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第7回 体験者ルポ〜vol.3

弟1回の化学物質過敏症の症例研究でご紹介した、江別市のKさん。長男のT君は化学物質過敏症が日本に紹介される前からその症状に苦しみ、大変な学校生活を送ってきました。けれども明るさや勉強に対する意欲を失わず、この春、見事に難関校に合格。入学した高校はT君の状態を理解し、学校を安全で健康的な環境にするため、前向きな姿勢で化学物質対策に取り組んでいるといいます。

■Kさんの場合
 息子さんが微量の化学物質に反応するようになるまでのおよその経過は、次のとおりです。

●アレルギー体質との診断
 生まれたときから便の回数が異常に多く、生後2週間で乳幼児湿疹、3ヵ月でアトピー性皮膚炎、2歳前には血液検査でアレルギー体質と診断された。

●3歳のとき、喘息に
 入院した病院で発作が出始める。自宅では食材、鍋など気を使っていたが、病院食はそこまで徹底されず、入院中に反応が出たことも。食品に含まれた農薬に反応した可能性も否定できない。自車の前をディーゼル車が走っていたり、外壁工事をしている家の前を通ると発作が起きる。その他タバコ、クーラーなど体験しながら悪いものを一つ一つみつけ、以後はそれらを避ける。

●タンポポの花粉症で視力低下
 小学3年のとき、体のだるさや微熱が続き入院。そのうち「字が見えない」と言い出し、視力を測ると1.0以上から0.2に下がっていた。目の反応を調べる検査では測るたびに数値が違い、メガネなどでの矯正も不可能。さまざまな角度から原因を探り、最終的にタンポポによる花粉症とわかる。目から侵入、血流にのって神経に作用するもので、視力の低下、意識がなくなる等の症状が起きる(クーラーでも同じ症状が出た)。以後、ドライアイ用のテープで隙間をふさいだ花粉防止用メガネをかけて通学。2年後、化学物質過敏症が日本に紹介され、「化学物質過敏症」と診断される。

この時点では誘発物質さえ避ければ、
日常生活には困らなかったそうです。
ところが…。

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