2010年01月28日

薪ボイラー

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こういう機械、面白くて使いたくなる気持ちはわかる(笑)。
これは薪など、なんでもいいのですが、
どんどん投げ入れて燃焼させてエネルギーを得ようという
非常に単純なシステムです。
長野県の取材先で利用していました。
わたし的には家の中にあってもいいのではないかと思うのですが、
まぁ、多くの場合、屋外に物置を造ってそこに収めているようです。
わたしは北海道の生まれ育ちなので、
石炭ストーブ以来、こういう燃焼物投入口が明確なものって
見慣れている部分があるので、家の中の土間的な部分に設置してあって
ラフにエネルギー源を投入して暖房装置として利用することにためらいはない。
というよりもより積極的に、寒さと立ち向かっていくのだという
暮らしの中での決意が感じられて、むしろ爽やかな心境が得られる気がする。

というようなことなのですが、
これで燃焼エネルギーを得て、
給湯エネルギーは熱交換して、およそ200リッター程度の温水として
利用することができる。
また、暖房設備としては、同じく温水に加温させて家の中の土間ピットに
放熱器を設置してそれに加温水を通して暖房させるようになっている。
燃焼させる薪などは、結構な量になりますが、
この住宅は農家住宅であり、バイオ燃料は供給可能、ということ。
で、この暖房システム、実は工務店さんが自分で配管とか
全部工夫しながら、組み立てているのだそうです。
そう言われてみたら、確かに配管のつなぎ目など、ユニークな(笑)
仕上げぶりが目に付きます。
まぁ、石炭ストーブが自分でメンテナンスするものだったことを考えれば
こういう事も理解できますね。
むしろ、暖房機すらすべて専門業者さんに依頼しなければならない
という状況は、あまりサスティナブルとは言えないかも知れませんね。
なにはともあれ、
施主さんと設計施工者、取材者と3人で
屈託なく、エネルギーのことを話し合ってみましたが、
そういう正直に本音で話ができるような雰囲気が
この薪ボイラーからは、オーラが発信されているように感じた次第です。
まことに気っ風のいい、清々しさを感じました。


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2010年01月19日

現代住宅の豪華ぶり

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最近、とくに強く思うようになってきたのですが、
現代建てられているような住宅って、
いかにこれまでの時代の住居と隔絶があるか、ということ。
やはり、近代的合理主義というか、
西欧近代文明の及ぼした到達点というか、すごいものだと思ってしまうのです。

洞窟住居や竪穴住居の昔から、
人間が居住すると言うことについては
いろいろに工夫され、知恵が凝らされてきたものと思いますが、
それでもつい百年くらい前までは、
その進歩のスピードというのは、比較にならないくらいゆったりしたものだった。
江戸のころの庶民の賃貸住宅は、独り者の場合、約8畳程度。
もちろんトイレもなく、水道もなく、電気もなく、なにもない。
そういった生活インフラは、長屋共同の施設として
共同生活を余儀なくされていた。
江戸の街で一軒家を構えられるなんて言うのは、
相当にレアなことがらだった。明治から戦前までそう大きくは違いがなかった。
そういうほんの少し前までの人間の住宅体験からすると
今日の「快適性進化」はまさに驚異的だと思う。
ちょっと前までは、王侯貴族も想像すらできなかったような暮らし方を
わたしたちは一般庶民に至るまで享受している。
写真は取材の時のワンシーンですが、
寝室からこんなにも開放的な眺望を得られるような暮らしが
当たり前のように実現している。
まぁ、その結果、資源やエネルギーの大量消費がともなっている。
そういうインフラ的な部分の維持すら、すごい高コストになっている。
こういう西欧近代の快適性優先の考えが、
いま、広く世界全体に資本主義の拡大という形で広がっている。
中国などでも、不動産・住宅への投資がレベルアップして行っているそうです。

ただ、こういう進歩の方向性の真ん中には
社会や家庭の共同性よりも、個人の欲求の方に大きく着目する文化性があったと思う。
個人の欲求拡大って、さてこのまま進展し続けていくものかどうか、
そのあたりが、わたしには少しわからなくなっている部分があります。
こういう方向だけが、幸せなのかどうか、
どうもわからなくなってきている気がしているのです。
ちょっと、変な考えでしょうか、ね?


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2010年01月13日

北方日本の暖房の歴史_8

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写真は「蓄熱暖房器」の解剖写真です(笑)。
大変単純な構造になっていて、200Vの電熱線が配線されている周囲に
蓄熱のための「レンガ体」が配置されているという原始的とも言える機器。
こういうものなので、メンテナンスというのがほとんどいらない。
まぁ、地震などの時に転倒すると困る、という程度。
そのために建物としっかり固定させる必要がある。
ただし、場所を取る(笑)。
けっこうでかいのですね。
熱を持っているものなので、あまりカーテンと近づけたくはない、
周囲に可燃性のものは置かない方がいい、
などという条件を考えていくと室内の広さが一定必要になる。
っていうようなことが、住宅設計上、注意しなければならないというところ。

きのうも触れましたが、
この暖房方式では、蓄熱の容量が限度があるので、
燃焼機器の暖房のように、必要に応じて暖房をどんどん焚くというわけにはいかない。
必然的に、住宅の性能の方で熱ロスを抑えない限り
安定的な室内環境を維持できない。
ほかの地域の条件とは格段にきびしい条件の中で、
北海道電力や東北電力はオール電化を進めなければならなかった。
要するにビルダーによってはオール電化をお勧めできない場合がある、ということ。
こんなことが、全体としての住宅性能向上に
大いに力になった部分があるのではないかと思います。
実際に、2×4ビルダーとしては地域一番店と思われたビルダーさんの
住宅実例をオール電化初期に取材しましたが、
そこではいま考えると、過剰なまでの台数の蓄熱暖房器が設置されていた。
やはり、万が一寒かったら困る、というプレッシャーは相当だったのですね。
その家ではなんと、真冬でも窓を開けたりして室温を下げていました。
初期にはそのような過剰反応まで出たりしていたのですが、
ビルダーさんの方でも、自分の建てる住宅の性能について
見切りも付いてきて、またそういう性能を数値化して計算も可能になってきて
徐々に、暖房機器の台数は減少していきました。
現在では十勝地方で、1台だけで済ませているケースも出てきています。
しかし、多くのビルダーさんにとって、
オール電化住宅のブームのお陰で自社の住宅性能が向上した、
というのも見逃せない事実なのではないかと推測いたします(笑)。

北海道でのオール電化は、
現在までに約20年くらいの実績が積み重なってきていますが、
考えてみると、こういうこともやがて歴史的なことになっていくものなのだなぁと、
不思議な気持ちになってきますね。
当初は、電気で暖房なんて・・・、
という声が一般的だったものが、
いまでは、新築では常識的にオール電化、という選択になってきている。
まさに隔世の感しきり、といったところです。


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2010年01月12日

北方日本の暖房の歴史_7

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北海道では、ほかの地域とはまったく違う暖房の発展を見せていた。
北東北の一部で、北海道に追随するような動きが見られたけれど、
それ以外ではまったく暖房が進化する、という動きは少なかった。
たぶん、セントラルヒーティングと言っても
関東以南では、聞いた人が理解できなかったものと思います。
そういう状況だったところに
各電力会社が、「オール電化」住宅ということを唱えだした。
いまから20数年前ということになります。
家中のエネルギーを全部電気でまかないましょう、
とくに北海道では「電気で暖房しましょう」ということがポイントだった。
こういうキャンペーンを行ったのは、
世界的にもきわめて珍しかったのではないかと思います。
北欧の一部で電気による暖房は行われていたとはいえ、
それは豊富な北海石油のお陰で国内の電気料金が大変低コストで入手できる、
というような条件があってのことであって、
日本のような電気コスト構成の中での提案は珍しいものだったと思います。

こういう提案は、
しかし、住宅性能の向上が基本的な背景としてあったもの。
高断熱高気密になれば、室内空気を必要とする燃焼系機器では
室内に水分を結果させることもあり、確かに合理性はあった。
また、社会全体のエネルギー利用として考えたら、
昼間の必要電力量にあわせた配電システムを維持するためには
たとえ、利用されなくても深夜にも電気を通電させていなければならない。
その社会的な無駄になっている「余剰電力」を
生活利用する、というのは大きな意味での無駄をなくすることにつながる。
どうせなら利用した方が社会にとって価値がある、
っていうような側面もあったのです。

まぁ、とにかく北海道では
「え、電気で暖房するの? 大丈夫なのかなぁ」
というのが一般的な反応だったと思います。
それはコストの心配が一番大きなものだったといえるでしょう。
深夜電力利用普及のために、ドリーム8(北海道電力)などの
低価格な電力メニューが用意され、大きくPRされていきました。
さらにこのようなエネルギーの転換のために
地域密着型企業の典型とも言える電力会社が、一生懸命にセールスする、
というような意味合いでも、画期的だったと思います。
それぞれの地域で、地域で住宅を造っている企業に対して
営業活動を行っていったワケですね。

写真は蓄熱暖房器ですが、
安価な深夜電力を夜間に通電させて
それを内部のレンガ蓄熱体に熱として貯えておいて、
ゆっくりと室内に暖房熱源として放熱していくのです。
また同時に温水器で給湯をまかない、
キッチンではクッキングヒーターで調理する、という3点セット。
まぁ、北海道や東北ではそういうセットだったのですが、
それ以南の地域では、とくに暖房のないオール電化というものだったようです。
北海道の常識では「え、なにそれ」というところですが(笑)
しかしそれだけ北海道の住宅が性能進化してきていることも表していた。
住宅ビルダーの方にしてみると、
燃焼系のエネルギーを使っている分には
たとえ、性能の良くない住宅を造っても
暖房費はかさむけれど、まぁ購入時点ではそれほど問題にならない、
そういうふうにも逃げ道があった(?)けれど、
オール電化と言うことになったら、電気機器の暖房熱量には
はっきりと計算値としての限界が設定されるわけで、
そういう意味で、明確に住宅性能のそのままがユーザーにも知れ渡ることになる、
っていうようなプレッシャーがあったものと思います。
従って、北海道の住宅性能の向上には、
このオール電化という考え方は、相乗的な効果を持っていたといえるでしょうね。
しかし、当初のキャンペーンでは
「未来の住宅のかたち」というような訴求が多くて
モデルハウスを一般の人が見に行って、
「あんな高額なのでは、ウチには無理」と感じていたという声も聞きました(笑)。
そんな反省から、徐々にコスト的にも安心だというキャンペーンに
方針転換が行われ、浸透していったと思います。

さて、きのう坊主が名古屋合宿から帰還。
相当に疲れ切っている感じで、まぁ、修学旅行みたいなもので
きっと合宿先で寝不足に陥っているものと思います(笑)。
疲れていて何が怖かったのか、父の寝床の隣に来て
爆睡モードであります(笑)。

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2010年01月08日

北方日本の暖房の歴史_6

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さてふたたび、暖房の歴史であります。
考えてみると、こういうふうに北海道の住宅に関連する
進化の歴史って、身近すぎて
振り返るような機縁がないように思います。
あまりにも即物的な事柄なので、より新しいものへの興味はあっても
過去の状況については、否定的な部分ばかりに目が行って
まっとうに意味合いを考えるということが少ない。

大体、35〜6年前くらいの状況まで書いたのかなぁと思います。
で、わたし自身はそのあたりから8年間ほど
北海道をあとにして、東京暮らしをしておりまして、
大学・就職という事でございました。
その間にも、札幌でオリンピック冬季大会が開催されたりしたことで、
急速な都市化が進行していた時期だと思います。
帰省する度に街の変化の忙しさにびっくりしていた記憶があります。
で、8年経って札幌暮らしになったのですが、
その当時は賃貸住宅ですので、
きわめて一般的な暖房形式、固定式FF灯油ストーブですね。
マンション暮らししていた父母世帯も、
そっちは兄夫婦に譲って、ふたたび木造の兼用住宅の方に移っており、
そこでの暖房は、同様に固定式FF灯油ストーブでした。
まぁ、いろいろの試行錯誤はあったけれど、
結局は石油の安価さが、市場を席巻していたと言うところだと思います。
そして一部では、高断熱高気密という試みが継続していて、
そういった住宅ではセントラルヒーティングが普及してきていた状況だった。
いずれにせよ、暖房費というと石油タンク換算で語られるのが一般的な理解だった。
暖房機の名前だったか、融雪穖の名前だったか忘れましたが、
「トーユクワン」(灯油食わん)という直接的な名前もありましたね(笑)。
って、灯油食う、っていう言い方、北海道独特なのかも、
と最近感じていますが、どうなんでしょうか?

そういう状況のなかで石油ショックが襲ってくる。
はじめて、エネルギーには限界があるのだ、という実感を植え付けられた事態だった。
そこから、本格的に「省エネ」ということが大問題として浮上し、
北海道の住宅では、暖房費をいかに安くできるか、
ということから、住宅性能の向上が緊急の課題となってきたのです。
とにかく限りあるエネルギーをどうやったら低減化できるか、だったわけですね。
結局、こういうショックが一番効果的に事態を進めていくものなのでしょう。
室蘭工大の鎌田先生の一連の住宅性能向上の提案、
それをもとにした新住協の活動が始まったりした時期です。
北海道でも「北方型住宅」というコンセプトが打ち出されて
本格的なアプローチが開始されたのです。

そういった状況の中、
高断熱高気密住宅が普及しはじめる時期をとらえて、
灯油ストーブ・セントラルヒーティングの牙城を揺るがしはじめたのが
「オール電化住宅」というコンセプトでした。
高断熱高気密住宅で、燃焼機器を使うことはどうなのか、
ということが提起されたのですね。
以下、明日以降に。

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2010年01月06日

北方日本の暖房の歴史_5

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1968年当時のわが家、
わたしが高校に入り立てのころなのですが、
そのころの暖房形式は、スチームによるセントラルヒーティングでした。
時代は高度成長期であり、暖房もどんどん変化していくことが
それがそのまま、北国社会の暮らしの豊かさの実現であったような気がします。
ただし、この暖房形式は初期のセントラルヒーティングで
配管の問題とか、技術水準がまだ十分ではなく、
頻繁なメンテナンスが必要であり、
やがてもっと体感的にもやさしく、目に見える暖かさも感じられる
輻射も考えられたFF式石油ストーブが主流になった。
従来の「温風吹き出し型」は、その「乾燥感」が嫌われたと思います。

わが家ではそういう選択になったのですが、
一般的にももちろんFF式石油ストーブが一般的な形式になりました。
しかし、一方でセントラルヒーティングも配管技術が向上し、
徐々にパネルによる輻射暖房として、
多くの支持を集めるようになります。
なんといっても、FF式石油ストーブが個別の居室暖房、局所暖房であるのに対して
セントラルヒーティングは基本的に全室暖房が可能になったのです。
それは、ブロック住宅の失敗から
もう一度、木造住宅の性能向上を目指しての試みだったのですね。
いわゆる「高断熱高気密」への本格的取り組みが始まって、
いろいろやってきた戸建て住宅の性能向上努力が実を結びつつあったのです。
しかし、わが家ではその当時の一般的風潮となっていた
札幌オリンピックを契機としたマンションブームに乗ってそれを購入しました。
折から地下鉄がわが家のすぐ近くに駅ができたので、
父は新築されたマンションを購入したのですね。
まぁ、その当時、居住用だけの戸建て住宅を建てようか、
という計画もあったのですが、
なかなか戸建て住宅の性能は、信頼感が薄かったのですね。
そのマンションでも、暖房は温水循環のセントラルヒーティングでした。
しばらくは、こうしたFF式石油ストーブとセントラルヒーティングの
並列的な状況が続いていたと思います。

さて、きのうは健康診断でした。
おかげさまで、特段の変調もなく
まぁ、やや太り気味で(笑)、そのへんの数値が一般値からはややオーバー気味。
っていうような状況でございました。
一方で、視力はやはり落ちてきているようですね。
老眼鏡が必須になってきたようです。
それでも0.4と0.8っていうことなので、まぁ、まだまだ。
ことしも健康には十分に留意して、頑張っていきたいと思います。

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2010年01月05日

北方日本の暖房の歴史_4

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きのうはブロックで建てたもやし育成室の事を書きましたが、
はるかな後年、わたしが家を新築したとき、
なぜかブロックで家を建てる建築家と意気投合して
建てたとき、新築の祝いの席までそのことを忘れていて、
「なぜ、ブロックの家を建てたのか、そのわけは」
というお話しをする段になって、はじめてこの父の建てた育成室のことを思い出しました。
「あ、そうか、あの建物のことが記憶に刷り込まれていたのか」
と、不思議な邂逅感に包まれたことがあります。
まぁ、ブロックの家はその父の建てた当時、
北海道知事が北海道にふさわしい建築工法であると宣言して、
住宅金融公庫の融資、この工法にだけ認めるようにしていたほど。
三角屋根のブロック住宅の計画が進行していて、
郊外の新興住宅地には整然としたブロック住宅が供給され始めていたか、
そのちょっと前くらいだったのですね。
しかし、この工法は断熱をブロック駆体の内側で行っていたので、
致命的な内部結露を起こしてしまいました。
そういう失敗もあったほどなので、父の建てたブロック育成室の
建築技術的水準がどの程度であったのか、不明ですが、
やはり建築的には失敗だったものと思います。
わたしが建てたブロックの住まいは、その後の技術的進歩を反映して
外断熱工法を採用して、築後19年になりますが、
いまでも気密性能1.0cm2レベルを維持しています。

さて、暖房の歴史です(笑)。
どうしても住宅性能と密接に関わるテーマなので、
話も寄り道気味になってしまいます(笑)。
石油ストーブが一般的に普及し始めるころには
「セントラルヒーティング」という考え方も導入されるようになります。
わたしが高校1年のころに新築移転した工場併設住宅では
暖房はスチームによるセントラルヒーティングを採用していました。
熱源としては、工場の方の重油ボイラーを援用していたように思います。
この時期(1967年前後)としては、やはり最新の設備だった記憶があります。
本来であれば24時間連続運転すべきだったと思いますが、
やはり木造で建てた住まいの方は、住宅性能的に問題もあって、
連続運転ではさすがに燃料費がかさんだのではないかと思います。
朝、シュワシュワという、パイプの中を蒸気がいかにも通っている
っていう音とともに暖気がやって来るという装置でした。
この項、まだまだ、続きそうです。
明日も続くか、ちょっと休むか、あした乞う、ご期待(笑)。

さて、本日は年に一度の健康年貢の納め時、
健康診断であります。
さぁ、何を言われるか、ちょっと不安ですが、最近は健康そのものなので
まぁ、大丈夫だと思います。が、さて・・・。


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2010年01月04日

北方日本の暖房の歴史_3

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石炭の暖房のことを書いていたら、
それはそのまま、北海道での冬の暮らしのスケッチになることに気付きます。
石炭収納庫は、たいてい戸外にあったのですが、
今日出没しているという「石油泥棒」のような
石炭泥棒みたいな話は、聞いたことがありませんでした。
石炭が、北国での生存維持の不可欠要素であることが
共通認識として共有されていて、最低限のルールが存在していた気がします。
残念ながら、社会としての倫理観、
人間社会としての住みやすさという意味では、
あのような不便な時代の方が、勝る部分もあったのかも知れません。

ともあれ、石炭の時代から石油の時代に
世界規模では小さな、地域社会にとって見ればきわめて大きかった
エネルギー変換が訪れてきます。
自動車の普及による石油製品の需要の増加が、
この石炭から石油への変換には大きい要素だったのでしょう。
圧倒的にコストが違っていたので、あっという間に市場は変化していった。
しかし、今日の価値観で考えれば、
同じような化石燃料の使用であり、であれば地産地消という観点からは
もう少しオリジナルな産業的工夫はありえなかったのか、
やや忸怩たるものを感じます。

ともあれ、石油に「ストーブ熱源」の位置は移り変わった。
石油ストーブでは、火力も大きく初期には温風吹き出し型のタイプが多かった。
より大きな面積の部屋を暖房することができたけれど、
すぐに、空気流動にともなう室内空気質も問題になってきた。
暖房に使用する燃焼用空気を外気から取り入れて
排気空気もすぐに外に出す、という「FF式」が当初から出荷されていた。
それまでの冬の暮らしを支えていた「煙突」が家から消えていった。
かわりに、主暖房室周辺に吸気と排気の丸い突起が露出していた。

この頃から同時に、住宅性能についての研究努力が始められた、
というか、一般にも普及が始まった。
暖かい住宅はどうしたらできるのか、ということが
暖房の問題と同時に、住宅それ自体の問題であるという「常識」が
北海道民の一般的理解として普及していったのですね。
ちょうどそのころ、わが家では食品製造業の家業の生産施設として
温室的な装置の新築を考えていたのですが、
足繁く建築工務店さんが出入りして、最新の建築工法を取り入れていた。
「ブロックの家っていうのがいいらしい」
というような会話が交わされていたのを記憶しています。
そして、実際にブロック造の「むろ」と呼ばれる工場が建てられました。
わが家では「もやし」を生産していたのですが、
その育成には、高温多湿な室内気候条件が求められる、
それも一定の常温的環境が不可欠だったのですね。
当然、建築としての性能条件と、暖房性能の安定性というものが求められた。
しかし、そういう技術的成熟はまだ、求めても研究開発されていなかった。
されていても、大規模な生産システムとしては実用レベルではなかったのです。
とくに暖房熱源については、試行錯誤が行われていた。
結局、練炭を七輪に入れて使っていたのです。
広い育成室をくまなく一定温度にするために多数の七輪暖房を行っていた。
2酸化炭素が発生するのだけれど、もやしのためには、
むしろそれを植物として吸収する、とも考えたのかどうか。
ともあれそのような工夫を行っていた。

もやしは冬季用の野菜であり、まさに暖房と建築性能が必須だったのですね。
しかしそれでもなかなか冬期、安定的な生産はできなかった。
どうしても不安定な育成プロセスを監視するために
父は、このような育成室で寝泊まりするようなことも多かった・・・。
まぁ、そういうことが健康を害することにつながってしまったのです。
このテーマ、なかなか簡単に書き飛ばせるものではありませんね(笑)。
明日も続くと思います。

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2010年01月03日

北方日本の暖房の歴史_2

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石炭による暖房って、案外その寿命は短かったと言えるでしょう。
わたしの記憶では、昭和40年代にはすでに石油に
メインの位置を譲っていたように思う。
しかし、石炭による暖房は、道民気質というようなものを生み出すのに
大きな役割を担っていたと思います。
火力に変化があって、強まったり弱まったりする。
なので、始終見続けていなければならない。
そういうわけで、基本的には「ガンガン焚く」という方向に行きやすい(笑)。
家の中にはストーブは基本的に1台だけなので、
居間に家族が集中し、それ以前の「採暖」形式である囲炉裏と
さして変わらない光景が展開していた。
大体家族の座る位置も決まっていて、それ自体で家族の一体感を演出していた。
家長は石炭を焚く位置、石炭投入口に面した位置に座っていたと思う。
わが家では少なくとも、父がその位置にいた記憶がある。
家族の越冬を支える責任者、というような無言の表現があったように思う。
来客があると、家長から見て左手近くに来客が座って、
母はその対面側に座って、ストーブの上に掛けたやかんから湯を取って
お茶を入れたりしていたように思う。
そういう意味で、「家制度」をそこに映し出す装置でもあった。
団欒、という言葉の実質の光景がまざまざと展開していた。
家の中には厳しい温度差が存在していて、
暖房室以外は、寝室の機能を果たすだけで、
子どもの勉強もその周辺のちゃぶ台テーブルなどを利用していたと思う。
そういうことなので、自然、兄は弟の勉強を見る、という光景もあった。
寝室に寝に行くのには、結構な決心が必要で、
気合いを入れて布団に入る必要があった。
そのため、よく「湯たんぽ」を利用せざるを得なかった。
暖房性能的に言えば、局所暖房であり、
室内から燃焼空気を利用するため、外気からどんどん燃焼用空気を導入していた状態(笑)。
要するに、どんどんと「隙間風」が室内に入ってくる「低断熱・低気密」の家。
ストーブに当たっているカラダの表側は火照るほどに暑いけれど、
背中側は常に新鮮外気にさらされている実感があった。

そういう状況が屋根面軒先に巨大氷柱となって結果する。
また、暖房を切った朝方には、家中の水が凍結しているような光景を生み出す。
家風呂の水が、凍って盛り上がっているのは日常茶飯事。
水道はもちろん毎日水を落としておかなければ、凍結してしまう。
朝起きたら、まずはストーブに着火しなければ生活を始められない。
一方で、そういう住宅なので、室内に漬け物などを置いてあってもまず腐ると言うことはない。
それよりも白菜の漬け物など、上に張った氷を割る必要があった。
手を切るように冷たい水を扱いながら、
朝ご飯の支度に向かっていた母の背中を見ていた・・・。
カラダは布団の中でぬくもっているけれど、
顔の表面にはうっすらと氷が張っているようにも感じられた(笑)。
衣服は頭の上に整えて置いてあった、
布団の中から、気合いを入れて起き上がって即座に着替えなければ寒くてたまらなかった。

まぁ、いま考えたらびっくりするような暮らしぶりの毎日だったのですね。
しかし、そういう厳しい生活だったから、
より一層、家族という共同体の意識は高いレベルだったのでしょう。
お互いを気遣い、助け合っていくことが生活の必須条件だった。
わが家の場合、その上、家内制手工業で食べていたので、
そういう生活プラス、毎日の仕事が朝起きるとすぐに始まっていた。
まぁ、毎日戦場のまっただ中にいるような生活だったんですね。
まことに厳しい暮らしだけれど、
いま思い起こしてみると、甘美な記憶とともに思い起こされます。不思議ですね(笑)。

そんなような住宅と暖房の状況が、石油暖房に変わって、
大きく変化していくことになります。<以下、明日へ>


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2010年01月02日

北方日本の暖房の歴史_1

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北国に暮らしていく以上、暖房とは切っても切れない関係。
しかし、わたしが住宅関係のことを仕事にし始めてからでも
その変遷ぶりは大変に激しい。
日本の伝統的民家では、北東アジア全般に広がっていた
「オンドル」という、地中に排煙ダクトを作って動物の糞を乾燥させたような
燃料を燃焼させ、その煙で床暖房的な暖房を取る方式は存在していなかった。
北海道にいて、そのことがなぜなのか、
どうしても理解できない部分があります。
北方日本では活発な北東アジア世界との交流があったけれど、
こと暖房に関しては、こういう先進性導入の事実は見られない。
「オンドル」はそれだけ高度な煙道製作技術が必要であり、
そういった高度な技術者は、北方交易には興味がなかったのでしょうか。
それとも朝鮮や、バイカル湖周辺の民族と、アムール川河口周辺の
北方民族では、民族文化を異にしていたということなのか。
このテーマも、しっかり確認したいと思っている次第です。
今日まで残っている北方民族としてのアイヌの住居では
平地に炉を切って囲炉裏暖房するという形式。
当然調理熱源としても活用するので、年中炊き続けるということだったにせよ、
なんとも原始的な暖房方式だったと思わざるを得ない。
こうしたアイヌの住居より、それより前のオホーツク文化人などの住宅の方が
きちんと竪穴を掘って地中熱を活用する工夫が見られるだけ
むしろ、住宅性能は良かったのではないかと思われます。
アイヌ期以前の住居では、調理にはきちんと「かまど」を製作しています。
かまどというものも、日本文化との交流を物語っているのだそうです。
その後のアイヌの住居の調理は日本からの交易品であった
金属製の鍋だったので、自在鉤で簡単に調理ができる利便性があり、
竪穴を掘るというような面倒な作業をだんだん、敬遠していったものなのでしょうね。
長期的耐久性よりも簡便な住居建築方法に移っていったのでしょう。

明治の開拓は、ひたすら寒冷地北米の様式の輸入が計られた。
はじめて開拓総設計士としてのケプロンさんが北海道に来たときに
持ち込んだとされる「ストーブ」が導入されたのですね。
北海道での炭坑の発見もアメリカ人たちの技術で行われた記録があります。
大量に発掘された石炭は、暖房用燃料としてストーブに活用された。
発掘技術も未発達だったのか、周辺の河川では
石炭が大量に流失して、周辺の人たちはタダで利用していたそうです。
そうでなくても、石炭は越冬用の暖房熱源として
非常に安価に北海道民に提供されていました。
各戸には「石炭庫」という外部物置が設置されていて、
無造作に石炭が貯蔵されていましたが、
特段、「石炭泥棒」というような被害は記憶にありません。
たぶん、それくらい安価に提供されていたと言えるでしょう。
北海道人の冬の暖房の強烈さ、家の中での冬場のビール消費量が全国一だという
統計に表れる北海道気質は、
こういった格安な燃料代がなせるものだったとも言えるかも知れませんね(笑)。
どうもこのテーマ、いろいろありそうなので、
また明日以降も触れたいと思います。
新年早々、さっそく連載ブログテーマ、スタートという次第です。


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2009年12月30日

雪のない場所

7906.jpg

わたしは北海道岩見沢市の近郊で生まれ育ち、3才から札幌の町育ちなのですが、
そんなことからか、豪雪地帯の感覚が染みついている気がしています。
冬になると、否応なく真綿で締め付けられるような
閉塞感が襲ってくる感覚が強くあって、
そういった気分のようなものから、逃れたいという思いが強かったように思います。
そんなことなので、たとえば秋田の住宅には
何となくイメージとしてマザーを感じざるを得ない部分があります。
雪国の冬の暮らしの中で、
3代の女性たちの有り様を描いた絵画があって、
無常に恋いこがれるような気分に襲われた記憶もあります。
祖母・母・思春期の娘とあどけない娘というような作品でしたが、
冬の陰影感、雪を反射したそれが室内を照らし出しているような
光の感覚も好きで、見とれてしまっていたのですね。

そのような体験記憶を持っていると、
雪のない空間をどうやって作るのか、
そういうことに強い興味を覚えるものなのでしょうか。
札幌ドームができる、というニュースに接したとき、
なによりも冬でも雪がない大空間が北海道でもできるんだ、
っていうような素朴な感覚が強烈だったように思います。

写真は、自然の中にあるカフェのアプローチ。
雪の中でも足下が確かな地面を表している、
そんな単純なことですが、北国の人間環境を考えるとき、
こういう「迎え方」が、言葉ではない暖かいメッセージになっている気がするのです。
単純に道路までの足下に対する配慮をこの建物がしてくれている、
っていうことに過ぎないのですが
このように明確に雪が屋根に積もり、周囲に積もっていれば
その心遣いがうれしくなってくるのが自然。
ごく普通のことですが、
パブリック、というようなものを感じさせてくれるように思われます。
このあたりの感受性が、北海道人の性格のなにがしかを構成している部分はあると思います。
よく、ノウハウを簡単にひとに教えてしまう
というように言われる部分にもつながっているかも知れません。
しかし、開拓してひとびとが多く住めるようにする、という
基本的な共通認識という見方をすれば、よき特性とは言えるでしょう。
まぁ、競争原理の中の企業家根性論から言えば、甘いでしょうね。

本年もあと2日。
きのうで会社での仕事は一段落ということですが、
ブログは年中無休で書き続けますので(笑)、
またのご来場をお待ちしております。


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2009年12月29日

コンクリートと意匠性

7903.jpg

先日行ってきたアルテピアッツァでの展示作品。
これは確か、白っぽいコンクリート製の作品だと思うのですが、
作者である彫刻家・安田侃さんの了解を取って(だろうと思うのですが)
このように被覆されていました。
一種の冬囲いというように考えれば、
全国にある「大名庭園」の樹木の雪囲い風景とダブって
これはこれで、面白みが発生するのではないかと思いました。
北海道では、冬場の気象条件が厳しすぎて
素地のままの状態では、劣化は避けられない。
野外に設置するのが趣旨の作品であれば、このようなことについて
相当議論された上で、このように被覆しているものと思います。
そう考えてみると、きっちりと作品にピッタリの被覆材がしつらえられていて
好感ももてるものと思います。

芸術作品においておや、であります。
やはり寒冷地住宅(建築)ではコンクリート素地表しは難しい。
どうしても素地表しにしたいと考えれば、
この作品のように冬期の被覆材を考えるべきだと思います。
やや違いがありますが、
明治期くらいの建築とおぼしき余市の漁家では、
漆喰壁の蔵に、冬期だけ被覆させる木造壁を工夫していました。
わたしから見ると、あの建築は日本伝統の建築が
北海道において生きていくために工夫した最良のデザインであったと思っています。
明治においておや、であります。

意匠性を優先させるのであれば、
このような延命装置を同時に考案すべきだと考えるのです。
そうではなく、「やりたいことをやる」という幼児的な発想を
そのまま認めることは、間違いではないのでしょうか。
設計として、一番基本になる「土地を読む」という意味で
その土地で、住宅建築を考えてはいけないのではないかと思うのですね。
環境に対する態度、というように敷延して考えれば
こういう事はきわめて大きな問題だと思っています。
こうした基本的な態度が通用しないひとも、残念ですが多いのも現実です。

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2009年12月26日

屋根雪崩の美しさ

7902.jpg

この時期になってくると、雪との日常的付き合いが
いろいろな局面を生み出すようになってくる。
もう札幌市街地周辺では、
「雪を自然に落とす」という発想の屋根がすっかり少なくなってきている。
北海道の雪は、本州地域の雪とは違って
寒さが厳しく、しかも湿度が少ない特徴があるので
屋根の傾斜や素材をしっかり計画すれば
きれいに滑落してくれる。
わたしが幼いころには、大雪のあと、暖気が来て
方々の住宅の屋根からの屋根なだれを楽しんで観察していた。
自然のちょっとした加減で、ごらんの写真のような
雪の割れ方をして、トタン屋根を次々に落下していく。
千変万化して、見ていて飽きることがない。
みごとに落ちていくと、一種のカタルシスがあって、
思わず「おぉお」と歓声を上げてしまう。

ただし、住宅性能と言うことで言えば、
このようにきれいに滑落するというのは少ない。
大体が軒先に氷柱が発生していて
それがダムのように堰き止め、
その堰き止め力を越えて雪の重さが大きくなって落下すると
その下を不幸にも通りかかったひとに被害を与える。
固く、成長して大きな氷柱つきですから、場合によっては死亡事件にもなる。
そのような不幸がつい最近まで繰り返されてきたのが北海道の家です。
まことに北海道の屋根というのは
自然と人間の知恵の格闘の産物なのですね。

写真は美唄のアルテピアッツァの体育館建築での様子。
十分に周辺土地があるので、気持ちよく
雪のかたまりが落ち続けていて
楽しい。きっと内地のひとにこういう光景を見せてあげたら
感動してくれるのではないか。
そのような観光資源化はできないものか、と夢想しておりました(笑)。
除雪の様子、といっても大型車両によるものですが、
それを観光客に見せたら大人気だったということがありましたが、
そういうノリも必要かも知れません。


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2009年12月24日

雪のなかで美しい家

7904.jpg

先日、伝統木造工法の住宅のデザインで著名な建築家の講演を聴いていました。
屋根の形状が複雑に組み合わされている
いわば自由な屋根のデザインで構成された作品を見ていたのですが、
どうにもそういう感覚に違和感を抱き続けていました。
なんなんだろうか、という感覚。

きのうは久しぶりにカミさんと、美唄のアルテピアッツァに行って参りました。
北海道はこの数日間、けっこうな雪の降り方で
大好きな喫茶店はどうなっているか、
まだ、営業しているのか、不安でしたが、
そこからの雪景色を見てみたい、ということで
近接の日帰り温泉施設訪問も兼ねて
出かけた次第です。
で、写真のような光景に出会うことができました。
そうなんですね、雪の中で美しい、という感覚が
先日の講演からは、まったく感じられなかったのですね。
基本的に、雪との調和を考えれば、
造形的には北国では屋根はシンプルになるのが自然なんです。
北の自然を感じる森の中で
まるで祈りを捧げるような素朴な切妻を基本にしている。
下屋があるくらいで、なるべくシンプルにたたずむ、というのが
雪に対する態度としては正しいのではないでしょうか?

そして雪がきれいに落ちていくためには
軒先に氷柱ができてくるような
断熱気密に配慮していない住宅では、まことに見苦しいことになる。
屋根から雪は落ちてくれず、軒先には大きな氷柱ができ
複雑な屋根では、あちこち、見るに堪えない状況になる。
こういうことへの理解がない、と言わざるを得ない。
北海道の住宅が日本のDNAを離れて、
よりインターナショナルな方向に向かったのは
やはりこういう雪(と寒さ)への態度、という部分の対応が大きい。
木造構法は十分に理解できるけれど、デザインは理解できない部分がある。
そういうデザインの、それなりの良さは認めるけれど、
やはり汎用性のものとはいえない。
いわんや、これが素晴らしいんだ、というように共感は持てない。

針葉樹を中心とした背景の森のなかで
美しく凛として、
どんな自然条件にも耐えてあり続けようとする
この写真のような建物に抱かれていると、
やはり、これがわたしたちの本然の冬の美なのだと
深く思い至らざるを得ないのですね。

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2009年12月22日

木造構法の耐久性

7900.jpg

北海道では、いわゆる「伝統木造工法」で建てられた建物というのは
皆無に等しい、という序のお話しのセミナーに行ってきました。
NPO法人の「北の民家の会」が主催したセミナーで
いわゆる「構法」について、実験なども交えた開示がありました。
日本の建築基準では、っていうか、
建築の学者さんたちは、伝統的な木造構造について
まったく基本的な学習・実験を行っていないようで
その蓄積もなく、どうも横道的なところで金物補強を金科玉条としている感があります。
先日大きな話題になった、長期憂慮住宅3階建て実大耐震実験で
日本をリードする学者先生たちが「これでないとダメだ」と言っていた
建物が、震度6程度の実験でみごとに倒壊して
むしろ、地震力を逃がすように設計していた伝統的木造に近いほうが
部分的崩壊にとどまっていたというのは記憶に新しいところです。

どうも、日本のいまの状況をそのまま表している感じがいたします。
建築の世界で言えば、
姉歯による構造偽装問題を契機として、
その「建築確認申請」の犯罪的通り抜けを許した建築行政側を免責することに
血道を上げて、ひたすら行政的事務手続きを煩雑化させて
できるだけ、民間に責任を転嫁して、負担を強いる、
っていうような構図がずっと続いているのが現状です。
そういうことが行政発の建築不況を現実化させているのですが、
今回の耐震実験結果についても、行政の免責は真っ先に優先されるのではないかと思われます。
そして、そういう行政に対してお墨付きを与え続けてきた大学などの
「有識者」という存在のありようも、大問題なのではないかと思うのです。
もっとも身近な例で言えば、小泉政権での竹中大臣の問題。
政府系金融機関を次々と民営化させながら、
その一方で「民営だけど、管轄からいえば国営」というような
商工中金のような存在まで生んでしまっている。
端的に言えば、野放図な官僚機構の「焼け太り」ばかりが目に付く。
民営化はしたけれど、民間金融機関がいま、貸しはがしなどしたら
例の亀井大臣主導の法律で厳しく監視されるのに、
こういう存在はアンタッチャブルになっている。
どれだけ貸しはがしをしようが、金融庁の指導監督が及ばないのだそうです。
まぁ、言ってみれば「官」のモラルハザードと機能不全だけを残したのが
かれ、竹中がやってきた「構造改革」の果実だと思うのです。
それは結果的にはアメリカへの資金流失ということだったのかも知れません。

大きく話がそれました(笑)。
写真は、伝統木造の引っ張り強度実験の様子です。
実験では、国が推奨する工法モデルは17kgの力で破断していましたが、
そのほかの伝統工法では、普通50kg以上の耐力を示していました。
極端に言えば、勉強はできなくても(失礼)現実を知っている存在が認められず、
現実を知らなくても口先で説明が上手な存在が優先されているのが、
いまの日本の現状なのかも知れません。
そんなのは、絶対に間違っている!


追伸
文中、「長期優良住宅」と表記すべきところを、「長期憂慮住宅」と誤記してしまいました。
が、これはこれで素晴らしい表現だと思いますので、
あえて訂正はしないことにしました(笑)。どうぞよろしく。

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2009年12月21日

2面採光の工夫

7899.jpg


写真は秋田での取材先、五蔵舎さんの事例から。
居間って、その敷地条件の中でもっとも良いと思われる位置に
配置を計画するものだと思います。
その土地に暮らす楽しみを一番シンプルに表現できるもの。
で、多くの場合は、それは庭との関わりが大きい要素を占めている。
日本の伝統的な京都などの寺院建築では
とにかく周囲の庭と、借景としての後背の自然環境を愛でる、というのが基本的態度。
そうした基本に忠実にというか、自然に考えると
もっともいい位置から、庭を見晴らし、また採光は2面で考えて
開放感のある居心地を実現したいもの。
ところが、そうなると困ってくるのがテレビの大型化。
どんどん大型になって、できれば壁1面を専有したいとなるのですね。
それで2面採光、という条件を考えると、頭が破裂しそうになるのです。
場合によってはきれいな庭に背を向けてソファを置き、
テレビを常時見続けるというおかしな居間プランになったりする。

まぁ、そんな事を考えながら
居間の構成を取材するのですが、
この家では、2面採光のうちのひとつを
小さなテラスドア、それも高さを抑えたタイプにして
しかも、和のしつらえのなかに上手にデザイン的に組み込んでいます。
右側は南側に面しているのですが、左側テラスドアは
やや東側でもあり、採光の用を最低限果たせる大きさになっている。
しかもテレビは、きちんと背景として壁面になっている。
周囲は和の家具的な空間構成になっているので
全体としての調和も素晴らしい。
一方、くつろぐ居間の家具としては昔懐かしのちゃぶ台(笑)。
いいんですよね、これが!
しっかりした断熱と暖房計画で床面も暖かいので、
無垢材の床でも冬場でも寒さはまったく感じない。
であれば、このような居間でも実に居心地がいい空間になる。
けっして見てくれや、インテリアだけの発想ではなく、
しっかりとした断熱の工夫が前提にあって実現させているのですね。
もしこういう絵だけ真似て、住宅性能を考えていないと
悲惨な冬場の光景になってしまう。
たぶん、ごてごての無計画な暖房機が置かれて、その上
床暖房カーペットなどが敷き込まれてゴチャゴチャの空間になること必定(笑)。
デザインは、その裏打ちとしての性能があって初めて論議できるものだと思います。

っていうようなブログは
今しがたまで、1時間ほど雪かきをすませてから、といっても
大雪なのでまぁ、半分くらい片付けてから書き上げました。
本日は札幌地方、大雪、たぶん、20cm以上の積雪です。
今日は一日中、断続的に雪かき作業が続くでしょう。
やれやれやれ、というところであります。ふ〜〜〜。


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2009年12月19日

段差のあるリビング

7896.jpg


写真は先日の住宅見学会の様子。
ある若い設計者の住宅ですが、見るとリビングとキッチン食堂の間に段差がある。
リビング側が一段下がっているのです。
敷地には高低差があって、前面道路からは下がって存在する敷地。
そういう関係で、2階からの出入りになっていることはある。
でもだからといって、こういう段差があるのはどうして?
と思わざるを得ない。
まぁ、聞いてみると実にいろいろな要因があってこういう形態になっている。
しかし、決定的なのは、この段差は
階下からの暖房された空気の通り道に当たっていると言うこと。
パッシブ換気、という北海道の温熱環境研究者が開発したシステムの応用なのです。
床下土間をコンクリートで作り、そこに新鮮外気を導入し、
暖房機を設置して、空気に暖気を与える。
外気は暖かい暖房機に吸い寄せられるように入ってくるとも言える。
そして暖気は必然的に上昇するから、
その通り道を考えてやれば、まことに自然な暖房であり、換気になる。
建物最上部から、ちょうど煙突で排気するように空気を排出させる考え。
で、その通り道を考えるのに、
こういうスキップフロアを考え出したという次第。
このように装置すると、家の中のちょうどいいベンチになって、
手前居間からのいい眺めに対するビューポイントを形成している。
実際そのような生活が展開されていると言うこと。

きのうも若干触れたけれど、
こういう合理的で、しかも大胆なデザイン発想というのは理にかなっている。
デザインが、デザインのためのデザインにはなっていない。
建築というのはさまざまな構成要因を重ね合わせながら、
現実に建っていく。
こういう事例のように、合理性が独自なデザインを生み出す、というのは
ものすごく応援したくなるアプローチ。
いかにも表層的な「やりたいことをやる」、
みたいな、無軌道な突っ走り建築デザインを目にすることが多い中で、
このような丹念な仕事の良さを、目にすると
やはり救われたような思いを抱きます。

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2009年12月15日

照明が生み出す空間美

7890.jpg

先日土曜日の建築家住宅ツアーから。
若手女性建築家の最新住宅です。
広い敷地に床面積50坪超のほぼ平屋、というまぁ、すごい住宅。
こういうひと、いるんだぁ、と感心させられました。

で、写真はそのリビングです。
この見学のあと、パナソニック電工さんの照明ショールームを見学もしたもので、
すっかり照明の演出手法の生み出す空間性に興味津々。
ちょうど写真では、天井埋め込みのダウンライトや
壁面に対して投射する光と、すっきりとまとめられたテレビオーディオ収納が
鮮やかなコントラストを見せておりました。
このあたり、収納という必要装置をデザイン的に
シャープに造形することと、
それを照明演出のキーコーナー的に見せ場とする
その両方のプランニングが一体的に考えられているのだろうな、と
推測が膨らみます。
使う手法は、けっこう一般的に見られるものですが、
このようにシンプルに大胆に見せられると、
その単純さ故に、実にぴたっと、納まっている感じがいたします。

一方、照明器具では、
最新のLED照明などへの変化の境目に現在はあると思いますが、
環境性能的に否定的な評価をされることの多い電球の色合いが
色の性能的には一番美しい、ということもショールームでは開示され、
一面的な画一的な考え方ではなく、
適材適所で考えなければならないと感じた次第です。
家を建てるって、要するに人間が安全と、癒しを求める行為であるべきなので
そういう目的に沿って、考えていくべきなのではないかと思うのですね。
でもまぁ、電気代とか、いろいろ考えるべき点はあるわけで、
具体的には、選択が難しい部分もありますね。

さて、きのうから札幌に落ち着けました。
たまっている懸案事項など、着手し始めましたが、
始めれば、無限にやるべきことが山積み。
この調子では、年は越せるのかどうか(笑)、っていうところです。
さぁ、頑張らねばなりませんね。

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2009年11月26日

東横インは樹脂サッシ

7870.jpg

年間の出張日数はわたし、大体ことしで、60日くらいになるのですが、
ほとんどビジネスホテルであります。
そのなかで、よく利用するのが東横イン。
以前、いろいろコンプライアンスの点で叩かれて、悪いイメージもありますが、
そういう問題は、端的に正せばいい。
それよりもいつも感じているのですが、
窓が、必ず樹脂サッシを採用しているのですね。
そのうえ、北関東以北でしょうか、部屋には
電気熱源と思われるパネルヒーターが設置されているケースも多い。

これって、誰も言わないでしょうが、なかなかポリシーがある。
日本のホテルって、たとえば北海道のリゾートホテルでも
本州地区の一流シティホテルでも、ほとんどがアルミサッシというケースが多い。
インテリアはすばらしく、床にはふかふかの絨毯が敷かれているけれど、
一歩部屋にはいると、なにやらかすかにカビくさい。
っていうような高級ホテルが多い。
あれ、全部、結露被害が原因ですね。
ひどい場合は、窓面木枠から結露水がしたたり落ちていたりする。
そういうなかで、東横インは少なくともそういう様子は感じられない。
樹脂サッシですから、窓も当然ペアガラス。
メインの暖房機としてはエアコンでしょうが、
よくデスクの下などに、電気式のパネルヒーターも設備されているのです。
なので、冬場、たとえば東北地域に出かけるときは
東横インだと、寒さを意識することは少ない。
パネルヒーターは、輻射型の暖房なので、
エアコンから吹き出してくる空気温度上昇暖房と比べて大変マイルドな暖房なんですね。
ホテルなんですから、
顧客の快適性ということを第1に考えて欲しいのですが、
多くの「一流ホテル」では、目を奪っての驚き性は追求するけれど、
そこに一定時間を過ごす肌合いに感じられる快適性に配慮していない。

窓の基準って、日本は大変遅れていて、
ヨーロッパの性能基準がいまや、世界的に標準的になってきて、
当然断熱性能は、数値で厳しい基準適合が条件化されていますが、
いまや、中国や韓国もそういう世界標準を採用しているのに、
日本だけはアルミサッシで押し通そうとしている。
まぁ、窓のメーカー団体とか、
大手ハウスメーカーとか、窓枠の太さを嫌う「デザイン設計者」などの
複合的な圧力で、このような遅れた基準環境に置かれているのが実態です。
民主党の「業務仕分け」で、
こういった日本の遅れている基準なども、ぜひあぶり出して欲しい。

まぁ、樹脂サッシ自体は日本独特に発達してきたものですが、
性能的には、世界標準となんら遜色のないレベルを達成している。
依然として、寒々しい「シンプルデザイン」で
日本の住宅をダメにし続けることは止めて欲しいと思います。
ぜひ東横インに見習って欲しい(笑)。
あ、わたし、東横インから宣伝費、もらっていませんから。

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2009年11月16日

商家の店先雨樋

7843.jpg

北海道では、住宅に雨樋はあまり使われません。
日本と北海道とは住宅について結構大きな変化があるのですが、
そのなかでもこの雨樋は劇的に違うポイントでしょう。
雪が降り積もる内に屋根からの落雪にともなって雨樋も
一緒になって落っこちてしまって
イタチごっこになる内に、北海道の住宅建設のプロセスから消えていった。

写真は先日訪れた川越の蔵の街の一角で見かけたもの。
いつのころなのか不明ですが、板金工事として雨樋の仕事が残されたものなのでしょう。
一軒一軒採寸して、ピッタリ合うように施工したのでしょうか。
微妙な木構造に沿って段差を付けながら落としております。
まぁ、日頃見かけることが少ないもので(笑)
つい、見とれておりました。
雨樋って、いろいろな用途があると思うのですが
軒先からの雨だれを防ぐと言うことで、
主要には外壁の損傷を最低限に食い止めるという機能が大きいのでしょう。
雨が屋根からそのまま落ちれば跳ね返りで
外壁下部に泥水がはね返って、大変見苦しくなる、それの緩和。
しかし、北海道では長ければ半年間近く雪が積もっているので
そのような跳ね返り期間は、半年。
そう考えると、外壁の損傷可能性は半分ということになる。
逆に言えば、損傷耐久性は、半分でもいいか、ということになる。
そんな経緯から、徐々に「ま、いっか」という方向になっていって、
北海道住宅から消えていったものなのでしょうか。
それと住宅で言えば、軒先自体も住宅から減少していったのが
北海道の事情でもあったので、
このような伝統が廃れていったものでしょうか。
近年では無落雪屋根も大いに普及し、こういう考え方が
本州地域にも広がっていっているのが現状でしょう。
茶室建築などでは、貴人を迎えるために
竹を切って、その日だけのために簡易な雨樋を造作するという文化もあると
聞いたことがありますが、
まことにそういう日本的な文化性を維持できなかったのが北海道なのですね。
こういう文化性の復権というのはあるのだろうかと
時折、気になることもある昨今であります。


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2009年11月13日

屋上緑化

7863.jpg

温暖地を取材してみて、
やはり灼熱の夏をどう快適に過ごすのか、ということが
大きな問題になってくるといえる。
こういう問題を集中的に研究して、解決策を工務店レベルで考えようという
そういった運動体というようなものが存在しない。
いくつか、手法は明確になってきているので、
キーワードは、断熱と日射遮蔽しかありえない。
そのなかでも屋根面緑化という手法は相当に効果的。
しかし、なんといってもコストが高い。
こういう部分に補助金を付ける方が政策として遙かにいいけれど、
どうにもワケのわからないこねくりまわしたような「先導的提案」ばかりに
研究者である大学の先生たちというのは目を向けがち。
現実の「省エネルギー」とか「省CO2」というのは
もっと現実的な問題なのだと思います。
まぁ、国の政策的な方向付けの方の問題でもあるのですが、
現実の検証の済んでいない「先導的提案」というものが
官僚的な判断だけで優位に評価されるというのはいかがなものか。
もっと基礎的な手法の普及にこそ、
評価の基準を高めるべきだと思います。
数字的な評価で屋根緑化というのは評価が低いのかも知れませんが、
太陽光発電ばかりではなく、
こういった屋根面が近隣のみなさんに与える心理的な効果まで含めて考えれば、
きわめて効果は高いと思うのです。
屋上緑化が、普通の板金屋根と近いコストになれば、
普及はどんどん進む可能性があると思うのです。

太陽光発電などは、その寿命について
いろいろな説があるというのに対して、
芝屋根は、それこそ人類普遍の過去からの遺産的技術。
ほんのすこしの科学的技術の追加で、存続可能なシステムに高めることは容易だと思うのです。

