揮する様子に、つい力がこもりますね。
何もできないうちに負けてしまう選手たちに不思議と思いが募ってくる昨今。
スポーツの楽しみ方も変化してくるものなのでしょうか(笑)
がんばれニッポン!
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北海道・東北の住宅雑誌[Replan(リプラン)]|家づくり・住まいの相談・会社選び
2008年08月11日
伝統的な半外部空間

先週末くらいから休暇入りという人も多いようですね。
最近は帰省、という夏休みスタイルはどうなんでしょうか?
日本って近代化がヨーロッパの国より4倍のスピードで達成されたと言われます。
その過程で農村から都市へと労働力の移動が起こり
都市への人口集中が急激に始まったのですね。
そのなかで、それまでの農本主義的な田舎社会から
都市居住の労働形態に変わって、年に数度田舎に帰るというのが
基本的な夏休みスタイルとして定着したのでしょう。
時間を短縮して、一気にこういう事態が起きたので
集中豪雨的に「民族移動」的な帰省風景というものが定着した。
しかし、そうした急変化はいまでは落ち着いてきていると思う。
集団就職で都会に移住した人々のこどもたちにとっては
その都会の家、大部分がニュータウンとして開発された団地的な街が
「ふるさと」になってきているのでしょう。
写真で見るような夏の日の日本家屋の風情というのは
もう、かなり歴史的な光景になりつつあるでしょうね(笑)。
長寿社会になって、祖父や祖母がこういう田舎に住んでいて
そこに親が帰省するのに、孫が付き合っているのかどうか、
っていうのがいまの実相に違いないでしょう。
一方で、孫たちはそういうニュータウンに「帰省」しているのかどうか、
ちょっと興味は持ちますね。
なんですが、日本再発見的に見て、こういう写真のような光景が持っていた
生活文化性の部分に強くイメージが掻き立てられます。
なんていうか、非常に開放的な野遊びの世界がこの半外部を起点として
起こっていく予感を感じさせてくれるのですね。
逆に右の壁の中には、否応なく「家」という格式的な世界がある。
それこそ、神棚や仏壇、家族の座る位置も決められているような世界。
その「結界」としてこういう半外部空間があった。
こういう部分に板敷き、スノコ状のものが据えられているというのは
機能性がきわめて高い。
それこそ、どろんこになって野山を駆け回ってきて
こういう場所で足の泥を洗い流して
家に「上がる」というのが一般的な習慣。
先日も親類が集まる機会があったけれど
10代のこどもたちは、そういう食事時でも
膝元に置いたケータイに目を落としたりしていて
会話の糸口もなかなか求めることができなくなっている。
こどもたちの「遊び」の世界がまったく世代わりしているのが現実。
いまではアクティブな遊びの世界の部分が消えつつあり、
こういう中間的領域の意味合いが民族的な記憶から失われるのかも知れませんね。
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北海道・東北の住宅雑誌[Replan(リプラン)]|家づくり・住まいの相談・会社選び
2008年08月08日
都市型豪雨

なんとも傷ましい事故が報道されていますね。
首都圏の一部を襲ったゲリラ豪雨。
下水作業中のみなさんが流されてしまったという事件。
うちのスタッフも当日、東京都内で行動していて動けなかったそうです。
雨の降り方がまるで南の島のスコールのようになっていて、
その辺は温暖化の進展を表していると思うのですが、
東京都市圏を見ていて、やはりコンクリート護岸、コンクリート河川
というものの影響が大きいのではないかと思うのです。
コンクリート護岸は、至る所の河川がそのように管理されていて、
それはそれでメリットもあるのだろうと思うのですが、
人間の都合に自然現象をすべてあわせようと言う考えはやはり破綻する。
コンクリート化された河川は、「一気に」増水するのでしょう。
上流地域で集中的に豪雨が発生すると
下流では全然雨が降っていなくても、河川は増水する。
そのスピードがものすごく早くなってきている。
しかも下水道の場合、危険性を目で確認することもできない。
なんとも恐ろしいメカニズムになっているものですね。
で、道路ではないけれど、こういうコンクリート護岸も
定期的なメンテナンス費用もかかってくるだろうと思われる。
大変厄介な問題です。
治山治水という言葉があるように、
河川の管理は、権力が常に「治める」ことを求められる基本要素。
そういう意味で考えると、現代の治水は
この傷ましい事故が象徴的に示すように、大変難しい状況になってきている。
ヨーロッパなどでは、一度コンクリート化された護岸を
再度自然に戻すような工夫をしているということ。
自然的なショックアブゾーブ能力を再生しようという考えなんですね。
はたして、大集中している首都圏地域のような場所で
もう一度そのように考え方を変えて取り組んで行くことができるものかどうか
サスティナブルということを考える意味で、
大変重要なポイントになる事柄だろうと思います。
みんなで大きな知恵を絞って行かなければならない問題でしょうね。
<写真は東京・隅田川の護岸の様子>
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2008年08月06日
土間の心地よさ

いつも感じることなんですが、
現代に建てられている住宅と、古民家を比較して
最も顕著な違いは、土間の有る無し。
古民家に行って土間がないという住宅はまずありえない。
土間って、広大な土という調湿作用装置とも言えます。
なので、夏の暑い時期には土内部に蓄えられた水分が
気温上昇に伴って気化熱を奪って行くので、
相対的に室内の気温を下げる効果があると思います。
そのような基本的な室内環境演出装置という性能的側面があるのですが、
同時に、室内での土間って、自由な作業スペースとして
実に快適な装置だと思われます。
多くの用途としては、農家などでは雨の日の作業スペース。
商家や町家でも、仕事上の作業スペースとして重宝していた。
家というのが、生業を支える労働の場でもあったということをあらわしているのですね。
で、そのほかにも多くの場合、かまどや流しといった調理装置も置かれていた。
床が張られたスペースがひたすらに休息的な場であるのに対して
土間って、大変アクティブな生活空間だと思います。
こういうスペースが、現代住宅ではなぜ絶滅に近いのか?
というのは、たぶん、高成長時代の多人数家族の個室確保のために
なによりも「床面積」至上主義が行き渡ったということが大きい。
そして、住宅が手仕事的に丹念に設計施行されるのではなく、
大量消費的社会の中で、売り買いの対象となったことで、
床面積と、なんLDKというような流通指標が家を
客観的に表現することになったのでしょうか。
逆にいえば、そういう指標表現でもっとも有利なように
何とも表現できない、土間のような「残余」的なスペースが敬遠されたのでしょう。
さらに言えば、生産活動・労働活動と住まいが分離したという結果、
家の中にこういう作業スペースが必要とされなくなったことも大きい。
ということなんですが、
どうなんでしょうか?
これからの時代は、たとえば高齢者の住まいを考えると
部屋数がそんなに重視されることは少ないだろうし、
趣味的な空間の方が、欲求が高まってくると思う。
そういうときに自由度の高い土間は、すてきな空間とは言えないでしょうか?
熱環境的にも、基礎断熱を採用すれば、土間の蓄熱性って
大いに活かして使うことができると思われます。
そうなれば、夏涼しくて、冬暖かい基本装置にもなりうる。
なによりも家の中に開放的な空間ができることで、
快適性が著しく向上する。
そろそろ、LDK神話から目覚めてみませんか?
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北海道・東北の住宅雑誌[Replan(リプラン)]|家づくり・住まいの相談・会社選び
2008年08月04日
豊かな食の装置

写真は古くからの商家のなかの土間にしつらえられた「かまど」。
3口もの鍋穴が開けられていて、
大量の調理が可能になっていました。
住宅というものは、なによりも寝食、ということばがあるように
安全に寝ることと、心安らいで食にありつける、というのが基本要素。
安全に寝られる、というほうは社会的な安全性にも機縁するので、
住まいだけの問題ではありませんが、
食べる方は、常に家が中心であり続けてきた。
外で食べる、というようなことはよその家に呼ばれるとか、
冠婚葬祭くらいしか、機会がなかったでしょう。
日本の律令時代の税に、各地の名産品を取り立てるとか、
国司などの高級官人が赴任するときにその地で歓迎の接待を地元民に強制する、
というような「ナマ」な税制、システムがあったのですが、
それくらい、「外で食べる」ということは希少価値だった。
したがって、食という基本は、
ひたすらに「住まい」の基本要素であり続けてきた。
この「かまど」、大変立派なものでびっくりしたのですが、
基本的には赤土のような土で固めて焼成させたものでしょうが、
そのうえから焼き物を仕上げるように平滑な表面仕上げが施されている。
一種、工芸品的な仕上げになっているのですね。
こういう仕上げというのは、家の持ち主のDIYになるものとは思われない。
この家が商家ということで、都市住宅だったので、
たぶん、こういう造作作事をなりわいとする専門家が存在したのではないかと思います。
ほかの住宅要素と比較して、飛び抜けて豪華さを感じさせる。
この商家には住み込みで働く奉公人が中2階に多数いたようなので、
このような大量調理道具が必要だったのでしょう。
現代のシステムキッチンと比較しても
その実質的な生活実態の豊かさのレベルがしのばれる。
遠く生家を離れて奉公する人間たちに、
擬似的な家族的共同性を植え込んでもきたとも思われます。
現代の、個住とコンビニという生活実態と比較して、
どちらに「豊かさ」があったのかといえば、論を待たないのではないでしょうか?
どうも、わたしたち現代人の貧しい暮らしというものが
身に迫って感じられてなりません。
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北海道・東北の住宅雑誌[Replan(リプラン)]|家づくり・住まいの相談・会社選び
2008年07月29日
200年住宅とオール北海道

さて、このブログでもいろいろ取り上げてきている
国交省の「200年住宅・超長期住宅」補助金政策。
600数十件の応募に対して、第1回の結果としては40件が認定されました。
新築の分野での提案では、採用率5%ほどという狭き門だったようです。
で、そうしたなかで北海道が公共団体として取り組んだ
「北方型住宅ECO」の採用が、注目されているようです。
やはり住宅性能の日本最先端地域という地域らしさが端的に表れたということでしょうか。
他の地方公共団体でも、「どうして北海道は採用されたのか?」
という声が上がってきているようです。
わたしどものような北海道発で東北関東と、
エリアを徐々に拡大している雑誌からすると、
あらためて北海道が官民挙げて住宅性能向上に心血を注いできた意味が
こういう機会に再確認できた、という思いがしてきます。
いわば「オール北海道」で取り組んできた大きな流れが背景なのですね。
採用に至った経緯は、それこそ国交省や、審査委員のみなさんの考えでしょうから、
発表通りを見るしかありませんが、
そこではやはり多様な工法に対して一律な住宅性能の要件条件で応募したという、
住宅性能に対するスタンダードな取り組みが認められた側面が大きい。
住宅性能のことというと、とくに関東以南地域では
「外断熱でないとダメだ」とか、
「うちの言っている工法でないとダメだ」
というような宣伝工法が大流行しています。
でも今回の採用されたものを見てみると、
そのような考え方の応募はきれいに全滅しています。
ようするに住宅性能の数値条件がしっかり実証されて満たされればいいわけで、
「だからダメ」という他者誹謗による自社宣伝は通用しませんよ、
と断言されたに等しいのではないかと思います。
そういう意味で、北海道が提案した「北方型住宅ECO」では
気密性能や、断熱性能レベルを明確に数字のみで規定しているのです。
そして、そういう条件に自ら自信を持ったビルダーさんたちが
手を挙げて参加したというものなのですね。
このような姿勢というのは、これまでの北海道の取り組みの積み重ねが
大変大きなウェートを占めている部分なのだろうと思います。
この北海道の挑戦が、大きな意味を持ってくるのではないかと思っているところ。
写真は、きのうも触れた「大工学校」でのひとこま。
こちらは窓サッシの納め方詳細手順実演です。
防水を主に、実に様々なノウハウの蓄積が詰まっているプロセスだと感じました。
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北海道・東北の住宅雑誌[Replan(リプラン)]|家づくり・住まいの相談・会社選び
2008年07月28日
気密化について

木造の建物で、室内の環境をエネルギーロスなく
温熱環境を維持するためには、それがコントロール可能になっていなければなりません。
これまでの日本家屋ではそういうことができなかったのが
生産のプロセスで「気密化」施工を上手に組み込むことができたことが
温熱コントロール可能な住宅に進化できたワケです。
写真は、新住協が年に1度程度開いている「大工学校」でのひとこま。
床まわりの気密化工事を実演しているところ。
北海道では木造大工さんにはいまや必須の技術といえますが、
その手順などを再度、こういう機会に実演し、確認しているのです。
新住協では全国でこういう機会を提供していて、
はじめて目に触れる技術者の方や、再確認するかたたちが集まってきます。
まぁ、わたしなんかも具体的な手順や確認ポイントなど、
大変勉強になりました。
鎌田先生からは、ぜひ現場の大工さんたちにたくさん来て欲しい
という希望が出るのですが、案外又聞きになるケースがおおいそうです。
今回、北海道が地場工務店などを組織化して
「北方型住宅ECO」という超長期住宅生産運動に着手するのですが、
そこではこの「気密化」レベルとして、
床面積1平米あたり、相当隙間面積で1cm平米以下、という基準が示されています。
北海道では多くのビルダーさんが当然のように
写真のような気密化施工に慣れていて、
いま、高気密高断熱を謳っているビルダーさんでは
0.2とか、0.3などというレベルが語られるケースが多い。
しかし、北総研のかたが「くれぐれも」と、念を押していましたが、
気密施工は実際に計測して結果を確認するわけで、
これまでのケースでも、実際に計ってみて達していないという場合も多いのだそうです。
普段、この程度はなんでもない、技術的には解決済み、と考えていると、
いざ、待ったなしでやってみるとそうでもない場合があるそうです。
今回の「北方型住宅ECO」では
万が一、このレベルを守ることができない場合には、
現実的にはそこに到達するまで再施工してもらうことになる、という対応が示されていました。
再施工ということは、壁の中まで還元してやり直しになるので、
たぶん、建築会社はもうけはすべて吹っ飛ぶことになる。
実際の施工方法を見ていて、
よく考えられているな、と感心できる部分と、
やはり、こうした工事には大工さんの慣れが大変重要と感じます。
最初の2〜3軒までが大変で、それ以降は
身についてしまえば、施工手間といってもそれほどはかからない、
だから高断熱高気密だからといって、
コストが大幅に上昇する、とはならないということなのです。
なんとか「北方型住宅ECO」ではすべての住宅が一発でクリアして欲しいものですね。
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北海道・東北の住宅雑誌[Replan(リプラン)]|家づくり・住まいの相談・会社選び
2008年07月26日
北海道版200年住宅スタート

きのうも触れた、国の超長期住宅・200年住宅事業に応募して
地方公共団体としての北海道が地域の工務店などを組織化して
地域住宅運動として取り組もうという
「北方型住宅ECO」。
昨日朝10時から、北海道中のビルダーさんたちが結集して
事業主体となる「協議会」の総会が開かれました。
いくつかの議題に即した話し合いが行われましたが、
結局、申請総額8億円を超えた交付金が、2億5千万円ほどに減額されたことを受けて
400軒という新築住宅総数が、123軒に減ったため、
その割り振りをどのように仕分けるべきか、
その考え方を調整し、決定するという「全部やる」会議でした。
その前段では97社からある参加企業の「代表」を決定するという
脂っこいテーマもあって、薄氷を踏むような会議プロセス。
会議テーマをはじめて目にしたとき、
これを2時間の時間でまとめるのか、と多難を予想したのですが、
まずは提案通りの結論を得ることができたのは、
道庁建築指導部の日頃からの各社との信頼関係の構築が預かって大きかったと思われます。
主要なテーマである、123軒の総数を97社に割り振る件は、
基本的には各社に1件ずつを割り振った上で、
ちょうど選挙の「ドント方式」を想起させるような手順での「調整」。
大変日本的なシステムだなぁと、感心してしまいましたね。
こういう業界調整の部分、
いろいろに言われたり、批判も浴びる部分ではあるのですが、
会場からは安堵するような雰囲気が流れており、
一部出席者から、1件ずつ割り振るのを止めて全部に対して「ドント方式」を、
という意見も出ていましたが、
調整としては順当でやむを得ない、という「落としどころ」だと思いました。
まぁ、ものごとはすべてが竹を割ったようには進まない。
そういうなかで、「知恵を絞る」というのも必要な部分ですね。
さて、このような経緯でしたが、
こうした全プロセスをすべて報道関係にも公開しながら調整した
北海道建築指導部は、よく頑張られたものと思います。
そして、ようやくに離陸できた「北方型住宅ECO」、
こうした住宅の一斉着手が全道でひとつの目的に向かって行われるというのは
大変、画期的なことだと思います。
その前向きな部分におおいに注目して、この場でもそのプロセスを
折に触れてお伝えしていきたいと考えます。
日本の一番北で取り組まれる、住宅性能に着目した超長期住宅の大規模な取り組み。
ぜひ、全国のみなさんも注目ください。
なにより、他の200年住宅の取り組みの多くが
大手ハウスメーカー主体になっているなかで、
地方公共団体と、地域工務店を主体として地域ぐるみで行われるというのは、
大変に意義深いことなのだと思います。
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北海道・東北の住宅雑誌[Replan(リプラン)]|家づくり・住まいの相談・会社選び
2008年07月23日
住宅環境技術の国際交流

写真は北総研を見学しているスウェーデンの換気技術者の方たち。
このときには北海道内で換気などの講演会があって
そのために日本に来たのです。
で、北総研の研究技術の様子を興味深そうに見学していました。
住宅を巡っての技術の世界というのは、
寒冷に対する防寒の技術というのは基本ですが、
それ以外の部分では、その土地での条件によって違いが出てくる。
とくに大きいなぁと思われるのが積雪条件の点。
というか、日本の西海岸側地域というのは
世界的に見ても大豪雪地帯だ、ということを認識させられます。
この北総研では雪を床下に溜めて、暑い夏の時期に冷房に利用していますが、
こういう部分は世界的にも珍しい研究なのかも知れません。
豪雪の地域は他にも多いのでしょうが、
まとまった人口がこういう大豪雪地帯にたくさん住んでいることが変わっていると思われます。
そういうことなので、札幌のように屋根が建築時期によって
大きく様相を変えているという特色が生まれてくる。
北欧も決して雪が少なくはないけれど、
屋根形状がフラット、というようなものは記憶にない。
基本的に雪は空地に落とすという考えで処理しています。
それに対して、さすがに日本の大都市ということで、
札幌では、隣地との間に空地はなかなか確保できなくなってくる。
いまは郊外地域でも60坪程度が基本的な広さ。
そのような条件では難しいのですね。
無落雪屋根という世界的に珍しいデザイン形式が広がっているというわけ。
こういう屋根にすることで隣地との雪のトラブルが回避されたのです。
でも、そうすることで、いろいろな問題も次々と発生してきたのですね。
でも、最近では屋根のないデザインを見て
その制約のなさにデザインの自由さを感じるという本州地域の設計関係者も多い。
何が幸いするかわからないので、
こういう条件を逆に活かす工夫も必要なのかも知れません。
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2008年07月11日
サスティナブルを考える

いつも住宅のことを考えているような生活をしていますが
そうやって考えてくればくるほど、
日本的なシンプルな住まい、ということを考えるようになります。
歴史年代的に見れば、わたしたちの民族的な住宅体験は
圧倒的に写真のような竪穴式住居が長かったと言えます。
現代の自然素材への強い希求とかのベースに
こういう住宅体験がDNA的に色濃く根付いているのはないかと考えるのです。
縄文の時代では採集を基本としながらも
定住も見られて、食料植物の栽培も行われていたようです。
縄文時代の食素材は、驚くほどに豊かだとされています。
いろいろな素材をまんべんなくバランス良く食していたようです。
縄文時代には圧倒的に人口は東日本に集中していたという説が有力。
適度に寒冷で、秋には自然から様々な食素材の恩恵が得られた。
そういう素材を、長期保存してくれる寒冷な冬が冷蔵庫代わりにもなった。
そういう条件を持たない西日本は、生きにくかったのですね。
海産物なども秋に回遊してくるサケなど、
非常に豊かな恵みをもたらしてくれていた。
縄文の貝塚に見る食素材の豊かさに比較すると、
たとえば古代律令国家の東北侵略拠点・胆沢城での下級官の食事などは
米と一汁一菜というバランスの悪いモノであり、
食生活の様式で見て、蝦夷の伝統的食生活〜たぶん、縄文的な要素も残っていたと思う〜
と比較すれば、ヤマト的暮らしに「まつろわなかった」のも
理解できるような気がしてくる。
こういう生活空間の構成のシンプルさ、
架構造の力強さ、屋根の萱などの湿度調節作用など
非常にサスティナブルな住居と言えるのではないかと考えられます。
現代のわれわれが、新建材固めにして
現代的快適性基準を追求してくるのだけれど、
色々考えれば考えるほど、
こういう住空間に教えられることが大きくなってくるのですね。
少なくともこういう自然素材に囲まれた空間は、
自然への単純な共生感覚をもたらしていただろうと考えられます。
こういう空間に戻ることはできないけれど、
その心地よさへの想像力は失ってはいけないでしょうね。
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2008年07月08日
省CO2推進モデル事業、結果発表

相次いだ国土交通省の肝煎り「モデル事業」募集。
総額の国費が半端でない200億円近い金額。
サミットの関係で間に合わせようとしたものと思われますが、
その応募結果の発表が、国交省HPで発表されていました。
http://www.mlit.go.jp/common/000018273.pdf
きょう触れてみたいのは、「省CO2」のほう。
まぁ、どちらも似た傾向にはあるのですが・・・。
結果を見ると、モデル事業とされたのは、
ハウスメーカーが3社(三洋ホームズ・パナホーム・積水ハウス)と
アトリエ天工人(テクト)+金沢工大の先生の提案。
写真は、その選考の講評の概要部分です。
一番最初に出てくるのが
「既存設備の単純な組み合わせでは不十分」というモノ。
こうしたコンクールの場合、選考基準を明確にするというのが
大前提だと思われるのですが、今回の募集要項を見ると第1回ということもあって
抽象的な、雲を掴むような内容。
で、選考の講評になって、こういう文言が突然出てくる。
この事業のはじめから危惧されていたのが、
選考委員はほぼ全員が大学の先生と官僚機構のみなさんという点。
住宅という市場の実態を本当に知っているのか、
霞ヶ関の机上と、アカデミズムの殻の中からしか
日本のいまの住宅マーケットを見ていない。
「先導的」と考えられる企業はハウスメーカーであると
結論づけているのが今回の結果になったわけですが、
日本の住宅はそういう風になるべきだと考えているのでしょうか。
ハウスメーカーというものが、革新的などういう活動を行ってきたのか、
そういう市場に対する判断力がなければ、
こういう事業は軽々に着手すべきではない。
住宅は長期にわたって建築されるモノであり、
設備などもさまざまな実証を経て、その耐久性であるとか
持続的安定性というようなモノがなによりも大切な分野だと考えます。
確かに「選考する」という作業からすれば、
こういう後出しジャンケンでしか判断できないというのは理解できる。
しかし、そうであれば、いきなり巨額の税金を投入するというのは避けるべきではないのか。
ルールを決めていない段階で競争した結果、
名前ばかり有名な企業だけが残ったのではないか、と言われても仕方ない。
ハウスメーカーの応募内容も見てみたのですが、
「今回の選定について」の基準から考えて
どこに選考に値するのかと、疑問を感じざるを得ない企業もあります。
または、CO2削減競争を住宅の住まい手に仕掛ける、みたいな提案が
採用されてもいるのですが、こういうことが実際にできるものかどうか、
よく考えていただきたいと思われます。
北海道で地元ビルダーと大手ハウスメーカーが
省エネをテーマに住宅団地を形成したあとで、
住民同士、暖房用灯油使用量を比較しあって、ハウスメーカー住宅の住民が
憤慨してしまったというようなことが実態としてあるのですが、
そういう実証をともなわないで、言葉とイメージの提案だけで
こういう施策を実行させるというのは、どうも腑に落ちません。
多くの優良なビルダーさんの提案が落とされて、
採用された提案内容を見ていて、まさに不条理の思いを抱く次第です。
みなさん、いかが感じられるでしょうか?
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2008年06月26日
窓の内開き、外開き

写真はわが家の書斎の窓です。
窓はスウェーデンのメーカーで日本でノックダウンしているもの。
木製3重ガラス入りサッシです。
北欧の考え方は、だいたいがこういう滑り出し・回転窓というもの。
窓の開け方としては下端についている取っ手を回してロックを解除し、
それを正面方向に押し出す。
そうすると、10cmくらいいったところでストップする。
「チャイルドロック」という機能です。
子どもが操作して誤って窓から落下することを防ぐ仕組み。
で、そのロック解除ボタンが窓枠中程に赤いものがありますので、
それを押しながらさらに窓を正面外に向かって押し出すと
さらに大きく開口していきます。
その分、外側に出っ張っていくので、一定の隣家との感覚が必要なのは論を待たない。
で、さらに開いていくと今度は窓が回転していくのです。
そうして、外側ガラス面がこちらを向くようになる。
という具合で、ガラスを拭くこともできるようになっているワケ。
このスタイルに対して、
外に開くのではなく、家の内側に開いていくタイプがあります。
先日の旭川の最新住宅見学の折りにいくつかの家で採用されていて
ちょっと珍しく感じました。
玄関ドアでもそうだけれど、日本人的な感覚としては
ドアを「開いて」という感覚は外に押す感覚になっている気がする。
それに対して、内側に開くというのは
どうも感覚がだいぶ違う。
一般的には建具を左右に「引き違い」にスライドさせる開口部、
というのが日本的な伝統スタイルといえるでしょうが、
窓の「気密性」という意味合いからは、開き方は上記のどちらかのほうが合理的。
北海道は、合理的日本スタイルの実験場みたいなものなので、
ここで受け入れられたインターナショナルスタイルが日本全域に広がる素地を持っています。
まぁ、内開き、外開きとも
それぞれメンテの簡便性、使い勝手の良さというメリットを持っているので
最終的には「北国に住む日本人の感性」が選択していく部分だと思います。
さて、どういうふうに選択されていくものか、興味がありますね。
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2008年06月24日
進化が待たれるヒートポンプ

いまや企業業績でも、トヨタの利益を
海外原材料の輸入商社主要5社の総利益の方が上回ってしまっているそうです。
簡単に言えば、経済が原材料資源のほうに価値が集まってしまって
加工産業、製造業産業が、世界的な資本主義マーケットの大競争の拡大で
相対的な価値を落としてしまっている、ということ。
資源を持たない新興国家群は、日本のような成長モデルを踏襲する。
ちょうど、中国が開放路線を取るときに
日本のシステムを参考にしたように、多くの新興国家が
加工組み立て製造業を自然な成長モデルとして経済発展に取り組んでいるのですね。
まぁ、当然の成り行き。
そういうなかで、先物取引の金融ではいち早く、資源への投機の流れが加速した。
アメリカの金融不安が、低金利政策を誘導して、
その過剰流動性が全体として資源投機へと向かっているのが現状でしょうか。
こういうなかでは、日本の地方経済はきびしいものがある。
多国籍企業化している東証一部上場企業の多くは
その工場も、市場も日本国内の比重を下げることで
維持発展させることが可能だけれど、
とくに住宅のような「内需型産業」の場合、
成長可能性が著しく低下せざるを得ない。
時代的閉塞感は、こういう背景から必然的になっていると言えます。
そんななかでひとつの可能性を感じさせてくれるのがヒートポンプでしょう。
いまやエコキュートは温暖地で加速度的に普及してきています。
世界的に見ても日本はこの分野で最先端を行っているし、
製品出荷が可能な技術という意味でも、管理がしやすい。
技術のみなさんのお話を総合すると、
いま、寒冷地用の暖房用ヒートポンプの技術進化はめざましいということ。
電気は元エネルギーとして使うけれど、
それを数倍させてエネルギーとして利用できる。
電気は現状では化石燃料比率が高いけれど、
これは世界の先進国ではどこでも原子力の利用に向かっている。
化石燃料投機から経済を守っていく、という
あるべき国家戦略から考えれば、方向性は自明なところに来ていますね。
住宅エネルギー問題でも、ヒートポンプ利用のシステムが
今後の大きな方向になっていくと思います。
一刻も早く、COPが寒冷地の冬でも利用可能なレベルになってほしいものです。
やはり日本は、技術立国でいくべきだと思われますね。
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北海道・東北の住宅雑誌[Replan(リプラン)]|家づくり・住まいの相談・会社選び
2008年06月17日
犬走り

ふつう建物の外周部には一定間隔の「結界」状に
砂利などが敷き込まれます。
「犬走り」と呼ばれるのですが、語源としては
「犬が走れる程度の細長い空隙スペース」というようなことではないかと思います。
用途、といってもそれほどの意味があるとも思えませんが、
建物を雨だれのハネから守る程度ではないかと思われます。
最近はこの土中に断熱材を建物外周をぐるっと回るように板状断熱材を敷き込んで
「スカート断熱」という手法をとる場合もあります。
というものなのですが、
先日のアース21見学会で、ちょっと変わった犬走りを発見。
一般的には砂利を使用するところを、火山灰土を入れていたのですね。
色合いはなかなか面白い色で、
建物とのコントラストは美しくなっていました。
そうですね、機能的な部分ではそうたいした意味があるものでもないので
意匠的にちょっと変化を付けて
建物を引き立てる背景として利用しようと考えたようなんです。
そのように考えると、この色合いというのはなかなかにいい。
自然な風合いだけれど、スキッとしたオレンジで
建物に対して「地灯り」的な反映を与えてくれる気がします。
なんですが、この火山灰土、やや歩くと土が靴の下につく。
けれども、普段ここを積極的に利用するケースはないから
まぁ、いいっか、ともおもえる。
困るのは泥棒さんくらいかも知れない(笑)。
怪しいひとが建物内部を伺っていれば、すぐに「足がつきやすい」。
っていうようなことで、やや微妙なんですが、
こういう実験的な作り手の姿勢って、すばらしいと思いますね。
色々な素材を試して使ってみようと考える精神的な探求心は
いいモノを作っていきたいという根源的な部分。
どんな経過になっていくモノか、また聞いてみたいなと思った次第。
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2008年06月16日
わが家の天井仕上げ

