myph

[8024]デマンド型換気の機材(第三種換気)

質問者:END / 最新の回答・ご意見者:END / 回答・ご意見数:5件
カテゴリ:設備 / 2014年01月23日 06:48

お世話になります。
現在、セルロースファイバーを利用して調湿と断熱を重視した住宅を建築する予定です。
換気は第三種換気、ダクトの無い方式を採用しています。

1)
最近、第三種換気にはデマンド型の換気がとても良いとお聞きしました。
そこで施主支給も念頭に(お願いしている工務店が施主支給には寛容です)、
関連の機材をネットで捜してみたのですが、
日本スティーベルさんのLA60がそれらしいとは分かったのですが、
対抗馬となるような機材を見つけることができずにいます。

ダクトレスでデマンド換気を行う機材は他にありますでしょうか?

2)
吸気口について、
当然、基本的には24時間換気で空けておくつもりなのですが、
風の強い日に勝手に風が流入すると辛いので、
必要な場合だけ吸気量を調整できるような機材を希望しています。

そういった、吸気量を調整できる吸気口、
ネットで見て見ると…
株式会社シルファーさんの商品
http://www.sylpha.co.jp/products/SY-PF-F.html
MAXさんの商品
http://wis.max-ltd.co.jp/dry-fan/product_catalog.html?product_code=JD90926
があるようですが、
他に良いものはご存知でしょうか?


また、デマンド型等の欠点がありましたら併せて御教示いただけるとありがたいです。
分かりにくい文章で申し訳ありませんがよろしくお願いします。


これまでの回答・ご意見数5

アドバイザーからの回答

アドバイザー  相談者

※アドバイザー以外の一般ユーザーからのご意見

一般ユーザー  相談者
myph

クラビア

所在地:新潟県
2014年01月23日 14:04

URL:
家づくりの想い:人に優しい家・ふところに優

換気に付いて検討する場合,まず,換気の目的に付いて理解しておく必要があります。
そもそも,およそ10年前に建築基準法が改正されて,換気システムが義務付けられるようになった経緯は,シックハウス対策を主眼としたものでした。
当時は,新建材から種々の化学物質が放散することがあり,それによるシックハウスが問題となり,その対策として,24時間の機械換気が必要とされたわけです。
この時に,建設省は0.5回換気を義務付けました。
つまり2時間で家の中の空気が全て入れ代わるという考え方です。
しかし,やがて建材の開発が進み,今日では化学物質を放散する建材はほとんどなくなり,換気の目的は,中に暮らす住人に新鮮な空気を供給するという目的が重視されるようになりました。
人間は1時間に一人あたり200リットルの二酸化炭素を排出しますが,これを新鮮な外気で希釈するという考え方です。
ここで,建築基準法では0.5回換気が義務付けられていますが,一方,労働省の勧告では,事務室などの作業空間では二酸化炭素濃度を1000PPM以下に抑えるようにという基準が提唱されています。
なお,1000PPMの根拠としては,大体,この数値を超えると,中にいる人の多くが,空気が悪いと感じること,また,経験的に空気中の汚染物質が増えることが分かっており,それで,この数値が決められており,これはWHOの基準とも合致します。
ここで,一般的な住宅に4人か5人程度の家族が暮らす場合に0.5回換気を行うと,うまい具合に丁度,この基準を満足する結果が得られます。
それで,0.5回換気というのは,最初から,二酸化炭素濃度を1000PPM以下に抑えることを配慮して決定された数値だったのかもしれません。
さて,この考え方からいきますと,大きな家にわずかの人が暮らす場合や,ほとんど留守にしている場合や,一方,小さな家に大勢が常時暮らしている場合では,換気量が同じでは理屈に合わないことになります。
一方,冷暖房時に不必要な換気を行うと,熱損失につながりますので,お尋ねのデマンド型換気システムが開発されるようになってきたものと考えられます。
ここで,お尋ねの件ですが,二つの問題点があることを指摘しておきたいと思います。
まずデマンド型というのは,中の住人に配慮するという目的にはかなっているのですが,それを,二酸化炭素濃度ではなく,お尋ねの機器の場合,相対湿度で管理するというところに限界があるように思います。
つまり,ヨーロッパの様に,普段,外気の湿度がかなり低い地域であれば,家の中に人がいない時は,屋内の湿度は低くなり,一方,人が生活を始めると湿度が高くなるため,人の暮らしに応じて,湿度が変化し,その結果として,デマンド型の換気扇はうまく機能する可能性が高いと思います。
しかし,日本の様に,夏場,高温多湿の地域では,屋内に人がいるかいないかに関わらず,外気をそのまま供給すれば,屋内の湿度も外気に合わせて高くなり,その結果,デマンド型はフル運転することになり,その結果,外気をさらに導入することになり,屋内の湿度は引き続き高くなるという悪循環を繰り返すことになります。
であれば,デマンド型と,常時フル回転する普通のパイプファンとの違いは無くなってしまいます。
一方,冬季は,閉鎖型の暖房器具を使うと,屋内の相対湿度はかなり低くなります。それでこの状態でデマンド型の換気システムを使うと,家の中に人がいるかいないかに関わらず,屋内湿度が低いため,換気システムは運転を抑えることになり,熱損失の面では有利ですが,換気不良になる恐れが出てきます。
なお,後で述べる理由で現実に換気不良になる可能性は少ないのですが,少なくとも,計画換気の目的からは外れてしまいます。
さて,二番目の問題点ですが,これは第三種換気システムが抱える問題です。
第三種換気システムは一カ所あるいは数カ所から排気して,屋内を負圧にして,自然吸気口から新鮮空気を導入するという理屈になっていますが,現実に採用してみると,なかなか原理通りには働いてくれません。
まず,これが計画通り働くためには,住宅の気密性が重要で,少なくともC値にして,0.5cm2/m2以下,理想的には0.2cm2/m2以下であることが求められます。
そこで,これをきちんと達成できる業者が岐阜県におられるかという問題があります。
そして,これを確認するためには,気密測定を行う必要がありますが,これを岐阜県でやっているだろうかという問題です。
北海道では恐らく常識になっていることですが,岐阜県で気密測定を励行している業者はかなり限られると思います。