って、きょうはすこし個人的な思いを強調したブログですね(笑)
一部、不適切な部分があるかもしれませんが、ご容赦を。

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2009年11月10日

家の中が外より寒い 関東の住まい

7860.jpg


写真は11月3日の東京都町田市のホテルからの写真。
今回の関東取材中は結構、寒い日が多かったのですが、
って、あとで聞いたら、11月でこんなに寒かったのは記録的とか。
まぁ、こちらは北海道から、なのでそれほどとは感じなかったのですが、
厳しい冷え込みだったことは間違いがないそうです。
で、町田というのは神奈川県と隣接する地域で
周囲にはごらんのような山が迫っていますが、
よく見たら、山の頂には白いものがあったのですね。

へえ〜、って、札幌から30日に出てきたのですが、
その時点では札幌近郊の手稲山にも雪はなかったのですね。
なので、今シーズン、一番最初に見た雪が町田だったわけです(笑)。
寒いじゃん、関東だって。
っていうのが、率直な感想であります。
住宅性能に着目しての取材だったので、注意深く、
関東圏の気候条件、地域風土というような部分に注目していたのですが、
取材させていただいたみなさんから、
独特な関東の「底冷え」について、お話しを聞くことができました。
晴天率がきわめて高い、というのは良く理解できましたが、
「温暖だ」というのは、そういう太陽日射からの輻射が大きい部分。
気温条件はまぁ、そこそこの状況で、
広い平野部で、日中の太陽光輻射で暖められる地面が
夜間には放射冷却で冷え上がり、その上、
山が少なく、遮るもののない乾いた寒風が吹き付ける。
そういう結果、断熱の配慮のない住宅では
床面から輻射的に冷気が伝わってくる寒さが襲ってくる。
基本的には、そのような気候条件、寒さの体感状況なのだと思いました。

家の中の方が、外よりも寒い。
変な話ですが、関東の冬場の日中であれば、
このような体感が理解できるなぁ、っていう印象を持つことができました。
逆に言うと、断熱気密の住宅性能が大変重要である、
ということを表してもいると思います。

さて、きのう、長期にわたった取材を終えて
札幌に帰って参りました。
晴天が続く関東から帰ってくると、こちらの曇天がうらめしい。
まぁ、それでも家に帰れば暖かい(笑)。
家族の笑顔がいちばんの暖房装置だと再認識できますね(笑)。

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2009年11月06日

田園調布の街並み

7855.jpg


関東大震災のあと、
密集的に建てられていた町家的な住宅街では
大火にきわめて弱いのではないか、
という認識が広がっていったと言われます。
そういうなかで、当時欧米で主張されていた、
「田園住宅」という考え方が、日本にも導入されたと言うこと。
主導的な存在だったのが、日本の資本主義の産みの親と言われる
渋沢栄一子爵だったといいます。
住宅の敷地をたっぷりと広めにとって
また、街区が閉鎖的にならないように、塀を回さず、
生け垣や植栽などでの街区形成を心がけようという考え方だったのですね。
そういうなかから、日本で初めて取り組まれたのが、
この田園調布の街並み形成だったということ。

いまでこそ、高級住宅街の代名詞になっているワケですが、
本来的には東京の高級住宅街は明治神宮周辺の地域であり、
この田園調布は、あまりにも都心からは離れている存在だったのだろうと思います。
考え方はいいけど、遠いよね、っていうことだったのではないでしょうか?
それが、東急資本が電車を通して、渋谷と結んだというあたりで
利便性も著しく向上し、
それと、街路植栽の充実時期が重なって、
日本有数の高級住宅地として、定着していったものと思います。
街路は放射線状の形成になっていて、
この写真の木造駅舎と、その周辺広場が中心になります。
現在では、いわゆる中心街機能としてはやや面積が狭く、
鉄道をはさんだ反対側の方に、碁盤の目のような一般的街区が広がっています。
まぁ、現代都市機能としては、そういう推移にはなるでしょうね。
取材がてら、街区を散策してみましたが、
現状では、街路樹や庭木の繁茂が盛んで、
欧米の住宅地を訪れた感覚、一見すると森の中に家が点在する、
っていうような様子になっております。

現代に至る、住宅地形成という
住宅というものを考えていくときに基本的な部分の
ひとつの象徴として、この田園調布の土地ブランドとしての成功体験が
大きな位置を占めていることは間違いありません。
まぁ、ほとんど商店などはないのですが、
その多くが金融関係の企業の店舗だったことをご報告しておきます(笑)。


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2009年11月05日

関東の住宅の結露

7853.jpg

写真は町田市で宿泊したホテルでの窓の様子。
おとといになるのですが、朝はけっこう冷え込んでいて
近隣の山には、朝方降雪しているのが確認できました。
というようなことになると、即座にこんな結露が発生しています。
取材先のお宅のご夫婦がそろって話されていましたが、
「とにかく結露が凄いんですよ」
ということ。それまではマンションに住まわれていたのですね。
本州地域の住宅では、家ってこんなものと考えているのか、
みなさん、結露の問題に対してたいへん鈍感です。
っていうか、それほど不具合なのだと考えない、ように馴らされている。
宿泊したホテルは、地元資本のホテルで
ほかのインテリアであるとか、調度であるとかは、
まぁまぁ、と思えるのですが、窓は酷い。
外にいるのかと思えるくらい、音が響き渡ってくる。
いわゆる「気密性」ということへの配慮は全然ない。
アルミサッシで、なおかつ気密の悪いタイプを使っている。
したがって、外気温が低下すると途端に、窓面結露を起こす。
日中は気温上昇するので、空気中の絶対湿度も多いのだと思う。
それが夜間に急激な温度低下で、家の中の一番弱い位置、窓面で
結露を起こす。
まぁ、程度がそうでもなければ、吸い取りゾウさんみたいな
おもちゃで、結露水を受ければいい、ということでしょうが、
こういう状態が続けば、必然的にカビが発生し、ダニも室内空気に浮遊する。
健康被害をもたらすような室内環境になる。

北海道が基本的に克服してきた常識が、通用しない。
冬場の北海道の室内は、たぶん全国一健康的な環境なのだ、という常識も通用しない。
まぁ、冬に北海道からほかの地域に行くと、
あまりの寒さに震え上がるというのが北海道人なんですね(笑)。
こういう基本的な知識が、
やたら権威的な、有名建築家というようなひとほど持っていない。
「そんなことは、設備的なことですから・・・」
というのがこういうみなさんの決まり文句なんですね。
もっといえば、そういうひとでありながら、とくとくと
エコロジーとか、自然派みたいな言葉をもてあそぶ。
もうちょっと、小学生理科レベルでいいから、
科学的な姿勢で住宅に向き合っていただきたいと思う次第です。
北海道からこちらの方に来ると、
ずいぶん「懐かしい」光景に出会うことがあります。
昔の北海道で、よくあったようなことが、こっちには残っている・・・。
それと、もう少し寒い時期になってくると、
家の外にいた方が、中にいるよりも暖かい、っていうのが始まる。
別に冗談ではなく、輻射熱のあるなし、ということなんですが、
そんな体験もさせられることがあるのです。
暮らしが快適になって、しかも省エネになる、
そんな住宅づくり、日本全体に広がって欲しいと思う次第です。

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2009年11月04日

耐震等級2問題・続編

7854.jpg

いやぁ、すごい話に展開しているようです。
先日取り上げた、木造3階建ての「耐震等級2」クリア物件が倒壊し、
それよりもルーズに作った建物が「倒壊しなかった」件について、
「いや、実は倒壊しなかった方が、先に倒壊していました」
という発表が、行われたと言うことだ。
この実験を担当した学者先生たちの意見なのだそうです。

「構造としては」ルーズな建築の方は10秒で破断しており、
それに対して「倒壊した」耐震等級2物件は、20秒間持っていた、
というのが論旨の発表だと言うこと。
なにやら、戦争中の「大本営発表」に似てきたような・・・。
素人目ににも明らかに倒壊していないものが「実は倒壊していた」
それに対して、素人目に明らかに倒壊したものの方が「長く時間が持った」
だから、・・・とまでは言っていないようだけれど、
要するに自分たちの考え方は正しいのだけれど、
現実は、もうちょっと、精査する必要がある、っていうこと。
なんとも歯切れの悪い、往生際の悪い言いぐさだと思わないのだろうか。
科学者なんだから、現実に起こったことを正視して欲しい。

この問題の発生後、どのような反応が起こってくるか、
いまは、しっかりとウォッチしている状況なのですが、
この問題に対して、学者さんたちの反応がまずはどうなるのか、
その段階だと思います。
とりあえず、当事者たちの見解の方向性は見えてきたのでしょうか。
しかしまだまだ、学者さんたちの間で、論議が盛んになって欲しいと思います。
そのうえで、つぎの段階で行政機構の側がどう動くのか?
っていう段階になると思います。
かれらは、民主党政権の考え方もあって、
学者さんたちとはまた違った反応になる可能性があります。
ただ、こういう行政意志は、学者先生の選択段階である程度、反映しているものなので、
常識的には、学者グループの意見を反映した方向に流れる可能性が高い。
一方で、行政機構とその使用者である民主党大臣グループの見解にも
違いが出る可能性があります。
いまのところ、国交省大臣・副大臣・政務官ともこの問題では
発言がないように思います。
かれらが、いったいどのように発言するのか。
政治家としてのかれらの方が、より自然人に近い反応はするだろうと考えます。
また、このような事態について多くのマスコミが
行政側の大失態、っていうように報道してきている以上、
一般のユーザーの反応というものがどうであるか、
これは、誰が考えても明らかな方向を向いていくと考えます。

このような大状況の中で、この問題は
今後、大きく論議されていくことになるでしょう。
まずは、いろいろな学者さんたちの活発な論戦が巻き起こって欲しいと思います。
<写真は、東名高速から新宿ビル群方向を見る>


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2009年11月02日

耐震等級2住宅、実験震度6で倒壊

7851.jpg


けさの日経の建築ニュースメルマガなどでも
情報が流されているけれど、
このブログでも何度か取り上げてきた「耐震等級2」の問題。
どうもとんでもない方向になってきています。
以下は、当社スタッフからの情報です。

ことは10月27日、
国土交通省の補助を受けて防災研が行った3階建て住宅での耐震実験です。

長期優良住宅仕様で耐震等級2をクリアしている住宅と、甘めに施工された一般仕様の住宅だそうです
大勢の関係者を招いての実験のようでしたが
本来倒れるはずの一般仕様が耐震金具が外れこそすれ倒壊は免れ、
逆に耐えうるだろうと想定された長期優良住宅があっけなく倒壊したというものです
震度は宮城沖地震に匹敵する「震度6」設定だったそうです。
映像は、いまインターネットで「E-ディフェンス公開実験」と
検索すると、いろいろ見ることができます。

基礎と土台をはじめ、柱の接合部分をしっかり金具で固定したがため、まともに地震の揺れを受け止めたようです。

このことは翌日の日経新聞(10月29日付)で掲載されたようで
 タイトルは「長期優良でも倒壊 震度6にも耐えず」だそうです

大勢の関係者が見守る中での大失態で、その衝撃は大きいようです
これを受けて、国交省も「長期優良住宅」の見直しがかかるのではとのことです。

きのうは、実は八ツ場ダムも見てきた(笑)のですが、
どうもそれ以上に住宅業界にとっては
より衝撃的なニュースなので、こちらのほうをきょうはお知らせすることにしました。
まぁ、業界を施策指導してきた結果が、
このような大失態ということで、
いったい国交省はこれからどうしていくのか、
現場に対する影響は相当大きいのではないかと思われます。
いやはや、この耐震等級2クリアさせるのに、
どれだけの労力と手間が費やされてきたか、
そしてそれが、根本的に疑問符が付けられるとは。
この問題、国の政策のあり方まで含めて、大問題に発展しそうです。


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2009年11月01日

住まいの防犯性能

7850.jpg


きのうは、埼玉県内の住宅取材が2件でした。
埼玉県って、表情の違う2つの側面があるようです。
ひとつは東京近接地域の、集約的都市環境であり、
もうひとつは、牧歌的な関東平野的環境。
ちょうど、取材もその両方のようなイメージの住宅でした。
で、この写真はどちらかといえば、都市化した地域での住宅のもの。
シンプルな若い世代の方の住宅なのですが、
玄関を入るとすぐにリビングルームがあるという間取り。
で、そのリビングルームには大きな掃き出し窓があるのですが、
その窓には、外部上部に収納装置のようなものが見えていました。
さて、なんだろうと確認してみると、
どうもスライドシャッターの収納部分のような感じがいたしました。
でも、ここは一般住宅で居間の窓なので
どうも場違いではないかという感じがしまして、
おそるおそる確認してみると、
「え、シャッターですよ。何かおかしいですか?」というお答え。
大きな窓にわざわざシャッターをつける積極的な理由が思い浮かばなかった・・・。
「防犯用ですよ、だってここは1階だし、当然でしょう?」
っていうことなんですね。

うかつでしたね。
そうなのか、こういう配慮が一般的だと言うことに
うっかり気付いていませんでした。
「いやぁ、防犯を考えないっていうほうが、不思議な感じがします(笑)」
という感覚が、関東地域では一般的なのですね。
確かにわが社屋でもSECOM契約はしていますが、
一般住宅の開放感を求めて開ける掃き出し窓に、防犯シャッターなんですね。
まぁ、通常は朝、シャッターを開けるということなので、
採光を最優先していることには変わりはないのですが、
そういうのが常識なんですね。
しかし、カーテンを掛ける習慣がなくて
窓辺の明るさの変化で目覚める、っていうような自然な生活習慣は
こういう場合、諦めざるを得ない、ということなのでしょうか?
まぁ、北海道や、仙台とか東北地域でも
あまりこうした防犯配慮は見られないのが一般的だと思いますが、
人口密集地帯では、このような配慮が重要なファクターになるのですね。
はじめて聞かされて再認識いたしました次第です。
いやぁ、郷に入らば、郷に従え、一種カルチャーショックでありますね。
ふ〜む。


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2009年10月17日

袖壁と軒の出

7832.jpg

写真は、先日取材してきた美幌モデルハウスのなかの
山岸建設さんの住宅です。
FAS工法のビルダーさんですが、デザインも頑張っていました。
無落雪で、シンプルなボックスタイプですが、
南側面の開口部をクローズアップした写真です。

美幌は太平洋側、というかオホーツク海側の気候で
冬の積雪はそれほどではなく、
太陽日射は比較的多く取得可能な地域。
そこで南側面に対して大きな開口を設けるスタイルができれば欲しい。
でも、そのためには断熱気密の技術レベルがしっかりしていないと、
大きな熱損失を招いてしまう。
そのあたりは、自信たっぷりに大きな開口を開けていますが、
逆に、冬場でも断熱気密がしっかりした住宅では、
オーバーヒートの問題が出てくる。
実際に夏場には、そういう心配が現実なんですね。
そこで、この建物では、南側面を大きく袖壁と屋根の軒の出を連続させて
ちょうど枠でしっかり囲むようにデザインしていました。
建築家・難波和彦さんの「箱の家」シリーズに着想したようなデザイン。
こういうプランは、まさに合理的で、
現代住宅のひとつの方向性を表しているといえますね。
ただし、この枠の太さや、力感がデザイン上の大きなポイントではあると思います。
全体のバランスや、表面の仕上げ材料の質感との調和など、
シンプルに仕上げるなかで考えなければならないポイントは案外多い。
ここでは、白っぽい枠に対して、窓面の方を黒っぽい色合いにして
よりくっきりと印象させています。
その分、枠の厚みはやや薄めで、奥行きも90cm程度と
軽やかな仕上げ。
奥行きを深くするほど、若干、コスト高にはなると想定できるので、
そのあたりのバランスを考えたデザインかなぁと、推察できました。
このようなデザインでは、日射の移ろいを反映して
建物のメインの南側が微妙な変化を見せていきます。
太陽光という、一番普遍的な要素をデザインに取り入れることができる。
まぁ、なかなかにうまい手法だと思いますね。

北海道で大きく発展したボックスタイプの住宅プラン。
わたしたち北海道人にすると、
冬の雪対策を考えていった結果、やむなく到達した無落雪屋根住宅の
必然的デザインであり、結果、屋根のデザイン要素が
奪われてしまった、というように感じるのですが、
難波さんのような設計者から、逆にこういう方向性を提示されて、
わたしたち自身も、そのデザイン性を磨き上げると言うことに気付いてきた、
っていうような思いがあります。
以前にも、東北地域の設計者のみなさんと話していて、
ボックスタイプのデザインに憧憬を感じていると聞いて、
「そういうものか」と思った経験があるのですが、
南と北、それぞれ、ないものに憧れるということなのだろうかと、
思い至ったことを思い出します。


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2009年10月15日

太陽光採光システム

7829.jpg

先日の美幌町エコランドで発見した面白い装置。
家の中って、どうしても窓の位置の関係から暗くならざるを得ない場所ができる。
現代の住宅が、それ以前の住宅に比較して圧倒的に違うのは
ガラスという素材を使用できるようになって
家の中に太陽光を導き入れられるようになったことが一番大きいと思います。
昔から人間が住んできた環境では、ガラスの利用以前までは
採光するために窓を開けても、ごく必要最小限にせざるを得なかった。
また、屋根を重厚に掛けて、たとえば茅葺きのような素材を使って
断熱も考えていくと、室内へ光を取り入れていくことが難しかった。
でもまぁ、そのような結果、
人間心理の中に、複雑な心理のヒダのようなものが生まれ、
たとえば「さめざめと泣ける空間」っていうような情緒的空間も
わたしたちの精神文化にはあったとも言える。
なんですが、そういう暗さの効用よりも
圧倒的に「明るさ」信仰が強大になって、
家の中が明るくなることが正義というような風潮も生まれてきたといえる。
そして、これからの社会は、このようなことについて
どのような方向に向かっていくのか、
まだ、見通しは利きにくいのかも知れないけれど、
そんななか、こういう装置もハイテクで生まれてくる。
太陽光を光ファイバーで集光して
家の中の必要な場所を明るくするという装置なんですね。
メーカーHPには、

1.高品質な太陽の光です
目に見える光としての可視光は、太陽光そのものです。見た目にもやさしく、自然な色合い
で、人工照明では再現が難しい高品質の光です。朝〜夕まで、刻々と変わる太陽光の変化
をそのまま伝えます。
2.紫外線をカットした可視光中心の太陽光です
太陽光は、生物が生きる上で必要不可欠で重要なエネルギーです。
「ひまわり」は、単レンズ集光により発生する<色収差>を利用して、その有害な紫外線を減少させ、可視光線の特性をそのまま伝送しています。(図1) だから、動植物に優しく、光合成、その他の生理活性にとっても有効な光なのです。
紫外線をカットしているため、家具やじゅうたんなど、色あせを抑えます。
3.太陽光を自由自在に伝送できます
光ファイバーによって、従来では難しかった室内や地下室への太陽光の採光が可能です。
生命を育むために必要な成分を凝縮した光として、さまざまな場所に伝送できます。

っていうように書かれています。
森ビルの子会社が作っているようです。
そういう経緯から想像すると、オフィス需要がターゲットと考えられる
高付加価値型の高額の製品のように思います。
(すいません、価格までは調べておりません>
まぁ、目玉商品のようなもので、
人寄せパンダのような扱いだとは思いますけれど、
こういうようなハイテクが、一般化していくような流れになるのか
ちょっと、見通しにくいのが現代の住宅の方向性だと思います。
さてどうなんでしょうか?


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2009年10月14日

暖房機のチェック

7828.jpg


おとといチェックしていた灯油ボイラー。
きのう、ようやくメンテナンスショップと連絡が付き、
夕方には来ていただけると言うことになりまして、
これでひと安心、と思っておりました。
で、時間になって来られて、わが家のボイラーをみていただいたのですが、
どうにもラチがあかない様子。
リセットランプが付いて、リセットを掛けても
復帰しない症状なんですが、
「これは部品がダメなようですね」ということ。
「そうですか、じゃぁ、部品を交換してからですね。」
「すいません、これから部品を取りに行ってきますので、1時間ほど待っていてください」
という次第になりました。
ところが、家を出てケータイで電話しているかなと思ったら、
ふたたび、家の中に入ってきて
「すいません、メーカーでこの部品はもうない、というんですよ」
「え、・・・これは8年前くらいに設置したものなんですが・・・?」
「そうですかぁ、製造年月日を確認してみますね」
ごそごそ・・・。
「製造年月日で見たら、平成8年くらいまで製造していたもののようです。」
「じゃぁ、いまから11年前くらいかぁ」
「そういうことなので、これは修理できません」
「え、じゃぁ、このボイラーは廃棄するしかないって?」
「・・・」
っていうことで、業者さんは帰って行ってしまいました。
メンテナンスだけを依頼されている業者さんとしては、どうしようもない。

さて、どうなんでしょうか?
生産中止になっていたボイラーとはいえ、
わが家に設置されてから、まだ8年程度のボイラーですが、
こういうふうに部品が供給されない、という形で使用不可能になるのでしょうか?
使う側としては、まぁ、ちょっと困りますね。
ボイラーという商品の性質上、部品は頻繁に壊れるのは理解できる。
問題は、そういう部品の供給を用意しておかない点です。
まだ、本格的な寒さには時間がありますから、
方針を考えていかなければなりませんが、
やれやれ、北国の暖房システム、
こういうようなメンテナンスの問題も含めて考えなければなりませんね。
でもユーザーからしたら、基本的な部品は長期間保管しておいてほしい。
ユーザーとしては事実上、買い換えるしかないわけでしょうが、
ちょっと理不尽かなぁと思っております。
思わぬ出費も覚悟しなければならない可能性も高いですね。
やれやれ、困ったなぁ。
<写真は冬間近の美唄アルテピアッツァ>

追伸
知人から、ブログを見て連絡がありまして、
わたしの記憶違いが発覚いたしました。
申しわけありません。わが家のこのボイラーは
設置後15年超が経過しているものでした。
なので、業者さんの製造年は正しく、従って、ボイラーとしての
耐久年数も、まぁ、常識の範囲内であることが判明しました。
関係各位に、無用の嫌疑を掛けたこと、お詫びいたします。
いや、お騒がせしました。
でもそうなると、振り出しで、わが家の暖房計画再検討です。ふむふむ。

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2009年10月12日

外観と窓のデザイン

7827.jpg

さて、美幌の住宅展示場のご紹介です。
なんか、ようやくたどりついたように、感じます(笑)。
写真は、展示場の一番入り口側になる「高橋工務店」さんのもの。
断熱技術的には、外張り断熱の木造住宅なので、
外壁と窓の面に段差があります。
窓の方が内側になって、しかもその窓が木製窓が多いので、
豊かな表情を見せてくれています。
段差が、視覚的には陰影感を生んで、深みが出てくるのですね。
まぁ、女性の目元のお化粧のようなものとも言えますが、
こういった表情が長期にわたっての家の印象を左右する部分でもあります。
窓は、かなり考えて作られていました。
1階のメインの窓の部分、4つの窓で構成されたものですが、
上の大きな面積部分の窓が開閉されます。
逆に下の足下までの小さな窓は非開閉タイプ。
日射取得を考えてあえて窓にしたのか、通常であれば低い壁にする部分。
一般的には下部を開閉にして、大きな面積の窓はフィックスにする例が多い。
まぁ、コストと性能面でそういう方向が多くなりますが、
ここではあえて大きな窓を開閉タイプにしていました。

で、こういう陰影の深い窓面と、白い外壁面、ポイント的にあしらった地元産の木の表情、
っていうような構成要素のバランスでデザインを勝負して、
建物の形態としては、シンプルな切り妻、端正な三角屋根を採用しています。
外観としては、バランスがとても取れています。
まぁ、上品さを感じられるような仕上げ方ということができるでしょう。
家への考え方と作り方の考え方が明確に表現されていて、
外観も潔く、そのことをシンプルに表現していると感じます。
長く愛され続け、その地域に根ざして作っていく工務店として、
まっとうな姿勢を表現していると言えるでしょうか。
木製窓の優美さを十分に活かしたデザインと言えると思います。
ディテールにしっかりとした表情があれば、
形態はシンプルなほうが、お互いの良さを引き出せると思いますね。
こういうデザインであれば、どういう街並みにも調和して、
長くひとびとの記憶の中に「ふるさと」を感じさせてくれるものと思います。
この住宅展示場がめざしたものが、端的に表現されてもいます。

さて、休日ではありますが、
いろいろな企画が全国で進行していて、
ことしは住宅関係、年末に向かって一年分の動きがまとまってやってきそうです。


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2009年10月09日

木肌の表情

7823.jpg

先日紹介していた武部建設さん
「北海道R住宅」リフォームの家、再続編です。
武部さんでは、オリジナルの外装材を作っています。
一地域工務店で、こういう素材開発まで取り組んでいるというのは
きわめて珍しい例だと思いますが、
先代の社長さんが植林した木を、外装材として加工しているのです。
京都の建築家からの仕事があったときに
この素材を外装材として利用するように勧め、
事例として多くの建築雑誌にも取り上げられました。

このリフォームお宅でも
効果的な使用位置に、玄関前の空間を彩るように意匠されています。
この素材、なかなか質感が素晴らしい。
荒々しい素材感が意識して追求されていて、
一枚一枚の形もまったく違うので、施工自体は難しい部分があるけれど、
そういうものと理解していただける施主さん向けには
大変面白い素材になるのではないかと思われます。
なにより、家に帰ってきたとき、訪問するとき、
家の雰囲気をひとに伝えるような、そういう機能要素を果たしていると思う。
質朴だけど、暖かみがあって、無垢な、というような印象を与えてくれる。
人の肌と似通っている木肌は、一部に皮まで残しているような
そういう雰囲気のまま、ひとに訴えてくるように感じる。
そしてそういう雰囲気のまま、そこにあり続けることで
やがて風化がもたらす時間推移がその表情に加わっていって、
いわば、美しく古びていく、そんな思いをもたらすのではないでしょうか。
そういう意味で、まことに外装材として、いい。


きのうは、台風の影響でたくさんのみなさんが影響を受けたものと思います。
朝一番で、花巻便はさっそく欠航決定ということで、
一昨日の会議参加者の方が影響を受けたのをはじめ、
みんな台風の進路を気遣いながら、一喜一憂していましたね。
日本人社会の中で、台風って、
こういう共同体意識を大いに盛り立てるひとつのイベントでもあると感じます。
けさ、釧路方面が再接近状態とか。
被害の拡大が進まないように祈ります。

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2009年10月07日

土間暖房

7821.jpg


ふたたび、北海道R住宅の武部建設設計施工のリフォームから。
築後30年のリフォームですが、
これまでの暖房形式は、簡易ペチカの灯油ストーブでした。
実は中古で購入したとき、
施主さんは薪ストーブを念願していて、
「木の城たいせつの家なら、あのペチカを利用できないかなぁ」と
密かに思っていたそうなのです。
でも、簡易ペチカはそういう利用はできず、
結局、好きな薪ストーブは、購入したものの物置にしまい込まれていたのです。
今回のリフォームの決断は、きっとそれをなんとか実現したいという思いも
強かったのだろうと推測されます。

建築の側では、そういう希望を受け入れながら、
「ハイテクとローテクの組み合わせ」という回答でこたえています。
というのは、薪ストーブだけでは「主暖房」とはなれない。
どうしても、最低限室温が15〜6度を維持できる主暖房は別に考え、
大好きな薪ストーブは、それから5〜6度室温上昇させるような
そういう「補助暖房」として機能するように考えたわけです。
具体的には、玄関から続く土間をコンクリートスラブとして造作しています。
表面にはテラコッタタイルを敷き込みました。
で、この15cm厚の土間に電気ヒーターを敷設しているのです。
大きな土間全体が、蓄熱暖房のように機能するのですね。
1階室内にはもうひとつ、大きな蓄熱暖房器が設置されていますが、
その両方で、熱カロリーを計算して、15度程度の暖房に必要な熱源を確保しています。
その上で、朝起き上がって、
薪ストーブに火を入れる、というローテクで楽しいライフスタイルを
ユーザーに体験させられるように工夫したわけです。
そこからどの程度、温度上昇させるのか、は
ユーザーが自分で判断してコントロールすればよい、という考え。

そういうことで、以前はこの写真の中央にあった
「簡易ペチカ」は、大部分撤去し、
写真左手に残った煙突を利用して、薪ストーブの排煙を接続させようという作戦なのです。
まぁ、まだ、薪ストーブが準備できていないのですが(笑)・・・。
そのように蓄熱する土間に階段も位置させて
2階への温度上昇も導入させています。
一枚の写真ですが、このような工夫が込められているのです。


さて、きのうは延長戦から、選手たちのビール掛けの模様まで、
日付が変わるまで、テレビ観戦しておりました。
ついに、4年間で3度目のパリーグ制覇達成であります。
札幌移転が、ほんとうに大成功ということになったと思います。
この先も見つめて、選手のみなさんはとりあえず、体調を整えて欲しいものだと思います。
おめでとうございます。ありがとうございました。

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2009年10月05日

北海道R住宅オープンハウス-1

7819.jpg

きのうは武部建設さんの札幌市西区での
北海道R住宅オープンハウスを見学して参りました。
けっこう古い住宅街で、開発されてから30年以上は経っている感じがします。
住宅の入手経緯は、築後30年の中古住宅で、
購入したのは18年前ということ。
購入時点で若干、リフォームを行っており、
そのときには断熱の改修も行ったということです。

先日のブログでも触れたメーカーですが、
「木の城たいせつ」さんが初期に建てていた建物です。
いくつかのポイントがありましたので、何回か、書いてみます。
まず、外観から見ていくと、以前との変化はごくわずか。
コストを抑えて性能を向上させ、内部のデザインを一新したい、っていうような希望条件.
そう考えていくと、外装材は既存のものを再利用しよう、となったのです。
増築などの必要がなかったので、外観に大きな変化がないのもありました。
それでも、窓をアルミから樹脂に、ほぼ全部入れ替え
大きさも変わっていることもあって、すべて再利用というようにはできません。
ある程度は、新しい素材を購入する必要があります。
ところが、外装材は建てた当時と同じ材料を探すというのは事実上、不可能。
この家では、金属製の外装サイディングだったのですが、
もちろん同じ商品は現在出荷されていません。
自然素材の木やレンガといった素材はどこまでもあり続ける材料ですが、
こういった化学処理した工業化材料は、そういうサスティナビリティはない。
事前調査に基づいて、外装材を慎重に剥がして
再利用させましたが、前述のようなことからどうしても足りなくなるので、
家の後ろ側の面には、ほぼ新しい外装材が使われていました。
まぁ、新しい材料なんだから
わざわざ後ろ側ではなく、前面に使った方がいいのではという考えもあるでしょうが(笑)
こういう経緯で考えれば、表面の仕上げで不自然に感じさせない選択としては
ひとつの考え方にはなると思いますね。
R住宅の考え方は、断熱性能の向上が必須要件なので、
壁は一度全部剥がして、必要な断熱補強を行い、気密性能向上も図っています。
こういう壁の中の工事が大きな要素を占めるのですが、
出来上がってみるとその痕跡は確認しがたい。
完成後、冬の暮らしが始まって、
その劇的な変化にユーザーのみなさんがびっくりする、
という体験・口コミ型の「商品」というのが高性能住宅リフォームの特徴。

こういう劇的変化を伝える、というのは
伝える側も大変難しい部分があると思っています。
メディアとしては、写真表現が中心なので、
ビジュアル的な変化や新奇性が読者ユーザーのみなさんには伝わりやすいけれど、
住宅の本質的な進化部分、暮らしが劇的に快適性向上する
っていう部分こそが、ユーザーにとって最大のメリットで、
これはさまざまな「テキスト」的な説明にならざるを得ない。
そのあたりを、可能な限り丹念に紹介しているつもりなのですが、
ぜひ、読者のみなさんも、情報を読み比べて違いをご理解いただきたいと
念願するばかり、というところですね。
<この住宅、明日以降も触れていきたいと思います。>


さて、わが北海道日本ハムファイターズ、
昨日の試合に勝って、2位の楽天が負けたので、
優勝マジックがついに「1」になりました!
きょうのナイター試合の結果で、優勝決定があるかも知れません。
インフルエンザとも闘い、終盤ではダルビッシュも欠いての戦いでしたが、
なんとか、全員野球でここまできました。
ことしの戦いは、本当に「全員野球」だったと思います。
広い札幌ドームをフランチャイズにしているので、
守備力に編成方針の重点を置き、また大変高いチームですが、
そういう守備は、必然的にチームワークが向上するものなのだろうと推測します。
連係プレーが、随所で光り、
そのいい面が、攻撃面でも活かされて、
ワンチャンスをものにする集中力という形になっていると思います。
昨日の試合でも、
相手投手の2死からのエラーを足がかりにして
次の打者が相手の心理的動揺を突いて果敢に初球攻撃ヒットで出塁。
そのあとを継いだ打者が2人、四球を選んで押し出しで1点。
さすがに動揺しきった相手投手から、そこから2連打。
という鮮やかな攻撃で、一気に4点を取って逆転していました。
まぁ、こういう攻撃は、相手に大きなプレッシャーを与える戦い方でしょうね。
やっぱり野球はチームスポーツなので、
こういう部分、応援している側でも大きな安心感を覚える部分です。
こういう良さを、今後ともチームカラーにして頑張って欲しいと思います。
きのうは負けましたが、楽天もがんばってください。
頑張れ、北海道日ハム、東北楽天!

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2009年10月01日

集村の美しい環境住宅

7816.jpg


きのうの続編です。
わたし自身も、関東には住んでいた、
っていうか、東京で生活していた時期があったけれど、
そういう時期には、生活環境っていうような視点で関東での暮らしを考えたことはなかった。
たぶん、多くの首都圏居住者も「環境」ということを考え及んではいない。
基本的な生活者意識レベルでは、
通勤とのアクセスこそが基本的な「環境」属性であって、
利便性>>>環境っていうような認識が一般的だろうと思う。
多少、立地とか環境性ということを考えても
ちょっとした庭があるとか、木が見えるというようなことだろうと思います。
だからこそ、たとえば田園調布というような地域が
利便性が高い上に、そのうえ、緑地もほどほどの熟成があるというような
そういう部分で、超高級住宅地となり、
ひたすら、土地ブランド化というものが進行する。
ただし、ちょっと視点を変えてみると、そういう価値観はきわめて限定的なもの。
大きな歴史時間感覚で考えたら、
関東で、ほんとうに「住みやすい環境」を作ってきたのはなにか、
そんな疑問が起こってくるべきだと思います。
写真は、取材した常陸太田市の集村地域の一風景。
代々、植え込まれ成熟を見せている境界地帯の森が
ここちよい涼房装置として機能し、
先人たちの知恵、遙かな後世へのやさしい心遣いというものに
大きく抱かれた美しい光景が展開していると感じます。
まぁ、ものの見方はいろいろなので(笑)
ただの退屈な「いなかの」殺風景な変哲のない風景と見る見方もあるでしょう。
しかし、このような先人たちの知恵を、
それとしてしっかり認識できているのかどうか、
ただただ、利便性のみを求める不動産欲求に対して
こういう光景を、無造作に宅地造成工事を掛けて木を伐採し、
無機質な新興住宅地を作りだし、経済的利益を求め続けてきた。
そもそもがそういう経済欲求対応だけなので、
極限的にそれを追求する結果、基本のインフラとなる道路は
極限的に制約を受けて、狭小・曲がりくねったけものみちにならざるを得ない。
そういう無機質な住宅街の風景の中で、
そこがふるさとである子どもたちのこころが育っていく。
当然ながら、先人たちの知恵になど、思いが及ぶわけもない。
そうなれば、そういう環境に残るのは、極限的に肥大化した
「個人主義」と私権のどん欲な追求しかないと思われます。

建物としての200年住宅は簡単に造れるかもしれないが、
人間の情緒を育むような「地域環境」という、
ある意味ではもっとも大切な住宅の基本要素の面では、
大変劣悪な環境の中に、わたしたちは置かれていると感じます。
さて、どうすればいいのでしょうか?


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2009年09月30日

関東の農村地域デザイン

7815.jpg

今回の関東の住宅取材ではいろいろな意味で
「地域の伝統的な住宅性能デザイン」を感じることができました。
とくに関東は歴史もあり、関西とはまた違って
それなりに「新開地」としての豪放さも残されている部分があります。
きっと、日本のヤマト政権にしてみたら、
一時期の関東地域は、まさに豊穣な開拓地、という存在だったのだろうと思います。
近現代の北海道が占めていたような民族的な思いが
きっと関東にもあったのだろうと思います。
頼朝の、関東独立自営農業勢力を中核とした政権樹立は
この関東地域の旺盛な開拓努力が、
理不尽な「荘園制度」というしがらみを
武力で断ち切ったという側面が大きかったのだと思います。
土地制度が固定化し、がんじがらめになっていた畿内地域から、
より自由な天地を求めて関東の開拓に「一所懸命」になった多くの人々。
自力で開拓はしたけれど、政治的には
畿内政権側の高級官僚としての貴族や、寺社勢力という既存体制に
いわば、政治的庇護を受け続けて存在してきた。
政治的な補償を求めて、自ら切り開いた土地を
荘園として、有力勢力に「寄進」して守ってもらっていた。
そしてやがて、そういうバカバカしい存在に対して
「なぜ自分たちが開いた土地を自分たちのものにできないのか」
という自然な欲求を政治的に実現したいと考えるようになった。
それが、平将門の乱であり、頼朝の幕府樹立だった。
「ご恩と奉公」という関東武家の主従契約関係って、
要するに、土地の所有権保証が最大のテーマだったのだと思う。
アジア世界の歴史で稀有な、こういう革新的思想としての「封建主義」が
揺籃されたのが関東の農村だったと言えると思う。
こうした個人主義というか、家独立主義というか、
こういう概念が、政治的にも実現していたというのは、世界史的にも珍しいそうです。

ということで、やはり関東の本質は
地域に残された農村の知恵の中から、探り出せるのではないか。
そんな思いを持って、取材活動をしてきた次第です。
写真は、水田と集村を区画する緑地帯、防風林の様子。
段丘状の地形を活かして、傾斜地を植林した森にしています。
そこにはケヤキやスギ、アカマツといった住宅の構造材に利用できる樹種や
竹林などの、これも壁の構成材として利用できる
そういった樹木類が計画的に植えられています。
段丘状の上側には「集村」があって、住宅地になっています。
緑地帯の樹木を、子孫たちが利用して住宅の材料に使えるワケですね。
このような自給自足の輪廻を地域景観デザインとして
継続的に維持してきたのが、この地域の基本的なサスティナビリティだったのでしょう。
気をつけてみていると、関東中、こういう森があちこちに存在している。
まさに知恵が深いなぁ、と感心させられる次第です。

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2009年09月29日

円窓

7814.jpg

先日の常陸太田市での取材の住宅での様子。
古民家の再生ですが、工務店さんの丹念な仕事ぶりをかいま見ました。
この円窓、サッシとしての形状が丸いのは当然なのですが、
ガラス面を嵌め込んでいる木の窓枠が
室内側、手前側が大きくなっています。
しかも若干の面的なふくらみもあって、
まるで3次元曲面的に仕上げられているのです。
従って、外部からの光が非常に面白い変化を見せてくれます。
外部からの視線遮断用にタテの格子を嵌めていますが、
それが外部からの光が変化するごとに陰影が複雑に変転万化する。

伝統的な日本家屋って、
よく見てみると、こういう部分ではたいへん冒険的というか、
アクロバティックな嗜好性を実現しているケースが多い。
まぁ、裕福な施主が頼む場合に限られてはいたのではないかと思われるのですが、
けっこう庶民的な住宅でもこういう円窓などを作っている。
作るプロセスを考えてみると
まぁ、なんとも手の込んだ仕事。
いまどきの工務店で、こういう手作業をできる職人がいる、
というのは奇跡的とも思えますね。
この窓の場合、窓枠周囲は塗り壁仕上げなので、
外部からの光は、より柔らかさが強調されていて、
こういう陰影を楽しむという生活文化の奥行きを否応なく感じます。
やはり地域には、それぞれの家の文化があるのですね。
こういう手仕事がきちんとその意義を持続可能であることが
わたしたちの住文化にとって、大切ではないかと強く感じました。


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2009年09月18日

和風空間の照明

7801.jpg

写真は十和田市の道の駅隣接の工芸館内部。
まぁ、いつも感じているのですが、
こういう空間が受け入れられるようになってきたのには、
照明装置のイサムノグチさんのデザインの力が大きいと感じます。
はじめてこのデザインに巡りあったとき、
逆にどうして今までこういうモチーフのデザインがなかったのか、
そのことのほうが不思議に感じられたものでした。
父日本人、母米国人という日系アメリカ人芸術家だからこそ、
自分のアイデンティティに根源的な問いかけを発した結果の表現なのでしょう。
やはり天才的な仕事というのはあるのですね。
天才の仕事って、出来上がってみればずっと前から存在し続けてきたような
そういう感覚を呼び覚まさせるものがあります。

この写真で、たとえば、イサムノグチ以外の照明シェードって
考えられるでしょうか。
少ない知識では、なかなかほかの照明デザインを想定することは難しい。
和紙という素材と、竹の造形の繊細さ、
灯りとしての、やわらかい光源感。
そういったものが、柱や梁、白壁、黒っぽい床面など、
日本的な建築装置を引き立てている。
こんな照明が現れたことで、
「そうか、こういうデザイン空間って本当に素晴らしいなぁ」
と、多くの日本人は再確認させられたのではないでしょうか。

なんですが、
わたしの友人のひとりは、「ああいうのだけ、俺ダメなんだよな」
っていうのがいます。
詳しくその感覚を聞いたことはないのですが、
ちょっと理解できない(笑)。
わたしの方が常識的なのか、かれの方が常識的なのか。
どうにも、腑に落ちない意見なので、
いつも気になっております。
が、どうなんでしょうね。案外こういうの嫌いだ、という意見も多いのでしょうか。
一回、アンケートでも見てみたいものだと思います(笑)。


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2009年09月17日

1952年の北海道の住宅

7800.jpg


ふたたび、北総研の発表会セミナーからの報告。
研究発表に先立って北海道住宅の流れを説明する際に見せられた写真。
昭和27年というのは、わたしの生まれた年であります。
年号って、やっぱり連続性として記憶するときにちょっと記憶しにくい。
平成という新しい年号になって、あれ、何年ころだ
っていうように、周辺的な事実が不鮮明になってしまう。
そこへいくとやはり西暦は、概略の時代背景が即座に見えてきて、
いろいろな情景を思い浮かべるのに便利だと思います。

っていう次第ではありますが、
これが、いまから57年前の北海道の一般的な住宅です。
戦争が終結して、大量の復員者が北海道各地に開拓者として入植した
その直後に建てられた住宅なんですね。
住宅というか、まぁ、小屋がけと言った方がふさわしいのかも知れません。
壁にはかろうじて木材の板が張られていますが、
屋根はどうも茅葺き。
柱もたぶん、掘っ立てで立てられていて、
垂直が確保されているようではない。
もちろん、本職の大工に頼めるようなゆとりがあるわけもなく、
開拓者が自分で建築したことが偲ばれる。
戦争という社会の崩壊のような状況から、まさに命を繋ぐ最低限のスタートライン。
そんな状況がひしひしと伝わってくるような写真です。
こういう現実から、戦後の北海道の住宅ははじまったのですね。
全国の地方政府・自治体で、住宅建築についての専門研究機関を持ったりしているのは
特異的に北海道だけなのですが、
その使命感の源泉に、こういう建物で、厳しい自然条件を克服していかなければならないという
いわば、切羽詰まった状況があったのです。
悲惨ではあるけれど、とにかく何とかしなくてはならない、
っていう使命感のようなものは、多くの道民共通の課題だった。
今日でも、建て主と、技術者・研究者など多くの人間が
共通の課題として認識できている部分があるワケなのです。
本州地域で、建築技術知識がいわばノウハウとして、
知識財として、それが取引材料になる部分を感じるのに対して、
北海道では、いつもフランクにそれが語られあっているのには
根源的なこういう共通項が存在しています。

まぁ、しかし、考えてみればほんの少し前まで
現実の姿はこんなものだったのだなぁと、改めて思い知らされます。
古民家、いあや、復元された古代の遺跡住居とも
そう大きくは違っていない。
こういう建物に、わたしの世代やわたしの父母たちは
いのちを育まれてきたのですね。

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2009年09月16日

寒地住宅の研究歴史

7799.jpg

きのうのブログのこと、ある読者の方から、
「難しくてわからなかった」と言われました。
やはりブログのような形式では
内容を明確に伝えることは難しいですね。
ブログっていう表現形式は、若い年代のひとのを見ると、
絵文字や文字の大きさに変化を付けたりするとか、
そういう表現手段を使って、何かこれまでは表現しきれなかった
「日常生活的な発見」ということへの期待値が大きいのかも知れません。
それに対して、わたしのような年齢の人間の認識にとっては
ブログって、書き文字表現の、日記とエッセイの中間的な形態であって、
そうだとすると、明確な概念規定への厳密な態度までは維持しにくい。
概念をかなり限定して、明確な問題点整理、論理展開、
っていうようなことがらにはやはり、やや適さない感じがします。
そうなんですね、推敲もきちんとはやらないケースだって多いんです(笑)。
あ、申しわけありません。が、やっぱりそれが事実。

まぁ、一般のみなさんにとっては、
何を書いているのか不明だ(笑)、となりやすいですね。
これは簡潔に「申しわけありません」という次第です。
書きたかったのは、
北海道の人間環境創造という行為に関して、
ひたすら建物内部に限定して論じるのか、
もう少し大きい空間性について論じていくのか、の違いと言うことだと思います。
これはそれぞれのひとのスタンスの違いが大きいので、
場合によっては「かみ合わない」ことも多いのですね。
今後、いろいろな場でわたし自身も考え続けていきたいと思っています。

で、きょうは写真の建物であります。
説明も付いているので、そのまんまであります。
北総研の資料に中にあった「寒冷地住宅への研究の歴史」のひとコマ。
いまから90年前に、こういう住宅について北海道はコンペを行ったと言うこと。
これがそのコンペの結果の住宅なのだそうです。
こういうテーマでのコンペに必然性があり、
公共が先導していかなければ、
北海道にふさわしい住宅というのは、
なかなか自発的には生まれなかった歴史があるわけです。
屋根の形状と、風除室の概念、暖房設備、窓の開け方など、
いろいろ示唆的な形状がすでに考えられています。
窓はガラスを採用していますが、引き違いではなく、
上下窓が採用され、また窓面積も一般的日本建築とはまったく違います。
雪への配慮が屋根の作り方にいろいろ考えられています。
全体として、いわゆる「洋風」を踏まえたスタイルを感じますね。
いろいろなことが想像されて、まことにしげしげと見入らされた写真でした。


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2009年09月15日

北海道の住宅の未来を考える・・・

7784.jpg

っていう、すごいネーミングの集会が札幌で開催。
大丈夫なんだろうかと、ちょっと不安に駆られましたが、
ここでもけっこう紹介している北総研の研究発表なのです。
年に2回、旭川と札幌で開催されているものですが、
ことしは、ちょっと趣向を凝らして、上記のようなタイトルのセミナーとなった次第。

午前中は北総研の研究発表が行われまして、
午後からは、写真のメンバーをパネラーにしたディスカッション。
建築家の五十嵐淳さん、
施工者として、武部建設・武部社長。
さらに研究者として、北総研・鈴木大隆さん。
進行役に北大工学部の瀬戸口先生。
コメンテーターとして、京都大学名誉教授の巽和夫先生です。
建築家の五十嵐さんと、研究者のみなさんって、
まぁ、異種格闘技戦に近い取り合わせ。
さて、どういう展開になるものやら、ハラハラしながら取材見学しておりました。

なかなか、論点整理も難しいテーマ。
瀬戸口先生は大変な役回りだろうなぁと。
時間も1時間程度しかないわけで、まぁ、まとめまでは無理がありましたね。
でも、積極的に五十嵐さんが問題提起して、
かなりいろいろなテーマも浮かび上がってきたと思います。
五十嵐さんは、その発表の中で、
内モンゴルでのコンペと、先般の美幌町の環境省エコ住宅コンペの
両方を題材に、2重入れ子状の建築を提案していました。
かれが制作テーマとしている「バッファーゾーン」
まぁ、内でも外でもないような中間領域、極言すれば縁側的空間のことですが、
そういう緩衝地帯的な領域を積極的に現代建築に導く方向を目指しています。
発表でも、そういう志向性が明確だったと思います。
そういう意味で、建物内部だけの環境コントロールではない、
あらたな北海道的な建築的問題意識を提起している。
北総研や北海道が目指してきた室内環境の性能的向上努力の
さらにその次の方向性を考えているということは出来る。
そういう志向性と、武部さんが取り組んできた日本的伝統の
木造工法の存続可能性の追求というものが、
さて、どのようにからんでいくのか、いかないのか、
比較的、問題点や論点の整理がかいま見えたあたりで時間切れになったのは
大変残念至極という感じがいたしました。
まぁ、でもそういう問題点というか、テーマの絞り込みができたと言うだけでも
大いに意義があったと思います。

建築の可能性という意味では、
五十嵐さんの提案にはいろいろな側面があります。
そのひとつは、2重入れ子状の建築外皮の作り方の問題。
マイナス30度くらいまで外気温が下がる美幌で
冬期間、おおらかな気温調節装置として機能するわけですが、
そういう内部ではたぶん、ほどほどの気温空間が実現する。
そしてその装置的なものはほぼ自然エネルギーで実現させる、という考え。
そうして作られる空間は、たぶん、零下にはならない。
一方で2重の内部では、より保温性を高めた建物を造ればいい。
そういうことで、農家住宅という特殊性はあるけれど、
面白い北海道的な建築の可能性を見せている。
まぁ、言ってみれば北総研に対して、
というか、多くの住宅関係者に対して、北海道の住宅が今後とも、
環境に対して、閉じ続けて行く方向で行くのか、
それとも開放させていく方向性で行くのか、
その中間的なものを目指すのか、
論点はどうもそのあたりのような気がしました。

そのときに、建築の基本としてあり続けるだろう
木造という生産形態が、どのように伝統を紡いでいくのかどうか、
まぁ、大変面白い展開でしたので、
今後、わたし自身も考え続けていきたいなぁと思った次第です。
パネラーのみなさん、大変お疲れさまでした(笑)。

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2009年09月09日

塗り壁つくり

7756.jpg

写真は伝統的な塗り壁仕上げの下地と仕上がった状態のものです。
現在では、防火構造認定を受けるために
プラスターボードといわれる不燃建材で大壁に仕上げて
その上から塗装する、というのが一般的で、
それのほうが作業肯定的にも合理的で、認定も受けられるということで、
まぁ、当然の流れですね。
それに本格的な下地を組んで塗ると言うことになれば、
当然、壁内部に断熱材を充填することは難しいので、
土の断熱性能は別にすれば、別に断熱は考えなければならない。
そんなことから、写真のような工法はごく一部でしか行われないでしょう。

なんですが、
きのう紹介した室町期の住宅でも塗り壁仕上げで
北上という冬の厳しい地域での暮らしを過ごしていたのがわたしたちの祖先。
昔のことで考えれば、やはり重厚な土による断熱は
もっとも安定的な室内環境をもたらせる工夫だったことでしょう。
ただ、ものすごく手間がかかったでしょうね。
木や竹などで格子状に下地を組み合わせ、
それをていねいに紐で結びあわせています。
伝統工法に強いこだわりを持った方たちの例では、
こういう細かい作業をこどもたちに体験させるというような
そういった取り組みを行っている場合もあります。
家中、こういう壁仕上げをするとしたら、さてどれくらいの工程になるか、
プラスターボード仕上げの10倍程度では済まないでしょう。
しかし、そのような手順というものが
愛着であったり、家を大切に思うこころを育てる部分もあるかも知れません。
それと、技術って、
一度失われると、再度獲得するのに大変時間がかかる。
実際にそういう仕事が存続して、生きた学習機会が保証されれば、
技術は延命し、また進歩も促される。
現代では、住宅内部に蓄熱装置を考えた方がいいという意見も強い。
そうならば、芯材にコンクリート壁を作った上から、
こういった土の壁を表面に造作するというのはどうでしょうか。
そしてそれを家のオーナーに作業してもらう、という仕掛け。
コンクリートだけであればその無表情さが問題だけれど、
このようなざらついた質感の土の壁であれば、
デザイン的にも心理的にも暖かい仕上げになっていくのではないでしょうか。

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2009年09月08日

室町期の民家内部

7794.jpg

きのうの続きです。
左側写真は室内の全景で、右側は壁の様子。
切妻の三角屋根で、正面には玄関前に前室があります。
ここは、徳川初期の伊達藩と南部藩との境界地域である相去という地域。
歴史年代を通して、そのような境界的な場所だったようで、
活発な人間活動痕跡が集積しています。
土器を生産していた様子も痕跡があって、
登り窯跡があって、復元されています。
王朝国家側がその技術を独占していた「須恵器」が生産されていたと推定されています。
人間というのは、結局、同じような場所で、
同じようなことを繰り返す存在なのかも知れません。
というか、その土地が持っている「地政的な位置」というものが決定的なのかも知れません。

で、建物であります。
そういう工業生産を基本とした集落での住宅だったものか。
竪穴で、地面を掘り込んでいます。
囲炉裏は地面に切られていて、ほぼ家屋中央にあります。
暖房であり、煮炊きの装置でもあり、
家というものには、火の場所というのは基本中の基本。
それを囲むように、むしろとおぼしき敷物を敷いた場所があり、
気をつけてみると、やや床高になっていますね。
床組みして、地面から少し上げているのでしょう。
面白いなと思ったのは、壁の仕上げです。
細い木の枝で下地を組み上げて土を塗り込んでいます。
江戸期の建物を見ても、結構、土壁は多い。
萱などで作る方が遙かに簡便だと思うけれど、
そういう簡便さよりも、断熱とか、暖かさを追求して
手の込んだ壁を造作したのでしょう。
それくらいの生活文化の庶民レベルでの向上があったものか。
格子状に下地を組んで、そこに土を塗り込むというのは、
手間暇もかかります。
腰までの壁には地面を掘り込んだ関係から土留めの必要があり、
丸太を一定の高さに揃えて連続的にびっしり立てています。
やはり掘っ立てなので、構造の柱下部には湿気上昇の痕跡がありますね。
このような木材構造の腐れ要因が、次の時代の
礎石基礎上の建物への進化を促した要因だと思います。
縄文までの狩猟採集生活では高台に住んでいたので、
このような湿気対策は考慮しなくても良かったのではないでしょうか。
いろいろな建築的時代考証を考えて復元する作業、
大変興味深いと思いました。

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2009年09月07日

室町のころの民家?