先日は内装・天井仕上げについて触れましたが、
一般的にはクロス仕上げというのが圧倒的な部分ですが、
それだけじゃ面白くない、ということで、
わが家では、挑戦してみたという写真なんですね。
わが家は鉄筋補強コンクリートブロック+木造ツーバイフォーという混構造。
いまの基準からすると、確認申請がきびしいだろうなぁという建物です。
で、ここは2階居間の天井でして、見上げると
コンクリートのスラブが表れている。
バッテン印にコンクリート梁が交差しています。
ここに、下地を黒く縫った上に、木組みで「格子」を造作しています。
コンクリートスラブの鉄筋からアンカーをぶら下げて
それに格子組を吊り下げている、ということなんですね。
施工に当たった大工さんは、だいぶん苦労していたものでした。
それで、コンクリートの面と、面をあわせて天井を構成している次第。
いま考えてみると、いやはや、大変な施工手間をかけさせたものと
深く反省させられる仕上げ方法ですね(冷や汗)。
竣工当時は、使用していた木材が収縮乾燥することで音鳴りはするは、
松ヤニが垂れてくるは、で、メンテナンスさせられました。
(まぁ、とは言っても松ヤニを拭き取るだけです)
そのうえ、細かいホコリは木材上に積もっているはずですから、
健康面ではどうなのか、というような問題点もありそうです。
なんですが、17年以上も経ってくると
こういう光景を日常風景として楽しんできた時間も感じます。
陰影感はやはり素晴らしく、独特のリズム感が落ち着きも見せてくれていますね。
一時期、北海道の設計事務所の関与住宅で流行していたスタイルです。
その後、見ているとあまり見かけなくなってきたので、
やはり、施工的に無理があり、だんだん、施工手間が増えてきて
断念せざるを得なくなってきているものと思われます。
しかし、RCの質感と木質の調和と言うことで、
独特の味わいもある仕上げ方法だと思います。
このまま、お蔵入り、というのも寂しいものがあるかなぁと・・・。
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2008年06月15日
岩手宮城大地震と建物被害

今回の地震で被害に遭われたみなさんに、お見舞い申し上げます。
きのうは1日、地震の様子が気がかりでした。
新潟の建築会社さんからは丁重なお見舞いのメールまで頂いていました。
おかげさまで、青森に向かっていたスタッフが
途中、東北道 北上金ヶ崎PAで休憩中、震源地に近い場所で遭遇したのですが
大きな揺れは感じましたが、特段の影響はなく
その後、無事青森県で取材を遂行している状況です。
また、福島県で取材していたスタッフたちは、夕方仙台事務所に帰り着き、
事務所内部も大きな被害はない、ということでした。
当方としては、大きな影響はなく、ホッと一安心できたところです。
しかし、地震の様子のすさまじさにはただただ、びっくりします。
まるで、隕石が衝突したような広範囲の地滑り状況には
まさに自然災害の猛威を感じる次第です。
そういうなか、今回の地震では今のところ、建物への被害は限定的と報じられています。
短い揺れ周期、雪に強い構造…地震の建物被害目立たず
岩手・宮城内陸地震は、阪神大震災に匹敵する揺れの強さにもかかわらず、14日午後10時現在、判明している建物の全半壊は13棟にとどまり、昨年7月の新潟県中越沖地震(6940棟)などに比べはるかに少ない。専門家らは、建物被害につながりにくい地震波の特徴や、地震に強い東北地方の住宅構造を指摘している。
建築基準法は震度6強でも倒壊しないような建物の強度を求めている。国の推計では、この耐震基準を満たす住宅は2003年時点で全国平均が75%。宮城、岩手両県はそれぞれ74%(03年)、65%(07年)で全国平均を下回る。震源に近い岩手県奥州市も65%だったが、壁のひびやブロック塀の倒壊など軽微な被害が中心だった。
建物被害が少なかった理由について、境有紀・筑波大准教授(地震防災工学)は、今回の地震の地震波が、建物に被害を与えにくい特徴を持っていた可能性を指摘している。
境准教授の解析の結果、今回の地震では揺れの周期が1秒以下と極めて短かった。中低層の一般的な建物に被害を与えるのは周期が1〜2秒の「キラーパルス」と呼ばれる地震波だが、今回は強く見られなかった。中越沖地震や能登半島地震ではキラーパルスが強かったという。
一方、国土交通省の担当者は〈1〉雪が積もりにくい鉄板製の屋根が多く、かわらなどに比べて建物が軽い〈2〉寒さ対策として窓や扉など開口部が小さい――など、東北地方独特の建物の構造が影響した可能性を指摘する。和田章・東京工業大教授(建築構造・耐震工学)も「現地を見ないと分からないが、積雪時を考慮した設計は、雪のない春夏は壊れにくいと言える」と話す。
(2008年6月14日23時42分 読売新聞)
ということのようですね。
北海道での地震でも、地震の強さに比較して
建物への直接的な被害はそう大きくはないケースが多い。
よく、凍結深度の深さからくる基礎構造が頑丈な耐震性にも寄与しているのではないか、
という声も聞くことができます。
積雪への対策として軽い屋根にしていること、
寒さ対策として、開口部面積が小さく、壁量が大きいこと、
それに基礎の造りが比較的に堅牢性が高いことなど、
複合的な要因とも思われます。
まだ、余震はしばらく続きそうです。
みなさん、十分に気をつけてください。
<写真は岩手県の古民家軸組と壁の様子>
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2008年06月01日
世帯あたりエネルギー消費比較

ウチの誌面で連載エッセイをお願いしている
北海学園大学・佐々木博明先生の講演のひとこま。
日本の各県別の世帯人数と、世帯のエネルギー消費の様子を表現した図。
いろいろな意味合いがあって面白く拝見しました。
住宅のエネルギーですから、暖房要素が加わる北国が大きいのは当然として、
それに「世帯人数」を掛け合わせて考える概念ですね。
省エネで考えれば、大家族で住む方が理にかなってはいる。
一方では、少人数化というのは現代都市的生活の趨勢。
従って、この図では縦方向に南北差が表現されて、
横方向には「都市化度」のような傾向が現れる、といえる。
と思っていたのですが、どうもそういいきれない。
もう一つ、家族数を決定づけているのは、その地域の「高齢化度」も
影響が大きいと言えるかも知れません。
で、北海道はこの図で
ひと地域だけ、ちょっとグループに属さない位置に出てきている。
東北地域は寒い地域だけれど、家族数は多く、
理にかなった感じが傾向としてそのまま表れている。
東北よりももっと寒冷地だけれど、
エネルギー消費では、ほとんど同じくらいのレベル。
でも家族数は5分の4くらいの比率。
ちょっと特異なんですね。
東京が家族数で平均が2をちょっと超える程度で
全国でも最小になっているというのはわかる。
でも、家族数の少なさが2位というのが
北海道や鹿児島、高知、というような順だと言うことになると
やはり「都市化度」ではなく、高齢化度を表しているのではないか。
いいかえれば、「過疎度」というようにも言えるかも知れない。
この表にはないけれど、
札幌は北海道でも飛び抜けて家族数が少ない地域。
で、北海道全域も家族数が少ないということになると、
北海道では、都市化と、札幌以外の地域の高齢化が加速度的に進んでいる、
というようなことを表現しているのかも知れない。
どうもこのあたり、産業としての住宅、その性能という用件を超えて
社会的な問題が全国一、北海道では進行しているのではないか、と思えます。
住宅の性能レベルで言えば、年平均気温の分布による傾斜を
北海道の住宅は上回っている、というように考えることができます。
産業としては北海道の住宅は優秀だけれど、
その社会的基盤は、あまり力強くない、ということを
この図は、教えてくれている気がします。
こういう問題、誰がどのように切り込んでいくべきなのか、
難しいテーマだなぁ、という実感を持ってみておりました。
2008年05月27日
白いグラスウール

先日の新住協総会で展示されていたもの。
グラスウールというのはだいたいが黄色だったり、赤だったりの
色がついているものが多い。
あれはなんでなんだろうと、考えることはなかったのですが、
こういうふうに展示されて初めてなぜかと考えてしまいますよね。
そのへんはメーカーさんもたぶん同じような感覚なんだろうと思いますが、
白いグラスウールというシロモノ(笑)。
実物としてみたのは初めてであります。
以前にも、別のメーカーから白いのが出たことがあったのですが、
そのときのものとは作り方が違って、以前は着色料を加えていたのが、
今回はそうではない、という説明でした。
で、どういう用途なんでしょうか、と聞いても
どうも心許ない説明でした。
まぁ、試しに作ってみたと言うことなのか?
ということでしたので、
以前に取材で見かけた事例で、ポリカーボネートでこの白い断熱材をサンドイッチして、
いわば、「半透明な壁」を作っていた例をお話しいたしました。
こういうケースだと、断熱材が入っている場所は半透明な壁で、
入っていないところは、半透明な「窓」という違いです、
というように設計者から説明を受けた話をお話ししました。
逆に、たいへん面白がって聞いてくれていました。
ポリカーボネートを外壁材料にしよう、というのは
かなりの冒険心がなければならないところですが、
その家は設計者の自邸だったので、やってみたかったということでした。
ところがその後、白い断熱材が販売されなくなって、
そういう挑戦は頓挫しているようだったのです。
そんなところに、こういう素材が再び出荷されると言うことなので、
さて、どんな使い方をみなさんするものかどうか、
ちょっと興味を覚えた次第なんです。
また、ああした挑戦が行われるか、
少し、状況をウォッチしていきたいと考えています。
2008年05月24日
初夏のスキーリゾートにて

昨日は新住協の総会が行われました。
会場は盛岡市から、50kmほど離れたスキー場、安比高原。
わたし、冬場は家でおとなしくしている(笑)ほうなので、
この手のリゾートには縁のないものと自己認識しておりますが、
そういうものにとって、得難い体験であります。
周囲の自然はまさにこれ以上ないくらいの極上のものですが、
それと対比的に人工的、というか、幾何学的な形態のホテル。
大変シンプルで、潔い造形感覚です。
著名建築家のデザインと聞きましたが、
総会は、缶詰めでの講演や討論などが続くので、
ほとんど、じっくり建築を楽しむ時間は取れません(涙)。
けさも、これから早めに出なければならず、残念です。
という次第ですが、
散歩がてら、周囲を歩いてこの建築群を写真に納めたいと思っています。
それにしても、この交通の不便な地に
全国から200名を超すみなさんが集まってきています。
住宅の市場状況はけっして芳しくないなか、
一方でユーザーからはホンモノの性能へのニーズも起こってきているようです。
とくに、関東以南地域から、多くの新規入会が続いたり、
一般ユーザーからの問い合わせが続いている状況なんだとか。
そういった状況を活かして、ぜひ性能による住宅業界の革新を
新住協が巻き起こしていって欲しいものだと念願します。
技術的な話題としては、「蓄熱」という部分が大きなスポットを
浴びてきている状況。
それに関連して、土間や基礎の作り方が大きなポイントになってくるということ。
そういったポイントが、実証的な数値に置き換えられて検討されるので、
大変明確になって、わかりやすく面白いと思いました。
そのほかにも話題が豊富で、後でゆっくりまとめる必要があります。
さて、きょうは早めに出て、東京で用件を済ませながら、
原稿をまとめる必要があります。
がんばらねば、であります。ではでは。
2008年04月30日
換気の考え方

きょうは北海道庁で200年住宅についての会議があります。
北海道が定めている「北方型住宅サポートシステム」について、
国交省が進めている200年住宅事業に登録しようというワケです。
今回の国交省の動きって、非常に足の速い動きで、
たぶん、全国の自治体では北海道を除いては急に対応するいとまがないと思われます。
なので、事業者側としては一部大手ハウスメーカーに
対応可能性は絞られるのではないかと推測されます。
北海道の場合、独自に寒冷地住宅の省エネという地道な活動を続けてきているので、
いままでの積み重ねの「北方型住宅」を基礎にして対応できるわけですね。
で、その北方型住宅の要件に上げられていたなかに
Q値レベルについて、1.3、ただし1種熱交換換気を除く性能値、
という基準が示されていました。
熱交換換気はそれを利用すると数値上、
コンマ3程度性能値が向上するので、
建築本体のみで、通常の3種換気を利用することを前提にして
公共の側としては対応する、という表現だと思われます。
熱交換換気は本格的に日本に導入されてから日も浅く、
いろいろな実証実験途上、という考えからの対処なのだなと思われます。
そうした意味では、実質的にはQ1.0がひとつのレベル値になっているともいえます。
写真は北総研の「個別換気装置」。
事務所部分では、常時人間がいて作業している。
なんといっても建物全体の気積が大きすぎて、
機械換気をしようとすると、巨大な装置が必要になるため、
建物全体の基本的な換気は自然の温度上昇を利用したパッシブ換気を利用している。
というような条件の中で、
ごらんのような誰でも開閉できる換気窓を作って、
一番信頼できるセンサーとして、人間の判断を利用して、
人力で個別に換気してもらおうという考え方の装置なのです。
住宅レベルでは機械による24時間換気が機能するでしょうが、
こういう大きな建物では難しいのですね。
その意味では、200年の寿命を考えるというような今回の
国交省の考え方からすれば、たしかに機械にだけ寄りかかるような
スタンスって言うのは避ける方が賢明とは言えるでしょう。
どんな機械も結局はメンテナンスが必須である、
っていう考え方からすれば、こういうほうが合理的とも言える。
ひとつの明快な考え方かなぁとも思える次第です。
2008年04月25日
デザイン暖房

写真は盛岡市内の住宅でのモノ。
岩手県では、地元で「エコハウスコンテスト」を毎年続けてきています。
はじめは県の事業として省エネ住宅のコンテストとしてスタートしたのですが、
予算が付いたのは3年だけで、事業が終了。
その後、趣旨が素晴らしいと言うことから、
選考委員のみなさんなどを中心に終了を惜しむ声が起こり、
民間の側で運営資金を工面して、上記の名前で継続しています。
この写真の住宅は19年度の受賞作品住宅です。
趣旨に合致した住宅で、
ヒートポンプによる暖房を採用して、省エネ性を高めています。
低温水を循環させることから輻射面積を大きくした
このような放熱パネルが居間の真ん中にドーンと設置されています。
天窓からの採光も考えられていて、
実質的にも視覚的にも、「ひだまり」という感じに近い空間。
居間と食堂・台所の仕分けにもなっていますね。
柱や梁は地元産出の無垢のカラマツを使っています。
CO2排出を抑えるというコンセプトから考えると、
地元の素材を利用・活用することが大きなポイントになります。
乾燥技術が進んで、このように大胆に使う例も出てきているのですね。
余談ですが、
先日発表になった「200年住宅」の要件に、構造材として
北海道の地元産出木材樹種が含まれていない、という情報もありました。
まぁ、まだ詳細には確認できていないのですが、
樹種の認定という作業には、国交省の長い検討プロセスがあり、
その結論を、時間がない中で今回の要件に援用したということ。
このあたり、やや釈然としない部分もあります。
ちょっと、横道にそれましたね(笑)。
それにしても、この放熱パネル、大胆な設置方法。
ふつうは設備として、控えめに窓下とか、あまり目に触れないように
装置されるのが多いのに、ここまでこれ見よがし。
ヨーロッパでは、このようにデザイン化が始まっているということ。
パネル自体としても一種のインテリア装置として
カーブさせたりして、オブジェのような方向が高まっていると言うこと。
今後、そういう方向性が日本でも出てくるものかどうか、
国民性もあり、興味をそそられるものがあります。
みなさん、こういう暖房パネル、どう思われるでしょうね。
2008年04月16日
都市別暮らしからの排出CO2

写真は国総研・田島さんの講演からのデータ。
ことしになって、このようなデータ、わたしたちにも目に触れる機会が増えてきました。
新潟から右側は年平均気温がだいたい16度前後の都市。
仙台が12度くらいで、札幌は8度。
そういう年平均気温の違いに沿って、家庭からの排出量が変化しています。
寒冷地のわれわれにとっては、暖房用の部分が半分以上を占めているわけで、
この部分の削減と言うことが主要なテーマになりますね。
一方で、国全体で考えれば、人口の8割以上を占める地域での削減を考えれば
照明や、家電、さらに給湯の部分が総量として考えると大きい。
そうしたことから、ヒートポンプ技術が緊急的なテーマになるわけですね。
給湯の部分が削減されるというのは、エコキュートが期待の星になる。
家電製品も、古いタイプのものから
最新のものに買い換えれば省エネタイプに変わっているので、
CO2削減という意味からは、効果が大きい。
で、こうした部分については寒冷地での暮らしでも恩恵は大きい。
ただし、ヒートポンプ技術が寒冷地用開発がどんどん進歩することが不可欠。
一方で、暖房用消費エネルギーの削減っていうのは
住宅の性能の改善が不可欠なテーマになる。
性能が向上しなければ、快適性を犠牲にしない限りCO2削減は実現しない。
このことは北海道で実現することのメリットも確かに大きいのだけれど、
人口が8割以上占めている地域でも、北海道の3割程度は使っているわけで、
その効率を上げるというのは、国全体で考えれば、相当に大きい。
事実、北海道で暖房用のエネルギーを半減させようという
Q1.0運動で実現する住宅性能レベルは
そのまま、温暖地域で実現すると、
暖房用エネルギーが、ほぼ無暖房レベルに近づいていく。
人口の5%地域で半減するよりも、人口の8割の地域で低減することの方が
省エネ効果は高くなるという道理。
たぶん、これらの両方からのアプローチが相まって効果が上がっていくのでしょう。
住宅の新築はもちろんだけれど、
このように見てくると、既存住宅の性能向上というのは、
国全体で考えてもきわめて緊急性が高い。
寒冷地域がそうした手法を開発して、温暖地に普及させていく、
というアプローチは、必要不可欠になってくるということが言える。
まぁ、日本の寒冷地人口って、
北海道・東北・日本海側北部地域など、だいたいが2割と推計できます。
ちょうど国全体で考えれば寒冷地・温暖地の比率って2割・8割になるわけですね。
よく、2ー8の理論って言われることがあります。
そうした知恵で、いろいろ考えていくのも面白いかも知れないかなぁと
最近考えはじめております。
2008年04月14日
北総研実験棟内部-1

さて、おとといのセミナー前に案内された北総研実験棟内部。
とはいっても、実験棟にはたいへん多くの機能があり、そのごく一部です。
わたしは北総研、何回か訪れているのですが、
今回初めて実験棟内部を拝見した次第です。
寒冷地住宅として考えなければいけないポイントに沿って、
研究実験の必要な設備がそれぞれ備えられています。
いっしょに見学した「国総研」の田島さんも感心しきりでした。
国としては、というか、温暖地・つくば市にある国総研としては
寒冷地住宅の研究については北総研に任せるというのが基本スタンス。
国土の人口比率80%以上の温暖地向けの研究は国がするけれど、
東北を含めるのかどうか、ややあいまいながら(笑)
人口20%弱程度の寒冷地住宅技術研究については、北総研をリード役に指名しているようです。
住宅研究以外の分野についてはあまり詳しくはありませんが、
国の主要な政策的課題で、1地方の設置する機関がリードしている
というような事例は、あんまりないのではないかと思われます。
先日も、中古住宅の性能向上・ストックの品質向上策についての
国のパイロットモデル事業で、北海道が推進してきた事業が選ばれ、
国の予算で継続されていくというケースがありましたが、
こと、住宅に関しては北海道の先進性にお墨付きが得られているようですね。
ただし、こういうことについての知識は一般にあまり知られていない。
また、住宅のプロのみなさんでも全然無知な人も多い。
なので、産業界的にもこういう北海道の優位性が
十分に活かされているとは言い難い現状がある。
北海道内の経済団体などで、こういう現状を説明しても理解していないケースが圧倒的。
なんとももったいない気がするのですが、オピニオンが育っていないのですね。
写真は旭川の冬の寒さを活かした「冷房装置実験」のもの。
実験棟地下にはごらんのような水の貯蔵施設があります。
ここに旭川の寒冷な冬の外気、だいたい零下20度程度を導入させて、
水を凍らせて保管しておくのです。
で、そのようにつくった氷の「蓄冷層」から1階床面に対して
冷房を供給させているのだそうです。
冬の寒さを利用して、それを夏に活かそうという発想ですね。
こうした「技術」の世界って、なるべくタダで得られる自然のエネルギーを
最大限活かして使おうと考える方向が明確。
世界の寒冷地の中でも北海道は雪が多い地帯ですから、
そうした利点を生かした研究と言うことで、
世界の中でもけっこう最先端的な分野ではないかと思われます。
スウェーデンの換気装置メーカーの技術者も大変興味深そうにしていたのが印象的。
このような研究機関で実証される成果が
やがて日本の住宅技術を高めていくこともハッキリしています。
もっと、北総研が取り組んでいること、情報共有が計られるべきではないかと思いますね。
2008年04月10日
環境建築〜3

写真は北総研内部のアトリウムと南面外観。
アトリウム内部の北側壁面を見たところ。
こちら側には北海道の地域の材料と言えるブロックが積み上げられています。
ブロックは北海道の場合、豊富に取れる火山灰を成形したもの。
このように地域の材料を使うというのは、
環境を考えていく建築評価として、高いポイントになります。
ここでは、南側ガラスの屋根からの日射を受け止めて
熱として、蓄熱させる素材として活用されています。
それが、同時にユニークなデザイン要素を構成している。
色合いといい、表面の微妙な凹凸による光のやわらかい反射ぶりといい、
たいへん豊かな質感をもたらしていて、ハードな
枠を構成している鉄骨とバランスしています。
一方右側は外部の壁面というか、開口部のようす。
旭川は大変な豪雪地帯ですが、
ルーバー状のアルミがベランダ手すり格子を構成していて
風洞効果で雪が風で飛んでいくような仕上げを行っています。
片流れの屋根の軒が大きくこの面を保護しています。
これは長期的な外壁材・開口部の保守を可能にしています。
1階はベランダが軒のように機能するように工夫され、
またややセットバックされているので、夏冬での微妙な日射取り入れをコントロール。
2階3階の庇も、同様な効果をもたらします。
1階の窓下にはスリットが見られます。これは換気用開口部。
このスリットにもルーバーが工夫されていて、
個別で、その角度が調節できるようになっています。
ひとによって違いがある快適感を考慮して、
その周辺の利用者が自分好みの爽快感を室内に取り入れることを可能にしています。
左右の写真とも、
仕上げの機能面での詳細はこんなことになるのですが、
しかし、これらをデザインとしてみれば、
なんとも美しい心地よさが感じられます。
非常にシンプルに機能を満たしていながら、
簡潔で潔いデザイン要素にももっていくというコンセプトを感じますね。
ことしくらいから、
CASBEEという建築評価が社会的に広がっていくと思いますが、
そのもっともわかりやすい事例として、
旭川にあるこの北総研建築、一回はごらんになることをオススメいたします。
2008年04月09日
環境建築〜2

きのうも触れた「北総研」の断面図です。
この建物は大きく、3つの部位に別れています。
一番左側が、いろいろな寒冷地建築技術についての実証実験を行う実験棟。
ここは、全国の企業から持ち込まれる「共同研究」などの
実験を行う施設なので、秘密保持のため出入りは制限されています。
真ん中にあるのは、多機能性を持っている「アトリウム」。
ここでは太陽光日射の取り入れ、蓄熱、換気、暖房経路などの
建築についての基本的性能が確保されるようなスペース。
同時に、通路的な空間としても機能しています。
まぁ、この部分がいちばん、おもしろい。
視覚的にも、入り口を入るとこの巨大アトリウムに動線が導かれていて、
「おお、すごい」と単純に感激する空間。
夏ももちろん、冬でも雪が降らない、しかも温熱環境が保持された
気持ちのいい「半戸外」的な空間が広がっているのです。
で、前述の通り、このスペースで暖房・冷房・換気という
基本的な建築の必要性能が担保されているのですね。
断面で見るとおり、大断面ダクトが機械によらない換気のための
空気の流れを作り出しています。
最頂部の排気窓から汚れた空気が排気される空気の経路が計算されているのですね。
なんと、冬に降る雪を地下に格納して保存し、
そこに空気を通すことで、自然エネルギーによる冷房も考えられています。
巨大なガラス空間なので、自然光の取り入れは基本的な役割。
すみずみまで自然光が入り込んできて、
もちろんさまざまな工夫の結果ですが、
この建物では勤務時間中の「電灯使用率」が16%に抑えられているそうです。
この率って、かなり驚異的な値。
太陽日射によるオーバーヒート対策として、
人力による遮光布での日射コントロールも行われています。
暖冷房は床面に回されたパイピングによる床暖房・冷房。
さらに、壁面には地元の素材であるブロックが蓄熱体として
大きな壁を構成しています。
太陽光を「蓄熱」する媒体として機能しているのです。
っていうことで、このアトリウム、ただものではありません(笑)。
建物の一番右側が、一般的な事務作業を行う「管理研究棟」。
ここでも、南側からの日射や採光、換気などで
色々面白い試みが行われていますが、
そういう部分については、また明日以降にいたします。
きのうは、カミさんが帯広でセミナーの司会、
わたしは息子の中学校入学式の立会、その後、地元工務店グループ
アース21の総会出席と、めまぐるしい一日でした。
まぁ、公私とも多忙、がんばらねば、というところ。
2008年04月08日
環境建築〜1

最近とみにサミット関連ということもあってか、
省エネとかエコロジー、環境負荷低減というようなことにスポットが当たっています。
そんななか、CASBEEという建築評価システムが注目されています。
これは建物の性能を総合的に評価しようとするモノサシ。
国交省が取り組んできたことなのですが、
従来は、大型建築だけの評価ということもあってか、
あまり一般に知られることはありませんでした。
しかし最近国交省でも、温暖地では戸建て住宅レベルの基準として導入しようと
各地で建築事業者向けのセミナーなどを開催しています。
CASBEE評価のできる専門知識を建築関連の人間に資格取得させようと考えているのです。
ちょうど、北海道での断熱知識についてのBIS資格と同様のやり方ですね。
評価軸自体は理解はできるのですが、
ディテールではいろいろ問題点もあるということです。
また、現状では北海道のような寒冷地向けには評価軸が固まっていないということ。
大型建築については、すでに評価が試みられていて、
実例集も1冊だけですが出版されています。
まぁ、なかなか広く普及していくというものではありませんね。
しかし、その紹介されている中に、
飛び抜けて高い数値を上げている建築として、
北海道旭川の「北総研」の建築が上げられています。
北総研は昨年夏にも行ってきたのですが、やはり建築技術的に見て大変奥行きが深く、
積雪寒冷という条件の中で、北海道が考えてきた省エネ、
現在でいえばCO2削減のための環境負荷を低減させるアイデアが
さまざまに実践されています。
大変興味深く、今後の戸建て住宅の性能が向かっていくべき方向性が
示唆的に実現しているといえます。
建築はなによりも人間活動のためのシェルターである、
という根源的な部分で、その設計思想に深く共感できるものもあります。
しかも、そういう目的性が明確であることが、潔い基準として機能して
デザインとしても、たいへん興味深いレベルを実現できていると思います。
こういう建築の方向性を名付けるネーミングはまだ固定していませんが、
やはり「環境建築」という表現が一番近いのではないかと思われます。
ちょっと、このあたり、興味が湧いてきているところなので、
書いていければいいな、と考えています。
まぁ、ブログですからメモ帳的だと考えて、
飛び飛びだと思いますが、気楽にやっていきますので、どうぞよろしく。
2008年04月07日
年平均気温

表は日本の代表的な都市の年平均気温表です。
住宅関係でも、あんまり普段は目にしない数値なんですが、
こういう常識の部分って、もうすこし目を向けていくべき部分ではないかと思います。
大まかにいって、東京以南の、というか以西のというべきか、
大部分の日本人の人口を占めている占めている地域は
ほぼ年平均気温が16度前後に落ち着いている。
それに対して、北海道・東北は仙台で4度、札幌で8度
年平均気温で寒冷な条件にある、といえます。
北海道の中で、札幌って比較的温暖な地域なので
北海道全体ではもうすこし平均は下がっていくのですが、
同様に東北も仙台は温暖地で、北東北は圧倒的に北海道に近い気温地帯。
これから、省エネルギーとか、地球温暖化とか
エネルギー消費のより少ない、住宅性能っていうものを考えていくとき、
こうした地域条件の違いをより明確に認識していく必要があると思います。
寒冷地帯で必須になる「住宅性能」要素が、
温暖地の省エネを考える際にも、基本ベースとして必要になってくる。
また、夏の室内環境を考える際にも、「断熱」はもっとも大切なファクター。
屋根面からの輻射熱を遮るためにも天井・屋根の断熱は
温暖地域ほど、もっと重厚に考えるべきなのではないかと思います。
こういう表を眺めていると、やはり地域ごとにその地域に似合った住宅、
ということに考えが向かうのが必然の流れ。
過去、多くの全国一律のハウスメーカーが
北海道に進出しながら、賢明にも早期に撤退したという事実を
もっと多くのユーザーのみなさんが理解されることが望ましいと思います。
同じことは、温暖地でも言えることで、
少し考えを深めていけば、それぞれの地域で気候風土は違うものなので、
いろいろなその地域に似合った家づくりがあると思うのです、
冬場での日射取得率の違いというのが一番のポイントだと思うのですが、
そのような論議というのがなかなか起こってこないのが現状。
それはやはり、基本的に家の中の環境をコントロールする
という考え方が根付いていないということを表現していると思います。
しかし、CO2削減というレベルで考えはじめると
夏場のエアコン使用による電力負荷は、地球環境を考えれば
かなり緊急を要するポイントではないかと思うのです。
まぁ、そういうことに限らず、
日本人として、自分たちの住んでいる国が
どのような四季変化の中にあるのか、
数量的な認識をもう少し、
頭に叩き込んでおくのは必要ではないかと思われます。
2008年04月04日
アプローチのデザイン