myph

クラビア

所在地:新潟県
2014年01月23日 14:12

URL:
家づくりの想い:人に優しい家・ふところに優

次に第三種換気システムで問題となるのは,特に冬季暖房時に屋内に上昇気流が発生するため,本来は建物全体が負圧になる必要があるのですが,現実には,一階は極度の負圧になり,二階は正圧になる可能性が高いということです。
すると,換気の経路がどうなるかと言いますと,デマンド型換気システムの装置とは関係なく,一階の吸気口から大量の空気が入り込み,二階の吸気口から排出されるという,一種の煙突効果が発生します。
一階と二階が隔絶されておれば良いのですが,現実には階段通路にドアを設けることはしませんので,この煙突効果が発生します。
そうなると,本来の吸気口が排気口となり,換気計画に破綻をきたします。
もちろん,この状態で換気は行われていますので,これでも良いわけですが,折角のデマンド型換気システムは用を成しません。
特に,二階に寝室を設けて,そこに吸気口を設置して,新鮮空気を導入する計画になっている場合,現実に排気口となってしまうと,フレッシュエアではなく,屋内を通り抜けてきたオールドエアを供給することになってしまいます。
さらに第三種換気システムの吸気口に付いては,杉花粉などの汚染物質をそのまま吸い込む恐れが高いということも指摘しておきたいと思います。
お尋ねの機器に付いてはフィルターも装備されるようですが,杉花粉に対応するフィルターを設置するとすぐに目詰まりして,空気が入って来なくなることが,経験上分かっています。
そこで,一週間か二週間ごとにフィルター掃除や交換が必要になってきますが,それができるかと言えば,やってみるとわかりますが,実に面倒な作業となります。
さらに,第三種換気が計画通りに機能する場合に,吸気口から新鮮空気が入ってきますが,冬季はそれが強い冷気の導入となってコールドドラフトを引き起こす可能性が高いという点も指摘せねばなりません。
それで,第三種換気を採用する場合には吸気口の下にはパネルヒーターなどの暖房器具を設置する必要があります。
というわけで,熱損失に配慮したという観点でのデマンド型換気システムは,その意図は買いますが,湿度が高く,杉花粉などの課題を抱える日本ではお勧めできないというのが正直なところです。
現状では,一番お勧めできるのは,熱交換型の集中ダクト方式の換気システムです。
これもフィルター交換などのメンテナンスが大切ですので,換気システムの本体を天井裏に上げるようなことはしないで,専用のブースを設けて,常時,点検可能な状態で使われると安心できると思います。
集中ダクト方式ですと,フィルター管理は一カ所ですみますので,比較的簡単に励行できます。
また,フィルター管理を励行しておれば,ダクト内の汚損の心配もありません。
最後に,既に御存知と思いますが,住宅は断熱性や気密性が重要ですので,設計の段階で熱損失係数,つまりQ値が幾らになるか,また,気密測定を行って,C値が1以下,できれば0.5以下になっているかを確認されるといいでしょう。
参考まで,ドイツのパッシブハウスはQ値は0.7程度を提唱していますが,岐阜県であれは,Q値は1以下であって欲しいところですね。


myph

END

所在地:岐阜県
2014年01月24日 05:59

本当に丁寧なご説明に感謝します。
ご推察のとおり、第三種換気の熱損失が心配で今回の質問を申し上げました。

デマンド型換気を組み合わせると良いかと思っていましたが、
そもそも日本ではデマンド型換気では欠点があることが良く分かりました。

ところで…追加で申し訳無いのですが、
頂いた御回答では岐阜県ではQ値1以下であってほしい、とありますが…

次世代省エネ基準では2.7だったと思うのですが、
当家はセルロース105mm+EPS25mmのダブル断熱仕様ですが、
多分、1.6?1.8くらいにはなりそうです。
ネットにあった計算ソフトで素人計算した値ではありますが、
換気からのロスが非常に大きかったのは確かです。
これだけの情報で判断はできないでしょうが、
Q値1以下…第三種換気ではやはり難しそうでしょうか??
myph