7793.jpg

以前にも一度、行ったことがある北上市展勝地近くの
「みちのく民俗村」を見て参りました。
再訪すると、やはり発見できることがある。
というのは写真の建物なんですが、
室町のころのこの地域に多く見られる民家復元建物なのです。

いわゆる「竪穴住居」という形式は、
古今東西を問わず、人間生活には切っても切り離せないくらいの
「居住経験」をわたしたちは歴史時間的に持っている。
一方で、いわゆる江戸期を中心にした農家住宅が
多く残されていて、これまた民族的ノスタルジーをかき立てる。
ところが、その中間を繋ぐような形式の住居の痕跡発見が乏しいのです。
いわゆる古民家といわれる農家住宅は
礎石の上に柱が立てられ、地盤面よりも構造が上に構成されていますが、
いわゆる竪穴住居では、地面を掘って床面を地面から下げている。
この違いはかなり大きいハズなんだけれど、
あきらかに多くの民家は竪穴形式であったことは間違いがないのに、
いきなり礎石基礎と、技術的に繋ぐ形式遺跡に乏しい。
そんななかで、この写真の民家は、
竪穴基礎という床面造作にいわゆる木造的な構造が加えられている。
言ってみれば、基礎だけがない木造軸組建築。
柱は掘っ立てで立てられていますが、梁などもきちんと渡されている。
屋根も木の皮で葺かれていて、茅葺きよりも近世的。

こういう形式の民家は全国的にも発掘例が少なく、
この地域での発掘がきわめて珍しいと言うことです。
まぁ、想像してみるに、竪穴住居の時代は狩猟採集型の生活だったのに対して
田畑の農業生産に大きく依存する生活スタイルに変化して、
居住地域が変化したことが大きいのかも知れません。
ほぼ台地上に建てられたのが多かった竪穴に対して、
農耕型社会の民家は田畑、それも田んぼを基本に考えれば
より湿潤な低地に建てられるようになっていき、
礎石基礎で地面から上げて建てる必要が生じたのかも知れません。
水利を扱うのが日本農業の基本であり、
その意味で、度重なる洪水との戦いが日常的なものだったのではないか。
そうやって推定してみると、
この復元住居でも入り口の下部に、横架材が渡されていて、
水の室内侵入を防いでいるかのようです。

しかし、竪穴住居では囲炉裏で火を焚くと
その熱が地面に蓄熱されて、土壌蓄熱が利用できるのに、
より、通風重視の建築になっていったものかも知れませんね。
そのように日本の木造建築は推移していったのではないでしょうか。
このあたり、気候の変動などもあずかっていたかも。
いずれにせよ、きわめて興味深い発見ができました。

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2009年09月03日

窓辺の演出

7789.jpg


写真は青森県十和田市での住宅の様子。
地元の松田工務店さんの施工例です。
外観に深みを持たせたいと考えて、ごらんのような工夫をしていました。
窓枠の外側にツーバイフォー材である、2×12材をタテに造作して
窓をぐるっと囲んでいるのです。
上下階で窓の位置を揃えて、
それをぐるっと、この立体的「窓枠」で囲んでいるという次第なんですね。
直接的には窓下にフラワーボックスを造作する下地になります。
2×12は30cmほどの材ですので、かなりの奥行きになる。
上や左右では、庇のようにも機能して
夏場の日射遮蔽効果もある。
また、窓辺の保護という意味合いもある。
というのが機能面ですが、
一番狙っているのは、窓辺の陰影を濃くさせるという効果。
できれば木製窓を採用したいけれど、
予算的にどうしても樹脂サッシの採用になる。
そうするとどうしても色合いも選びにくく、平板な雰囲気になる。
それに対して、このような工夫をすると太陽光の変化で内観でも
外観でも、いろいろな陰影が作られて、
変化を楽しむことができる。

外観に変化を付けたいというのは、一般的に
たいへん大きい部分だと思います。
作り手としては、なんとか、特徴的で面白い効果を狙いたいと考えるもの。
以前見たのでは、窓まわりの外側に
窓を囲むように枕木を張り付けたものまでありました。
窓と外壁面との位置取りとか、雰囲気が外観的な印象では
大変、ポイントが大きい。
まぁ、面白い仕掛けだなぁと思われた次第です。


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2009年09月02日

無落雪屋根住宅の外観デザイン

7786.jpg

写真は十和田市周辺の新興住宅地に建つ住宅。
Jホームさんのモデル住宅の外観です。
この会社では注文住宅を2パターンに考えていて
こだわりに応える本格注文のタイプと、
価格を抑えたプランの2パターンを用意しています。
で、こちらは価格を抑えたタイプのほうです。
建て方はツーバイフォーなのですが、断熱は構造の外側で
外張り断熱を採用しています。
そのうえ窓は木製3重ガラス入りサッシを採用しています。
スペックで見ると、この価格帯でよく木製窓にしているとびっくり。
で、断熱が外側に出ているので、
窓辺の表情には深みがあります。
無落雪屋根で、かたちもシンプルなボックス、ということで、
どうしても平板な印象になってしまうのですが、
屋根の高さを変えたL字平面の飛び出し部分や窓の雰囲気で
なんとか、イメージを出したいと考えている様が伝わってきます。
こういうなかでデザインを考えるとしたら、
あとは、玄関前の小屋根を付けた部分でしょうね。

こうなってくると、表情は窓の位置と色合いバランスなどが
勝負になってくる。
価格を抑えて、イメージを表現するというのはまことに大変難しい。
窓も、1階の窓の開け方、2階の窓の開け方で
それぞれ、周辺の壁との面積比率などが決定的とも言える。
壁と窓との配置計画、バランスというものがキーポイントになってくる。
あと、考えられるのは屋根の板金と壁上部の取り合い部分や水平ラインなど。
なかなか、価格の制約の中で個性を表現していくのは至難。
最近、いろいろなローコストメーカーのデザインを見ているのですが、
それぞれにどうやったらいいか、と試行錯誤している様子がよくわかりますね。
最近は、建物の形態で若干の変化を付けるとか、
変化を付けた部分の壁材料仕上げに工夫を凝らす、という傾向。
いずれにせよ、数少ない勝負ポイントの中で、
各社とも、ギリギリの作戦を展開していますね。
小泉改革以降、中間層が減少して、ほんの一部の高級層需要と
大きい部分のローコスト志向、という2極分化が
住宅分野でも、このようなデザイン傾向として現れています。

こういうのも、歴史的な社会構造を表現していたものとして、
後世、この時代を表す一例として語られるようになるのでしょうか。


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2009年08月29日

外観プロポーション

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おとといから東北に出張に来ていまして、
仙台で用件を済ませたあと、
きのうは朝一番で、八戸まで北上いたしました。
で、久しぶりに東北地域での住宅取材であります。
八戸、十和田、三沢といったこの地域、
名称は、一応三八上北というのだそうですが、
まぁ、天気予報上の言い方で、一般の人は使わない言い方。
「南部地域」といった方が、まだわかりいいけれど、
それだと、津軽に対しての言い方なので、
全国的には通りがいいとは言えない。
気候的には、省エネの地域区分で2地域でして、
北海道と大差ない冷涼な気候の地域です。
以前も、ブログで書きましたが、江戸時代、たびたび大きな飢饉に見舞われた地域。
いわゆる米作中心の経済思想的にはまことに厳しい条件の土地。
冬の寒さは半端ではなく、
わたしのような北海道の多雪地帯出身者からすると、
その季節風の厳しさに、震え上がるような想いを持ちます。

この地域で、いわば地域一番店的なデザイン住宅ビルダーと言われるのが、
ジェイホームさん。
設計の瀬川さんは、長年リプランでも掲載してきた住宅の設計者として
その感覚が一級品と思える方です。
きのうは久しぶりにお会いして、
すっかり住宅談義に花が咲いて、楽しい取材ができました。
写真は、八戸のジェイホームさんのモデルハウス。
手前側が南面であり、そちらに面した三角屋根の壁面をポイントにデザインしています。
タテと、ヨコの寸法の納まり具合、
屋根で区切られた三角と長方形のバランス。
さらに窓と壁面の分量の配置間隔などなど、
いろいろ、そのコンセプトと考え方をじっくり聞いてみました。
これはなかなか、楽しく奥の深い世界であります。
建物というかなり長い時間、そこに存在し続けるものは
その「見た目」を徹底的に考えなければならない。
人間は基本的には生物的生存が優先するけれど、
しかし、現実的には情緒的判断で毎日を過ごしている。
そういう情緒の部分で、「なにも考えていない」建物では、
そのような人生の時間を過ごすことになってしまう。
デザインは、まことに奥が深く、始原的なテーマでありますね。
ふむふむ・・・。

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2009年08月26日

室町期の木造建築工事

7780.jpg

民衆の仕事の様子とかって、なかなか記録される機会はない。
漁民の日常の衣類はどんなものだったのか、
そういう基本的なことも、なかなか確実な資料って、ないのだそうです。
この写真のような絵巻物で残される様子っていうのは稀有なんでしょうね。
これも、歴史民俗博物館での展示からです。
シャッターを切れないので、なかなかピントを合わせるのが難しいのですが、
雰囲気などはよくわかりますね。
まさに「建て方」工事の真っ盛りの様子です。
お寺の新築工事のようで、雲形の軒先造作も見られるのでわかります。
民家では、日本ではこういう「せり上がり」の軒先表現をしない。
公共的な、あるいは高級建築の象徴として、
こういう木組み表現をしたのだそうです。
日本建築では多雨の気候にあわせて
屋根が大きく作られるのが特徴で、そうすると
軒先の構造補強を図る必要があり、
こういう表現が進化したのでしょうね。
柱は礎石のうえに立てられて、その間に間柱を受ける横架材が見られます。
粗組みされて、足場板が渡され、活発に職人さんたちが動き回っている。
天候をにらみながら、なんとか早く仕上げたいのがこの「建て方」。
大量に一気に、職人が投入される工程です。
ノミやカンナを使って、構造材に切り込みを入れたりしています。
ほぼ全員、片肌状態ですが、烏帽子はかぶっている。

建築のことを、作事というように言うのが一般的。
このような様子を見ていると、かなりの寸法精度を要求される
こうした大型木造建築は、当時の建築技術の粋を凝らしたものだったのでしょう。
一般的には、地方ではたぶん、竪穴住居程度。
これだけの労働力を動員する仕事は
それだけ資金も必要であり、
時間もかかった大造作工事だったことでしょう。
今日まで残る寺社建築は、基本的には公共事業ということも出来ます。
しかし、今日の公共事業と比較して、圧倒的に人手がかかっている。
その意味で、使い込まれてくる色艶の出方が
鉄筋コンクリートと鉄、ガラスの現代建築とは比較にならない
「審美的耐久性能」が経年変化とともに募ってくる。
つい最近まで、日本全国で作られ続けた大型の箱物公共建築って、
遙かな後年まで、はたして残っていくものかどうか、
たとえば東京都庁舎のように、その維持管理費用の莫大さを考えれば、
たいへん疑問に思わざるを得ない。
技術が残り続けるためには、そういう産業も維持されなくてはならない。
どうなっていくのか、こんな絵巻物を見ていて、
ふと、想いが現代にフィードバックしてきます。


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2009年08月15日

木挽の技術

7770.jpg

歴史民俗博物館では、こんな展示もある。
いわゆる「木挽」っていうのは、室町のころからはじまったと言われているそうです。
それまでの日本では、木を水平方向に切る鋸はあったけれど、
垂直方向に切る鋸はなかったんだとか。
材木屋さんという存在は、大型木造建築の需要が高まった歴史年代に
この「木挽き」職人たちを集めて商売したのが始まりだそう。
神社仏閣などの大型公共工事目当てに仕事を受注したあと、
それでも、京都などで住み続けた職人たちに木を挽かせて
店の前で展示販売していたら、けっこう人気になって売れた。
いまでも、材木屋さんでは木を柱状にしたものを立てかけていますが、
ああいうスタイルが、室町期ころからはじまったと言われているのですね。

写真は、そういった木挽きの職人仕事をジオラマにしたもの。
こういう時期に、寸法という概念もできて
市中での流通の基盤になったことでしょうね。
製材と、木組み建築技術の社会的な分離は、
建築の産業化にとって、大変重要な過程だっただろうと思います。
それ以前の大型木造建築では、
材料自体をその場で切ったり、割ったり、かんな掛けしたりしていた。
それが、この写真のように木を挽く専門職が成立していったのですね。
もっと前の、竪穴住居の時代にはそもそも鉄もないわけで、
そうすると、石の道具などで切ったりしていたのでしょう。
アイヌの聖地、二風谷では、付近の河床から鋭利な木工細工に利用できる石が取れる、
ということで、そういう石を使って、丸太船を造ったりしています。
たぶん、そういった技術で木を扱っていたのだろうと思います。
いずれにせよ、鉄を加工した大鋸というのは、最先端技術製品だったようです。
もちろん、一般庶民にはそんな製材などを利用して家を建てるなどは
とんでもないことで、考えもつかなかった時代が長く続いただろうと思います。
一般庶民は、なんとか丸太を縄で組み上げて構造を造り、
それに茅などの線維製材を屋根・壁材として掛けていったのでしょう。
もちろん、自分たちの家は自給自足で作ったことでしょう。

こういう製材品は、一部の高級建築としての
国家施設、貴族などの建築施設などでだけ利用されたものなのでしょう。
そういったすばらしい建築が、ひとびとを感嘆させる装置として、
今日までありがたく拝観すべきものとして
日本的な権威の象徴でありつづけてきたのでしょう。

さて、お盆の休暇真っ盛りですが、
きのうは、かねてからの懸案業務で一日、執筆仕上げ作業。
ようやくメドが見えてきたところです。
ということで、本日は年に一度の高校の同期会。
朝からゴルフ、夜は宴会というスケジュール。
とはいっても、ゴルフは悲しいかな、ことし初めて。
さて、当たるものやら、どうなんだろうか、というところであります。

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2009年08月10日

長期優良住宅セミナー

7765.jpg

先週金曜日、全国のトップを切って
昨年から開始された「長期優良住宅先導的モデル事業」の
セミナーが札幌で開かれました。
このセミナーは全国のほかの地域では、受け皿は国交省の現地窓口が
担当しているそうですが、北海道では
地方自治体の北海道が担当して開催したのだそうです。
当日は、事業の応募申請の評価委員会の会長を務められている
京都大学名誉教授の巽 和夫氏や
東京大学大学院教授の松村秀一氏、さらに国交省住宅局の石坂聡氏が参加されました。
地元北海道からは、コーディネーターとして
藤女子大学の大垣直明氏、北総研の福島明部長、提案者として
北方型ECOの川村隆氏、北海道R住宅の志田真郷氏が参加されました。

って、参加者の名前を記載するだけで
こんなに行数がかかるとは思わなかった(笑)。
そうですね、国がからんだセミナーなので、すごいメンバーなんですね。
まぁ、初めてこの長期優良住宅法についての開示セミナーなので、
取り組みが本格的なものになっていたのでしょう。
今後、全国で開催されていくことになります。
しかし、まずは北海道で開催されたというのは、
わたしたち、北海道の住宅関係のものにとってはうれしいお話しです。

セミナーと言うことですが、
最初に国側の、巽先生の基調講演、松村先生の審査講評、
国交省・石坂さんの国交省の今後の制作施策の方向性のお話しなどを受けて、
後半は、参加者全員によるパネルディスカッション形式で進行。
この手のセミナーとしては、異例とも言える(笑)面白さで、
とくに後半のディスカッションでは、
かなり、本音部分に肉薄してくるような展開がありました。
リプランでは、巽先生の単独インタビューも実現していますので、
次号9月発売号で組む特集部分で内容を掲載したいと考えています。
この長期優良住宅というものが、ほんとうの意味で
住宅ユーザー・国民の住生活を豊かなものにしていくように、
みんなが、制度をしっかり論議して、
よりよいものにしていくことが必要だと感じています。
住宅雑誌・リプランとしても、大いにそのような論議のきっかけを
読者に提供していきたいと思います。

地方と国との対話、という意味でも、
今回のセミナーはたいへん有意義なものだったと思います。
とくに、来ていただいた巽先生・松村先生・石坂さんには
かなり本音の部分も語っていただけたこと、感謝したいと思います。


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2009年08月09日

明治初期和風住宅の採暖文化

7747.jpg

きのうは北海道で古民家を探求している武部建設さんが
厚真町で復元した住宅見学と、周囲の遺跡発掘現場探訪ツアーが組まれていた。
でも、メールでのご案内だけだったので、
確認していませんで、当日になって「行きませんか」と
お誘いを受けたのですが、
すでに午後一番での約束があり、参加できませんでした。
う〜〜む、なんとも残念なことをした。
前からわかっていれば、なんとか調整したのですが・・・。

っていうことですが、
わたしのブログを見ていただいて、こういうことには
連絡を入れた方がいいと思われるのはうれしい。
わたしの古民家・遺跡探訪好みが多くのひとに知れ渡ってきているなぁと
ひとりごちしておりました。
厚真というところはアイヌの聖地、二風谷にも近く、
明治以前の北海道島では、多くの人々が暮らしていた生活適地。
どういう遺跡発掘になるのか、興味もそそられた次第です。
こんど、じっくり探訪してみたいと考えています。

写真は、北海道日本海側・増毛の「本間家住宅」居間にあった装置。
最初、茶の装置かと思っていたのですが、
よく説明を聞いたら、これはいろりの小型版で、暖房装置なのだと言うこと。
北海道では、明治になって外国人技術者などが
政府からの委託を受けてさまざまな仕事に従事し、
各地で「洋風住宅」を建設しました。
そのときに、ガラスとストーブ、という装置が日本に導入されたのです。
で、暖房機はあっというまにストーブが普及するわけですが、
一方で、和風住宅の方では、温暖地文化のいろりが主流だったのでしょう。
ただし、この写真のように鋳物で造形するようなことも行われていたのですね。
しかし、火力や暖房効率という側面から考えれば、
まぁ、湯たんぽとそう変わらないレベル。
半畳ほどの面積のなかの火を見ながら、
背中を丸めて「暖を取る」ということだったのでしょう。
一方で、洋風住宅のストーブ暖房空間では、
のびのびと体を伸ばして、活発な室内生活を楽しんでいた。
まぁ、水が高きから低きに流れるように、
この写真のような装置は、ストーブに圧倒されていく運命だったのでしょう。

温暖地での採暖文化と、寒冷地での「暖房文化」。
わたしたち北海道が、日本文化に対してなにごとかの役割を果たしていくとすれば、
この暖房の文化を、日本の省エネを進める基本要素として
本州地域に対してアピールしていくことではないか、と
思われてなりません。

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2009年08月07日

2×8の住宅

7755.jpg


先日函館に行ったときに見学した山之内建設さんのモデルハウス。
構造が2×8材を使用しているという重厚な壁厚。
それだけでも18cmくらいの厚さがあるので、
その内部に充填できる断熱材の厚みは通常の倍近い。
その外側にさらに板状断熱材を「付加」断熱している、という構成。
Q値で、0.6くらいのレベルを目指していると言うこと。
これくらいの断熱レベルになると、必要な熱エネルギーは
最小レベルに近づく。
実際問題として、日常の煮炊きのエネルギーや、照明や人体からの発生熱などが
無視できないレベルになってくる。
熱環境性能を極限的に追求している姿勢を感じます。
一方、左側はそのインテリアの様子。
ドアというか、建具のない入り口になっています。
室内の温度差を作らないように建具による遮断を避けながら、
それをデザイン的にさりげなく演出する工夫と思いました。
各隅角部についてはアールの処理が施されていて、
室内の照明が柔らかい印象になるように仕上げられています。

さて、本日は「長期優良住宅先導的モデル事業」のセミナーが開かれます。
選考委員会の会長である京大の巽教授などが参加されるもの。
先日は単独インタビューを受けていただいたりしましたが、
あらためて、お話を伺いたいと思っています。
北海道の目指してきた高断熱高気密の技術が
全国に向かって大きくアピールしていくのに、
この国の施策は大きな意味を持ってくると思われるのです。
省エネ・省CO2のための基本技術として、
北海道が培ってきた地域に根ざした基本技術が大きな時代的な要請に
応えられるものとして認定されていくように、大いに仕掛けていきたいと考えます。

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2009年07月30日

日射遮蔽スクリーン

7754.jpg

きのう紹介した函館の渋谷建設さんのモデルハウスで見たもの。
太陽光発電を屋根に設置するなどしているのですが、
一方で、日射遮蔽の工夫もしておりました。
高断熱高気密になってくると、室内に取り込まれる日射熱が、
けっこうなオーバーヒートを引き起こします。
日本の伝統的家屋では、そういう対策として軒を深くするわけですが、
寒冷地の建物では、積雪や氷柱の問題もあって
軒の出を深くすることに、歴史的にわだかまりがある。
それと、やはりデザイン的に
軒の出が深くなるのも似合う場合とそうでない場合もある。
そういったことから、その両方の問題点対策として、
一般的には日除けオーニングが考えられるのですが、
施工的に簡便というわけにも行かないのが難点。
っていうような需要にめざとく発売されているのがこれ。
まぁ、会社名や商品名は伏せておきますが(笑)、
値段を聞いたら、まぁ、大体は30000円前後で流通しているようです。
普通のオーニングが、傘のように窓を覆うのに対して、
こちらはちょうどスクリーン状に窓を覆っていくのですね。
で、上の収納部分から下げてきて、窓の最下部に引っかけられる金具があり、
そこに掛けて窓面を覆うことになっている。
上部収納部分の厚みがあるので、左右に隙間が開きますが、
日射遮蔽が目的のものなのでまぁ、問題はないと思われます。
窓は引き違い窓が基本になるでしょうね。
滑り出し窓や押し出し窓では、引っかかって出し入れができない。
窓の高さによりますが、大人であれば、日常使用的には問題はない。
背の低い方はちょっと使いづらいかも知れませんね。
っていうような新商品なんだそうです。
ほとんど軒の出がない、最近のシンプルモダン系デザインの住宅には
需要があると思われ、本州地域では出回っていると言うこと。

で、性能的な部分については・・・、
というあたりで、時間的にタイムアウトで聞けませんでした(笑)。
メーカー側のHPなどで見てみようかな、と思える商品です。
でも、このように遮蔽すると、窓を開いているとき、
そのうえ網戸を掛けると、
スクリーンだらけって言うような感じがするかなぁ・・・。
どうなんでしょうか、使用感など、
いろいろ聞いてみたいなと思いますね。


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2009年07月29日

太陽光発電と屋根形状

7753.jpg

函館にはe-ハウジングという地元ビルダー組織があります。
これは地域の中で、単独では資本力とか知名度的に大手メーカーに対抗しにくい
中小工務店が、結集することでパワーを大きくしていこうというもの。
こうした「地域工務店ネットワーク」というスタイルは
その中核的な理念構築や、リーダーシップなどの面で
なかなか難しい組織運営になりますが、
この函館のケースでは、メンバー5社で独自の住宅展示場までオープンさせています。
住宅展示場と一口に言うけれど、
土地の契約であるとか、維持していくのにかかる費用など、
まずはお互いの信頼関係構築など、難問が山積しているもの。
その点、e-ハウジングでは対銀行などでも協同の力で
個別企業ではできないような展開を可能にしています。
このような動きのためには、共通の、いわば旗印のようなものも必要。
地域工務店として、住宅技術的な側面も大切であり、
性能面でも差別化を図っていますが、
ここでは「太陽光発電」という切り口での展開も行っています。
函館市美原の展示場にある5棟のモデルハウスは
どの建物にも屋根に太陽光発電装置が乗っかっています。
写真はそのなかの「渋谷建設」さんのモデルハウス外観。
十分な後退距離が取れなかったので、屋根面は不明瞭ですが、
手前側の屋根に、装置が載っています。
太陽光発電装置は、南面に設置するので、
そちら側の面が大きくなっている必要がある。
この建物では、「のこぎり型」の屋根形状を採用して、
南側の屋根面を大きく取っています。
こういう屋根では、同時に高い位置に採光窓を得られます。
場合によっては換気装置をこの高い屋根側に設置して
パッシブな換気を計画することも可能になります。
性能面を考慮していくと、この屋根形状って、なかなかメリットがある。
さらに軒の出が一定に確保されているので、
理にかなっている部分が多いといえますね。

さてお盆前までにいろいろな作業が山積しております。
最近は対お役所への対応用件が増える傾向にあり、
ふだん使わない言語感覚が必要なロジックの世界になって参ります(笑)。
お役所の問題として、こういう言葉の問題というのも大きい。
実際に言葉や表現によって、いいものでも通らないケースもあって、
取り組んでみると難しい。
やはりこういう政策は、補助金ではなく、
減税方式の方がわかりやすいし実用的ではないかと
慣れない作業にとまどうビルダーさんたちの様子を見ながら思う次第です。
はてさて、やれやれ、と。

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2009年07月28日

建具と日本的感性

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きのうの続きを書きます。
やはり、建具って、面白いものだと思うのですね。
欧米の住宅の場合には、ひたすらしっかりした壁を作ることに腐心する。
窓という存在は、WIND+OWというのだそうで、
語源的にも風の導入という考えが基本的な要件になっている。
それに対して、日本は「間の戸」という考えがベース。
どうも方向性が大きく違うと感じる。
北海道の住宅は、日本の中で一番、インターナショナルな存在だと思うのですが、
そういう意味で、北海道ではあまり「建具」の感受性がない。
だいたい、建具屋さん、という職業自体、少なくなってきている。
たいていは今や、建材メーカーの既製品を嵌め込むだけになっていて
手作りで一品生産する職種が希少価値になっている。
それでも、やはり、このせっかくの日本的建築装置はなんとか存続させていきたいもの。
写真は、「葦障子」のクローズアップですが、
こういう細やかな手仕事を愛でてきた日本的感受性は素晴らしいと思う。
一本一本の葦を丹念にひもで結んでいって、木枠の中に収めていく。
で、やはりこういう規則的な手仕事の連続が生み出す
規格感のようなもの。
いわば「枠にはまった美しさ」というようなものが好きなのだ、と思う。
日本人が生まれてから見続ける家の中の風景に
こういった規格感を備えさせるような装置が仕組まれているのですね。
たぶん、こういう意味合いはものすごく大きな部分なのではないかと思います。


さて、日曜から月曜に掛けて
道南、青森と行ってきまして、クルマで走っておりました。
まぁ、日本全体のようですが、
この長雨はいったいどうしたことでしょうね。
わが家のカミさんの実家の畑も、まったく野菜が生育しません。
低温で長雨ですが、空気は湿潤で蒸し暑い。
雲さえ取れれば、夏の暑さ自体はあるようなのですが、
この調子では、農業関係はたいへんな年になりそうです。
景気が悪い上に、不作と言うことならば、
大変厳しい。なんとか、天候の回復を祈りたいですね。


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2009年07月27日

日本家屋の建具の美

7745.jpg


写真は北海道西岸・増毛の「本間家住宅」。
何回か訪れていますが、
本邸の方のこの廊下の様子がなぜか好きで、写真を何枚か撮ります。
なぜなんだろうか、と考えて気付いたのですが、
やはりこれは建具の美しさに惹かれていると思い至りました。
日本の家はさまざまな建具がそのインテリアの基本。
とくに欧米の家が防御的な「壁」の建築であって、
開口部は、それこそ「空気を取り入れる」窓、という明確な目的的存在であるのに、
日本の窓は、それこそ柱と柱の間の広大な開口部なのですね。
それも至る所に開きまくっている。
そういう建築構造になっている。
壁を重視しない構造になっている、ということが大きいのでしょうね。
しかし、そのままでは空気の遮断とか、
生活上では不具合も発生してくる。
そこで発達したのが「建具」ということなのでしょう。
で、障子に代表される格子模様が日本的インテリアの基本。
この写真の廊下空間は、ほぼすべてが建具で構成されている空間なんですね。
そういうことから、なぜか惹かれる空間性を持っている。
正面奥の「葦障子」は、夏場だけ使用するそうですが、
こちら側の視線の変化に対応して、見え方が変化する。
細かい葦の枝で組み合わされているのですが、
よく観察すると、葦が太いのと、細めのとで交互になっています。
そして、もっと言うと、節の位置の微妙な変化で
まるで模様が付いているようになまめかしい光線の変化が感受できる。
一方で右側の葦障子は,タテに組み込んでいます。
こちらのほうは、太めの葦だけで、太さも揃えられている。
本当に奥の深い建具の世界であります。

左側の障子たちは、中庭からの光を内部に引き込んでいる。
その光が、右の障子を通して居室に導入される。
断熱的には、紙が2枚だけという構成になる。
もっとも、この家では中庭のほうにはガラス窓が嵌め込まれています。
でもまぁ、日本人って、こういう空間性のまゆに包み込まれてきた。
こういうなかで、規則的な幾何学的な格子模様を
幼少期からインプットされるのが日本人なんですね。
日本人が数学が好きだ、というのもむべなるかな、ですね(笑)。
どうなんでしょう。最近は数学コンクール、
日本のお家芸ではなくなってきているのでしょうかね。
でもこういう空間性って、幾何認識を大いに刺激しそうな気がします。

廊下なんですが、ときどきこうやって
座った目線でたたずんでいると、ずいぶんと心が和んでくるような気がします。
みなさんはいかがでしょうか?

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2009年07月08日

トマムタワーの外断熱改修

7722.jpg


先週土日の道東旅行の帰り道、
トマムリゾートの前を通りかかりました。
で、ふと思い出して写真に収めた次第です。
なんだったか、この話題、あったよなぁ・・・であります。
記憶領域のブックマークが一杯になって、どうも細かく記憶しておくことが難しい。
「まぁ、あとで調べりゃぁいいや」ということで置いておいたところ。
で、ちゃんと忘れず、調べました。
(そういえば、先日ブログに書いた「換気付きかまど」を調べなければ)

そうすると日経アーキテクチャさんの記事にありました。
なんでも、このタワー、竣工後20年前後ということで、
外壁のタイル打ち込みPCa(プレキャストコンクリート)版の老朽化が進んでいて、
冬期の凍結+融解が繰り返される環境の中で、
年間1000万円にもなる費用が補修費として必要であり、
経営を圧迫する要因になっていたということだそうです。
こういう極寒冷地域での高層建築ということで、
とくに外壁素材の問題はかなり深刻な問題だったのですね。
これを根本的に治癒する方法が、外断熱改修だったわけです。
国内外における外断熱工法の事例を比較した結果、
採用したのがカナダのトロントに本拠を置くデュロック社の工法。
既存のPCaの上にEPSを張り付ける方法で、限られた工期で行うのに適していたということ。
なので、デザインも外国人のデザインになっているということ。
特徴ある外装のデザインはクライン ダイサム アーキテクツという会社。

遠目に見ると、さてなんでしょうか?
いろいろな色のモザイク模様が、なんとも独特の印象をもたらしています。
建築当初は外壁はレンガ張りだったのですが、
それはそれでステキだったのですが、
今回見てみて、それとは違うけれど、
また一種、変わったデザインを楽しめるなぁと思いましたね。

これからの時代、
既存の建築をどのようにサスティナブルに利用し続けていくのか、
そういった技術や、デザインの洗練が求められてくると思います。
住宅の方でも、「北海道R住宅」に取り組んでいるのですが、
さまざまな建築領域で、北海道の立ち位置が大きなポイントになってきていると感じます。
こういう技術、なんとか産業振興に結びつけていきたいですね。

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2009年07月06日

平安期北海道住宅の「換気付き」かまど

7717.jpg

土日は道東・北方領土に面した標津から
釧路郊外の北斗遺跡と、
個人的ライフワークに費やしておりました。
帰り道でもあったので、釧路郊外の北斗遺跡です。
何度か見ている、なじみの平安期北海道の住民の暮らしぶり痕跡。
まぁ、復元住居なので、細部までは再現が難しいと思いますが
主要な部分については、考証もしっかりされていると思います。
で、いままで、何度か見ていても
ふたたび「そうだったのか」と気付くことも多い。

今回、見てびっくりしたポイントがこの写真。
この時期の北海道島の住民は、かまどを作って暮らしていました。
かまどは、南方のヤマト民族から生活装置の知恵をいただいたもの。
その意味では、本州地域との豊かな交流も感じられますね。
かまどの作り方・技術も一体のものとして導入したものでしょうか。
最初は、ヤマト社会側からひとが来訪して技術を伝えたか、
それとも、北海道側からひとが行ったものか。
いずれにせよ、技術の移転ですから、そういう交流がなければならない。
このかまどを使って煮炊きを行う土器も、
ヤマト社会側の薄く作る技術が移転しているように思います。
前時代の続縄文時代よりも、土器の作られようが繊細になり、
デザインも、より洗練を感じるようになります。

で、このかまど、左側が1mほど地面から掘り下げられた室内側の本体部分。
入り口の近くに設置されていますが、
右側の写真は入り口外側にある「吸気口」なんです。
ヤマト社会側でのかまどには、こういう知恵はあったのかどうか、
たぶん、室内暖房としてのいろりの能力を高めるために
土間蓄熱効果を考えて地面を深く掘り下げると、
煮炊き用の一気に高い火力を集中させる火力装置には
外部から新鮮空気を導入しなければならなかったのではないかと思われます。
室内で使用する火力に必要な空気を外部から取り入れるという
そういう知恵であるようなんですね。
室内側で発生する温度上昇に対して、
より低温な外部空気が室内側に「導入されていく」わけですね。

「え、ホントにそうかよ・・・」と
思わず立ち止まって考え込んでしまった次第。
もし、この推測通りであれば、
この室内環境技術水準は、その原理の理解において、
現代の技術原理とまったく変わらない。
現代の北海道で、「パッシブ換気暖房システム」というのが
最先端の技術のみなさんから提唱されてきていますが、
それとまったく変わらない考え方。
これは、どういう経緯でこのようなかまどを造作したか、
この遺跡復元について時代考証した経緯を再度確認しなければならないと
考えざるを得ませんね。
もしこの当時、このようにかまどを考案していたのであれば、
住宅技術について、かなり大きな事実なのではないでしょうか。
一度、調査してみなければなりませんね。

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2009年07月04日

葦の紙の障子

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先日のブログでも触れた「板倉工法」の家です。
木造工法のさまざまな可能性を追求する設計者の探求心が
随所に感じられる住宅なワケですが、
この障子。ごく普通の障子と思っていたら、
さにあらず、紙は北上川の河口地帯でいまでも取れている
「葦」を漉いて和紙にした紙なんだそうです。
北上川河口の葦は、東北地方でも最大の産地であり、
伝統的に屋根材として使われてきた素材です。
現代にこの葦で、葺いた屋根を再生させようと運動している人たちもいて、
設計者の佐々木さんは、そういった運動にも関わっている。
建築材料としての葦は、まさに自然材料そのものであり、
グラスウールという、現代の断熱素材が提供されていない時代で考えたら、
もっとも断熱性能のある自然素材だったのではないかと思っています。
なんといっても植物繊維素材であり、
内部に空気を保留する素材なのですね。
断熱は静止空気層を保つことで、その効果が発揮されるので、
伝統的な草葺きの屋根って、性能的にも効果が高いと言える。
先人たちの慧眼に、まさに目からウロコの思いがする材料。
しかし、そういう素材を現代に甦らせるためには、
さまざまな市場価値を創造しなければならない。
そういった努力の一環として、
こういった葦原料の和紙、というような挑戦も行っているのでしょう。
このように使われることで現物としての風合いをユーザーに見せて、
その質感でファンを獲得していきたいと考えているのでしょう。
佐々木さんとしては、このような在来木造工法の持っていた
伝統的な素材を現代に継承させるための
やらなければならない産業復興まで志向しながら、
家づくりに取り組んでいるのだなぁと、思い至らされた次第です。

こういう活動は、奇抜な空間デザインを生んだりする方向ではないので、
評価者のしっかりした目線がなければ、
「普通っぽい」というような評価にしかならないでしょう。
しかし、永い日本人の木造との付き合いという見方からすると、
誰かがこうして取り組んでいてくれることが大切だと考えます。
とくに、東北の人々にとって、
こういった味わいの家づくりは、
地域が育ててきた空間的感受性に大きく関わっていると思います。
そういうものこそが、本物のデザインだ、と思います。


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2009年07月02日

北海道R住宅、注目度高まっています。

7715.jpg

さて、住宅関係では国交省の長期優良住宅先導的モデル事業が
大きな話題になっていますが、
そのなかでも、今年度第1回の応募で採択された
「北海道R住宅」の評価がいろいろな場所で高くなっています。
先般も、事業運営主体に対して、
補助金審査をする会合での模様が報告されていました。
中古住宅の性能向上でのシステム提案という、全国的にもきわめて異色な
それも、もっとも気候条件のきびしい北海道からのものとあって、
一向に進まない「住宅ストックの性能向上」という
国の掲げる基本施策をまさに「先導的に」実現しようというこの試みは
多くの審査員の先生たちからトップ評価をいただいていたそうです。
こうした補助金交付の決定に当たっては、
学会有識者が審査員になるのが通例ですが、
そういうみなさんにとっても、そもそも住宅検査人という概念まで産み出そうという
この提案はまさに革新性を持ったものと評価されているのです。

中央レベルでのシステムへの高い評価を
どうやって活かして、北海道の大きな社会資産にしていけるのか
制度を作ってきた立場として、
大いに正念場を迎えてきたように思います。
考えてみると、わたしどもの雑誌、リプランも
当初は住宅リフォームの雑誌としてスタートしたのです。
そういう意味で、北海道の進んだ住宅技術が
明確な数字で評価できる住宅リフォームマーケットを創造しようとしているとも言えるわけで、
雑誌発行者としても、制度の創造の局面に立ち会えていることに感慨の念を持ちます。

しかしながら、国の補助金はいただけたのですが、
なんといっても「単年度事業」という厳しい制約があります。
過去4年間の論議の積み重ね、社会実験の積み重ねがあるとはいえ、
社会制度まで創出しながら、
今年度中に、ユーザーも巻き込んだ実績を作っていくというのは
並大抵の作業ではありません。
現在も、なんとかオール北海道の底力で、
この制度を立ち上げられるように、まさにボランティアで
いろいろな活動に取り組んでいる次第です。
ことし、家の改修をお考えのユーザーさん、
住宅建築の未来を切り開きたいとお考えの事業者のみなさん、
ぜひ、この北海道R住宅への積極的な参加、取り組みをお待ちしています。
<写真は仙台城址の堀>

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2009年06月29日

床板の玄関扉

7724.jpg

散歩の道すがらにこんな玄関扉を発見したしました。
店舗のようなんですが、
設計者や施工者は当然、不明であります。
でも思わず、「いいなぁ、これ」であります。

玄関扉って、建物を建てたらいちばん使用頻度の高い部位。
出入りには必ず使用するわけで、
そういう部分に対して、どういうセンスを持って望むのかは、
建てるひとの感受性を表してくる部分であり、
毎日使う側にとっては、その建物への愛着に関わってくる部分。
ある設計者から、毎日使う場所だからこそ、
その素材とか材質、質感、すべてに満足感が必要だと言っていましたが、
まさにその通りで、見た感じや、さわった感じなど、
感受性のすべてで、受け止めるべきものですね。

で、この扉、一見してそのまんまなんですが(笑)
扉材に古いフローリングを再生利用している。
無垢板で、多くの人間の踏んだ痕跡感が感じられる。
塗料のはげた感じ、素材と時間、使った人間の肌の感じまで
そのまんま、そこから立ち上ってくるような感覚がある。
たまらなく懐かしい気持ちが沸き起こってくるような印象。
取っ手はシンプルなデザインの太めな金属製。
扉の枠も色調が整えられているので、統一感もある。
どうも、歳を取ってくると
こういうデザイン感覚に同意したくなってくる。
結局人間がいちばんやすらぐのは、素材の質感と時間感覚。
ざらついた表情に、こちら側の心象風景も掛け合わせて感受するようになる。
まぁ、こういうデザイン手法、
良くあるのだろうとは思いますが、
なかなか悪くはないなぁと、ひとり納得しておりました次第。

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2009年06月22日

変形屋根の家

7708.jpg

本日は夕方から、ある建築関係の団体からの依頼で
講演を予定しています。
まぁ、定期的に、っていうようにときどき依頼があるのですね。
わたしは建築を専門で学習してきた人間ではなく、
むしろ専門外の雑誌編集・メディア側の発想人間ですので、
住宅建築の専門的な、たとえば断熱や気密といったテクニカルなことは
北海道の住宅を紹介するようなときに触れることはありますが、
そういう話がメインで講演で頼まれると言うことはあまりない。

しかし、住宅は年に100件以上は見に行く機会があるので、
メディア的に興味は深まってきます。
まぁ、強いて言えば、住宅建築に社会的に、あるいは情緒性的に関わっている、
とでも言ったらいいのではないかと思っています。
とくに歴史は大好きなので、
人間の生活,民俗的な視点からのアプローチが大好きです。
それと、マーケティング的な角度も織り交ぜながら、
お話を展開しています。
でもまぁ、講演が専門でもありませんので、頼まれればやりますよ、
っていうような立場でお引き受けしている次第。
毎回、パワーポイントでプレゼン形式でお話ししています。
やはり雑誌なので、写真は豊富に持っているわけで
みなさん、難しい話よりも、きれいな写真の方が見やすいので、頼まれるとも言えますね(笑)。

さて、今回のプレゼン作成で紹介する写真のひとつがこれ。
北海道に住んでいる人なら、よく見かけるタイプの家ですが、
他の地域ではあまり見かけることがない。
屋根が思い切り変形していて、???っていう雰囲気の住宅。
昭和40年代、大手ハウスメーカーが北海道に進出してきて
三角屋根の画一的なデザインが飽きられたことや
長尺鉄板が普及したことで、屋根のデザインの「個性化」が進んだようなのです。
その他の理由としては、雪対策というものもあったのではないかと思われます。
さすがに今日では廃れてきていますが、
北海道の住宅の歴史の中に、エポックを刻んでいるタイプといえます。
北海道の住宅が、日本的な伝統を離れて
より、自由になっていこうとした雰囲気を表していたのかも知れませんね。
ただ、デザインの個性化、というような面から見て、
こういう屋根形状でそれを表現するというのは、
さすがにちょっと、今日的感覚からすれば引いてしまう(笑)。
デザインというものは、こういうものとはすこし違うのではないかと思います。
まぁ、歴史的にはしっかり確認する必要のある住宅の形でしょうね。

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2009年06月18日

住宅検査人

7704.jpg


来週月曜日22日に、北海道R住宅の基本的制度になる
「住宅検査人」講習会が全道の皮切りとして札幌で開催されます。
初年度のこの講習会については、費用が無料と言うことで実施。
今年度、国交省の先導的モデル事業で、申請総額が満額で事業認可された
「北海道R住宅」ですが、このまったく新しい住宅リフォームの
スタンダードにとって、
その基本になるのは、第3者的な立場からの「既存住宅の住宅検査」。
この社会システムでは、これまで曖昧とされてきた
既存住宅についての客観的な性能評価が可能になります。
さまざまな評価基準をカルテ化して、目視や測定器具などを使って
わかりやすく「住宅評価」を数値化させることができるようになるのです。

この数値化・見える化こそが、
既存住宅の性能向上型リフォームの基本的な部分。
これまでは、いきなりリフォームの事業者が
「ああ、これはこうだから、こうしたほうがいいですよ、費用は・・・」
というように進行してきた住宅リフォームという分野が、
「この建物の現状評価はこの通りです。これに基づいて改善する方法は・・・」
というように、初めて客観的評価というメスを入れることが出来るようになるのです。
こういう評価を定めるのにあずかるのが、住宅検査人。
住宅検査は、さまざまな側面から過不足なく
客観的な評価が可能なようにカルテが構想されています。
それを使って実際に建物を診断し、
その結果を、「既存住宅サポートシステム」という
北海道が開発したWEB上の履歴保管システムに登録するのです。

初年度の起ち上げ作業。
さまざまな困難を乗り越えて、こういうところまでこぎ着けてきた
北海道の、地方公共団体としての政策立案力はすばらしい。
わたし自身もその中に入ってシステム構築してきたのですが、
まさに、第1歩が、この住宅検査人講習なのです。
現状では、百人以上の参加が見込まれそうということ。
まだ初年度で告知が十分とは言えない中では
まずまずの希望が寄せられてきていると思います。
なんとか無事に船出できるように、祈っている次第です。
<写真は、鎌倉鶴岡八幡宮そばの竹と茅で構成された塀の様子。本文とは無関係>


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2009年06月16日

200年住宅への挑戦

7702.jpg

今月22日全国で発売開始されるのが写真の特集号。
題して、「200年住宅への挑戦」。
国が昨年からはじめた「長期優良住宅」住宅施策で
「先導的モデル事業」という募集を行ったわけですが、
それに対して、全国から応募があり、認可を受けた事業が行われました。
多くの事業は、いわばハウスメーカーのモデルハウスの建て替え費用だよ、
っていうように揶揄されたりしておりましたが、
そういうなかで、地方公共団体として北海道は主体的にこの事業に関わり、
合計123戸の補助金交付住宅を完成させました。
交付された金額をすべて事業として達成したのは、きわめて稀有。
地域としてこのような住宅を実際に建てられたのは、
どのようなコンセプトと背景があったのか、
また実際にどのような住宅が建てられたのか、スポットを当てた特集号です。
折しも、今年度も北海道では「北方型ECO」と
リフォーム分野の「北海道R住宅」が事業認定されて、
ふたたび「先導的モデル事業」が継続的に行われています。
そういった取り組みを紹介し、多くのユーザーの関心を高めたい
という狙いも込められています。

全国紙・朝日新聞にも広告を予定していまして、
北海道の住宅技術の確かさを全国のユーザーのみなさんに伝えたいと考えています。
昨年以来、「エコ住宅Q1.0」の全国発売など、
このような広報活動に力を入れてきているのですが、
いろいろな方面から、すこしづつ手応えのある反響が巻き起こってきています。
この「200年住宅への挑戦」は、
北海道がまさに、全国に先駆けて「先導的に」実践してきている
日本の住宅の高性能化の実態が、わかりやすく表現されています。
伝聞では、オバマ大統領が、先般の麻生首相との会談で
北海道の住宅技術について
「ぜひ技術を移転してもらいたい」というように触れたという情報もあります。
やはり次世代型の住宅技術は、こういった北海道標準のものが
高性能なスタンダードになっていく必要がある。

全国有名書店で、22日から発売されます。
一部地域、首都圏などでは20日前後には書店店頭に置かれると思います。
また、先行予約販売を当社HP
http://www.replan.ne.jp/hokkaido/bookcart/b3toku/c1-2009/
でも行っております。
一冊1000円。注目を集める省エネ住宅技術の実例集、
ぜひ、ごらんいただきたいと思います。
ということで、本日は出版の宣伝ブログです(笑)。


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2009年06月15日

住宅用暖冷房エネルギー全国比較

7701.jpg

先日の北総研研究発表会の報告から。
国の省エネルギー基準を定める審議会には、北総研の代表者が
主導的な立場で関与していることは、先日書きましたが、
そうした報告から、面白いデータ報告がありました。
全国の地域別の住宅用暖冷房エネルギーを比較したデータです。
って、そういうようなデータもちゃんと国は把握しているのですね。
国、あるいは中央省庁というシンクタンクは、
実にさまざまなデータを持っていると思いますが、
まぁ、当然といえば当然か。

で、やはり面白かったのが、
北海道の地域的先導性。
他の地域は1970年を起点とした家庭内エネルギー使用が
一貫して上昇曲線を描いているのに対して、
床面積の拡大がありながら、
北海道では、一貫して下降カーブを描き続けていると言うこと。
まぁ、ごく最近についてはやや上昇曲線を見せていますが、
他との比較ではやはり特異的といえます。
寒冷という条件から、道民意識としてエネルギーにたいして敏感であり、
そして、その削減方法、基本的には断熱についての理解が
全国で飛び抜けて高いと言うことを表していると思います。

個別の関与事業者のレベルであるとか、
そういうことを超えて、
やはりユーザーが断熱についての基本的知識を持っていることが
一番大きいのではないかと思われます。
確かに、グラスウールだとか、気密だとか、
こういった業界的専門知識に対して
一定の理解力を持っているから、合理的でない工法宣伝に惑わされない
賢明なユーザーが多いと言うことは実感できる部分。
全国を席巻してきた○○ホームが、まったく振るわないということには
そういうユーザーの目線の確かさがあるかもしれません。

さて今週は土曜日に建築家住宅バス見学会が予定されています。
定員20名で募集したところ
なんと倍以上の申込みが来て、バスを2台に増やしたイベントです。
その反動からか、先週土日のイベントはイマイチでしたが、
そういったこともユーザー動向のアンテナではあります。
賢明なユーザーにより豊かな情報を提供するのが
わたしたちの基本的な役割と考え、頑張りたいと思います。


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2009年06月12日

洗面の排管詰まり

7699.jpg

きのう朝、事務所の女性社員用の洗面から水が流れない、という申し出。
洗面は2つボウルがあるのですが、
片方だけが水が流れなくなっている。
経年的には同じ時期に設置したので、ちょっとおかしい。
また、他の場所の洗面でも特段、詰まりの症状はない。
いろいろ配管掃除の家庭用薬剤とか使ってみるけれど、
さっぱり効果が出ない。
やむなく、工務店さんに連絡、ほんの1時間かからずに来ていただけました、詰まり屋さん。
って、そんな名前ではないでしょうが、
名刺ももらうことなく、だったので、工事種別も聞きませんでした(笑)。

ただし、詰まりの原因についてはしっかり取材。
原因はどうやらセンサー付きの蛇口にあるようなのです。
もうひとつの蛇口は使用するたびに蛇口を操作するタイプ。
こちらの場合には、一般的に水量が大きくなるので、
石けん垢や細かいゴミなども一気に排出されて詰まらないけれど、
手を蛇口にかざして、そのセンサーで水が出てくるタイプの場合、
水道水使用量が抑えられる利点がある一方で、
一般家庭のような使用回数で納まっている場合、
総体の水量が不足して、ゴミが溜まりやすくなるのだそうです。
高速道のパーキングなどのトイレでは
ほとんどこのタイプですが、
あのような使用状況の場合には、トータルでの使用料は抑えられ、
しかも多人数の使用があるので、詰まることも少なくなる。
というようなことだそうです。

管の中のことなので、さすがに奥が深い(笑)。
水量を抑える効果はあるけれど、
トータルの使用総量とのバランスで考えなければならないのですね。
写真下は、こんなことになって初めてしげしげと見た配管部分。
奥にあるのがセンサー装置なのだそうです。
水道を止めて、管の詰まりも除去してもらいましたが、
大変勉強になりましたね。
で、やはり、こういうメンテナンスにすぐ人が来てくれる安心感って、
深く感謝したくなりますね。
わが社では、地域の工務店さんにずっとお願いしているのですが、
大手ハウスメーカーではこのあたりどうなっているのか、
建ててしまえばあとは知らんぷりというケースも聞きます。
建物とは長い付き合いになっていくわけで、
そういう専門家と、いい関係を築いておくというのは
大変大切な部分だと思いますね。
困った、が、ありがたい、で終われた一騒動でした。