写真は青森市での住宅のようす。
久しぶりに、「アプローチ」らしい演出に出会った家でした。
玄関に至る半屋外的な、半内部的な、そのどちらでもなくて、
建物内部を予感させるような空間なのか、
建物から出てきて、振り返る余韻のような空間なのか、
あいまいな、空間ですね。
この家では、天井にきれいな羽目板をあしらっていて、
そこに雰囲気のある外部照明シェードも付けられています。
建物は3段ほどの段差があって、
その階段なども、印象的。
なにより、雪国であって、屋根が掛かった外部空間という意味で、
使う人間に、あるいは空間を利用する人間に、
「ここ、どんな風に使おうかな」と想像を膨らませてくれる気がします。
機能的に考えると、冬場は右側は雪が堆積していて、
奥に確保されている道路までの通路を除雪する出撃基地。
なので、雪かきの道具などが立てかけられて、
「さぁ、やるか」みたいな気持ちを起こさせてくれる場所。
そうアクティブでないときは、
雪かきの必要ない、安心感に満たされる場所。
冬場でも戸外で作業が必要なときに便利に使える場所。
もっと積極的には、たくさんの雪が道路側からの視線を遮ってくれているので、
日射しがいい日などには、椅子でも持ってきて
リラックスするのも、ちょっと寒くてもいいかもしれません。
夏になれば、右手側は美しく彩られた庭なので、
庭を眺めながら、気持ちのいい戸外の空気を胸一杯に楽しめる空間。
左側の居間の窓を開ければ、室内との交流もできる。
体は外の空気の中にいるけれど、
床壁天井が建築材料によって構成されているので、
何となく安心感が大きい、というような空間になりますね。
こういう場所に対する感覚で、
やっぱり雪国の人間って、同心するような部分が感じられます。
こういう空間の持つ豊かさって、南の方の人とは感じ方が違う。
もちろん、美しく整備された庭があるっていう条件が大きいわけですが、
こういうあいまいな中間領域、
大いにデザインし、工夫していきたいスペースだと思っています。
2008年03月30日
融雪溝

写真は今年度東北住宅大賞受賞の家。
秋田県湯沢市近郊に建つ古民家改修事例です。
周辺は秋田県でも有数の豪雪地帯。
毎年、建物が雪で長く覆われてしまう冬が暮らしを襲います。
ことしは小雪でしたが、とはいえ、周囲には雪に覆われた住宅も多かったとか。
そんななかで、この家では大きな傾斜屋根の落ちてくる
建物両端に、ごらんのような「融雪溝」を工夫してありました。
周辺では、屋根はどこの家でも雪を落としやすい切妻を採用。
道路に面した側は、雪を落とさないワケですが、
このように大屋根が降りてくる側は
どんどこと雪が屋根から供給されてきます。
それに対して、この地下水をくみ上げた融雪溝で雪を受け止め、
順次、融かしていくのですね。
手前側には下水への排水が工夫されていますので、
常時、少しずつ雪を梳かしていくようになっています。
話では聞いていましたが、同じ雪国人として、
大変親近感を感じるような光景です。
雪はもちろん氷点下の温度ですが、地下水はその土地の
年平均気温程度で安定している。
秋田だと、たぶん、10度以上だと思われます。
まぁ、低温水と呼べるような温度の水が地下から供給されるんですね。
あとは雪の降り方とのバランスの問題で、
経験的にこうした融雪溝の幅や、深さなどが工夫されるのでしょう。
今年の場合は、実にスムーズに雪が処理されていった、ということ。
こうした融雪の工夫は、利用土地が狭くなってきた都市部では
やはり少なくなってきていますね。
第一、都市部では「雪を落とす屋根」自体が少なくなってきていると思います。
北海道では無落雪屋根の需要が高く、
冬の間は、雪を載せたままにするほうが一般的。
そうしたなかで、わたしの事務所前の道路では
道路脇に「流雪溝」が公共によって設置されていて、
市民が自分たちで運んできた除雪の雪を
溝に投げ込んで融雪・流雪させています。
このような工夫も、日本旗側地帯で長い伝統を持っていたもの。
そうしたものがわたしたち、北海道に伝播してきたのですね。
そう考えたら、やっぱり秋田に北海道のマザーを感じる部分。
こういうの、ちょっと変な感覚なんですが、
同じ雪国で、しかもひとびとが色白。
そして雪国としての暮らしの経験値がある豊かさのレベルまで達している。
そんな思いがしてきます。
一度、秋田の女性3代を描いた絵を見たことがあります。
無心に遊ぶ少女、冬場の農作業をしながら気遣っている母。
その少女と会話しているような祖母、という構図。
背景は雪に閉ざされたようなくらい印象の室内。
というような情景でしたが、そんな光景が、
幼い頃に触れた母や、祖母の印象と深くシンクロして、
強い印象を抱いた次第。ある共感の思いが募ってきますね。
2008年03月26日
ごつい雪止め

ことしは冬の終わりに山形県米沢に行って参りました。
福島県会津はかなりの積雪地とは聞いておりましたが、
それ以上というのが、米沢ということ、実感いたしました。
写真は取材した住宅の平屋部分の屋根を見たところ。
ごらんのように、板金の合わせ目を大きく立ち上げています。
また、端部ではこれも頑丈な金属棒状のものがしっかり固定されています。
北海道は札幌もけっこうな豪雪地だと思うのですが、
って、年間積雪が6mを超すほど。
ですが、雪止めを付けるといっても、こんなごついことは少ない。
というよりも、そもそも雪止めを付けること自体少ない。
米沢の年間積雪を聞いたら、札幌とほぼ同水準。
では、この違いはなんだろうとなるのですが、
端的に言って、雪質の違いなんですね。
北海道の雪は、気温が低いこともあって
サラサラとした、言わば「乾いた軽い雪」。
それに対して、海からもやや離れた盆地的な気候の米沢は
重く湿った雪が、しんしんと降る感じのようなんですね。
そうした雪は重たい積雪荷重となって屋根に負担をかけ、
そして、端部では落雪時、事故を引き起こしやすいのですね。
基本的には屋根傾斜などを工夫し、
「雪を落とす」工夫を屋根の構造で考える。
この家でも、主要部では交差型の屋根を採用していて、冬の終わりながら、
雪はまったく屋根にありませんでした。
一方で、平屋部分で落とす敷地的余裕が確保できない場合には、
このように重厚な雪止めを工夫することになるのですね。
さらにこの写真の雪止めには、米沢特有の季節風を上手に活かした
風洞的な工夫も施されていて、
基本的には風で端部の雪が溜まらないような工夫もされていました。
ちょっとした風穴を方位を考えて工夫するということ。
設計施工の米住建設さんにこの点、興味を持ったので、
札幌での「雪庇対策」についてのご意見を伺ったのですが、
なかなか、ユニークなご意見をいただきました。
こんど、札幌の建築業者さんに実験を勧めてみたいなと思いました。
ということで、雪国同士のアイデア大会になった(笑)
米沢での取材時のひとこまでした。
2008年03月23日
集光のための高窓

写真は弘前市内の住宅。
ガルバリウムと木張りの外観が特徴的ですが、
高い位置にあるまるでぼんぼりのような窓が面白い。
夜になって室内に照明が付けられると
まるで、街路照明のようにも機能しそうで、街並みにエッセンスを加える。
外観というのは住宅を造るときに、
当然ですが、外界との関係性を表現するもの。
そんな意味でこの家を見ると、たぶん、こころがやすらぐ印象を持つ。
でも、どうしてこんな形になったのか、
ちょっとそのわけも知りたくなります。
で、この高窓のある方角は南側に面しているのですね。
南側というと、いちばん大きく開口させて
光を取り込んだり、太陽のあたたかさを取り込んだりしたい。
でも、この家では、こちら側に面して大きな団地が建てられているのです。
しかも、手前の道路もけっこうな通行があって、
大きく開口させて、というようにはできにくい。
まぁ、あまり考えられていないプランの場合、
こんな条件でも平気で大きな開口を開けているといういただけないケースもあるのですが、
やはり、きちんと設計者が考えているこの家では、そうはできない。
そこで、このように採光・集光を思い切って大きな開口を
採用しているけれど、でも視線的には外部から
内部の生活空間を遮断させているのですね。
内部に入ってみると、この高窓からさんさんと陽光が降り注いでいます。
しかも、暖房装置はこの家では1台のFFストーブなのですが、
それを内部では階段スペースにしているこの高窓スペースの下部、
土間空間に半分、入れて設置しているのです。
ですから、冬場にはこの3層分の大きな空間全体が、
あかるさと、暖かさの両方を満たすような空間になっているのです。
そう、「ひだまり」のような心地よさを持った空間になっているのですね。
そしてその場所に面してほぼすべての居室が配置されているので、
たいへん求心的な家の真ん中、的なスペースになっている。
あたたかくて「家庭的」と呼ぶにふさわしい雰囲気のある空間。
敷地の条件を色々に検討しながら、
ユニークなひとつのアイデアに集約させながら、
一気に色々な問題点を解決しようという、なかなかに力量のあるプラン。
寒冷地住宅としての基本もしっかり抑えているいい計画。
こういう家に出会えるのは、とても楽しいです。
2008年03月18日
北国人と中間領域

写真は青森市内の住宅の半内半外的な空間。
2階から出入りするための風除的な空間です。
北海道から青森に来ると、
同じ北国人としての共通する「思い」が伝わってくることが多い。
気候風土の条件が似ていて、
その中で暮らすときに似たようなことを考える部分があり、
そういうポイントに親近感を覚えると言うことなのでしょう。
この写真のような空間への思い、というのもそういうポイント。
冬場に雪にまみれた外部とは遮断され、
でいながら、外部空間としての感覚が味わえるような場所に
どうも、強い共感を覚えてしまうのですね。
そういう感覚を体験できるような場所を家を建てるときに計画したい、
という部分。
もちろん、雪の積もらない地域でも、こういう空間はあり得るでしょうが、
やはり北国人のように、切実な感覚ではないと思います。
写真のお宅はある建築家の自邸なので、
こういう空間でもきちんとデザインしたい、ということで、
屋根に使う材料でちょっとユニークな材料を使用していました。
ポリカーボネートではあるのですが、
細く切断されていて、ちょうど床板のフローリングのように
細長い材料になっているのです。
それをツートンカラーにして、面白い屋根空間を作り出していました。
建築家らしく、ディテールも面白い納め方に挑戦していて、
まぁ、残念ながら、防水がうまくいっていませんでした。
でも、もともとがそのような半内半外的な空間なので、
こういう結果になっても、そう大きな問題はないでしょうし、
やり直しは十分に利くでしょう。
こういう空間に屋根に雪が乗っかり、
なお、しんしんと雪が積もり続けるような時期に
こういう場所から、外部を感覚しながら見続けるような
そういう場面を想像すると、この土地での暮らしようが伝わってくる部分があります。
場合によっては、雪かきへの出撃拠点にもなる気がします。
サンルーム的に緑を楽しむような冬の空間にもなりますね。
そんな空間への思いが、同じような境遇に置かれているものとして、
共感を覚えさせられるということなのだと思います。
このあたり、温暖地のみなさんにはあんまり理解できない部分かも知れませんね。、
いかが感じられるでしょうか?
2008年03月14日
薄型テレビのアーム設置

あるようでなかったテレビの設置方法を発見。
って、そんな大袈裟なものではないんですが、
いや、大袈裟なものか、
昨日青森市内の住宅で発見した工夫が写真の状態のものです。
この家は高齢のお母さんの「長生きのための家」。
すでに80を超えたお母さんのために
ひとりでも元気に生きていくために工夫されている住宅なんです。
母屋に息子夫婦が住んでいて、その離れ的な位置に
母屋からつなげて新築した家です。
そのコンセプトが、なんとも素晴らしい住宅ですね。
で、敷地内には素晴らしい桜の木が3本残されていまして、
それにも手厚く長生きできるように木のお医者さんによる処置が施されていました。
弘前のお城の桜は、そうした木のお医者さんによって、
長年管理されてきて、みごとに咲き誇っているのだそうです。
桜は切ってはいけない、という言い伝えに逆らって
むしろ積極的に剪定作業を行って、桜の元気を引き出しているんだそうです。
まぁ、ちょっと横道にそれましたが(笑)
こういう元気に長生きしようというコンセプト、
激しく揺さぶられましたね。
で、薄型テレビなんですが、
壁に取り付けられていて、ごらんのようなアームが装置されています。
このようにすることで、結構自由に見る位置を変えられるようになっています。
テレビって、大型になってきているけれど、
取材で見ていると、相当大きな壁面をほぼ専有していて、
インテリア的にはまったく主役というか、
どんとした存在感を示しているのが一般的。
このように人間の側に自由に合わせようという設置コンセプトは
あんまり見ることがありません。
このように仕掛けることで、薄型というコンセプトが生きてくると思います。
どうせ、家の中では決定的な存在になるのですから、
このように建築のプロと相談しながら、
「納め方」を考えるべき家電製品の最たるものではないでしょうか。
壁に持たせるために荷重を十分に考慮する必要があり、
部材の検討も必要と思いますが、
毎日の暮らしの側に大きな自由度を与える設計だなぁ、と感心させられた次第です。
テレビの入れ替えのときにわが家でもこのアイデア
拝借したいなぁと、思えた事例でした。
みなさんもいかがでしょうか?
2008年03月11日
木樽の風呂

岩手県滝沢村の住宅見学時に発見した風呂桶。
「桶」と書くと手で持てるようなサイズを考えてしまうけれど、
こういう大型のものもやっぱり、桶なんですね。
風呂といえば、現代ではほとんどがFRP素材のユニットバスが主流。
で、そのことに疑問を呈するひともいたけれど、
圧倒的な施工性の良さから、いまや顧みられることもなくなったような気がする。
いわゆる建築家が関与する住宅でも、
こだわりなくユニットバスが施工されているのが多い。
このあたり、建築家の方たちも違いがあるようですね。
絶対にユニットバスの快適性を認めない、という方も多い。
北海道での家づくりでいちばん問題になったのが、
お風呂の問題だったのですね。
それまで一般的だった現場施工のタイル風呂では、
防水性能とか、寒さの問題への対処など、
ほぼ不可能だったので、温暖地ではそれまでホテルくらいしか需要がなかった
工場生産のユニットバスが、普及したんですね。
北海道が生んだヒット住宅設備ということで、
全国に販路を広げたメーカーもありました。
まぁ、そういう歴史的な経緯から話しても、
たぶん、温暖地の設計者はピンとこないでしょうから、
説明も面倒になったのですが、コストと性能をバランス取れば、
ユニットバスって言う選択は無理もないし、合理的と言える。
それをあえて、造作風呂にしようとするのは、
逆に建物に対する熱環境的な自信がある場合に、チャレンジするのですね。
そういう設備にするためには、水面下で努力が相当に必要。
と言う次第ですが、
にしてもこの木のお風呂は目に心地よい。
こういう風呂で毎日汗を流せる幸せを訴えかけている気がします。
昔は家に風呂があるなんていうのは、チョー贅沢なんですが、
考えてみれば色々変遷がありましたね。
はじめて住まいに風呂が入ったのは、いわゆる五右衛門風呂でした。
いま、わが家ではタイル風呂を施工して、
バスタブ本体はFRP製ですね。
こういう風呂にしたのは、ブロック造で性能にも安心があったから。
でもやっぱり、こういう木の風呂にも惹かれます、
いいなぁ・・・。
2008年03月10日
半地下埋設暖房

一昨年だったか、東北の建築家グループのみなさんに
北海道の住宅ツアーを計画して、
断熱気密、性能向上の必要性を訴求する試みをしました。
そのときに参加してくれた佐藤忠幸さんの設計住宅が
最終審査にエントリーして、
見に行くことができました。
この写真は、その家の暖房方式。
基礎断熱+土間のピット空間にFF式ストーブを2台設置して、
そこから温風を吹き出させる暖房方式を採用していました。
以前からは考えられない北方型住宅の仕様を採用していて、
実際にも2層吹き抜けの居間大空間の床・壁・天井とも温度ムラのない
均一な温熱環境が実現していました。
「素晴らしいですね」と声を掛けると、
やはり、あのときのツアー以来、積極的に北海道の温熱環境技術を採用して、
ユーザーからも「暖かくて心地いい」と言われているそうです。
なにより、自信を持ってデザインできることが、
仕事に大いにプラスになっているに違いないと感じました。
住宅の評価自体は色々な考え方があるので、
この住宅は奨励賞ということになったわけですが、
そういった経緯を知っている当方としては、やや格別の思い。
このような住宅性能の建物が建築家のデザインによって増えていくことは、
地域の住宅の質を高めるに違いないと思うのです。
デザインはかっこいいけど、寒い家というのでは
建ててくれたユーザーに苦痛を強いることになる。
そういう技術が建築の技術世界にないのなら、やむを得ないかも知れないけれど、
すでに広く社会に存在しているのに、建築家たちが知らないで、
そういう遅れた環境の建物をユーザーに提供しているのは、
基本的に、やはりまずいだろうと思う。
環境の世紀と言われ、サスティナビリティが声高に言われている中で、
建築の専門家として、どうなのでしょうか?
そういう意味で、変わりつつある現実を見られた感じがして、
うれしい思いをした次第です。
そして、建築の世界でビッグネームといわれる山下和正さんの自邸も
今回のコンテストに応募があったのですが、
その建物も、環境建築の方向を指向した、高断熱高気密仕様でした。
やはり確実に時代は変化を見せつつある。
絶対に「環境建築デザイン」というコンセプトこそ、
次の時代にもっとも大切な考え方になると思います。
2008年03月09日
雨水利用

ここんところ、あちこちで写真のような雨水利用を見ます。
家の端っこくらいに雨樋からの水を蓄える木桶。
って、だいたいが「ニッカ」のウィスキー樽なんですが、
これってなにか、符牒なのか
なぜ、サントリーではなくニッカなのか、調べてみたくなった(笑)。
で、こういう雨水利用って、市町村の自治体によって
利用範囲が限られているのが実態。
大体大都市では、こういう「中水」は下水に入れてはいけないようです。
ユーザー側から考えればこういう雨水をトイレの排水などに
利用したら、年間コストも下がるし、
上水の無駄の抑制にもつながる、と思えるのですが、
想像してみれば「水資源管理上」面倒なことを起こしたくない、
というようなお役所心理なのかなぁ、と推測してしまいますね。
でも、一方で上水には大量の塩素などを入れて
殺菌しているのですよね。
そういう部分ではどうなるのか、制度の矛盾のようなことを感じます。
多くのユーザーは、こういう雨水利用に期待感はある。
省エネではいろいろな補助政策もできているけれど、
そういうことばかりではなく、規制撤廃によって進む環境政策もある。
まぁ、日本国家って人口も大きい大国で、
法治国家なので、なかなか小回りの利く意志決定はできにくい。
それと、英語などの他言語と違って
限定性のあいまいさが残る言語なので、
「官僚」の恣意的な決定範囲が大きいのではないか、と思われます。
2バイト文字圏では、「法治」の時間経過が長くなると、
いろいろと不都合なことが大きくなってくるのではないかと危惧します。
常識的に大丈夫、というようなことについては、
常態的に法律を見直し続ける、ということが不可欠なのではないでしょうか?
この写真のお宅では、この雨水、
庭に引き込んで、「ビオトープ」の池を造作し、周囲に自然系の再生を
仕掛けておりました。
まだ1年なので、定かな効果のほどは見えておりませんでしたが、
そのように指向して、環境を考えはじめている人は多い。
そうした動きに足かせにならないような「法治」を心がけていただきたいと、
念願する次第。
ただし、自治体によっては中水利用可能というケースもあるそうです。
いよいよ、「裁量範囲」のことがらのようですね。
2008年03月08日
燃料電池、初取材

きのうはようやく終わった東北住宅大賞審査に続いて
さっそく山形県で取材が2件。
そのどちらも面白いものでしたが、
ひとつは写真の「燃料電池」を使った住宅取材。
ガソリンスタンドを経営している施主さんのご自宅で、
そういうことから燃料電池を実体験しながら、
経験値を上げようということからチャレンジしているのだそうです。
こういう設備系のお話しは、実際に人の話として聞いてから、
それから詳しい紹介パンフレットなどを見ることにしています。
はじめに実体験があってからのほうが推定が付きやすくなるし、
先入観が少なくていい。
このシステムは、石油から水素を取り出して発電に利用する本体(左)と、
その過程で発生する熱を冷却させるための水を蓄えるタンク(右)。
実用的には、発電量は1kw。
まぁ、ほぼ家庭一軒分には見合った容量になるそうです。
一方で冷却水のタンクの方は、熱を奪ったあと、お湯になるわけで、
それを現状では60度の温水にして200リッター貯湯しているそうです。
こちらも一般的な家庭一軒分に相当するレベル。
いまのところ、暖房については使用できていません。
特徴としては、石油という化石燃料を使いながら、
燃焼させるわけではないので、CO2発生がない、ということ。
原材料としてはこのほかにガスも考えられるものです。
現状ではこの装置と、電力会社からの買電の組み合わせなっているそうです。
また、暖房についてはそこまでのエネルギーは供給できないので、
現状では別に深夜電力を5時間使った大型2t超の温水器の
お湯をセントラルヒーティングで回す方式を採用しています。
データとしては、1年間の供用で夏冬平均して電気料が20000円程度。
ただし、家は床面積の大きなお宅で通常の2倍近い80坪ほどのお宅。
ふつうのサイズの住宅ならば、6掛け、7掛けで考えた方がいいかもしれません。
エネルギー戦争としては、
電気会社側のヒートポンプと、化石燃料系の燃料電池、
というのが次世代エネルギーの通り相場なんですが、
これまでの新技術の行く末を見ていると、
両方とも順調にいくものかどうか、
そうは簡単には進んでいかないのではないかと思います。
ではありますが、CO2削減という大目的はまさに正論なので、
こうした動向はチェックし続けていく必要がありますね。
また、情報が出てくれば、触れていきたいと思います。
2008年03月04日
仙台のホテル室内環境研究

さて、出張に来ていまして、
仙台のホテルに宿泊しています。
今回の出張は、本日からの東北住宅大賞現地審査が大きな目的ですので、
札幌から赤外線放射温度計を持参してきました。
これは、壁など各部位の表面温度を離れた位置から測定するもの。
で、今朝、いごこちがあまりよくないけれど、
1月などと比べたらまぁ、ましだなと思われた室内環境でしたが、
測定してみた次第です。
暖房は温風が吹き出してくるエアコンです。
建物はやや古いけれど、一般的なRC造建築の6階。
外気温は5時だとマイナス1度くらいでしょうか?寒いけれど、冬真っ盛りからは脱したところ。
エアコンの設定温度は写真上の通り、21度の設定にして寝ていました。
やや不快感があっての目覚めでしたが、
最悪というほどの冷却感ではありません。
しかし、北海道の家のように、体が内部から暖かいというよりは、
やはり体感的には皮膚表面しか暖かくない、という感じ。
設定温度は、これ以上高くすると寝苦しいので、この程度にしたのです。
で、温風吹き出しなので、乾燥感がきつくて
お風呂にお湯を張って、ドアを開け放して寝ていました。
測定の結果は下の3枚の写真です。
左から、壁面(天井もほぼ同じでした)・床面・窓面です。
まず、上下温度差が3度あります。
というか、足下が寒いということが見て取れます。
測定後、温度設定を上げて27度にしたのですが、
そうすると、この上下温度差が拡大し、5度を上回りました。
頭寒足熱、という健康法則がありますが、
まったく逆の結果ですね。
こういう温度差環境では、温度設定には意味がなくなる。
暖かくなりたいけれど、頭がぼーっとするばかりにしかならない。
まぁ、それはまだいいとして、ひどいのはやはり窓ですね。
お願いですから、アルミサッシはやめてください。
エアコンで暖房する一方で、冷ストーブが運転し続けているのと同じです。
窓面から、ずっと室内の温度を奪い続けているのです。
体感的にずっと冷輻射を感じ続けるのですね。
というような結果が得られたわけですが、
けっこう厳しい温度差であること、ご理解いただけたでしょうか?
こういう温度ムラのある環境はけっして「快適・健康」にはならない。
じゃぁ、なんでそんなホテルを選ぶんだ、ということになりますが、
どこのホテルでも似たり寄ったりなんですよ。
高いお金を出してもそこは関係がない。
また賃貸住宅というのも、ほとんどがこういう環境なんです、当地は。
まず、ほとんど選択の余地はないに等しいと言えます。
エトランゼにとっての冬場の仙台の環境って、こうなんです。
こういう事実、ぜひ、知って欲しいものだと思いますね。
2008年03月03日
LCCO2の考え方

地球温暖化問題への取り組みが、この7月の
洞爺湖サミットへ向けて、活発になってきました。
大変いいことだと思います。
国レベルでは、多くの取り組みが成されていますが、
そのなかでも具体的にCO2削減への指標のようなものの一般開示が
求められてきていると思います。
そんな考えを持ちながら、北方建築総合研究所(北総研)がまとめた冊子を見ていて、
わかりやすくまとめられていたのが、写真のグラフです。
スキャナーのない環境なので、デジカメで撮影しました。
すこし見にくいかも知れませんが、縦軸にCO2排出量。
横軸に建築の経年数を表しているものです。
札幌市内に建てられている125平米程度、約38坪の住宅で、
住宅性能としては「新省エネ」程度と、やや低レベルの住宅性能ではあります。
熱損失係数では、確か1.9程度だったと思います。
まぁ、比較的一般的に建てられている住宅に近い性能と言えます。
LCCO2とは、つまりその建築物が建てられ、使用され、やがて廃棄されるまでの
トータルなCO2の排出量を推定するもの。
この建物の場合で、50年経って廃棄されるまでに排出するCO2は約100t。
このうち、建築時には大体10t程度で、使用中が約8割を占めています。
なんと罪深いことをわれわれの「快適性」はしているのか、
という原理主義はこの場合、置いておいて、
この8割をいかに減らしていけるのか、が最大の問題。
札幌の場合は、そのなかでも「暖房用エネルギー」が6割を占めています。
ようするに、全体のCO2の半分を札幌では暖房として使う計算。
この部分が、もし半減されれば、トータルのCO2は25%も削減されるのですね。
したがって、初期投資段階で省エネ部分にお金を配分することは、
たいへん有益な方法と言えるわけです。
というふうに考えれば、まさに断熱気密は待ったなし。
より高性能な住宅づくりが最大の効果を発揮するのですね。
またそのように考えてくれば、残りの生活上のCO2源である
給湯・照明・調理、という部分にも工夫が生まれてくるでしょう。
幸い、温暖地ではエコキュートが大いに普及してきているので、
寒冷地用の性能向上が期待されるところですし、
それをにらみながら、自然エネルギーの利用を一層進めたいところ。
照明などでも、LEDなどの次世代型の研究がもっと進んで欲しいですね。
だんだん、時代はこういう工夫の時代に進んでいくと思いますし、
それを後押しする声の広がりも大切です。
にしてもこの冊子、たいへん有益で勉強になります。
素晴らしい仕事に感謝したいと思います。
2008年02月23日
床蓄熱の効果

昨日紹介したQ1.0レベルの住宅の居間の窓辺、床には
ごらんのような「床蓄熱」が仕組まれています。
この家では暖房はヒートポンプが採用されています。
ヒートポンプは北海道のような寒冷地では、なかなか効率よくは熱回収ができない。
その厳しい条件下で、それに付加するように
太陽光日射熱をこのように取得して利用しようという考えで試みられているのです。
北海道電力管内では、電力メニューが多様化しており、
このように実験的にヒートポンプを使う場合でもメリットがあるのですが、
やはり、基本となる住宅性能が高いことが絶対条件。
そのうえで、いわば、昼間に蓄熱して、夜間に放熱するこういう自然エネルギーも
活用しようという作戦なんですね。
その意味で、窓も床レベルまでの大きな窓で、
冷輻射での熱損失よりも、蓄熱を優先させている考え方で、
全体として、実にうまく調和が取れている事例です。
土間や蓄熱床などへヒートポンプ熱源からの温水循環が供給されていますが
さわってみると、それほどの高温ではありません。
流している温水の温度は30数度というレベル。
それでいて、室内は20度をやや超えるほどの一定感で満たされています。
太陽エネルギー取得量がどれほどであるか、
数値的に把握することは難しいとは思うのですが、
たぶん、相当なレベルで寄与しているものと推測できます。
岐阜県恵那市で、このような蓄熱床を実験的に取り入れている事例もありましたが、
今後、ひとつの有力な暖房エネルギー取得方法として、
研究が進んでいって欲しい分野だと思います。
2008年02月22日
東北からの住宅見学

この時期になると、毎年、東北から
北海道への住宅見学ツアーが来られます。
やはり冬真っ盛りの北海道での住宅性能を確かめたいという
そういう見学目的ですね。
北海道の住宅業界人は、いわゆる性能のことでは本州地域に行くことは少ない。
そうした目的の場合には、やはり北米・北欧に見に行く。
逆に言うと、世界の寒冷地技術を北海道がまず消化吸収して
実際に日本人の暮らしにフィットさせてみてから
それから本州で、活かせる部分を取り入れていく、という流れ。
大体がそういう位置関係にあるので、北海道は元気を出さなければならないですね。
寒いからといって縮こまるのではなく、
寒さを産業的に活かす努力が必要なのだと言われている気がします。
そんなお客様を迎えるようなことが多くなってきて、
他の日本からの目で北海道を見てみると、
そういう違いもやっぱり面白いものがあります。
きのうは山形県からのお客様をお迎えしたのですが、
何人かの方たちから、「和室、目にしませんね」というお言葉。
聞いてみると、山形ではまず、2間3間と和室が続く設計プランが
ユーザー側からの要望条件にふつう、入ってくる。
そういうポイントを基本にしながらプランを組み上げていくことになる。
それに対して、北海道では一般的には、
客間の機能を果たす畳の1部屋、という範囲での注文。
それすらなくなって、居間に隣接しての「ゴロッと横になる」スペースとしての和室コーナー。
というようなケースが一般的にも多い。
まったくない、というのもごくふつうにある。
まぁ合理精神の方が強くて、和室という生活様式的部分はあっさり乗り越えちゃう。
そういった意味では、日本の中で一番インターナショナルな暮らしよう。
とはいっても、合理性重視の現代生活ということで、
欧米的なスタイル、というものとも少し違う。
しかし、インターナショナルであることは間違いないので
たぶん、外国から来るとわかりやすいような部分は強く感じるのではないでしょうか?
そんな自己認識を確認させられることも多いと言えますね。
最近はとくに省エネという部分で、
暖房形式についての変化の行方を見定めたいという部分も強くなってきた。
写真は空気熱源のヒートポンプ利用のお宅。
暖房も給湯もこの外部本体でまかなっているのですね。
もちろん、そのためには建物の性能が絶対条件で、
この家は断熱厚みが200mmのグラスウール+ロックウールで、
熱損失係数(Q値)が0.87という高性能レベル。
窓もすべてが3重ガラス入りの木製サッシ。
そうした仕様で、外気温マイナスのなかで実にマイルドな暖かさという
そういった部分を体感していっていただくわけですね。
ということで、わが社のオープンスペースでのムービー上映、
写真のプレゼンなど、いろいろな仕掛けも準備。
慣れてはいるのですが、なにせ、14人という大勢のみなさん。
なかなか、満足にはお迎えできないのですが、
いろいろな体験をしていって欲しいものと思っております。
2008年02月21日
新住協、省エネ表彰を受賞

