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第9回 体験者ルポ〜vol.5

加藤やすこさんの職業はフリーランス・ライター。2年前から身体の調子が極端に悪くなり、なぜなのか、その原因もわからないまま不安を抱えていたと言います。そして、自分が化学物質過敏症になっていたことに気づいたのは、昨年のこと。今回は、取材者自らが体験した治療と実践してきた対処法をご紹介します。

■加藤やすこさんの場合
平成11年10月、病院で処方された薬を服用したところ、タバコの煙や化粧品の臭いを嗅ぐたびに、心臓をわしづかみにされたような痛みやどうき、頭痛が起こるようになる。検査を受けるが原因は不明。しだいに食欲不振になり、過眠、ウツ、慢性的なだるさが続く。また、時間の経過とともに、過敏に反応する物質が増えていった。昨年8月、旭川郊外で療養中の化学物質過敏症患者の話を聞き、同じ病気にかかっていたことに気づく。その後、環境医学が専門の出村医師に出会い、治療を受け大幅に回復した。


環境医学センターが開発した治療法を行うクリニック
 化学物質過敏症は、DDTやPCB、ダイオキシンなどの環境ホルモンや有害化学物質が体内に蓄積し、個人の許容量を超えると発症します。化学物質過敏症というと、シックハウスが原因と思われがちですが、それは住宅建材の化学物質が引き金になっただけで、私のように薬で発症する場合や、タバコの副流煙が引き金になることもあります。何がきっかけで発症するかは人によって違いますが、母親の胎内にいる時から常に有害化学物質や環境ホルモンにさらされている現状では、病気になる可能性は全ての人が抱えています。
 でむら小児クリニック院長の出村先生は環境医学が専門で、アメリカのEHC(環境医学センター)を度々訪れ、化学物質過敏症の治療方法を勉強してきました。アメリカでは1970年代から化学物質過敏症の研究が行われていますが、そのなかでもEHCには最新の医療設備と技術が揃っています。出村先生は、このEHCで行われている治療法を取り入れています。

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