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[5850]熱交換換気について

質問者:Deco / 最新の回答・ご意見者:栃木 渡 / 回答・ご意見数:2件
カテゴリ:設備 / 2012年10月25日 14:09

いつもご丁寧なご回答誠に感謝致しております。


【熱交換換気】についてなのですが、
この度、新築にあたり、高断熱住宅 断熱性能及び省エネ性能 計算書というものを頂き、予算等の都合上、二通り計算していただいたところ、

Q値だけでみますと、

◇一般仕様(工務店様基準?)
Q値:1?当たり 1.404

◇要望数値仕様(私たちの要望)
Q値:1?当たり 0.958

とのご回答をいただきました。

予算の都合上、不本意ながら【一般仕様】かなと思っているところですが、書類詳細を見比べたところ、

【熱損失】だけでみると、

◇一般仕様(工務店様基準?)
部位: 換気
断熱仕様換気回数: 0.5回
熱損失: 52.703
熱損失係数: 0.455

◇要望数値仕様(私たちの要望)
部位: 換気
断熱仕様換気回数: 0.5回(70%熱交換換気)
熱損失: 26.471
熱損失係数: 0.228

となっており、熱損失の差が 26.232 あり、【部位】でみると一番大きな差でした。

素人考えで、【◇一般仕様】でも換気システムだけを【熱交換換気】に変更したら少しでも数値を希望値に近づかせることが出来るのかと、思いご相談した次第です。

ちなみに、次に数値の差が大きかったのは【開口部】でした。

見積もりを見るところ【開口部】全ての変更した費用と、【熱交換換気】に変更する費用の差が、単純に数字だけを見ると【熱交換換気】の方が安かったため、【熱交換換気】交換を選択肢として考えました。

全体の構造が伴った上での【熱交換換気】であり、【熱交換換気】だけの変更は、あまり意味の無い事なのでしょうか?
また、【熱交換換気】自体の取り付けがそもそも構造とリンクしており、その仕様になっていなければ取付け自体ができないのでしょうか?


・建築場所は、北海道で雪がかなり多く、気温も−20℃まで下がります。
・かね勾配で2階建て、灯油ボイラー、灯油暖房の予定です。(ガスはプロパン)
・開口部(窓)は、【◇一般仕様】では【PVC ArLow-E】を使用予定、ちなみに【◇要望数値仕様】では【PCV トリプル2Ar2Low-E】の使用となっております。


ご教授よろしくお願い致します。

これまでの回答・ご意見数2

アドバイザーからの回答

アドバイザー  相談者
myph

栃木 渡

一級建築士事務所 株式会社 北工房 代表取締役
2012年10月26日 12:10

所在地:北海道札幌市中央区北1条西15丁目1-3 大通ハイム409
URL:http://www.kitakobo.com/
PR:住宅設計に関わって30年が経…

皆さん、マニアのようで、、、(^_^;)。。数値を伴わないお話をするのは恐縮なのですが、、、

decoさんも、北海道にお住まいであれば、ご理解いただけると思いますが、2月のとっても寒い日に、わざわざ「スペック想定通り」に換気扇を回す人間は居りません。全ては、あくまでもシュミレーションです。

斎藤氏の言うところの
「自然換気=隙間換気+台所調理換気+生活換気(玄関や窓の開閉)があり
これらの合計は、0.1回/h相当以上」が生活実感です。つまり、意識して常時は換気扇を回さない状態ですね。。

必要換気量も、住むのが何人か、、在室が何人か、、で、どんどん変わってきます。

熱交換が3種よりは断熱的には有利なのだけは、はっきりしておりますので、
まずはご予算の許す限りの「厚着」(断熱強化)。。。その上で、ご予算の範囲で、熱交換をかませられるのであれば、そのように・・・,、ということで、あまり、熱交換と開口部仕様によるQ値を比較するのは、、、個人的には意味のの無い比較かと思います。

