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■「建てた後」の対策も重要
check.gif 積極的な換気の重要性
 家が完成した後も、快適な環境を保つためには積極的に換気を行う必要があります。これは化学物質対策に限ったことではなく、高気密高断熱住宅であれば温度・湿度管理とあわせて一定量の換気を計画的に行うことは常識としてご存じのことと思います。
 しかし、特に化学物質対策として換気を考える場合は「温度・湿度が高いほど空気中への放散量が増加す
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る」、「時間の経過とともに総体的な放散量は減少する」という化学物質の特徴を考慮に入れる必要があります。
 左下は開口部を閉めた状態で計測した室内ホルムアルデヒド濃度の一般的な変化をグラフにしたもの。竣工直後が一番濃度が高く、時間の経過とともにゆるやかに減少していきますが、夏期は濃度が上昇しています。これはホルムアルデヒド以外のVOC(揮発性有機化合物)と総称されるトルエン・エチレンなどの物質も同様です。
 気温・湿度が高い季節や、新しい家具やカーテンを入れたときなど、状況の変化にあわせて窓を開けたり換気扇を回したりと積極的に換気することを心がけましょう。室内全体を換気するためには空気を追い出すだけでなく、新鮮な空気を採り入れるために給気口を開放したり、全室の通風を良くする工夫をして下さい。

check.gif 化学物質を家の中に持ち込まない工夫
 家具や建具、カーペット・カーテン、畳等、住まいの中には建材以外にも化学物質過敏症の原因となる製品があります。家具の場合は建材と同様に製造工程で使われる接着剤や塗料、カーペット・カーテンでは染料や抗菌(防虫・防臭)処理に使用される薬剤、畳の場合は藁に使用された農薬(殺虫剤)などが、化学物質過敏症の発症原因になることが多いようです。これらは比較的早くから指摘されていたこともあり、最
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近は自然素材のみで造られた家具や、オーガニックコットン製のファブリックなどが数多く紹介され、健康志向の消費者の関心も高まっています。
 しかし、こうした大きな物だけではなく、見落としがちな小さな日用品にも等しく注意を向けることが必要です。たくさんの発症報告の中にはクリーニングから返ってきた衣類や、子供の積み木に塗られたニスに反応したという事例も見られます。
 化学物質に頼り切っている現代社会。「住」の分野にとどまらず「衣・食」を含めた生活全般を見直す必要があることを忘れてはいけません。

check.gif メンテナンスにも配慮が必要
 せっかく対策を考えた家を建てても、化学合成された洗剤やワックスを掃除に使っていては努力が水の泡。メンテナンスに使うものもできるだけ天然素材の製品を使うことが大切です。例えばヒバや松などの樹木やハーブから精製した成分や蜜ろうなどの自然素材を用いたクリーナーやワックスを使うと良いでしょう。原材料がはっきりと明示されている商品の中から、実際に匂いをかいだりして反応を確認してから選ぶようにして下さい。
 特に無垢材で造られた内装材や建具、家具などの木製品は、定期的に適切ななメンテナンスをすることで時間の経過とともに風合いを増していきます。本物ほど長くその良さを楽しめるのですから、きちんと手入れをしてあげましょう。
 良い物を長く使う、無駄なゴミを出さないといった習慣を一人でも多くの人が身につけることが、有害な化学物質の蔓延を防ぐなにより有効な対策になるはずです。

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