きのう、経済産業省がやっている「省エネルギー月間」という取り組みの
北海道における表彰式があり、
このブログでも取り上げることが多い、新住協が受賞しました。
経済産業省などのHPを見ると、2月は省エネ月間なのだそうで、
まぁ、冬真っ盛りの中で省エネを喚起しようという作戦と見受けられました。
住宅関係としては、新住協が受賞したわけですが、
これまでの20年にわたる取り組みは省エネ最先端の活動そのものだったわけで、
衆目のまさに一致した受賞だったと言えると思います。
こういうお役所の考えることというのは面白いもので、
日本の行政というものの、あるいは権力の喜ぶことというのが見えますね。
というのは、同時に受賞していたこどもたちの省エネポスターの表彰。
かわいい中学生の女の子が2名、受賞していましたが、
こういう表彰を持ってくるというあたり、
人当たりの柔らかさを狙っての作戦。
思わずこちらも引き込まれて、ニッコリさせられるので、
まぁ、わかりやすいお役人センスの勝ちとも言えますね(笑)。
セレモニー自体は、まさに「お上が指し下される」という形式を墨守しています。
権力機構の番人としての官僚の北海道におけるトップが
まさに日本の権力を代表して、庶民を顕彰するというかたち。
こちらも年を取ってきているので、
むやみに反権力的な姿勢を取る必要もないと思うのですが、
もうちょっと、フランクに「よくやったね、がんばった」みたいな
顕彰形式は考えられないのでしょうか。
権力の丸出し、みたいなのではなく、
無色透明性をもっと際だたせるというようにするのはいかがなのでしょう。
っていうような、ちょっと意地悪い感想を抱いてもしまったのですが、
しかし、受賞自体はまさに正鵠を得ているまっとうなものだと思います。
正直に、喜ぶべきことであるのは間違いないと思う次第。
とくに新住協が受賞したというのは、
北海道にとって、確かに意義深いものがあると思います。
積雪寒冷という条件の中で、多くの先人たちが築いてきた苦闘が
この受賞によって、認められたという側面があると思います。
受賞理由は簡潔そのものでしたが、
まさにその通りで、シンプルに北海道での暮らしを向上させ、
省エネにつながる住宅技術開発に地道に取り組んできたことそのものに
単純明快に顕彰が与えられた、ということですね。
環境の世紀の大きなうねりの中に今日の社会はあると思います。
毎日の暮らしの中でエコロジーを考え、省エネを実践し、
CO2削減に大きな関心を持つ、ということのためには
やっぱりその基本に、住宅そのものの性能向上のテーマがあるといえます。
住宅建築に関わるすべてのものに
大きな方向性を与えられた受賞だと、喜びたいと思います。
2008年02月17日
暖房設備計画

宮城県での住宅リフォーム取材時の写真。
このお宅、平屋で60坪近いという面積なので、
暖房の選択は難しい。
断熱工事はそこそこしっかりできても、暖房は全館暖房ではコストが問題。
2階建てだと、工夫もできるけれど、平屋では
たとえば蓄熱暖房を考えたら台数が増える。コストアップ。
ということから、このお宅では写真の温水ルームヒーターを選択。
このシステムでは、5台までこのヒーターを設置できるんですね。
しかし、部屋数7LDKで、設置が確認できたのは3台、
まぁ、コストを考えても、どうしても非暖房室ができる。
伺ったときには、家族が暖房のある部屋で集まって過ごされていました。
伺ってすぐには気付かなかったのですが、
下の男の子どもさんは、ぴったりこのヒーターにくっついている。
ヒーターは移動しますが、移動にともなってセットで動いている(笑)。
撮影の関係で部屋を動いていただいたときには
移動先の部屋でそこのヒーターにぴったりくっついている。
なんともわかりやすい「快適指向」ぶりでした(笑)。
で、どうしてもそこも撮影のため、移動せざるを得なくなったら、
今度は屋外で壁に向かってキャッチボールを始めていて、
ついに体を動かして温まることにしていました。
さすが男の子、やることがわかりやすいなと変に関心もいたしました。
確かに理にかなっていると思いますね。
ということなんですが、
平屋の古い家って、確かにリフォームばかりでなく、
全館暖房って言う意味からは、暖房設計が難しい。
たぶん、居間や食堂というLD空間を家の真ん中に計画して、
その他の居室を囲むように配置することで、
暖房熱源の広がりを工夫する、ということになるでしょうが、
既存の条件がそういう工夫を受け入れられない場合、
なかなかに難しいだろうな、と理解できますね。
この家の場合、住みながらの工事で、
半分を工事しながら、半分で住んでもらうということだったので、
間取り的にも難しかったようです。
このあたり、なかなか難しいプランニングですね。
とくに既存建物の制約のあるリフォームでは
どのように考えるべきか、
設計という観点から見たら、暖房設備計画というのは本当に難しい。
しかし、子どもさんのライフスタイル(笑)は、
まことに正直に「快適性」を表しているわけで、
そういう方向で、設計プランニングは
考えられていかなければならないのは自明だと思いますね。
2008年02月16日
北海道建築指導課の住宅への取り組み

おととい、2007年度最後の道庁の諮問会議が終了。
3年間続けてきた「中古住宅流通促進」についての取り組みでした。
何回か、このブログでも触れてきましたが、
この取り組みはたいへん実践的で、
中古住宅の流通と性能向上・再生型リフォームの推進を両にらみで図る
まさに画期的な取り組みだったと思います。
とくに実際の「社会実験」として、中古住宅を業者さんが購入して
付加価値を付けて再生住宅として実際に販売まで手がけるという現実を切り開きました。
性能向上を担保するために、「住宅検査人」という概念を作り出し、
実際にその業務をマニュアル化したりもしました。
最終回の審議会では、取り組みの総括・今後の課題、
4月以降の新年度の取り組みの方向性などが論議されました。
こうした地方自治体の取り組みって、
大体が3年間の時間を区切って予算化し、それ以降は
民間の動きにゆだねるような方向で終了するというケースが多いのです。
しかし、今回の取り組みでは、
ちょうど国交省の推進する200年住宅ビジョン事業への橋渡しが
うまくいきそうと言うことで、継続しての取り組みが可能になりそうだと言うことでした。
税金の使い道について、とかくの議論のあるところですが、
今回の取り組みについては、本当にその実行力に敬服しました。
北海道は、その前身としての北海道開拓使の時代から、
北方圏での居住環境を研究するという実践的な取り組みを行ってきました。
全国の行政機関の中でもまったく特異な動きだったと思います。
そういう流れの中で、知事さんが日本建築学会賞を受賞するようなことにもなったのですね。
長い年月の寒冷地での家づくりについての地道な活動は素晴らしい。
国交省などがいろいろな国としての住宅性能基準を作るときに
こういった北海道の活動が大きな経験値の下敷きになったことは疑いようがありません。
ちょうど、ストック型の住宅施策に国全体としてもシフトチェンジの時期ですが、
今回の3年間の取り組みは、まことに意義深かったと思います。
既存住宅をいかにして、次世代に渡る優良な建築資産に転化していくのか、
目的はまさに、時代の最先端を切り開くものだったと思います。
ぜひ2008年度においても、継続的に事業が育っていって貰いたいものと念願します。
なんですが、
しかし、こういう意義深いものだったせいか、
毎回の審議会拘束時間がたいへん長く、また論議の盛り上がりが熱気がありまして、
なんというか、わたしたち審議委員はすごく仕事させられた。
まぁ、たいへんに人使いの荒い取り組みだったと思います(笑)。
もちろん、いい仕事を協働できた、という思いが強く、
いい意味で言っているワケなんですが(笑)。
今後も、ぜひ新しいマーケットを生み出すんだ、という気概で
盛り上げていきたいと思っている次第です。
写真は、北海道の住宅への取り組みを象徴する「北総研」エントランスのプレート。
2008年02月08日
日射の取り込みと遮蔽

先週の新住協Q1.0住宅見学会から。
勇和建設さんの事例の写真です。
「日だまりの家」というコンセプトらしく、
ほぼ真南に面して、玄関や居間などの大開口が開かれている住宅です。
それも右側写真のように、居間は吹き抜けていて、
ダイナミックな空間が広がっています。
そうでありながら、室内の上下温度差は、測定している温度計を確認してみると、
なんと、1度にも満たないレベルになっています。
窓は樹脂サッシを使用していて、
開閉などもきわめて容易な仕様。
引き違いではないのですが、床までの大きな建具で、しかも
1階、2階とも連続して大きく開口しているのです。
家全体として、気密断熱がしっかりしているので、
空気の流動感も感じられなくて、
まさに自然な、春のひだまり、という雰囲気。
で、冬はこのように、費用のかからないエネルギー・太陽日射を
たっぷりと室内に取り込んで暖房エネルギーを削減させ、
こんどは夏になると、右側の写真のように2階のデッキテラスが
1階居間に対して、庇の効果をもたらしてくれて、
日射を遮ってくれます。
たいへん、単純な「パッシブソーラー」が建築装置的なもので実現できる。
もちろん、ディテールでは窓の性能の検討や、
冬のあいだの窓面からの冷輻射対策が肝要になってきます。
ここでは、1〜2階のあいだの梁や、1階床面下に冷輻射予防の
暖房がさりげないデザインで装置されています。
また、大きな窓面からの夜の熱損失を抑えるために
高性能な断熱効果の高い「ハニカムサーモスクリーン」が装置されています。
さらに他の部位からの熱損失を全体としてバランス良くするように
断熱気密を図っていることは当然。
そうした建物としての性能の上に立って、
暖房でも、ヒートポンプの低温水タイプで十分なあたたかさが確保されています。
ディテールに色々な工夫が見られる住宅ですね。
なんか、ここんとこ、読者の方からのコメントが増えている感じ。
って、わたし、あんまりコメントを返したりしていませんでしたが、
心を入れ替えて、なるべくコメント返すようにしたいと思いますので、
ぜひ、いろいろなご意見、聞かせてください。お願いします。ではでは。
2008年02月04日
木製カーポート

写真は土曜日に行ってきた勇和建設さんのQ1.0住宅見学現場。
そちらの本体の方は、また改めて触れたいと思いますが、
このカーポート、目が行きました。
まぁ、どうってことはないカーポートなんですが、
わが家では、最近灯油が高騰しているので、
これまでロードヒーティングしていた駐車スペース、
自分で一生懸命除雪することになっているのです。
駐車スペース+家の前の除雪車が置いていく堅い雪。
これを道路を挟んだ反対側の中学校グランドとの緩衝地帯に
堆雪させるべく雪かきをするのですが、
家の他にも、事務所の雪処理もしなければならず、
やはりこれからのことを考えると、やや辛いものがある。
「これ、どれくらいでできたの?」
「うーん、100万円くらいかな」
っていうような次第だったわけです。
路面はコンクリートを打っている。
基礎は簡易に束石を建てているだけ。ですが、
けっこう建てるだけって言っても大変だそうです。
大体が基礎屋さんが工事するのですが、
最近は束石を建てる、というような工事は少ないので、
職人さんも慣れていないので、ふつうに基礎を作る方がやさしいということ。
あとはカラマツ材で、建てていって屋根板金。さすがに屋根工事は
専門家に頼まないと難しいのですが、
以上の、基礎と屋根、それ以外は、まぁDIYでも全然可能。
車1台分と、雨の当たらないアプローチができて、
しかもたっぷりの収納量の物置が出来上がる。
すべて引き戸なので、圧倒的に使いやすい。
タイヤ交換なんて、まさにそのために作りました、ってくらいぴったり。
よく見ると、屋根の高低差があります。
カーポート部分と、収納の部分。
これは設計の畠中秀幸さんのアイデアだそうで、
こうすることで、収納手前部分にも光がさしこんで
大変使い勝手が向上したんだそうです。
ふむ、なるほど、と感心させられました。
北国の冬の暮らしには、
こういう屋外装置がやっぱり不可欠。
それに前述のように、ロードヒーティングを諦めたひとにとっても魅力的。
雪が融けたら、こういう需要が伸びるかも知れませんね。
うーん、なかなかいいなぁ。
2008年01月31日
屋根の雪処理問題

屋根の雪問題って、なかなか決定打が出ない。
写真はわが社の南側角の様子です。
ここだけ、長さ1mほどの氷柱が発生しています。
まぁ、これ以上は大きくならない感じです。
この氷柱、発生のメカニズムは
これまでのものとはまったく異なっています。
これまでのものは、断熱不足で、屋根面に温度上昇効果をもたらし、
融雪水が軒先から垂れ落ちる過程で気温が低い状態の中で氷結する。
というのが基本的な発生プロセス。
こういう原因に対する対策はもちろん、できているわけです。
じゃ、どうしてできたのか?
この事務所建物は、無落雪で屋根はほとんどフラット。
水勾配を200:1という緩やかさにしています。
で、この氷柱方向に屋根面の水は落ちてきます。
で、このような無落雪屋根で、最近の問題は「雪庇」問題。
確か、昨年か一昨年にもブログで触れたはずなのですが、
大雪と強い季節風が一体となって来る場合、
札幌の西部地域では、主に冬期間は北西側からの積雪が来ます。
そうすると、建物の南側角に向かって、雪の「庇」が成長するようになる。
一方で、断熱も良くなっているので、屋根雪の融雪はほぼない。
そういう条件では、これがどんどん成長して、大きくなり、
最大では、2mくらいも、建物からせり出してくる場合がある。
当然、雪の重みで耐えられなくなって落ちることがある。
主に、南東側というのは北海道では日射取得に有利な方位なので
人が出入りしたり、大きな開口を開けている。
そういう危険性があるのですね。
一昨年だったと思いますが、かなりの雪庇になったので、
そういう危険性を避けるにはどうしたらいいか、
考えた結果、これは「雪庇が成長する前に屋根融雪させて落とすしかない」と
結論づけ、やむなく電気式の融雪装置を南東側につけたのです。
昨年冬は、せっかくつけたのですが、大きな雪庇が発生せず、
その効果のほども確認できませんでした。
そんななか、ことしは結構な積雪があり、ようやく融雪のスイッチを入れた次第。
これはこれで、順調に雪庇部分を落としてくれまして、
「よし、やった」という具合だったのですね。
ところが、その屋根面で融雪した水が、落ちてくるときに
厳しい温度低下の中、この部分でだけ結氷した、というメカニズム。
というような想定がすぐについたので、即、用が済んだ融雪はストップしたのですが、
その残滓がこのように残ったというワケなんです。
屋根融雪の効果は高いようで、本来水勾配の反対側の屋根部位からも
わずかな氷柱が確認されました。
というようなプロセスなんです。
なかなか、雪の問題は奥が深いものがある。
地域的な微妙な変化でも、千変万化するものなんですね。
ということで、あれこれ、思案しているところであります、ふむふむ・・・。
2008年01月27日
わが家の灯油消費量

昨年1年間のわが家の灯油購入量と、金額を知らせてもらいました。
こういう調査をしようと考えると、普段家計簿などをつけていないこと、バレバレです(汗)。
きちんと家計簿というもの、整理した方が良いことは間違いありませんね。
わが家では、というか北海道では灯油の暖房の比率が大変高い。
いま、実態調査のようなことを考えているのですが、
基礎資料を見ているだけでも、圧倒的なシェア率。
幸い、灯油購入元が懇意にしている、というか親友の会社なので、
頼んで、データを出して貰ったものです。
これによるとわが家は昨年、灯油を3111リッター購入しています。
で、これには暖房・給湯・一部ロードヒーティング費用が入っています。
灯油のタンクで配送してもらって、それの度ごとの集計ですので、
月ごとというようにはなっていません。
建築したとき、いまから17年前、
暖房用と、給湯用を仕分けて数字を把握しようと考えたのでしたが、
灯油の流量計をつけ忘れられて、やむなく断念していました。
全体数字はこのように把握できましたが、
給湯分の仕分けはわかりにくい。
しかし、夏場の時期の灯油配送分を見ていくと
おおまかに月間で95リッターほどの消費量が推定できました。
お風呂や、台所でのお湯の使用量なので、
わが家は夏も冬もほとんどその部分では偏差はないし、
ボイラーは室内なので、外気温での変動も顧慮しなくていい。
そんなことからの推定値です。
そうすると、あと、残りはロードヒーティングなんですが、
昨年は何回か、使った記憶はあるのですが、
灯油価格が上がってきたこともあるので、使ったとしても1〜2度。
なので、その分は無視すると、1960リッター。
多少、100リッター程度ロードヒーティングで使ったとすると、
1800〜1900リッター程度ということになります。
わが家の延べ床面積は、288平米ほど。
Q1.0住宅の場合は、18度の室内設定温度の場合で、平米あたり、5リッター前後。
床面積が大きくなると、暖房すべき気積が単純倍以上に大きくなります。
それと、設定温度はわが家の場合、昨年では23〜24度くらいになっていた。
そういった点を差し引いて考えることになりますが、
一応、わが家は平米当たり、6.25リッターということになりました。
ただし、わが家では蓄熱暖房器を1台設置しているので、
この光熱費を加えなければなりません。
たぶん、その分は18度基準に対して、プラスする5~6度の温度分程度と考えれば、
まぁ、まずまずとも言えるレベルなのかも知れません。
しかし、憂うべきは灯油単価の上昇曲線。
昨年末に93円で終わったわけですが、
ことしは100円を突破している。
いろいろに節約工夫しても、この価格上昇にはかないません。
さて、このテーマ、みなさん、大変興味があるのではないでしょうか?
いろいろ、調査や、意識面も含めてリサーチしていきたいと考えています。
2008年01月21日
素地表しの空間

内装を仕上げるときにいちばん一般的なのは、
断熱材の充填された壁を隠すように張る耐火プラスターボードの上から、
白っぽいビニールクロスで仕上げるというもの。
なぜ、白っぽいのかというと、外部からの光が
室内に均一に満ちて、明るい空間ができるということが大きい。
多少、クロスの柄くらいを工夫する、のがせいぜい。
でもまぁ、そういう空間って見慣れてくると単調でつまらなくなってくる。
そんなことと、木造で作る場合、外張り断熱を採用すると
ごらんの写真のような「合板仕上げ」の空間ができる。
合板はそのまま見せるようなきれいな仕上げ材ではないけれど、
このうえからわざわざコストをかけてボードを張って
クロス仕上げをする必要はない、と考えれば
このまんま、ハイ仕上げです。という作戦も出てくる。
それと、構造材も正直にそのまま露出させているので、
メンテナンス的にも、明快になっているので、不具合が出たときにも対応しやすい。
メリットを上げると色々出てくるのだけれど、
やっぱり、「え、これでお終いなの?」という感じ方も根強い。
いまの社会の中での反応で言えば、2割くらいが容認派で、
8割くらいが「オイ、ちゃんと仕上げろよ」という否定派、でしょうか。
かくいうわたしも事務所ではこういう素地表しの意匠を採用しています。
事務所では、このほかに「簡単に壁面に大量の本棚を安く造作できる」という
メリットが大きくて採用したわけですが、
機能的なシンプルさと、これでいいや、と思い切っている清々しさが感じられるようです。
合板には当然ですが、木の節がそのままでています。
無節の合板って言うのはありません。
なので、仕上げ材に節のあるものを使うのは変だ、という考えもありますね。
こういう考えって、たぶん、普請・建築というものが
お金持ち階級だけの特権的なことであった時代のなごりのような考えだと思います。
戦前までの社会では、一般庶民は賃貸住宅に住むのが、都市では当然。
なので、庶民向けの建て方とは別に、お旦那様向けの本格的建て方、
というものが存在し、そこでは仕上げ材に節のある材料などは許されなかったのでしょう。
また、壁は塗り壁で仕上げるのがふつうであり、
場合によってはしっくいなどの本格的な仕上げも行われていた。
そういう意味では、「平滑さ」というのが基準的な考え方だったかも知れないですね。
そういうことに価値観を見いだしていた。
そういう生活文化の状態から、一気に住宅金融公庫借入による
一般庶民の「持ち家」という生活文化に移行した。
そのために、高嶺の花的にそうした考え方が広がっていった、と言えるのではないでしょうか。
ただし、大量生産社会なので簡便で、表面的に同等の効果のある、ように見える
ビニールクロス仕上げというのが、標準の位置を獲得した。
たぶん、後世の人たちから見ると、20世紀後半から
日本の住宅が大きく変化したというように語ることになると思われます。
こういう状況の中で、建材も変化してきている。
合板などというものも、建材の大量生産化の過程で生み出されてきたもの。
そういう意味で、この写真のようなスタイルも
ごく最近の社会経済的な変化を敏感に反映させた空間性だと言えるのですね。
まぁ、こういう変化の中で生み出された中から、
今日的なインテリアスタイル、というものが定まっていくものなのだと感じます。
さてどのように変わっていくのでしょうか?
興味は尽きない部分ですね。
2008年01月18日
冬の風物詩・つらら

最近はすっかり目にしなくなったものですが、
わたしが子どもの頃には、どの家も、といっていいくらい下がっていたのが氷柱(つらら)。
断熱ということに無自覚に建築を建てていた時代なんですね。
家並みの軒先まで雪が堆積し、
その軒先からは、氷柱が「しばれ」とともに成長し続けている。
というのが、ごく当たり前の冬の札幌の街並み。
札幌は道路幅がゆったりとした街割りなのですが、
冬になると道路幅が、東北以南地域とそう大差がないほどに狭くなった。
きのう書いた「視覚記憶」ということでいえば、
この氷柱だけは、なかなかお目に掛かることがなくなっています(笑)。
これはやっぱり、良くなっていると言うことなのでしょう。
そんななか、時々通る道沿いにあるのがこの工場。
冬場になると、みごとな氷の芸術(笑)を見せてくれています。
氷柱は、建物内部から上昇気流に乗って暖気が屋根面を暖め、
屋根上の雪を融かし、それが屋根板金の隙間を通って軒先に滞留して
やがて、軒先から落ちるときに氷点下の空気で冷やされてできる。
ちょうどすがもりと同時に起きる現象。
断熱ができていなくて、雪と寒さが厳しい、という条件があれば、
ほぼ間違いなく発生する。
この時代の暖房は、豊富にあった石炭が主流。
より火力が強い「コークス」というのも流通していた。
そういう暖房方式も同時に氷柱生成に大いに寄与していた。
こういった氷柱が、たまにくる暖気のときに、
屋根雪崩と共に通行人を襲う、という悲惨な事件を引き起こしてもいた。
そんなことから、雪止めを設置したり、屋根の落雪方向を良く検討してください、
というようなキャンペーンがあったと思う。
現に、わたしたちの通学路でも、氷柱の近くを通らないように
というような先生たちからの生活指導があった記憶があります。
そんなことから、「無落雪屋根」という画期的な工法が開発された。
なぜか、毎年のように増改築工事をしていたわが家では
そういう情報をもたらしてくれる建築業者さんが来ていた記憶があります。
まぁ、しかし、家の中の寒さは、暖房が消えている朝方など、
想像を絶するレベルだったものです。
家風呂がある家庭では、たいてい、朝になると風呂の湯が結氷して
大きく盛り上がっている、というのが一般的だったもの。
ここのところ、1週間くらいでしょうか、
北海道全域、本格的な寒波の襲来で、
札幌でも最低気温がマイナス12度まで下がっています。
各地から、マイナス20度超という話題が飛び交ってきています(笑)。
おりからの灯油の大高騰。
住宅相談の投稿にも、灯油の節約はどうしたらいいか、
というような切実なものも増えてきています。
いろいろ、考えていかなければならない問題は続きますね。
2008年01月11日
寒い仙台

仙台で賃貸住宅でそこそこ断熱されている物件を探すのは難しい。
仙台のスタッフを拡充して、札幌から転勤いたしましたが、
一昨日、着任。その様子を聞きました。
借りた賃貸住宅の寒さにびっくりしたという印象を語ってくれています。
札幌から来ると、やっぱり信じられない寒さに対して無防備な建物しかないのです。
不動産屋さんにも、そういう常識理解がないから、
「あたたかい建物の賃貸住宅」とリクエストしても
「なに言っているんだこの人、冬寒いのはどうしようもないでしょが・・・」
という顔をして、ほとんど話を聞いていない。
事務所はちょっと古い建物でしたが、その分、
自由に改造しても良い、という許可を取って、
アルミサッシ1枚ガラスだけの開口部に、ペアガラスの樹脂の内窓を付加。
暖房も、きちんとFF式ストーブを設置して
2年近く経過していますが、そこそこの居住環境が得られています。
その当時のことを思い出しておりますが、
そのように断熱強化と暖房の強化を図らない段階では、
むしろ外の方が建物の中にいるよりも暖かいという実感でした。
後で考えてみると、太陽日射の輻射熱が得られる外が暖かく感じられ、
ひたすらにヒートブリッジになる無断熱RC駆体から熱が奪われていく
建物内部では、やはりその方が寒いというのは理にかなっている事実。
関東以南のように年平均気温が16度前後ならばいざ知らず、
12度程度の仙台では、無断熱、もしくは無理解な建物に冬住むのは、やはり無謀。
なんですが、そういう賃貸を探すのは大変難しい。
ちなみに札幌は年平均で8度ほど。
札幌では断熱し、暖房を基本仕様として考えるのが当然なのに、
仙台では、そのような常識が一般レベルでは理解されていない。
年平均気温で4度も違う、関東以南の「常識」に制圧されているのですね。
そのうえ、暖房設備としてはエアコンなので、
あの吹き付ける空気暖房の過酷さ、体への無配慮さもたまらない。
建物自体があたたまって、遠赤外線的に、というか輻射熱的に暖められないと、
「体の芯からあたたまる」感覚が得られないのですね。
そうは言っていても仕方ないので、
生活的に対応しなければならないので、カーペットを敷き込むとか、
厚手のカーテンをつけるとか、窓周りの気密化を図るとか、
暖房を熱源輻射的なものを考えるとか、
いろいろな「できる工夫」でしのいでいくしかありません。
北東北地域であれば、このあたり、北海道的な常識も通じるのですが、
こうした断熱常識が通用しない、最北端地域が仙台なのかも知れませんね。
最北の、厳寒の、「温暖感覚地域」ともいえるかもしれません。
こういうテーマで考えるというのも、かえって実践的でいいかもしれません。
寒い賃貸住宅をどうすべきか、重要なテーマである気もしますね。
2007年12月31日
日本人のハレ空間

大みそかになりましたね。
ことしも1年、なんとか休まずブログを書き続けてこれたのは、
500〜600人くらいの定期読者のみなさんのおかげです。
日頃からお付き合いいただき、ありがとうございます。
先日、なにげに発見したのが写真の説明図。
今どき、なかなか、和室の各部についてその名称を正確に言える人は少ないと
たぶん、多くの人が思っているから、こういう写真図を作成したと思われたモノ。
でも、お正月などのハレのときには、
こういう空間の凛とした雰囲気もやっぱりいい。
写真の床の間とかの装置って、さてどんなものなのか、
Wikkipediaでひもといてみると、
<床の間(とこのま)とは、日本の住宅の畳の部屋に見られる座敷飾りの一つ。ハレの空間である客間の一角に造られ、床柱、床框などで構成されている。掛け軸や活けた花を飾る場所である。
中世の押し板が起源であり、典型的には近世初期の書院造、数寄屋風書院において完成した。書院造においては、上座に座る人物の格式を示すものであったが、その後の和風住宅では、客人をもてなすために季節に合わせた掛け軸や花を飾り、住まい手の心配りを示す存在であった。(もっぱら家族が使う茶の間などでは床の間を造る必要はない)
床の間のある部屋においては、床の間側を上座とし、その部屋の中心となる。(室内空間に方向性を与えるという点では、洋間のマントルピースに相当するともいえる)
江戸時代には、庶民が床の間を造るのは贅沢だとして規制されていたが、明治時代以降になると客間に床の間を造るのが一般的になった。現在では掛け軸をかける習慣が衰え、畳の部屋でも床の間を省略することも多い。既に床の間がある部屋も、最近は床の間を潰してクローゼットにすることが多い。和風旅館では床の間がテレビやセーフティボックス(要は金庫)を置くスペースになり下がっていることもよく見受けられる。>
ということなのだそうです。
現代生活的には、こういうハレの部分ではなく
むしろ、テレビを中心とした居間、台所・風呂・水回りといった
より動物的快楽性に近い「快適性」が、テクノロジーの進歩もあって進化した。
まぁ、写真のような精神性を強調した装置も
歴史的な文化産物ではあるので、
生活文化が変遷していくことで、廃れていくことになること自体は
ちょうど、言葉が移り変わっていくのと同じなのではないかと思います。
ただ、先人がこうした空間を作ってきた精神的な背景とかは
正しく知っておく必要はあると思います。
ことしも今日でおしまい。
大みそかまで、お越しいただき感謝いたします。
また、新年も書き続けていきますので、どうぞよろしく。
みなさん、良いお年をお迎えください。ではでは。
2007年12月25日
温水ルームヒーター

北海道では、まず見たことがない暖房システムとして
この写真の「温水ルームヒーター」があります。
大体が灯油を熱源とするボイラーを屋外に設置して、
そこから温水を、室内に4カ所ほど設置したヒーター装置接続場所に送るのですね。
で、ごらんのように接続して使用する。
間歇的な暖房として使えるのですが、同時に簡易なセントラルヒーティングとして
使用できるというメリットのある暖房システム。
ときどき、南東北地域で施工例を見かけることがあります。
必要な部屋だけに暖房が欲しい、というような需要に対応しているモノ。
ただし、室内で複数台を設置すれば、ある程度のセントラル暖房装置にはなる。
実際には、冬場で冷え切ってしまう床面などへの送風立ち上がりが早いので、
留守中に暖房しない場合、重宝されているそうです。
ある程度の工事は必要だけれど、
エアコン並みの工事で済むので、家電量販店ルートなどで気軽に買える。
まぁ、建築的ではない暖房、「採暖」的な暖房ということになりますね。
その意味では、逆に高断熱高気密で住宅性能がしっかりしている
そういう建物で、日射の熱取得がかなり期待できる、というような地域では、
省エネな暖房選択としてあり得るのではないか、とも考えられます。
しかし、最近は温暖地では需要が伸び悩み、
寒冷地では灯油の異常な値上がりということから電化に押され、
マーケット自体が縮小してきているのだそうです。
それと、エアコンのような室外機がセットであるわけで、
積雪寒冷地では、ボイラーも室内に置くケースが多いので、
そうしたことへの対応も、まだ十分とは言えないようです。
メーカーさんのお話を伺っていると、
やはりオール電化の需要の伸びが顕著で、
なかなか、対抗策に苦慮されているのが現実のようです。
いまや熱効率と費用のバランスでも、電化の方が安いというような現実だそうで、
そのうえ、火のない安全性ということも考え合わせれば無理もないところかも知れません。
世界的なエネルギーコストの上昇局面は
どう考えても今後、劇的に変化することはなさそうで、
こうした暖房機もユーザーの厳しい選択眼に対して
どのような打開策を打ち出せるのか、苦慮されるところですね。
2007年12月20日
暖房をおまけで考える国、建築的に考える国

