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■化学物質過敏症の頻度
 私自身日常診療で7、8年前からぽつぽつ患者を診ていますが、最近は急増している印象があり、98年度では新患は40例を越えています。つい最近にも、新築の家で母親と娘さんが頭痛等の不定愁訴や喘息が発症したケースが診断を求めて受診しました。また学校側の不注意なシンナー使用で一週間に及ぶ発熱、全身倦怠をきたした中学生もいました。
 (詳しくは「化学物質過敏症の症例研究」をご参照ください)
 実際に新居を巡り裁判沙汰になるケースもポツポツ増えていると聞いています。しかし、中には30年も前からベニヤ板の匂いを嗅ぐと気持ちが悪くなるといった例もあり、病気と自覚していなかっただけで実はもっと前からあった病気かも知れません。
 現在アメリカでは国民の10%がこの病気におかされていると推定されています。後述しますが、軽い例では別の病気と考えたり見過ごしている例もあり、正確な罹病率は出ません。日本では統計はありませんが、深刻さは米国ほどではなくまだその半分以下でしょう。今のうちに十分対策を建てれぱ不幸な事態は回避できるのです。

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