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2009年06月10日

北総研2008研究発表会

7697.jpg

きのうは毎年この時期に行われている
北総研(北方建築総合研究所)の研究発表会。
北総研は北海道の外郭組織ですが、
やがては独立行政法人に組織替えすることになっています。
道庁の予算削減などもあって、
組織としての存続の行方は、どのようになっていくのか。
そういうなかで、しかし、北方圏住宅の研究開発で果たしてきた役割は
きわめて大きなものがある。
今回の発表会でも、北総研が大きな役割を担った報告が前段で2つ報告。
ひとつは、長期優良住宅先導的モデル事業の大きな成果となった
「北方型ECO」の北海道の取り組みで中核的な役割を担った報告。
まさに地方自治体でありながら、この北総研のような
研究開発組織を持っていて、地域工務店に対しても指導力を持っている、
という立場を十分に発揮した結果が、
補助金を北海道にもたらした原動力になったものと思います。
もうひとつの報告は、北総研の鈴木大隆さんが中心メンバーになってまとめた
国の新省エネ基準作りの経過報告。
この基準の改定については、わかりにくいと言われていて、
そのことも自身から何度も繰り返されていましたが、
ことし1年間掛けて、全国に普及させていく予定であると語っていました。
現状では、IBECに問い合わせても、担当者ごとで説明が違ったりする(笑)
場合もあり得る、っていうことだそうですが、
まぁ、確かに説明をいろいろ聞いていてもわからないことが多い。
しかし、こうした国レベルの基準作りにも
北総研が大きな役割を果たしている事実は明確。
今後の省エネ推進のためにも、寒冷地建築についての豊かで実証的な
北総研の研究成果は大きな存在になっていくと思います。

こういった研究開発型組織の発表会なのに、
結構大人数の参加がありまして、
会場は7割方は埋まっておりました。
最新の研究開発の事情を把握したいと、全国から逃さず見に来ている、
っていうようなみなさんも多く、全国レベルでの関心の高まりを実感します。
一方で地元の工務店さんも何軒か、社員が参加というケースもあり、
地域性と、全国的な広がりの両方を感じることが出来ました。
研究のテーマも多く、発表会は実は2日間連続開催でした。
まぁ、さすがに両日参加は困難ですが、
大きな成果はあったものと感じました。
それぞれのテーマについては、CDなどに詳しくまとめられてもいますので、
今後、じっくりと確認してみたいと思います。
なかには、たとえば「耐震性と断熱性の両方を一気に解決する手法」研究など、
これからの既存住宅性能向上のベースになる技術なども
北総研の大きな役割が発揮されたものとして発表されています。
追って、それぞれ取り上げてみたいと考えています。


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2009年06月09日

リフォーム用気流止めGW

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室蘭工大の鎌田先生研究室でのアイデアから生まれた
既存建物の断熱気密改修用の「圧縮グラスウール」。
いろいろな実証実験を経て、もう少しで完成と言うところまで来ているようです。
写真のような形状で、これに梱包と気密材を兼ねるビニールを
もう一工夫して、完成という形なのだそうです。
で、こういう形状で現場に運ばれて、
現場備え付けの「掃除機」で内部の空気を脱気して
土台と壁の突き合わせ部分に挿入し、
その後、ビニールをカットして既存の壁の中で膨らませ
断熱層・気密層を構成しようという材料。
ことしから北海道で取り組む、断熱性向上型リフォーム「R住宅」の
大きな技術的なバックボーンになっていく期待が膨らみます。
確かに、今回のR住宅が性能基準として求めている
気密性能2.0cm/m2という数値は、達成が難しいと言われていますが、
ぜひ、こういった技術を活用して、
多くのみなさんが取り組んでいただきたいと考えています。
既存の建物の状態にもよるわけですが
この技術、大いに広まっていって欲しいものだと思います。
しかも、新住協で発表される技術は基本的にオープン技術として
公開されています。

きのうは先週の会議づくめの間に溜まっていた
整理作業、対応作業が山積み。
ちょっと対応しないでいると、あれやこれや、
段取りが進んでいかない仕事がたくさんある。
机の上はそういう書類やら、資料やら、連絡メモやらで一杯になってしまう。
そういうのに対応するのにきのうは1日かかったのですから、
4〜5日程度で、1日かかるって、
こういうのは確実にしとめ続けないと、
なかなか、手強いゴミの山になってしまうのですね。
既存に対応する、って結構、根気はいる次第ですけれど・・・。

北のくらしデザインセンター
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2009年06月06日

市民会員で参加の国会議員さん

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きのうは新住協の年に一度の総会。
朝9時からスタートして、午前中に組織としての総会を終わって
基調講演、午後からは研究発表などが相次ぎ、
終了したのが午後5時半。
そこから会場を変えて懇親会も行われました。
写真は、懇親会の会場の様子。

新住協って、これまでの総会でも
いわゆる来賓祝辞というようなものってなかった。
それだけ実質的な住宅技術研究開発型の組織だったのですが、
運動の広がりが大きくなってきて、
今回は4名の来賓が来られていました。
とはいっても、住宅に関連する組織からの公務として参加のような方たち。
そんななかで、来賓あいさつにも立たず、
その後の懇親の席であいさつされて初めて来場を知ったのが、
参議院議員の中村てつじさん。
民主党の所属で、奈良県選出の議員さんです。
中村さんは、全国発売されたわたしどもの「エコ住宅Q1.0」などの
雑誌を知っていただいて、数十冊単位で購入され、
国会議員さん仲間や、中央省庁などに「北海道ではこんなにいい住宅を建てている」
と、大いに住宅政策的な立場から活動いただいています。
そんなことで、いろいろにお話しさせていただきました。
いま進めている「北海道R住宅」についても、
わたしどもの雑誌をごらんいただいていて、
「大変わかりやすかったので、利用させてもらいました(笑)」
と、おっしゃっていました(笑)。
新住協の進めている地域工務店の技術向上、地域活性化の努力に
賛同していただいていて、大いに共感できた次第。
その後、「地域工務店さんの声をもっと聞きたい」と
2次会でも多くのメンバーと活発に意見交換されていました。

国会議員さんの議員連盟も最近、超党派で組織されています。
地域工務店の立場に立って活動してきた新住協の運動が
このような国会議員さんたちのレベルでも広がりつつあるのです。
工務店メンバーのみなさんとも、現状の国の住宅政策について
忌憚なく意見を話し合って、いろいろに認識を深めていただけたようです。
しかしそれよりなにより、
国会議員という立場でありながら、
一市民の立場として、このような民間団体の総会に出てくるという
姿勢に大きく感銘を受けました。

国の住宅政策の進み方に
わたしどもの雑誌が志向している「地域で暮らす工務店」の立場が
すこしでも反映されるような方向になっていって欲しいものだと
強く念願する次第です。


北のくらしデザインセンター
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2009年06月01日

ヒバ樹皮の「断熱」素材

7688.jpg

写真は、道南・上ノ国の笹浪家住宅外壁。
表面に扱われている素材は何かなぁ、と見ていたらボランティアの方が
「ヒバの樹皮です。断熱効果を期待していたそうです」
という説明をしてくれました。

北海道日本海側地域は、
北前交易など、伝統的に日本海側地方からの移民が多く、
この住宅も「能登屋笹浪家」という出自をそのまま屋号にしたもの。
一般的に家の次男三男といった存在が
「一旗」組として北海道に可能性を夢見て
初めは労働者として移住し、
徐々に船を持ったりして、自立を図ったのでしょう。
そういった事例は、山形県酒田から来た「青山家」など、
たくさんの事例があります。
この笹浪家もそういった家系出自をもった家。
享保年間に能登から、この地にやってきたということですから、
約300年前くらいのこと。
この建物は、何回か改築されてきたもので、
江戸末期から明治初年に建てられたものと言うことです。
寒冷地住宅として、この地に住んで百数十年経過した家系なので、
なんとか、寒冷条件を克服できないかと
考えている痕跡がこの「ヒバの樹皮」貼りの外壁。
日本家屋の伝統技術には寒冷地用の技術は大変乏しいので、
この樹皮を貼る、という考え方はたぶん、蝦夷地アイヌの
住宅などからヒントを得てのことだったのではないかと思われます。
樹皮は油分が多く含有されているので、
たとえば平安期北海道の原住民の住宅では、
防水・防腐の効果を期待したような使い方が復元住宅などで行われています。
漁労労働力として、あるいは交易の相手として、
アイヌとふれあう中で、
そういった知識、「技術」などを見聞きしていた可能性はある。
で、そういった知識を膨らませて、
原木のヒバの樹皮をていねいに剥いで、
住宅の外壁に貼り込むという知恵の飛躍を試みたのでしょう。
この住宅の屋根には柾目板が使われていますので、
木材を薄物として利用するような大工技量を持った棟梁が
このような工夫を考えついたものでしょうか。
残念ながら、現在は保存建物で住んではいない建物ですので、
冬期間の暮らしようはどうなのか、
証言は得られませんでしたが、どうなんでしょうか。
まぁ、その後、樹皮の建物外皮が普及したという話も聞いたことがないので、
いわゆる「暖かさ」という点では、
期待したほどの効果は出なかったのではないか、と思われます。
しかし、きわめて風の強い地方ですので、
面で風を受け流す、という意味では「防風」的な効果は
あり得たものかも知れません。
日本建築として、ギリギリの防寒的試みとして、
ちょっと興味を抱いた外壁でした。


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2009年05月07日

重厚な建具文化

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写真は増毛に保存されている重要文化財・本間家の
商家部分の区切りの建具。
こういう商家の建具って、実に多彩な工夫が凝らされていて
目を見張るほどなんですね。
なによりも手仕事での造作なんですが、
その造形のみごとさに圧倒される。
この建具では、かんぬきが仕込まれていて、
閉めると自動的にロックがされる仕掛けまで施されている。
たぶん、それを開放する鍵の仕掛けもあるのでしょう。
構造材は重量感のある広葉樹種の脂身のある材が使用されています。
一目見ただけで、相当の熟練の工務であり、
工芸品に近い出来映えであります。
いつも思うのですが、こういう実用の建具って、
その手仕事のレベルで言えば、工芸品を上回っていて、
しかも日常使いの実用の用を完全に満たしている。
日本の手仕事、職人のレベルの高さをみごとに証明していると感じます。
ただし、工芸品のように移動可能ではないので
仕事への価値、売買価格というような部分では評価されない。
なんとも不思議なものだなぁと思っています。

一度など、秋田での取材だったですが、
ものすごい重量の立派な建具が家の中で使われていて、
聞いたら、建て主さんがインターネットで購入したのだと聞きました。
ところが、100kgは軽く超しそうな超重量物で
しかも材料は、もう入手困難と思われる本物素材でありながら、
値段を聞いてびっくり。
なんと、輸送費も10000円程度の宅配便扱いで、
本体価格も20000〜30000円だったものでした。
宅配便価格は寸法に対してしか値段規格がなくて
ものすごい重量物にもかかわらず、タダ同然だったと聞きました。
いかに日本では、こういう建具の価値について評価がないか、
よく表しているお話しだなぁと思った次第。

しかし、以前に見た余市の漁家の蔵の扉のみごとさなど、
ちょっと筆舌に尽くしがたかった。
こういう建具文化に対する価値観の低さって、
そのうちに必ず見直されると思います。
いいものを永く使って、エコロジカルに、というのが
本物の流れであれば、やがて必ず見直されると思うのです。
ただ、現状では、住宅建築の側では、
施工の簡易性や、合理性にばかり目を奪われていて
こういう手仕事の価値観について正当な評価がない。
こういうみごとな昔の手仕事を収集しておくと、
そのうち、「お宝鑑定団」で超高額な資産になるかも知れません(笑)。
いまから、買い占めに入ろうかなぁ(笑)。


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2009年05月05日

紙越しの採光

7663.jpg

ゴールデンウィーク、好天が続きますね。
きのうは足を伸ばして、増毛方面へ。
坊主はバスケットと言うことで、カミさんと母親、3人での行楽。
増毛は、古くからの酒蔵が観光の中心になっていて、
その本宅としての旧家も重要文化財に指定されて
ミニ小樽的な観光条件が整ってきていますね。
札幌からは海岸線をずっと北上するコースなので眺望が良く、
途中には豪快な滝があったり、
岩尾温泉という泉質の良い温泉施設で日帰り入浴も楽しめます。
きのうも街の中は大変混雑を見せていまして、
なかなかの人出でした。

ということで、カミさんの母親に観光案内しながら。
写真は、旧本間家商家の見学です。
酒を造ったり、海運業を行ったり、
明治以降は銀行を開設したりと、地域最高の有力者の邸宅です。
さすがに結構を尽くしておりまして、
書の類、ふすま絵など、豪華な調度が飾られています。

こういう旧家でいちばん感じるのは、
障子越しのやわらかな採光がもたらす心地よくコントロールされた明るさと暗さ。
紙で内と外の結界を造り、
採光の要素ももたらせているという空間って、
アジア的な独特なものなのでしょうか。
幾何学的な格子組と紙による繊細な採光。
それが室内に入ってくる光を統御している。
床に写り込む格子模様やらが、この写真のような広縁の鏡面に反射して
日本人が永く愛してきたような空間性を形作る。
ここは寒風吹きすさぶ日本海北端に近い寒冷地ですが、
いっとき、春から夏にかけて半年程度は
日本的な風情を堪能する「高級住宅」要件を実現していた。
というよりは、建築技術の問題として、
こういう雰囲気以外に、日本には「よき住宅」という概念がなかった。
左側の庭に対しては一面のガラス建具が障子の外にあるので、
それがかろうじて、室内の空気を外界から区切り、保持する装置。
こういう富豪の住宅でも、
建築技術者は、本州地域から「出稼ぎ」で来ていたのでしょうから、
この地に似合った高級住宅を創造する、という情熱は持てなかった。
半年は破綻する生活だけれど、
まぁいいや、という形で思考を放棄したものでしょうね。
今日でも、北海道の気候風土を考えたとは言い切れない建築が
「出稼ぎ的な建築技術者」が東京からやってきて、
たくさん建てられているのが現実。
それが「建築文化」だと言われれば、まぁしょうがないとも言えるけれど、
寒々しい家で耐えていかなければならないのはやや滑稽ではあります。
要は、こういう雰囲気の良さを
寒冷地的に活かして実現すればいいわけで、
それには、理解と知識、技術がどうしても必要なのですね。

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2009年05月01日

間取りのオープン化と階段

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階段っていうと、どんなイメージを持たれるでしょうか?
一般的にはひたすら機能性であって
「階段室」という区切られた壁の中を直線的に、あるいは回り込みながら
上下階をつなぐ、という役割を果たす存在。
日本の古い家屋では、けっこうな旧家でも
まるで「はしご」に近いようなものも散見される部位です。
一方では、欧米文化世界では
入り口を入ってすぐに優美な曲線を見せる「アップステアーズ」っていう雰囲気の
「見せる階段・装飾的な階段」っていうようなものもあります。
日本では構造強度的に2階建てというのはごく近年まで発展せず、
一方、欧米では木造がツーバイフォーで構造が安定して、
安心して2階建てを建てる建築文化が発展したので、
こういう「見せる階段」文化が生まれたものでしょうか?

で、最近、こういう流れとは違って、
間取りがオープン化してきて、
ある必然性を持って、階段が重要なファクターに変化してきていると感じます。
というのは居間の拡大傾向。
大型テレビの影響で居間が面積拡大し、
その分、他の部位を取り込みつつあって、
その流れから、「階段室」というような面積的ゆとり部分が
真っ先に目を付けられて、居間に取り込むという形が増えていると感じます。
で、そういうふうに変化してくると、
階段のデザインっていうのが、かなり問題になってくる。
写真は、十勝地方の高性能住宅の階段。
熱損失が究極的に少なくなってくると、
家中の仕切り壁というのも必要性がなくなってくるというか、
大きな一体空間の方が熱環境的に合理的なので、
勢い、階段が面白い位置を占めるようになります。
この家では、階段の半ば、踊り場がちょうど手前側・食堂に
面して配置されています。
「ごはんができたよ〜」
「は〜い、あ、きょうはカレーだ」
「そうよ、早く階段で止まっていないで、降りてきなさい(笑)」
みたいな、家族の会話にワンポイントが加わってくると思います。
食べるという行為が、より家族関係を円滑にする仕掛けになる。
階段の位置で、こんなライフデザイン変化が生まれてくる可能性がある。
動線と、ゾーン配置の変化が微妙な面白さを作り出すのではないでしょうか。
どうなっていくか、楽しみな部分だと思っています。

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2009年04月25日

緑と住まい

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写真は川崎市にある「日本民家園」でのもの。
日本の住宅は、都市部の賃貸住宅・長屋は別にして、
けっして短寿命なものではなく、
こんにちの行政機構が目指しているといわれる
「長期優良」なものとして、地方の農家住宅などで長く存続してきて、
多くの場合、数百年間、大切に使用され続けてきたものだといわれます。
それらは、研究すればするほどシンプルに
機能性と、性能を考えてきたものであり、
そういう「先人の知恵」が、DNA的にデザインマインドも支配して来ている。

家って、結局は「癒しの場」であり、
人間が癒される、っていうことにはやはり基本的なものが存在する。
そんな思いが段々強く感じられるようになっています。
写真のような光景、
みなさんも、きっと「どこかでみたことがある」
っていうように感じられないでしょうか?
こういう緑の額縁を通して、その先に日だまりのような空間が広がり
大きな屋根が差し掛かっていて、
ひとを包み込むような安心感を伝えてきている。
旅の中で、巡りあったときにすらこういう感情を抱けるのだから、
ましてや、こういう住まいがわが家であったとき、
その情緒性は、計り知れないくらい痛切なものになる。
こういう住まいに帰り着き、
乾きを癒し、飢えを癒し、ここちよい睡眠を得るときに
人間はこころのすみずみまで、癒されたと感受すると思う。

どうも、この写真の光景、
思わず写真に収めたものだったのですが、
繰り返し、見続けていて、
なんとも飽きずに見ていることができる光景なのですね。
やはり、緑と住まい、というものが決定的なのかも知れませんね。
「家と庭」と書いて、家庭と、よく言われますが、
単純にそういうことで、シンプルに考えればこうなる。
こういう基本要素を、どうやって現代の暮らしの中に
再構成していくべきなのか、
っていうのが、家づくりの目指すべきものなのでしょうね。

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2009年04月12日

マンションで漆喰塗り

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出張から帰ってきて、きのうも早朝から大忙し。
午後からの「建築家イベント」を前に
朝一番で、いまやっているマンションリフォームのメインイベント。
そうなんです、漆喰塗装仕上げをやるんです。
マンションといえば、ビニールクロスにカーペット仕上げというのが
定番だと思うのですが、
そういう既成観念を打破する工事をしたかった。
機能面で言えば、密閉性の高いコンクリート駆体のなかで
空気環境は、あまり考えられているとは言えないのがマンション。
構造は木造一戸建てとは違って、考慮のしようがないレディメード。
断熱も、外側でやりたいとなっても、
それはマンション自治会全体での取り組みにならざるを得ない。
ということで、区分所有のユーザーがマンションに手を加えるという場合は
水回り設備の更新くらいしかないと思われている。
なんとか建築的な感激をユーザーに感じてもらえる手はないか、
そんな考えで取り組んでみたひとつの答が、
この「漆喰の塗り壁」というものなのです。
まごうことなき、本物の質感を味わうことが出来る素材そのもの。
マンションという、どこか「仮設」的な生活装置に
一点だけでも、存在感のある、空気感を支配する
いわば、「沈黙を支配できる素材の世界」を演出できるとすれば、
やはり、圧倒的な量感をたたえる「本物の壁」しかないだろうと思った。
まぁ、言葉で言えばこんなことなんですが、
簡単に言って、静かにたたずんでいるときに、視線がなんとなくなごむような壁って、
結局、本物の素材しか、行き着かないんですね。
ビニールクロスの、陳腐な模様の壁だけを見つめていても
人間の心象風景に「質感を楽しむ」というこころが芽生えてこないのではないか。
どこか、そんな思いがするのですね。

きのうは、塗りむらの感じとか
オーナーさんに実体験もしてもらいたいと考えて
見ていただき、実際に塗ってもいただきました。
手応えのある漆喰自体の重量感も感じて、それが壁に仕上がっていくプロセスも
記憶の中にとどめていただくのですね。
よく塗り壁工事では、施主さんの手形があったり、こどもさんの足形があったりします。
こういう「手業」が残されている、というのも
ほかのどこでもない「特別な空間」としてのわが家、という意識を育む。

っていうことでしたが、
実はわたし自身が、いちばん、楽しい思いをしておりました(笑)。
いいんですよね、この「スイス漆喰」の壁って。
いやぁ、予想以上の「凛とした」壁、という印象を持てて、
まことに清々しい気持ちが立ち上っていました。
写真の壁面は大体、5m×3mくらいの壁なんですが、
そこに30kgくらいの漆喰が塗られるワケなんです。
よく「重量感のある壁」みたいな言い方をしますけれど、
本当に、それくらいの「重量物」が壁に加えられていくんです。
そういうことなので、下地としての壁も強度が考えられる必要がある。
前日までに、そういう下地処理も行っていただいておりました。

夕方、用事を片付けたあと、
ふたたびチェックしてきましたが、対面する2面の壁が
みごとに漆喰の穏やかな表情で出来上がっておりました。
なにかこう、グッとくだけてくるような雰囲気の空間を感じることが出来ます。
来週土曜日18日には、現場公開を考えています。
ぜひ、いい壁(笑)を感じていただければ、と思います。

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2009年04月02日

サスティナブル住宅賞発表

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(財)建築環境・省エネルギー機構っていう長い名前の
政府機構があります。
天下り団体といえば、その通りなんですが、
省エネルギーの推進という政策の上では役立っている団体。
略称で、IBECというように言われています。
ここでは毎年のように
「サスティナブル住宅賞」という省エネの観点を重視した
住宅の賞を発表しています。
なぜか、平成17年、18年と続いたのに19年がありませんでした。
どういう経緯だったのかは不明なんですが、
首都圏を基盤として、こういう住宅の情報を集める、
その作品性も論ずる、という場合、
応募作品そのものの数を集めるのに苦労する、という現実はあると思います。
東京の設計者は、やはりこのポイントについては
無理解な人が多い。
そういう部分に力を入れるよりも、
表面的なファッション的なデザインに傾注した方が
受注に結びつきやすい、ということが大きいのだと推察されます。
いわゆる、建築専門雑誌などでも、
温熱環境についてまったく顧慮していない
「スカッとした」デザインの住宅ばかり、
壁の薄さをことさらに強調するようなデザインが主流。
そういう環境の中では、断熱や気密、省エネを十分検討する、
っていうようなことは、野暮ったいと考えるのでしょうか。
北海道から見ていると、理解しがたいようなデザイン手法が
もてはやされていると感じます。

そんな状況で、応募を募るような動きが
新住協などに寄せられてきていました。
新住協は北海道を発祥とする高断熱高気密住宅の中心的運動体。
むしろ、これまで、どうしてアプローチがなかったんだろうと不思議なくらいでした。
ようやく、中央省庁からも、こういう動きが出てきたようですね。
で、平成20年度の受賞作品がめでたく発表された次第です。
グランプリは、新住協秋田支部の池田建築店が施工した住宅。
設計は、室蘭工業大学鎌田研究室と、西方設計さん。
Replan誌面では2年前くらいに取材、掲載した住宅で、
このブログでも、何回か、その様子をお伝えしています。
Q値が0.6レベルという最高水準のもので、
しかも日射熱取得について、非常に簡易な工夫でユニークな試みを行っている住宅です。

そのほかの作品も、JIA環境部会の、環境建築賞受賞作品が多く、
この新住協と、JIA環境部会のどちらか、という様相。
たぶん、IBECとしても、こういう運動体に期待を高めている、
という状況なのではないかと思われます。
今日の社会の状況の中で、環境的な建築というものに興味を持たない
そういう姿勢は、どうも同意しにくいと思っているのですが、
この賞などが、先鞭を付けていくようになってほしいものと思います。


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サスティナブル住宅賞発表

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(財)建築環境・省エネルギー機構っていう長い名前の
政府機構があります。
天下り団体といえば、その通りなんですが、
省エネルギーの推進という政策の上では役立っている団体。
略称で、IBECというように言われています。
ここでは毎年のように
「サスティナブル住宅賞」という省エネの観点を重視した
住宅の賞を発表しています。
なぜか、平成17年、18年と続いたのに19年がありませんでした。
どういう経緯だったのかは不明なんですが、
首都圏を基盤として、こういう住宅の情報を集める、
その作品性も論ずる、という場合、
応募作品そのものの数を集めるのに苦労する、という現実はあると思います。
東京の設計者は、やはりこのポイントについては
無理解な人が多い。
そういう部分に力を入れるよりも、
表面的なファッション的なデザインに傾注した方が
受注に結びつきやすい、ということが大きいのだと推察されます。
いわゆる、建築専門雑誌などでも、
温熱環境についてまったく顧慮していない
「スカッとした」デザインの住宅ばかり、
壁の薄さをことさらに強調するようなデザインが主流。
そういう環境の中では、断熱や気密、省エネを十分検討する、
っていうようなことは、野暮ったいと考えるのでしょうか。
北海道から見ていると、理解しがたいようなデザイン手法が
もてはやされていると感じます。

そんな状況で、応募を募るような動きが
新住協などに寄せられてきていました。
新住協は北海道を発祥とする高断熱高気密住宅の中心的運動体。
むしろ、これまで、どうしてアプローチがなかったんだろうと不思議なくらいでした。
ようやく、中央省庁からも、こういう動きが出てきたようですね。
で、平成20年度の受賞作品がめでたく発表された次第です。
グランプリは、新住協秋田支部の池田建築店が施工した住宅。
設計は、室蘭工業大学鎌田研究室と、西方設計さん。
Replan誌面では2年前くらいに取材、掲載した住宅で、
このブログでも、何回か、その様子をお伝えしています。
Q値が0.6レベルという最高水準のもので、
しかも日射熱取得について、非常に簡易な工夫でユニークな試みを行っている住宅です。

そのほかの作品も、JIA環境部会の、環境建築賞受賞作品が多く、
この新住協と、JIA環境部会のどちらか、という様相。
たぶん、IBECとしても、こういう運動体に期待を高めている、
という状況なのではないかと思われます。
今日の社会の状況の中で、環境的な建築というものに興味を持たない
そういう姿勢は、どうも同意しにくいと思っているのですが、
この賞などが、先鞭を付けていくようになってほしいものと思います。


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2009年03月27日

一体化した高性能窓・ブラインド

7604.jpg


先日の展示会で見かけた高性能窓です。
室蘭工業大学の鎌田先生もよく言われるのですが、
窓ガラスが3枚も使うようになって
断熱性能が向上しているのだから、
その内部に、ブラインドを入れ込んでしまえば、
最高の品質・性能・使い勝手をユーザーに提供できるはずだ、
っていうことですね。
ところが、たぶん、技術的にというよりも
マーケットに投入しても価格的な問題で投資に見合う需要を得られない
という判断が大きくて、
なかなか、踏み込むメーカーがなかったというところなんだと思います。
そんななかで、この商品は北米地域で発売されているもの。
扱っている建材店の方に聞いても、説明はイマイチわかりにくかったのですが、
コンセプト自体は大変明確。
この窓は、ガラスが2枚で、そのなかにブラインドが仕込まれていました。
このブラインドの使い勝手をよくしながら、
同時にペアガラスの密閉性を高める、というのが
開発上の最大のポイントなんだろうと推定できますが、
慣れないせいか、扱い方がちょっとわかりにくかったです。
わが家には、北欧製の窓が入っていますが、
施工した工務店の方は、見たこともない扱い金物だったので、
開き方を説明できなかったことがあります。
きっと、この窓も、実際に施工されたら、
そのあたりの商品説明が必要だろうと思います。

この窓を見学したあとになって、
先日、木製窓でペアガラス+内窓という構成の窓で、
真ん中に、ハニカムサーモスクリーンという
断熱ブラインドを仕込んだ窓の施工例を見ました。
現状で考えられる高性能を突き詰めていくと、理の当然でこうなる、
っていうような、そのものズバリの窓です。
価格的には確かに高くなっては行くのだけれど、
窓にぴったり、性能的にも似合ったカーテンシェードの役割も果たす。
日射遮蔽という意味あいもバッチリ。
そういう意味で、ユーザー側からすれば、すべて満たされた窓になるわけです。
家に外光を招き入れ、外部の風景を切り取って楽しみ、
しかも、室内の環境をがっちりと守ってくれる、完璧な窓なんですね。
そういう装置の安心感、っていうものは住宅への価値観の中で
けっこう大きい部分の価値なのではないかと思います。
少なくともプロのみなさんは
こういう装置への理解を持ってもらいたいと希望します。

ということで、ようやくWBC、終わることが出来ましたね(笑)。
ダルビッシュ君、ことしも一段と成長したピッチングを期待します。
ことし、わが北海道日本ハムファイターズは、けっこう進化しているのではないかと
密かに期待しております。
もうすぐ開幕ですが、札幌ではさっそくダルビッシュと岩隈の
対決という、どうやら点が入らなさそうな、1-0くらいの
しびれるような試合からスタートしそうです。
なによりこのふたりの対決なので、
パリーグの試合が、トップの扱いで始まりそうですね。
大いに期待しています。


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2009年03月26日

クルマに、住む

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さて、やっと落ち着いて住宅ネタに帰っていきたいと思います(笑)。
にしても、やっぱり熱狂しました。
野球は、日本の国技になって参りましたね。
これだけ多様化した社会で、多くの国民の大注目をこれだけ集めうるのは
やはり、野球くらいしかない。
終わってみると、世界中で野球がこれだけWBCに積極的に取り組んでいたのは
極東の2国とキューバなどの国だったのですね。
ことしの野球、シーズンも大いに盛り上がる予感がします。

さて、話題転換(笑)。
現代生活とクルマは、切っても切れない関係。
クルマって、本格的に発明登場してから
まだ、100年にもなっていないけれど、
世界を変えてしまったという意味では、ものすごい変化をもたらせた。
わたしの父親など、体が大手術ですっかり弱ってからでも、
ひょいひょいとクルマを運転しておりましたが、
「移動する」ということが、これほど直接的に実現できる機械って、
たしかに、人間を夢中にさせるものです。
それまでの社会のことって、一回変わり始めると忘れるものですが、
船が基本的な運搬手段だったのですね。
だから、発達した都市には運河網がきめ細かくネットワークされていた。
そういう好適地が、大都市としての基本属性を備えた存在だった。

道路網の整備と、クルマの増大が一体になって進んだのが
20世紀中葉以降の世界の基本的変化だった。
いまでは、全国に高速道路網が完備して、
移動が、実に簡便な社会が実現している。
エネルギーの問題はあるけれど、
その問題解決も、やはりクルマメーカーが主導する形で実現するように思われます。
ホンダと、トヨタのハイブリッド車の戦争が
今後のクルマ社会をリードしていくのは明らか。

住宅でも、いろいろにクルマは関係するのですが、
近いところでは、システムキッチンはクルマと競合関係にある、
っていうようなマーケティングデータなんてのもありました。
先日の住宅設備の展示会で、出展していたのがこの写真。
突き詰めていって、クルマに住むのかなぁ、っていうことなんですが、
どうも、説明が合点がいかなくて
わかったようで肝心のことがわからなかった展示でした。
集まってくるのは、住宅関係の事業者のみなさん。
それに対しての展示なのだから、
っていう前提で見ていて、どうも訴求ポイントが不明。
時間もないし、まぁ、いいや、いいじゃん、これ、
っていうような感じで見ておりました、実にいい加減な次第(笑)。
でも、「クルマに住む」って、
個人的に惹かれるものはありますね。
リプランでは、「コンパクト」という特集をやったのですが、
究極的には、こんなふうに暮らすって言うのも、
「茶室」という文化を持っている日本人としては、
悪くないと感じる部分ではないでしょうかね。
立って半畳、寝て一畳、移動できてミニバン暮らし。
っていうような、現代的「方丈記」の世界が見えてくる感じがいたします。
団塊の世代の、終の棲家のかたちとして、
こういう世界を実践する人たちが出てくるかも知れない、
という夢想を、ずっと持っているのですが、
どうなのでしょうね。


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2009年03月23日

沈黙するレンガ壁面

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先日の建築家住宅バス見学会より。
フーム空間計画・宮島豊さんの設計住宅の様子です。
台所の壁面って、一般的には脂汚れを拭き取りやすい白っぽいタイルが一般的。
なんですが、この家ではごらんのようなレンガ仕上げ。
宮島豊さんの住宅ではほぼこの仕様で、大好評ということ。
全体に落ち着きのある陰影感に満ちたインテリア空間が
特徴なんですが、
そういう雰囲気が、最近の「建築デザイン」の素材感に乏しい
壁の薄さを強調しているようなデザイン傾向とは一線を画しています。
で、そういう空間を、徹底的に機能性を強調しながら
建て主さんに説得するのです。
このレンガ壁面も大変理にかなっているのですが、
出来上がってみると、この質感がなかなかいい。
半割レンガをタイルのように張り込んでいく仕上げなんですね。
ざらざらとした質感が、ステンレスの台所機器と対比的で
インテリア的な納まりがシック。
よく聞くと、このレンガは、いわゆる「ハネ」品と呼ばれるもので、
野幌のレンガ工場でも製品出荷できないもの。
安価なものなんですが、でも、使い方で高級感を見せる。
お金の使い方、なかなかうまいなぁと感じます。

それにしても、最近の東京を中心とする建築家住宅の
「シンプルモダン」ぶりって、
ちょっと、どうなんだろうかと思われます。
住宅というのは、そこで成長する子どもの「こころ」を編み上げていくものだと思うのです。
子育ては「錦を織る」仕事なのだ、という言葉を聞きます。
さくらさくらんぼ保育の考えの基本のような言葉。
人が生きていくときに、こころの「襞」のようなものが
絶対に必要であり、他者への「思いやり」というような
暖かみのある人格形成に預かっているのではないかと思うのです。
そのように見てくるとき、
あくまでも白く、スカッと開放的で、壁の質感を否定しているような
デザイン空間って、どうも薄っぺらさを感じてしまう。
こういう空間で、「さめざめと泣く」っていうような成長期の貴重な体験を
いまの子どもたちは、得ることが出来るのだろうかと
つい、考え込んでしまうことが多いのです。

そんななかで、こういう質感を重視した空間作りを心がけている
住宅を見ていると、やはり安心できる。
こころに「沈黙」を得ることが出来る空間、っていうような
そんな感覚が迫ってきます。
みなさんいかが感じられるでしょうか。


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2009年03月16日

建築行政の制度設計ということ

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先日の東京出張でいちばん聞きたかった講演がこれでした。
野城智也先生という東大の建築の先生なのですが、
専攻は、建築を巡る社会システムの方なんですね。
建築にもそういう分野があるということを初めて知った次第ですが、
ちょうど、国が進めている「長期優良住宅」施策の基本を方向付けている中心メンバー。
こういう考え方が、長期優良ということの概念を規定している。

講演の内容は大変多岐にわたっているので、
時間を見て、しっかりまとめたいと思っています。
この講演の中で、大変面白かったのが、
日本の注文住宅である農家住宅は大変優良な長期優良住宅であるという点。
日本住宅の数量的な大部分を占める都市住宅は基本的に賃貸住宅であり、
確かに、構造的にも、社会システム的にも簡便な作られようで作られてきたけれど、
きわめて資産性を考えて作られてきた農家住宅は
基本的に数世代にわたって継承され、
大規模な修繕などの手も加えられながら、
数百年間の長きに渡って延命してきた建築ばかりであるとされていました。
まさに、言われるとおりだと同意できます。
日本の普通の考え方に木造建築のもろさ、みたいな誤解が
長くはびこっている気がします。
それは、度重なる都市圏での大火火災の経験が、
いわば、社会的な常識として、木造は燃える、
という安易な常識を形成してきたと言えるのだ、ということ。
そして、長期優良住宅を考えるには、
延命を担保する、社会的なシステムを設計することのほうが
建築自体の強度をどこまでも重装備にするよりも、
はるかに効果的であり、追求すべきである、という考えなのですね。

こうした考え方から、
究極的には、各戸に「住宅ID」を付与し、
その作られようが常に明確に把握できるように
建築を構成するいろいろな素材にICタグを埋め込んで
常にチェック可能にする、というような方向性を目指しているようなのです。
そのための「社会実験」は多様に取り組まれているようであり、
その様子も詳細に報告されていました。
わたしのブログでも、江戸中期の農家住宅の家屋記録保管を
ご紹介したことがありますが、
まさにそのような社会的なシステムが必要なのだと言うことですね。

ただし、江戸期には「家制度」が明確化して、
長子相続システムが基本的社会システムとして根付き、
権力の側でも、それを積極的規範として社会に強制した、
というような事実が大きかったと思います。
もし今日、長期優良住宅を社会システムとして考えるべきだというのであれば、
実は、この「家制度」という延命システムの代替制度創出まで
取り組んでいく必要があるのではないかと思われた次第です。
それは、民族的なレベルの同意形成が必要であり
単に、ICタグで解決出来る問題ではないのではないか、
根本的な問題に注目しながら、
そこから出てくる結論はどうにも目先的ではないのか、
というような思いが募ってきます。

いうまでもなく、今日社会では
結婚すら共通的な社会規範とは言えなくなっているような
「個人」を基本的な単位とした社会形成が行われており、
「家」の存続を、必ずしも保証するような社会システムではない。
端的に言えば、相続税を3代も払い続ければ資産がなくなるか、
きわめて中産階級的なレベルでしか「資産継承」が行われない、
という現実があります。
国としては、このような中産階級的な建築としての住宅を
「長期優良住宅」としてのレベルまで引き上げたいと考えているのか、
このあたり、どうも未消化ではないのかと思われたのが実際です。
みなさんは、どのように思われるでしょうかね。

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2009年03月12日

建材店の展示会

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きのうは初めて建材店・キムラさんの展示会というものに参加。
わたし自身のミニセミナーのようなものをやっていたのですが、
事前に打ち合わせはしていなかったので、
実際に行ってみると、かなり印象が違う展開。
かなり主催者側も忙しいと見えて、
プロジェクターの設置から、会場設営みたいなことも手作りで(笑)。
ということでしたが、まぁ、そこはなんとかクリア。
無事にプレゼンは終わらせることが出来ました。

その後は、建築関係の知人のみなさんがたくさん来たり、
来客のみなさんが引きも切らずに来られて、
時間があっという間に過ぎていく印象でした。
普段、これだけたくさんの人に会うことは
なかなか出来ないことなので、そういう意味では大変有意義。
北海道東北、東京など、
来場されるみなさんも全国各地域なので、
東北版でお世話になっている人も多く来ていただけた次第。
住宅雑誌として、こういう展示会に出展することに
あまりピンと来なかったのですが、
実際に出店してみると、たくさんの収穫がありました。
感謝の思い、しきり、というところ。
ある建材商社の方とは、ビジネス的な折衝まで浮かび上がって
すっかり意気投合したりしておりました。
ことしReplanでは実際の住宅建築プロセスに関与する活動を始めているので、
そういう意味で、建材の動向というものに
リアリティが出てきて、提案などのやりとりが具体的になっています。
こんど、ある建築現場を事例として利用して、
実験的な取り組みを行ってみようと考えた次第です。
より具体化したら、そのうち、ここで宣伝するかも知れません(笑)。

写真に使ったのは、ポリカーボネイトの断面模型。
先日の東京での建築建材展でも見かけたものですが、
札幌の会場でも出展しておりました。
ポリカーボネイト建材って、比較的初期から北海道の建築家グループが使い始め、
「北海道でも大丈夫なんだから」ということで、
全国的なブームに育っていった、という記憶があります。
ガルバリウム鋼板も似たような経緯があったと思います。
札幌がテストマーケティングの市場として利用される、ということがありますが、
建築材料の世界でも言えているのですね。
新しもの好き、っていうような北海道人気質(笑)なのでしょうか。

さて、本日もここでミニセミナーを行って、
その後、長期優良住宅の北海道の提案グループの総会が行われます。
リフォームの方の「北海道R住宅」は、提案主体者側なので
責任もある立場。なんとか初めての取り組みが成功するように
一生懸命取り組みたいと考えています。

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2009年03月11日

屋上緑化製品花盛り

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さてきょうも建築建材展からのご紹介。
温暖地では、夏の日射遮蔽対策が省エネの観点から考えても
大きな部分を占めるのは間違いがない。
建物の側では、屋根面の日射取得・高温化というのが問題。
それに対して、断熱は寒冷地よりも薄くてもいい、
というおかしな考えになっているので、小屋裏の熱気はすさまじく、
そういう暖気がずっと抜けないので、むしろ輻射的に夜間、室内温度を上昇させる。
厚めに断熱して、室内の空気の抜けを
きちんと立面的に考えて行く必要があると思うのですが、
絶対、そういうようには考えていかれません。
そういう建物の側の問題が解決しなければならないと思います。

そういう意味では、本体的な問題解決ではないけれど、
一方ではエコロジーブームに乗って、屋根面緑化は花盛り。
断熱的に考えても、土はすぐれた断熱素材なので、
期待できるし、芝の屋根は自然そのものの素材なので目に優しく、
四季それぞれで表情を変えていくという意味で、
飽きの来ない、優れた屋根材だと思います。
まぁ、コスト面の問題が解決されれば、普及は促進されるのでしょうが
どうなのでしょうか? 太陽光発電などには国からの補助金が
ふたたび考えられているようですが、
こっちの屋上緑化にはあまり政策的なバックアップはないようです。
屋上緑化のほうは、あまり産業育成につながらない
むしろ、太陽光発電の方が大企業もビジネステーマとして取り組みやすい、
っていうような事情が関わっているようにも思われます。
大いに普及が進んで欲しいものと思います。

さて、本日から2日間
札幌のアルファコートドーム(旧・産業共振会場)で、
建材店・キムラさんの展示会が開かれていまして、
その会場の片隅で、ミニセミナーをすることになっています。
テーマはこのブログタイトルそのまんまですが、
最近のパワーポイントデータで、どっちかというと
北海道の建築家デザインの紹介が大きいものを考えています。
会場では、わが社発行の雑誌も販売予定ですので、
ぜひお立ち寄り、お買い求めくださいますよう、お願いいたします(笑)。

そういえば、エコ住宅Q1.0が、最近、よくWEB注文をいただきます。
建築士、という雑誌で取り上げていただいたようで、
そうした影響のようです。
そのほかでも、関東地域で口コミが行き渡りつつあるようで、
いまはプロユースが中心のようですが、
北海道発の住宅技術、ぜひ広がっていって欲しいものと考えています。
どうぞよろしくお願いいたします。

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2009年03月10日

木の薄皮照明

7611.jpg

建築建材展から、照明のご紹介です。
照明のシェードって、実にいろいろあるものですね。
イサムノグチさんの照明って、日本的な提灯をそのまま照明に使って
一種の驚きを演出したものですが、
慣れてしまうと、なんとも日本人に似合っていて、
どうしてこれまでこういうデザインがなかったのか、
不思議な感じがします。

照明は、どっちかといえば北方の方がデザインを生み出しやすい。
北欧デザインの住宅内部空間で
照明の占めている位置は、きわめて重要。
というよりも、空間性の大部分を独占していると思います。
たくさんの名品があって、世界の市場できわめて大きな存在。
それって、やっぱり長い冬を過ごすうちに
室内のインテリアの重要性がきわめて高くなって、
そういう感受性の部分が大きく発達したと言うことでしょう。
なので、日本でも照明デザイン、
ぜひ北海道発のデザインが育って欲しいと思っているのですが、
まだなかなか、そういう機運は出てきていない。
でもこれからの「アジアの時代」のなかでは、
雪が降る文化レベルの高いアジア地域代表として、
北海道はかなりユニークな存在になっていく。
そう考えると、北海道がアジア人の納得できるデザインを生み出す可能性はある。
ぜひ北海道発の楽しい照明デザイン、期待したいと思います。

写真の照明,木を薄くスライスした薄皮で
自由な造形を生み出して、赤みの強い人肌にも似た雰囲気を実現しています。
紙よりも素材の質感が強く、
ある種、好き嫌いが別れるような気がします。
独特ではあるけれど、やはりもう少し、色合いが白っぽい方が
一般性があるように感じますね。
しかし、たとえば和室の照明としては使いようがあるかも知れません。
みなさん、どんな印象を持たれますかね。

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2009年03月09日

建築家と政官業の論理

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きょうの日経メディア・ケンプラッツを見ていたら、
「カプセルホテル」というビジネスを生み出したのは
建築家・黒川紀章である、という記事を見ました。
たぶん、こういうビジネスの部分って、
双方の思惑や、契約関係などを含めて情報公開されることはあまりないのでしょうが、
建築家と、企業論理とのコラボレーションを理解させてくれる。

先日セミナーで聞かせてもらった、
東大大学院の建築学教授の肩書きを持つ難波和彦さんの講演でも、
氏の「箱の家」シリーズが、
無印良品の家として販売されて行っている様子も聞けました。
建築家、というものの役割の大きな部分で、
こういうプロトタイプを示す、という役割が存在すると思います。
大学の先生らしく、基本的な住宅建築の4要素をまず、示して
その論理展開に沿って、自らの作品を紹介する、という
大変興味深く、しかもわかりやすいセミナーだったと思います。
東大の先生のセミナーをこの日はもう一つ聞けたのですが、
北海道のような遠隔地から来ると、
企業社会、官僚社会などの中枢部と、建築界の接点が見えにくい部分なのですが、
いろいろと示唆に富んでいて、
明示的なものばかりではなく、消息のような部分でも
よく伝わり、わかりやすく見えてくるものがありました。

アカデミズムと、建築行政の関わり合いの実態って、
次々と語られるさまざまな事例紹介から、ありありと実感できます。
アルミ工業界が実験的な取り組みとして
アルミ建材だけで作る住宅というテーマを提示し、
そのプロセスの内容をつまびらかに明かしていただいた内容では、
「そうか、こういうプロセスで進んでいくものなのか」
というように理解できた次第です。
東大工学部建築学科、という存在が政官業のトライアングルのなかで占めている位置が
示唆的に、あるいは明瞭な形で教えていただけた。

まぁ、セミナーの内容自体は別の機会にまとめたいのですが、
蓄熱素材としては「水」が最高の蓄熱素材である、
というくだりがあり、大いに目を見開かせられた次第です。
そのうえ、その水を建物にしまい込んでいくのに
NASAの部品供給企業からの協力を得て
素材を開発したのだそうです。
要するに建物に「湯たんぽ」を抱っこさせるような考え方なんですね。
こういう考え方が、現実的なのかどうかは別として、
東大工学部的には、こういうような考え方もするのだなぁと
そういう部分では、奥行きを感じさせられた次第です。

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2009年03月08日

古材ブーム商法

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いつの頃からか、は定かではないけれど、
古材の見直し・ブームというのが存在している。
店舗などでも、こういうブームが続いているので、
いろいろなお店で体験することも出来ますね。
たしかに、わたしなんかも弱い方で、
日本各地の古民家探訪をしているのは、
根底にそういうものへの強い思いがあるからなのでしょうね。

建築、それも住宅に人間が求めるものって、
いろいろあるとは思うのですが、
その基本には、外界から保護する、という機能があると思います。
それが人間の緊張を解きほぐして、
やすらぎの感情を刺激してくれる。
その基本的機能で考えたら、
家を構成する空間性のなかに、そういう部分を刺激する素材に
仮託するような思いが出てくるのは自然。
そうした感情を受け止めてくれるのが、古びた素材。
やはり、歳月を経た木質の醸し出す味わいは、
ちょうど人間の感情のひだにぴったりとハマっている。
きっとそういうものだろうと考えられます。
まぁ、デザインを超越するような生物的癒し空間。

そんな空間性が、わたしたちの現在の置かれた状況の中で
輝きを増している側面があるのでしょうね。
建築建材展でも、こうした古材のビジネスがいろいろ展示されておりました。
主に北米からの材料の、「Vintage」建材とかもありました。
で、面白かった展示がこちらで、
これは東南アジア各国で古材を集めてきました、っていうもの。
もちろん現地では、こういう素材への価値観はそう大きくはないので、
たぶん、二束三文で購入してくるに相違ない(笑)。
聞いてみると、
現地で建築丸ごと買い取って解体して持ってくるのだそうですが、
ひとつひとつの建材は、規格が揃っているとは言い難く、
断面の大きさも、長さもバラバラなんだそうです。
でも、日本のほぞ組みのような仕口も見られます。
まぁ、いろいろに考えて商売をしているものと感心しますね(笑)。

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2009年03月06日

店頭ディスプレー新技術

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きのうは、超多忙なスケジュール。
北海道から来るので、どうしてもスケジュールを欲張る。
前から行きたかった、「歴史民族博物館」に午前中。
午後からは、本来の取材の「建築建材展」ビッグサイト。
っていうように考えました、が・・・。
なんと、「歴史民族博物館」って、千葉県の佐倉市にあるんですね。
国のこういう施設なので、首都圏に分散配置しようと
考えるって言うのは理解できるんですが・・・。
なんとも遠い!
朝一番で7時過ぎに都内中心部のホテルを出て
都営地下鉄浅草線〜京成線っていう乗り継ぎなんですが、
到着したのは、約2時間後。
で、京成佐倉駅からもバス利用くらいしかない。
おとなしく従って参りましたが、
開館時間は9時半で、まぁ、ほぼその時間なんです。
ところが、折悪しく正面前は工事中とかで、入場するために
大きく迂回しなければならない。
ふ〜やれやれ、で、ございました。
展示内容は、もう、歴史大好き人間としてはチョー感激。
このブログでも、いろいろ、ご紹介していきたいところですが、
まぁ、内容が凄すぎて、筆舌に尽くしがたい。
場内をぐるっと見て回るだけで3km以上歩くことになるということ。
なんとか、予定通り午前中駆け足で見て回りましたが、
とても後ろ髪引かれる思い。
で、帰りはまったく足がない状態。
事前に12:05京成佐倉発でのルートを考えていた時間にギリギリ。
来ないタクシーを・・・。
っていうことでしたが、なんとか間に合って、
そこから京成船橋でいったん、JR線に乗り換えるのですが、
これがまったく連結していない。
いったん外に出て、5分以上歩かなければならないし、
案内がわかりにくい、というか工事中なので不完全案内なんですね。
さらに船橋から一駅で、こんどは西船橋で乗り換えで武蔵野線。
新木場まで出て、そこから「りんかい線」にふたたび乗り換え。
都合4回、乗り換えるという、北海道から来た旅人には綱渡り日程。
ほぼ全部、初めていく場所なんですね。
まぁ、比較的方向音痴ではなくて、カンはまぁ、いいほうなので、
無事、「国際展示場」駅に到着いたしました。
で、ビッグサイトでは凄い歩くので、
荷物を駅でコインロッカーに入れて取材に向かいました。

って、これまた、「プレス受付」場所が、
チョーわかりにくい場所に・・・。
ふ〜やれやれ、で、ようやく取材開始となった次第です。
というあたりまでで、本日アップ分はタイムアウトみたいですね(笑)。
写真は、会場に入ってすぐに迎えてくれたブースのお姉さん。
・・・って思ったら、なんか違う・・・。
そうなんです、この映像動画、背面のプロジェクターから映写されているんです。
このお姉さんの人形型に切り取ってガラス面に接着した
特殊な透明フィルム画面に投射されたものだったのです。
広告の冬の時代ですが、
店頭ポップで、こういうので、しかも
有名俳優さんとかタレントさんとかが、商品説明をしたりすれば
店頭ディスプレーとしては、確かに画期的なものでしょうね。

っていうような、取材の様子はゆっくりと
これから、ご案内していきたいと考えています。
にしても、会場でも3kmくらいは歩いているし、
その前後の歩く時間も多かったので、
きのう一日で、12〜3kmは、軽く突破していると思います(笑)。
それも重い荷物を背負って・・・。
いや、東京に来ると、本当に健康にいい。
運動不足解消には、東京出張を。オススメです、ふ〜やれやれ・・・。


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2009年03月03日

ガラスのない時代の窓

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写真は、日本の建築としては壁が重装備な
「蔵」の開口部の様子です。
建てられているのは、北海道余市。
日本海側の海岸沿いに点在したニシン漁の網元の建築。
江戸から明治に掛けて、
北海道で獲れたニシンは、それでひとつの産業構造を形成するような
大きな素材資源産業だったので、現地にいる経営者というのは
大きく言えば、日本最先端の産業人だったわけです。
なので、遺されている建築も豪勢なものが多い。
その時代の建築技術でも、かなりの水準の仕事が残っているのだろうと
考えられますね。