きのうはある暖房メーカーの方が来社。
いろいろとお話を伺って興味深かったです。
といっても、暖房メーカーさんは東京が本社の会社で、
これまでは主に、温暖地域で販売をされてきたということ。
今回、北海道での販売の可能性を探りたい、ということでした。
まぁ、その内容は別の機会にしたいのですが、
話をすればするほど感じるのが、タイトルに書いたようなこと。
北海道での「暖房」ということの意味合いがなかなか十分には伝わらない。
寒冷地では「暖房」というものは独立的には存在せず、
住宅建築事業者にとって、それこそ建築の工法をどう決定するのかと
ほとんど同等くらいの比重をかけて考えなければならないポイント。
自分自身も寒冷地での「居住者」であり、
その意味で、リアルそのもののテーマなんですね。
なので、建築を考えていくのに、常にこのことがらが決定要因にからんでくる。
間取りを考えるにも、デザインを考えるにも、
設備を考えて行くにせよ、つねに暖房や断熱のことが組み合わせのキーワードになっている。
よく温暖地の設計者から
「断熱などは、設備の問題だ」というような声が投げられることがある。
デザインとは無縁の事柄である、という認識なんですね。
そういう考え方からは、暖房は「おまけ」であって、
建築の基本要素ではない、という考えが導き出されます。
それで済ませているのなら、それでどうぞ、
と言わざるを得ませんが、地球温暖化の問題や、エネルギーの高騰、
というような「環境の世紀」の抱える問題は
そういった態度からは解決に立ち向かえません。
寒冷地が地道に考え、解決してきた道筋が、
エネルギーをコントロールする、という目的に対する実戦的な手法に繋がると思います。
そしてこの問題への対決こそが、
志の部分での「建築家」の時代への責務なのではないでしょうか?
限りあるエネルギーを有効に活用し、無駄にしない
建築的な工夫や努力を正しく評価できるような社会システムが求められていると思います。
いかが、お考えでしょうか?
2007年12月11日
紙による境界分けの文化

写真は先日訪れた「いわき」市での古民家の様子。
日本では通風を旨とする家づくりが行われてきて、
そうすると基本的には柱と梁と屋根の概念だけがあって、
「壁」というような概念があいまいだったのではないかと思います。
壁を造作するというのは、たぶんいちばん手間とお金がかかった。
なので、重たい板戸で寒い時期は閉めきるというふうにやり過ごし、
基本的にはこの写真のように紙の建具で採光から
一定の閉鎖性まで演出してきた。
こういう住宅では、確かに「プライバシー」という観念は育ちにくい。
室内での音の問題などはまったく考慮されていませんね。
紙の建具だけで仕切っていくのでは、外部に対しても内部に対しても
プライバシーを保持するのは不可能に近い。
こういう環境でDNA的に過ごしてきた日本人が、
戦後数十年の中で、マンションというような空間に住み始めて、
音の問題に対して、「常識を持て」と突然言われても
すぐに対応できるかどうかは、やはりわかりません。
京都の町家などでは隣家と壁を共有して家が建っているわけで、
そういう壁では竹で下地を作って土を何層も塗り固めるような重
厚な壁を作ったわけですが、
そうとはいっても、壁1枚で仕切られているだけ。
視覚的な境界感覚は、非常に微妙な部分まで感受性が育ったけれど、
こと、音の問題で考えると、
むしろ、気配とかに対しての敏感な感受性を発達させて
「他者への思いやりと配慮」のような精神性を育みはしたけれど、
音的に遮断する、他者との関係性を切る、という方向には行かなかったのではないか。
そんな思いが強くしてきています。
マンションの騒音問題などを考え合わせるとき、
こういう部分からの日本人の精神分析的アプローチも必要なのではないでしょうか?
2007年12月07日
軒の出と縁側ー2

きのうの続きです。
ことし越谷市に抜かれるまで、日本最高記録の気温を誇っていた
山形市での、高断熱高気密住宅の事例。
断熱気密性能に配慮しながら、どのように夏の暮らしを設計するか?
という大きなテーマで建てられた住宅です。
きのうの写真は外部から居間から張り出す縁側と
軒の出の様子を見ていただいたのですが、
今日の写真は居間の側からの写真です。
軒の出は、夏の高い日射角度に対して遮蔽する働きをします。
巻き上げられていたすだれは、その働きを促進しますね。
縁側は、内側とも外部ともつかない、
日本独特な、あいまいさのある空間。
全開放された居間から、わずかな温度変化を体感できるように
仕掛けられた装置と言えますね。
きのう書いたように、このお宅の建て主さんは北海道出身者。
こういう夏の過ごし方について、
DNA的な羨望の思いがあったのではないかと推察します。
北海道の夏は、内地の夏と比べて
その湿度と温度がまったく違う。
いつも、内地の夏のような夏を求め続ける思いが北国の人間にはある。
そうした思いが、こういう装置を背景とした高温多湿な夏に
込められ、ようやく実現した、という感じがある。
はだしの素肌に心地よい木の床と、空気が調和した夏。
大きく開かれた居間と縁側で、内外あいまいな暮らし方。
こういうものに、北海道では感じることができない
「日本の夏」を思うことができるのですね。
しかし、そういう夏を満喫しながら、
窓を閉め、内外を遮断すれば1台のエアコンで心地よい環境も作り出せる。
また、冬の寒さへの対応もしっかり実現できている、
という安心感が、やっぱり基本性能として満たされていなければならない。
そういうような部分が、写真の中に隠されているディテール。
開放的でありながら、気密性に配慮された木製建具。
その木製建具を建物本体とつないでいる構造的な工夫。
冬場の冷輻射を抑える床下からの暖気上昇装置。
ガラス面からの冷輻射に対して有効なハニカムサーモスクリーン。
こういうようなさまざまな工夫が、こういう全開放型の
しつらいの裏側で、意図されているのですね。
さて、師走も第2週。いよいよ年末進行まっさかり。
みなさん、風邪など引かず、がんばりましょうね。
2007年12月06日
軒の出と縁側ー1

写真は、ことし取材した住宅の中でもかなり大きな感銘を受けた建物。
山形市での住宅で、中村廣さんという建築家の物件。
氏は省エネ住宅賞も受賞する高断熱高気密住宅のプロですが、
ことし抜かれたとはいえ、日本最高気温を長く記録保持していた
山形市で、夏の過ごしやすい住宅を考えたものです。
高断熱高気密住宅の基本を応用しながら、
主に「寒さ」対策を中心としてきたなかで、
どうやったら、省エネルギーな夏の暮らしを作り出せるのか、
正面から取り組んでいました。
高性能住宅が、省エネというテーマ性で温暖地から求められつつある中で、
どのような具体的な提案が可能なのか、
いろいろなポイントが見られてきわめて興味深かった次第。
しかも、このお宅の施主さんは北海道の出身者なのですね(笑)。
冬は暖かい家に住みたい。
けれど、夏は思いっきり開放型の暮らしで、
しかも、ひたすらエアコンに頼るような暮らしではなく、
日本の夏の情緒も楽しみながら、暮らしたい。
そんな思いを実現できるような建物を希望されたのですね。
このあたりの心情は、大いに理解できる(笑)。
北海道人って、冬寒いのはまず、ダメなんですね。
からっきし、こらえ性がないというか。
思うに、昔の生活ぶりをわたしのオヤジくらいの世代に聞くと
非常に安価に入手できた、場合によってはタダで入手できた
石炭を「ガンガン」鋳物ストーブに「くべて」
外の寒さとは別世界のような室内環境を造っていた。
ストーブに当たる側は服を着ていられないくらい暑くして
一方、背中側は常にすきま風が吹き渡っている、という環境。
エネルギー多消費型の、「力づくの冬の征服」のような
暮らし方が身についている部分があるんですね。
建物の性能を上げて温度差のない室内環境を造るより以前は
このような豊富な石炭を使った冬の過ごし方が一般的。
なので、あんまり「冬の寒さを耐える」文化はない。
そういうふうに過ごしてきている北海道人は
いわばDNA的な記憶で、本州以南に行くと暖かい、と信じている。
ところが、最近よく聞くのが、
冬にいちばん暖かいのはむしろ北海道だ、という説。
ようするに室内環境のことですね。
冬に温暖地といわれる地域に行くと、びっくりするほど寒い。
九州のホテルで、あまりの朝晩の寒さに面食らう。
素寒貧な、冷え上がった木の床に閉口させられます。
で、すこし暖房を入れると大きな窓は一面結露。
布団にくるまっていても寒くて、夜もふるえて過ごす、なんて体験もする。
本題からどんどんずれてきていますね(笑)。
でも、こういうテーマ、面白そうなので(勝手に)続けたいと思います。
長くなりそうなので、本日は1部で、明日以降、2部にします。
申し訳ありません、急遽、連載企画になりました(笑)。ではでは。
2007年12月05日
美しい洗面ボウル

ちょっと、お、って思わせる洗面に出会いました。
いわゆる「見せる」という意味ではステキな洗面。
スッキリした木質だけで構成してある中に
陶器製の洗面ボウル。
いいよなぁ、たまには・・・。
というような生活装置ですね。
だけれども、よく考えたら毎日使う空間では
こういうふうにポンと
乗っかっているようなのはどうなのかなぁ、と。
まぁ、こういうのも楽しみ、生活の句読点と考えると良いかもしれませんけれど。
住宅のデザインって、平面のデザインとは違う。
そして、工業デザインとも少し違う、と思うのですが
しかし、工業製品のデザインの持っている「機能性の究極的な理解」力は必要。
この写真は、どっちかというと、ビジュアルデザインの感覚に近い。
こういうのに、どうしても目が行きやすいけれど
「まてよ」と立ち止まれるかどうか、
というようなことが重要なのではないかと、最近感じます。
逆に言うと、機能性を究極的に考えているデザインって、
深々と人を包み込んでくるような包容力を感じさせる。
使い勝手の中での遊びの部分というようなものが面白く感じる。
いずれにせよ、見るものではなく感じるもの、なのかも知れませんね。
だから、住宅って現物の迫力がなにより説得力を持つのかも。
住宅を写真とルポルタージュで伝える仕事をするものとして、
いつも心がけていかなければならない部分だと思います。
2007年11月29日
和風ポリカーボネイト建具

最近、ここ5〜6年くらいになりますか、
ポリカーボネイトがいろいろなところで建材として使われています。
佐呂間町で建築家の五十嵐淳さんが自宅外壁をこれで、構成したのが
いちばん、びっくりした記憶があります。
この素材は熱伝導率が低く、化学製品で気密も取れるということから、
けっこう、寒冷地などでも有力な素材として
重宝に使われてきているものです。
とくに建具の素材として注目されています。
ガラス入りのサッシを使うような場所で、
採光だけが取れれば、透過性は必要ない、という場合は
「半透明な壁」として、使われるケースが多い。
五十嵐淳さんの自邸では、これを2重に張った壁内部に
白いグラスウールを入れて、ちょっと名状しがたいデザイン要素になっていました。
写真は、この素材をまったくの和風建築で建具材料として使用した事例。
外観写真が左手で、このように見ると障子のようで
紙が張られているように見えますよね。
右側が内部側からの見え方。
大変デザイン的にはスッキリと仕上がっているというか、
似合いすぎに似合っている。
気をつけなければ、見過ごしてしまうような純和風の佇まい。
開口部のデザイン手法として完全に定着してきたような感じがしますね。
こういう素材の使い方でも、北海道って、
他の地域にとっては、実験場的なところがありますよね。
「北海道でも使って大丈夫なんだら・・・」
というような心理が働くのでしょうね。
2007年11月24日
古民家の木組み

写真は仙台市郊外の、というか、山形寄りの山中にある古民家内部。
次号、東北版リプランで掲載する安井設計工房さんの事例です。
こういう古民家再生の仕事というのは、
いわゆる「建築作品」としては見方が難しいのだろうと思います。
古民家再生というのは、愛着と伝統的なものへの人間性の発露の部分が大きい。
誰が見ても、こういう古民家の佇まいは圧倒的に美しいけれど、
それを「住み続けることが可能なように」再生させるのは、
そう簡単なことではない。
とくに、温熱環境を現代の考え得るもっとも良い状態まで高めて
建物を外科手術した後、さらに長い年月の時間の中に戻してやるのは
現代の建築技術自体が試されるようなテーマ。
そこには、現代の建築が求めるようなテーマ性、
「近代的自我の表現」というようなものは感受しにくい。
ただし、そういう手足を縛り込んだような状態から、
建築技術者として、もっとも良い建築としての機能性の実現と
それを可能な限り、美しく仕上げたい、という格闘がかいま見えてくる。
伝統を理解し、先人たちに深く思いをいたしながら、
しかし、最先端の技術をそこに織り込もうとする
意志の力強さというような部分が見えてくるものだと思います。
こういう工事でも絶対に手を触れられないのが、木組み部分。
木を、その特性を活かしながら交差させて、あるいは貫通させたり
あるいは組み合わせの断面を考えて構造が持つように工夫する。
丁寧に外していくと、考えられないような断面の組み合わせが表れたりするそうですが、
主体構造に関わる部分は、関与できないようです。
また、縄で緊結させている部位などは、
いったんほどくと、2度と元には戻せないと思われるので、
慎重に状態を観察して、ほぼ既存の状態を保持するのだそうです。
基本的には、大きな茅葺き屋根の耐荷重をやわらげることが、
構造への最大の延命処置と考えられると言うこと。
というようなことなのですが、
しげしげと、そのような木組みの様子を見ていると、
そういう部分に込められた建築技術者としての先人たちの仕事ぶりが
まざまざと甦ってきて、感慨が深いものがあります。
木は二酸化炭素を成長の時間の中で体内に貯え続け、
建築材料になっても、この建物のように200年以上、保持し続けてくれます。
さらに、この再生工事は、その時間を延ばして、
たぶん、100年以上の長い時間を超えて存在し続けていく。
21世紀の今日、建築が求められていることについて、
ある意味ではもっとも直接的な回答を示しているのではないか、と思われます。
2007年11月23日
防蟻の基礎断熱

関東以南地域では、シロアリの問題が大きな課題。
わが社に寒冷地住宅の研修に来られた鹿児島の方から、
北海道ではシロアリ、どうしていますか?
との質問を受けて、お答えに窮したことがあります。
まぁ、あんまりいないんですよね。
そういう切迫感は薄い。
これまで基礎を断熱する場合、プラスチック系の発泡断熱材を使用することが
多いのですが、それだと、シロアリの食害が見られる。
って、すごいですよね、あんな工業製品を「食べる」んですからね。
まぁ、正確には食べて消化するのではなく、
その先にあるおいしい木材を食べるために、
このプラスチックの防御壁を「突破」するということなのでしょうね。
グラスウールだとシロアリは食害を及ぼさないようなのですが、
基礎にグラスウールを使うのはこれまで保持が大変だったし、
また、吸水性の問題もあったりした。
最近ではその両方を解決するような、撥水性を高めて、ボード状にした
グラスウールボードも出てきています。
一方で、発泡プラスチック系断熱材でも、問題を解決するモノが出てきた。
このあたり、北海道では取材であまり目にしないので、
たまたま、現場で見ることができて、新鮮に感じました。
今のところ、高価なのでこの現場では、土に接する基礎下側半分に
この「防蟻の基礎断熱」を施工していました。
上半分は通常の発泡プラスチック系断熱材。違いが色でも明確。
以下はメーカーのHPより転載。
防蟻性断熱材は、発泡が困難とされていたエンジニアリング樹脂のポリカーボネートを高倍率に発泡させた商品です。優れた防蟻性や施工性はもちろんのこと、安全性や耐熱性、耐衝撃性にも優れた基礎外張りに最適な断熱材です。
ということなのだそうです。
断熱での考え方は、基礎断熱するか、それとも床下断熱するか、
ということになり、高性能住宅ではほとんどが基礎断熱が採用されます。
こうして基礎断熱が普及していくと、
温暖地でのこのような断熱材の需要が増えていくのでしょうか?
というより、メーカーが数社、こういうタイプの商品を
出荷していると言うことですから、
徐々に、高性能住宅というものが温暖地でも普及しつつある
ということを表しているのかも知れませんね。
2007年11月21日
棟換気・越屋根

写真は先週行ってきた、新潟県上越市でのショット。
屋根の上に、あきらかに換気用と思われる小屋が乗っています。
これは地方によって、言い方が異なっていますが、
上越で呼び名を聞いたら「越屋根」と言われました。
その後、上州高崎でも同じ言い方でしたので、
まぁ、これが一般的な言い方なのでしょうね。
ただ、信州などでは「うだつ」と呼ぶのではないかと思われます。
よく、「うだつが上がる」という言い方をする場合の「うだつ」で、
家が繁栄してくると、そうやって言うのですね。
古民家などでは、屋根からいろりの煙を外に廃棄する用途だと思われます。
昔は、最初からこれを装置するのが経済的に難しくて
お金が貯まってきてから初めて開けたのでしょうか?
というものなのだそうですが、
北海道ではまず、こういうの、見たことがない。
っていうよりも、屋根自体、フラットルーフという無落雪タイプが
主流になってきているので、このように
屋根にデコレーションを加えるというような発想にいかない。
まぁ、そもそも、暖房の方式が、いきなりストーブから始まった
北海道と、その他の日本の地域、という違いなのでしょうか。
いろりによる暖房、というような考え方があった東北以南では
こういうデザインが見慣れた光景としてあったということでしょうね。
しかし、こうした地域でも一般的に建てられる住宅デザインでは
こういうタイプの屋根は採用されないケースが多いと思います。
一般的には板金屋根で、寄せ棟というスタイルが多いのではないでしょうか?
こうした「越屋根」って、むしろ北海道発祥の
高断熱高気密住宅がその南方バージョンとして、
伝統的住宅建築のひとつの手法に着目して再生させた、という面が大きい。
こうした地方では、夏期の室内にこもる熱気をどう抜いていくか、
という換気対策が、冬場の高気密住宅としての配慮以上の要素になる。
そういう問題の合理的解決策を探ったら、
伝統的なデザインにたどりついた、というところ。
単純に、どうやって開けるんだろうと疑問に思ったら、
スタッフの方が、やってくれました(右写真)。
それ用の長い棒状扱い器で、開ける。閉めるのは勢いよく閉められる。
で、網戸は外側についているので
夏場になると、ほぼ1日中開けっ放しというのが一般的使い方。
太陽光日射で床や壁、室内にこもった熱気が、
上昇気流に乗って、ここから室外に廃棄されるわけですね。
換気の問題を考えるときに、平面的に考えても実際には
それほど換気はうまくいかない、むしろ上下の関係で
空気の通り道を考える必要がある、ということのようです。
温暖化の進行という問題もありますが、
まぁ北海道では、現実的な選択肢に入ってくるとは思えませんね。
なるほど合理的、と思わせられた光景でした。
2007年11月18日
断熱ルネッサンス_2

先日取り上げた東京ホームビルダーズショーでの展示から。
世界的に省エネルギーというテーマは関心が高く、
いかにして化石燃料や、エネルギー消費を抑えるかが、
建築に課せられた今日的な焦眉の課題。
こういう趨勢の中で、情緒的なデザインだけに
閉じこもっているような建築関係者は、まさに時代が飲み込んでいく。
とくにヨーロッパは、地球温暖化問題へのいち早い対応などでも
世界の流れのヘゲモニーを握っていると感じられます。
そうしたなかでもドイツの「断熱」への取り組みは先進的。
木造住宅の世界でも、木質系断熱材の開発では世界をリードしています。
今回の展示では、RC建築の外断熱用の断熱技術がありました。
コンクリートとガラスは20世紀を主要に規定した建築材料だと思いますが、
21世紀において、そうした建築がサスティナビリティを高めるのは
まさに、断熱技術の向上しかありえません。
このコンクリート建築でもっとも熱橋が発生しやすい部位が、
バルコニーなど、駆体からハネ出す部分。
ここの長期安定的な支持力保持のためには、どうしても
すっぽりと外側から建物をくるむ、という外断熱層が非連続になってしまう。
やむなく断熱方法としては、内側での断熱を工夫するということになる。
しかし、それでは根本的な断熱にならない。
そんな従来の問題点を解決しているのがこの技術。
特殊に開発した素材による断熱材を外側断熱層と連続するように
バルコニー部分と建築本体との中間に施工する。
この部分を頑丈なステンレス鉄筋で構造的に一体化させて
強度を確保し、同時に外断熱の連続性を実現した、というのですね。
同様の考え方のものは別にも展示されていましたが、
どちらもヨーロッパで開発された技術。
けっこうな人だかりができている展示でした。
聞いたら、ゼネコン関係などの開発者などが興味を持っているということ。
日本のゼネコンや建築研究機関って、
こういう部分では確かに先進的に技術は収集し、実験的レベルでは
びっくりするようなこともやっているのですが、
いかんせん、なぜか、実際の建築現場にそういう技術が活かされることが少ない。
こういう企業の研究者たちに熱意が足りないのか、
それとも、経営層の認識が足りないのか、現場がコスト優先体質に染め上がっているのか、
あるいはそれらの複合的な要因なのか、
まだまだ、ヨーロッパの優位性に追随しているのが現実。
たぶん、日本の建築家、意匠性だけにプライオリティを認める風潮が
こういう現実に繋がっているのだと思います。
そんななかでは、北海道の建築家グループはこういう技術にも
端的な理解と興味を示していました。
やはり、寒い地方がこの地球温暖化への対応では
リードしていかなければならないのではないか、
そんな思いが強く感じられましたね。
2007年11月16日
断熱ルネッサンス?

きのうは東京に戻って、ホームビルダーズショーを見学。
ホテルに帰ったら、脚が棍棒のようになってしまっていました(泣)。
ほぼ、大体の展示を見て回ろうと考えたのですが、
無理でしたね。建材の素材展示などのコーナーは
ざっと見て回る、程度でまわって参りました。
会場では、北海道建築部建築指導課などの出展展示などもあって、
会場内で多くの知り合いと出会い、
日頃のご無沙汰をお詫びするような出会いが多かったです。
そういう意味で、北海道からわざわざ東京に来て、
そんなこともやっているのですから、ちょっと・・・ではありますが(笑)。
会場でやはり目につき、感じたのは、
エネルギーの世界的な不安を背景にして、
かつてないレベルで「断熱」について興味が盛り上がっていると言うこと。
会場内で出会った北海道の建築家・宮崎さんが言っていましたが、
「もう、断熱がわからない建築家は時代に置いていかれるんだわ」
という雰囲気が感じられました。
断熱や省エネというようなブースの展示では
たくさんの人が立ち止まって話し込んでいる様子が目につきます。
そういえば、仙台であった建築家・安井妙子さんから
「チルチンびと」の「暖かい家特集」というのを見せられましたが、
どうも、これまで情緒的な素材使いだけを訴求してきた雑誌なども
必死で転換を図ろうとしてきているのでしょうか?
住宅の雑誌というのも、ある意味では
時代を映し出したり、その時代の読者の興味と同心しながら、
同時にある一定のレベルでは、「よき住宅」についての
方向性を持っていかなければならないものだと思います。
化石燃料やエネルギーの危機がこれほど一般レベルで語られる時代に
建築に関連するメディアが、そういうことから遊離しているというわけには
いかなくなっていくのだろうと思います。
リプランの大きな方向性として、
性能とデザイン、というものがあり、
それが基底の部分で時代の認識と同期化しつつあるのではないか、
そんな思いを強く感じた次第です。
いままで見向きもしなかった、関東以南のマーケットが、
どうやら動き始めようとしている、そんな感じがした展示会場の雰囲気でした。
さてさて、そのように順調にいくものかどうか?
2007年11月11日
最近の照明スイッチ

表題まんま、なんですけれど、
一昨日取材してきたお宅でふと気付いた次第。
旭川の新住協メンバー・芦野組さんの住宅だったのですが、
照明スイッチの設置高さがすべて低め。
通常の健常者が立って操作することだけを考えた高さではなく、
車椅子になったとしても使いやすそうな位置なんですね。
こういう配慮、細かい部分ですが、きわめて大切。
そう、家は毎日使うものなんですね。
使う人の立場に立って、使いやすさを仕掛けていく、
それが建築会社に求められる姿勢ですよね。
って、いうような意味合いを感じ取ったのですが、
さらに建て主さんが、こうやって使えるんですよ、
と言って、スイッチのタッチ部分を外して、
手元に持って、自由な場所から、赤外線とおぼしき操作で
照明を操作して見せてくれた次第。
恥ずかしながら、こういう設備関係の進歩って、
あんまり取材する機会がないので、感心してしまいました。
こんなことも知らなかった、ってちょっと勉強不足ではありますが(汗)
これって、すごく便利ですよね。
照明って、確かにベッドに潜り込んでから、とくに主照明を切るという作業は
また、起き上がってするんじゃ、辛い。
その点、読書なんかをたっぷりの主照明でゆっくり楽しんだ後、
こういう遠隔スイッチで出来るのは、使い勝手がいい。
わが家は建ててからもう20年近いので、
こういう進歩には疎くなってきていました。
でも、ちょっと気付いたのですが、
これって、聞いたら、やっぱりリチウム電池などが中に入っているのだそうで、
その交換は必要なんだそうです。
しかし、あの電池って、どうなんでしょうね。
電池って、やはりメンテナンスが面倒くさい点はあります。
わが家なんかの場合、いろいろなバッテリーやさまざまな種類の電池を
買い置きしているのですが、やはり切れないように買い置きするのって、面倒。
昔に比べて、大きさなどもずいぶん増えている印象がありますね。
そのうえ、こういう小さい電池って、
分別ゴミでも気を使わなければならない。
できれば、充電式のバッテリーにはできないものでしょうかね。
というのは、わがまますぎるものでしょうかね。
充電式にしたら、えらい高くなるのでしょうか?
ということで、今更ながらの住宅設備商品マメ発見でした。
2007年10月30日
薪とペレット両用ストーブ

先日の見学時に見た住宅のストーブです。
最近、高性能住宅を指向する人たちは、同時に自然派でもある感じ。
なので、熱源はオール電化というケースが多いのですが
薪ストーブを設置する人も多い。
高性能住宅の駆体への安心感が、シンプルな暖房形式を楽しむ気持ちを刺激するのでしょうか?
余談ながら、こういう暖房形式での例で、
Q1.0住宅で、しかも太陽光発電パネルも乗っけて売電も試みているお宅では、
オール電化住宅で、1年間の電気料金が、なんと、90000円だったそうです。
しっかり取材したわけではなく、ビルダーさんからの情報ですが・・・。
???、というような思いがするんですが、どうも事実らしい。
しかも、売電した金額が1年間で90000円っていうんですから、
それだと、1年間電気料金がかからなかった、というのと同じ。ちょっとにわかには信じがたい。
ただ、その施主さんって、薪ストーブファンなんですね。
住宅の性能はQ1.0なので、省エネルギーも極限的なんでしょうか、
で、暖房と言うよりは、楽しみながら、薪ストーブを使っているので、
ほとんどそっちがメイン暖房になっている様子。
そういう部分も多少は影響している数字なのかも知れません。
おっと、薪ストーブの紹介でした。
薪ストーブは燃やす材料によって、機種が違いますが、
これは製品として販売されているペレットと同時に
薪も燃やせるタイプということ。
火持ちの点ではやや早すぎるということがあるそうですが、
国内製で、価格が180,000円と言うことで、廉価。
こういう高気密の住宅では、吸気を工夫してやらないと
なかなか上手には火がついてくれない。
ちょうど見に行った前の日から日を入れてみたそうで、無事着火を確認したと言うこと。
薪ストーブは、燃やした後の輻射が、この写真の例のように
後背のレンガに蓄熱されて、じんわりと家の中が暖まるのだそうです。
ビルダーさんたちが異口同音に話していました。
このあたり、実践的なノウハウになるのでしょう。
しかし、こんなストーブって、やはり良い雰囲気を醸し出してくれますね。
朝起きて、薪ストーブに火を入れて暖を取る暮らしって、
やっぱり憧れてしまうし、
そういう季節感が迫ってくる、という感覚も
北国らしい、この時期ならではの郷愁に似た感慨。
北海道は寒いけれど、こういう楽しみって言うのも、いいものなんですよね。
2007年10月24日
200mm断熱+ヒートポンプ暖房

きのうは久しぶりに札幌での住宅見学が出来ました。
北海道内の地域工務店グループ・アース21の例会に参加した次第。
立場の明確なグループということで、
忌憚のない意見が飛び交って、まことに参考になるグループ。
全国でいろいろなグループの会合や総会に出席する機会に接するのですが、
やはり飛び抜けて自由闊達な情報交流の場、と感じます。
で、だいたい、例会ではグループ参加の会社の最新住宅を見学いたします。
そのなかから、写真の家。
といっても、写真はヒートポンプの室外機だけなんですけれど(汗)、
壁の断熱厚みは200mm。通常の充填断熱に外側で100mmの付加断熱。
換気は第1種の計画換気を採用しています。ちなみに計算上は
回収される熱エネルギーは70%と想定しているとのこと。
換気装置自体は90%の性能を謳っていますが、
実際の生活上では、開口部の開閉などの条件も加味しているのでしょうね。
窓はすべて3重ガラス入り木製窓。
というような仕様で、熱損失はQ値で0.9を切るレベルのもの。
そのように暖房用消費エネルギーが抑えられるので、
ここでは暖房熱源として、空気熱源ヒートポンプを採用しています。
このヒートポンプ装置で得られる熱エネルギーを
室内に設置した温水タンクに溜めたお湯に伝えて、
それを床暖房や、パネルヒーターの形式で家中に回しています。
北海道電力では、このような利用形態でのオール電化に対して
独自の電力メニューを用意しているため、
深夜電力だけでは十分なエネルギーが得られない場合、
昼間電力による「追い炊き」を想定し、
その場合でも比較的に安い電気料金に収まる工夫をしています。
というようなシステムなワケですが、
こういう革新的な技術を導入した住宅を、
一般ユーザーのみなさんに説明して、同意を得られてから
建築しているわけで、その総体としてのビルダーとしての姿勢に単純に脱帽。
それだけ、認識の高いユーザー層が存在するということも事実。
デザインも上品なものにまとめられていて、
周辺の家並みのなかでも飛び抜けた存在になっていました。
やっぱり札幌の住宅は、平均レベルが高いと思わざるを得ません。
首都圏などでは、住宅といえばマンションが主流であり、
戸建て住宅といっても、その不動産的な価値は語られても、
性能的・デザイン的な価値、というものはレベルが高いとは必ずしも言い難い。
そういう意味では、北海道・札幌の戸建てマーケットは
注目に値するマーケットなのだなと、再認識できますね。
2007年10月23日
マンション騒音問題、その後