出来うる限り、、、まず「厚着」が常套手段かな?と思います。

※アドバイザー以外の一般ユーザーからのご意見

一般ユーザー  相談者
myph

クラビア

所在地:新潟県
2012年10月25日 15:38

URL:
家づくりの想い:人に優しい家・ふところに優

デコさん,お気付きの様に,換気が占める熱損失の割合は,躯体性能が上がってくると,かなりの割合になってきます。
それで,熱交換換気システムを採用すると,かなりの性能の向上を図ることができます。
ただ,熱交換換気システムの採用に当たっては色々とクリアしなければならないポイントがあります。
また,多くの場合,設置費用は割高になるかもしれません。
しかし,きちんと設計,設置され,また定期的にメンテナンスされた熱交換換気システムはベストの環境を提供してくれるでしょう。
一応,熱交換換気システムを採用される場合は以下の点に留意されると良いと思います。
〇熱交換率はどの程度あるか。
できれば90%以上が望ましいです。
〇顕熱交換タイプか全熱交換タイプか。
前者は熱交換率は若干下がりますが,臭いの問題は少なくなります。
それで,トイレやバスや,場合によってはキッチンも常時換気計画に入れることが可能になります。
後者は熱交換率はかなり高いものが望めます。
また,湿度の交換もできますので,冬季の過乾燥対策,また夏季の除湿の面では有利になります。
しかし,臭いの貫流の恐れがありますので,トイレ,バス,キッチンは別系統の換気計画が求められます。
現実には,トイレ,バス,キッチンは人感センサー付き,あるいはタイマー付きの排気扇で対応することが多いようで,現実には,これで問題になることはないようです。
デコさんのお宅は北海道ということで,湿気の問題は少ないと思いますので,顕熱タイプで集中的に設計するのがいいかもしれませんね。
〇いずれの換気システムの場合も換気量が大切です。
法律では0.5回換気が義務付けられていますが,これは住宅中心の考え方でして,人間中心に考えると,住人一人当たり,1時間当たり,30立米の新鮮空気の導入が理想となります。
これは,WHOの室内の二酸化炭素濃度の基準値,1000PPM以下を達成する為に,必要な新鮮空気量となります。
それで,夫婦が二人で休む,主寝室は理想的には60立米の換気が望まれますが,これが実現されているケースはかなり少ないです。
現実に,主寝室で二酸化炭素濃度を測定してみると2000PPMを越えることもあります。
これで命に別状は無いですが,朝の寝起きは悪くなります。
それで,少なくとも40立米は確保したいところですね。
子供部屋で二人が同居する部屋も同じ考えになります。
〇上記の換気量を確保する為には,集中ダクト方式の場合は,ダクトの太さが要になります。
施工上は細いダクトで済ませたいところですが,末端では実際に空気が移動しないことがあります。
それで,換気システム設置後,先に述べた必要換気量が実際に確保されているかどうか,測定してもらう方がいいです。
ただ,これをやる業者は少ないです。
日本は換気システムが付いておれば,実際に機能するかどうかは関係なく,それで法律的には問題となりません。
それで,中にはダミー状態になっている場合もあります。
〇集中ダクト方式の場合は,ダクト内の汚染を防ぐ為に,換気システムには高性能フィルターを設置する方が望ましいです。
もっとも,このフィルターは汚れやすいので,定期的にメンテナンスする必要があります。
この場合,換気システムのメインユニットを天井裏に上げてしまうと,ほったらかしになることが多いです。
できれば,換気システムの為のブースを用意して,できるだけ簡単にメンテナンスできように設置して下さい。
フィルター交換は最低でも1年に一回の交換は必須となります。
〇新鮮空気の導入口と排気口の位置や方向をできるだけ離すこと。
これをしないと,排気が貫流する恐れがあります。
〇集中ダクト方式の場合は,換気システムの使用電力量にも留意されて下さい。
最近はきわめて少ない電力量で運用できるものもありますが,これが電気食らいですと,折角の熱交換の意味が無くなってしまいます。
ざっと,以上の様なことが思い付く点ですが,もしも,熱交換でない換気システムを採用されるようでしたら,また,これには大切なポイントがありますので,別にお答えしたいと思います。