で、窓なワケですね、本日は。
この建物はまぁ、100年は経過している建物を修復復元したもの。
ガラスが導入されていたのかどうか、
この建物の年代特定まではわからないのですが、
ここでは窓にガラスが使われていない。
で、心理的結界装置としては、なぜか木組み格子が使われています。
京都の町家でも、このような形式が取られている。

京町家に特徴的な格子。接道部に用いられる。光を採り入れ、中からは外が見えるが外からは中が見えにくい。ガラスの登場により衰退しつつある。
多くは、紅殻(べんがら)と呼ばれる酸化第二鉄(赤サビ)を主成分とした粉末にエゴマ油などを混ぜて塗られているため、紅殻格子とも呼ばれる。紅殻には防腐、防虫効果がある。顔料の紅殻(紅柄、弁柄)は、産地であるインド北東部の地名ベンガルに因んでいる。
格子の形は構造、形態、職業などによって分類できる。(Wikkipedia)

っていうことなのですが、
通風を確保しながら、泥棒などの侵入を防ぐ装置なのでしょう。
町家などでは、対泥棒の要素が大きいのでしょうが、
ここでは外側に更に鎧戸が設けられているので、
そこまでは必要ないけれど、
湿気を逃がすときに開口させる時間の防犯というのが要件だったと思います。
開閉装置は、このような鎧戸のように
観音開きが多く、建具としての造作仕事のレベルも高かったと思われます。
ここではこういう状態で仕上がりですが、
居住用の住宅では、光を透過して取り入れるために
さらに内側に障子建具を配するのが一般的。
まぁ、ガラスの代わりに紙を使っていた。
いずれにせよ、建具職人の仕事が非常に多く、
まさに手業の世界が豊かに広がっていたのですね。

現代では、自由に工業製品となったサッシが使われ、
比較的安価に窓が造作されていくわけですが、
先人たちの窓への思いと比べて、
たぶん、希薄な思いのまま、無感動に窓を考えていると思います。
こういう時代のことを考えてみたら、
窓の開け方とか、
もっと深く大切に考えてみたいと思ってしまうものです。


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2009年01月27日

住宅の記録保管

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最近、住宅相談を受けた方で、
鉄骨造の住宅のリフォームのご相談がありました。
聞くと、一度ある業者さんに相談した際に建築の図面を渡したのですが、
その後、その業者さんが倒産して
図面も行方不明になってしまったという、お気の毒なケース。
寒くてたまらない家、ということで、
困っていて、リフォームしたい。けれど、
相談するにも、特殊な構造なので図面がなければ、頼まれる方も困る、
というような事例でした。
何人かの建築家のみなさんと相談されて、
一定の方向性が出たようでした、が、
結構、こういうケースは多いものなんですね。
というか、経緯はどうであれ、図面保管がなされていない家は多い。
場合によっては、中古で買っても図面がないというのもある。
これまで、そういう決まりが社会的に存在していないので、
それでも中古売買が成立してきたとも言えます。

国でも、ようやく今回の超長期住宅政策で、
こういう問題の重要度を追認してきていて、
「記録の保管」方法に対して、啓蒙する方向にはなってきたようです。
こういう国の施策をリードしてきているのが北海道。
北海道では、かねてから「北方型住宅」の基準の中で、
インターネット上で記録を入力させて、北海道が責任を持って保管する、
というシステムを稼働させています。
地域自治体という、存続可能な社会組織が責任を持って記録を保持します、
ということなのです。
これに対して、国レベルのものでは、大手ハウスメーカーに
保管責任を持たせる。というような考え方になっているようです。
しかし、これでは、その会社が倒産したり、なくなった段階で
大変な社会混乱が生じてしまいます。
企業による「顧客囲い込み戦略」に国が協力するという結果しか生まない。
そういうことなので、さっぱり記録保管が進まない。
悲しいけれど、こういうのが現状なんですね。
北海道の「北方型住宅」の場合には、
建築途中の、たとえば「断熱施行」状況の確認、というものでも
写真としても証拠が保管されたりしているのです。
こうした安心感というのは、ユーザーにとって心強い。

写真は、江戸中期の住宅の記録古文書。
昔の農家住宅で大型のものは、資産価値も高く、
その記録はしっかりと「家宝」のように保管されてきて、
そういうものを「家督」相続という、責任の所在の明確化のなかに組み込んでもいた。
いわば責任感を相伝するようなシステムがあったのですね。
しっかり見ていくと、実に豊富な記録になっていて、
この時点の建築工事が「増築建て替え」であった事実がつまびらかになり、
しかも構造材の種類や材質といった基本的なことから、
誰々が、どのように支援してくれたのか、まで具体的に表記されている。
有力者は材料をプレゼントしてくれたり、
貧しい人も、労働奉仕してくれたり、工事中の職人のための食事の素材提供など、
まことに豊かな社会関係・システムが
こうした「普請」には、ぎっしり詰め込まれていた様が見て取れます。

現状と、こういう江戸期の知恵を見比べて、
さて、いまは進歩しているのかどうか、
考えさせられてなりません。う〜む。

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2009年01月14日

屋根と雪

7554.jpg

散歩を復活させると、
いろいろと発見があって面白い。
住宅街なので、屋根のかたちもさまざまな住宅を見ることができます。
写真は、大きな傾斜屋根の和風住宅の軒先。
本州以南地域ではこういう屋根が多いのですが、
北海道では、こういう屋根はむしろ少数派でしょうか。
傾斜が緩くて、軒が出ているというタイプ。
和風の住宅には多い屋根でしょうね。
問題になるのは、雪庇。
写真でも、大きく張り出してきていますね。
この家の場合は、雪が落ちるのは自分の家の庭なので、
特段の問題ではないのですが、
もしこれが道路に面している場合には、
屋根面の「表層雪崩」や、雪庇の落雪が
通りがかりの人を襲う、という事件が発生する場合があります。
屋根の掛け方は隣家や、地域の条件によって、
傾斜の方向はさまざまになりますが、
場合によってはやむを得ず、道路側に傾斜させなければならなくもなる。
そこでこういう心配が発生するのですね。

また、この家では、
軒先に氷柱ができてはいませんでしたが、
断熱欠損があるケースでは、「すがもれ」現象で、固い雪になるときがあり、
危険のレベルが上がってしまいます。
雪庇は、そのときの気象条件で「成長」します。
季節風のふき方加減で、
雪が供給されることもあるのですね。
そして、この問題は、こうした落雪屋根ばかりでなく、
フラットな屋根でも、雪庇の問題が発生しているのです。
まだ今年の冬には、一度くらいしか発生していませんが、
激しい吹雪と北東風がいっしょになると、
南東側に大きな雪庇が、札幌の住宅地では、大きな問題になります。
軒から1mちかく張り出すというのもめずらしくはない。
こうなると、モンスター(笑)。
って、こわいんですよね、けっこうこれが。
わが社でも、社屋でこの問題が発生したので、
軒側に融雪の工夫をしまして、ことしはみごと一発で落とせました。
で、落とせたら、融雪電源をすぐにシャットしなければならない。
ほうっておくと、融けすぎて融雪水が軒先側に流れ、
氷結しかねないのです。
まことに、北国の雪問題は、奥の深い世界でして(笑)
なかなか一筋縄ではいかないのであります・・・・。

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2009年01月08日

禅宗寺院の庭園

7531.jpg

写真は、鎌倉期の北条一族が武家の都・鎌倉に招聘した禅宗寺院・建長寺の庭園。
日本の権力というのは、その権力の示威として
宗教的建築に力を傾注する、というのが一般的。
それは圧伏させるためのひとつの重要な要素なのでしょうか?
なぜなんでしょうね?
権力というのは、握るまでは暴力装置の強弱が決定的。
ただ、それが強ければ持つのか、といえば、
やはり安定的に権力を維持するためには世界観の提示が欠かせないのか。
人々の暮らしが、その権力に追随していくためには
そういう価値観の共有が必要とされるようになるのか。
仏教が日本に導入されるようになった時代的な背景はよく見える。
当時はアジア世界で、中国に強大なスーパー超大国が出現して、
その成立を可能にしたシステムとしての官僚制や
支配思想としての仏教という現実があって、
それを早くから取り入れた新羅国家の成功、という事例が存在した。
朝鮮半島と日本列島の社会は
分かちがたく関係の強い社会だったので、
そうした衝撃は強烈で、強い権力基盤に天皇制を押し上げたいと考えた勢力が
積極的に仏教システムを導入した。
それが東大寺を造り、全国に国分寺を造り、
というかたちで、暴力的強制力と同時に、宗教的権威もあわせて追求してきた。

で、この建長寺造営の目的は、
王朝国家から権力を奪った武家権力の宗教施設だということ。
建長という寺号自体、その年号をそのまま使ったそうですから、
まさに国家としての事業であったのですね。
で、庭園であります。
前時代の宗教的施設といえば、たぶん、関白家藤原氏の造営した宇治の平等院鳳凰堂
もしくは、別国家ともいえる平泉の宗教施設群になるでしょう。
そういう施設の庭園は、浄土庭園が一般的。
それへの対抗心からか、
中国でも隆盛を極めていた禅宗の僧侶を輸入して、
いわば「最高の禅宗寺院」を造営しようと考えたと思います。
なんですが、この庭園、どうも迫力がいまひとつのような気がします。
この寺の開山の和尚さん、蘭渓道隆さんという方ですが、
中国人で、ほかでは甲府に一時いたことがあって
そこでは、山の斜面に龍門漠の枯れ岩滝組をもつ池泉観賞式の
素晴らしい庭園を造作したということなのだそうですが、
どうもこの庭園は、前時代の臨池式の優美さを意識したような
ちょっと中間的な印象を持ちました。
禅宗の庭園って、後の時代になると龍安寺石庭というような展開になって、
まさにわれわれが抱く、強烈な精神性にいたるのですが、
まだ、そういうところまでは表現が至っていない時代性を表しているのでしょうか。
どうも、そんな印象を持った次第でした。

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2009年01月06日

町割り

7536.jpg

写真は江戸期から続くある宿場町の町割の様子。
航空写真と、マップです。
日本の都市計画は、京都の町割りが基本になって、
間口が狭く、奥行きが長い「町家」形式の住居形式が
都市住宅の基本プランになっていました。
そういう形式が、独特の日本的な情感を育ててきた部分があると思います。
隣家と壁一枚を隔てて、場合によっては「共有」して
生活していくことから、「他者を思いやる」
「他人に迷惑を掛けない」というような隣人関係についてのマナーが
育っていた部分があったと思います。
それが子育て上でも、しつけの基本を構成していた部分もある。
作法やマナーの多くで、こういう住居構造が預かっている部分は多いと思います。
こういう町割りでは、公共的な部分としての道路の面積が少なくて済む。
道路が1本あれば、町を構成することが出来る。
ただし、これがすべて木造で造られれば、
瞬く間に火が回って、防火対策上は難しくなる。
また、言うまでもなく、クルマ社会的には対応がきわめて難しくなる。

このようなメリット、デメリットがあるわけですが、
戦後以降、現在の町割りでは、こういう形式が取られることはない。
都市集住という意味では、こういう町家住居に一番近いと思われるのは
マンションではないかと思うのですが、
住み方のエチケットについて、こういう町家の知恵は顧みられることがない。
木造か、コンクリートか、の違いが決定的なのか、
それほどマナーというものに価値観を誰も見いださないようです。
いや、初期のマンションにはそれなりの「常識」が生きていたけれど、
日本人の常識の方が、時代とともに変化してしまったのか、
今日の「隣人騒音問題」に、この生活倫理問題が集約されている気がします。

どんどん進展する個人主義が
社会的制約との間で、緊張関係が高まってきて、
人口都市集中の進展とあいまって、
極限化してきているのかも知れません。

どちらのほうが、「文化的」な暮らし方」であるのか、
もうちょっと時間が経過しないと、
評価は難しいのではないかと、思われてなりません。

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2009年01月02日

暖房の歴史

7542.jpg

写真は昭和年代とおぼしき石炭ストーブ。
昭和といっても、たぶん、初期、戦争前くらいに流通していたものと思います。
でも、わたしたち北海道に暮らすものにとって
ストーブくらい、身近に思うものもない。
当たり前ですが、暖房は冷房とは違う。
そこに命の切実さがあって、
「快適性」というような範疇とはやや距離感がある。
冷房は、暑さから快適なクールダウンを求めるものであって、
そこには命の切実感はない。

暖房は、まさに人の命に関わる装備であって
基本的な「権利」とも似通った部分を感じさせる。
北海道に日本人が大量移住を始めてから140年ほど。
この間の1/3くらいの時間をわたしも生きてきているわけですが、
そのなかですら、暖房については多くの変遷があった。
もちろん、それ以前の石器・縄文・檫文・アイヌ期といった
「いろり」暖房の時代もあったのですが、
家屋が日本スタイルの平地式の木造家屋が主流になってから
ストーブと煙突の暖房形式が一般化した。
熱源は大量に採掘された石炭。
ニシンなどの採集型・略奪型経済が衰えを見せ始めると前後して、
同じような経済原理の石炭採掘が活発化する。
さかんに採掘された石炭は、ずいぶん低価格で流通していたような気がする。
産炭地であり、暖房が不可欠な地域として
価格も抑えられていたような記憶がある。
札幌でも、どの家にも「石炭小屋」という収蔵装置が併置され、
家屋内部に小分けされて運ばれて、
この写真のようなストーブに「くべられた」。

その石炭ストーブも、
石炭産業の衰退とともに、石油ストーブに変化して、
石炭小屋は、石油タンクに変貌していった。
開放型の石油ストーブから、FF式の石油ストーブへ進化し、
温風対流型が一世を風靡したかと思うと、
その空気汚染が問題とされて、だんだん輻射式暖房に移行する。
パネルヒーターを持ったセントラルヒーティングが普及してくる。
さらに建物の高性能化が進んで、
深夜電力を利用した電気蓄熱暖房が普及する。
こんにち、エネルギー価格の不安定さを反映して、
空気熱源式や地中熱などのヒートポンプ、燃料電池などの
新エネルギーによる暖房革新も近づいている。
そういう意味では暖房熱源は変化するのが当たり前で、
世代交代は至極、当然のようにおこなわれてきた。

暖房はこれからも形を変えていくと思いますね。
ひるがえって、車のエネルギー源は開発当初からずっと石油。
いま、世界の金融危機からはじまって、
車経済が大きな曲がり角を迎えているけれど、
やはり大胆に、エネルギーを乗り換えることで
革新させる方向に向かう必要があるのでしょうね。
暖房の歴史を簡単に見ても、必ず実現可能なことだと思えます。


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2008年12月30日

旗地への導入装置

7535.jpg

写真は、鎌倉の鶴岡八幡宮への裏参道に面していたそば屋さんです。
旧市街地らしく、この裏参道では間口が狭く、
奥行きが長い、いわゆる「町家」形式の土地割りになっている。
こういう土地割りでは、やむなく「旗地」といわれるタイプが登場する。
広めの敷地を確保しようとしたら、
どうしても間口を犠牲にして、
通りから離れた奥に敷地を確保することになる。
必然的に長い通路専用の細長い土地が出来上がる。
で、商売をやろうと考えたら、
どうやってひとを、「その気にさせて」引き込んでくるか、
が、勝負の分かれ目になる。
というような興味を持って、この敷地割りを見ていました。
まず、出入り口にはわざわざ、木の門を設けて、
床も結界を表すように、大谷石のような独特の風合いの石を敷き込む。
そこから、まっすぐに白茶けた土の踏み込まれた道。
素材はなんでしょうか、たぶん、吸湿性がよくてドロドロになりにくい
そんな種類の土なんだろうと想像される土でしょうね。
あんまり見ることのない種類だなぁとは思われました。
この石と土の色と風合いのコントラストがなかなかいい。
で、それを際だたせるように、
右側には低く刈り込まれた垣根植栽。
左側には、変化を付けるかのようにところどころ、高い植栽。
右側の壁は、隣地との境界の板塀。
まぁ、これもいろいろなデザインの組み上げ方で
目に印象的なように造作されている。
一方左側は、隣地の店舗の壁やらを表していて、
変化に富んでいる。
土と植栽の境界には丸太が使われていて、これも
「ん、あれ、なんだろう?」と思わせるには効果的。
門の上部には鄙びた電球照明がしつらえられて、
暗い背景の中で、効果的なあんどん効果。

っていうような導入装置が工夫されていました。
正直に言って、
通り過ぎようとは思ったのですが、
一度、振り向いて、寄らずに行こうと思ったのですが、
やはり、そこはかとなく心が誘惑されて、
戻って、この道を踏みしめて中に入っていった次第。
門の前には、お品書きもあって、そば店であることはわかりました。
さて、繁盛しているのかなぁ、という興味ですね。
で、これがみごとな高級そば店としてにぎわっている。
まぁ、味はこの場合、興味の外でして、
建物をしげしげと観察させられました。
これもやはり、茶室があるなど、
結構な構えでして、ふむふむと納得させられました。

こういうところに、
時間を掛けて工夫を重ねてきた部分が感じられて、
いわば、日本の、というか「内地」の建築文化の奥行きを感じさせられるわけですね。
昼時、一本取られた思いをしながら、のど越しの良さを楽しんだ時間でした。

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2008年12月29日

外断熱の行方

7537.jpg

写真は、ある「外断熱」系のビルダーさんの
より高性能タイプ住宅の壁断熱模型。
Q値が1.0を切る方向になってくると、
必然的に外(貼り)断熱の板状断熱材を厚くする方向から
空洞になっている壁の中にグラスウールを充填する方向へのチェンジが明確になってくる。
板状断熱材をこれまで以上に厚くすると、
第1にコストアップが大きくなることと、
同時に、壁材の保持がより厳しくなってくることが
こういう傾向を強めるのですね。
で、このビルダーさんの場合には、
もともと充填断熱についての技術知識を十分に持っていたので
なんの問題もなく対応できているのですが、
場合によっては、どうすべきか、方向性が見えなくなるビルダーさんもいる。
関東地域では、これまで次世代省エネ基準がQ値で2.7だったのが、
来年早々の改正で、1.9になるということ。
これまで「次世代対応」ということで謳っていたのが、
これまでと同じ対応では厳しくなってくるのですね。
実際に、こうした動きは顕在化していて、
「外断熱」ということで、高額な施工単価でも受注できるビルダーはいいけれど、
そうでもないビルダーさんは、なんとか施工単価を下げるために
充填断熱での高性能住宅ノウハウを
模索しはじめている現実があります。
そこに、この基準の改正があって、方向性が見えてくる可能性があります。
とくに景気の動向がここまで不透明になってくると
単価の下落は避けられないし、
一方では高性能化は、環境の観点からも大きく迫られてくるテーマ。

ことし年末に、FP工法のメーカーさんが行き詰まりましたが、
すぐに外壁材の全国メーカーさんが再建協賛スポンサーとして
名乗りを上げたのには、このような業界事情が内在していると思われます。
今後のマーケットの推移が注目されるところです。

さて、本日もまだ仕事が続いています。
まぁ、しょうがありませんね。
ことしは、まだまだ終わりません(笑)、頑張りましょう!ではでは。

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2008年12月27日

外壁の芸術

7530.jpg


いやはや、この冬一番という大嵐がやってきましたね。
一昨日夜から、ずっと2日間くらい、
猛烈な状態が続いておりました。朝早くから雪対策です。
石油ボイラーによるロードヒーティングを敷設している
会社の方の駐車場はやむなくスイッチオン。
しかし、積雪がすでに15cmほどは進んでいたので、
4WD車で圧雪させたりして、気長に融雪を待とうとしておりましたが、
なんと夕方になって気付くと、電源コンセントが脱落していたこと、判明・・・・。
まぁ、日中の積雪はそうは多くなかったので、まぁいいか、と。
きのうの降り方は完全に「ブリザード」状態でして、
昼間、車のライトを付けて車道に出ても5m先が見えない状態。
降る、というよりは「吹きすさぶ」という状態でしたね。
しかし、そのほかにも歩道部分の除雪作業もしなければなりません。
取り急ぎ、応急的に通路を確保させて、
あとは出てきたスタッフに任せることにして、今度は自宅。
一応、ロードヒーティング設備はあるのだけれど、
やっぱり、ここ2〜3年前くらいから、反省して手作業除雪のみにしています。
ということで、広大なスペースの除雪作業。

そういう作業が断続しておりましたが、
日中は、今年最後の出社日なのでなにくれと忙しい。
この大雪を押してアポイント時間前に来てくださった来客の方に聞くと
市内の幹線道路で、倒木被害で渋滞も発生しているとか。
そのほか、電線の被害もあって停電も多発したようです。
まぁ、冬らしくていい、とも言えますが、
本当に厳しい状況の今年を反映した最終日でした。

ということで、今朝、ふたたび除雪作業。
まぁ、ようやくにして、嵐は去った様子で、
写真を撮影しようか、というゆとりも出てきた次第です(笑)。
今朝のわが家の外壁の様子です。
角波鉄板を使っている部分は、とくに面白い雪の付着の仕方。
まるで、遅れてきた絵描きサンタさんが
置きみやげにしていったような、すさまじい、というか
自然の造形というか、
なんとも楽しい絵が、あちこちの家に描かれております。
でもやっぱり、サイディングの住宅はこういうなかでも味気ない。
自然な素材の持つ、凹凸や陰影が自然条件を映し出しているのに対して
なんとも無機質な表情で、つらっとしていて、
とりとめも、印象もない・・・、むむむ。
その土地の自然の移ろいを、感受させる要素というのは、
やっぱり不可欠のような気がしますが、さてどうでしょうかね。


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2008年12月24日

デザイン炊飯かまど_2

7528.jpg

どうも、かまどという台所装置を見ると
つい、目が点になっていく。
写真は昨年取材した宮城県の古民家再生の住宅で見たもの。
これも実に立派なんですよね。
床に近い部分は、まるで家具のように重厚な木で仕上げられている。
かまど自体は土で塗り固められて造作されたようです。

この家は、仙台伊達藩の大きな輸出(といっても江戸への)品であった、
寒冷地木材、杉や松といった針葉樹構造材を管理していた家柄。
そうした家格が維持され、いまに至るも
そういう家業を意識しながら暮らしている、というあたり、
北海道から取材に来ると、絶句してしまう部分なのですが、
そういう家の伝統のようなものから
使われている素材は、立派な材がふんだんに使われておりました。

そんな家格に見合うような「かまど」という
意識もきっとあったのでしょうね。
江戸期から続いている家ですが、
このかまどは明治の頃のものだそうです。
明治とは言っても、こういう技術の世界では継続性が高かったでしょうから、
江戸期から、このようなデザイン性を強調した
まるで、システムキッチンのような仕上げが意識的に存在していたのだろうと思います。
このように考えると、網野善彦さんの書かれる常民史のような世界の
暮らしの道具の歴史的変遷というものも見えてくる。

生活道具の中で、
命をつなぐという意味で、もっとも精神性が込められそうなのも
やはりかまどということになるのだと思います。
お米を炊く、というのは精神を込める、というようなこころの動きがあると思うのです。
この写真のかまども、今回の再生工事がきっかけで、
きれいに磨き込んでみたのだそうですが、
それまではただ黒いだけの飯炊き装置そのものだったのが、
このように仕上げてみたら、一級工芸品的な輝きを見せて、
施主さん自身もびっくりしたと言うことなのだそうです(笑)。
なかなか、奥行きの深そうな世界がかいま見えますね。

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2008年12月19日

天然ガスの「面的利用」

7524.jpg

天然ガスはわかる。
自然エネルギーであって、クリーン性はきわめて高いエネルギー。
でも、「面的利用」ってなに?
面倒なのかなぁ(笑)、などとダジャレも頭に浮かびつつ、
パネリストにJIA出江会長や、北海道の建築家・中山真琴さん、
札幌出身で商業建築などの作品の多い笹森則次さんなどの名前を見て
急な知らせでしたが、「報道席」にて見てきました。
あ、要件を書いていませんね(笑)。
どうもガス会社の関係で国から既存街区のビル建築などで
エネルギーを天然ガスに転換して、
2以上の建築物のエネルギーを共用するようなプロジェクトに対して
補助金が出ることになったそうで、
その全国的啓発として、まずは札幌でセミナーを開催することになったのだそうです。
まぁ、街づくりというようなテーマに関わることから、
JIAのみなさんに声がかかって、こういうセミナーとなったようですね。
ううむ、どうも背景説明がかなり、こんがらかっていますね〜。

JIA出江会長のご意見は何回か、聞いておりまして、
あのご意見と、今回のこの補助金のお話しがどうつながるものか、
まぁ、こっちは気楽な立場ですので
講演セミナーを「取材」させていただいた次第です。
小型のコージェネに対して補助金が出ることになりました。
なんと、設計料に対しても1/3の補助金が出ますよ、ということ。
JIA出江会長からは文化の面からの街づくりへの基調的な提言がありました。
珠玉のような力とイマジネーションのある言葉が
つぎつぎと氏の語り口からは飛び出してきます。
まことにその通りと頷けるようなお話しばかり。
やはり、選挙で戦ってJIAの会長職に着いただけに、旬を感じさせる
ひととしての迫力のようなものを感じずにはいられません。

一方、札幌地元の2人の設計者からは
そういう提言と深く同意するようなお話しが聞かれました。
お話しの総括としては、
セミナーのテーマとはどうなんだろうとは思ったのですが、
やはり美しく愛着を深く持てる街とはどう作るべきであるのか、
ということに集約されていたように思います。
建築家のセミナーなので、当然の成り行きですね。
中山さんからは
バルセロナの街の市長さんの奮闘ぶりが報告されていました。
結局、よい街を作っていこうと考えれば、
一建築家だけの範疇は超えてしまう部分なのでしょう。
このあたり、現実はなかなか難しいですね。
出江会長の、「本物の素材を使うべきだ」という考えはまったく同意するのですが、
そういう素材を使えないようにしているのは
「防火基準による材料の規制」が結果しているのは明らか。
燃えるからと、住宅地でも木材を外壁に事実上使えなくしているのは
国が定めている法律のせいなんですね。
コスト的にも見合う、ということを考えていくと
事実上、化学製品であるサイディングを使うしかないのが現実。
むむむ、さてどうすべきなのか?

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2008年12月17日

玄関の意味って

7522.jpg


玄関、という概念ってある意味、面白い。
玄、という言葉と、関という言葉が組み合わさっている。
関のほうは、意味が明瞭で、
外界と家の中を仕分ける意味合いが込められていることはわかりやすい。
一方の、「玄」というほうは、しかしなかなか、形而上的。
玄妙、という言葉の意味合いのように
「非常に優れている」というような意味合いが込められている。
漢和辞典で見てみたら、
玄関、というのは、玄妙な道に入る関門、と書かれてある。
仏教的な概念が言葉のそもそもの意味に近いのだそうですね(ホエ〜)。

そんなことを今更言われても、
日常いつも、考えることもなく使用しているわけで、
別に仏門に入りたいと考えながら、玄関を通過しているワケじゃないよ、
と言いたいところではありますが、
日本語の成立過程からすると、そのような概念が込められているワケです。
確かに欧米住宅では、このような明確な玄関はあまりみられない。
靴をいちいち脱ぐという習慣も、あまり聞かない。
いわんや、名詞単語にそのような意味合いを付与しているというのは
ありえないでしょうね。
まことに、「生活は文化」ということを認識させられる次第です。

現代生活は、リアリズム的な機能性を重視した社会なので、
そういう視点からは、建物への出入り口という機能だけに絞られやすいのですが、
古民家や、立派な歴史的建築を見れば、
宗教的というか、精神文化的にとらえるという文化に気付かされます。
写真の玄関は、ことし見てきた中でも
かなり頑張って作っていた玄関の様子です。
玄妙と言う言葉の語感に似合った土間の黒い、玄昌石タイル、
式台と、上がり框、収納扉にケヤキ無垢材が使われ、
床板にもヒノキが使われていて、
玄関に入った途端に、香ばしい木に包み込まれるような雰囲気でした。

こういう立派な玄関に出会うと、
やっぱりそうだよ、玄関ってこういう意味なんだよ、
と改めて、思い起こさせられますね。

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2008年12月16日

デザイン炊飯かまど

7373.jpg


写真は、江戸期の宿場町住宅の土間に据えられたかまど。
大人数が働く商家で、その胃袋を満たすための装置なんですね。
首都圏の古民家を集めた場所に移築されたものなんですが、
「かまど」なのにまるで神様のように飾り立てていてユーモラス。
大人数の働く意欲を刺激する装置ですから
一番大切なインテリア装置だったものと思われます。

こういうたくさんの人間のための労働施設では
目に見える「腹一杯食べられそうだ」という部分が意味が大きかったのでしょうね。
北海道でも、ニシン漁のための働き手、
季節労働者を集めるための魅力的な条件として
「めしはいくら食べてもタダ」というものがかなり有力だったそうです。
労働者勧誘に当たって、こういう条件は
最大の口説き文句だった。
それだけ、食べていくということが難しい、貧しい時代だった。
しかし、このかまど、釉薬まで塗り込められていて、
また、形態も曲線が強調されていて、
現代のシステムキッチンにまで通じるようなデザイン性。
確かにうまそうな飯が炊きあがりそうな印象が強く感じられます。
このあたり、かまど製造の発注者であるこの建物のオーナーの
認識のありかを、そこはかとなく伝えてくれている気がしてくる。
どんなことがあっても、食べるだけは安心だなぁ、と思える装置なのか。

このかまどは、作業場としての土間にどんと置かれていたので、
建築的な配置意図としても、そういう計算はあったことでしょう。
料理をしていると、少し作るよりも
たくさん作った方が、味わいが深くて、おいしく出来上がる気がする。
きっと、素材のハーモニーがより大きく働いてくるからではないかと思う。
こんな装置から出来上がってくる食べ物、
一度食べてみたいというくいしんぼなのは、わたしだけでしょうかね。

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2008年12月14日

なんでも燃やせるボイラー

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長野県の住宅で実際に使っている事例をはじめて見たボイラー。
このボイラー、家庭で出るゴミ、
プラスチック以外はなんでも燃やせるというヤツ。
まぁ、ゴミ焼却炉をコンパクトにして
家庭用にしてみたんですけど、というものなんですね。
このお宅では、暖房給湯用に利用されていました。
家の外の物置に設置して
まぁ、なんでも食べてしまう焼却炉。
デザインは至ってシンプルで赤いハンドルを回して
焼却炉を開口させて、どんどん放り入れればいいということ。
薪ストーブは燃料になる薪を入手するのがひと苦労。
ペレットストーブも、いまのところ燃料代が高く付く。
それらに比べて、どんなものでも燃やせるという利点はいい。
確か、FFタイプで燃焼用の空気は外部から取り入れ、
排気も外部に排出できるので、家の中でも使える道理になっている。
燃焼効率がよさそうなので、それほど燃焼廃棄物の心配はなさそう。
っていうことで、いいかなぁ、
ちょっとわが家でも検討しようかなぁ、と考えたんです。
わたしとしてはこういうモンスター的なデザイン、
眺めて暮らすのは全然オッケーなんですが、
さて、家族がなんというか、っていうところ。

これだと家庭で取っている新聞紙やチラシ、
勝手に折り込まれてくる宅配チラシなど、
わざわざ、リサイクルに回していたものがそのまま、燃料化する。
薪といっても、建築廃材などでもまったく問題ない。
薪ストーブの薪って、けっこうデリケートなもので
広葉樹系の脂身があって火持ちする樹種でないと不都合が多いと聞きます。
そういう気遣いは一切不要。
っていうことなんですが、
まぁ、デザインでしょうねぇ・・・。
わたし自身は、こういう機能性の美しさのようなものに
ある種、親近感を持つのですが、
一般的には、やはりもっと女性的な洗練が求められるのでしょうね。

ことしは実に多様な暖房形式が話題に上ってきます。
ヒートポンプ暖房が実際的な選択枝になってくるものかどうか、
いよいよそうした議論が起こってきているのですね、北海道でも。
地中熱利用タイプはいろいろ面白そうなんですが、
やはり設置コストが問題になってくる。
掘削の費用が大きいのですね。
なので、そうなると簡便なのは空気熱利用タイプ。
これが進化してくると、日本は一気に「環境先進国」として
次世代の経済成長技術を得ることが出来るのではないか、といわれている。
北海道で空気熱源タイプが実用化できれば、
ヨーロッパ市場などは一気に制圧できる。
ロシアの暖房技術者が、北海道に来てさかんにこの空気熱利用ヒートポンプに
注目していると語っているそうです。
ヨーロッパ製品と比較して、日本の製造管理技術はずば抜けているので
実用段階に至れば、世界市場を席巻すると踏んでいるようなのですね。
ということなのですが、
外気温マイナス30度になる北海道の寒冷気候の空気の中から
熱を取り出す技術というのは、そうは問屋が卸してくれない状況。

そのほかにも燃料電池とか、技術発展が待たれるものが
目白押し、というのが現状なんですね。
混沌とした状況で、たとえばロードヒーティングなどでは
地中熱ヒートポンプが実用レベルとしてのメドがついてきた感じでしょうか。
寒さも、景気も吹っ飛ばすような
実用技術の大発展を期待したところなんですが、
さてどうなっていくのでしょうね・・・。

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2008年12月13日

8Wの蛍光管照明

7519.jpg


きのうのテーマに引き続いて照明のことです。
宇都宮の取材先で見た小さい蛍光管照明です。
家事コーナーをキッチンの一角に造作していて、
上部に収納があるところから局所的に照らしている光源に利用していました。
こういう小さい領域には、白色球が使われてきたけれど、
蛍光管をよりコンパクトにする技術が向上してきた。
というか、温暖化対策で白色球が敬遠されて
その分、蛍光管への研究開発が進んでいることの結果に違いありません。
左が蛍光管本体で、これをまわして電源部に装着させる。
右側はシェードになるもの。
デザイン的にもなかなかスグレモノと思いました。

白熱電球から蛍光管へのシフトって、
十分に理解できるのですが、
こと写真撮影という面から言うと、蛍光管照明って
色味が狂ってくるので、カメラ側でフィルタリングするなりして
色調を計算しないと、撮影した写真の色が現実を反映しなくなる。
このあたりはカメラマンさん泣かせではあるのです。
やむなく、撮影に当たっては蛍光管照明は切らざるを得ない。
まぁ、どうしても光量が不足する場合は
そのまま撮影して、できあがった写真を補正するということになります。
蛍光管を電球色にしたらいいのかというと
そういうものでもないのですね。やはり色味を変化させてしまう。
こういう問題は、しかし、やむを得ない部分でしょうね。
逆に、こういう照明に変化してくる室内環境に対応して
住宅デザインの側で、それに似合う室内の考えを打ち出していく必要がある。
まぁ、そういう意味ではシンプルモダン系の
室内デザインだと、伝統的な「木質的な質感重視」デザインタイプよりは
蛍光管照明との相性はいいと言えるかも知れない。
しかし、やはり室内デザインの主流派は伝統的木質デザインであることは
今後も変わらないのではないかと思われるので
やがて、蛍光管が似合うような伝統的タイプの室内デザインが
生み出されてくるものかも知れない。

とくに寒冷地の場合、
北欧などでも、木質をいかに魅力的に見せるか、が
デザインの基本要素である気がします。
寒い地域では、室内にいる時間が長く、
そこに人肌に似た風合いの木質があたたかさと懐かしさを呼び覚ますと思うのです。
このあたり、デザインという意味では
時代が変化を促している部分であると思うので
密かに注目している部分ではあります。さてどうなるのか・・・?

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2008年12月12日

和の照明

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写真は長野県岡谷市の住宅から。
北海道ではまず見ることができないような和の空間です。
和のデザインには、まずは木構造をそのまま見せる美しさがあります。
野太い柱や梁の材や、太さというものが
その家の素晴らしさの直接的表現になっている。
この家でも、天井の豪快な木組みによる枠の中に
上手に照明がしまい込まれていて、電気による照明という
伝統的な住宅にはなかった装置へのデザイン的な対応が見られます。
電気の導入初期には、照明の側で、似合ったデザインというものを
工夫して、和風住宅の決定的な問題点である
採光への対応を計ってきていたものでしょう。
時を経てきて、この写真のような工夫へと住宅建築の側で工夫がされてきた。
ただし、こういう対応はやむなく高価にもなるでしょう。
ここでは照明器具をそのまま表さずに、障子の「ふた」まで造作されている。
ナマな「照明器具」という工業製品をできるだけ直接見せたくない、
という建築側の意志を感じることが出来ます。
このように仕上げれば、伝統的な
「障子越しに明るさを室内に取り入れる」という手法の範囲内に納められる。
ただし、一般的には障子は垂直に納めるのに対して、
水平に天井に対して「付加」する感じになる。
ちょっとした違和感は感じるかも知れないけれど、
窓側の障子と、デザインが共通しているので、やがて慣れてくる。

ほかの和風の装置、引き戸の建具とか、欄間の障子という
基本的な装置群とも調和していると言えますね。
しかし、こういう建築、
北海道ではまず、目にすることはない。
長野県では、こういうデザインの住宅のままに高断熱にしたい、
という需要が存在するのでしょうが、
北海道の現実的合理主義の側では、
「あたたかい家を造ることに合理的なデザイン」という価値観が
端々に顔を出すようになってくる。
壁の作り方が大きく変化して、
柱を表す「真壁」から、柱が見えてこない「大壁」が主流になってくる。
このあたり、「地域が選択するデザイン」というものを感じさせます。

きのうから札幌、一気に冬の様相を見せてきていますね。
雪はサラサラとした低温を象徴するような雪質。
底冷えの寒さが迫ってきます。
きびしい景気動向のまま、閉塞感の中を、雪が降り続いている感じ。
しかし、明けない夜はないし、終わらない冬もありません。
楽しく冬を乗り切っていきたいものですね。

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2008年12月03日

碍子配線工事ふたたび

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きのう発表させていただいた
「北のくらしデザインセンター」。会場になる
わが社2階のオープンスペースの改装では
大量の展示パネルの表示効果を高めるために
照明を追加したいと考えました。
ところが、何回かご紹介していると思いますが、
この展示スペース、実は「オール電化」のイメージ訴求のために
電気配線を露出させ、碍子を利用しているのです。
「碍子」っていっても、若いみなさんはわからないでしょうね(笑)。
電気って、出来ている家に後から通るという
そういう時代もあったのですね、これが。
で、そうするとあらかじめ壁の中に隠して配線するということが出来ない。
なので、やむなく、全部配線を室内に露出させて
電気を必要な場所に通らせたと言うことなんです。
なので、電気会社ではこのような露出配線技術が習得必須だった。
そういう技術の復権、というか、再生を考えてみた次第。

で、久しぶりにくだんの電気工事屋さんに連絡したら、
当時、「もうこういう工事を出来るのはこの人くらい・・・」
と紹介された職人さんはとうに引退している。
なんですが、わが社の工事がきっかけで何軒か、こういう仕事もあったようで
まだ手がけられる職人さんが存在していたのですね。
ふたたび探し出してきてくれて、
ごらんのような鮮やかな手仕事を披露していただけた次第なのです。
今回は壁面と窓面側上部に電球色蛍光管を設置するのですが、
スィッチは集中1箇所にするので、
このように碍子による配線工事が延々と行われました。
配線を「見せる」となると、
電気工事職人さんも、やはり背筋がきりっとして頼もしそうな手さばきぶり。
ただ、どうしてもこんがらがりそうになるのだそうで、
途中何度か「えぇ〜〜〜っと・・・」という声が。
でもまぁ、めでたく完成いたしまして、
スィッチオンさせたら、今度は蛍光管、白色を持ってきたということで、
ありゃりゃ、ということに・・・。
後日、管は電球色のものに入れ替えていただけることになりました。
たいへん楽しい工事でした、ありがとうございます。
こういう工事で、お待ちしていますので
ぜひ、「北のくらしデザインセンター」ご利用ください。
北のくらしデザインセンター

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2008年11月28日

窓を保護する

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写真は、関東高崎市郊外の家。
関東は4地域。
風を考慮すると、体感的な冬の寒さは2地域くらいとも思える。
でも、やはり冬以上に考えなければならないのが夏。
冬の関東に行くと、その日射しの暑さに驚く。
緯度は北海道とは比較にならない低緯度。
そこに晴天の続く日射しなので、
太陽光利用には最適だと考えられます。
しかし、太陽光は夏場は室温の過上昇を招きます。
そうした対策として、伝統的な家屋では
深い軒の出が活用されてきた。
さらに夏の日射遮蔽技術として
葦簀やすだれが多いに活躍してきたけれど、
住宅が密集するようになり、セキュリティの面からも
夜間に窓を開放して寝ることが出来なくなってきた。

こうした条件に合致する「地域らしい」家づくりの
デザイン的なアプローチはあまり見られませんね。
土地の確保、という、より社会性の強い要因の方が大きくて、
住宅としての性能的要件まで認識が深まっていかないと言うことでしょうか?

そんななかで、
この家では、深い庇が特徴的に取り入れられています。
庇のメリットで大きいのは日射の制御と、窓面の保護。
窓や壁面を保護することは長期的な住宅の寿命を左右する。
手間はかかるけれど、それほど大きな金額の工事ではない。
でも、ほとんど行われることはない。
こういう性能要件に十分な配慮をせず、
社会的要件の方に価値観を大きくしてしまうと
住宅の本来的な進化にはつながっていかないのではないでしょうか?
土地の値段という、経済要因の方が大きすぎて
「家は土地のおまけ」的な住宅文化が、後の世になって、
さて、どのように受け止められるか、
豊かな経済力の時代だったが、
住宅文化という面では、見るべきものが乏しい地域・時代だった、
というように言われるかも知れません。
そうでなくても、住宅金融公庫システムという
国民皆建築とでもいえるような住宅システムは生み出されたのに、
残り続けるような住宅文化、という点では
きわめてあやしいのが、現代の住宅。
もう少し、目的的に取り組まなければ、
このような危惧が現実になってしまうものかも知れません。

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2008年11月24日

南面デッキベランダ

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きのうは榛名山のふもとに建つ、ウッディハウスを取材。
敷地に比較的ゆとりがあるので、真っ正直に真南に大きな開口面を見せた家です。
で、こちら側にはそれぞれデッキやベランダが配されていて
ちょうど伺ったときには、いい天気のもと、洗濯物干しを。
開けられた窓からは、たまたま親戚のこどもさんたちも合わせて5〜6人の
にぎやかな笑い声、歓声が上がっている楽しい雰囲気でした。
こっちは、家を離れて1週間を超えてきたので
そろそろ、子どもの顔でも見たい頃合いでして、なんともかわいらしい・・・。

おっと、脱線。
南面からは明るい陽光が室内に導き入れられますが、
温熱環境的には、いろいろなコントロールを考えなければならない。
冬場にはなるべく室内に無料の暖房エネルギー、
太陽光日射を導入したい。
けれど、夏場は、きびしい低緯度の日本のきびしい日射しは遮り気味にしたい。
そういう役割の一端を果たす装置が、2階ベランダなんですね。
スノコ状の床面が、1階の大開口部に対して適度な角度で
日射をコントロールしてくれる。
冬場には太陽角度が下がってくるので日脚が延びて
室内の奥まで陽光が入ってくる。
一方、夏場の高い日射は、これが庇がわりになってくれる。
こういう工夫が基本的な建築要素で、
しかもこの家では、こちらに面している開口部すべてに
白い、カーテン状のものが見られます。
これは「ハニカムサーモスクリーン」。
これは断熱性に優れたもので、夏の日射を遮り、冬の室内の熱が逃げるのを防ぐ。
室内側からは、ちょうど障子のような風合いがあって
インテリア的に、他の素材とケンカするようにはなっていない。

さらに、日射対策として、
夏場には、葦簀を立てかけようと考えているそうです。
ただし、ことし3月の竣工でしたが、
基本的な断熱性能がQ値1.3レベルであり、夏場も室内温度がそう上昇しなかったので、
そこまでの装置利用の必要性がなかったということです。
太陽光という、わたしたちが得られる基本エネルギーを
どのように建築的に利用したり、遮ったりするか、
今世紀の住宅づくりが、いままさに直面しているテーマ。
いろいろに地域性に配慮しながら、いい暮らし方を見つけていきたいものですね。

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2008年11月23日

鉄骨の建物のリフォーム

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きのうは仙台まで北上して、
近郊・秋保温泉街の中のある設計者の住宅を取材。
もうこの地に住み暮らして4代目だという「地域住民」の方でした。
お父さんの代から、設計事務所を始められていますが、
長年暮らしてきているので、建物を複合的に利用していて、
1階は一部で酒店を経営し、他のお店に貸してもいる。
2階はペンションホテルも経営。
そして、その上に今回、住居部分を造作して住もうという計画。

ということなのですが、
計画道路の拡幅で、建物が半分以上削り取られることになって、
それにともなう一大リフォーム工事だったのですね。
元々の建物は、お父さんの設計になるモダンデザイン建築で、鉄骨造。
その基本を踏襲しながら、周囲の自然豊かな環境の中で、
それをすべて取り込むような開放的な建物を志向されていました。
熱損失係数は、さてどの程度になるものか、
ちょっと、想像できないだろうと思います。
設計者の自己責任での住宅づくりであり、体験的な部分での
「こういう建物でも、そこそこ住み続けてこられた(笑)」という住宅でした。

正面側は南に面しており、裏側北側は緑たっぷりの針葉樹の森。
谷間に位置していて、冬場の季節風などはそれほど感じられない。
逆に太陽光日射は、冬でもたっぷりと室内に導入されていて、
それが、床面や天井面のコンクリートスラブに「蓄熱」される効果はありそう。
今回は、ヒートポンプ床暖房を居住スペースの3階床面に敷設しています。
さて、ほぼ前面開放的なデザインで、
太陽日射取得蓄熱と、これも自然エネルギー活用である
ヒートポンプ暖房で、宮城県中部地区の自然環境の中、
どういう生活温熱環境になるか、
ちょっと興味深い部分もありました。
体感的には、きのうは床面に敷き込まれた毛足の長いカーペットが
蓄熱した暖かさを足下に伝えてくれていて、
ほんわかと、心地よさも感じられた次第です。
ただし、日射が期待できない天候条件では、ヒートポンプ暖房が
はたして、足りるだけのエネルギー取得できるものかどうか、
いろいろ、実験的な数字を今後、計測確認していきたいと思いました。

ペンションの方は、1泊3000円で、
隣接する温泉ホテルのお風呂が無料で利用できるそうで、
そう考えると、たいへんリーズナブルに秋保で宿泊できる。
今度、一回、体験宿泊してみようかなぁ・・・。

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2008年11月21日

お料理好きのキッチン

7496.jpg

きのうは上越市で取材でした。
寒波が押し寄せてきていますが、新潟県は日本海の横幅が
もっとも大きい地域なので、降雪量が大きくなる、
という説があるそうで、積雪が心配されましたが、
なんとか、峠を越えて、青空も望むほどに回復。
でも、たいへん天気の変化が激しい状況でした。

写真は、久しぶりに見た「ガスコンロのあるキッチン」。
お施主さんが料理にこだわりがあって、
絶対に譲れないポイントだったのだそうです。
中華料理などで、よく油炒めをするときなど、
やはり瞬間的な火力ではガスが効率がいい。
とくにわたしも、もやし炒めをラーメンの具として入れたい方なんですが、
もやし炒めは、強い火力で一気に炒めてさっと止めるのがおいしい。
シャキシャキとした食感が歯ごたえとして残る、
こういう料理のツボでは、やはりガスに軍配が上がるように思われます。
で、そういうこだわりのある人は、
同時にキッチンの仕上げもステンレスを好むようです。
モノトーンの質感が、知らず知らず、料理への集中力を高めるのか、
機能性にシンプルに訴求するものがあるのか、
こうした雰囲気のものが人気がある気がします。

まぁ、あんまり普段は見ることがなかったのですが、
シンクまわりのこだわりのある設計仕様は、なかなか考えられていました。
とくに魚を捌くことにこだわった機能は、なかなか考えられています。
日本の食事では、やはり魚料理の比率が高い。
大量の水を使いながら、使いやすく捌いていくには、
シンクへの工夫が欠かせないポイントだとも思います。
日本語で「流し」というくらい、大量の水を流しながら作業するので、
感心させられる機能性でした。
メーカーキッチン、なかなか油断できませんね(笑)。

写真の中にあるパソコンは、
カメラマンの確認用のもの。
キッチンにパソコンが付属していると言うことではありません(笑)、
念のため(笑)。
さて、全国行脚、まだ、札幌への帰還のメドが立ちません。
予定は未定の出張が、しばらく続きそうです。頑張らねば!


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2008年11月20日

和の美しさ

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こういう空間にたたずむと、なじむ・・・。

写真はきのう取材してきた長野県岡谷市の住宅。
和風住宅の楽しさをたっぷりと味わえる家です。
そのなかでも、北海道に暮らすわたしとしては、こういう広縁に強い憧れを抱く。
床板のヒノキはどこまでも清浄感をたたえています。
庭に面して開放されたこういう場所は、
日本的な自然観や、感覚の大きい部分に色濃く影響を及ぼしていると感じるのです。
こういう空間から、庭を眺めるわけですが、
場合によっては、こういう空間から庭の白砂上で腹を切るシーンを
「見届け」たりすることすらあったでしょう。
死生を分ける結界的な空間でもあったのだと思うのです。
こういう広縁に込められた民族的な感覚って
たぶん、完全には説明できない、さまざまな精神文化につながる部分がある。

正面には円窓が開けられています。
ここからは、梅が眺められる、というか一幅の絵として
梅の花の咲く様が、室内に円窓を額縁として切り取られている。
右側の横長の大開口は、日本人が感覚してきた寸法の原点的なもののような気がする。
よく、左右の黄金比率というようなことを聞きますが、
こういう日本建築の寸法は、さてどうなのでしょうね。
日本の屏風絵という絵画形式がありますが
あれも、こういう寸法が基準になっているものだと思う。
こういう伝統的な空間にペアガラスの樹脂窓が嵌め込まれ、
しかも重厚な気密断熱性が施工で確保され、
冬の厳しさの中でも、むしろ古人達が楽しむことが出来なかった
雪の降りしきるようなさまも、楽しく感受することが出来る。
わたしたちは、伝統に育まれながら、
こういう進化した住宅性能で、まったく新たな体験も感覚できるようになってきている。
利休さんが、いま生きていたら、
こういう性能を獲得した住宅建築から、
いったいどのような「わびさび」精神文化を紡ぎ出すのだろうか?