3週間ほどのアンケート期間の結果、
当初から考えていたアンケート数が得られ、また、実にさまざまなご意見も寄せられました。
以下、要約すると
1 マンション下階住民が上階住民を訴えた騒音トラブルでは
判決は正しい 73%
判決は行き過ぎだ 14%
どちらともいえない 6%
2 マンション住民による近隣公園騒音訴訟では
判決は正しい 34%
判決は行き過ぎだ 46%
どちらともいえない 18%
というような結果が得られました。
こうしたアンケートでは、基本的な方向性が得られる総数ということなので、
今後、まとめていきたいと考えています。
今回の件で、いろいろなサーチエンジンで「マンション騒音」と入力すると
わたしどもが運営するNPO住宅110番HPがトップで表示されることから
実にさまざまなマスメディアからお問い合わせ、取材を受けました。
昨日もM社からも、このアンケートについての問い合わせもありました。
今後、誌面で取り上げられることがあるかも知れません。
その中で、寄せられたご意見を2件、ご紹介します。
実際に起こった騒音の件は「異常」です。80デシベルともいえばそばにモーターファンなどが常に鳴り響いている感じですから・・・でもマンションや賃貸軽量住宅なんかは不動産や大家が対策すべきだと思います。
新築のマンションでもやはり響きますから・・・
ましてお子さんをお持ちの方で新築の住居を購入し新しい生活が始まるのに「うるさい!」「子供のしつけがなってない!」など言われたらトラブル発展のゴングがなりますよね!
こどもがいる家庭は「常に外へ外出しなければいけないのか?」
「だんまりした生活を一生しなきゃいけないのか?」「園児やなかだと友達を連れてきて遊んではいけないのか?」せっかく一生の住まいを購入したのに、こんな苦情を受けたら面白くもなにもないですよね!
音に敏感な方は「分譲マンション・集合住宅」の購入より戸建がお奨めです。
2の判決ですが、噴水は市の騒音対策を実施した後に再開すると聞いてます。
噴水の水も細菌汚染の危険度が高く衛生不備により使用を一時中止しているようです。
いずれにしても設計や構造に問題ありの公園であったため判決としては妥当に思われます。
3の解決策ですが、個々の住人が他の住人に思いやりを持ち
集合住宅のマナーを学ぶ努力を早急に進めるべきかと思います。
管理会社の意識向上させる必要もあります。
社会問題化している事なので、しっかりとした条例を改めて
整える時期ではないでしょうか。
HPには、その後もいろいろなケースでのマンション騒音問題の提起が
寄せられてきています。
この問題、やはり大きな世論を喚起していく必要があると思います。
マスメディアのみなさんともいっしょに、取り組んでいきたいと思っている次第です。
2007年10月12日
マンション騒音アンケート〜意見

きのうご紹介のマンション騒音アンケートの続き。
自由に記入いただいたご意見の一部をご紹介します。
●1の判決が出たことで、今後マンション住人や販売会社、そして建築主の意識が変わることを期待します。4年前に分譲マンションを購入し、入居後上階に4人家族が入居して以降、子供およびその父親の足音に悩まされています。 すでに3回上階の住人に苦情を言っています。(管理組合、販売会社経由でもそれ以外に各1回) 苦情を言った際、上階住人の意見は「子供なので、走るのはしょうがない」というものでしたが、あきれてしまいました。判決にある通り親は子供をしつける義務があります。どうしても子供をしつけられず、ルールを守れないないのであれば、集合住宅ではなく戸建てという選択をすべきです。
●以前マンション住まいをしていた時に、上の部屋の足音に悩まされました。苦情を言いに言ったところ部屋の中に案内され、そこで見たのは、かかとからドスドスと歩く男性の姿。その男性曰く「できる限り気を遣っている」とのこと…。その後もうるさいままでした。とはいえ、我が家もそのマンションに越してきたばかりのとき、下の部屋から突付かれました(床が下からコンコンと叩かれる)。しばらく空いていた上の部屋に人が入ると、特に気になる傾向があるようです。
●ブログを見ての感想です。
すごく、妥当な集計ですよね。
まさに、サイレントマジョリティの表出。
設問3.なんかは、相手の顔とさらにどんな人間が出してる音なのか、
というつきあいの度合いで、すごく気に障っていた音が急に許せちゃったりするからね。
●騒音被害の苦痛は受けた者にしか分からない。現在1の事例と同様な被害を受けているので人ごととは思えない。
●細かいことを言い出すとキリがないと思います。ある程度はマンションという居住空間のデメリットも理解した上で住まわないとダメかと思います。勿論それは分っているとは思うのですが・・・。今後この判決が基準となり、ウチもウチもとどんどん出てくると考えます。司法に委ねるのではなく、そこに住む人の相互理解が必要と感じます。隣に住んでいても顔も知らないなんてこともよくあることで。売り手もデメリットをよく説明しなくては(していると思いますが)ならないと感じます。 私は一戸建てです。
●確かに子供をしつけるのも必要不可欠ではありますが、マンション建設標準で防音対策を施すべきだと思います。またそうすることにより業者はマンションの付加価値として強くアピール出来るのではないでしょうか。
みなさん、それぞれに貴重なご意見をありがとうございます。
この「住宅クレーム110番」の開設趣旨に、
「住まいについての世論の場」という一節を入れたのですが、
いろいろな意見を知ることで、自分自身の考えや感じ方が広がるものだと思います。
解決策はそれぞれであっても、少なくとも
こうした意見や考えに出会うということも大切ではないかと思っています。
引き続き、多くのみなさんのアンケートをお待ちしています。
なお、写真は記事とは無関係です。
2007年10月11日
マンション騒音アンケート中間結果

先日来初めて行ってみたNPO住宅110番HPでの
アンケートの中間結果です。
実質的には土曜日からの5日間での結果ですが、
20人の方からお答えいただきました。
その設問と結果は以下のようになっています。
どう思いますか、マンション騒音訴訟?
報道のように、10月3日、4日と、一連のマンション騒音訴訟の判決があり、
どちらも、騒音被害者勝訴の判決が出ました。
1. ひとつはマンション上階のこどもの足音が80デシベルレベルということで、「親は子どもをしつける義務がある」という骨子の判決で36万円の賠償を認めています。
2. また、もう一方では、距離200mほどのマンション近隣の公園噴水で遊ぶ子どもたちの歓声がうるさい、というマンション住人からの訴訟に対して、判決ではこれを認め、噴水を停止するように判決が出ました。
これらの判決を境に、このページのアクセスも2倍近くに伸びています。
そこで、緊急アンケート!
今回の判決についてのあなたのご意見をお聞かせください。
結果は、
1について、
判決は正しい 80%
判決は行き過ぎだ 15%
どちらともいえない 5%
2について
判決は正しい 30%
判決は行き過ぎだ 45%
どちらともいえない 25%
というような結果が出ています。
また、こうしたマンション騒音問題への解決策を選んでもらうと、
建築的に騒音レベルを下げる努力をすべきだ 40%
相互理解がより重要。近隣関係に配慮すべきだ。 55%
どちらともいえない 5%
というような3択の結果が得られました。
みなさんは、どのように考えられるでしょうか?
もし興味をお持ちの方は、ぜひアンケートにご協力ください。
マンション騒音緊急アンケート
2007年10月06日
マンション騒音問題〜3

ここにきて、マンション騒音、近隣騒音の問題への判決が
相次いで出てきています。
きのうは、200m離れた近隣公園の噴水で、こどもたちが歓声を上げている「騒音」に
耐えられないという訴訟に対して、原告勝訴の判決。
原告はマンションの住人で、部屋の中はその最中で60デシベル程度だったということ。
ちょうど、東京都の騒音条例のページがあったので、
そこからレベルの基準値を抜粋したのが、上の表です。
これでみると、60デシベルというのは、普通の会話レベルということ。
こういう判決は、あくまでもこの周辺的状況をしっかり把握しなければ、
うかつには論議できないとは思いますが、
噴水で遊ぶ子どもの時間帯を合わせて考えると、
公共的な公園のなかでのことでもあり、それを認識した上で
住居を選択した近隣住民としての受忍限度内のことではないのか、
そういう印象も受けられるところだとは思います。
さらに言えば、そもそも200m離れているほどであれば、窓の気密化をしっかりやれば、
たぶん、音をかなりレベルダウンすることは可能なハズ。
そういう方向での解決はなかったのか、いきなり公共の公園が
使用の制約を受けるというのは、ちょっと理不尽な気もします。
しかし、このマンション騒音問題は奥が深い。
きのうも書きましたが、実はわたしも苦い経験があります。
いまから25年以上前なのですが、住んでいたマンションで、
上階の方が、夜中にドラムを叩いていたのです。
ちょうど、わが家の寝室の上が息子さんの部屋と言うことで、
ガンガン響いてくるのですね。
音にはいろいろなタイプのものがあるのですが、
ドラムスの場合は、低音域から高音域まで幅広いので、
ちょっと、どうしようもない、受忍できない騒音でした。
で、お願いに行きまして、そのときは止めていただけるのですが、
何日かするとまた始められる。
何回も苦情を言いに行くこと自体も、やはりストレスは溜まるものなのですよね。
息子さんも音楽をやりたいという欲求はわかるのですが、
やはり、夜の就寝時間にやられると、近隣住民としてはたまらない。
かれはかれなりに、ドラムスをたたける時間の制約もあるのでしょうが・・・。
そんな状況に、「まぁ、こりゃ、マンションは住むものじゃないな」と思った次第。
いくら「区分所有」という、権利を持った不動産資産とは言っても、
近隣関係への音の配慮などは、お互いに言いようがないストレス。
こどもにも、そういう環境はどうなのか、と考えて、
戸建て住宅を指向するようになったのです。
それと、同時期にNHKでマンションの絨毯のダニの問題が特集で放送され、
マンションのフロアを板張りにするブームもあったのが、
こういう生活騒音問題の拡大に影響したという記憶もあります。
そんなことで、わたしどものNPO住宅110番HPのアクセスもうなぎ上り。
みなさん、だいぶ、関心が高くなっているように思われます。
そんなことから、急遽アンケートも実施することにしました。
こちらで、みなさんのご意見をお聞かせください。
2007年10月05日
マンション騒音_2

写真は最近の「住宅クレーム110番」への投稿リスト。
大体、日に2〜5程度の投稿が舞い込むのです。
で、これを読み込んで、その上で、回答アドバイスをボランティアの
建築関係技術者のみなさんにお願いする次第。
場合によっては、NPO住宅110番としての回答アドバイスなどもします。
まぁ、日課にして取り組んでいかないと、溜まると大変になる。
そういうなかでも困ってしまうのが、マンション騒音問題なんですね。
きのうはフジテレビ系列の夕方のニュース番組からインタビューも受けまして、
お答えはしたのですが、たいへん難しい問題。
一応、壁面などの防音対策として、最近アドバイスをいただいたケースでは
以下のような方法がありました。防音対策として
隣室との境界壁に石膏ボードを施工して
さらにGWを充填するという方法を業者さんから提案されたユーザーへの回答です。
アドバイスいたします〜(ハウテック)
そもそも、界壁に石膏ボード(GL工法か?)がちょっと不安ですね。ご懸念のとおり、太鼓現象がお隣側にも張ってあるのであれば、発生するでしょう。室内で大きなレベルで音を発生させる場合は、これを吸収すべく設備を施せば、他に伝播するレベルを下げることができます。簡単なのは部屋の容積に比して、表面積を増やすことです。通常のマンションですと、吸音する何ものもなく遮音性ばかり上げているので、室内で手を叩くと日光の鳴き龍みたいな音が聞こえます。ただ、天井に懐があるとか、二重壁にするとかの室内の余裕がないので、十分な吸音処置はなかなか困難です。となると、オーディオ空間としては悪くなりますが、結局はさらに遮音性を高めて隣戸に迷惑を掛けないのが最善の方法になるかと思います。
とりあえずは界壁のプラスターボード張りの部分は、言われる通りグラスウールを充填してください。200k以上の密度の濃いものとします。プラスターボードは2枚張りとして間に遮音シートを挟みこんでください。3ミリ以上のものとしてください。天井は直天であれば、軽量下地で組んでこれにプラスターボード壁と同じように遮音シートを挟みこんで二枚張りとします。軽量下地部にはグラスーウールを充填してください。仕上げはビニールクロスではなく高いですが、布クロスを使用してください。吸音率が高まります。カーテンは布の厚い吸音性の高いものにして、室内の椅子などは木製、皮製を避け、布製のものを使用してください。床はフローリングであれば、置き敷き絨毯をしてください。室内出入り口は防音木建具に変更します。給気口があればこれも防音タイプに変えてください。この処置で30dBぐらいの遮音効果が期待できます。ほぼ、周囲に迷惑を掛けずに音楽を楽しめます。工事費はオプション費用で100万もアップしないでしょう。全く同じ工事で、グランドピアノを置く音大生の部屋を2回、マンションでオプション工事をした経験がありますが、クレームはありません。私はこれで十分かと思います。
通常のケースでは、下の階の音がうるさい、
というケースはまれなので、天井面の防音はあまりケースがないと思いますが、
その場合は壁面と同様な工事を行う方法も考えられるでしょう。
首都圏など密集地でマンションにお住まいのみなさんなどには、
おとといの裁判所の判例は、人ごとではない問題。
で、本当にわたしにも人ごとでない経験があります、それはあしたに。
2007年10月01日
再生住宅のコンプライアンス向上

先日のブログで建築基準法の改正に絡んだ混乱について書きましたが、
一方で、同じように公共がからんでの動きで、
大変ユニークで面白い動きをしているのが北海道の取り組み。
3ヶ年の計画で「中古住宅流通促進」のための施策を検討しているものです。
わたしも、この審議会には参加させていただいているのですが、
基本的な方向性としては、
既存住宅をきちんと資産として評価して、
それをどのように手を加えればどのように資産価値を向上させられるのか、
ハッキリと評価可能な基準を作り出そうと指向しているもの。
北国住宅としての性能について、
研究の積み重ねが重厚な北海道だから、
こういう具体的な指針策定も可能なのだと言えます。
多くの先人の知恵と工夫があって、積み重ねられてきた実践的な家づくり技術の
ベースがあって初めて、こういうマーケッティング的な取り組みにも
具体的な説得力が出来てきていると思います。
既存住宅の、現状の品質データなども入力し、
それに対して、どのように手を加えていけば
「資産価値としての向上があり得るのか」という部分も明確になるもの。
これまで、住宅リフォームというものが必ずしも明確にならなかった部分を
くっきりとさせる、いわばコンプライアンスの導入という意味。
ユーザーとしては、こういう調査結果に基づいて、
中古住宅としてそのまま流通させてもいいし、
場合によっては、品質向上のリフォームを行ってから
高く販売する、という選択肢もあり得る。
購入する側も、第3者の公平性のある調査済み物件を購入できる。
そんなメリットが住宅流通に生まれ出てくる可能性があります。
リプランとしても、こういう動きを大いにパブリシティしていきたいと考えています。
2007年09月26日
建築基準法の改変

最近の建築を取り巻く情勢変化のなかで
憂慮すべきなのが、建築基準法の改変があります。
ご存知、耐震偽装の姉歯さんの問題から、
木造住宅でも法の厳格性を高めたような方向になっています。
その意味ではユーザー側からは歓迎すべき方向ではあるといえるのですが、
現実は必ずしもそうはなっていないし、
各自治体の建築申請業務は現場で大混乱していると言われています。
なにせ、法の施行から半年近く経っているのに
適切な判断ガイドラインが明確に示されていないので、
木造3階建てなどはほぼ申請が店ざらしになっているような状態。
建築確認申請が受理されないということは、
建て主にとっても、資金の借入面でも問題になるし、
新築計画の大幅な遅れによって、仮住まいの契約期間が長引いたりする、
具体的な損失が拡大する結果を呼んだりしています。
春から夏にかけて、着工戸数は国土交通省の調査でも大幅減。
中小ビルダーの申請はそれぞれ個別の構造計算書類なので審査に慎重になる一方、
大手ハウスメーカーの物件は、構造計算書が全国一律なので、
通りやすくて、どんどん許可が出る、という状態になっています。
こういう事態は充分予測できたはずなのに、
行政側の対応不備が、建築会社間の競争条件をゆがめているとも言えます。
ところかわれば、品、変わる。
写真は以前見学したスウェーデンの「木造多層階建築」。
地震への配慮が法的にあまり顧慮されていないことからか、
壁や床面の強度を若干高める程度で、木造でもこういうマンションが可能になっている。
当然コスト面では相当に有利になってくるし、
コンクリート建築とは違って、CO2の排出量換算ではたいへんサスティナブル。
地震への対応、日本は本当にきびしい。
でも、こういう試練を超えていくことで、
日本の建築技術は、さらに飛躍していくものなのかも知れません。
願わくば、そのうえでなお、どうしたらコストを抑えることが可能か、
真剣な努力を期待したいところですね。
2007年09月21日
ツーバイフォーの曲面壁

わが家の増築部分の外壁側のアップです。
2階部分だけ、壁を湾曲させてみました。
ただし、ツーバイフォーフォー構造なので、
壁面全体をカーブさせるのはどうやるのか、施工を楽しみにしていました。
そうすると、壁面下部のツーバイ材に細かく内側に切り込みを入れて
寸法を調整しながら、思い通りの曲面を作っていました。
なるほど、と感心した次第。
この2階部分は室内では、書斎的な部屋として使っていまして、
その壁面がなだらかにカーブを描いているわけです。
壁に沿って、収納棚もカーブさせているので、
たいへん優美な感じがしまして、お気に入りの部屋になっています。
はじめは、そんな難しいことに挑戦して、
不具合が出たりはしないだろうか、という心配もあったのですが、
そういう意味では、いい方に予測が外れてくれて、
いい工事になったなぁと、ニンマリしております。
外壁側からも、ちょうど角波鉄板の外装材と、このかたちが似合っていて、
バランスのいい、外観デザインの要素になっていると思います。
家づくりって、ひとによってやはり求めるポイントは違う。
こういう空間性にあまり価値観を感じない人には、
「なんでこんな壁、曲げたのさ?」というのがオチですけれど、
それなりに楽しませてもらっているとは言えます。
2007年09月18日
斜めの窓

わが家では、増築で飛び出した部分の壁がたいへん印象的な部位になりました。
ちょうど結構な車通りの多い角地に位置していて、以前、
通行車がカーブを曲がり損ねてきた場所にも当たっています。
そんなことから、外側には煉瓦積みのミニ花壇も作って、安全上の配慮もしている位置。
そこで、車のドライバーにも注意を喚起するようなアイストップも考慮。
そういう意味でも、外観的なアクセントが欲しい、となったワケ。
でも、予算は節約したい、というなかから、既存窓を斜めに入れて使ってみよう。
ということになった次第です。
まぁ、なかなかユニークな発想で、見たことはない。
でも、嵌め殺しの窓ならばそう問題はないだろうけれど、開閉ではどうかという点も心配。
「そんなことして、雨仕舞いなどは大丈夫だろうか」、なんですね。
「でも、面白そうだから、やってみよう」ということで挑戦。
その後、増築してから7〜8年経ちましたが、
玄関ということもあって、あんまり開閉の機会は少ないこともありますが、
雨漏り被害などはありません。
ときどき、年に数回くらい、開閉の機会はありますが、
いまのところ不具合は出ていないので、まぁ、こういう使い方でも
特段の問題はないものなのかも知れません。
施工上は防水のことがあきらかに一番の問題ではあるでしょうが、
そのあたりは信頼の置ける業者さんでもあったので、
というポイントが大きいのかも知れませんね。
あまり一生懸命やっていないのですが、
実は窓の前の植栽も、窓が四角なので、
植栽は、なんとなく円と、三角を意識して造作したつもり・・・。
なにかの知恵で、円・三角・四角とそろうと縁起がいいと聞いたこともありまして・・・。
って、どうも、三角はうまくいっておりませんね。
どうせなら、針葉樹、ヒバなんかの方が良かったなぁ、などと反省。
でもまぁ、いまのところ、通行車も事故ったりしてきませんので、
一応の用途は果たしてくれているようです。
みなさんの印象はいかがなものでしょうか、ね?
2007年09月14日
リフォームの性能向上をハッキリ表示

先日行われた新住協セミナー札幌にて
以前から触れてみたいと思っていたQPex〜熱損失係数計算プログラムの
使用方法が、室蘭工大・鎌田先生から直接説明があったので、
少しいじってみようかなぁ、ということで、使ってみました。
たいへん考えられたソフトで、エクセルのマクロを使ったものなので、
使い勝手はわかりやすく、直感的。
エクセルが使えれば、まぁ、問題なく使用できます。
同様の計算ソフトは多いそうですが、高額でソフト内部はブラックボックスということ。
その意味では、たいへんオープンに作られていて、
細かく仕様を調整して使うことも可能というもの。
住宅の基本的なスペック情報、天井や屋根、壁、基礎、床断熱のデータを入力したり、
開口部の仕様などを数値入力すれば、
個別の住宅の熱損失係数、もっと直感的にわかりやすく言えば、
年間の灯油消費量が簡単に算出できるというものです。
これを使っていくと、既存住宅のそういったデータも得られるので、
断熱リフォームとか行った場合の、使用前、使用後の熱損失の変化が事前にわかる。
これまで、どうしても「暖かくなりますよ」とかと、
あいまいな表現しか出来なかったリフォームの意味合いが
具体的な数字で示すことが可能になってくるワケです。
もちろん、施工のディテールの問題もあるので、
この計算だけがすべてではない要素もあるのですが、
おおよその判断基準には十分に活用できるものになります。
多くのリフォームに関わる事業者さんは、
こういうデータを明示しながら、顧客開拓すべきなのではないかと思います。
たとえば、「あなたの家のいまの熱損失をハッキリさせます」
というような無料サービスをこのソフトを使って表示して、
そのうえで、リフォームの効果を数字で表現しながら、
やり方別に概算予算を示していく、という魅力的なアプローチが可能になる。
ユーザー側としても、こういうのはメリットが高い。
別な見方をすれば、冷房の効率なども数字化させることも可能ではないかと思います。
そうすると、関東以南の温暖地などでも、大いに魅力的。
このような、オープン化、透明性の明示、というのが
いまの消費者が求めているもっとも大きな部分なのではないかと思います。
ぜひ、普及が進んで欲しいソフトだと思います。
お問い合わせは、新住協 http://www.shinjukyo.gr.jp/ まで
2007年09月11日
自然循環型住宅

先週末、金曜日。
台風が刻々と近づいてくるなか、軽自動車で高速を飛ばして、
って、いうか、飛ばされそうになって(笑)、
なんとか、白老町までたどりつきまして、
この住宅の完成竣工式に間に合いました次第です。
北海道では、「パッシブ換気システム」という換気と暖房をきわめて自然に実現する
システムがけっこう建てられています。
北海道大学の絵内先生が主導されているシステムです。
簡単に言えば、外気を暖房装置を据え付けた土間空間に導入して、
そこから自然な対流によって暖められた空気を室内に上昇させて
室内温度のムラのない環境を実現させます。
生活活動で汚れたり、臭いをともなった空気は上昇していって、
屋根頂部に開けられた排気筒から屋外に排出される、という循環型システム。
この家では、さらに太平洋型の晴天率が高い土地柄を活かして
太陽光発電を屋根に装置して、
より「自然循環システム」を際だたせているものです。
床下土間空間には2kの容量の電気蓄熱式暖房機8台が据え付けられています。
このシステムでは、床下土間空間の防水性が重要。
当然、基礎断熱を採用していますが、いろいろなノウハウの組み合わせで、
床下の乾燥状態の維持が考えられています。
室内では窓下などに空気上昇口が各所に設けられ、
室内を空気がゆったりと上昇していくように考えられています。
屋根頂部には排気筒への換気口が確認されます。
排気筒は2つあり、その配置間隔は「企業秘密」ということ。
2階建てで、空気導入位置から屋根頂部までの高さのバランスが重要であり、
そのバランスで空気対流のスピードや総量が計算されていると言うことです。
この建物は、このようなシステムの展示施設であると同時に、
北海道白老に移住を希望するみなさんへの「宿泊体験施設」としても
有効利用させたいという目的も持って建てられています。
周辺一帯は温泉権利付きの別荘分譲地ということなので、この家のお風呂も温泉。
まだ、帰ってから仕事も山積みだったので
やきとりなどをごちそうになっただけで、温泉風呂は残念ながらパス。
無念の気持ちのなか、台風迫る高速をふたたび帰路につきました。
移住希望の方は、こんな「北海道暮らし」体験もできますので、
ご検討ください。 にしても、いいなぁ〜、温泉(ハァ〜)。
2007年09月10日
居間の大開口部

さて山形の家、居間から臨む大開口部です。
上部は吹き抜けになっていて、2階部分の窓は4連のジャイロ窓が連窓になっています。
居間からは幅の広い縁側を介して左写真のように家庭菜園。
聞くと、結果的に広い敷地になったので、確保できたと言うこと。
ミニトマトなどがおいしそうに成っていました。
で、この大開口、幅が1間半ですから5.4m。
そこにペアガラス入りの引き違い建具が造作されています。
構造的には内側の丸柱で受けていて、
その外側に重量物の建具を仕舞い込む仕掛けが取り付けられています。
たぶん、構造をからめたら、この建具は成立しないだろうと思います。
まぁ、伝統的な日本スタイルの開口部では、
断熱気密を考慮しないので、簡単に構造部分の外側に既製品のアルミ建具で
というような簡易なもので済ませられるわけです。
右端には建具を仕舞い込む収納部があります。
建具が走るレール部分や、建具同士の気密性を担保する金物の検討、
さらに建具自体の詳細な性能と使い勝手の検討など、
まさにノウハウがぎっしりと詰まっている大開口部です。
さらに、白いハニカムサーモスクリーンがより性能を向上させています。
というような建具の構成で、こうした開放的な空間が
熱環境的にしっかり考えられて実現しているのです。
さまざまな素材。ガラスの検討から、枠の木の選定、
滑らせていくレールと建具の関係性など、建具屋さんとの仕様調整。
建築行程との段取り調整など、
たぶん、多岐にわたるポイントがあって初めて実現できていると思われます。
高断熱高気密の技術をベースに、
本州以南地域の夏場の快適性に対しての試行が
いろいろに工夫されてきている現実を見た、という気がしました。
2007年09月08日
すだれと縁側

この山形の家の建て主さんは北海道の出身者ということ。
直接お話を聞く機会には恵まれなかったのですが、
設計者から聞いた話では、
この写真のような「日本の夏」の風情を実現したかったということ。
寒冷地に育ったことで、民族の原風景としてのうだるような夏に憧憬の念を持っている、
っていうようなことなのかなぁ、と想像してしまいました。
わたし自身も、そういう思いを強く持っている方なので、
こういう情景には強く思いをいたしてしまいます。
四季の移ろいのなかで、日本が持っている炎暑の夏は、
日本人のDNAのなかにしっかり刻み込まれている生活文化のバックボーンとして、
やはりなくてはならないものだと感じます。
そのような夏の極みとして、
甲子園球児たちの汗と涙のドラマがあったり、
お盆というクライマックスがあったりする。
そういうなかで、このようなすだれと縁側越しに、そよと動く風に
日本人は敏感な感受性を育て上げてきたのではないか。
きわめて「高温多湿な」この空気感が、わたしたちの精神性にあたえたものは、
貴重でかけがえのないものだったのだと思います。
ただしそれは、家の作り方としてはあくまでも寒冷な冬を旨として、
その克服性能をしっかり満たした上でのこと。
そうでない場合は、作り手の建築技術者としては、
あまりにも、施主の情感性にだけ頼り切ったような姿勢を感じてしまいます。
そのような作り手の姿勢は、やはり建て主の側からは困りもの。
あくまでも、性能をしっかり担保した上で、
こうした思いを実現させようとする姿勢に、建て主側は共感と信頼を覚えるものでしょう。
全開放の夏と同時に、
厳しい冬に対峙できるのだ、という安心感があってはじめて、
こういう風情も、味わい深いものになるのだと思います。
2007年09月07日
断熱気密の玄関引き戸

玄関の扉とか、建具って、なかなか性能を向上させるのは難しい。
伝統的な引き戸が日本人の生活習慣には馴染んでいるのだけれど、
このスタイルでは断熱はともかく、気密化を図ることは難しいんです。
そうなので、北米や北欧の断熱ドア、というのが北方圏では一般的に使われます。
また、たぶん、公団住宅の規格としてのLDK思想とともに、
日本人一般に玄関ドアという出入り口の規格が受け入れられたので、
高断熱高気密住宅でも、幸いにそう大きく論議されることなく
玄関は断熱タイプのドア、ということになったのだと思います。
けれど、近年ふたたび、伝統的和風スタイルの良さが見直されてきて、
「引き戸による出入り」の開放性、気楽さなどが注目されていると感じます。
まぁ、一方ではセキュリティ意識の高まりがあって、
そういう意味からも、より高性能なものは求められていると思います。
このお宅では、玄関に引き戸を採用しています。
で、熱損失としては家全体でQ値、1.3。
こういうディテールの部分に、設計者の丹念な姿勢が伺えます。
もちろん、ドアの方が、簡単に断熱気密は計りやすいのは当然なので、
熱損失の観点からは、決して推奨できるとはいいきれないのですが、
そうしたマイナスポイントをいかにクリアするか、
細部にわたって、工夫を凝らして造作しています。
最近はメーカーものでも、かなり研究は進んできてはいるそうですが、
バラエティも少ない商品分野でもあり、
玄関というのは、生活デザイン上のウェートも高いので、
性能に配慮しながら、造作しているのですね。
ガラスはペアガラスで、その内側に目隠しをかねたアルミとおぼしき板を張っています。
で、きのうご紹介したような建具の工夫で、
密閉気密性の高い金物などを採用しながら作っています。
夏の過ごし方の日本的生活習慣デザインに果敢に挑戦する高性能住宅仕様。
この山形の家、いろいろに見どころが満載になっています。
2007年09月06日
木製断熱引き違い建具

