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第1回 あなたの家族は大丈夫?

今回は、化学物質過敏症に詳しい勤医協札幌病院の渡辺先生に、
この病気の特徴や対策、症例についてお話を伺いました。

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化学物質過敏症の対策を早急に
●勤医協札幌病院小児科 渡辺一彦先生

■化学物質過敏症とは
 化学物質過敏症とは、化学物質が人体を刺激して様々な症状(過敏症)を起こすことです。化学物質による人体への影響には急性/慢性中毒やアレルギー、発癌性、催奇形性、また最近では環境ホルモン作用が知られています。化学物質過敏症はそれらとは一応異なった作用経路が考えられていますが、まだ確定されてはいません。
 医学界の中では最近提唱されてきた疾患概念でまだ保険病名として末登録の病気です。欧米では70年代から研究が進んでおり社会的な対策も進んでいます。一方日本ではまだ一部の機関で研究されているにすぎませんが、最近患者の増加が社会問題になって厚生省や科学技術庁で研究班もつくられています。しかし化学物質過敏症の中でも患者の主要な部分を占める「新築病」「シックハウス症侯群」はマスコミにも時々登場してきて、特に住宅の購入者や建築業界では話題の病気になっています。これは省エネルギー対策で高気密化した建築物がつくられるようになって発生しました。新築家屋やリフォーム等で、建材や接着剤等から揮発するホルムアルデヒドやキシレン、トルエン等の揮発性有機化合物(VOC)等が主な原因であることは明白になっています。
(詳細は住宅誌リプラン43号76〜80ページをご参照下さい)
 高気密の北方住宅ならリスクが高くなる可能性があります。もちろんシックハウス症候群の要因は先のVOCだけでなく、室内空気の換気不良による汚染や、微生物やアレルゲン汚染等を含みます。東京の杉並区に発生した「杉並病」も、ゴミ処理場からの多種の化学物質による化学物質過敏症と理解されています。
 私もテレビ番組に出演しこの病気を解説しました。私はこの病気の専門家でもなく、ただ増えている患者さんの悩みを聞き、対策を練っている一医師に過ぎません。しかし、化学物質過敏症の恐ろしさを知るにつけ、化学物質過敏症の予防を早急に心掛けないとこのままでは大変になると感じています。

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