北海道から長野に来て、
そんな思いがふとしてくるような空間を体験しました。
楽しい取材でした。ありがとうございました。
<来年早々に出版予定の「エコ住宅Q1.0」第2号掲載の予定です。>

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2008年11月13日

フローリングの傷み

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最近寄せられたクレーム投稿で気になったものから。
新築でフローリングの傷が気になって仕方がない、
いったい、どれくらいなら許容範囲なのか、というような内容でした。

フローリングといっても
無垢の、どこまで削っていっても自然木というものと、
一般的に広く流通している、
表面だけ自然木を薄くスライスしたものを貼ったものとがあります。
後者は、心材として加工した木を使っています。
写真はわが家のお恥ずかしい状態の様子です。
残念ながら、表面だけ貼ったものは宿命的にこういうことになりやすい。
わが家では、床暖房を土間コンクリート床に敷設してあり、
その表面に張っていくフローリングとしては
「床暖房用」と明記されていたのが、この製品だけでしたので
これを採用したのですが、
事務所兼用住宅だったので、椅子の脚に移動用の車輪がついた事務用椅子を
使っていたところ、もののみごとにこのような感じで
表面仕上げ部分がはがれてきてしまいました。
いろいろあるのでしょうが、
床暖房用って、物理的刺激には弱かったのかもしれません。
もっとコストダウンした床材を使っていた部屋では
同じ「フローリング」(無垢ではない)でも
同じような使い方をしても、タフに耐えています。

こういう経験があって、
やはり床材って、いろいろ用途があって、
適材適所が大切だということに改めて気づかされました。
そんなことから、暮らし方と、部材の検討って
きわめて大切だと考えています。
そこで、そのあと建てた事務所では、
タフに利用する床はやはり安価で耐久性の高い樹脂のフロア材を利用して
裸足や、スリッパで利用する床面は無垢で一番安いものとしています。
床暖房する場所には、その他、テラコッタも採用して
こちらでは蓄熱性も利用するようにしました。

こういう経験があったので、
フローリングにはいろいろの種類もあること、
さらに長期の利用では、自然のものなので傷みからフリーではないこと、
などを意見として書き添えました。
もちろん、新築時点ですから、傷み具合の程度問題ではあります。
ちなみにわが家の写真のフローリングですが、
現在は放置して、そのまま利用しております。
補修を試みても、きりがないし、難しいのは一目でわかるんですね。
人生に完全はあり得ないのですから、
失敗の教訓を毎日確認しながら生きていくのも
案外、大切な部分ではないか、などと納得しながら暮らしています(笑)。
まぁ、負け惜しみですね、明らかに(笑)。


パソコン、慣れない環境で
作業をいろいろやっていて、ストレスがたまりますね。
昨日、一番つらかったのは
PDFが簡単にできない、ということ。
このパソコン、間違えて、っていうか、予備用と考えていたのもあって、
OSをWIN_XP「ホームエディション」にしたのですが、
これが想像以上にとんでもなかった・・・。
なんせ、まともにネットワークプリンターに接続できない。
いじわるとしか思えない仕様なんですね。
確かにOSの値段に格差をつけるのにこうしたのでしょうが、
「家庭用」のパソコンは、業務には使うな、ということなのですね。
まぁ、技術スタッフがサポートしてくれて
なんとかリカバリーできましたが、このPDF作成は
同様にプリントまわりの仕様がからんでくることなので、
解決しようというのは、まぁあきらめた方がいい。
別の方法でデータを人に渡すことにして解決させました。
MACではOSレベルでPDF作成をサポートしているので、
全く考えたこともなかった次第なんですね。
まぁ、なんとか、作業は間に合わせることができましたので、ひと安心。


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2008年11月08日

白い化粧

7479.jpg

昨日から、札幌は本格的に白いものが舞い始めました。
夏タイヤから冬タイヤに履き替えもちょうど終わらせたところでした。

毎年、冬の向かえかたって、いろいろあるんだけれど、
やっぱり北海道は、白い雪が一気に全部を化粧するっていう
単純に劇的なことがやってくる。
こういう当たり前のことに、歳を取ってくると、思いが深くなる。
ブラックアウト、という言葉があるけれど、
北国の人間の感覚からすると、冬の訪れは
「ホワイトアウト」という感覚に近い。
まぁ、劇的な場面転換が暗転ではなく、白転とでも言えるような感覚でしょうか。
で、来てしまえば、しばしの間、見とれているようなところがある。
小さい頃からの初雪の記憶がフラッシュバックしてくる瞬間。
きれいだ、とかいう感覚とは違うんですね。
確かに綺麗ではあるんだけれど・・・。

雪にも色があるって、
札幌の絵描きさんが言っていましたが、
この初雪は、そういう白色世界のバリエーションの始まり。
視覚領域の中に、ベーシックに白が入り込んできて、
他の色達とのコンビネーションを構成する。
北国の住宅って、外観で言えばこういう白の世界との対話が
けっこう大きな部分なのではないかと思う。
下見板張りの外壁を復権させた建築家・倉本たつひこさんは
こういう雪のなかでの建物の調和を考えていたような気がする。
わたしたち、北海道の人間が、倉本さんの住宅を見て
「そうだよ、こういうのが北海道なんだよ」
って思えたのは、こうした心象意識があったのではないかと思う。

まぁ、雪に似合う色合いとか、質感とか、
やっぱりそういう感覚からわたしたちは無意識ではいられない。
そういう風に考えてくると、
もっと外観について、論議があってもいいと思うのです。
雪の季節に、家を実感させてくれる外観って、
さて、どんなことなのでしょうね。
<写真は雪化粧した庭木を上から見下ろしたところ>

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2008年11月07日

露出の電気配線工事

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わが社の2階はイベントができるようなスペースを持っています。
6年ほど経過したのですが、やや照明が少なめでした。
電気配線は、「オール電化」の視覚的表現と言うことで、
可能な限り、露出配線をしています。
久しぶりに建物に手を加えなければならないので、
ついでに電気工事での追加照明を考えて打ち合わせした次第。

電気工事って、まず表側に出てくることがない。
だいたいは構造段階での配線工事で、壁の中に隠されるのが一般的。
当社のようなケースは大変少ないのでしょうが、
その分、一生懸命になってやっていただいて、
思い出話なども交えての楽しい打合せでした。
6年前にこうした露出配線の経験のある職人さんは、ほぼリタイア状態。
ということなので、出来る人間をまた捜さなければならないのですが、
「なんとかできるでしょう」ということでアテもありそう。
インテリア的には、構造の素地表しに近い空間なので、
やはり電気配線の仕上がりが決め手になりそうです。
さてどういう具合に仕上がるか、楽しみにしていたいと思います。

トヨタの決算見通しが発表されていました。
対前年比70%減少と言うことですね。
主要なマーケットであるアメリカ市場の景気減速が加速して、
業績を押し下げると言うことだそうです。
さて、どういう方向に向かっていくのか、
当面はアメリカの状況から目が離せないのではないかと思われますね。
但し、経済はひとびとの気持ちの問題も大きい。
ブッシュからオバマに政権が代わって、
前向きな社会になっていくのかどうか、
そういう部分が、結局は経済をも規定していくのではないでしょうか。
まぁ、なんとなく、これ以上は悪くならないのではないか、
というような気分が、いまのところ支配的のような気がします。
オバマには、メッセージを伝える力がある、と言われています。
当面は、様子を見ていくという状況になるのでしょうね。

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2008年11月01日

木床の防音対策

7472.jpg


生活騒音の問題って、
日本人の生活意識が変化してくるにつれて問題化してきました。
戦前までの賃貸住宅中心の住環境では、
都市型住宅であれば、あり得ないような問題だと思います。
京都などの町家形式住宅でも、隣家とは場合によっては
薄い壁一枚の隔てしかない環境が当たり前。
むしろそういう環境の中で、他者の心情を推し量る、という
日本的な精神文化が涵養されてきたのではないかと思われるくらいです。
江戸の町民も、庶民はほとんどが権利意識の薄い賃貸住宅・長屋に住んでいて
ひとつの井戸を共有して暮らしているのが生活スタイル。

そういう生活意識が劇的に変化してきたのが、
戦後の社会でしょう。
アメリカの占領を経て、個人主義的な生活文化が導入され、
権利意識というものも高まり、
同時に「持ち家化」政策が経済の高度成長とともにたいへん有効に働いて
マンションなどでも「区分所有」という概念で取引されてきた。
区分所有とは、個人の権利意識を幅広く認める考えに基づく。
極端に言えば、高いお金を払って「所有」した空間内部では
誰からの干渉も受けるのを受忍しない、という態度が広がってきた。
そうした拡大した個人主義って、
ちょっと歴史をさかのぼれば、日本人の生活文化伝統にはなかったことはすぐに気付く。
・・・はずなんですが、なかなかそうは割り切れないのが現代の状況。

っていうようなことで、建築の側で、
さまざまな防音対策の工夫が行われるようになってきている。
写真はあるメーカーが開発した木床と、構造との間に入れるクッション材。
型と強度維持が難しそうなので、高いものだそうです。
効果はある程度出るものでしょうが、
しかし、住宅110番に寄せられる騒音苦情って、
いったん、受忍限界を超えてしまってからなので、
こういう工夫だけでは、納得させられるものとも思えません。
そんなことを考えていたら、
住宅の研究組織・東北フォーラムから以下のような案内が来ました。

住まいと環境 東北フォーラム
第66回研究集会 フォーラム共催行事

橋本典久先生・日本建築学会賞受賞記念講演会
(日本建築学会東北支部60周年記念)
「集合住宅における床衝撃音性能と騒音トラブル」

 橋本典久先生(八戸工業大学工学部建築工学科・教授)が
「拡散度法による床衝撃音遮断性能の予測に関する研究 」にて、
平成20年度日本建築学会賞を受賞されました。これを記念に企画された講演会です。
 ご講演内容は、建築関係者だけでなく一般市民や学生向けに、
身近な集合住宅における騒音問題を取り上げていただいておりますので、
この機会に奮ってご参加いただけますよう、下記のとおりご案内申し上げます。
皆様のご参加を心からお待ちしております。

■日 時:平成20年12月5日 15:00〜17:00
■場 所:フォレスト仙台(宮城県教育会館)第1フォレストホール
(仙台市青葉区柏木1-2-45 TEL:022-271-9340)

■共 催:日本建築学会東北支部環境工学部会,
  住まいと環境 東北フォーラム
■定 員:100名(申し込み先着順)
■参加費:無料
■申し込み:「騒音トラブル講演会参加申し込み」と明記の上、
参加者氏名・所属とともに下記宛にE-mailもしくはFaxにてお申し込み下さい。

住まいと環境 東北フォーラム 担当:柴田
FAX 022-221-9243 E-mail htoenv@rio.odn.ne.jp

もし興味を持たれる方は
発表を聞かれたらいかがでしょうか?

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2008年10月30日

古い木造の「場の力」

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美唄の小学校の廃校施設を再利用した建物。
先日来、何回か掲載していますが、
写真はそのなかの広めの部屋に彫刻が展示されている様子。

彫刻が素晴らしいのは、まったくその通りなのですが、
それ以上に、感銘を覚えるのが古い木造校舎の魅力。
大体が、どんな地域に行っても、
古い木造の大型建築、学校に行くと、こころがやすらぐ感覚を覚える。
まぁ、ほとんどのひとが感じるのは事実のようなので、
そろそろ、こういうものの復権を真剣に論議すべきなのではないかと
思われてなりません。
近代合理主義丸出しの威圧的なコンクリートと、
無節操なガラスの透明感に頼り切った空間構成はどうもいやらしい。
確かにそういう材料での空間構成を否定はしないけれど、
それはむしろ控えめに、
木質の豊かな情緒性を補強する存在であるべきではないのでしょうか?

建築って、ひとびとの暮らしを豊かにすることをめざしているもの。
その意味で、古い木造建築が持っている
「癒しの力」のようなものを早急に科学的に解明すべきではないのでしょうか。
だれが訪れても、必ず楽しくなれる空間の「力」ってすごいと思う。
鉄筋コンクリートは強い耐久性は持っているけれど、
言ってみれば「愛着の耐久性能」という部分では、
大型木造の持っているスーパーパワーにはまったく太刀打ちできない。

写真のような場では、
やはり素材に刻印される時間の経過というものが
訪れるものに、視覚や空気の臭いのようなものが一気に包んでくるのでしょう。
そういうことがらを受容するときに、
わたしたちの心が、それを圧倒的に心地よいと感じるのだと思う。
DNA的な、木という生きている素材が、
同じ生き物としての部分で、深い感受性を刺激するのだと考えられる。
木は語りはしないけれど、
多くのことを人間に訴求してくる「力」を持っているのではないか。

こういう空間にいると、
窓の外の自然の移ろいが同質性を持って感じることが出来る。
自分自身もそういう大きなものの中のひとつであるという自己認識を持てる。
きっと、こういう空間はそうした「回復力」に優れているのではないか。
こういう建物から感じるのは、そんなことのような気がします。
母方の伯父が、
函館に住んでいたのですが、「古い家がいい」と言って、
木質素地外壁の古家に住んでいたことを思い出します。
だんだんと、そういう心理になってくる年齢なのかも知れませんね(笑)。

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2008年10月24日

十勝2×4協会30周年

7464.jpg

 
きのうは十勝地方の建築業者の団体
十勝2×4協会30周年の大会が開かれました。
地域独自の団体なのですが、設立から30年も続いている稀有な団体です。
毎月24日の会合と言うことで、
忘れられない日取りということから(笑)
長く続いてきたようです。
というのは冗談ですが、本当にこんなに長期に続いてきているのは
まさに会員の研鑽努力の積み重ねと言うことだと思います。
そういうことから、十勝地方では住宅の60%以上が
2×4工法が選択されてきているそうです。
寒冷地で、あたたかい住宅がなによりも求められる地域性に
こうした建築事業者の研鑽努力がマッチして
地域に受け入れられてきていると言うことを表していると思います。

そうしたことから、
日本中から建築関係者、またカナダ政府関係機関からなど
たくさんのみなさんが大会に参集されていました。
ということで、本日はこれから現場見学会がありますので、
夕方、また追記で更新したいと思います。ではのちほど。

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2008年10月22日

建築家大会インスタレーション青森

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仙台での建築家大会でのアピールとして
定禅寺通りの中央緑地帯で東北支部各県ごとの地域会による
「インスタレーション」が行われておりました。
インスタレーションって、
1970年代以降一般化した、絵画・彫刻・映像・写真などと並ぶ現代美術における表現手法・ジャンルの一つ。ある特定の室内や屋外などにオブジェや装置を置いて、作家の意向に沿って空間を構成し変化させ、場所や空間全体を作品として体験させる芸術。空間全体が作品であるため、鑑賞者は一点一点の作品を「鑑賞」するというより、作品に全身を囲まれて空間全体を「体験」することになる。鑑賞者がその空間を体験(見たり、聞いたり、感じたり、考えたり)する方法をどのように変化させるかを要点とする芸術手法である。
(Wikkipediaより)

ということなのですが、
まぁ、ようするに社会に対するアピールですね。
各県ごとにさまざまな展示がされていましたが、
写真は青森支部のもの。
青森といえば、ねぷたなので、ごらんのような行灯のような制作物が作られていました。
なかに入ってあいさつすると旧知の建築家Sさん。
中に仕舞い込む灯りを点けていました。
屋外でもあり、てっきり電球を採用しているのかと思いきや、
ろうそくを使って、火を点けているんです。
大丈夫なのかなぁと、心配になったのですが、
その辺は、さすがねぷたでみんな慣れているということでしょうか。
そんなお話しをしていたら、
「なので、使っているのはタイベックシートなんですよ(笑)」
っていうこと。
ふむふむ、なかなか考えていると、膝に手を打ちました。
タイベックって、住宅の外壁材と通気層のすぐ内側に張られる「防風層」の材料。
湿気は外部に向かって開放するけれど、
外部からの空気の進入は遮る働きをするもの。
なものですから、外で使用しても風の影響は少なくなるものと思われます。

建築家の社会に向かってのアピールとしては
こういう全体構成はなかなか考えられていて、いい。
デザインとしては伝統的なものをイメージさせながら、
同時に建築的な材料の意味を、優れて感じさせてくれています。
わたしのような印象を持つ人は多いだろうから、
その都度、防風層の意味を話せばいい。
こういうのって、優れて啓蒙的な展示としての意味があると思いました。


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2008年10月19日

JIA環境建築賞

7459.jpg

きのうも建築家大会2日目。
わたしはてっきり開会式からが初日と思っていたのですが、
実は開会式前の前日から始まっていたと言うことで、
きのうは3日目なのですね。
で、きのうは前から見てみたいと考えていた
JIA環境建築賞の受賞者のプレゼンが行われていました。
3時間に、12人の受賞者の発表があり、
しかもそれに対するパネルディスカッションもあり、
最後には東北フォーラム・吉野理事長などのまとめなどもあるという
なんとも盛りだくさんで、とても消化しきれないのでは、
と思われる内容でしたが、まぁ、なんとか時間内に収まっておりました。

審査委員長の野沢正光さんの総評の中に
1800年代以降、建築は常に問題に立ち向かって来た歴史である、
そして現代の最大の問題が、
どうすれば、2050年段階でCO2排出を半減以下にすることができるのか、
というエネルギーの問題だ、という指摘がありました。
まさに言われるとおりだと思います。
そのための要素技術の蓄積があり、設備機器の進化がある。
こういうものを具体的な建築デザインとして、
いかに良い建築として作り上げていくのかが、建築家に課せられた
もっとも、今日的な課題なのだと思います。

そして、これまでどちらかといえば、
寒冷北方のテーマと思われてきたこの部分に
多くの設計者の興味が集まってきており、
温暖地域でも、いろいろな取り組みが見られてきていると言うことが
実感できてきた次第です。
断熱気密の基本技術を踏まえ、さらに自然エネルギーを活用する
さまざまな技術の組み合わせ・活用が考えられ実践されてきていると思います。
CASBEEという考え方、住宅レベルで考えているケースなんて、
ほとんどないのではないかと思っていたのですが、
認識を新たにさせられました。
また、再生利用という、建築の今日的な課題についても
実に豊かな想像力による挑戦が行われてきているようです。
なにより、多くの実践が積み重ねられてきていることが
多いに勇気づけられた次第。
会場にはさすがに、北海道からの参加者が多かったのですが、
それ以外にも、全国から会場一杯の参加者が詰めかけていました。
こういう熱気を体感できて、たいへんうれしかったです。

先日書いた「東屋」〜あずまや〜について、
読者の方から、漢字では四阿という表記が一般的だけれど、
なぜ、こういう書き方になるのか、調べてブログで書いて欲しい、
という意見が寄せられました。
わたしの使っているATOKでは、四阿も東屋も同義とされていたのですが、
確かに四阿って書き方、不思議ですよね。
ちなみにWikkipediaには、こういう情報はありませんでした。
う〜〜ん、困った。
とんだ宿題になった感じがいたします。
読者の方で、問題探求の心当たりのある方、ぜひ教えていただきたいです(笑)。
<写真は定禅寺通り〜これもきのう書き間違えました〜
 での建築家大会向けのデモンストレーション>

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2008年10月17日

掘っ立ての東屋

7457.jpg


先日書いた平取町の「義経神社」境内で
思わずシャッターを切りたくなったのが、この東屋。
用途としては清めの手水所で、竜の蛇口から水が流れておりまして、
なかなか立派なんです。
流水を受ける流し台は岩をくりぬいたようなんですね。
こういうしつらいは、
「お、なかなか、いけるじゃんか!」っていうところ。
で、外観全体もなんともいけているのです。
柱は、地面からそのまま生えているような掘っ立て柱。
それも自然木の皮を剥いだままの木材を使用しているので、
垂直といっても、寸法はきっちりと決まってはいない。
掘っ立てって、技術的には単純なだけにすごく難しいもの。
わが社でも、外部に古電柱の照明を連続させたときにその工事を見たのですが、
三内丸山遺跡以来、っていうような縄文から続くであろうような
技術伝統をかいま見せてくれる工法なんですね。
それに梁を渡して、屋根組みしていますが、
屋根もなんと、茅葺き。
すべて自然素材の質感そのまま、屋根からは青々とした草も見えている。

っていうようなたたずまいの空間が、境内の森の一隅に
つつましやかに建っている・・・。
ふむふむ、なかなかにいい仕事、していますなぁ
(なんでも鑑定団ふうのため息)
という感想を持った次第であります(笑)。
本体の神社自体は、あまり歴史的な由緒に価値はないのではと思われましたが、
どっこい、こっちのほうは、一見の価値がある。
むしろこういうところにこそ、日本的な美的感覚のエッセンスがある。
どっちかというと、自然の木をそのままそこにおいて、
しかも建築的機能を果たしていますよ、というような感覚でしょうか。
岩も、ごく普通にある岩が、よく見ると手洗いシンクになっていますよ、
というようなさりげなさを装うデザインマインド。
ちょうど西洋式の庭園がこれでもかと人工的に作るのに対して
日本の庭園が、ひたすら自然な表現を心がけているのに通底している。
残念なのは、仰々しく立て札が置かれてあって
なにやらこれ見よがし風に読ませられそうな点。
ここまでさりげなく作っているのなら、それを貫徹して欲しかった(笑)。
でもまぁ、許してあげたいところです。

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2008年10月16日

トイレのバリアフリー

7454.jpg


先日見学に行った現場公開での写真。
トイレの手すりの面白い製品が取り付けられておりました。
うねうねと折れ曲がっていて、色もなんとも鮮やか。
強烈な印象なんですが、
黄色って、毎日見ていると、そう強烈感は持続しない色。
だんだん馴染んできて、思ったよりも落ち着きはある色だと感じています。
あ、わが家でも家の真ん中にあるらせん階段を黄色く塗っているんですよ。
ちなみに風水では黄色って、金運を呼ぶ色とかで、
カミさんから聞いて以来、黄色を好きになるように自己暗示をかけ続けている
一般的大衆のごく一部分がわたくしであります(笑)。

ってまぁ、色はおいといて、
人間工学を考えたと言うことで、複雑な形状になっていますね。
たぶん、よっこいしょっというひと動作ごとに
過不足なく、体を支える働きをするものと理解されます。
以前はこういう装置について、
イマイチ、現実感をもてなかったのですが、
だんだん、高齢化がわたし自身の肉体にも影響が現れてきているので、
このような手すりとか、現実感が高くなってきています。
そういえば、文字の大きさというのも、
ちょっと前まではほとんど気にしていなかったのですが、
たとえば名詞などで、英文のメールアドレスなどは
ほとんど解読不能になってしまっています。
デザイナーとかに注文するのですが、
かれらはどうしても全体のバランス感覚を優先してくるので、
機能要素のような、文字のベタな伝達性優先という考え方は基本的にしない。
でも、高齢化の時代、バリアフリーということは
デザインの分野でも大変重要なテーマだと思います。
それとして、でかくしました、っていうようなレベルではなく、
わかりやすさという根本的なテーマをしっかり追求して欲しいものだと考えます。
若い世代でも、高齢世代でも誰にもわかりやすい、ということが重要。

そういう意味ではこうした手すり、
毎日使い続ける中で、使い勝手優先で考えられている感じがします。
目に鮮やかな色合いも、そう考えると納得もできる。
まぁ、考え方はいろいろにできるとは思いますが、
生活上のわかりやすさ優先のひとつの形ではあると思いますね。

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2008年10月15日

暖房の未来形

7455.jpg


写真は北総研の方の講演時のスライドから。
暖房用エネルギーといっているけれど、
住宅の性能が向上していくと、生活廃熱と太陽日射の割合が高くなってくる。
熱損失係数が1.0あたりからは
暖房用負荷としても、そっちのほうが大きい割合になってくる。
これは北海道でのことなので、
だとえば東京くらいだと、
暖房はゼロエネルギーっていうようになってくる。
北海道内でいま建築中の「北方型住宅ECO」は、換気の条件抜きで
熱損失係数1,3を性能要件としているので、
もし、第1種換気を装置した場合には1,0くらいが相当するレベル。
この写真で見る○をしたくらいのエネルギー構成になるのですね。

この場合は、生活廃熱と日射熱を足した方が
暖房専用エネルギーを上回ってくるという結果になる。
このレベルの住宅が、ことし一気に123棟も建設されているのです。
たしかにこれまでも先進的なビルダーは
ごく標準的にこういうレベルの住宅を建ててきたのですが、
そういう住宅がひとつの住宅運動として大量に一気に市場に公開される意義は高い。

こういう住宅になってくると、
暖房というものが、もっと意味合いが変化してくるような気がします。
いまは、補助暖房的に使われている薪ストーブですが、
性能が低い住宅では確かに「補助」としてしか考えられないけれど、
人間がコントロールできて、しかも
精神的にも高い癒しを提供してくれるものとして
場合によっては、主暖房の位置を占めてくるかも知れない。
環境問題で考えても、薪のような熱源は再生可能エネルギーとされているのです。
そのほかの暖房装置も十分に可能性検討が可能になってくると思います。
そしてその場合、性能要件的なものよりも
もっと、精神性を豊かにさせる方向に向いていく気がします。
同じ機能を果たしても、形態や見え方がまったく従来とは違うものになっていくとか。
そういう変化って、たぶん、北方圏生活デザインとして
本州以南地域に売り込んでいくことが可能なのではないかと思われます。

おおいに進化していって欲しいものだと念願しますね。

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2008年10月11日

エントランスの表情

7450.jpg


今度、わたしのカミさんがテレビに出ることになって、
って、フジテレビ系列のローカルのUHBで、
15日の朝の「トークで北海道」というのですが、
そこで「出演者のお宅は?」ということで、
写真だけですが、どうもわが家の様子を写すのだそうです。
そんなことで、パソコンの中をガサゴソ、探してみた次第。
検索技術は進化していて、確かに便利なんですが、
やはりというか、案の定というか、
人間の方の記憶がはるかにいい加減なので、
目的の写真に付けた「名前」に統一性がないので、探し出せない。
ようやく見つけ出せたのが、リフォーム前の懐かしい写真。
その中の1枚がこれです。

その後、増改築したので現在はこういう雰囲気ではありません。
改造して一番残念だったのが、このエントランスの雰囲気だったんです。
木製のパーゴラでシンボルツリーからの動線を受け止める、
そういうやわらかい引き込み方が好きだったんです(涙)。
住宅って、そこのなかでの機能性が一番大切ではありますが、
そこにいたるまでの演出というのも、やはり印象のなかで大きい。
四季折々、また一日の光の移ろいなど、
刻々と変化していくエントランスの表情が、見るものに
「あの家、なかはどうなっているのかなぁ・・・」
という興味を起こさせ、表情も和ませていくものではないでしょうか?

記憶って、過去は美しくしか残っていかないとは言いますが(笑)
この建物への来訪者のみなさんの表情の中に
ある種の、やすらぎとか、ゆとりとかが感じられたように思い出します。
なかなか、予算がきびしくて
家づくりではお金が回っていかない部分ではあると思いますが、
やはり、外部に対して豊かな表情を作り出して、
地域の景観に参加しているという意識も芽生えてくるものなのではないかと思います。

さて、本日も当社2階では
たかたのりこさんの展覧会が開催中です。
スライド上映のセットアップをしたのですが、
やはり、美しい絵はひとをなごませます。
日曜日12日までですので、ぜひ足をお運びください。
詳細はきのうのブログでご確認ください。


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2008年10月06日

アイヌの家・チセ

7445.jpg


二風谷の探訪編2です。
民俗資料館周辺には多くのアイヌの家・チセが展示されています。
写真左側のような住宅です。
間取り的には1間だけですが、ほぼ一定に前室というか、
機能的には「風除室」と言える入り口空間があります。
たぶん、冬場の風向きを考えて入り口の方向は設定されているものと推定されます。

そんなチセのなかに一軒だけ、
布製品を作っている方がいましたので、いろいろお話を伺いました。
こちらは住宅関係なので、必然的に作り方のことに質問が及びました。
まず、アイヌの人たちは結婚を契機としてチセをつくるということ。
それも、大部分は婿のところに嫁が来て、
婿の実家の近くに新築するのだそうです。
婿の側では、新築するのに必要な建築材料を揃えることが必要。
建築プロセスを資料館ではビデオで見ることができましたが、
基本構造は掘っ立て柱を四隅などに立てることからはじまります。
地中に1m近い穴を穿って、そこに周辺で伐採した柱材をしっかり固定する。
次にこの柱に横架材を架けていって、基本構造を作る。
そこに三脚状に組み上げた「柔軟なトラス」ともいえる屋根の構造材を立てる。
これが前と後ろに2つ立てられる。
これをつなぐように、棟木が架けられる。
簡単に言って、こんなプロセスで構造が形作られる。
すべてが周辺の山に入って伐採してくる木材ばかり。
その意味では、労力だけでしつらえられる。
一方で、基本建材になるのは写真右側の「茅」。
壁も、屋根も茅で造作されています。
注意してみると、それらが結束されている。
「茅を切って、一定の束にするのは女の仕事なんです」
と、布製品を作っている女性から聞きました。
彼女は、この茅束作りが得意だったのだそうです。
コタンの周辺には茅の自生場所が確保されていて、
家づくりのための材料を協同で確保していたのですね。
「いまはお馬さんたちの牧場になってしまっています(笑)」
この茅束作り、熟練者で1日にできるのは30束ほどだそうです。
家1軒分には、700束ほどの量が必要と言うこと。
で、こういう茅束を使って、
「縫い物を作るように・・・」
構造材の骨組みをくるんでいくように造作していくのだそうです。
茅束ごと、あるいは四隅など雨仕舞いで慎重な場所では束をほぐしたりしながら
この茅束で家をくるんでいくわけです。
で、構造の骨木材に対して、縄やなめした柔らかい木などで
ちょうど茅束の布を,糸で縫うようにして結束していくのです。
本当に縫い針のような用途の大きな木製針も見せていただきました。
屋根は「段葺き」という造作がされていました。
雨への防水対策で、雨漏りしないように工夫されていました。
壁を先に仕上げて、屋根は軒側から順に上に向かって仕上げていくようです。
地震などへの耐力は、聞いていて、かなりの柔構造なので
「どんな地震にもビクともしません」ということ。
建築の最後には屋根にたくさんの人が登って作業することになるので、
自然に建物が「締まってくる」という効果もあって、
完成の時には、凛とした状態になるのだそうです。
たいへん理にかなった作り方だと感心させられます。
茅は中空の素材なので、内部に空気を保持しているので、
一定の断熱性能はあったものと推測できます。
というか、自然素材の中で、もっとも適合した材料ということが出来ます。

以上のような基本建築費用を考えてみると、
構造材などは建て主の基本労務で集めてくることができる。
茅束を計算すると、熟練者で25日くらいあれば作ることができる。
これを1日人工で計算すると、15000円×25日で、375.000円程度。
こうした材料を、建て主が建築場所に用意しておくと、
あとは日を決めて、集落全体の労力で建築工事にかかるのだそうです。
聞き取った工事内容で考えると、10人程度で10日もあればできそうに思えます。
これも15,000円×100で、1,500,000円程度と考えられる。
その他の結束材などを勘案しても、総工費2,500,000円程度でしょう。
まぁ、人工の計算で大きく違ってはくることでしょうが・・・。
いずれにせよ、当たり前ですが、このような自然素材だけで造作されているのですね。

内部には、大きな炉が作られています。
東北地方の古民家と比較してもかなり大きめであるのは、当然か。
明かり取りと、宗教的な意味合いからかならず窓が何カ所か開けられます。
建具は蓋状のものが考えられています。
確かに冬はきびしい暮らしだけれど、暖房すると、
その輻射熱で、かなりあたたかくは感じていたということでした。
家づくりの知恵の深さにしばし、感嘆していた次第です。


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2008年10月02日

雨仕舞いと換気

7440.jpg


写真は、ここんとこ続いている余市の旧漁家の食料庫。
大人数が生活していくためのコメとか、味噌とかの食品蔵なんです。
現代の住宅では、換気は義務化されていますが、
昔の建物は基本的にスカスカの空気流動の大きい建物が一般的。
そういうなかでも、とくにこういう食品庫の場合は
さらにそういう要素を求めている仕様。
立地的にはこの施設の敷地内で、一番高台に配置されています。
津波などがきたとしても、一番被害が少なそうな位置。
で、建物として特徴的なのは、
雨仕舞いの重厚さ。
雪のことを考えると、屋根の軒の出は
やや少なめにした方が、積雪荷重、端部への雪氷の付着から雪庇から
守ることができると思われるのですが、
その分、太い材を使用してがっしりとした屋根を構成して、
しっかりと軒を出しています。
前面の犬走り(小石の敷き込まれた空間)も幅広くなっています。
その上、出入り口にも小屋がけされていて、
入念に雨仕舞いへの配慮がされています。
軒の出が大きいので、冬期の積雪も建物からやや後退距離が保てそうです。
まぁ、余市は風は強いけれど、海に面しているので
積雪量自体はそう、多くはないところではありますが・・・。
空気流動を建物内に呼び込む工夫として
床高が高くなっています。
見ての通り、4段ほどの階段が架けられているほど、床が上がっています。
このように作ることで、床下空間がたっぷり確保されます。
床を構成する構造材も太い材が使用され、
それらの作り出す格子が大きな開口部を見せています。
そのように建物内部に導入された空気が
小屋上の換気口が見えていますが、
そこから上昇気流で廃棄されていく仕掛けが見えます。
食品などの保存としては、高床式倉庫という
日本的、というか普遍的な伝統技術が踏襲されていると感じます。
あとは食品庫としては、
ネズミなどの食害への対策が考えられていました。
いずれにせよ、理にかなった建て方がシンプルに反映していると思いました。

さて、きのうはおかげさまで、
北海道日本ハムファイターズ、めでたくクライマックスシリーズ進出が決まりました。
2位通過はできませんでしたが、
スカッとした大量得点勝利プラス豪華投手リレーでの完封勝利。
最後の最後で、こういう勝ち方をしてくれるのは、
選手たちの集中力の賜物でしょう。
札幌に移転してきてくれてから、これで4度目の進出です。
ことしは苦しい戦いが続きましたが、
やはり底力が付いてきているのかも知れませんね。
これで10月もまだ、野球を応援できる幸せをいただけました。
他チームファンのみなさんには申しわけありませんが、
なんとか勝ち抜いて、ふたたび札幌ドームにチームが帰ってきて欲しい!
そんなように夢想を大きく持って、応援していきます。
頑張れ、北海道日本ハムファイターズ!!

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2008年10月01日

ニシン漁場の蔵入り口

7442.jpg


北海道の歴史って、日本海側に点在する「ニシン漁場・場所」の建築物などが
建築としては、かろうじて残っているものでしょう。
まぁ、高々200年程度さかのぼれるくらいのものです。
そうしたなかで、ニシン漁というものがどれほどのものだったか、
いろいろ実感させられる資料もありますね。
写真は、そういう漁場主の持っていた富の収納庫、蔵の入り口。

漆喰で塗り固められた外壁なのですが、
入り口は、これでもかという重厚さがみられます。
まず一番内側には、通風を確保させるための網入りの引き戸。
次に外壁と同様に防火性を考えたであろう漆喰で仕上げられた引き戸があります。
その上に、観音開き状の重厚な木製建具が大きな蝶番によって据え付けられています。
この木製建具、自重がどれくらいあるのか、
相当な重量感があります。
もちろん、大人の男性数人でなければかないそうもない感じ。
そして、その建具の密閉性を高めるために、
建物の側に枠が造作されていますが、
5重の段差が付けられています。
それも漆喰で丹念に形作られています。
開口部の下部分には、軟石が据えられています。
万が一の水の進入に対しての配慮で、石は敷居の高さが高い。
一方、建具の側の造作も、枠にぴったり合うように
丹念に造作されています。
締めるときには、こうした段差がぴったりと組み合わさって、
気密性が高く内部を保護するようになっていたものと思います。
鍵も、何重にも厳重に架けられるようになっていました。

現代のような既製品がない時代、
このような開口部とそれを閉める建具は、
ひとつひとつ、手作りで、用途を考えながら、
最善の手段を尽くして、内部の富を守るように作られた様子が手に取るようです。
まぁ、この工事ぶりを見学するだけでも価値がありますね。
この部分だけの工事費用、かかる日数を考えただけでも
再現することは困難でしょうね。

ここまでの大工事を尽くしてまで、
守りたかった富の集積が、ここには存在したということ。
この家は、明治期を迎えて地元に銀行まで創ったということですから、
推して知るべしと言うことでしょう。
ただし、北海道でニシンなどの収奪型産業を経営していたひとたちは
その好景気が去った後には、そこで蓄積した資本を
ほとんどが横浜などの貿易関係に移転させていったケースが多いのだそうです。
明治初期の国を挙げての北海道開拓が急速に熱が冷め、
その後、財閥系に土地そのものがほとんどタダ同然で払い下げられていった。
今日でも北海道の森林はそういう所有が多いと言われています。

そもそも、この漁家のような「場所請負」的な漁場所有形式そのものも
権力との結びつきによる権利獲得プロセスだったのだと思います。
まぁ、いろいろな事柄を残影のように教えてくれる建築だと思います。

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2008年09月26日

木製の外壁保護装置

7435.jpg


余市の福原漁場の続きです。
写真は、主屋の隣りに建っている蔵です。
一見すると、外壁には木が使われているように見えます。
てっきりそうなのか、と思っていたのですが、
それにしては、ところどころ、様子がわからない仕掛けのようなものが見える。
あれはいったい何なのだろう、という疑問が起こります。

そんな疑問を抱えたまま、ボランティアの方の説明を聞き、
内部を見学して、これが総漆喰の壁面だったということを聞いた次第。
日本では海辺に面した倉庫建築として、
漆喰の外壁の蔵というのはよく目にする風景。
それと同様な作りのものなんだそうです。
ところが、北海道では冬場の気候条件が厳しく、
漆喰の壁は劣化が激しく進行する。
その劣化から外壁を保護するための木造のヨロイのような装置が
外壁全体を覆っていたのですね。
しかも、春になったらそのヨロイを外して、本来の漆喰の白壁を
表すように仕掛けられていて、ようするにコートを着たり、脱いだりするのですね!
ところどころ、仕掛けがしてあるのは、
着脱のための装置の結節点ということなんだそうです。

そういう着脱装置、まぁ、よく考えたというか、
よくもまぁ、ちょうどよく保護できるように工夫したものだと感心させられました。
この着脱壁の付け替えの時にも
ひょっとすると、大工さんの手間工事が必要なのではないかと思えます。
素人だけで、この3階建ての建築の外皮着脱が可能とは思えません。
この装置を見て、北海道の自然条件の厳しさと、
ここまでして、夏期の間の日本的景観を優先させるのか、という2つの感想を持ちます。
蔵には、この漁場による利益のすべてが収納されるわけで、
そういう建築に対しての執着のすごさも感じますね。

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2008年09月25日

薪風呂

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きのう紹介した余市・福原漁場主屋の風呂の様子。
これは室内にこしらえられた主人とその家族用の造作風呂。
造作は明治年代のものだと思われます。
薪のストーブ状の装置に対して、
鋳物の蓄熱層があって、それが浴槽の水を加熱するという仕組み。
高温になる鋳物表面が浴槽側から肌に触れないように
板の仕切りで、区分けされています。
湯加減を見ながら、薪を調整していったのでしょう。
薪ストーブ的な部分には表面に鉄板が張られていますから、
けっこうな造作品だと思われます。
また、鉄板で煙突も出しているのでかなり本格的な作り。
なんですが、冬の期間のことを考えたら、ぞっとする風呂。
気密は取れていない建物ですから
室内で直接、火をたけばその分の燃焼に必要な空気は入り込んでくる。
ようするに隙間風は相当に入り込んできてしまう。
たしかに湯の中で体は温まるけれど、
容易に浴槽外でからだを洗うことはできなかったでしょう(笑)。
なんといっても真冬には当然零下20度くらいの世界。
たぶん、日のある日中に使用したのではないかと思います。
それ以外の時間に、っていうか、冬の夜にはちょっと難しかったでしょう。
まぁ、わたしなんかの世代でも、冬に室内の風呂に入るときは
気合いを入れて、手短かに体を洗っていた記憶を持っています。

春から秋にかけての時期にこの建物には
多くの出稼ぎ人たちがいましたが、
彼ら用には、主屋から離れた屋外の小川のたもとに
五右衛門風呂を置いて、使わせていたという説明でした。
冬期間はかれらはここにはいないわけですから、
冬の風呂というのは考えなくてもいい。
まぁ、子どもの学校のこともあるでしょうから、
主人家族はここで冬も生活していたのでしょう。
さて、冬場にはどんな入浴であったのか、想像するしかありませんね。

冬のことを考えたら室内で風呂を使いたいけれど、
そうするといろいろな問題が出てくる。
幼い頃のわが家でも、室内に据えて炊きあげた五右衛門風呂が、
翌朝になったら、湯が氷になっていた、というのは日常茶飯な風景。
そのうえ、結露が酷く集中するのは理の当然なので、
風呂まわりの木材は、ほぼ間違いなく腐ってしまう・・・。
そんなことから、北海道では「地元」のユニットバスメーカーというのが繁盛したのです。
そういういろいろな思いが交錯する写真です。

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2008年09月24日

ニシン漁場の食卓

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最近は北海道内でも、歴史的な建築物の保護再生が進んでいるようですね。
きのうご紹介したような、北海道開拓記念館の活動などが
そうした動きを支えているように思います。
きのうも、小樽の奥の余市にカミさんと出かけてきまして、
いろいろ歴史的な建築物などを見学してきました。
カミさんとこうして出かけられるのはありがたいと思っています。

で、写真は江戸期の「ニシン漁場」内部の様子です。
ニシン漁には、日本海側の東北北陸から多くの出稼ぎ労働力が動員されました。
そういう住み込み労働者に対して、給仕された食堂の様子。
とはいっても、専用に膳を用意するのではなく、
ここでは、床下にごらんのような椅子を据え付けてあって、
その上に普段は架けている床板を外すと、
そのまま、食堂に早変わりして、しかもその床板がそのまま、
食卓テーブルに変身するように工夫されていました。
まるで、ビフォーアフターみたいな仕掛け。
実際に椅子に座ってみると、なんとも寸法がぴったりで、
座り心地も考えられ、しかも食卓までの距離感も過不足がありません。
その上、食卓の高さも床板テーブルの嵩上げ分で、まことにちょうどいい。
椅子の座り幅も極限的に考えられていると感じる幅です。
これ以上狭ければ、用をなさないだろう、ギリギリの寸法。

こうした建築は、日本の作事の伝統の中の寸法感覚という部分の
精妙さをはっきりと認識させてくれます。
まぁ、実用と建築費用との見合いで、
このような部分こそ、徹底的な研究開発がされていたことだろうと推測されます。
とくに、この建築は施主としての漁場主の経済と、
労働力確保のための他漁場との競争の大きな部分でもあったろうと考えられます。
北海道開拓の村に移築保存された「青山漁家」では
「メシはいくら食ってもタダ」というのが、
優良な労働力確保競争の決め手だったということなんです。
そんな経済の流れの中で、このような建築にも反映されている部分。
心地よさというものと、建築寸法などの接点が明瞭に見えます。

きのうは見学にあたって、ガイドさんが懇切ていねいに説明をしていただけました。
いろいろな部分で大変勉強にもなった次第です。
建築は結局、その時代その時代の可能な材料を使って
用と予算のせめぎ合いの中で、工夫を重ねるもの。
先人の建築はさまざまなことを教えてくれていると感じます。

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2008年09月21日

芝屋根のレストラン

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最近、北海道は気温が高い状態が続いている気がします。
もう9月の20日だというのに、日中汗ばむばかりの陽気と日射し。
とくに日射はきつくて、きのうは外で浴びることが多かったせいか、
皮膚に炎症感が起きているほどです。
どうもわたしは、日焼けに弱いタチのようなのですが、
それにしても、「まるで、海水浴帰りの日射しだね」というカミさんの言葉通り。

そんななか、日射しに誘われて、近場を散策。
前から気になっていた、恵庭の「えこりん」というところに行ってきました。
ここは「アレフ」というレストランを経営している会社が
エコロジー風テーマパーク的に作っているモノ。
恵庭の高速を降りてすぐ近くに羊の放牧などを行って
のんびりとした野遊びの場を作っています。
さすがに好天に恵まれて、そこそこのクルマが止まっていました。
わたしたちは、雑誌で見ていた芝屋根のレストランでの食事が目的。
名前は「天満食堂」ということだそうです。
羊さんの放牧が、目にも楽しい施設なのですが、
悲しい人間の性、その羊の料理をウリにしていて、
雑誌の写真で、食べたい、となった次第なのですね(笑)。
以前、阿寒湖の近くにシカ肉料理の店で「バンビ食堂」というのもありましたが・・・。

そういう食欲の他に、
やはり芝屋根の建物というのを見てみたいという欲求ももちろん。
写真の通りの様子でした。
室内も、計算された質朴さ、という雰囲気。
中世ヨーロッパ的なインテリアの雰囲気で統一されていました。
窓も、木の株の真ん中をくりぬいた枠に、窓ガラスを合わせている、というもの。
ただし、不定形の形状に建築工事の方がついて行けずに、
ディテールではコーキングでの荒技(笑)が目立っておりましたけれど。
でもまぁ、室内の暖冷房は地中熱ヒートポンプを採用したり、
補助暖房装置として、暖炉が据えられたりと、
楽しい雰囲気満載でございました。

で、一方、料理の方は羊料理、
おいしかったです。自然な風合いで味わいも風味豊か。
なのですが、お値段は残念ながらちょっと高め。
羊料理を楽しみに行ったので、もうすこし低料金にしてくれたら・・・と
思われる値段でしたね。
たぶん、食材などにこだわって吟味しての結果なのでしょうが、
こどもが楽しめるテーマパーク的なところなので、
家族一緒に食べるとなると、一回で10000円以上という価格では、
気軽には食べられないのではないかと思われます。
長沼町のジンギスカンだと、まぁ、半額以下だなぁ、というのが実感。

食事後、建物外周からいろいろ写真を撮っていました。
やはり芝屋根って、楽しいですね。
周囲の緑と溶け込んでいるので、建物を見つけるのが難しいほど(笑)。
まぁ、たまに行くなら、っていうところでしょうか?


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2008年09月20日

築地塀

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写真は東京芝増上寺の築地塀です。
築地塀って、上等の建築区画を一般世間から画する装置。
古代の東北地方の城柵では、権力の象徴として
整然とした直線の築地塀が結界として使用されていました。
というようなものですが、
さすがは増上寺、徳川氏が江戸に入城して結局、菩提寺の地位を獲得したことで、
大繁栄することになって、権力を誇る築地塀にも格式が表れている。

築地塀(ついじべい)とは泥土をつき固めて作った塀。単に「築地」(ついじ)ともいう。石垣の基礎に柱を立てて貫を通した骨組みを木枠で挟み、そこに練り土を入れて棒でつき固める「版築」という方法で作られる物が多い。塀の上には簡便な小屋組を設け、瓦や板などで葺いたものが多く見られる。古くより貴族の邸宅や寺院、官舎などに見られ、現在でも御所や寺院などで見られる。(Wikkipediaより)

という一般的な工法ではないように、この築地塀は感じられます。
なにより、平版のような石が土の中にサンドイッチされている。
っていうか、見た目では平版を積み重ねたように感じる。
その石も、やはり立派そうな石なので、
やっぱり、その富や繁栄ぶりを表現する意匠性にこだわったものでしょう。
そうした建築工法で作られているので、
高い耐久性を誇っているものと思います。
頂部には小屋も架けられていて、雨による劣化に対しても防御されている。
戦争での被害はなかったのか、わかりませんが、
作られようをみていると、相当の長期間使用に耐えられそうな作りです。
デザイン的に見ると、
礎石のゆがみが、そのまま表現されていて、アクセントになっていて
まぁ、飽きることがない印象ですね。
また、微妙な苔むした色合いも楽しくて、変化にも富んでいると思います。

英語圏では、家の中の壁も、このような区画用の塀も
WALLという同一言語が当てられるそうですが、
そう考えると、日本では木造で建てられる建築の方は壁、というようではなく、
むしろ、西洋的な意味合いのWALLというのは、
このような塀を意味することの方が大きいのではないかと感じますね。
このあたり、日本的ということのなにごとかが
表現されているようにも思います。


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2008年09月12日

優美な円窓

7417.jpg

写真は五所川原で取材した住宅の内部のようす。
和風住宅の内部なのですが、玄関から主屋側がやや段差を持っており、
手すりのある5段ほどの階段を上ると、
長く広い廊下がつながっており、その手前左手にこの円窓がしつらえられている。

円窓って、まずは外部側に建具をこしらえる。
そこに障子を嵌め込み、明かり取りの用途を果たすように仕掛ける。
雨のことを考えれば、雨戸もその外側に造作しなければならない。
そうした保守管理のしやすさも考慮した設計が求められる。
で、塗り壁造作の竹木舞といわれる工程で、
円窓の大きさ、デザインに合わせて下地の作り方を工夫する。
この窓では、竹の組み上げにもデザイン的なポイントが感じられる。
細めの竹を2本組み合わせで使って、
繊細な感じを出しながら、強度的にも持つように考えられている。
その上で、塗り壁工事が左官屋さんの手で仕上げられていく。
まずは円窓の形状に十分に注意を払いながら、
エッジ部分の仕上げには、相当に丹念な手仕事が要求される。
きっと、職人さんの技量が決定的に試されるような仕事なんでしょうね。
鑑定団ではありませんが、「いい仕事していますね」(笑)、という部分。
一方で、障子の側にも桟の仕上げで実に優美なデザインが施されています。
一見すると、不規則性のデザインで、
竹木舞との陰影が生み出す軽やかさは、なんともいえない雰囲気が感じられる。
こういう円窓が、緑の中間色の壁の色合いの中に浮かんでいます。
壁も塗り壁なので、陰影感にまろやかさがあって、
竹や障子の桟の線の造形感との対比が、実に豊かさを感じさせてくれる。

こういうプロセスを創造してみると、
建築職人さんたちの集団的造形作業による「作品」という世界になります。
「和」の世界とか、よく言うけれど、
このように考えると、本当に言葉そのまま、
というような気がしてきますね。
ただ、壁下部が塗り壁ではなく、板壁になっているのがどうも解せない。
用を考えてこのようにしたものかどうか、不明。
でもイマイチ、不釣り合いな印象を持ってしまいます。
古い建築なので、何回かの改装を経験してきて、
本来のかたちからずれてきた結果なのかも知れません。
みごとで繊細な感覚の円窓とはやや似合っていないとは言えると思います。
あるいは、円窓の構造に関わっての必要部分なのでしょうか。

しかし、そういう点はあっても、
こういう雰囲気のある佇まいを演出する、円窓の素晴らしさは決して損なわれていない。
玄関からの導線のなかの最大の結界ポイントとして
こういう仕掛けを考えて活かしてきた日本の建築手法。
やっぱりすごいですね。
しばらく、この雰囲気の中に包まれていたいものだと、思った次第です。
また、こういうの、若い年代のみなさんはどう思われるものかなぁ、
ということも、頭をよぎりますね。どうなのかなぁ?