きのうからご紹介している山形のお宅の和室外部建具です。
一見すると、ごく自然な建具に見えますが、
断熱性能を考えながら、夏場の大容量通風換気を実現させる装置なんですね。
まずは、ガラスは当然ペアガラス以上の仕様。
確認し忘れたのですが、場合によっては3重ガラスという仕様かも知れません。
ただし、3重ガラス入りで引き戸タイプの建具にしようと考えたら
ちょっと開閉が重くなって仕方ないはずなので、たぶんペアだと思います。
そのガラスをしっかりした木製枠で納めています。
性能面をしっかり担保するには、一定の木の面の幅も確保します。
そのうえで、レールの上を動かすのですが、
ここで決定的なのが、閉めるときの金物の性能。
しっかりと、引き絞るような感覚で閉められるように工夫してあります。
そういった建具を、写真左側のように、戸袋にしまい込んで、全開放させるようになっているのです。
このような大開口部を、風の通り道を考えて2方向に造作して、
ここちよい風の通りを室内に導き入れているわけですね。
そして、すだれや風鈴、といった涼感を刺激するアイテムで、
さらに夏の雰囲気を高めるようにしていました。
というような技術面の説明になるのですが、
しかし、断熱と気密に配慮しながら、このような大開口を実現するのは、
外部建具のディテールで、かなり詳細な検討が必要です。
設計者は、建具屋さんと、サッシメーカーとを協調させながら、
手作りのようにこうした装置を実現させたのです。
とくに、重量のかかる木製ペアガラスで、スムーズな引き違い建具は稀有。
わたしも実際に引き違いの操作をしてみましたが、
若干は重量感は感じますが、日常的な使用にも十分なレベルと感じました。
こういう建具を使って、巨大開口部を造作しながら、
この建物の熱損失は、Q値で1.3レベルということ。
次世代省エネルギー仕様で、北海道でのレベルが1.6ですから、
3地区である山形ということを考えれば、相当なレベルの高断熱高気密といえます。
なので、建具で締め切って、軽い冷房を運転させれば
それのほうが涼しい室内環境は実現できるレベルとは言えます。
しかし、このように「夏らしい暮らし方」を実現させながら、しかも冬も暖かいワケ。
以前、このような引き違い建具で大開口に挑戦して、
しかし、惨憺たる現実に直面していたお宅も実見したことがありました。
そこではほぼ、開口部としての機能が破綻していて、
建具の開閉もままならなくなっていました。もちろん、隙間だらけになって、
冬はたいへんな状況なのだろうなとも推定されました。
そういうことも知っていただけに、
こうした開口部の研究努力・技術力の素晴らしさを実感した次第です。
2007年09月05日
ジャイロ窓

先日撮影取材した、山形市の住宅。
山形市は、今年、最高気温の記録を埼玉県熊谷市・岐阜県多治見市に
抜かれるまで日本最高気温を記録していた街。
なんと73年前に40.8°Cという、今年の記録と0.1度しか違わない記録だったのですね。
山形は、冬は寒冷でしかも雪も多いのに、
周囲を山に囲まれた地形から、夏の温度上昇もすごいんですね。
車で1時間ほどしか離れていない仙台市が、海風の影響からか、
比較的に涼しいのと比べても、特異に暑い夏を持っている都市です。
そんなことから、夏の防暑対策を考えた家づくりが求められる土地柄。
この住宅も、施主さんは北海道出身者のご主人ということですが、
そういうことから、高断熱高気密で、しかも夏場対策を通風という考えで追求した、
いろいろに工夫している建物になっていました。
とくに開口部周りにおもしろいポイントがありましたので、いくつかご紹介します。
きょうは、写真でごらんいただけるジャイロ窓。
北海道ではまず見かけることがない窓です。
以前、この寒々しいアルミ製のジャイロ窓の住宅を取材したことがあって、
どうも、ジャイロ窓というとそのイメージが強烈だったのですが、
これは、窓枠は内側に樹脂で、外部側はアルミという素材構成ということ。
樹脂の断熱性能とアルミの耐候性を両立させているタイプ。
断熱的には、全樹脂製には及ばなくなるのですが、中間的なものですね。
全樹脂タイプがあるのかどうかは、確認できませんでした。
その点はあるのですが、しかし、なんといっても
夏場の通風率がたいへん高いのだそうです。
まぁ、目で見ていても大量の通気が確保できそうな印象。
この位置にあるジャイロ窓は、室内では吹き抜け上部にあたっていて、
室内から開閉が出来るようになっています。
やはり、夏場の室内上部の温度上昇は厳しいので、それを逃がしていく経路になります。
設計者の中村廣さんは、高性能住宅の設計で
IBECの省エネルギー住宅コンテストでも入賞されたことのある設計者。
そんなことから、いろいろな設計上のポイントがあります。
地域の特徴をとらえた住宅設計のプロって、
やはり必要不可欠な存在ではないかと思います。
寒さ、暑さに立ち向かう住宅づくり、やはり本道だと感じますね。
2007年09月03日
玄関前の目隠し

写真は宮城県大崎市の新興住宅街の家。
一面の田んぼだった土地に建てられている住宅地なので、
まだ、お互いの視線を遮るような立木などが乏しい。
そんなことから中間的な領域での目隠しが必要になってくる。
写真の部位は、ちょうど玄関ドアに正対した位置に当たる面に
パンチングメタルで角波状になった鉄板を採用している様子です。
住宅建築は世に連れていくデザイン感覚も反映するものなのでしょうね。
世の中の移り変わりとともに、建築の材料も変化していくものでしょう。
いつも、そういう変化のなかで、その素材の持つ美感を発掘して、
大胆に使用するという挑戦精神は求められると思います。
このパンチングメタルという素材は、
まぁ、比較的多く使われている部類でしょうね。
このように使用しても構造的な強さがあって、
穴が開けられているので、視線の透過性があり、しかも反対に遮蔽性も期待できる。
なにより本物の素材そのものなので、
経年的な変化などもむしろ楽しめる可能性が高い。
そんなことから採用されたものと思われますね。
この家は外観としてはきわめてシンプルなボックスなので、
そういう雰囲気のなかでは調和している、といえるでしょう。
時代を表現するような素材、という意味では、
最近見ていて、こういう系統のシルバーメタリックというのが、
どうも、同心性が高いような気がしてきています。
モノトーンに近いような雰囲気と、こういう素材の質感って、
けっこう似合っているように思いますね。
こういう素材にやすらぎを感じるか、虚無的な感覚を感じるか、
世代によってもずいぶんと感じ方には差異があるでしょうね。
ただ、このようなしつらいが似合うためには、施主側に
ある程度の感受性が求められるような気はします。
似合っていれば、ものすごくいいけれど、
場違いになり出したらキリがない、そんな感じが強い素材のようですね。
みなさんはいかが、感じられるでしょうか。
2007年09月01日
駐車用外部コンクリート床

写真は宮城県大崎市古川の新興住宅地の家。
左右にコンクリート床だけの駐車スペースが隣り合っていました。
で、右側の家の床の拡大写真が、左上。
こういうコンクリート床の場合、ただただ、面積分床面を広げるのが一般的ですが、
右側の家の場合、ちょうど敷石のように
いくつかにセパレートして、間に浸水領域とでもいえるような
土の露出スペースを空けていました。
このようにすれば、写真のように踏みつけられても強い草を植えることが出来ます。
まだ植えたばかりなので、十分には生えそろってはいませんが、
すぐにしっかりと根を張って、細い土の全面が緑になります。
草の種類にもよるでしょうが、たいていはメンテナンスフリーで
毎年しっかりとした緑を形作ってくれるようになります。
このようにセパレートしながら施工するのと、
左の家のようにベタッと全面領域を施工するのと、
じゃぁ、どちらがお金がかかるか、というと、
それが全然同じなんですね。
こういう工事種目の場合、面積計算での計算になるので、
若干は手間がかかるはずなんですが、
同じ料金で済ませられるんですね。
まぁ、このように草を植え込むのは別ですが、
そういうのは建て主側で、自分でやればいいので、工事費アップはない。
まぁ、ほんの少しの違いではあるのですが、
案外、気がつかないような部分で、大いに違いがある。
家への愛着に関わる部分の作りよう、ということですね。
さて、本日、沖縄に行っている娘が帰省してきます。
久しぶりに家族が揃うわけで、なんとも楽しいものですね。
わたしも大学は東京に行っていたのですが、
子どもの帰省というのは、こんなに待ち遠しいものなのだなぁ、と
親の気持ちがわかってきますね。
短期間ですが、家族団らんを楽しめるのがうれしいです。
2007年08月26日
北総研訪問しました

北総研、正しくは「北海道立 北方建築総合研究所」。
北海道の外郭組織で、旭川市郊外にあります。
前身は「寒地都市住宅研究所」で、当時は札幌市西区にありました。
北海道は、その前身の「北海道開拓使」の時代から、一貫して、
「寒冷地における住宅」というテーマを
日本民族が北方圏に居住するための基本要件と認識し続けて、
そのための研究努力を継続してきた、ということができます。
その意味では、日本国家の意思としての北方圏開拓の
基本条件をずっと、研究し続けてきた組織である、とも言えると思います。
で、今日的意義でいえば、
このようにして蓄積されてきた北方建築技術が、
同時に省エネルギーで、地球温暖化に抗する技術として
脚光を浴びるようになってきていると言えますね。
実際に、日本全国から「共同研究」の申し出が後を絶たず、
近い将来、民営化したとしても、十分に自立していけそうな組織のように思います。
写真は、庁舎の全景模型ですが、
建物それ自体としても、IBECの省エネルギー賞を受賞しています。
基本的な断熱気密の性能に加えて、
日中勤務稼働時間での照明用電気使用率が10%以下というレベル。
これはいかに、太陽光利用率が高い設計になっているかを表しています。
手前側の事務スペースと、奥の実験棟とをつなぐ巨大な採光吹き抜けアトリウムには、
Low-Eペアガラスを介して制御されながら、たっぷりの昼光が降り注いでいます。
また、開口部周りの換気口などの工夫は、
自然換気の利用による室内環境のコントロールを入念に計画していることが明白。
こうしたポイントに徹底的に集中することで、
デザインとしてもたいへん清々しい建築に仕上がっていると思います。
というようなお話を聞くことが出来たのは、今回が初めて。
実は何回も訪問していましたが、いつも他の要件で来ていたもので、
自分自身は初めてディテールを聞くことが出来たワケなんです(汗)。
実務に関わった研究者の方から、
細部のお話を伺ったのですが、こうした立派な建物でも、
実際の設計、施工の段階では、いろいろな問題点もあったそうです。
しかし、今後の建築が目指していくべき基本方向をきわめて明確に示している、
という意味では、わかりやすい近未来を感じさせる建物だと思います。
2007年08月10日
先斗町早朝散歩

さて、京都紀行。
坊主との日中の観光もいいのだけれど、
やはり建築的な興味もあるので、早朝散歩がたいへん楽しみ。
市内中心部のホテルでしたので、朝、先斗町を散策。
って、そんな人はいないだろうと思っていたら、
前夜から徹夜で飲んでいるような人が多くて、
けっこう人が多い。
ただ、先斗町は食事をメインとしたお店が多いので、
そういうみなさんのおじゃまにはならなかったようです。
先斗町って、変な名前だなぁと、前から思っていたのですが、
ポルトガル語に起源を持つ名前と言うことだそうですね。
信長の時代に、南蛮寺もこの近辺にあったそうです。
そんな街並みで、目に付いたのが、「けもの落とし」と呼ばれる外部装置。
「あれ、なんて言うの?」とタクシーの運転手さんに聞いたら
「けもの落とし」と教えていただいたのですが、
面白そうなので、Wikipediaで調べてみたのですが、そういう項目はない。
なので、この運転手さんの説明だけが情報源なのです。
写真でご覧いただくように、
竹製で楕円形状に上部がすぼんでいるわけですが、
機能は、ネズミやタヌキなど、食べ物を狙ってお店に入り込もうとする「けもの」を
入られないようにするものなんだとか。
コメなどの食料をネズミの被害から守るのに、
高床式建物で「ネズミ返し」という装置がありますが、
そういう機能を果たすものなのだそうです。
先斗町では、この装置が連続していましたが、
ほかの町家でも同様なのかどうか、確認は出来ておりません。
しかし、竹の素材がみごとに古びたお店から、まだ真新しいお店、
さらに鉄製の素材で造作しているお店など、
いろいろあるんですね。
なかなかに奥ゆかしさを感じさせる外部装置。
このあたり、一種の格式も表現する装置であるように思われます。
今度じっくりと、調べてみたいなぁと思った次第です。
●追伸
建築士資格を持っている知人にも聞いたのですが、ほぼ誰も知らないということでした。
で、彰国社「建築大辞典」で調べましたところ、やはりこの名前では登録がなく、「竹矢来」の表記がこのものを表しているとは思われます。竹垣の一種のデザイン表現のよう。
ただ、そこでは「竹虎落〜たけもがり」という別名が記載されています。そう、運転手さんの言っていた言葉の意味にやや似た言い方になるのですね。
現在のところ、以上のような調査になっていることをご報告いたします(笑)。
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2007年07月30日
優美な窓飾り

写真は北海道開拓の村に建てられた
「擬洋風建築」にあった窓の外部飾りです。
いまはこういう手の込んだ優美なデザインは無視されがちですが、
このように詳細に見ていると、
このものの建築的な意味合いが明確に見えてきます。
わたしの少年時代、昭和30年代には、なぜか札幌って
こういう「擬洋風建築」が多かったものです。
開拓期の残像がまだ、残っていたということを表しているのだと思います。
そんな建物のあちこちでこういう窓の表情を見ることがありました。
前に気づいた出窓もそうなんだけれど、
こういう窓の外部意匠も、「擬洋風建築」を特徴づけるものだったように思います。
ただし、このように見ていると、けっしてこれらは
デザインを優先しただけのものではなく、
外部からの日射しを調整したり、雨や雪と言ったものから
建物でもっとも弱い部分・窓を守る働きをしていたことが明瞭。
現代でも、最先端の住宅性能を考えてくれば、
こういう部分が果たす役割に大きく注目が集まっているのです。
現代の多くの住宅では、施工の手間を省略するように
こういう手の込んだ手法は顧みられなくなっているのですが、
外部からの日射をコントロールするためには
このような装置でオーニングする手法がもっとも効果的と思われるのです。
また、長期的に窓を保護するためには
やはり水分進入を厳重に防御する、こういう考え方がベストと思えるのです。
こういう明確な役割を果たしながら、
優美なディテールをそのかたちに与え、愛着を演出もしている。
外側から見たときにも、建物に奥行きのある美しさをもたらしています。
目鼻立ちを考えて、しかもその陰影感を強調もしてくれるのですね。
しかも、日射の変化に応じて刻々と表情も変えてくれる。
こういうクラシカルなデザインに、豊かな機能性も見いだせるワケなんです。
よく「効率優先」と、現代を表現しますが、
自然との調和、というこれからの社会を考えていくときに、
知恵は、むしろ、こういう時代のものの方が遙かに優れていたのではないかと
感じられてなりません。
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2007年07月18日
傘立て

いまはあまり見かけなくなったけれど、
すごく合理的な住まいのなかの「仕掛け」を発見。
写真は、しばらく続いている「番屋」建築の台所周囲の様子。
大きなかまどから暖気が上昇する位置に
傘が収納されておりました。
見ると、みんな立てた状態で、上下が穴にスッポリと入っていて、
実に合理的な仕舞い方。
雨水を良く切ってから、ここに収納させれば、次回使用時までに
油紙に吸い込まれた水分も乾燥して、良くメンテナンスされる。
傘は、みんな長さや仕様も統一されていたのですね。
だから、こういう仕掛けが成立する。
現代ならば、仕様は各傘メーカーバラバラに、勝手に長さも決めるから
住まいの仕掛け側は、こういう作戦は採れませんね。
気がついてみていたら、北海道開拓の村、他の家でも同様の仕掛けが
土間に面した壁などに見かけられました。
きっと、こういう仕掛けはきわめて伝統的に存在していたのだろうと推測できます。
こういう風に仕舞われている様子を見ると、
単純に美しいし、大切に使いたい物だ、と思えてきますね。
1本足りなくなっても、こうやって毎日見ていれば、
習慣化していて、足りないことにもすぐに気づく。
傘は、まさに規格化されて、デザイン的にも統一されていますね。
ここに、現代で一般的なビニール傘とかが入っていると想像しただけで、
許せないような心理が働いてくると思います。
現代住宅ではモノがあふれかえりすぎてしまっていて、
雑誌の収納特集って言うのは、定番メニュー。
いかにみなさん、整理整頓の付かない状態に陥っているか、を表しています。
モノが少なかった分だけ、むかしは大切に使うという合理精神が
社会全体に行き渡っていた、と感じられますね。
さて、そういう意味では、
わたしたちは「進歩している」と、明確に言い切れるのでしょうか?
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2007年07月17日
囲炉裏端

ふたたび、きのうからの続編です。
小樽市にあった、ニシン番屋・旧青山漁家内部の様子。
ここは板敷きの広間で、囲炉裏がいくつか区切られています。
上辺には「わらじ」が乾燥させるためにくくりつけられています。
手前側の壁面にはヤン衆の名簿のような木札が架けられています。
共同生活の場であり、故郷との便りのやりとりなど、
表札のようでもあったのだろうと推測できます。
この板敷き空間は相当な広さで、50坪くらいはある感じ。
これだけの大空間を支えるように、見上げると、豪快で大きな木組みが表れています。
最盛期には、1階だけではヤン衆の寝床が足りなくなって、
2階にも窓周りに寝床が造作されています。
江戸期から明治にかけて、大きな産業であった
ニシン漁の盛んな様子が視覚的にも理解される光景。
ざっと見て、100人くらいの大人数がここで寝泊まりしていたのでしょう。
これだけの大人数が集合したとしても、
天井高が10m超はありそうで、たぶん、集まったヤン衆のだれも見たことがないような
大きな構造を持った建築です。
この大空間はゆったりとしたおおらかさで包み込んでいた感じがいたします。
テレビなどの娯楽のない時代、こういう囲炉裏端で
どんなふうに食事と休息の時間を過ごしたのでしょうね。
バチバチとはぜるような囲炉裏火を囲んで、それぞれの故郷のこと、
親兄弟のことを肴に酒を酌み交わしたのでしょうか。
現代でも、釧路が発祥といわれる
「炉端焼き屋」という飲食店のスタイルがありますが、
ちょうどこんな雰囲気、共通していると思います。
日本人が生み出してきた憩いの文化性のなかに
こういうベーシックな原風景がDNA的に刷り込まれていると思います。
北海道の冬場には、青物野菜が足りなくなって
こういうコメを大量に食べる暮らしでは
「脚気」が頻発する懸念があります。
江戸期に北海道警護の任務に就いた東北諸藩の武士は
大半がこの脚気で死んだと言われています。
ニシン漁の最盛期は3ヶ月ほどだったということなので
そういう健康面でも問題は発生しなかったのでしょうか。
暮らしのさまざまなことがらが
立ち上ってくるように想起される光景だと思いますね。
ここで宣伝。
わたしの発行する住まいの雑誌リプランHPの「家づくりwebセンター」
って、要するに北海道と東北の優良ビルダーさんとWEBを通じて「住宅相談」できる
システムがリニューアルしました。
これまでも延べ70件近い実績があるのですが、
今回は使い勝手を大幅に向上させています。
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2007年07月16日
立って半畳、寝て1畳

さて、きのうの番屋の続編です。
写真は出稼ぎ労働者のヤン衆の寝床と食卓。
わたし、結構、このヤン衆のための空間が好きです。
見学に来られる方たちは、よく「タコ部屋みたい」という感想を述べられるのですが、
右側写真の「寝所」だけをみればそうかもしれません。
しかし、この畳分だけ、人数がびっしりそろえば確かにすし詰めですが、
いつもそうとは限らなかっただろうし、
第一、この究極的な寸法感覚がいいと思うのです。
日本の建築の規格である、畳の広さというのが、
たいへん合理的な寸法であるということを、教えてくれる気がするのです。
ヤン衆のひとたちは、行李(竹や柳で網かご状に組んだ物入れ)ひとつに
身の回り品を入れて担いでこの番屋に来て、
写真右の窓下側にある収納部分に行李を入れて、
支給された布団や寝具に身を横たえて休んだ。
「頭寒足熱」的な建築的な配置になっているので、健康にもよさげです。
朝になったら、外にある厠で用を済ませたあと、洗面し、
寝所スペースと、通路土間の反対側の大きな板敷きの囲炉裏付きの広間で、
ごらんのような据え膳で、腹一杯、米の飯と食事を楽しんだ。
動物性の栄養は目の前で取れた新鮮なさかなを、
串焼きなどで遠赤外線的にあぶって、おいしく食べられた。
食事の給仕は、飯炊き女たちがこまめに用足ししてくれた。
大人数の食事を大量に料理するわけで、一般的にはおいしく料理できます。
東横インの朝食よりは(笑)、はるかに豊かな食卓風景。
そういう日常的なことに想像力を働かせてみると、
農家の2男、3男にとって、こういう暮らしは、働いても自分の身になるわけでもない、
やがては家を出て行くことを宿命づけられていただろう、自家での労働の日々よりは、
かなり魅力的だったのではないか?
なにより、現金の収入も得られたのも大きいと思う。
場合によっては、飯炊きの娘とのロマンスのようなことだって、
夢見ることが出来たかも知れない(笑)。
さて、寝所スペースですが、
本当に「立って半畳、寝て1畳」とは、良く表現したものと思います。
布団を敷いて、ぴったり1畳で、用が足りるギリギリが
「個人用スペース」なんですね。
しかし、この番屋での暮らしの場合は、そのほかに
生存のためのくつろぎの食事スペースも開放的に用意されていたのです。
そういう意味で、確かにプライバシーは究極的にないわけですが、
案外、居心地という意味では、いい環境とも言えるのです。
みなさん、どう感じられますか?
2007年07月13日
石炭ストーブ

写真は、北海道開拓の村で撮影した石炭ストーブです。
いまや暖房といえば、セントラルヒーティングかオール電化。
地中熱ヒートポンプ、さらには無暖房の実現まで
北方住宅の性能向上の努力は刮目の領域ですが、
ほんの40〜50年前までは、
こういうストーブだったんです。
アメリカから北海道開拓の基本的な考え方を導入した頃、
初めて日本にこういうストーブというものが持ち込まれた。
欧米社会では、石炭というエネルギー源が発掘・産業化されており、
暖房熱源が豊富に提供されていました。
それはそのまま、産業用のエネルギーにもなっていた。
かれら社会のシステムを支える基本エネルギーが石炭だった。
そういうことから、日本でも国を挙げて石炭発掘に全力を挙げ、
北海道の夕張を中心とする石炭産業が勃興しはじめた。
当初は黒いダイヤ、といわれ、まさに全産業を支える存在だったのですね。
わたしが3才まで過ごしていたわが家は、
空知地方の産炭地に隣接した地域だったのですが、
流れている川の河原には、石炭が流れてきていて、
そういう石炭を拾い集めてくれば、買う必要がなかったということでした。
まぁ、のどかな時代の話ですね(笑)。
そんなふうに入手できるものだから、
北海道の人の冬場の石炭消費は、相当に豪快だったと言えるかも知れません。
写真のようなストーブに、左側にある石炭箱から
石炭を「くべて」、ガンガン、鋳物製などのストーブ本体が
真っ赤に変色するくらいに、盛大にエネルギー消費するのが一般的。
その後、札幌での都市生活に移転したわけですが、
生活文化的には、エネルギー多消費というのが、
寒冷地では当然である、という考えが強かったと言えますね。
いま、こうして石炭ストーブを眺めていたら、
こういう時代も、また一瞬にすぎない歴史のなかのワンシーンだったのだ、
というような思いが強く起こってきますね。
もちろん、これからの時代はエネルギー消費を押さえる方向に進むべきであるのは当然ですが、
しかし、この石炭ストーブを囲んで、
冬の寒さをともに過ごす隣人たちや、
家族全員で、燃える炎の力強さに勇気づけられて
乗り越えてきた、というのも事実だったのです。
そういう北国らしい、おおらかな人間関係を育む側面もあったと思います。
2007年06月22日
円窓

写真は三笠市にある地元ビルダー・武部建設さんの
モデルハウス内部で撮影したものです。
このモデルハウスは、古民家再生型のコンセプトハウスで、
伝統的な日本家屋の記憶を随所にあしらった建物。
空間自体は、柱と梁が重厚な空気感を彩り、
畳や障子といった素材が懐かしい雰囲気を醸し出します。
で、極めつけ空間としての床の間の横に、
インテリア全体を引き締めるようにこの、円窓があります。
円窓って、日本的な伝統建築、寺院とかによく使われていますが、
考えてみると実にユニークな建具だなぁと、感心させられます。
こういうように窓枠を縁取るわけですが、
まずは、窓枠を丸く造作するという必要がありますね。
あたりまえですが、こういう技術、考えてみれば、
昔から日本人は得意だったのでしょうね。
壁を構成する材料、一般的には塗り壁ですが、
その下地を竹などの素材で格子状に造作します。
それ自体も丸く穴を穿っていかなければならない。
先に格子組をしてから丸鋸のようなものでくりぬくのか、
それだと、どうも格子組の下地が不安定になりそうで、
たぶん、先に丸い枠をはめ込んでから
周りの格子組を丹念に造作するのではないかと思います。
組み上げていく下地をがっしりさせながら、
表面は優美な丸いかたちを美しく仕上げていく。
いずれにせよ、他の部位に比較して
格段の注意と、細心な施工手間を掛けて
こういうデザイン性を建物に加えていったんだと思います。
そういうあたりに建築職人としてのプライドなども掛かっていたのでしょう。
基本的な建築性能を担保しながら、
こういうデザイン性の実現に全力を傾注していたのでしょうね。
現代であれば、いろいろな機械や道具があって簡易にできるのでしょうが、
手作りでこういう伝統美を継承させてきた技術に
建築への深い愛着の心を感じる次第です。
2007年06月10日
日本の各都市の気候

写真はリプランに掲載された、室蘭工大鎌田教授の記事説明の表の一部。
日本の断熱の基準である1地域から5地域までの区分についての再検討が
必要ではないか、という提言がされています。
単純に気温区分だけでは、必要な熱量の計算に合わない、ということ。
この表では各地都市について、
縦軸に気温を分布させ、
横軸には、日射取得量を分布させているのです。
日射取得量の多い地域では、窓面からの日射取得で
冬期にも熱エネルギーを得ることが出来るので、
建物の性能と開口部の性能を向上させてやれば、
気温が低いからと言って、エネルギーは単純には比例しない。
右側には、大体太平洋側の都市が並び、
左側には、おおむね、日本海側の都市が並ぶ、というような状況になっています。
気温が高めの地域でも、日射取得が少なければ、
冬期の保温性について、いろいろな工夫が必要にもなるんですね。
このことは取材していて、いつも感じていることでもあります。
はじめて、冬期に帯広などの北海道東部地域に行ったとき、
全然積雪のない、晴天の続く状況を見ていて思いました。
この思いは、同様に東北各地を取材していても感じる部分です。
日本は南北に長いだけではなく、
日本海側、太平洋側でも、大きな違いがあると感じます。
それなのに、これまで、南北的な気温変化だけで区分してきた、というのは確かに変。
こういう実感に初めて、科学的なアプローチがあった、
という思いがしたのです。
こういう実態的な把握に基づいて、家づくりのポイントを
各地域別に詳細に考えていくって、大変有意義。
Q1,0運動が生み出した視点として、大きなポイントだと思います。
ぜひ、こういう方向での技術向上を期待したいと思います。
さて、残念ながら、北海道日本ハムファイターズ、連勝ストップです。
わが家はCSをケーブルテレビで見ているんですが、
なんと、きのう、見ようと思ったら、
フジテレビ系のこのチャンネルは別契約が必要とのこと。
別途料金が1000円、毎月掛かるということで、泣く泣くラジオ観戦。
ちょっと応援の勢いも削がれてしまった(笑)せいなんでしょうか。
で、監督のコメントを見たら、
「日本ハム・ヒルマン監督が選手たちを絶賛」と、されていて、
「悔やむことも恥じることもない。世界中のどこの監督を探しても、
14連勝もしてケチをつける監督はどこにもいない」
という超前向きの発言をしていました。
きっと、負けるときのコメントも考え抜いていたんだと思います。
さて、こういう選手への信頼感に満ちたコメントが、
どういう風に選手に伝わり、きょうはどうなるか?
負けたけれど、リスタートとなりますか。期待大のジャイアンツ戦ですね。
2007年06月07日
断熱厚200mm時代