クラビア

所在地:新潟県
2014年01月24日 14:39

URL:
家づくりの想い:人に優しい家・ふところに優

ドイツは国を上げて本格的な省エネ住宅に取り組んでおり,その中で,パッシブハウスの基準が日本の基準に換算するとQ値にして0.7程度となります。
スウェーデンは国の基準値として,将来は0.5を目指そうかと議論されているようです。
日本の場合は,地域にもよりますが,0.5以下になれば,無暖房住宅も不可能ではありません。
日本では,北海道が一番先進的な取り組みを行っておられますが,ちなみに札幌市のトップランナー方式では0.5以下を達成すると,補助金が200万円程もらえます。
私も,実際の家を見学しましたが,そんなに特殊な家ではなく,既存の技術で実現できるものでした。
岐阜県の場合は北海道の基準までは要らないとは思いますが,結構冷え込む地域ですので,できれば,1以下の家を建てて置かれると,後悔が無いと思います。
今では大手メーカーでも0.7程度の家を提供するところもありますし,勉強熱心な工務店であれば,これ以上の性能の住宅もできます。
あと,気密測定は必ず行って,C値は1以下になっていることを確認されることをお勧めします。
せっかく,断熱材を十分に使っていましても,家に隙間がありますと,煙突効果でとても寒い家になってしまいます。
myph

Korokoro

所在地:北海道
2014年01月25日 11:21

URL:
家づくりの想い:

気密測定をして、だめなら元からやり直してくれる工務店なんてあるんですかね、
測定費用はどちらが持つのでしょうか?
myph

クラビア

所在地:新潟県
2014年01月25日 23:38

URL:
家づくりの想い:人に優しい家・ふところに優

近年は大手メーカーでも,全棟の気密測定を行い,C値を保証するところが出てきました。
また,高断熱高気密住宅の看板を掲げる地域工務店の多くもそのようにしていると思います。
岐阜県にもそのような工務店があり,色々な家を見学しましたが,外観は純和風の家で,内装も無垢材を使ったとても気持ちの良い家を建てておられました。
この工務店も気密測定を励行され,C値の保証もされていました。
その点,北海道は高断熱高気密住宅の本場で,この種の工務店はたくさんあります。
というか,それが当たり前かと思っていましたが,そうでもなかったでしょうかね。
ともかく,ネットで検索すれば,この種の業者は幾つもヒットすると思います。
測定費用は結局は施主の負担になりますが,例えば,気密測定器,一台が100万円するとして,年間1000棟を手がける業者であれば,一軒ごとの減価償却の負担は1000円程になります。
気密測定器の原理は単純なもので,簡単に壊れるようなものではありませんので,一度購入すれば,実際には長年使えますから,減価償却が終われば,あとは,ほとんどが人件費だけの負担になります。
それで,会社の営業マンに測定の資格を取らせて,実質的にサービスで測定を行っているところもあります。
年間棟数が少ない工務店の場合は同業者が持ち合いで機械を購入して,持ち回りで測定を行っているところもありました。
普段,気密測定を行わない業者の場合は,施主の方で気密測定を依頼すると,測定を専門に行っている業者に委託することになりますが,その負担はかなり掛かるかもしれません。
そして,大体,業者の方からはあまりいい顔をされませんし,また気密の保証を受けることもできないことが多いです。
現実には気密測定を行っていると,躯体のどこに弱点があるのかが見えて来ます。
それで,大工さんや職人さんも次回からは弱点となるところを特に丁寧に施工することによって,高気密住宅を建築するスキルをアップさせて行くことになります。
ドイツやスウェーデンやカナダでは気密測定を行うのは常識で,日本も2003年の建築基準法の改正の機に,建設省は気密測定を義務づけることを計画しましたが,種々の事情から,流れてしまいました。
その理由はともかく,仮に国が動かなくても,ユーザーの側で,皆が気密測定を要求していけば,一般的な建築業界も変わっていくのではないかと考えています。
なお,自然換気で十分と考える場合は,気密測定は不要です。
この場合は,第四種換気と言う方もおられますが,冬季暖房の煙突効果による換気,自然の風を利用したすきま風の換気,また,暖房も使わない,風も吹かないときは,できるだけ窓を空けて換気することになります。
種々のセンサーで外気の状態を把握して,それに応じて,コンピューター制御で窓を開閉する実験的な住宅もありますが,これはこれでとても面白いと取り組みだと思います。
myph

END

所在地:岐阜県
2014年01月28日 05:39

非常に丁寧な説明、ありがとうございました。
換気について、工務店と相談するにあたり、大変参考になりました。
ありがとうございました。