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2008年09月10日

玄関への採光と屋根

7416.jpg


きのう触れた住宅の続きの写真です。
玄関側の外観の様子なんです。
とくに屋根の形状がずいぶん変わった形になっていますね。
妻入りの玄関ですから茅葺きの屋根が下がってきて
ふつうは雨とかに対して、室内を守るように
屋根はほかの開口させない部分と同様にそろった軒先を見せるのが一般的。
そうでなければ、小屋根を造作して玄関部分を保護するようにする。
ここでは、そのどちらでもなく、
ほとんど見たことのないような仕上げを行っているわけです。
推測してみると、たぶんは「採光」を考えて
茅葺き屋根を後退させて切り上げていって、
玄関前の空間に見える「障子窓」を造作した、ということでしょうか?
その結果、雨への防水の関係上、
玄関先に独立的な庇を造作せざるを得なかった。
しかし、それでも左右の半端に切り上げられた部分はどういうことなのか、
あんまりうまく説明はできない。
でも、こっちも壁上部に格子窓がしつらえられているので、
採光を考えてのことだろうことは、確かな感じです。
真ん中部分との調和を考えて、段階的な屋根ラインとしたのかも知れませんね。
まぁ、全体としてのバランスは失われてはいないので
デザインとしては、まぁちょっと変わっているなぁ、程度の仕上げだと思います。
茅葺き屋根の決定的な問題点はとにかく採光なんですね。
西洋近代の建築が日本に導入されて一番変わったのは
窓にガラスが使われていた、ということの驚きだったのだろうと思います。
こういうガラス窓が、住宅のような一般的レベルで使用されるという
西欧社会の産業振興ぶりが、圧倒的な現実として認識されて
徹底的な受容という日本社会の結論に至ったのでしょうね。

古民家の改修では、まず第1に屋根面に窓が開けられるケースが多い。
生活していて、最大の問題点が採光が足りない、ということなんですね。
この家の場合、そういう条件に対して、
さまざまな可能な範囲の挑戦を行っていたということなのでしょう。
確かに変わった仕上げではあるのですが、
しかし、全体のバランスを著しく壊しているとまでは言えないし、
そこそこ調和も取れている。
いにしえの人々も、住宅の「性能とデザイン」せめぎ合いの中で
いろいろな工夫をしていたんだなぁって、気付かされる住宅でした。

きのうから東京に出張しておりますが、
さすが9月。日中は日射しがきついけれど、
夕方や朝方など、肌寒いくらいな気候に落ち着いてきていますね。
いろいろ天候不順な気候が続いた夏も終わりを迎えてきている感じですね。

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2008年09月09日

津軽古民家の迎え松

7415.jpg

写真は五所川原市内にある古民家の様子。
最近は、地元の古民家の保存を大体、行っていて、
どの街に行っても、そこそこ見学できる古民家があるのではないかと思います。
この家は、旧平山家住宅ということで、重要文化財の指定を受けています。

重要文化財(じゅうようぶんかざい)とは日本に所在する建造物、美術工芸品等の有形文化財のうち、文化史的・学術的に特に重要なものとして文化財保護法に基づき日本国政府(文部科学大臣)が指定した文化財を指す。

ということなので、津軽北部地域の民家様式をつたえていくのに
最適な建築と認定されているものです。
上層農民の住まいとして、藩の信任も厚かったことから、
とくに格式として長屋門が許されていて、
きのう触れた「玄関」もしっかり表玄関が立派にしつらえられています。
こういう表玄関は、普段は使用されることはなく、
賓客が訪問してきたときにだけ迎え入れる場所になるのです。
写真はそっちのほうではない、普段使いの土間玄関の方を撮影したものです。
こっちも玄関の上の屋根に特徴があり、
ちょっと見たことがないような屋根形状になっていました。
複雑な開口形態で、あとで調べてみたいと思いました。
きょうは、その玄関前に植え込まれている松、
よく「迎え松」といわれる松の役割が見て取れた気がした写真です。
普通、迎え松って、もっと玄関位置からは離れて、ちょうど門の位置にあるのが一般的。
それに対して、非常に玄関に近い位置に植え込まれている印象を持ちます。
訪問したのは、日中昼前後でしたが、
この時期の太陽角度に対して、ちょうど玄関が遮光されている様子が明瞭。
普段多くの人間が使う場所なので、
機能性を考えて、植え込む位置をよく考えて立てられたものと思われます。
実際に玄関周辺は、ほっとする清涼感の空気が感じられ、
用のデザインというものを感じさせてくれました。
同時に津軽という土地柄を考えると、冬には防雪というような意味合いも
大きいのだろうな、とも感じますね。
っていうか、玄関にここまで近接しているのは、
むしろそっちの方の意味合いが強いという方が正しいと思われますね。
五所川原のみなさんに気候の特徴を尋ねると、
異口同音に、冬の横殴り、いや地面から、下から吹き上げてくる吹雪をあげます。
そういう冬のブリザードから、建物と外界との安心できる結界としての
玄関空間を守っているのが、この迎え松である、ということだと思います。
小さなディテールだけれど、実用的で、暮らしぶりが伝わってくる
と思われた次第です。
同じ雪国人として、すぐにいろいろな想像力が掻き立てられる。
北海道の人間には、やはりマザーを感じざるを得ない部分があります。

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2008年08月28日

木炭のボード建材

7400.jpg

先日の北総研の研究発表から。
地場の材料で面白い建築材料に利用できないか、という
いかにも北総研らしい研究だったのが、こうした取り組みでしょうか。
共同研究対象は北海道下川町とのもの。
下川町って、リプランでもその動きを伝えていますが、
地場の木材を有効利用することに熱心な取り組みを行っています。

今回研究発表されていたのは、豊富にあるカラマツを使って
それを炭化させて木炭にして、しかも一般的に使いやすいボード状に加工し、
内装建材に利用して貰おうというもの。
そのための基礎的な研究を北総研と組んでやっているのですね。
木炭なので、最近話題になっている室内のVOCなどを吸着する性能が期待できます。
炭化の度合いのコントロールで
構造強度などの性能を犠牲にすることなく
建材として利用できないか、というものでした。
基本的な研究課題として
1 既往の製造方法による木炭ボード
2 準不燃性能の付与
3 強度の向上。配合
4 比重の低減・配合決定・コスト検討・工程の確立
5 表層処理
6 施工方法・使用部位の検討
7 各種物性の再評価
などのポイントが上げられていました。
逆に言えば、こうしたポイントがクリアされれば、
建材としての幅広い利用が考えられるようになるでしょう。

よく見えにくいかと思いますが、
写真では天井の仕上げ材として利用されていて、
黒い素材のデザイン性は、なかなかに渋くていい雰囲気がある。
なんといっても木炭なので、家庭内でのにおいを吸着してくれる性能が面白そう。
古い日本家屋の知恵で、床下に木炭を入れている事例があります。
吸湿性やにおいの吸着性に着目した知恵ですが、
そういう考えの現代版、しかも建材として利用しやすいように工夫されていれば、
利用するには面白い素材といえるかも知れませんね。


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2008年08月25日

既存建築の省エネルギー

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先日の北総研、研究発表会から興味を持ったテーマをご紹介。
第1回は、「既存公共建築物のコスト縮減効果の高い省エネ回収技術の開発」
北海道は全国他地域の平均の約2倍の温室効果ガス排出量。
業務用建築からの排出量も90年時点から53.6%増加しています。
そうした現状を踏まえて、省エネの道筋を考えるために
現状の運用エネルギー構造を分析し、
改善のための方針を考える基礎条件を作っていく研究です。
研究は3段階で構成されていて、
1 実態調査を行い、暖冷房・空調などの用途別運用エネルギー標準値を提案。
2 運用の改善・高効率設備機器への更新などで削減を実現。
3 エネルギー診断ソフト「Dear.H for pubric-fc」を開発提案。
というプロセスがプレゼンテーションされていました。

写真はプレゼンのなかのスライドですが、
運用エネルギーをおおまかに
1 暖房熱源
2 暖房動力
3 冷房熱源
4 冷房動力
5 照明コンセントなど
6 給湯など
7 冷房給湯など
というように仕分けされていました。
それらが、建築用途でどのように違いがあるのかを明らかにし、
それぞれごとに運用エネルギーコスト削減策を考えるのですね。
発表では、こうした仕分けはもともとされているわけはなく
電気料金などの請求書から按分などを考え合わせていく作業の報告がありました。
目的別に電気メーターがあるわけはありませんから、
最後はこういう作業になるでしょうね。

主に電気設備関連の改修・改造処置で、
大きくコスト削減も現実に計られたということで
このようなアプローチはこれから脚光を浴びることになっていくと思われます。
民間の既存建築物については、すでにこうしたアプローチ手法が
北総研HPにアップされているそうで、
ダウンロードして、利用可能になっているそうです。


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2008年08月23日

アトリウム日射遮蔽

7396.jpg


アトリウムって、とくに北海道や寒冷地域では
ニーズの高い空間ではないのかと思います。
温暖地では、こういうガラスの空間は作ろうと思えば、
それこそそれほどの痛痒もなく造作できますね。
・・・とはいっても、ガラスで構成された大空間、
温熱環境の知識がなく無造作に作ってしまうと致命的欠陥をもうみだします。
多くのデザイン賞を受けたような建築で、ガラス壁面隅角部などで
冬期に氷柱が生成するという問題が指摘されてもいます。
それほどの気温低下ではなくても、いろいろ不具合は考えられるのですね。
っていうようなことなのですが、
温暖地においておや、ということで、寒冷地ならば
こういう空間を作るについては、まなじりを決して取り組まなければなりません。
写真は旭川の「北総研」の建物のアトリウムの様子。
上記のような冬の問題は当然クリアされているのですが、
反対に夏場の「防暑対策」も考えられていかなければなりません。
なんといってもガラスなので、日射取得が大きくて
簡単に内部温度上昇が大きくなってしまうのですね。

ここでは写真上部の屋根ガラス面内側に遮光スクリーンを
装置させていまして、その開閉を「人力」で行えるようになっています。
なぜ機械制御ではなく、人力?と聞いたら、
まずは単純にコストが機械制御ではかかりすぎるのと、
暑い寒いのセンサーは人間の感覚に任せた方が対応が早いし、
そのまま、メンテナンスも容易にできるということに期待したということ。
スクリーン面自体は大きい面積なんですが、
開閉操作はきわめて簡略に考えられていて
「ちょっと暑いかなぁ」と「思った人」が即、操作できるということ。
結局、温熱環境維持も、そのようなこまめな対応がうまくいく秘訣。
工学系の研究者のみなさんの方が、むしろ機械コントロールによる限界も
ハッキリと理解しているのだと、好もしく思われました。


さて、残念ながら、残念ながら、っていうことで、
負けちゃいましたね、ニッポン野球。
昨日の試合の様子では、どうもメンタル面で韓国の方が
よりスポーツライクな印象を与えてくれていました。
受け身に対応していた日本に比べて、当たって砕けろ的なチャレンジ精神が
韓国の方がよりくっきりとしていたということですね。
一発勝負のオリンピックのような戦いでは、
やはりそういうメンタル面の戦略というのが大切なのだと思います。
しかし、負けたので、やはり気持ちは落ち込みますね。
こういうときに、どうすべきなのか?
特定の個人を攻撃して、そのひとのせいにする、というのは
結局はなんのためにもならないでしょうね。
そういう安易なことにしたい、という気持ちはわかりますけどね(笑)。
でも、問題はそういう簡単なことじゃないでしょう。
負けたりするのは当たり前、負けていじいじせずにどうやったら
日本の野球がもっと強くなれるのか、
そういう方法を模索するような方向にぜひ行って欲しいですね。
このオリンピックでは、日本野球は残念ながら「完敗」です。
気になったのは、日本の打者の振りの力感のなさ、でしたが・・・。

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2008年08月22日

北総研2007研究発表

7395.jpg


きのうは朝1番で旭川へ行って参りました。
いろいろなスケジュールが重なっていたのですが、
以前からぜひ行きたいと考えていた
北総研の年に一度の研究発表会があったのです。
このブログで、何度か書いているのでおわかりかと思いますが、
北総研というのは、正式名称は、北方建築総合研究所。
北海道がそれこそ開拓使の時代から
取り組んできている「住宅性能研究」のための研究機関なんです。
一地方自治体としては、大変な維持体力をかけて
地域の最重要基本問題に対して取り組んできたことを表すような研究機関。
寒い地域の日本民族の建築、住宅にとって不可欠な解決課題を研究しているのですね。
基本的なこうした研究テーマに加えて、
住宅性能についての省エネルギー要素技術など
企業との共同研究にも取り組んでいます。
この部分では守秘義務部分もあるのでしょうから、
すべてが公開されるわけではないまでも
基本的な技術部分については、この発表会のように
オープンに公開されるのです。やはり公共機関としてのスタンスですね。

で、きのうは朝9時から発表会ということだったので、
家を出たのが6時半。
なんとか間に合いまして、そこから夕方6時過ぎまで
いろいろ旧知のみなさんの顔も見ることができながら、
技術オタクのように、楽しく研究成果を聴講させていただきました(笑)。
どうもだんだん、こういう技術のお話しが面白く感じるようになってきています。
北総研では、少なくとも寒冷地建築が考えなければならないテーマは
すべてといっていいくらい、最先端のものが取り組まれているので、
今後の技術の向かう先とか、
そこにかいま見える現在の状況というのがくっきりと見えてくるのですね。

それにしても、よくこうした研究機関を維持しているものだと
感動の思いを禁じ得ません。
本来であれば、地方公共団体というよりも、
国の研究機関として運営されていくべきだと思うのですが、
日本国家というのは、北方寒冷地に対して
「特殊な地域」という伝統的な認識が強いのですね。
研究員現場段階では、北総研の存在に対しては国の研究機関と同等と
認識しているのですが、上層部ではどうしても地域的テーマという考えが強い。
しかし、そのようなずれが世界的には日本のレベル低下をも招いている部分があります。
温暖地域のマーケットにおもねって、サッシなどの基準が世界的に
立ち後れたレベルになっている、などの事態があります。

会場では、あきらかに意匠設計が得意と思われる
札幌の設計者に出会いました。
話してみると、建築不況の現在、環境建築的アプローチにしか
突破していく方向はないのではないかと考えているようなのです。
結局、日本は技術で方向性を作っていくしかないでしょう。
そんな思いを強くした次第です。
個別の技術発表の内容については、折に触れて書いてみたいなと考えています。


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2008年08月20日

耐震実大実験までやれる施設

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今週は、あした北総研で研究発表会があります。
北総研って、このブログでは結構紹介しているのですが、
北海道の外郭団体で、北方圏住宅の性能を中心に研究している機関です。
地方公共団体が自前でこういう研究機関を持っているというのは、
たぶん、きわめて珍しいケースではないかと思います。
調べてはいませんが、普通は国交省などの国の機関くらいしかあり得ない。
逆に、国の機関としてはつくば市に「国総研」があります。
そこの研究員のみなさんもここを訪れて、
「わたしたちは温暖地のことを、寒冷地のことは北総研に任せますよ」
と、言っています。
実際に設備なども国の機関並みの施設を備えています。
来ていたスウェーデンの研究者が言っていましたが、
北欧の諸国家とも、そう遜色はないレベルのようです。
写真は「耐震実験装置」。
この平盤面上に住宅を建てて、実際にいろいろな揺れを起こして、
その揺れ具合を記録して、実証データを得るものなんです。

北海道の住宅は、まずは寒冷地住宅ということで
基礎が、凍結深度以下にまで深く作らなければならない。
旭川で80cm、札幌でも60cmですので、比較的にしっかり作られる。
そのうえ、屋根は積雪荷重も計算して作られている。
ほとんどが板金屋根なので、屋根の重量も軽く作られている。
というような条件が、耐震性でも有利に働くようで、
ひんぱんに地震が起こる北海道東部地域でも、マグニチュードのレベルと比較して
地震の建物への被害というのは少ないようです。

そんな研究施設なのですが、
年に一度、公共機関らしく、研究の成果を発表しているのですね。
あしたは朝から夕方まで、びっしりと研究発表が予定されています。
昼飯時間まで、施設見学時間に充てられているので
「弁当持参」が勧められておりました(笑)。
広大な敷地が必要ということで、旭川でも郊外に立地していまして
周辺にはあまり繁華街はないのです。
まぁ、久しぶりに缶詰になって、お勉強に行く雰囲気なんですね。
楽しみにして行ってきたいと考えています(笑)。


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2008年08月18日

「いわて住まい塾」

7390.jpg

岩手県って、北海道以外ではいちばん住宅性能についての
建築関係者の熱意が強い、というか、
その情報交換ネットワークが力強い地域ではないかと思っています。
北海道では、官民学のネットワークが
同じ気候条件を共有しているという共感があり、
それを克服することに協同する機運というものがあります。
同様に岩手でも、個別企業の論理を超えていこうというムードがあります。
そういうみなさんが、地域の住宅性能向上を進めようという運動として
取り組んでいるのが、「エコ・ハウスコンテストいわて」。
これは初め、県の主催で行われてきたコンテストをベースに
県の予算が終了したあとも、民間でお金を出し合って行っているものです。
タイトル通り、性能に力を注いでいる住宅に対して
それを顕彰し、一般ユーザーの関心を高めたいというもの。

ことしは9月6日(土)に一般ユーザー対象の
「いわて住まい塾」というイベントが行われます。
一般ユーザー向けのイベントって、なかなか集客も難しいのですが、
特定企業のみの立場を離れたイベントなので
本音の住まいの情報、知識を得ることができます。
わたしも講演を依頼されていまして、ユーザーのみなさんの家づくりの参考になる
お話しをしたいと考えています。以下、案内文の抜粋です。


「エコ・ハウスコンテストいわて」では県内のエコ・ハウスの普及を願って
「いわて住まい塾」を企画します。
「特定の企業」に偏らない “公”の立場で、よりよいと思われる情報を提供する場です。
どなたでも参加できます。

会場: aiina いわて県民情報交流センター8F (803会議室)
第1回、第2回とも同じ会議室 (定員100名)
2008.9.6 土曜日 12:30 開講 (12:20受付開始)
第1回
<第1部>
12:40-14:10
改修・改造のお話・・部分的に直すか、大規模に直すか、いつ直すか?
 北海道でも断熱改修、耐震改修、バリアフリー化は見直されている
<第2部>
14:20-15:40
建築のお話・・空間構成、間の取り方、壁、窓、屋根、床、内装、構造
・・長持ちを軸に考えると・・・
<第3部>
15:50-16:50
設備のお話・・暖房、給湯、換気、家電 ・・・暖房燃料代高騰
・・暖房エネルギー半減の為に!エコ眼で見てみると、小さな設備を長く使う事、修理を前提に考える・

2008.10.11 土曜日 12:30 開講 (12:20受付開始)
第2回
<第1部>
12:40-14:10
エコ・ハウスに入居されている施主を交えた討論会
住まいとは・・お金、住宅性能・数字の先にあるモノ・・・・
<第2部>
14:20-15:40
資金計画(ファイナンシャルプラン)・生涯住居費を考えてみる!
生涯収入の中から居住費をどの程度当てるのか客観的にお話ししていただきます。
<第3部>
15:50-16:50
インテリアデザイン・家具・照明・色調・・心地いい居場所をつくる
お気に入りの家具たちに囲まれて過ごす心地よさ・・・

参加費:資料代1回、2回、各500円、参加は一部参加、全体参加は自由に選択できます。
事前申し込みは不要です、当日会場にお越しください。
詳しくは  http://eco-con.jp/
問い合わせ先 Email: nagadoi@mac.com TEL 080-5550-3566 長土居
主催: 「エコ・ハウスコンテストいわて」実行委員会
後援: (財)岩手県住宅センター、Dotプロジェクト、NPO環境パートナーシップいわて、
岩手県地球温暖化活動推進センター、INS住まい環境研究会
特徴: この住まい塾は情報の提供を目的としております、住所・氏名をお尋ねすることはありません。

ということです。
ぜひお近くのみなさんにオススメいたします。
家づくりの参考になるイベントだと思いますので、どうぞよろしく。


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2008年08月16日

略奪可能な食品庫

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写真は奄美地方から移築して神奈川に再現された「倉」。
すごいんですよね、植生なんかをみると
わたしのような北海道から見に行く人間からすると
熱帯の、ポリネシアくらいな感じを持つ。
夏期は実際、神奈川ってそれくらいな気候地域ですよね。
聞いてみたら、沖縄からの移住者が多いとも言われています。
気候風土的に太平洋型の海洋性気候が共通する部分なのでしょうか?

で、この建物、用途としては食品を保存する倉なんですね。
「高倉」というネーミングはそのままでもある。
こういう熱帯の気候地域では、
なにより食品を乾燥状態で保存させるというのが大問題。
縄文の時代にむしろ北日本・東日本の側が生活しやすい地域だった
とされている理由には、食物保存の方法が
「寒い冬」という天然の「保冷装置」が得られたという理由が大きいと
聞くことがあります。
秋に大量に獲得できる食料が、雪という冷蔵庫で長期保存できたと言うことなんですね。
一方で、南方型の気候地域では、
冬もものが腐りやすく、長期保存に適していなかったということ。
そういう現実をどのように克服するか、というテーマに
この「高倉」は応えている生活装置なんですね。
以前に「吉野ヶ里遺跡」は2度ほど見に行っていまして、
コメ生産社会と、このような長期保存装置は一体として進化してきたのだと
認識させられましたが、その建築的仕様はより南方の
こうした地域からもたらされたものなのでしょうね。

逆に言うと、こうした高倉が遠望されれば、
その地域には「略奪可能な」長期保存食が貯えられている、という証拠でもある。
その「富」を狙って他地域の支配者が略奪を試みたのでしょう。
きわめてナマな戦争の、戦いの基本的な動機なんだと思います。
隣の芝生はきれいに見える、みたいなもので、
このような高倉建築はわかりやすい動機を養ったのでしょうか。
そんなDNAに刷り込まれた感覚の部分、きっとわたしたちにも残されているのではないかと
想像してしまいますね。

建物としてみれば、
やはり通風に配慮していることが明白。
湿潤な気候の中では、このように床下空間を全開放させて、
通気させるのがもっとも理にかなっています。
こういう場合で一番心配されるのはネズミの食害でしょうが、
ここでは4本の柱上部に「ネズミ返し」の工夫が施されていました。
「食」の安定確保がなによりも最優先されてきた歴史を
まざまざと視覚的にも体験させてくれる建築だと思います。

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2008年08月14日

光の制御

7386.jpg

西洋近代主義が導入されて、近代的な工業製品を住宅に利用するまえの段階では
ごらんのような光の制御方法が日本家屋では一般的。
というか、窓を開けるというのが大変技術的にも手間がかかっていたので、
こういう床の間空間を照らすような外光の導入のように
ハレの間に対する特別な仕掛けくらいしか、
一般庶民の住宅では窓を開ける習慣がなかったに等しい。

自由に窓を開けられるようになってから
まだ、高々70〜80年程度の時間しか経っていないのでしょう。
日本家屋では、伝統的に大きな窓というのは
縁側に面した開放できる建具、というのが代替してきていた。
その「窓」からの眺望はたいていが庭を見晴らすように仕掛けられていた。

写真のようなスペースは
外光をコントロールして、窓辺にやわらかい灯り空間をもたらす。
なので、「書院」というような言い方をするのでしょうか?
たしかに書物を見るにはもっとも適したような仕掛けが得られている。
「学ぶ」というようなことへの態度が、
知らず知らずに背筋が伸びていくような環境装置とも言える。
個人的な体験というか、感覚では
こういう明かり取りの障子の桟に不思議と愛着を感じる。
じっとしていると、桟木で区切られた枠をタテ横斜めと頭の体操よろしく
いろいろに眺め回すようなことがよくある。
それが畳の組み方の連続性・規則性とあわせて、
日本人の算数能力の基本を形成していたのではないかと
根拠曖昧ながら、ずっと思ってきている次第です。どうなんだろう?

きのうは朝早くから一家でお盆の墓参り。
つかの間の夏休みに突入です。
でもことしはオリンピックで、休む間もなくあれこれの競技。
鍛え抜かれた選手たちのパフォーマンスは素晴らしいですね。
勝つこともあるけれど、残念ながら力を発揮できない選手でも
全力を発揮する様子に、つい力がこもりますね。
何もできないうちに負けてしまう選手たちに不思議と思いが募ってくる昨今。
スポーツの楽しみ方も変化してくるものなのでしょうか(笑)
がんばれニッポン!

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2008年08月11日

伝統的な半外部空間

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先週末くらいから休暇入りという人も多いようですね。
最近は帰省、という夏休みスタイルはどうなんでしょうか?
日本って近代化がヨーロッパの国より4倍のスピードで達成されたと言われます。
その過程で農村から都市へと労働力の移動が起こり
都市への人口集中が急激に始まったのですね。
そのなかで、それまでの農本主義的な田舎社会から
都市居住の労働形態に変わって、年に数度田舎に帰るというのが
基本的な夏休みスタイルとして定着したのでしょう。
時間を短縮して、一気にこういう事態が起きたので
集中豪雨的に「民族移動」的な帰省風景というものが定着した。

しかし、そうした急変化はいまでは落ち着いてきていると思う。
集団就職で都会に移住した人々のこどもたちにとっては
その都会の家、大部分がニュータウンとして開発された団地的な街が
「ふるさと」になってきているのでしょう。
写真で見るような夏の日の日本家屋の風情というのは
もう、かなり歴史的な光景になりつつあるでしょうね(笑)。
長寿社会になって、祖父や祖母がこういう田舎に住んでいて
そこに親が帰省するのに、孫が付き合っているのかどうか、
っていうのがいまの実相に違いないでしょう。
一方で、孫たちはそういうニュータウンに「帰省」しているのかどうか、
ちょっと興味は持ちますね。

なんですが、日本再発見的に見て、こういう写真のような光景が持っていた
生活文化性の部分に強くイメージが掻き立てられます。
なんていうか、非常に開放的な野遊びの世界がこの半外部を起点として
起こっていく予感を感じさせてくれるのですね。
逆に右の壁の中には、否応なく「家」という格式的な世界がある。
それこそ、神棚や仏壇、家族の座る位置も決められているような世界。
その「結界」としてこういう半外部空間があった。
こういう部分に板敷き、スノコ状のものが据えられているというのは
機能性がきわめて高い。
それこそ、どろんこになって野山を駆け回ってきて
こういう場所で足の泥を洗い流して
家に「上がる」というのが一般的な習慣。

先日も親類が集まる機会があったけれど
10代のこどもたちは、そういう食事時でも
膝元に置いたケータイに目を落としたりしていて
会話の糸口もなかなか求めることができなくなっている。
こどもたちの「遊び」の世界がまったく世代わりしているのが現実。
いまではアクティブな遊びの世界の部分が消えつつあり、
こういう中間的領域の意味合いが民族的な記憶から失われるのかも知れませんね。


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2008年08月08日

都市型豪雨

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なんとも傷ましい事故が報道されていますね。
首都圏の一部を襲ったゲリラ豪雨。
下水作業中のみなさんが流されてしまったという事件。
うちのスタッフも当日、東京都内で行動していて動けなかったそうです。
雨の降り方がまるで南の島のスコールのようになっていて、
その辺は温暖化の進展を表していると思うのですが、
東京都市圏を見ていて、やはりコンクリート護岸、コンクリート河川
というものの影響が大きいのではないかと思うのです。

コンクリート護岸は、至る所の河川がそのように管理されていて、
それはそれでメリットもあるのだろうと思うのですが、
人間の都合に自然現象をすべてあわせようと言う考えはやはり破綻する。
コンクリート化された河川は、「一気に」増水するのでしょう。
上流地域で集中的に豪雨が発生すると
下流では全然雨が降っていなくても、河川は増水する。
そのスピードがものすごく早くなってきている。
しかも下水道の場合、危険性を目で確認することもできない。
なんとも恐ろしいメカニズムになっているものですね。
で、道路ではないけれど、こういうコンクリート護岸も
定期的なメンテナンス費用もかかってくるだろうと思われる。
大変厄介な問題です。

治山治水という言葉があるように、
河川の管理は、権力が常に「治める」ことを求められる基本要素。
そういう意味で考えると、現代の治水は
この傷ましい事故が象徴的に示すように、大変難しい状況になってきている。
ヨーロッパなどでは、一度コンクリート化された護岸を
再度自然に戻すような工夫をしているということ。
自然的なショックアブゾーブ能力を再生しようという考えなんですね。
はたして、大集中している首都圏地域のような場所で
もう一度そのように考え方を変えて取り組んで行くことができるものかどうか
サスティナブルということを考える意味で、
大変重要なポイントになる事柄だろうと思います。
みんなで大きな知恵を絞って行かなければならない問題でしょうね。
<写真は東京・隅田川の護岸の様子>


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2008年08月06日

土間の心地よさ

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いつも感じることなんですが、
現代に建てられている住宅と、古民家を比較して
最も顕著な違いは、土間の有る無し。
古民家に行って土間がないという住宅はまずありえない。
土間って、広大な土という調湿作用装置とも言えます。
なので、夏の暑い時期には土内部に蓄えられた水分が
気温上昇に伴って気化熱を奪って行くので、
相対的に室内の気温を下げる効果があると思います。
そのような基本的な室内環境演出装置という性能的側面があるのですが、
同時に、室内での土間って、自由な作業スペースとして
実に快適な装置だと思われます。
多くの用途としては、農家などでは雨の日の作業スペース。
商家や町家でも、仕事上の作業スペースとして重宝していた。
家というのが、生業を支える労働の場でもあったということをあらわしているのですね。
で、そのほかにも多くの場合、かまどや流しといった調理装置も置かれていた。
床が張られたスペースがひたすらに休息的な場であるのに対して
土間って、大変アクティブな生活空間だと思います。

こういうスペースが、現代住宅ではなぜ絶滅に近いのか?
というのは、たぶん、高成長時代の多人数家族の個室確保のために
なによりも「床面積」至上主義が行き渡ったということが大きい。
そして、住宅が手仕事的に丹念に設計施行されるのではなく、
大量消費的社会の中で、売り買いの対象となったことで、
床面積と、なんLDKというような流通指標が家を
客観的に表現することになったのでしょうか。
逆にいえば、そういう指標表現でもっとも有利なように
何とも表現できない、土間のような「残余」的なスペースが敬遠されたのでしょう。
さらに言えば、生産活動・労働活動と住まいが分離したという結果、
家の中にこういう作業スペースが必要とされなくなったことも大きい。

ということなんですが、
どうなんでしょうか?
これからの時代は、たとえば高齢者の住まいを考えると
部屋数がそんなに重視されることは少ないだろうし、
趣味的な空間の方が、欲求が高まってくると思う。
そういうときに自由度の高い土間は、すてきな空間とは言えないでしょうか?
熱環境的にも、基礎断熱を採用すれば、土間の蓄熱性って
大いに活かして使うことができると思われます。
そうなれば、夏涼しくて、冬暖かい基本装置にもなりうる。
なによりも家の中に開放的な空間ができることで、
快適性が著しく向上する。

そろそろ、LDK神話から目覚めてみませんか?

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2008年08月04日

豊かな食の装置

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写真は古くからの商家のなかの土間にしつらえられた「かまど」。
3口もの鍋穴が開けられていて、
大量の調理が可能になっていました。
住宅というものは、なによりも寝食、ということばがあるように
安全に寝ることと、心安らいで食にありつける、というのが基本要素。
安全に寝られる、というほうは社会的な安全性にも機縁するので、
住まいだけの問題ではありませんが、
食べる方は、常に家が中心であり続けてきた。
外で食べる、というようなことはよその家に呼ばれるとか、
冠婚葬祭くらいしか、機会がなかったでしょう。
日本の律令時代の税に、各地の名産品を取り立てるとか、
国司などの高級官人が赴任するときにその地で歓迎の接待を地元民に強制する、
というような「ナマ」な税制、システムがあったのですが、
それくらい、「外で食べる」ということは希少価値だった。

したがって、食という基本は、
ひたすらに「住まい」の基本要素であり続けてきた。
この「かまど」、大変立派なものでびっくりしたのですが、
基本的には赤土のような土で固めて焼成させたものでしょうが、
そのうえから焼き物を仕上げるように平滑な表面仕上げが施されている。
一種、工芸品的な仕上げになっているのですね。
こういう仕上げというのは、家の持ち主のDIYになるものとは思われない。
この家が商家ということで、都市住宅だったので、
たぶん、こういう造作作事をなりわいとする専門家が存在したのではないかと思います。
ほかの住宅要素と比較して、飛び抜けて豪華さを感じさせる。
この商家には住み込みで働く奉公人が中2階に多数いたようなので、
このような大量調理道具が必要だったのでしょう。
現代のシステムキッチンと比較しても
その実質的な生活実態の豊かさのレベルがしのばれる。
遠く生家を離れて奉公する人間たちに、
擬似的な家族的共同性を植え込んでもきたとも思われます。
現代の、個住とコンビニという生活実態と比較して、
どちらに「豊かさ」があったのかといえば、論を待たないのではないでしょうか?
どうも、わたしたち現代人の貧しい暮らしというものが
身に迫って感じられてなりません。


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2008年07月29日

200年住宅とオール北海道

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さて、このブログでもいろいろ取り上げてきている
国交省の「200年住宅・超長期住宅」補助金政策。
600数十件の応募に対して、第1回の結果としては40件が認定されました。
新築の分野での提案では、採用率5%ほどという狭き門だったようです。
で、そうしたなかで北海道が公共団体として取り組んだ
「北方型住宅ECO」の採用が、注目されているようです。
やはり住宅性能の日本最先端地域という地域らしさが端的に表れたということでしょうか。
他の地方公共団体でも、「どうして北海道は採用されたのか?」
という声が上がってきているようです。

わたしどものような北海道発で東北関東と、
エリアを徐々に拡大している雑誌からすると、
あらためて北海道が官民挙げて住宅性能向上に心血を注いできた意味が
こういう機会に再確認できた、という思いがしてきます。
いわば「オール北海道」で取り組んできた大きな流れが背景なのですね。
採用に至った経緯は、それこそ国交省や、審査委員のみなさんの考えでしょうから、
発表通りを見るしかありませんが、
そこではやはり多様な工法に対して一律な住宅性能の要件条件で応募したという、
住宅性能に対するスタンダードな取り組みが認められた側面が大きい。
住宅性能のことというと、とくに関東以南地域では
「外断熱でないとダメだ」とか、
「うちの言っている工法でないとダメだ」
というような宣伝工法が大流行しています。
でも今回の採用されたものを見てみると、
そのような考え方の応募はきれいに全滅しています。
ようするに住宅性能の数値条件がしっかり実証されて満たされればいいわけで、
「だからダメ」という他者誹謗による自社宣伝は通用しませんよ、
と断言されたに等しいのではないかと思います。
そういう意味で、北海道が提案した「北方型住宅ECO」では
気密性能や、断熱性能レベルを明確に数字のみで規定しているのです。
そして、そういう条件に自ら自信を持ったビルダーさんたちが
手を挙げて参加したというものなのですね。
このような姿勢というのは、これまでの北海道の取り組みの積み重ねが
大変大きなウェートを占めている部分なのだろうと思います。
この北海道の挑戦が、大きな意味を持ってくるのではないかと思っているところ。

写真は、きのうも触れた「大工学校」でのひとこま。
こちらは窓サッシの納め方詳細手順実演です。
防水を主に、実に様々なノウハウの蓄積が詰まっているプロセスだと感じました。


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2008年07月28日

気密化について

7366.jpg

木造の建物で、室内の環境をエネルギーロスなく
温熱環境を維持するためには、それがコントロール可能になっていなければなりません。
これまでの日本家屋ではそういうことができなかったのが
生産のプロセスで「気密化」施工を上手に組み込むことができたことが
温熱コントロール可能な住宅に進化できたワケです。
写真は、新住協が年に1度程度開いている「大工学校」でのひとこま。
床まわりの気密化工事を実演しているところ。
北海道では木造大工さんにはいまや必須の技術といえますが、
その手順などを再度、こういう機会に実演し、確認しているのです。
新住協では全国でこういう機会を提供していて、
はじめて目に触れる技術者の方や、再確認するかたたちが集まってきます。
まぁ、わたしなんかも具体的な手順や確認ポイントなど、
大変勉強になりました。
鎌田先生からは、ぜひ現場の大工さんたちにたくさん来て欲しい
という希望が出るのですが、案外又聞きになるケースがおおいそうです。

今回、北海道が地場工務店などを組織化して
「北方型住宅ECO」という超長期住宅生産運動に着手するのですが、
そこではこの「気密化」レベルとして、
床面積1平米あたり、相当隙間面積で1cm平米以下、という基準が示されています。
北海道では多くのビルダーさんが当然のように
写真のような気密化施工に慣れていて、
いま、高気密高断熱を謳っているビルダーさんでは
0.2とか、0.3などというレベルが語られるケースが多い。
しかし、北総研のかたが「くれぐれも」と、念を押していましたが、
気密施工は実際に計測して結果を確認するわけで、
これまでのケースでも、実際に計ってみて達していないという場合も多いのだそうです。
普段、この程度はなんでもない、技術的には解決済み、と考えていると、
いざ、待ったなしでやってみるとそうでもない場合があるそうです。
今回の「北方型住宅ECO」では
万が一、このレベルを守ることができない場合には、
現実的にはそこに到達するまで再施工してもらうことになる、という対応が示されていました。
再施工ということは、壁の中まで還元してやり直しになるので、
たぶん、建築会社はもうけはすべて吹っ飛ぶことになる。

実際の施工方法を見ていて、
よく考えられているな、と感心できる部分と、
やはり、こうした工事には大工さんの慣れが大変重要と感じます。
最初の2〜3軒までが大変で、それ以降は
身についてしまえば、施工手間といってもそれほどはかからない、
だから高断熱高気密だからといって、
コストが大幅に上昇する、とはならないということなのです。
なんとか「北方型住宅ECO」ではすべての住宅が一発でクリアして欲しいものですね。


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2008年07月26日

北海道版200年住宅スタート

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きのうも触れた、国の超長期住宅・200年住宅事業に応募して
地方公共団体としての北海道が地域の工務店などを組織化して
地域住宅運動として取り組もうという
「北方型住宅ECO」。
昨日朝10時から、北海道中のビルダーさんたちが結集して
事業主体となる「協議会」の総会が開かれました。
いくつかの議題に即した話し合いが行われましたが、
結局、申請総額8億円を超えた交付金が、2億5千万円ほどに減額されたことを受けて
400軒という新築住宅総数が、123軒に減ったため、
その割り振りをどのように仕分けるべきか、
その考え方を調整し、決定するという「全部やる」会議でした。
その前段では97社からある参加企業の「代表」を決定するという
脂っこいテーマもあって、薄氷を踏むような会議プロセス。
会議テーマをはじめて目にしたとき、
これを2時間の時間でまとめるのか、と多難を予想したのですが、
まずは提案通りの結論を得ることができたのは、
道庁建築指導部の日頃からの各社との信頼関係の構築が預かって大きかったと思われます。

主要なテーマである、123軒の総数を97社に割り振る件は、
基本的には各社に1件ずつを割り振った上で、
ちょうど選挙の「ドント方式」を想起させるような手順での「調整」。
大変日本的なシステムだなぁと、感心してしまいましたね。
こういう業界調整の部分、
いろいろに言われたり、批判も浴びる部分ではあるのですが、
会場からは安堵するような雰囲気が流れており、
一部出席者から、1件ずつ割り振るのを止めて全部に対して「ドント方式」を、
という意見も出ていましたが、
調整としては順当でやむを得ない、という「落としどころ」だと思いました。
まぁ、ものごとはすべてが竹を割ったようには進まない。
そういうなかで、「知恵を絞る」というのも必要な部分ですね。

さて、このような経緯でしたが、
こうした全プロセスをすべて報道関係にも公開しながら調整した
北海道建築指導部は、よく頑張られたものと思います。
そして、ようやくに離陸できた「北方型住宅ECO」、
こうした住宅の一斉着手が全道でひとつの目的に向かって行われるというのは
大変、画期的なことだと思います。
その前向きな部分におおいに注目して、この場でもそのプロセスを
折に触れてお伝えしていきたいと考えます。
日本の一番北で取り組まれる、住宅性能に着目した超長期住宅の大規模な取り組み。
ぜひ、全国のみなさんも注目ください。
なにより、他の200年住宅の取り組みの多くが
大手ハウスメーカー主体になっているなかで、
地方公共団体と、地域工務店を主体として地域ぐるみで行われるというのは、
大変に意義深いことなのだと思います。

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2008年07月23日

住宅環境技術の国際交流

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写真は北総研を見学しているスウェーデンの換気技術者の方たち。
このときには北海道内で換気などの講演会があって
そのために日本に来たのです。
で、北総研の研究技術の様子を興味深そうに見学していました。
住宅を巡っての技術の世界というのは、
寒冷に対する防寒の技術というのは基本ですが、
それ以外の部分では、その土地での条件によって違いが出てくる。
とくに大きいなぁと思われるのが積雪条件の点。
というか、日本の西海岸側地域というのは
世界的に見ても大豪雪地帯だ、ということを認識させられます。
この北総研では雪を床下に溜めて、暑い夏の時期に冷房に利用していますが、
こういう部分は世界的にも珍しい研究なのかも知れません。
豪雪の地域は他にも多いのでしょうが、
まとまった人口がこういう大豪雪地帯にたくさん住んでいることが変わっていると思われます。
そういうことなので、札幌のように屋根が建築時期によって
大きく様相を変えているという特色が生まれてくる。
北欧も決して雪が少なくはないけれど、
屋根形状がフラット、というようなものは記憶にない。
基本的に雪は空地に落とすという考えで処理しています。
それに対して、さすがに日本の大都市ということで、
札幌では、隣地との間に空地はなかなか確保できなくなってくる。
いまは郊外地域でも60坪程度が基本的な広さ。
そのような条件では難しいのですね。
無落雪屋根という世界的に珍しいデザイン形式が広がっているというわけ。
こういう屋根にすることで隣地との雪のトラブルが回避されたのです。
でも、そうすることで、いろいろな問題も次々と発生してきたのですね。

でも、最近では屋根のないデザインを見て
その制約のなさにデザインの自由さを感じるという本州地域の設計関係者も多い。
何が幸いするかわからないので、
こういう条件を逆に活かす工夫も必要なのかも知れません。


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2008年07月11日

サスティナブルを考える

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いつも住宅のことを考えているような生活をしていますが
そうやって考えてくればくるほど、
日本的なシンプルな住まい、ということを考えるようになります。
歴史年代的に見れば、わたしたちの民族的な住宅体験は
圧倒的に写真のような竪穴式住居が長かったと言えます。

現代の自然素材への強い希求とかのベースに
こういう住宅体験がDNA的に色濃く根付いているのはないかと考えるのです。
縄文の時代では採集を基本としながらも
定住も見られて、食料植物の栽培も行われていたようです。
縄文時代の食素材は、驚くほどに豊かだとされています。
いろいろな素材をまんべんなくバランス良く食していたようです。
縄文時代には圧倒的に人口は東日本に集中していたという説が有力。
適度に寒冷で、秋には自然から様々な食素材の恩恵が得られた。
そういう素材を、長期保存してくれる寒冷な冬が冷蔵庫代わりにもなった。
そういう条件を持たない西日本は、生きにくかったのですね。
海産物なども秋に回遊してくるサケなど、
非常に豊かな恵みをもたらしてくれていた。
縄文の貝塚に見る食素材の豊かさに比較すると、
たとえば古代律令国家の東北侵略拠点・胆沢城での下級官の食事などは
米と一汁一菜というバランスの悪いモノであり、
食生活の様式で見て、蝦夷の伝統的食生活〜たぶん、縄文的な要素も残っていたと思う〜
と比較すれば、ヤマト的暮らしに「まつろわなかった」のも
理解できるような気がしてくる。

こういう生活空間の構成のシンプルさ、
架構造の力強さ、屋根の萱などの湿度調節作用など
非常にサスティナブルな住居と言えるのではないかと考えられます。
現代のわれわれが、新建材固めにして
現代的快適性基準を追求してくるのだけれど、
色々考えれば考えるほど、
こういう住空間に教えられることが大きくなってくるのですね。
少なくともこういう自然素材に囲まれた空間は、
自然への単純な共生感覚をもたらしていただろうと考えられます。
こういう空間に戻ることはできないけれど、
その心地よさへの想像力は失ってはいけないでしょうね。


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2008年07月08日

省CO2推進モデル事業、結果発表

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相次いだ国土交通省の肝煎り「モデル事業」募集。
総額の国費が半端でない200億円近い金額。
サミットの関係で間に合わせようとしたものと思われますが、
その応募結果の発表が、国交省HPで発表されていました。
http://www.mlit.go.jp/common/000018273.pdf

きょう触れてみたいのは、「省CO2」のほう。
まぁ、どちらも似た傾向にはあるのですが・・・。
結果を見ると、モデル事業とされたのは、
ハウスメーカーが3社(三洋ホームズ・パナホーム・積水ハウス)と
アトリエ天工人(テクト)+金沢工大の先生の提案。
写真は、その選考の講評の概要部分です。

一番最初に出てくるのが
「既存設備の単純な組み合わせでは不十分」というモノ。
こうしたコンクールの場合、選考基準を明確にするというのが
大前提だと思われるのですが、今回の募集要項を見ると第1回ということもあって
抽象的な、雲を掴むような内容。
で、選考の講評になって、こういう文言が突然出てくる。
この事業のはじめから危惧されていたのが、
選考委員はほぼ全員が大学の先生と官僚機構のみなさんという点。
住宅という市場の実態を本当に知っているのか、
霞ヶ関の机上と、アカデミズムの殻の中からしか
日本のいまの住宅マーケットを見ていない。
「先導的」と考えられる企業はハウスメーカーであると
結論づけているのが今回の結果になったわけですが、
日本の住宅はそういう風になるべきだと考えているのでしょうか。
ハウスメーカーというものが、革新的などういう活動を行ってきたのか、
そういう市場に対する判断力がなければ、
こういう事業は軽々に着手すべきではない。

住宅は長期にわたって建築されるモノであり、
設備などもさまざまな実証を経て、その耐久性であるとか
持続的安定性というようなモノがなによりも大切な分野だと考えます。
確かに「選考する」という作業からすれば、
こういう後出しジャンケンでしか判断できないというのは理解できる。
しかし、そうであれば、いきなり巨額の税金を投入するというのは避けるべきではないのか。
ルールを決めていない段階で競争した結果、
名前ばかり有名な企業だけが残ったのではないか、と言われても仕方ない。
ハウスメーカーの応募内容も見てみたのですが、
「今回の選定について」の基準から考えて
どこに選考に値するのかと、疑問を感じざるを得ない企業もあります。
または、CO2削減競争を住宅の住まい手に仕掛ける、みたいな提案が
採用されてもいるのですが、こういうことが実際にできるものかどうか、
よく考えていただきたいと思われます。
北海道で地元ビルダーと大手ハウスメーカーが
省エネをテーマに住宅団地を形成したあとで、
住民同士、暖房用灯油使用量を比較しあって、ハウスメーカー住宅の住民が
憤慨してしまったというようなことが実態としてあるのですが、
そういう実証をともなわないで、言葉とイメージの提案だけで
こういう施策を実行させるというのは、どうも腑に落ちません。

多くの優良なビルダーさんの提案が落とされて、
採用された提案内容を見ていて、まさに不条理の思いを抱く次第です。
みなさん、いかが感じられるでしょうか?


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2008年06月26日

窓の内開き、外開き

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写真はわが家の書斎の窓です。
窓はスウェーデンのメーカーで日本でノックダウンしているもの。
木製3重ガラス入りサッシです。
北欧の考え方は、だいたいがこういう滑り出し・回転窓というもの。
窓の開け方としては下端についている取っ手を回してロックを解除し、
それを正面方向に押し出す。
そうすると、10cmくらいいったところでストップする。
「チャイルドロック」という機能です。
子どもが操作して誤って窓から落下することを防ぐ仕組み。
で、そのロック解除ボタンが窓枠中程に赤いものがありますので、
それを押しながらさらに窓を正面外に向かって押し出すと
さらに大きく開口していきます。
その分、外側に出っ張っていくので、一定の隣家との感覚が必要なのは論を待たない。
で、さらに開いていくと今度は窓が回転していくのです。
そうして、外側ガラス面がこちらを向くようになる。
という具合で、ガラスを拭くこともできるようになっているワケ。

このスタイルに対して、
外に開くのではなく、家の内側に開いていくタイプがあります。
先日の旭川の最新住宅見学の折りにいくつかの家で採用されていて
ちょっと珍しく感じました。
玄関ドアでもそうだけれど、日本人的な感覚としては
ドアを「開いて」という感覚は外に押す感覚になっている気がする。
それに対して、内側に開くというのは
どうも感覚がだいぶ違う。
一般的には建具を左右に「引き違い」にスライドさせる開口部、
というのが日本的な伝統スタイルといえるでしょうが、
窓の「気密性」という意味合いからは、開き方は上記のどちらかのほうが合理的。
北海道は、合理的日本スタイルの実験場みたいなものなので、
ここで受け入れられたインターナショナルスタイルが日本全域に広がる素地を持っています。

まぁ、内開き、外開きとも
それぞれメンテの簡便性、使い勝手の良さというメリットを持っているので
最終的には「北国に住む日本人の感性」が選択していく部分だと思います。
さて、どういうふうに選択されていくものか、興味がありますね。


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2008年06月24日

進化が待たれるヒートポンプ

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いまや企業業績でも、トヨタの利益を
海外原材料の輸入商社主要5社の総利益の方が上回ってしまっているそうです。
簡単に言えば、経済が原材料資源のほうに価値が集まってしまって
加工産業、製造業産業が、世界的な資本主義マーケットの大競争の拡大で
相対的な価値を落としてしまっている、ということ。
資源を持たない新興国家群は、日本のような成長モデルを踏襲する。
ちょうど、中国が開放路線を取るときに
日本のシステムを参考にしたように、多くの新興国家が
加工組み立て製造業を自然な成長モデルとして経済発展に取り組んでいるのですね。
まぁ、当然の成り行き。
そういうなかで、先物取引の金融ではいち早く、資源への投機の流れが加速した。
アメリカの金融不安が、低金利政策を誘導して、
その過剰流動性が全体として資源投機へと向かっているのが現状でしょうか。

こういうなかでは、日本の地方経済はきびしいものがある。
多国籍企業化している東証一部上場企業の多くは
その工場も、市場も日本国内の比重を下げることで
維持発展させることが可能だけれど、
とくに住宅のような「内需型産業」の場合、
成長可能性が著しく低下せざるを得ない。
時代的閉塞感は、こういう背景から必然的になっていると言えます。

そんななかでひとつの可能性を感じさせてくれるのがヒートポンプでしょう。
いまやエコキュートは温暖地で加速度的に普及してきています。
世界的に見ても日本はこの分野で最先端を行っているし、
製品出荷が可能な技術という意味でも、管理がしやすい。
技術のみなさんのお話を総合すると、
いま、寒冷地用の暖房用ヒートポンプの技術進化はめざましいということ。
電気は元エネルギーとして使うけれど、
それを数倍させてエネルギーとして利用できる。
電気は現状では化石燃料比率が高いけれど、
これは世界の先進国ではどこでも原子力の利用に向かっている。
化石燃料投機から経済を守っていく、という
あるべき国家戦略から考えれば、方向性は自明なところに来ていますね。

住宅エネルギー問題でも、ヒートポンプ利用のシステムが
今後の大きな方向になっていくと思います。
一刻も早く、COPが寒冷地の冬でも利用可能なレベルになってほしいものです。
やはり日本は、技術立国でいくべきだと思われますね。


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2008年06月17日

犬走り

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ふつう建物の外周部には一定間隔の「結界」状に
砂利などが敷き込まれます。
「犬走り」と呼ばれるのですが、語源としては
「犬が走れる程度の細長い空隙スペース」というようなことではないかと思います。
用途、といってもそれほどの意味があるとも思えませんが、
建物を雨だれのハネから守る程度ではないかと思われます。
最近はこの土中に断熱材を建物外周をぐるっと回るように板状断熱材を敷き込んで
「スカート断熱」という手法をとる場合もあります。

というものなのですが、
先日のアース21見学会で、ちょっと変わった犬走りを発見。
一般的には砂利を使用するところを、火山灰土を入れていたのですね。
色合いはなかなか面白い色で、
建物とのコントラストは美しくなっていました。
そうですね、機能的な部分ではそうたいした意味があるものでもないので
意匠的にちょっと変化を付けて
建物を引き立てる背景として利用しようと考えたようなんです。
そのように考えると、この色合いというのはなかなかにいい。
自然な風合いだけれど、スキッとしたオレンジで
建物に対して「地灯り」的な反映を与えてくれる気がします。

なんですが、この火山灰土、やや歩くと土が靴の下につく。
けれども、普段ここを積極的に利用するケースはないから
まぁ、いいっか、ともおもえる。
困るのは泥棒さんくらいかも知れない(笑)。
怪しいひとが建物内部を伺っていれば、すぐに「足がつきやすい」。
っていうようなことで、やや微妙なんですが、
こういう実験的な作り手の姿勢って、すばらしいと思いますね。
色々な素材を試して使ってみようと考える精神的な探求心は
いいモノを作っていきたいという根源的な部分。
どんな経過になっていくモノか、また聞いてみたいなと思った次第。


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2008年06月16日

わが家の天井仕上げ

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先日は内装・天井仕上げについて触れましたが、
一般的にはクロス仕上げというのが圧倒的な部分ですが、
それだけじゃ面白くない、ということで、
わが家では、挑戦してみたという写真なんですね。
わが家は鉄筋補強コンクリートブロック+木造ツーバイフォーという混構造。
いまの基準からすると、確認申請がきびしいだろうなぁという建物です。
で、ここは2階居間の天井でして、見上げると
コンクリートのスラブが表れている。
バッテン印にコンクリート梁が交差しています。
ここに、下地を黒く縫った上に、木組みで「格子」を造作しています。
コンクリートスラブの鉄筋からアンカーをぶら下げて
それに格子組を吊り下げている、ということなんですね。
施工に当たった大工さんは、だいぶん苦労していたものでした。
それで、コンクリートの面と、面をあわせて天井を構成している次第。

いま考えてみると、いやはや、大変な施工手間をかけさせたものと
深く反省させられる仕上げ方法ですね(冷や汗)。
竣工当時は、使用していた木材が収縮乾燥することで音鳴りはするは、
松ヤニが垂れてくるは、で、メンテナンスさせられました。
(まぁ、とは言っても松ヤニを拭き取るだけです)
そのうえ、細かいホコリは木材上に積もっているはずですから、
健康面ではどうなのか、というような問題点もありそうです。
なんですが、17年以上も経ってくると
こういう光景を日常風景として楽しんできた時間も感じます。
陰影感はやはり素晴らしく、独特のリズム感が落ち着きも見せてくれていますね。
一時期、北海道の設計事務所の関与住宅で流行していたスタイルです。
その後、見ているとあまり見かけなくなってきたので、
やはり、施工的に無理があり、だんだん、施工手間が増えてきて
断念せざるを得なくなってきているものと思われます。
しかし、RCの質感と木質の調和と言うことで、
独特の味わいもある仕上げ方法だと思います。
このまま、お蔵入り、というのも寂しいものがあるかなぁと・・・。


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2008年06月15日

岩手宮城大地震と建物被害

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今回の地震で被害に遭われたみなさんに、お見舞い申し上げます。

きのうは1日、地震の様子が気がかりでした。
新潟の建築会社さんからは丁重なお見舞いのメールまで頂いていました。
おかげさまで、青森に向かっていたスタッフが
途中、東北道 北上金ヶ崎PAで休憩中、震源地に近い場所で遭遇したのですが
大きな揺れは感じましたが、特段の影響はなく
その後、無事青森県で取材を遂行している状況です。
また、福島県で取材していたスタッフたちは、夕方仙台事務所に帰り着き、
事務所内部も大きな被害はない、ということでした。
当方としては、大きな影響はなく、ホッと一安心できたところです。
しかし、地震の様子のすさまじさにはただただ、びっくりします。
まるで、隕石が衝突したような広範囲の地滑り状況には
まさに自然災害の猛威を感じる次第です。
そういうなか、今回の地震では今のところ、建物への被害は限定的と報じられています。