リプランの取材では、いろいろ先端的な事例を見ることが多いのですが、
やはり最近は、地球環境の問題への関心の高まりもあって、
省エネルギーの対策が、大きくクローズアップされていく傾向にありますね。
いろいろな部位での断熱強化が図られているのですが、
ごらんの写真は壁の断熱強化を模型化したもの。
GWは各100mm厚のものがダブルになっています。
200mm厚の壁断熱の様子なんですね。
旭川などでは、けっこうこの断熱仕様の住宅が増えてきています。
一般的な100mm断熱は、構造材の空隙を充填する、という
まことに合理的な手段で断熱されるので、
それによる建て方の変化といっても、真壁が難しくて
大壁が一般的になる、という程度で、
そう大きな変化ではないのですが、
このように壁が倍になると、単純に壁面積が倍増する、という点があります。
隣地との後退距離に密接に関係するので、
その分、狭小敷地では室内面積に影響があるとも言えます。
また、当然、施工手順がプラスにもなるので、若干のコストアップはあります。
しかし、ランニングコストは確実にエネルギーが削減できる可能性は高まります。
施工的には、構造材部分が重なり合わないように、
熱損失が小さくなるように手順と方法を考えるのがポイント。
現実的には、「無暖房住宅」に近い性能を求めるには、
こういう方法が最も近いやり方なのではないかと、思えます。
こういう重厚な壁厚の家って、みなさん、どう感じられるでしょうか?
さて、わが北海道日本ハムファイターズ、負けませんね。
きのうも、連投の疲れから押さえのマイケル選手が、
最後はヨレヨレ状態に突入しましたが、なんとか逃げ切りました。
魔球ナックルを操るフェルナンデス選手をも、なんとか突破。
ファンとしては、なんともいえない心理状態になってきております。
選手のみなさんには、なんとか平常心で、淡々とプレーしていただきたいですね。
あさってからも、がんばれ、北海道日本ハムファイターズ!
2007年05月30日
ベンチレーション(換気)フォーラム

きのうは帯広で換気についてのフォーラムがあり
スタッフは全員忙しいさなかなので、急遽、わたしが参加。
スウェーデンSystemair(システムエアー)社の換気の専門家2名が来日しての講演。
今週、つくばでIBEC(建築環境・省エネルギー機構)が主催する講演会があり、
その前にスケジューリングしてくれたそうです。
いつも思うのだけれど、かれらはビジネス上は英語を使用するのになれていて、
ほとんど母国語と同じように使ってプレゼンします。
比較的、ゆっくりとした話し方でもあり、
わたしたちにも、単語などが聞き取りやすく、
ジョークなどもわかりやすくて親近感を感じさせてくれます。
かれらは同じ横書きのアルファベットと近似した母国語であり、
基本的な構造は英語と同様。
なので、たぶん、標準語とディープな方言くらいの違いで、
教育もしやすいのだろうか、と思ってしまいます。
その点、やはり言葉、日本人には壁がありますね。
講演の内容は、換気の必要性についての
スウェーデンでの歴史的な流れ、その概要の紹介から、
最新の、いま日本の基準で言えば、第1種換気についての概要説明。
講演を聴いていたのも、ほとんど身近な建築関係者なので、
内容は多くは日本で紹介されているものでした。
ただし、換気の必要性が北欧でなぜ叫ばれるようになったのか、
というポイントについては、やはりかれらの言葉で聞いてみて、大変わかりやすかったです。
1970年代のオイルショック(っていうのも、もはや歴史になっているんですね)以降、
暖房が必須の気候条件に置かれているかれらは、
エネルギーの問題を大問題ととらえ、
その克服の方向性を国を挙げて、追求してきた歴史なのですね。
で、換気の必要性を端的にわからせるフレーズとして、
「車の中では換気を考えるのは当たり前なのに、
人間が90%以上の時間を過ごす建物の中での換気をなぜ考えないのですか?」
という言葉が、発せられていました。
「これは確かにわかりやすい」と思わず膝を打ちました。
これまで、こういう基本的な部分、
一般消費者に対する啓蒙の部分って、日本ではどうしても
大きくは認識されていなかったと思い至った次第。
換気というと、どうしても建築の技術的な側面ばかりが強調されて
こういう認識はなかなか普及させられなかったと思うのです。
かれらの国では、国家機関が換気についての
科学的な調査を継続的に行ってきて、
その結果に基づいて、国の機関が普及啓発に努めているようです。
写真左は、そういう機関が発行しているハンドブック。
表紙にも、あかちゃんとハウスダストを暗示させる写真が使われていますね。
こういうボトムの部分の認識の共有って、大切だと痛感しました。
産業としても、この換気産業は右肩上がりで伸ばしているようです。
先日も、王様から成長企業として表彰されたのです、と誇らしげに語っていました。
自分たちの置かれた地理的条件から、
それをむしろ前向きに活かして、産業育成につなげてきているわけです。
なかなか、商売もうまいんだ、って関心させられました(笑)。
同じ北方圏居住の人間として、大いに参考にすべきですね(笑)。
2007年05月28日
窓まわりの性能基準

写真は先日の新住協総会で展示されていたサッシとハニカムスクリーン。
地球環境問題の側面から、住宅の性能向上の機運は、
今後、大いに注目が集まってくるものと思います。
とくに、サミットの開催が決定した北海道の住宅業界では、
こういう機運をもっと活かして、アピールを強化すべきだと感じます。
先週末には東京へ移動して、樹脂サッシメーカーのシャノンさんでインタビュー。
樹脂サッシのパイオニアとして30周年を超えたのを機会に
アピールしたいという企画でした。
インタビューで感じたのは、日本の住宅設備機器の基準作りのあいまいさ。
性能でその基準を示す、という世界標準の考え方が通らず、
現状のマーケット状況を反映したような基準が
まかり通りやすい構造を持っていると言うこと。
性能ではなく、現状のアルミサッシのマーケットサイズを維持する方向で
基準の設定が行われていると言わざるを得ない、ということなのです。
日本では、断熱の基準で言えば4地区、5地区という地域が
人口の大きな部分を占めていて、
アルミサッシでもいいのだ、という論理が大手を振っている状況。
北海道の常識で言えば、そもそもアルミサッシはほとんど流通していない。
性能的に、室内の熱を外に逃がすし、外部の冷気を内部に入れてしまう、
いわゆる「ヒートブリッジ」になるのですね。
樹脂サッシはこういう窓まわりの熱性能を高めるものなのです。
実際に冬期に窓まわりに手をかざして、
冷気を感じるのがアルミサッシで、ほとんど感じないのが、樹脂サッシ。
こういう当たり前のことが、なかなか通用しないのが現実。
こんなことでは、諸外国の性能基準から日本の住宅性能が取り残されるのではないか、
そういう危惧が叫ばれているのだそうです。
欧米はもとより、北東アジア地域でもそういう傾向にあるとのこと。
しかし、エネルギー問題から地球環境問題、
という待ったなしの現実の中で、いずれにせよ、方向性はハッキリしている。
やはり、多くのユーザーが声を上げて、
こういうおかしな構造に対して、異議を申し立てていくことが、
関東以南の地域でも求められることだと思うのです。
こういう認識の格差、考えていかなければならない問題ですね。
2007年05月26日
正法寺本堂内部

きのうの「正法寺」の続きです。
この茅葺き屋根日本一、の本堂の改修は
鹿島建設の施工、ということで、工事関係者の方も
見学の建築関係者を案内していました。
写真は、広大な本堂内部の様子です。
広さももちろんですが、圧倒されるのはその高さ。
大きな寄せ棟造りの屋根なのですが、
その内部に、通常で言えば4階ほどの高さの大空間が作られています。
それが、このような大きな吹き抜けで構成されているのです。
内部にそびえている柱や力量感のある梁は、
樹齢で言えば数百年の材ばかり。
野太い力強さで、見るものに感動的な空間体験を与えます。
「日本一の茅葺き屋根」は、こうした大空間に掛けられているわけで、
建築デザインのバランスから言っても、ものすごい量のカヤが
使用されているわけですね。
施工した鹿島建設にとっても、その力量を総動員するような工事だったろうと推測します。
基本的には大空間木造の迫力を再現させながら、
やや控えめに、ところどころ、太い鉄骨柱、梁が補強されていました。
耐震性も考えて、傾斜する地盤面に対して
補強材が据えられて、建物を引っ張るようにも考えられているようです。
伝統工法を研究しながら、そのデザインを尊重し、
一方でまた、現代的な技術も投入する、そういう工事ですね。
それにしても、800年近い昔に、こういう木造大空間を造り上げた
先人たちの営為に、深い畏敬の念を抱きます。
ひとびとに新奇性と建築的迫力で、宗教的体験を与える、という目的に向かって、
人里離れたこの地で、たぶん数十年掛けての建築工事。
改修工事を手がけながら、きっとこうした建築技術者としての
思いを追体験しただろうと思います。
やっぱり、リフォームというのは面白いものですね。
2007年05月19日
換気装置の防虫ネット

今週は業界のいろいろな組織の総会がありました。
ちょうど3日間に4つほどの総会があったのですが、とても無理。
参加は、2つだけといたしました。
それにしても札幌から帯広に移動し、
翌日車でトンボ帰りで千歳から仙台へ移動。
そのまま、総会に参加して、コメンテーターも勤めました。
ということで、本日朝はやや、おつかれ気味です。ふ〜っ、と。
ひとつはこのブログでも何回も紹介している新住協総会。
木曜日に帯広で開催されていました。
全国から230名を越す参加者があり、なんと広島県から8人もの参加がありました。
地球温暖化問題への意識の高まりからか、
どうすれば、暖房や冷房の負荷を削減できるのか、
温暖な地域からの住宅性能向上への意識の高まりが感じられます。
鎌田紀彦室蘭工業大学教授による基調講演でも、
冷房負荷削減のための温暖地域対策が大きく触れられていました。
講演では、暖冷房エネルギー消費に直接関連する
換気装置に大きなテーマが当てられていました。
さらに窓の問題、そして最後に壁の断熱厚みのアップ方法などが
展望されていました。本日は、そのなかの換気装置がテーマ。
写真は、会場周囲に展示された換気装置を見せてもらったところ。
最近、高性能住宅では、排気のみ機械を使用して行う第3種換気から、
吸気も排気も、機械を使って熱交換させて換気する
第1種換気装置に関心が大きく向かっています。
そうすると、従来以上に虫の問題が大きくなるのだそうです。
「最近、世界的に細かい虫が増えているんですよ」と
開発されたメーカーの方が言っていました。
こういう虫が機械の中に入り込んで、性能を劣化させる問題が
開発者のみなさんの悩みの種なんだとか。
話を聞いていると、ウィルスの進化を連想させるようで、
「虫は、無視できないんだ」などとダジャレでは済まされない状況。
それで、作ったのが写真でごらんのような防虫ネット。
素材は化繊で出来ているように見えましたが、
虫が溜まってくれば水洗いできるように工夫されています。
この換気装置の熱交換システムって、
日本メーカーの特許技術が期限切れして、それ以来
ヨーロッパで研究開発がずっと先行してきたのですね。
新住協が、より高性能住宅へのアプローチを高めてきて、
Q1.0住宅においては第1種換気を主に採用。
ドイツのメーカーのものが熱交換効率90%という売り込みもあって、
ほぼ独占のように、販売を伸ばしたのですが
ようやく日本メーカーも追撃作戦をはじめているようです。
やはり技術進歩は、競争を刺激しなければならない部分がありますね。
そのほかにも、いろいろに興味深いテーマもありましたので、
気がついたときに、またそれらにも触れたいと思います。
2007年05月16日
ツツジ満開〜投稿ご紹介

いろいろとストレスの多き、21世紀の今日ですが、
みなさん、いかがお過ごしでしょうか?
日々、あくせくと仕事の厳しさに追われ、つい心にぽっかり空洞も空いてまいります。
そんな虚ろさを、庭の花木は巡る季節とともに慰めてくれますね。
写真はわが社、オフィスの外部通路に面した花壇、
とまではいえないけれど、お花の植え込みです。大好きなツツジです。
ちょうど昨年も、このツツジを写した写真があったので、左右に並べてみました。
まぁ、開き具合、すこし違いがあるようですね。
花の芽の付きようも、微妙に違ってくる。
同じように見えて、やはり生きていくことは変化していくこと、って、
教えてくれるようなあでやかさです。
さて、読者の方から、なんとも長文なコメントをいただきました。
バンドルネームmechaoyajiさんからの投稿です。
あまりにも内容が面白く、興味深いものでしたので、
本文コーナーで以下、大筋を掲載いたします。
「芝置屋根」についてコメントさせていただきます。
以前勤務していた研究開発組織のバイオチームが「植栽ブロック」なるものを開発しました。これは30cmX30cmX5cm程の空間の多い(雷おこしの様な)コンクリートブロックの空隙に、芝の種と土と肥料を乾燥した状態で充填したものです。これを砂地や軟弱路盤に施工し、散水することで、自動車が駐車出来る路面強度の芝生が作れることになります。
実際に研究所の庭に100枚ほどの「植栽ブロック」を敷き詰め散水すると初年度は綺麗な芝生になりました。しかし冬季間は芝が枯れ、春になってそこに飛んできた雑草の種が芝より早く成長するため、3年目には雑草が芝より優勢となり、5年目には雑草にタンポポやアザミも加わり、本項の「芝置屋根」同様、手付かずの野生の状態になりました。こうしたことを考えると、「芝置屋根」は非常に環境負荷の少ない構造体であり、芝は雑草が生えるための準備植物として立派に役目を果たしたのではないでしょうか。
日本の家屋も、材料や気候風土から「木」「竹」「萱」「藁」「土」「漆喰」で造られ「風通し」を考慮して間取りされていました。暑い夏、昼は野良仕事、夜は蚊帳を吊って寝ていました。寒い冬は綿入れ半纏を着て終日炉辺に寄り集い、湯たんぽを抱いて藁布団で寝ていました。燃料は里山で採れた薪炭で賄っていました。
現在のように高気密高断熱の住宅で屋内全体を冷暖房することはエネルギーの無駄遣いに思えてなりません。夏に蚊帳を吊って家族で寝ていたのと同様に、冬は部屋にテントを張って家族で寝れば、必要最小限の高気密高断熱空間となります。(私の経験では、独りでも充分暖かいものです)
私の生活波長に合った記事が多くありました。機会を見て私のリフォームも投稿させていただきます。「発行人」の方の御健康と本項の継続をお願いいたします。
というご意見。
たいへんありがとうございました。
本当におっしゃられる通り、と手を打ちました。
あえて、付け加えさせていただけば、こうした考え方を実践し、
エネルギー負荷の低減を実現させ、なおかつ現代生活の利便性と調和させるためには、
高断熱高気密の住宅性能が、
不可欠な要素ではないか、というのが、当方の考えという点。
環境への負荷を低減させていくためにも、
住宅それ自体の性能を向上させる、という技術はもっと普及すべきです。
断熱にしろ、気密にしろ、それ自体の環境負荷は、
たいへん小さいものであり、
たとえばグラスウールは再生ガラスを原料とする割合が高い、
というように、エコロジカルな工業製品です。そして、
それによって得られるメリットは計り知れないものがあると思います。
そうしたしっかりしたボックスがあって、
そこに自然エネルギーを活用する技術を導入する、
というのが、目指すべき方向ではないかと思っています。
歴史時間を戻すことは出来ない、前に向かって解決するしかないのではないでしょうか。
みなさん、いかがお考えですか?
2007年05月10日
角館 河畔の桜を楽しむ家

GW前に取材した角館の家の様子です。
地元の仲野谷工務所さんの専務さんの自宅。
立地的には、桜の東北の3大名所として知られる角館の河畔に建っています。
ちょうど河畔の桜がスタートする場所にあたり、
観光コースからはややはずれていますので、
花見シーズンには、ごったがえす角館の中で、
エアポケットのような空間。
ちょうど桜並木は、この家の北側になります。
河畔の土手上に桜並木は連続しているので、
建物は、いくつかのレベル差を考えながら、構成されています。
で、もっとも、楽しめる位置にあるのが、この外の居間、ともいえる
デッキテラスからの眺望。
居間からは、テラスドアですぐに出られ、広さも5〜6坪ほどなので、
多人数が集まっても十分な広さになっています。
ことしはGW寸前の時期でも、ごらんのような2分咲きの状況でしたが、
ここから、春爛漫の風情を楽しめるなんて、最高ですね。
自然と親しむ、自然を取り込む、というような志向性の
家の造られよう、というのが北海道と比較すれば
東北では、やや少なく感じるんですが、
この家に来て、魅力的な自然とのふれあいが目的的に作られていて、
プランニングのわかりやすさに感銘を受けました。
しかし、一方で仲野谷工務所さんは、高性能住宅造りの実績も豊かなビルダーさん。
この家でも、外張り断熱を基本としながら、
「付加断熱」として、軸間にグラスウールを充填して高い性能を実現しています。
外張り断熱でも、現在以上の高性能を考えれば
必然的にこの方向になるので、充填断熱を基本としながら
外張り断熱材を「付加断熱」する工法と、ほとんど同じような壁の構成になってきます。
プラン的にも、南面からの日射取得を意図した家づくりで、
省エネルギーの方向性・志向性も明確。
性能と、ライフデザイン、双方への配慮・工夫の感じられる家です。
やっぱり、寒冷地での家づくり、
この両面から、よい家、という概念は考えられるべきだと思います。
2007年05月09日
中国製シャワーブース

シャワーブースって、ユニットバス並みの価格で
その割りには、快適感が日本人にはいまひとつ、という感じで
日本のマーケットでは普及していませんね。
設置スペースが、格段に狭くてもいいというわけでもないし、
水道や温水の配管、下地の防水も外国とは違ってかなり念入りにしなければならない。
欧米の人たちって、シャワーで済ませる人が多いので
こういう商品の需要があるのでしょうが、
日本人はユニットバスで、しっかり体を洗うような習慣があるので、
どうも、ちょっといいけど・・・という感じにとどまっているのでしょう。
そんなシャワーブースですが、
あるメーカーモデルハウスで、なんと中国製という商品を発見。
聞いてみたら、モノの値段としては日本の大手メーカーのものと比べて
半額以下、1/3くらいで入手できるんだそうです。
それくらいなら、ちょっとしたコーナー利用で、と考えたくなるところですが、
さわってみたら、たとえば防水を要求される箇所、
ドアのしまい方とか、開閉時の気密性の頼りなさ、など、
簡単に目につき始めてしまいました。
また、実際に取り付けたら、すぐにメンテナンスが必要ですが、
そういう体制も中国メーカーでは、なかなか取りにくいと思いますね。
見てみた感じは、まぁ、値段相応のギミックかなぁ、というところ。
値段には魅力があるのですが、やはりちょっと、です。
最近話題になっていた、ディズニーランドのそっくりさん問題で、
中国の知的所有権への態度が、
アメリカ大統領から問題である旨、発言がされていましたね。
これって、かなり最大級に近い国際的警告の発し方。
これから、中国の企業が直面して来るであろう大きな壁が、
さまざまな分野での、知的所有権への対応だろうと思います。
明らかにクレヨンしんちゃんなんだけど、そっくり、でもちょっと違う、
というような、中国内向きだけでいいや、といういい加減な姿勢を取っていると、
大きなしっぺ返しが襲ってくるのではないかと思います。
マイクロソフトは、中国でのウインドウズのビジネスの難しさをアナウンスしていましたね。
大量のコピーCDが犯罪感覚もなく、取引されている実態なんだとか。
このシャワーブースでも、たぶん、細かい部分のディテールで、
欧米日の企業はいろいろな特許とか、知的所有権の問題をクリアして、
そういう経費を払って、商品化しているはずだと思うのです。
それに対して、残念ながら、この商品ではいまのところ、
国際的な水準とは言えない、と思いました。
中国では、建築の世界で木造の歴史が断絶している部分があって、
そういう部分で、日本の住宅企業との合弁を進めているようです。
これだけ、国際交流、貿易がさかんなのに、
住宅企業で国際企業って、まだ出てきていない。
設備関係の企業でも、たとえばTOTOのウォッシュレットみたいなのも、
ようやく海外への販売が取り組みはじめられたような段階です。
ということで、けっこう、国内向け産業、地場産業といえる住宅分野ですが、
やはり今後は国際化が、国際的な大競争時代がくるのでしょうか?
2007年05月07日
リフォームの心理的動機

リフォームって、難しいマーケットなのだとつくづく実感します。
新築需要については、やむにやまれぬ「家を建てたい」という社会的な需要というか、
ユーザーの側にわかりやすい欲望が存在します。
それに対して、リフォームは「誰でもが希望しているわけではない」というような
難しさがあると思います。
新築は、それこそ、生まれてきたら誰でも一度は家を持ちたいと考える
というような欲求が「自然に」醸成されています。
だれもが、人生のひとつの目標にするというわかりやすさがあって、
少なくとも、そうした動機の部分では、建築事業者の側で工夫するという必要がない。
言ってみれば、自然な欲求に対して「仕掛けて」いけば
自ずと広範なマーケットが反応してくれる。
それはまず、基本となる「住む土地選び」から
収入に応じた資金計画のプランニング、
家づくりについての総合的コンサルティングなどなど、
一連の流れが存在しているので、それに踏まえていけばわかりやすい。
それに対して、リフォームでは、ユーザーの動機の掘り起こしから
いろいろ考えていかなければならない。
ユーザーの漠然とした心理に方向を与えていかなければならないのだ。
ここのところがもっとも難しいし、簡単明瞭になりにくい。
まだ、北海道では、家の寒さというような
基本性能の部分での広範な需要が存在しているのでわかりやすい。
しかし、それにしても、生活上の毎日の問題なので
「我慢しているうちに忘れてしまう」というような心理もあります。
まぁ、寒くて暖房費がかさむ、というような切実な問題についても
当面のランニングコストと、それを解消させるについての建築コストが
金額比較で言えば、桁が違いすぎて、人生設計の中で
どうしても後回し、それよりも将来不安の方が大きいので、
いきおい、資金を貯蓄したり、他のわかりやすい消費、
たとえば目先の快適性で車や、旅行といった消費に走るというケースが多い。
家の性能向上と言うことでは、
写真で見るような窓の取り替えという工事がけっこう大切な部分なのですが、
なかなか、工事も複雑になって工程もかかるので、
ここまで行う工事というのは、少ないのが現状ですね。
さて、そういう現状のなかにあるわけですが、
地球温暖化の問題や、エネルギー問題が
世界的にも焦眉の現代的課題になってきて、
寒い家、エネルギー多消費型での問題先送りが許されなくなってくる中で、
やはり、省エネルギーの側面からのリフォームの提起が
もっとも、わかりやすくユーザー心理には響くのではないかと思います。
いつまでも、粗大ゴミになるような家づくりをしていてはいけない。
環境をわが家から考え直していく、そういうリフォーム需要の喚起が
求められていくのではないかと、希望的に考えています。
そしてこのことは、北海道、寒冷地だけの問題でもない。
夏場の冷房負荷の増大で社会全体が問題拡大に苦しんでいる
首都圏地域をはじめとした全体に、需要が存在するでしょう。
まぁ、しかし、やはり目先的にはやはり難しいのでしょうか、ね。
こうした側面からわが家のことと、環境問題への対応をリンクさせる考え。
なかなか、悩ましい問題だなぁと思っている昨今です。
2007年05月04日
間仕切り壁

写真は先日取材で伺った、あるモデルハウスでのもの。
間取り的には玄関を境に、左右で明瞭に仕切られていて、
ご覧いただいているのは、その玄関空間から右側を見た様子。
こちら側は、離れのような客間、和室に向かっていく動線空間です。
動線空間ですが、大きな開口部は結構なしつらいの和風の庭に望んでいて、
なんと、庭石から流水が落ちていたりしています。
動線空間そのものも、床には畳が敷き込まれ、
天井には葦簀が張り込まれています。
そのうえ、手前側の仕切り壁の内側には床の間まであります。
という空間になっているのですが、
その玄関側からの心理的結界装置になっているのが
写真左手の間仕切り壁。
この間仕切り壁、左右幅はほんの60cmほどのものなのですが、
塗り壁で仕上げられており、格子窓も開けられています。
ちょうど、左右の間取りそのものの結界にもなっていて、
また、玄関正面から目に飛び込んでくる、庭石の落水に対しても
その緞帳のような役割も果たしています。
そういういろいろの目的を果たしているのが、この間仕切り壁なんですね。
大変大きな空間、約60坪くらいの床面積の建物ですが、
その中心にあって、さりげなくいろいろの場面変化の重要プレーヤーになっているわけ。
野球でいえば、渋く全体の守りを支えているショートストップという位置。
たぶん、この間仕切り壁がなかったら、
全体のバランスが一気に崩れてしまうでしょう。
こういう多目的な役割を果たしている間仕切り壁も、はじめて見た感じがしました。
たぶん、和風空間の家づくりに感性豊かな作り手さんなのだろうな、と。
そういう思いを抱いた次第です。
どうも最近、ディテール系の部分が面白くなってきている気がします。
あれこれ、気づいた部分、今後も取り上げてみたいなと思います。
さて、連休真っ盛りですね。
わが家は、特段の予定はなく、近場でこどもと楽しもうと思っています。
きのうは、わたしと坊主で久しぶりに早朝散歩。
しばらく体調が悪かったのですが、ついに気力も回復して
約5kmくらいのお決まりの散歩コースが復活です。
北海道もようやく、いい気候になってきて、
たいへん、気持ちのいい散歩を楽しめるようになってきました。
きょうは、身近な山登りを約束しています。
でも、その前には、またきょうも早朝散歩です。 さて行くぞ、っと。
2007年05月03日
木組み天井

写真は外部から玄関に至るアプローチを彩っている木組み天井。
これって、札幌の建築家のみなさんがよく使っているデザイン手法。
伝統的には、古民家などの天井の飾り方として、
木組みを見せる、というスタイルがあり、
その延長線上で、考え出されたものなのではないかと思います。
コンクリートブロックなどの石系の素材で
構成していくと、その天井もコンクリートスラブになることが多い。
そうすると、そのままではインテリア的には牢屋っぽくなる。
それを緩和するのに、こういう木組み天井を採用したのではないかと推測されますね。
これって、わが家でもやっていまして、
たいへん面白い変化に富んだ空間性が楽しめます。
この写真のように、ちょっと無国籍だけれど、
陰影感は独特で、ちょっと和の雰囲気も感じられるという仕掛け。
一度、木組みを組み上げてから、天井にあらかじめ埋め込んだボルトなどに
緊結させるという手順になります。
上に向かっての体勢での作業になるので、見ていましたが、
施工はなかなかに大変です。
写真のように屋外に使用する場合はメンテナンスもそう考えなくていい。
室内に使う場合は、やはり定期的な掃除は必要。
ただし、この掃除っていうのを、あんまり一生懸命、やらない。
そうすると、どうしてもホコリが溜まる、ということにはなります。
まぁ、年にいっぺんでも大掃除をやればいいんですけれど。
これは、わが家の場合の話なので、一般化はできませんね(冷や汗)。
先日も、吹き抜けの高窓まわり、掃除機で吸い取りましたが、
やると、結構楽しいものなので、掃除をすべきですね。
って、自分に言い聞かせているようなブログになっております。(笑)
しかし、デザインとしては、やはりよく見つけたなぁと
感心させられます。
白木でもいいけれど、彩色してもまた、その色合いを楽しめる。
まぁ、軽快感のあるインテリア空間、というわけには行きませんけれど、
重厚感があって、落ち着きのある、渋さを狙うのなら、
かなり有効なデザイン手法だと感じます。
2007年05月02日
大胆な色遣いのシンク

これって、どうやって作っているんだろうと、気になったシンク。
素材は人造大理石なので、かたちは型枠をとって自由に造形できるのでしょうが、
色違いは、どうやって流し込んだのか?
人造大理石は、
人工的に作られた大理石風素材のこと。 合成樹脂に各種無機物を混ぜて加熱し、加工成型し大理石のようにした素材をいう。
柄のないタイプから、石目調、マーブル調といった見た目が大理石に近いものまで、色柄が豊富で、高級感があるので、人気の高い素材である。耐衝撃性や耐久性にすぐれ、弱点とされていた耐熱性に関しても、最近では、以前より優れたものも出てきた。キッチンのワークトップや、洗面化粧台のカウンター、浴槽などによく使われている。加工がしやすく、さまざまな形にすることができるのも特徴。種類としては透明感のあるポリエステル樹脂系と陶器の肌合いをもつアクリル樹脂系のものがあるが、一般的にアクリル系の人造大理石のほうが、性能が高い。(All About用語集より)
という素材ですが、
シンク部分と、トップの色をどうやって色違いにするのか、
ちょっと、作り方が気になって眠れなくなった次第(笑)。
それはまぁ、いいのですが、
こういうカラーリングの大胆な台所シンク、最近よく目にしますね。
普通に考えれば、内装の素材感や、色合いとの調和が難しいから、
こういう設備関係って、無難な色合いになるところですが、
最近の住宅は、白っぽい仕上げになりやすい内装が多くなってきて、
アクセントカラーが、こういう設備に役割が移ってきているのでしょうか?
どうも、感覚的には、そういうシンプルモダンの内装の家に
こういう色遣いのキッチンが多くなってきた気がします。
いきおい、こういう色遣いのシンクが売れるようになってきたということなんでしょうか?
わたしのような毎日、調理する人間からすると、
ちょっと、どうなんだろうと思うのです。
調理する時って、食材の色合いなんかも無意識に考えたりするので、
そのときに、こういう色合いがあると、頭が混乱するように感じますが・・・。
まぁ、慣れで、だいじょうぶなんでしょうかね。
初めてこういうシンクを見ると、へぇ〜、と驚かされますが、
それは、たぶん、そのときだけ。
長い一生ものの選択だと考えて、よく選ばれた方がいい、とも思います。
にしても、一体成形で、どうやってツートンカラーにできるのか?
不思議、ふしぎ、フシギ、?、・・・・。
2007年05月01日
潤いのカーポート

写真はきのうのつづき、五蔵舎さんショールームです。
カーポートって、いま家を建てるとするとほぼ必須の存在。
なんだけれど、あんまり論議されたりすることはまれですね。
というのは、土地をなんとか見つけて購入し、
やっとの思いで家を建てる、までが建て主として精一杯で、
なかなか、残余の部分にまではゆとりを持てない、という感じなんですね。
まぁ、なんとか考えられても家の前と車が、ドロドロにならないように
コンクリート舗装をするくらいまでが一杯。
そして、やや、ゆとりを持てるようになって、
とりあえず、という感じで既製品のアルミ製カーポートを
それも道路側、表側に面して設置するというのが、悲しいけれど一般的でしょう。
でも、こうしてできあがる街並み風景というのが、
とどのつまりが、カーポートの展示会場のようになっていて、
せっかくの住宅地が、印象のない、どこにでもある風景になってしまう。
まさに、機能だけを満たして、それ以外の情緒的価値観の感じられない
無機質な都市風景を形成してしまう。
いつも、そうした街並みを見ると、情感の薄い性格の人間を
涵養しているのではないかと、危惧させられます。
こういうほんのちょっとの残余のスペースって、
周囲の人にとっても、案外、毎日目に触れる部分なので、
その家の印象を決定づけるような部分だとも言えるでしょう。
この五蔵舎さ