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■家族だけでは対処できない!
 学校や公共施設で起きる症状

 江別市・Kさんの場合
 Kさんの長男であるTくんは、生まれて間もなくアレルギー体質と診断されました。幼いうちはアトピー性皮膚炎がひどく、やがて喘息に移行していくという典型的なアレルギー・マーチ(前号73ページ参照)の症状を見せていました。Tくんが渡辺先生の診断を受けるようになったのは2才になる前からですが、当時は食物除去やダニ退治で症状が軽く済んでおり、毎日の食事や身につける衣類をすべて手作りにしたり、悪化すれば軟膏を塗ったり薬を飲んだりしていました。
 しかしは完治はせず、やがてTくんが小学3年生の時、微熱が長期間続いた上に意識がなくなるというさらに深刻な症状に陥り、45日間の入院を余儀なくされました。そのときの徹底的な検査で、Tくんのアレルギーの原因が必ずしも一般的な食物や花粉だけではなく、農薬や薬品などの化学物質との複合的な要素に問題があるようだ、ということがはっきりしてきました。
 北里大学の研究室によってアメリカから「化学物質過敏症」という概念がもたらされるのはそれから2〜3年後のことになります。
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 その後Kさん一家は長く人に貸していた持ち家に移り住むことになりました。その際、新築に建て替えるかリフォームするかを慎重に検討。それぞれの業者を複数見学して回りましたが当時の住宅業界ではまだいわゆる「シックハウス症候群」に対しての認識も薄く、多くの新築業者は化学薬品で処理された建材を使うことがステータスであるかのような反応だったそうです。
 そこでKさんは、既存の構造をそのまま活かせるリフォームを選択しました。家が制約の多いブロック造だったこともあり、業者を選ぶときには多くの実績とノウハウのある業者であること、Tくんの状況を理解した上でプランをしてくれることの2つを中心に考えました。その結果選ばれたのはホームトピアさん。女性プランナーの提案がもっとも状況に即していて、現場に対する姿勢も納得のいくものだったからです。
 工事に際しては、渡辺先生からも助言をいただき、素材の選択はもちろん、
1.最後の段階で施工されるカーペットなどの内装材も早くから手配してもらってガレージに置いて少しでもVOC(揮発性有機化合物)が放散されるようにする。
2.Kさん自ら毎日現場に通って換気を欠かさない。
3.防蟻処理をしてしまった土台には床下換気扇を設置して化学物質が残留しないようにする。
といった細心の注意を払いました。こうして完成した家に移ってからTくんの症状は非常に落ち着きました。また、女性プランナーの設計により、衣類も食事もすべて手作りが原則のKさんにとっても家事の負担が少ない機能的な家ができあがりました。

※Kさん宅のリフォームは、リプラン31号(96年冬号)にて、
キッチン部分のみをご紹介しております。
リプラン31号・ユニークキッチン実例集
「制約が多いブロック住宅を使いやすく」16〜17ページ掲載。
(設計施工/ホームトピア)

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