短い揺れ周期、雪に強い構造…地震の建物被害目立たず
 岩手・宮城内陸地震は、阪神大震災に匹敵する揺れの強さにもかかわらず、14日午後10時現在、判明している建物の全半壊は13棟にとどまり、昨年7月の新潟県中越沖地震(6940棟)などに比べはるかに少ない。専門家らは、建物被害につながりにくい地震波の特徴や、地震に強い東北地方の住宅構造を指摘している。
 建築基準法は震度6強でも倒壊しないような建物の強度を求めている。国の推計では、この耐震基準を満たす住宅は2003年時点で全国平均が75%。宮城、岩手両県はそれぞれ74%(03年)、65%(07年)で全国平均を下回る。震源に近い岩手県奥州市も65%だったが、壁のひびやブロック塀の倒壊など軽微な被害が中心だった。
 建物被害が少なかった理由について、境有紀・筑波大准教授(地震防災工学)は、今回の地震の地震波が、建物に被害を与えにくい特徴を持っていた可能性を指摘している。
 境准教授の解析の結果、今回の地震では揺れの周期が1秒以下と極めて短かった。中低層の一般的な建物に被害を与えるのは周期が1〜2秒の「キラーパルス」と呼ばれる地震波だが、今回は強く見られなかった。中越沖地震や能登半島地震ではキラーパルスが強かったという。
 一方、国土交通省の担当者は〈1〉雪が積もりにくい鉄板製の屋根が多く、かわらなどに比べて建物が軽い〈2〉寒さ対策として窓や扉など開口部が小さい――など、東北地方独特の建物の構造が影響した可能性を指摘する。和田章・東京工業大教授(建築構造・耐震工学)も「現地を見ないと分からないが、積雪時を考慮した設計は、雪のない春夏は壊れにくいと言える」と話す。
(2008年6月14日23時42分 読売新聞)

ということのようですね。
北海道での地震でも、地震の強さに比較して
建物への直接的な被害はそう大きくはないケースが多い。
よく、凍結深度の深さからくる基礎構造が頑丈な耐震性にも寄与しているのではないか、
という声も聞くことができます。
積雪への対策として軽い屋根にしていること、
寒さ対策として、開口部面積が小さく、壁量が大きいこと、
それに基礎の造りが比較的に堅牢性が高いことなど、
複合的な要因とも思われます。
まだ、余震はしばらく続きそうです。
みなさん、十分に気をつけてください。
<写真は岩手県の古民家軸組と壁の様子>

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2008年06月01日

世帯あたりエネルギー消費比較

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ウチの誌面で連載エッセイをお願いしている
北海学園大学・佐々木博明先生の講演のひとこま。
日本の各県別の世帯人数と、世帯のエネルギー消費の様子を表現した図。
いろいろな意味合いがあって面白く拝見しました。
住宅のエネルギーですから、暖房要素が加わる北国が大きいのは当然として、
それに「世帯人数」を掛け合わせて考える概念ですね。
省エネで考えれば、大家族で住む方が理にかなってはいる。
一方では、少人数化というのは現代都市的生活の趨勢。
従って、この図では縦方向に南北差が表現されて、
横方向には「都市化度」のような傾向が現れる、といえる。
と思っていたのですが、どうもそういいきれない。
もう一つ、家族数を決定づけているのは、その地域の「高齢化度」も
影響が大きいと言えるかも知れません。

で、北海道はこの図で
ひと地域だけ、ちょっとグループに属さない位置に出てきている。
東北地域は寒い地域だけれど、家族数は多く、
理にかなった感じが傾向としてそのまま表れている。
東北よりももっと寒冷地だけれど、
エネルギー消費では、ほとんど同じくらいのレベル。
でも家族数は5分の4くらいの比率。
ちょっと特異なんですね。
東京が家族数で平均が2をちょっと超える程度で
全国でも最小になっているというのはわかる。
でも、家族数の少なさが2位というのが
北海道や鹿児島、高知、というような順だと言うことになると
やはり「都市化度」ではなく、高齢化度を表しているのではないか。
いいかえれば、「過疎度」というようにも言えるかも知れない。

この表にはないけれど、
札幌は北海道でも飛び抜けて家族数が少ない地域。
で、北海道全域も家族数が少ないということになると、
北海道では、都市化と、札幌以外の地域の高齢化が加速度的に進んでいる、
というようなことを表現しているのかも知れない。

どうもこのあたり、産業としての住宅、その性能という用件を超えて
社会的な問題が全国一、北海道では進行しているのではないか、と思えます。
住宅の性能レベルで言えば、年平均気温の分布による傾斜を
北海道の住宅は上回っている、というように考えることができます。
産業としては北海道の住宅は優秀だけれど、
その社会的基盤は、あまり力強くない、ということを
この図は、教えてくれている気がします。
こういう問題、誰がどのように切り込んでいくべきなのか、
難しいテーマだなぁ、という実感を持ってみておりました。

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2008年05月27日

白いグラスウール

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先日の新住協総会で展示されていたもの。
グラスウールというのはだいたいが黄色だったり、赤だったりの
色がついているものが多い。
あれはなんでなんだろうと、考えることはなかったのですが、
こういうふうに展示されて初めてなぜかと考えてしまいますよね。
そのへんはメーカーさんもたぶん同じような感覚なんだろうと思いますが、
白いグラスウールというシロモノ(笑)。
実物としてみたのは初めてであります。
以前にも、別のメーカーから白いのが出たことがあったのですが、
そのときのものとは作り方が違って、以前は着色料を加えていたのが、
今回はそうではない、という説明でした。

で、どういう用途なんでしょうか、と聞いても
どうも心許ない説明でした。
まぁ、試しに作ってみたと言うことなのか?
ということでしたので、
以前に取材で見かけた事例で、ポリカーボネートでこの白い断熱材をサンドイッチして、
いわば、「半透明な壁」を作っていた例をお話しいたしました。
こういうケースだと、断熱材が入っている場所は半透明な壁で、
入っていないところは、半透明な「窓」という違いです、
というように設計者から説明を受けた話をお話ししました。
逆に、たいへん面白がって聞いてくれていました。
ポリカーボネートを外壁材料にしよう、というのは
かなりの冒険心がなければならないところですが、
その家は設計者の自邸だったので、やってみたかったということでした。
ところがその後、白い断熱材が販売されなくなって、
そういう挑戦は頓挫しているようだったのです。
そんなところに、こういう素材が再び出荷されると言うことなので、
さて、どんな使い方をみなさんするものかどうか、
ちょっと興味を覚えた次第なんです。

また、ああした挑戦が行われるか、
少し、状況をウォッチしていきたいと考えています。


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2008年05月24日

初夏のスキーリゾートにて

7292.jpg

昨日は新住協の総会が行われました。
会場は盛岡市から、50kmほど離れたスキー場、安比高原。
わたし、冬場は家でおとなしくしている(笑)ほうなので、
この手のリゾートには縁のないものと自己認識しておりますが、
そういうものにとって、得難い体験であります。
周囲の自然はまさにこれ以上ないくらいの極上のものですが、
それと対比的に人工的、というか、幾何学的な形態のホテル。
大変シンプルで、潔い造形感覚です。
著名建築家のデザインと聞きましたが、
総会は、缶詰めでの講演や討論などが続くので、
ほとんど、じっくり建築を楽しむ時間は取れません(涙)。
けさも、これから早めに出なければならず、残念です。
という次第ですが、
散歩がてら、周囲を歩いてこの建築群を写真に納めたいと思っています。

それにしても、この交通の不便な地に
全国から200名を超すみなさんが集まってきています。
住宅の市場状況はけっして芳しくないなか、
一方でユーザーからはホンモノの性能へのニーズも起こってきているようです。
とくに、関東以南地域から、多くの新規入会が続いたり、
一般ユーザーからの問い合わせが続いている状況なんだとか。
そういった状況を活かして、ぜひ性能による住宅業界の革新を
新住協が巻き起こしていって欲しいものだと念願します。
技術的な話題としては、「蓄熱」という部分が大きなスポットを
浴びてきている状況。
それに関連して、土間や基礎の作り方が大きなポイントになってくるということ。
そういったポイントが、実証的な数値に置き換えられて検討されるので、
大変明確になって、わかりやすく面白いと思いました。
そのほかにも話題が豊富で、後でゆっくりまとめる必要があります。
さて、きょうは早めに出て、東京で用件を済ませながら、
原稿をまとめる必要があります。
がんばらねば、であります。ではでは。


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2008年04月30日

換気の考え方

7252.jpg

きょうは北海道庁で200年住宅についての会議があります。
北海道が定めている「北方型住宅サポートシステム」について、
国交省が進めている200年住宅事業に登録しようというワケです。
今回の国交省の動きって、非常に足の速い動きで、
たぶん、全国の自治体では北海道を除いては急に対応するいとまがないと思われます。
なので、事業者側としては一部大手ハウスメーカーに
対応可能性は絞られるのではないかと推測されます。
北海道の場合、独自に寒冷地住宅の省エネという地道な活動を続けてきているので、
いままでの積み重ねの「北方型住宅」を基礎にして対応できるわけですね。
で、その北方型住宅の要件に上げられていたなかに
Q値レベルについて、1.3、ただし1種熱交換換気を除く性能値、
という基準が示されていました。
熱交換換気はそれを利用すると数値上、
コンマ3程度性能値が向上するので、
建築本体のみで、通常の3種換気を利用することを前提にして
公共の側としては対応する、という表現だと思われます。
熱交換換気は本格的に日本に導入されてから日も浅く、
いろいろな実証実験途上、という考えからの対処なのだなと思われます。
そうした意味では、実質的にはQ1.0がひとつのレベル値になっているともいえます。

写真は北総研の「個別換気装置」。
事務所部分では、常時人間がいて作業している。
なんといっても建物全体の気積が大きすぎて、
機械換気をしようとすると、巨大な装置が必要になるため、
建物全体の基本的な換気は自然の温度上昇を利用したパッシブ換気を利用している。
というような条件の中で、
ごらんのような誰でも開閉できる換気窓を作って、
一番信頼できるセンサーとして、人間の判断を利用して、
人力で個別に換気してもらおうという考え方の装置なのです。
住宅レベルでは機械による24時間換気が機能するでしょうが、
こういう大きな建物では難しいのですね。
その意味では、200年の寿命を考えるというような今回の
国交省の考え方からすれば、たしかに機械にだけ寄りかかるような
スタンスって言うのは避ける方が賢明とは言えるでしょう。

どんな機械も結局はメンテナンスが必須である、
っていう考え方からすれば、こういうほうが合理的とも言える。
ひとつの明快な考え方かなぁとも思える次第です。

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2008年04月25日

デザイン暖房

7262.jpg

写真は盛岡市内の住宅でのモノ。
岩手県では、地元で「エコハウスコンテスト」を毎年続けてきています。
はじめは県の事業として省エネ住宅のコンテストとしてスタートしたのですが、
予算が付いたのは3年だけで、事業が終了。
その後、趣旨が素晴らしいと言うことから、
選考委員のみなさんなどを中心に終了を惜しむ声が起こり、
民間の側で運営資金を工面して、上記の名前で継続しています。
この写真の住宅は19年度の受賞作品住宅です。
 
趣旨に合致した住宅で、
ヒートポンプによる暖房を採用して、省エネ性を高めています。
低温水を循環させることから輻射面積を大きくした
このような放熱パネルが居間の真ん中にドーンと設置されています。
天窓からの採光も考えられていて、
実質的にも視覚的にも、「ひだまり」という感じに近い空間。
居間と食堂・台所の仕分けにもなっていますね。
柱や梁は地元産出の無垢のカラマツを使っています。
CO2排出を抑えるというコンセプトから考えると、
地元の素材を利用・活用することが大きなポイントになります。
乾燥技術が進んで、このように大胆に使う例も出てきているのですね。
余談ですが、
先日発表になった「200年住宅」の要件に、構造材として
北海道の地元産出木材樹種が含まれていない、という情報もありました。
まぁ、まだ詳細には確認できていないのですが、
樹種の認定という作業には、国交省の長い検討プロセスがあり、
その結論を、時間がない中で今回の要件に援用したということ。
このあたり、やや釈然としない部分もあります。

ちょっと、横道にそれましたね(笑)。
それにしても、この放熱パネル、大胆な設置方法。
ふつうは設備として、控えめに窓下とか、あまり目に触れないように
装置されるのが多いのに、ここまでこれ見よがし。
ヨーロッパでは、このようにデザイン化が始まっているということ。
パネル自体としても一種のインテリア装置として
カーブさせたりして、オブジェのような方向が高まっていると言うこと。
今後、そういう方向性が日本でも出てくるものかどうか、
国民性もあり、興味をそそられるものがあります。
みなさん、こういう暖房パネル、どう思われるでしょうね。

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2008年04月16日

都市別暮らしからの排出CO2

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写真は国総研・田島さんの講演からのデータ。
ことしになって、このようなデータ、わたしたちにも目に触れる機会が増えてきました。
新潟から右側は年平均気温がだいたい16度前後の都市。
仙台が12度くらいで、札幌は8度。
そういう年平均気温の違いに沿って、家庭からの排出量が変化しています。
寒冷地のわれわれにとっては、暖房用の部分が半分以上を占めているわけで、
この部分の削減と言うことが主要なテーマになりますね。
一方で、国全体で考えれば、人口の8割以上を占める地域での削減を考えれば
照明や、家電、さらに給湯の部分が総量として考えると大きい。
そうしたことから、ヒートポンプ技術が緊急的なテーマになるわけですね。
給湯の部分が削減されるというのは、エコキュートが期待の星になる。
家電製品も、古いタイプのものから
最新のものに買い換えれば省エネタイプに変わっているので、
CO2削減という意味からは、効果が大きい。
で、こうした部分については寒冷地での暮らしでも恩恵は大きい。
ただし、ヒートポンプ技術が寒冷地用開発がどんどん進歩することが不可欠。

一方で、暖房用消費エネルギーの削減っていうのは
住宅の性能の改善が不可欠なテーマになる。
性能が向上しなければ、快適性を犠牲にしない限りCO2削減は実現しない。
このことは北海道で実現することのメリットも確かに大きいのだけれど、
人口が8割以上占めている地域でも、北海道の3割程度は使っているわけで、
その効率を上げるというのは、国全体で考えれば、相当に大きい。
事実、北海道で暖房用のエネルギーを半減させようという
Q1.0運動で実現する住宅性能レベルは
そのまま、温暖地域で実現すると、
暖房用エネルギーが、ほぼ無暖房レベルに近づいていく。
人口の5%地域で半減するよりも、人口の8割の地域で低減することの方が
省エネ効果は高くなるという道理。
たぶん、これらの両方からのアプローチが相まって効果が上がっていくのでしょう。

住宅の新築はもちろんだけれど、
このように見てくると、既存住宅の性能向上というのは、
国全体で考えてもきわめて緊急性が高い。
寒冷地域がそうした手法を開発して、温暖地に普及させていく、
というアプローチは、必要不可欠になってくるということが言える。
まぁ、日本の寒冷地人口って、
北海道・東北・日本海側北部地域など、だいたいが2割と推計できます。
ちょうど国全体で考えれば寒冷地・温暖地の比率って2割・8割になるわけですね。
よく、2ー8の理論って言われることがあります。
そうした知恵で、いろいろ考えていくのも面白いかも知れないかなぁと
最近考えはじめております。


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2008年04月14日

北総研実験棟内部-1

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さて、おとといのセミナー前に案内された北総研実験棟内部。
とはいっても、実験棟にはたいへん多くの機能があり、そのごく一部です。
わたしは北総研、何回か訪れているのですが、
今回初めて実験棟内部を拝見した次第です。
寒冷地住宅として考えなければいけないポイントに沿って、
研究実験の必要な設備がそれぞれ備えられています。
いっしょに見学した「国総研」の田島さんも感心しきりでした。
国としては、というか、温暖地・つくば市にある国総研としては
寒冷地住宅の研究については北総研に任せるというのが基本スタンス。
国土の人口比率80%以上の温暖地向けの研究は国がするけれど、
東北を含めるのかどうか、ややあいまいながら(笑)
人口20%弱程度の寒冷地住宅技術研究については、北総研をリード役に指名しているようです。
住宅研究以外の分野についてはあまり詳しくはありませんが、
国の主要な政策的課題で、1地方の設置する機関がリードしている
というような事例は、あんまりないのではないかと思われます。
先日も、中古住宅の性能向上・ストックの品質向上策についての
国のパイロットモデル事業で、北海道が推進してきた事業が選ばれ、
国の予算で継続されていくというケースがありましたが、
こと、住宅に関しては北海道の先進性にお墨付きが得られているようですね。
ただし、こういうことについての知識は一般にあまり知られていない。
また、住宅のプロのみなさんでも全然無知な人も多い。
なので、産業界的にもこういう北海道の優位性が
十分に活かされているとは言い難い現状がある。
北海道内の経済団体などで、こういう現状を説明しても理解していないケースが圧倒的。
なんとももったいない気がするのですが、オピニオンが育っていないのですね。

写真は旭川の冬の寒さを活かした「冷房装置実験」のもの。
実験棟地下にはごらんのような水の貯蔵施設があります。
ここに旭川の寒冷な冬の外気、だいたい零下20度程度を導入させて、
水を凍らせて保管しておくのです。
で、そのようにつくった氷の「蓄冷層」から1階床面に対して
冷房を供給させているのだそうです。
冬の寒さを利用して、それを夏に活かそうという発想ですね。
こうした「技術」の世界って、なるべくタダで得られる自然のエネルギーを
最大限活かして使おうと考える方向が明確。
世界の寒冷地の中でも北海道は雪が多い地帯ですから、
そうした利点を生かした研究と言うことで、
世界の中でもけっこう最先端的な分野ではないかと思われます。
スウェーデンの換気装置メーカーの技術者も大変興味深そうにしていたのが印象的。

このような研究機関で実証される成果が
やがて日本の住宅技術を高めていくこともハッキリしています。
もっと、北総研が取り組んでいること、情報共有が計られるべきではないかと思いますね。

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2008年04月10日

環境建築〜3

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写真は北総研内部のアトリウムと南面外観。
アトリウム内部の北側壁面を見たところ。
こちら側には北海道の地域の材料と言えるブロックが積み上げられています。
ブロックは北海道の場合、豊富に取れる火山灰を成形したもの。
このように地域の材料を使うというのは、
環境を考えていく建築評価として、高いポイントになります。
ここでは、南側ガラスの屋根からの日射を受け止めて
熱として、蓄熱させる素材として活用されています。
それが、同時にユニークなデザイン要素を構成している。
色合いといい、表面の微妙な凹凸による光のやわらかい反射ぶりといい、
たいへん豊かな質感をもたらしていて、ハードな
枠を構成している鉄骨とバランスしています。

一方右側は外部の壁面というか、開口部のようす。
旭川は大変な豪雪地帯ですが、
ルーバー状のアルミがベランダ手すり格子を構成していて
風洞効果で雪が風で飛んでいくような仕上げを行っています。
片流れの屋根の軒が大きくこの面を保護しています。
これは長期的な外壁材・開口部の保守を可能にしています。
1階はベランダが軒のように機能するように工夫され、
またややセットバックされているので、夏冬での微妙な日射取り入れをコントロール。
2階3階の庇も、同様な効果をもたらします。
1階の窓下にはスリットが見られます。これは換気用開口部。
このスリットにもルーバーが工夫されていて、
個別で、その角度が調節できるようになっています。
ひとによって違いがある快適感を考慮して、
その周辺の利用者が自分好みの爽快感を室内に取り入れることを可能にしています。

左右の写真とも、
仕上げの機能面での詳細はこんなことになるのですが、
しかし、これらをデザインとしてみれば、
なんとも美しい心地よさが感じられます。
非常にシンプルに機能を満たしていながら、
簡潔で潔いデザイン要素にももっていくというコンセプトを感じますね。
ことしくらいから、
CASBEEという建築評価が社会的に広がっていくと思いますが、
そのもっともわかりやすい事例として、
旭川にあるこの北総研建築、一回はごらんになることをオススメいたします。

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2008年04月09日

環境建築〜2

7245.jpg

きのうも触れた「北総研」の断面図です。
この建物は大きく、3つの部位に別れています。
一番左側が、いろいろな寒冷地建築技術についての実証実験を行う実験棟。
ここは、全国の企業から持ち込まれる「共同研究」などの
実験を行う施設なので、秘密保持のため出入りは制限されています。
真ん中にあるのは、多機能性を持っている「アトリウム」。
ここでは太陽光日射の取り入れ、蓄熱、換気、暖房経路などの
建築についての基本的性能が確保されるようなスペース。
同時に、通路的な空間としても機能しています。
まぁ、この部分がいちばん、おもしろい。
視覚的にも、入り口を入るとこの巨大アトリウムに動線が導かれていて、
「おお、すごい」と単純に感激する空間。
夏ももちろん、冬でも雪が降らない、しかも温熱環境が保持された
気持ちのいい「半戸外」的な空間が広がっているのです。
で、前述の通り、このスペースで暖房・冷房・換気という
基本的な建築の必要性能が担保されているのですね。
断面で見るとおり、大断面ダクトが機械によらない換気のための
空気の流れを作り出しています。
最頂部の排気窓から汚れた空気が排気される空気の経路が計算されているのですね。
なんと、冬に降る雪を地下に格納して保存し、
そこに空気を通すことで、自然エネルギーによる冷房も考えられています。
巨大なガラス空間なので、自然光の取り入れは基本的な役割。
すみずみまで自然光が入り込んできて、
もちろんさまざまな工夫の結果ですが、
この建物では勤務時間中の「電灯使用率」が16%に抑えられているそうです。
この率って、かなり驚異的な値。
太陽日射によるオーバーヒート対策として、
人力による遮光布での日射コントロールも行われています。
暖冷房は床面に回されたパイピングによる床暖房・冷房。
さらに、壁面には地元の素材であるブロックが蓄熱体として
大きな壁を構成しています。
太陽光を「蓄熱」する媒体として機能しているのです。
っていうことで、このアトリウム、ただものではありません(笑)。
建物の一番右側が、一般的な事務作業を行う「管理研究棟」。
ここでも、南側からの日射や採光、換気などで
色々面白い試みが行われていますが、
そういう部分については、また明日以降にいたします。

きのうは、カミさんが帯広でセミナーの司会、
わたしは息子の中学校入学式の立会、その後、地元工務店グループ
アース21の総会出席と、めまぐるしい一日でした。
まぁ、公私とも多忙、がんばらねば、というところ。

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2008年04月08日

環境建築〜1

7244.jpg

最近とみにサミット関連ということもあってか、
省エネとかエコロジー、環境負荷低減というようなことにスポットが当たっています。
そんななか、CASBEEという建築評価システムが注目されています。
これは建物の性能を総合的に評価しようとするモノサシ。
国交省が取り組んできたことなのですが、
従来は、大型建築だけの評価ということもあってか、
あまり一般に知られることはありませんでした。
しかし最近国交省でも、温暖地では戸建て住宅レベルの基準として導入しようと
各地で建築事業者向けのセミナーなどを開催しています。
CASBEE評価のできる専門知識を建築関連の人間に資格取得させようと考えているのです。
ちょうど、北海道での断熱知識についてのBIS資格と同様のやり方ですね。
評価軸自体は理解はできるのですが、
ディテールではいろいろ問題点もあるということです。
また、現状では北海道のような寒冷地向けには評価軸が固まっていないということ。

大型建築については、すでに評価が試みられていて、
実例集も1冊だけですが出版されています。
まぁ、なかなか広く普及していくというものではありませんね。
しかし、その紹介されている中に、
飛び抜けて高い数値を上げている建築として、
北海道旭川の「北総研」の建築が上げられています。
北総研は昨年夏にも行ってきたのですが、やはり建築技術的に見て大変奥行きが深く、
積雪寒冷という条件の中で、北海道が考えてきた省エネ、
現在でいえばCO2削減のための環境負荷を低減させるアイデアが
さまざまに実践されています。
大変興味深く、今後の戸建て住宅の性能が向かっていくべき方向性が
示唆的に実現しているといえます。
建築はなによりも人間活動のためのシェルターである、
という根源的な部分で、その設計思想に深く共感できるものもあります。
しかも、そういう目的性が明確であることが、潔い基準として機能して
デザインとしても、たいへん興味深いレベルを実現できていると思います。

こういう建築の方向性を名付けるネーミングはまだ固定していませんが、
やはり「環境建築」という表現が一番近いのではないかと思われます。
ちょっと、このあたり、興味が湧いてきているところなので、
書いていければいいな、と考えています。
まぁ、ブログですからメモ帳的だと考えて、
飛び飛びだと思いますが、気楽にやっていきますので、どうぞよろしく。

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2008年04月07日

年平均気温

7243.jpg

表は日本の代表的な都市の年平均気温表です。
住宅関係でも、あんまり普段は目にしない数値なんですが、
こういう常識の部分って、もうすこし目を向けていくべき部分ではないかと思います。
大まかにいって、東京以南の、というか以西のというべきか、
大部分の日本人の人口を占めている占めている地域は
ほぼ年平均気温が16度前後に落ち着いている。
それに対して、北海道・東北は仙台で4度、札幌で8度
年平均気温で寒冷な条件にある、といえます。
北海道の中で、札幌って比較的温暖な地域なので
北海道全体ではもうすこし平均は下がっていくのですが、
同様に東北も仙台は温暖地で、北東北は圧倒的に北海道に近い気温地帯。
これから、省エネルギーとか、地球温暖化とか
エネルギー消費のより少ない、住宅性能っていうものを考えていくとき、
こうした地域条件の違いをより明確に認識していく必要があると思います。
寒冷地帯で必須になる「住宅性能」要素が、
温暖地の省エネを考える際にも、基本ベースとして必要になってくる。
また、夏の室内環境を考える際にも、「断熱」はもっとも大切なファクター。
屋根面からの輻射熱を遮るためにも天井・屋根の断熱は
温暖地域ほど、もっと重厚に考えるべきなのではないかと思います。

こういう表を眺めていると、やはり地域ごとにその地域に似合った住宅、
ということに考えが向かうのが必然の流れ。
過去、多くの全国一律のハウスメーカーが
北海道に進出しながら、賢明にも早期に撤退したという事実を
もっと多くのユーザーのみなさんが理解されることが望ましいと思います。
同じことは、温暖地でも言えることで、
少し考えを深めていけば、それぞれの地域で気候風土は違うものなので、
いろいろなその地域に似合った家づくりがあると思うのです、
冬場での日射取得率の違いというのが一番のポイントだと思うのですが、
そのような論議というのがなかなか起こってこないのが現状。
それはやはり、基本的に家の中の環境をコントロールする
という考え方が根付いていないということを表現していると思います。
しかし、CO2削減というレベルで考えはじめると
夏場のエアコン使用による電力負荷は、地球環境を考えれば
かなり緊急を要するポイントではないかと思うのです。

まぁ、そういうことに限らず、
日本人として、自分たちの住んでいる国が
どのような四季変化の中にあるのか、
数量的な認識をもう少し、
頭に叩き込んでおくのは必要ではないかと思われます。

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2008年04月04日

アプローチのデザイン

7240.jpg

写真は青森市での住宅のようす。
久しぶりに、「アプローチ」らしい演出に出会った家でした。
玄関に至る半屋外的な、半内部的な、そのどちらでもなくて、
建物内部を予感させるような空間なのか、
建物から出てきて、振り返る余韻のような空間なのか、
あいまいな、空間ですね。
この家では、天井にきれいな羽目板をあしらっていて、
そこに雰囲気のある外部照明シェードも付けられています。
建物は3段ほどの段差があって、
その階段なども、印象的。
なにより、雪国であって、屋根が掛かった外部空間という意味で、
使う人間に、あるいは空間を利用する人間に、
「ここ、どんな風に使おうかな」と想像を膨らませてくれる気がします。
機能的に考えると、冬場は右側は雪が堆積していて、
奥に確保されている道路までの通路を除雪する出撃基地。
なので、雪かきの道具などが立てかけられて、
「さぁ、やるか」みたいな気持ちを起こさせてくれる場所。
そうアクティブでないときは、
雪かきの必要ない、安心感に満たされる場所。
冬場でも戸外で作業が必要なときに便利に使える場所。
もっと積極的には、たくさんの雪が道路側からの視線を遮ってくれているので、
日射しがいい日などには、椅子でも持ってきて
リラックスするのも、ちょっと寒くてもいいかもしれません。
夏になれば、右手側は美しく彩られた庭なので、
庭を眺めながら、気持ちのいい戸外の空気を胸一杯に楽しめる空間。
左側の居間の窓を開ければ、室内との交流もできる。
体は外の空気の中にいるけれど、
床壁天井が建築材料によって構成されているので、
何となく安心感が大きい、というような空間になりますね。

こういう場所に対する感覚で、
やっぱり雪国の人間って、同心するような部分が感じられます。
こういう空間の持つ豊かさって、南の方の人とは感じ方が違う。
もちろん、美しく整備された庭があるっていう条件が大きいわけですが、
こういうあいまいな中間領域、
大いにデザインし、工夫していきたいスペースだと思っています。

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2008年03月30日

融雪溝

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写真は今年度東北住宅大賞受賞の家。
秋田県湯沢市近郊に建つ古民家改修事例です。
周辺は秋田県でも有数の豪雪地帯。
毎年、建物が雪で長く覆われてしまう冬が暮らしを襲います。
ことしは小雪でしたが、とはいえ、周囲には雪に覆われた住宅も多かったとか。
そんななかで、この家では大きな傾斜屋根の落ちてくる
建物両端に、ごらんのような「融雪溝」を工夫してありました。
周辺では、屋根はどこの家でも雪を落としやすい切妻を採用。
道路に面した側は、雪を落とさないワケですが、
このように大屋根が降りてくる側は
どんどこと雪が屋根から供給されてきます。
それに対して、この地下水をくみ上げた融雪溝で雪を受け止め、
順次、融かしていくのですね。
手前側には下水への排水が工夫されていますので、
常時、少しずつ雪を梳かしていくようになっています。
話では聞いていましたが、同じ雪国人として、
大変親近感を感じるような光景です。
雪はもちろん氷点下の温度ですが、地下水はその土地の
年平均気温程度で安定している。
秋田だと、たぶん、10度以上だと思われます。
まぁ、低温水と呼べるような温度の水が地下から供給されるんですね。
あとは雪の降り方とのバランスの問題で、
経験的にこうした融雪溝の幅や、深さなどが工夫されるのでしょう。
今年の場合は、実にスムーズに雪が処理されていった、ということ。

こうした融雪の工夫は、利用土地が狭くなってきた都市部では
やはり少なくなってきていますね。
第一、都市部では「雪を落とす屋根」自体が少なくなってきていると思います。
北海道では無落雪屋根の需要が高く、
冬の間は、雪を載せたままにするほうが一般的。
そうしたなかで、わたしの事務所前の道路では
道路脇に「流雪溝」が公共によって設置されていて、
市民が自分たちで運んできた除雪の雪を
溝に投げ込んで融雪・流雪させています。
このような工夫も、日本旗側地帯で長い伝統を持っていたもの。
そうしたものがわたしたち、北海道に伝播してきたのですね。
そう考えたら、やっぱり秋田に北海道のマザーを感じる部分。
こういうの、ちょっと変な感覚なんですが、
同じ雪国で、しかもひとびとが色白。
そして雪国としての暮らしの経験値がある豊かさのレベルまで達している。
そんな思いがしてきます。
一度、秋田の女性3代を描いた絵を見たことがあります。
無心に遊ぶ少女、冬場の農作業をしながら気遣っている母。
その少女と会話しているような祖母、という構図。
背景は雪に閉ざされたようなくらい印象の室内。
というような情景でしたが、そんな光景が、
幼い頃に触れた母や、祖母の印象と深くシンクロして、
強い印象を抱いた次第。ある共感の思いが募ってきますね。

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2008年03月26日

ごつい雪止め

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ことしは冬の終わりに山形県米沢に行って参りました。
福島県会津はかなりの積雪地とは聞いておりましたが、
それ以上というのが、米沢ということ、実感いたしました。
写真は取材した住宅の平屋部分の屋根を見たところ。
ごらんのように、板金の合わせ目を大きく立ち上げています。
また、端部ではこれも頑丈な金属棒状のものがしっかり固定されています。
北海道は札幌もけっこうな豪雪地だと思うのですが、
って、年間積雪が6mを超すほど。
ですが、雪止めを付けるといっても、こんなごついことは少ない。
というよりも、そもそも雪止めを付けること自体少ない。
米沢の年間積雪を聞いたら、札幌とほぼ同水準。
では、この違いはなんだろうとなるのですが、
端的に言って、雪質の違いなんですね。

北海道の雪は、気温が低いこともあって
サラサラとした、言わば「乾いた軽い雪」。
それに対して、海からもやや離れた盆地的な気候の米沢は
重く湿った雪が、しんしんと降る感じのようなんですね。
そうした雪は重たい積雪荷重となって屋根に負担をかけ、
そして、端部では落雪時、事故を引き起こしやすいのですね。
基本的には屋根傾斜などを工夫し、
「雪を落とす」工夫を屋根の構造で考える。
この家でも、主要部では交差型の屋根を採用していて、冬の終わりながら、
雪はまったく屋根にありませんでした。
一方で、平屋部分で落とす敷地的余裕が確保できない場合には、
このように重厚な雪止めを工夫することになるのですね。
さらにこの写真の雪止めには、米沢特有の季節風を上手に活かした
風洞的な工夫も施されていて、
基本的には風で端部の雪が溜まらないような工夫もされていました。
ちょっとした風穴を方位を考えて工夫するということ。
設計施工の米住建設さんにこの点、興味を持ったので、
札幌での「雪庇対策」についてのご意見を伺ったのですが、
なかなか、ユニークなご意見をいただきました。
こんど、札幌の建築業者さんに実験を勧めてみたいなと思いました。

ということで、雪国同士のアイデア大会になった(笑)
米沢での取材時のひとこまでした。

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2008年03月23日

集光のための高窓

7229.jpg

写真は弘前市内の住宅。
ガルバリウムと木張りの外観が特徴的ですが、
高い位置にあるまるでぼんぼりのような窓が面白い。
夜になって室内に照明が付けられると
まるで、街路照明のようにも機能しそうで、街並みにエッセンスを加える。
外観というのは住宅を造るときに、
当然ですが、外界との関係性を表現するもの。
そんな意味でこの家を見ると、たぶん、こころがやすらぐ印象を持つ。

でも、どうしてこんな形になったのか、
ちょっとそのわけも知りたくなります。
で、この高窓のある方角は南側に面しているのですね。
南側というと、いちばん大きく開口させて
光を取り込んだり、太陽のあたたかさを取り込んだりしたい。
でも、この家では、こちら側に面して大きな団地が建てられているのです。
しかも、手前の道路もけっこうな通行があって、
大きく開口させて、というようにはできにくい。
まぁ、あまり考えられていないプランの場合、
こんな条件でも平気で大きな開口を開けているといういただけないケースもあるのですが、
やはり、きちんと設計者が考えているこの家では、そうはできない。
そこで、このように採光・集光を思い切って大きな開口を
採用しているけれど、でも視線的には外部から
内部の生活空間を遮断させているのですね。

内部に入ってみると、この高窓からさんさんと陽光が降り注いでいます。
しかも、暖房装置はこの家では1台のFFストーブなのですが、
それを内部では階段スペースにしているこの高窓スペースの下部、
土間空間に半分、入れて設置しているのです。
ですから、冬場にはこの3層分の大きな空間全体が、
あかるさと、暖かさの両方を満たすような空間になっているのです。
そう、「ひだまり」のような心地よさを持った空間になっているのですね。
そしてその場所に面してほぼすべての居室が配置されているので、
たいへん求心的な家の真ん中、的なスペースになっている。
あたたかくて「家庭的」と呼ぶにふさわしい雰囲気のある空間。

敷地の条件を色々に検討しながら、
ユニークなひとつのアイデアに集約させながら、
一気に色々な問題点を解決しようという、なかなかに力量のあるプラン。
寒冷地住宅としての基本もしっかり抑えているいい計画。
こういう家に出会えるのは、とても楽しいです。

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2008年03月18日

北国人と中間領域

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写真は青森市内の住宅の半内半外的な空間。
2階から出入りするための風除的な空間です。
北海道から青森に来ると、
同じ北国人としての共通する「思い」が伝わってくることが多い。
気候風土の条件が似ていて、
その中で暮らすときに似たようなことを考える部分があり、
そういうポイントに親近感を覚えると言うことなのでしょう。
この写真のような空間への思い、というのもそういうポイント。
冬場に雪にまみれた外部とは遮断され、
でいながら、外部空間としての感覚が味わえるような場所に
どうも、強い共感を覚えてしまうのですね。
そういう感覚を体験できるような場所を家を建てるときに計画したい、
という部分。
もちろん、雪の積もらない地域でも、こういう空間はあり得るでしょうが、
やはり北国人のように、切実な感覚ではないと思います。

写真のお宅はある建築家の自邸なので、
こういう空間でもきちんとデザインしたい、ということで、
屋根に使う材料でちょっとユニークな材料を使用していました。
ポリカーボネートではあるのですが、
細く切断されていて、ちょうど床板のフローリングのように
細長い材料になっているのです。
それをツートンカラーにして、面白い屋根空間を作り出していました。
建築家らしく、ディテールも面白い納め方に挑戦していて、
まぁ、残念ながら、防水がうまくいっていませんでした。
でも、もともとがそのような半内半外的な空間なので、
こういう結果になっても、そう大きな問題はないでしょうし、
やり直しは十分に利くでしょう。
こういう空間に屋根に雪が乗っかり、
なお、しんしんと雪が積もり続けるような時期に
こういう場所から、外部を感覚しながら見続けるような
そういう場面を想像すると、この土地での暮らしようが伝わってくる部分があります。
場合によっては、雪かきへの出撃拠点にもなる気がします。
サンルーム的に緑を楽しむような冬の空間にもなりますね。

そんな空間への思いが、同じような境遇に置かれているものとして、
共感を覚えさせられるということなのだと思います。
このあたり、温暖地のみなさんにはあんまり理解できない部分かも知れませんね。、
いかが感じられるでしょうか?

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2008年03月14日

薄型テレビのアーム設置

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あるようでなかったテレビの設置方法を発見。
って、そんな大袈裟なものではないんですが、
いや、大袈裟なものか、
昨日青森市内の住宅で発見した工夫が写真の状態のものです。
この家は高齢のお母さんの「長生きのための家」。
すでに80を超えたお母さんのために
ひとりでも元気に生きていくために工夫されている住宅なんです。
母屋に息子夫婦が住んでいて、その離れ的な位置に
母屋からつなげて新築した家です。
そのコンセプトが、なんとも素晴らしい住宅ですね。
で、敷地内には素晴らしい桜の木が3本残されていまして、
それにも手厚く長生きできるように木のお医者さんによる処置が施されていました。
弘前のお城の桜は、そうした木のお医者さんによって、
長年管理されてきて、みごとに咲き誇っているのだそうです。
桜は切ってはいけない、という言い伝えに逆らって
むしろ積極的に剪定作業を行って、桜の元気を引き出しているんだそうです。
まぁ、ちょっと横道にそれましたが(笑)
こういう元気に長生きしようというコンセプト、
激しく揺さぶられましたね。

で、薄型テレビなんですが、
壁に取り付けられていて、ごらんのようなアームが装置されています。
このようにすることで、結構自由に見る位置を変えられるようになっています。
テレビって、大型になってきているけれど、
取材で見ていると、相当大きな壁面をほぼ専有していて、
インテリア的にはまったく主役というか、
どんとした存在感を示しているのが一般的。
このように人間の側に自由に合わせようという設置コンセプトは
あんまり見ることがありません。
このように仕掛けることで、薄型というコンセプトが生きてくると思います。
どうせ、家の中では決定的な存在になるのですから、
このように建築のプロと相談しながら、
「納め方」を考えるべき家電製品の最たるものではないでしょうか。

壁に持たせるために荷重を十分に考慮する必要があり、
部材の検討も必要と思いますが、
毎日の暮らしの側に大きな自由度を与える設計だなぁ、と感心させられた次第です。
テレビの入れ替えのときにわが家でもこのアイデア
拝借したいなぁと、思えた事例でした。
みなさんもいかがでしょうか?

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2008年03月11日

木樽の風呂

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岩手県滝沢村の住宅見学時に発見した風呂桶。
「桶」と書くと手で持てるようなサイズを考えてしまうけれど、
こういう大型のものもやっぱり、桶なんですね。
風呂といえば、現代ではほとんどがFRP素材のユニットバスが主流。
で、そのことに疑問を呈するひともいたけれど、
圧倒的な施工性の良さから、いまや顧みられることもなくなったような気がする。
いわゆる建築家が関与する住宅でも、
こだわりなくユニットバスが施工されているのが多い。
このあたり、建築家の方たちも違いがあるようですね。

絶対にユニットバスの快適性を認めない、という方も多い。
北海道での家づくりでいちばん問題になったのが、
お風呂の問題だったのですね。
それまで一般的だった現場施工のタイル風呂では、
防水性能とか、寒さの問題への対処など、
ほぼ不可能だったので、温暖地ではそれまでホテルくらいしか需要がなかった
工場生産のユニットバスが、普及したんですね。
北海道が生んだヒット住宅設備ということで、
全国に販路を広げたメーカーもありました。

まぁ、そういう歴史的な経緯から話しても、
たぶん、温暖地の設計者はピンとこないでしょうから、
説明も面倒になったのですが、コストと性能をバランス取れば、
ユニットバスって言う選択は無理もないし、合理的と言える。
それをあえて、造作風呂にしようとするのは、
逆に建物に対する熱環境的な自信がある場合に、チャレンジするのですね。
そういう設備にするためには、水面下で努力が相当に必要。

と言う次第ですが、
にしてもこの木のお風呂は目に心地よい。
こういう風呂で毎日汗を流せる幸せを訴えかけている気がします。
昔は家に風呂があるなんていうのは、チョー贅沢なんですが、
考えてみれば色々変遷がありましたね。
はじめて住まいに風呂が入ったのは、いわゆる五右衛門風呂でした。
いま、わが家ではタイル風呂を施工して、
バスタブ本体はFRP製ですね。
こういう風呂にしたのは、ブロック造で性能にも安心があったから。
でもやっぱり、こういう木の風呂にも惹かれます、
いいなぁ・・・。

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2008年03月10日

半地下埋設暖房

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一昨年だったか、東北の建築家グループのみなさんに
北海道の住宅ツアーを計画して、
断熱気密、性能向上の必要性を訴求する試みをしました。
そのときに参加してくれた佐藤忠幸さんの設計住宅が
最終審査にエントリーして、
見に行くことができました。
この写真は、その家の暖房方式。
基礎断熱+土間のピット空間にFF式ストーブを2台設置して、
そこから温風を吹き出させる暖房方式を採用していました。
以前からは考えられない北方型住宅の仕様を採用していて、
実際にも2層吹き抜けの居間大空間の床・壁・天井とも温度ムラのない
均一な温熱環境が実現していました。
「素晴らしいですね」と声を掛けると、
やはり、あのときのツアー以来、積極的に北海道の温熱環境技術を採用して、
ユーザーからも「暖かくて心地いい」と言われているそうです。
なにより、自信を持ってデザインできることが、
仕事に大いにプラスになっているに違いないと感じました。

住宅の評価自体は色々な考え方があるので、
この住宅は奨励賞ということになったわけですが、
そういった経緯を知っている当方としては、やや格別の思い。
このような住宅性能の建物が建築家のデザインによって増えていくことは、
地域の住宅の質を高めるに違いないと思うのです。
デザインはかっこいいけど、寒い家というのでは
建ててくれたユーザーに苦痛を強いることになる。
そういう技術が建築の技術世界にないのなら、やむを得ないかも知れないけれど、
すでに広く社会に存在しているのに、建築家たちが知らないで、
そういう遅れた環境の建物をユーザーに提供しているのは、
基本的に、やはりまずいだろうと思う。
環境の世紀と言われ、サスティナビリティが声高に言われている中で、
建築の専門家として、どうなのでしょうか?

そういう意味で、変わりつつある現実を見られた感じがして、
うれしい思いをした次第です。
そして、建築の世界でビッグネームといわれる山下和正さんの自邸も
今回のコンテストに応募があったのですが、
その建物も、環境建築の方向を指向した、高断熱高気密仕様でした。
やはり確実に時代は変化を見せつつある。
絶対に「環境建築デザイン」というコンセプトこそ、
次の時代にもっとも大切な考え方になると思います。

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2008年03月09日

雨水利用

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ここんところ、あちこちで写真のような雨水利用を見ます。
家の端っこくらいに雨樋からの水を蓄える木桶。
って、だいたいが「ニッカ」のウィスキー樽なんですが、
これってなにか、符牒なのか
なぜ、サントリーではなくニッカなのか、調べてみたくなった(笑)。
で、こういう雨水利用って、市町村の自治体によって
利用範囲が限られているのが実態。
大体大都市では、こういう「中水」は下水に入れてはいけないようです。
ユーザー側から考えればこういう雨水をトイレの排水などに
利用したら、年間コストも下がるし、
上水の無駄の抑制にもつながる、と思えるのですが、
想像してみれば「水資源管理上」面倒なことを起こしたくない、
というようなお役所心理なのかなぁ、と推測してしまいますね。
でも、一方で上水には大量の塩素などを入れて
殺菌しているのですよね。
そういう部分ではどうなるのか、制度の矛盾のようなことを感じます。
多くのユーザーは、こういう雨水利用に期待感はある。
省エネではいろいろな補助政策もできているけれど、
そういうことばかりではなく、規制撤廃によって進む環境政策もある。

まぁ、日本国家って人口も大きい大国で、
法治国家なので、なかなか小回りの利く意志決定はできにくい。
それと、英語などの他言語と違って
限定性のあいまいさが残る言語なので、
「官僚」の恣意的な決定範囲が大きいのではないか、と思われます。
2バイト文字圏では、「法治」の時間経過が長くなると、
いろいろと不都合なことが大きくなってくるのではないかと危惧します。
常識的に大丈夫、というようなことについては、
常態的に法律を見直し続ける、ということが不可欠なのではないでしょうか?

この写真のお宅では、この雨水、
庭に引き込んで、「ビオトープ」の池を造作し、周囲に自然系の再生を
仕掛けておりました。
まだ1年なので、定かな効果のほどは見えておりませんでしたが、
そのように指向して、環境を考えはじめている人は多い。
そうした動きに足かせにならないような「法治」を心がけていただきたいと、
念願する次第。
ただし、自治体によっては中水利用可能というケースもあるそうです。
いよいよ、「裁量範囲」のことがらのようですね。

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2008年03月08日

燃料電池、初取材

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きのうはようやく終わった東北住宅大賞審査に続いて
さっそく山形県で取材が2件。
そのどちらも面白いものでしたが、
ひとつは写真の「燃料電池」を使った住宅取材。
ガソリンスタンドを経営している施主さんのご自宅で、
そういうことから燃料電池を実体験しながら、
経験値を上げようということからチャレンジしているのだそうです。
こういう設備系のお話しは、実際に人の話として聞いてから、
それから詳しい紹介パンフレットなどを見ることにしています。
はじめに実体験があってからのほうが推定が付きやすくなるし、
先入観が少なくていい。

このシステムは、石油から水素を取り出して発電に利用する本体(左)と、
その過程で発生する熱を冷却させるための水を蓄えるタンク(右)。
実用的には、発電量は1kw。
まぁ、ほぼ家庭一軒分には見合った容量になるそうです。
一方で冷却水のタンクの方は、熱を奪ったあと、お湯になるわけで、
それを現状では60度の温水にして200リッター貯湯しているそうです。
こちらも一般的な家庭一軒分に相当するレベル。
いまのところ、暖房については使用できていません。
特徴としては、石油という化石燃料を使いながら、
燃焼させるわけではないので、CO2発生がない、ということ。
原材料としてはこのほかにガスも考えられるものです。
現状ではこの装置と、電力会社からの買電の組み合わせなっているそうです。
また、暖房についてはそこまでのエネルギーは供給できないので、
現状では別に深夜電力を5時間使った大型2t超の温水器の
お湯をセントラルヒーティングで回す方式を採用しています。
データとしては、1年間の供用で夏冬平均して電気料が20000円程度。
ただし、家は床面積の大きなお宅で通常の2倍近い80坪ほどのお宅。
ふつうのサイズの住宅ならば、6掛け、7掛けで考えた方がいいかもしれません。

エネルギー戦争としては、
電気会社側のヒートポンプと、化石燃料系の燃料電池、
というのが次世代エネルギーの通り相場なんですが、
これまでの新技術の行く末を見ていると、
両方とも順調にいくものかどうか、
そうは簡単には進んでいかないのではないかと思います。
ではありますが、CO2削減という大目的はまさに正論なので、
こうした動向はチェックし続けていく必要がありますね。
また、情報が出てくれば、触れていきたいと思います。


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2008年03月04日

仙台のホテル室内環境研究

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さて、出張に来ていまして、
仙台のホテルに宿泊しています。
今回の出張は、本日からの東北住宅大賞現地審査が大きな目的ですので、
札幌から赤外線放射温度計を持参してきました。
これは、壁など各部位の表面温度を離れた位置から測定するもの。
で、今朝、いごこちがあまりよくないけれど、
1月などと比べたらまぁ、ましだなと思われた室内環境でしたが、
測定してみた次第です。
暖房は温風が吹き出してくるエアコンです。
建物はやや古いけれど、一般的なRC造建築の6階。
外気温は5時だとマイナス1度くらいでしょうか?寒いけれど、冬真っ盛りからは脱したところ。
エアコンの設定温度は写真上の通り、21度の設定にして寝ていました。
やや不快感があっての目覚めでしたが、
最悪というほどの冷却感ではありません。
しかし、北海道の家のように、体が内部から暖かいというよりは、
やはり体感的には皮膚表面しか暖かくない、という感じ。
設定温度は、これ以上高くすると寝苦しいので、この程度にしたのです。
で、温風吹き出しなので、乾燥感がきつくて
お風呂にお湯を張って、ドアを開け放して寝ていました。

測定の結果は下の3枚の写真です。
左から、壁面(天井もほぼ同じでした)・床面・窓面です。
まず、上下温度差が3度あります。
というか、足下が寒いということが見て取れます。
測定後、温度設定を上げて27度にしたのですが、
そうすると、この上下温度差が拡大し、5度を上回りました。
頭寒足熱、という健康法則がありますが、
まったく逆の結果ですね。
こういう温度差環境では、温度設定には意味がなくなる。
暖かくなりたいけれど、頭がぼーっとするばかりにしかならない。
まぁ、それはまだいいとして、ひどいのはやはり窓ですね。
お願いですから、アルミサッシはやめてください。
エアコンで暖房する一方で、冷ストーブが運転し続けているのと同じです。
窓面から、ずっと室内の温度を奪い続けているのです。
体感的にずっと冷輻射を感じ続けるのですね。

というような結果が得られたわけですが、
けっこう厳しい温度差であること、ご理解いただけたでしょうか?
こういう温度ムラのある環境はけっして「快適・健康」にはならない。
じゃぁ、なんでそんなホテルを選ぶんだ、ということになりますが、
どこのホテルでも似たり寄ったりなんですよ。
高いお金を出してもそこは関係がない。
また賃貸住宅というのも、ほとんどがこういう環境なんです、当地は。
まず、ほとんど選択の余地はないに等しいと言えます。
エトランゼにとっての冬場の仙台の環境って、こうなんです。
こういう事実、ぜひ、知って欲しいものだと思いますね。


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2008年03月03日

LCCO2の考え方

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地球温暖化問題への取り組みが、この7月の
洞爺湖サミットへ向けて、活発になってきました。
大変いいことだと思います。
国レベルでは、多くの取り組みが成されていますが、
そのなかでも具体的にCO2削減への指標のようなものの一般開示が
求められてきていると思います。
そんな考えを持ちながら、北方建築総合研究所(北総研)がまとめた冊子を見ていて、
わかりやすくまとめられていたのが、写真のグラフです。
スキャナーのない環境なので、デジカメで撮影しました。
すこし見にくいかも知れませんが、縦軸にCO2排出量。
横軸に建築の経年数を表しているものです。
札幌市内に建てられている125平米程度、約38坪の住宅で、
住宅性能としては「新省エネ」程度と、やや低レベルの住宅性能ではあります。
熱損失係数では、確か1.9程度だったと思います。
まぁ、比較的一般的に建てられている住宅に近い性能と言えます。
LCCO2とは、つまりその建築物が建てられ、使用され、やがて廃棄されるまでの
トータルなCO2の排出量を推定するもの。
この建物の場合で、50年経って廃棄されるまでに排出するCO2は約100t。
このうち、建築時には大体10t程度で、使用中が約8割を占めています。
なんと罪深いことをわれわれの「快適性」はしているのか、
という原理主義はこの場合、置いておいて、
この8割をいかに減らしていけるのか、が最大の問題。
札幌の場合は、そのなかでも「暖房用エネルギー」が6割を占めています。
ようするに、全体のCO2の半分を札幌では暖房として使う計算。
この部分が、もし半減されれば、トータルのCO2は25%も削減されるのですね。
したがって、初期投資段階で省エネ部分にお金を配分することは、
たいへん有益な方法と言えるわけです。

というふうに考えれば、まさに断熱気密は待ったなし。
より高性能な住宅づくりが最大の効果を発揮する